【解決手段】本発明による側板ユニットは、遠心投射機に用いられ且つ複数のブレードを取り付けるためのものであり、一対の側板と、これらの一対の側板を結合する結合部材と、を有し、一対の側板の互いに対向する面にガイド溝部が形成され、この側板のガイド溝部は、その半径方向外側がその半径方向内側に比べて回転方向の後側に位置するように傾斜して形成されている。
前記ブレードは、投射材を投射する投射面が形成されたブレード投射部と、このブレード投射部の両端縁部に形成された取付部と、を有し、前記ブレードの取付部は、少なくともその外側部分の、前記ブレードの回転軸方向に直交する平面が、ストレート形状に形成され、前記取付部は、その半径方向内側部分の前記ブレードの回転軸方向に直交する平面が前記ストレート形状から突出するように形成される係合部を有し、
前記側板のガイド溝部は、その内側部分が、ストレート形状よりも幅広く形成され、前記ブレードの取付部の係合部と係合して、前記ブレードの位置を規制する請求項2記載の側板ユニット。
前記ブレードは、投射材を投射する投射面が形成されたブレード投射部を有し、このブレード投射部は、前記投射面の反対側の投射背面に形成された隆起部と、この隆起部及び前記半径方向内側の端部の間に形成された湾曲面とを有し、
各結合部材は、各ブレード間に配置されるとともに、隣り合うブレードの投射面と、隣り合うブレードの投射背面との中間位置より投射背面側に近い位置に配置される請求項1記載の側板ユニット。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、図面を参照して、本発明の実施形態による遠心投射機について説明する。
図1乃至
図3に示すように、本発明の実施形態による遠心投射機1は、複数のブレード3を備え、ブレード3を回転させて遠心力により投射材2を投射する(以下「投射材」を「ショット」ともいう)。
【0017】
図3乃至
図5に示すように、各ブレード3の投射面3aは、投射面3aの半径方向内側部分を構成する第1部分3bと、第1部分3bの半径方向外側に位置して投射面3aの外側部分を構成する第2部分3cと、を有する。ブレード3の第2部分3cは、第1部分3bに対して屈曲部若しくは湾曲部を介して第1部分3bに一体に設けられる。ここで説明するブレード3の例では、第1部分3bと第2部分3cが湾曲部3dを介して設けられる。また、ここで説明する形状は、ブレード3の回転軸に直交する断面における形状である。
【0018】
図5に示すように、ブレード3の第1部分3bは、その外側3eがその内側3fに比べて回転方向R1の後側に傾斜して形成される。回転方向R1は、ブレード3及び後述の側板ユニット10等の回転方向である。換言すると、ブレード3の第1部分3bは、回転中心を含む線(法線)に対して傾斜している。なお、ブレード3の第1部分3bは、直線状に形成されているが、湾曲形状でもよい。ただし、直線状の方が後述するショット集中化機能及び製作上を考慮すると有利である。
【0019】
ブレード3の第2部分3cは、第1部分3bを外側に延長した仮想線L1より回転方向R1の前側に位置するように形成されている。なお、ブレード3の第2部分3cは、湾曲形状を有して形成されているが、直線状に形成されていてもよい。ただし、湾曲形状の方が後述するショット加速化機能及び製作上で有利である。また、ブレード3において、湾曲部3dが第2部分3cの湾曲形状と一体に形成されているがこれに限られるものではない。
【0020】
以上のように、ブレード3の第1部分3bが回転方向後方に傾斜されているので、投射材を集中させることができる。ブレード3の第1部分3bの傾斜角度θ1は、後述するように30〜50度が良好な効果を有する(
図5参照)。ここで傾斜角度は、ブレード3の回転軸を含んだ平面P1に対する角度を意味するものとする。
図5中、O1は、回転中心(ブレード3の回転軸)を示す。また、ブレード3の第1部分3bが傾斜して形成されているので投射材の投射速度が遅くなるが、第2部分3cの投射材を加速する機能によりこれを補うことができ、すなわち、ブレード3としての投射速度の低下を防止でき、投射速度を維持できる。尚、ブレード3の第2部分3cが第1部分3bを外側に延長した仮想線L1より回転方向の前側に位置するように形成されているので、この第2部分3cで投射材を加速することができる。よって、ブレード3は、第1部分3b及び第2部分3cにより、投射材の速度が遅くなることなく投射材の投射パターンを集中させることができ、投射効率を高めることができる。
【0021】
また、
図3に示すように、各ブレード3は、投射材を投射する投射面3aを有するブレード投射部3gと、このブレード投射部3gの両端縁部に位置して一対の取付部3hと、を有する。ここで、ブレード3の回転軸の軸方向と平行な方向を第1方向D1とした場合に、取付部3hは、ブレード投射部3gの第1方向D1の両端縁部のそれぞれに設けられている。この取付部3hは、このブレード投射部3gより厚み(ブレード投射部3gの厚み方向(例えば第2方向D2)の厚み)が大きく形成されるとともに、このブレード投射部3gと一体とされている(
図3(d)及び
図3(e)参照)。尚、第2方向D2は、
図3(e)で示される上面図(平面図)において第1方向D1に直交する方向である。
【0022】
また、ブレード3の取付部3hは、少なくともその外側部分3iの、ブレード3の回転軸方向に直交する平面が、ストレート形状となるように形成されている。すなわち、ブレード投射部3gは、上述したような湾曲形状又は屈曲形状を有するが、取付部3hの外側部分の大部分(後述する内側部分以外の大部分)は、湾曲形状や屈曲形状を有さないストレート形状とされている。
図3において、符号3h3は、取付部3hのストレート形状とされている部分を示している。
【0023】
以上のように、ブレード3の取付部3hがストレート形状とされているので、後述する側板ユニット10への取り付け作業や、側板ユニット10からの取り外し作業が容易となる。このため、ブレード3において、上述のような投射効率を高める第1部分3b及び第2部分3cを有する投射面3aを備えたブレード投射部3g(ブレード3)を側板ユニット10に対しての交換を容易にできる。
【0024】
また、ブレード3の取付部3hは、半径方向の内側部分に、係合部3jを有する。係合部3jは、ブレード3の回転軸方向に直行する平面内における形状が、上述のストレート形状から突出するように形成される(
図3(b)及び
図3(d)参照)。さらに、一対の取付部3hのD1方向の外側には、当接部3kが複数(ここでは各2個)設けられている。当接部3kは、取付部3hの外側面3mから突出するように形成されている。ブレードが側板ユニット10に取り付けられた状態では、当接部3kが側板11に設けられた溝部(ガイド溝部13)に当接して適切な位置に取り付けられる。
【0025】
ブレード3は、係合部3jを有するので、側板ユニット10の所定位置に正確に取り付けられることを可能として、良好な投射性能を発揮できる。また、ブレード3の取付部3hの外側面3mが側板11の溝部に直接当接せずに、当接部3kが溝部に当接するようにすることにより、ブレード3を側板ユニット10に取り付ける際にスムーズに取り付けることが可能である。
【0026】
ブレード投射部3g及び取付部3hは、一対の取付部3hの対向する内面3h1の間隔L3が、半径方向の内側に比べて外側に向けて漸次小さくなるように形成されている。すなわち、一対の取付部3hの対向する内面3h1は、若干傾斜している。すなわち、内面3h1は、互いに傾斜しており、また、外面3h2に対しても傾斜している。一対の取付部3hの外面3h2は、ほぼ平行である。外面3h2は、側板11の主面に対して平行である。ブレード投射部3gの
図3(a)に示す正面図における両端縁部3g1の間隔L3、すなわち、両端縁部3g1の第1方向D1の間隔L3は、半径方向の内側に比べて外側に向けて漸次小さくなるように形成されている。
【0027】
このように、ブレード3は、ブレード投射部3g及び取付部3hを有するので、遠心投射機1内において半径方向の外側に向かうにつれて第1方向D1に投射材群が広がってしまうことを防止する。すなわち、ブレード3は、投射材の投射パターンを集中させることに寄与し、上述の第1部分3b及び第2部分3cの形状等と相性がよく、相乗効果で投射パターンを集中させることができる。尚、本発明のブレードは、内面3h1及び両端縁部3g1が傾斜に限定されるものではなく、平行であってもその他の効果を有するものである。
【0028】
また、ブレード3の第2部分3cは、ブレード3の回転中心と第2部分3cの外側端部付近の一点とを結ぶ仮想線が法線と一致するように形成されるので、上述の投射材の加速機能を発揮する。ここでは、ブレード3の回転中心と第2部分3cの外側端部3nとを結ぶ仮想線L2が法線と一致するように形成されている(
図5(a)等参照)。
【0029】
上述の構成とされたブレード3の第2部分3cは、投射材の投射速度を、法線と一致するように形成されたフラットな投射面を有する場合の投射速度とほぼ同等の速度にすることを可能とする。すなわち、ブレード3は、投射速度が遅くなることなく投射パターンを集中させることができ、投射効率を高めることができる。
【0030】
尚、ブレード3においては、フラットな投射面を有する場合の投射速度とほぼ同等な速度にするために、仮想線L2が法線と一致するように形成されているが、これに限られるものではない。すなわち、加速機能を発揮するという観点で考えれば、ブレード3において、仮想線L2が法線より回転方向前側に傾斜してもよい。換言すると、ブレード3の回転中心O1と第2部分3cの外側端部より半径方向内側を結ぶ仮想線が法線と一致するように形成されていてもよい。
【0031】
ブレード投射部3gの内側の端部3pは、内側に向けて先細り状に形成され、各ブレード3間の内側の端部3p間の距離を大きくすることにより、回転する各ブレード3間に導かれる投射材の量を増加させるガイド部として機能する。すなわち、ガイド部としての端部3pは、各ブレード3間に導かれる投射材の量を増加させる。換言すると、端部が先細り状に形成されない場合(
図5(a)及び
図5(b)に破線B1で示す場合)は、その部分に衝突した投射材が跳ね返ることになるが、先細り状に形成された端部3pを採用した場合は、ブレードの端部が邪魔にならず内部に入ってくるという効果があり、各ブレード3間に導かれる投射材の量を増加させる。
【0032】
後述のように本発明者らは、シミュレーション及び実験を繰り返したが、ブレード投射部3gの内側の端部が先細り状に形成されず厚みが厚い場合(
図5(a)及び
図5(b)に破線B1で示す場合)には、その部分(厚みが厚い内側の端部の部分)で中心側に向けて投射材が跳ね返ることがわかった。上述したブレード3のように、ブレード投射部3gの内側の端部3pが先細り状に形成されることにより、ブレード3間の内側の端部3p間の距離L4を大きくできる。すなわち、破線B1で示す場合の端部間の距離L5に比べて、距離L4は大きくできる。破線B1は、先細り状に対する比較例を示している。距離L4に示すように、先細り形状により、回転する各ブレード3間に導かれる投射材の量を増加させることができる。それとともに、中心側に向けての投射材の跳ね返りも減らすことができる。よって、投射パターンを良好にすることができる。
【0033】
ブレード投射部3gは、投射面3aの反対側に設けられた投射背面3qに形成される隆起部3rを有する。ブレード投射部3gは、ブレード投射部3gの隆起部3r及び内側の端部3sの間に設けられる、湾曲面3tを有する。尚、ここでは、投影背面3qには、端部3sから先細り形成部3uと平面部3vを介して湾曲面3tが形成されている。先細り形成部3uは、上述した第1部分3bとともに、上述した先細り状の端部3pを形成している。また、ブレード投射部3gの隆起部3r及び外側の端部3wの間に、湾曲面3xが形成される。この湾曲面3xには、後述のように、側板ユニット10の結合部材12が配置可能である。尚、先細り形成部3uは、ここでは平面形状に形成したが、湾曲形状に形成してもよく、さらに、平面部3vを介さずに湾曲面3tの一部として形成してもよい。
【0034】
ブレード3の、上述した半径方向内側の湾曲面3tは、投射材2を次のブレード3(次に回転して来るブレード3)の投射面3a側に滑らかに導くことを可能とする。これにより、湾曲面3tを形成した隆起部3rの裏に結合部材(ステーボルト)12を配置させることを可能とし、結合部材(ステーボルト)12にぶつかった投射材が中心(ブレード3の回転中心)側に戻ることを防止する。よって、このブレード3及び側板ユニット10を備える遠心投射機1は、投射パターンを良好にすることができる。
【0035】
また、
図5及び
図6に示すように、本発明の実施形態による遠心投射機1は、上述した複数のブレード3を取り付けるための側板ユニット10を備える。側板ユニット10は、一対の側板11と、この一対の側板11を所定の距離を有した状態で結合させる結合部材12とを有する。結合部材12は、一対の側板11に形成された穴11aに入れて固定される。例えば、かしめや、ねじ止めにより固定される。結合部材12は、例えば、ステーボルトと呼ばれる部材である。
【0036】
一対の側板11の互いに対向する面11bには、ガイド溝部13が形成される。また、側板11は、ドーナツ状(円環状)の部材であり、互いに対向する面11bの内側には、テーパー部11cが設けられる。ガイド溝部13は、その外側13aがその内側13bに比べて回転方向の後側に位置するように傾斜して形成されている。ここで説明する形状は、ブレード3及び側板ユニット10の回転軸(回転中心)に直交する断面における形状である。尚、ガイド溝部13は、ブレード3の取付部3hに対応しており、ブレード3の取付部3hがスライドされて挿入されるので、ブレード3が側板ユニット10に取り付けられる。
【0037】
以上のような側板ユニット10は、上述したような投射パターンを集中させることができるブレード3をその性能を発揮した状態で確実に取り付けることを可能とする。また、ブレード3の交換も容易にできる。
【0038】
側板ユニット10の側板11のガイド溝部13は、少なくともその外側部分13cが、ストレート形状に形成されている。また、ガイド溝部13は、その内側部分13dが、ストレート形状よりも幅広く形成される。ガイド溝部13の内側部分13dは、ブレード3の取付部3hの係合部3jと係合して、ブレード3(取付部3h)の位置を規制する。また、外側部分13cは、ガイド溝部13のストレート形状とされている部分を示している。このガイド溝部13のストレート形状部分13cは、取付部3hのストレート形状の部分3h3と対応している。そして、このストレート形状部分13cの仮想中心線L6は、回転方向後方に傾斜されている(
図6参照)。傾斜角度θ2は、ブレードの傾斜角度に近接した角度に設定されるため、30〜50度が良好な効果を有する。ここで、傾斜角度は、ブレード3の回転軸を含んだ平面P2に対する角度を意味するものとする。
【0039】
側板11のガイド溝部13の外側部分13cがストレート形状とされているので、ブレード3の交換を容易にできる。すなわち、上述のように投射材の集中化機能及び加速化機能を実現するブレード3を適切に取り付けることができる。すなわち、ブレード投射部3gの投射面3aには、上述したように第1部分3b及び第2部分3cが形成されているが、取付部3h及びガイド溝部13は、ストレート形状であるので、ブレード3の取付け及び取り外しを簡単かつ滑らかに行うことができる。
【0040】
また、ブレード3の取付部3hの係合部3jが、側板11のガイド溝部13の内側部分13dに係合可能となっているので、ブレード3を適切な位置に固定することができる。
【0041】
側板ユニット10の結合部材12は、ブレード3の数と同じ数だけ設けられる。そして、各結合部材12は、各ブレード3間に配置される。それとともに、隣り合うブレード3の投射面3aと、隣り合うブレード3の投射背面3qとの中間位置より投射背面側3qに近い位置に配置される。なお、中間位置は、例えば、O1を中心として、結合部材12の中心位置を通る仮想円弧L7と、上述の仮想線L6との交点K1、K2を算出する(
図6参照)。そして、円弧L7上であって、この交点K1、K2の中間に位置する点K3を「中間位置」とすればよい。この場合、結合部材12は、中間位置K3より投射背面3q側に配置される。「中間位置」はこれに限られるものではなく、円弧L7と投射面3aの交点と、円弧L7と投射背面3qの交点とを算出し、円弧L7上であって、この交点の中間に位置する点を用いてもよい。
【0042】
図5に示すように、回転軸方向に直交する平面内における断面において、ブレード投射部3gの内側の端部3pの先端から、ブレード投射部3gの投射背面に形成された隆起部3rに接する(隆起部3rの頂部付近に接する)ように結ぶ仮想線を仮想線L8とする。この仮想線L8に対して、結合部材12の断面の少なくとも一部がブレード3の投射背面3q側に位置するように、結合部材12がブレード3の投射背面3q側にT近い位置に配置されることで、投射パターンを良好にできる。ここでは、さらに、この仮想線L8に対して、結合部材12の断面のうち、ブレード3の投射背面3q側にある部分の断面の面積が半分以上となるように、結合部材12がブレード3の投射背面3q側に近い位置に配置されているので、さらに投射パターンを良好にできる。
【0043】
以上のように構成された側板ユニット10は、結合部材(ステーボルト)12にぶつかった投射材が中心側に戻ることを防止する。よって、このブレード3及び側板ユニット10を備える遠心投射機1は、投射パターンを良好にすることができる。
【0044】
ところで、上述したブレード3の個数は、6個である。これは、8個や12個設ける場合に比べて、各ブレード間の内側の端部間の距離を大きくすることができ、各ブレードの端部において中心側に向けて投射材の跳ね返りを小さくでき、すなわち、投射パターンを良好にすることができる。同数の結合部材(ステーボルト)の数を考慮してもちょうどよい。すなわち、結合部材12は、上述したようにブレード3と同数設けられるが、結合部材12が増えすぎると、結合部材で跳ね返った投射材が中心側に戻る可能性が増えてしまう。これに対してブレード及び結合部材を6個設けた場合には、結合部材の影響を低減して、投射パターンを良好にすることができる。また、個数を減らしすぎ例えば4個にすると、ブレードの摩耗が問題となり、ブレードの交換頻度が多くなり、メンテナンス工数が増加してしまう。また、各ブレードに供給される投射材(後述のコントロールケージの開口窓21aから供給される投射材)の時間差が大きくなると、ブレードの半径方向の大きさが大きくなり、ブレード重量が増加するという問題もある。以上のことに鑑みれば、ブレードの個数は6〜8個が適切であり、さらに本発明においては6個が最適である。
【0045】
図6に示すように、側板11のガイド溝部13には、側板ユニット10を回転駆動側に固定するためのボルト15を取り付けるための凹部16が設けられている。ここで回転駆動側とは、回転駆動部に回転される回転軸14に固定されるハブ18である(
図2及び
図7参照)。この凹部16にボルト15が挿通される挿通孔17が形成されている。一対の側板11は、互いに対向する面の反対側の面(外側の面)の内周部に厚肉部11dが形成され、挿通孔17は、厚肉部11dに位置するように設けられている。
【0046】
側板11には凹部16及び挿通孔17が設けられているので、側板ユニット10の回転軸14側(ハブ18)への固定及び取外しが側板ユニット10側、すなわち本体ケース20側から行うことができる。ガイド溝部13にボルト15の取付け用の凹部16が設けられていることにより、側板ユニット10のガイド溝部13にブレード3が取り付けられた後には、このボルト15の頭部15aがブレード3の取付部3hに隠される。これにより、ボルト15の頭部15aが摩耗しない。また、側板ユニット10の回転駆動側(回転軸14、ハブ18)への固定及び取外しが側板ユニット10側から行うことができる。側板ユニット10の回転駆動側であるハブ18への取付けは、従来ハブ18側(回転軸側)から行われることが多く、不便であった。ここでは、側板ユニット10の回転駆動側への固定が側板ユニット10側から行うことができるので、取付作業が容易となり、利便性が向上した。
【0047】
一対の側板11は、結合部材12に直交する仮想平面P3に対して、面対称になるように形成されている(
図6(b)参照)。すなわち、上述したボルト15の取付け用の凹部16及び挿通孔17は、一対の側板11の両方に設けられている。そして、側板11のハブ18への取付け側を変えることにより、ガイド溝部13の向きが反対側になり、ブレード3の向きが反対側になる。これにより、回転軸14及びブレード3を逆回転させることが可能となる。これにより、時計回り及び反対周りを希望するそれぞれのユーザーに対して同じ製品(被処理品)を供給することができ、すなわち汎用性を高めることができる。
【0048】
次に、
図1乃至
図8を参照して、遠心投射機1のさらに具体的な構成について説明する。遠心投射機1は、コントロールケージ21と、ディストリビュータ22と、を備える。さらに、遠心投射機1は、本体ケース20、軸受ユニット23、ハブ18、ライナ26、蓋27、センタプレート28、前面カバー29、ブラケット30、シール31、導入筒(ホッパともいう)32、導入筒押え33等を備える。
【0049】
コントロールケージ21は、投射材の投射方向や分布形状をコントロールする機能を有する。側板ユニット10を構成する側板11は、ドーナツ状(円環状)の断面を有している。コントロールケージ21は、側板11の内側(円環形状の内径の内側)に配置されており、固定されている。コントロールケージ21には、開口窓21aが設けられている。この開口窓21aから投射材がブレード3に向かって放出される。
【0050】
ブラケット30は、コントロールケージ21を補助する補助ブラケットとして機能する。すなわち、コントロールケージ21は、その回転軸と反対側(導入筒32側)に、その回転軸と反対側(導入筒32側)からディストリビュータ22を挿入可能な挿入用開口部21bを有する。また、コントロールケージ21は、その回転軸側に、ディストリビュータ22の回転軸側で且つ半径方向の外側部分をカバーするカバー部21cを有する。尚、カバー部21cの内側には、ディストリビュータ22をセンタプレート28及びハブ18に固定するためのボルト22cを取り付け可能な程度の開口21dが設けられる。そして、ブラケット30は、ディストリビュータ22が取り付けられた後に導入筒32とともにコントロールケージ21側に固定されることで、コントロールケージ21及び導入筒32の間の隙間を塞いで投射材2がこの隙間から外部に放出されることを防止する。
【0051】
以上のように、コントロールケージ21及びブラケット30は、ディストリビュータ22をコントロールケージ21内に配置させる際に、導入筒32側(回転軸14と反対側)から挿入させることを可能とする。これにより、コントロールケージ21に、ディストリビュータ22の回転軸側で且つ半径方向の外側部分をカバーするカバー部21cを設けることを可能とする。このカバー部21cは、回転軸側におけるディストリビュータ22及びコントロールケージ21の隙間を小さくすることを可能とし、これにより、この隙間からの投射材の漏れ出しを最小限に抑えることができ、投射材の投射効率を向上させることができる。また、コントロールケージ21及びブラケット30は、ディストリビュータ22の交換やメンテナンスを行う際の、作業時間を大幅に短縮する。
【0052】
ディストリビュータ22は、導入筒32から供給された投射材を、掻き混ぜながら遠心力で加速してコントロールケージ21の開口窓21a(開口部)を介してブレード3側に供給する。ディストリビュータ22には、例えば周方向にほぼ等間隔の開口が設けられている。ディストリビュータ22は、コントロールケージ21の内部で回転可能とされている。
【0053】
ディストリビュータ22の内部には、取付けボルト22c用の孔部22bを形成するほぼ三角錐の突起部22aが形成されている。ところで、回転軸14とハブ18とは、キー溝が形成され、図示しないキーにより一緒に回転できるよう連結されている。ボルト(連結部材)22dは、センタプレート28とハブ18とを連結する。ボルト(連結部材)22cは、センタプレート28を挟んだ状態で、回転軸14とディストリビュータ22とを連結する。ハブ18は、回転軸14から伝達された回転力を、側板ユニット10及びブレード3に伝達する機能を有する。センタプレート28は、側板ユニット10の回転軸側の開口を塞いで投射材の漏れ出しを防ぐ機能を有するプレート部材である。半径方向の位置関係としては、側板ユニット10の内側にコントロールケージ21が配置され、コントロールケージ21の内側にディストリビュータ22が配置される。上述のような回転力を伝達する部材を有することにより、ブレード3、側板ユニット10、ハブ18、センタプレート28及びディストリビュータ22は、回転軸14に回転駆動される。
【0054】
軸受ユニット23は、中心に回転軸14を有する。この回転軸14を2個のベアリング25で保持している。回転軸14には、モータからの動力をベルトで伝達するためのプーリと、側板ユニット10に伝達するためのハブ18とが取付けられる。ハブ18は、回転軸14と側板11(側板ユニット10)を連結する機能を有する。
【0055】
側板ユニット10は、6枚のブレード3を取り付けることができ、ブレード3とともに回転される。ブレード3は、側板ユニット10に取り付けられた状態で回転するので、投射材(ショット)を投射する。以上のように、遠心投射機1は、集中性能(投射材2の集中性能)を有するブレード3と、ブレード3を着脱可能とされる側板11と、コントロールケージ21と、ディストリビュータ22とを有するので、投射パターンを集中させ、狭い投射範囲で投射効率を高めることができる。遠心投射機1は、集中性能を有するブレード3上で投射材が集中させられ、集中させられた投射材が放出される。このとき、第1部分3bで集中させられた投射材がショット加速機能を有する第2部分3cから放出されるので、投射効率が良くなる。
【0056】
本体ケース20は、各構成部品を組み付けるためのものである。ライナ26は、本体ケース20を投射材から保護する。ライナ26には、サイドライナ26aと、上部ライナ26bとが用いられる。蓋27は、本体ケース20の上部開口20aを開閉する。センタプレート28は、ブレード3の落下を防ぐとともに、回転軸14の軸端部を保護する機能を有する。前面カバー29は、メンテナンス時に取外し可能となっている。
【0057】
ブラケット30は、内部がテーパー状に開口されており、導入筒32から供給された投射材(ショット)をディストリビュータ22の内部に供給する。シール31は、導入筒32とブラケット30との隙間から投射材が漏れ出すことを防ぐ。導入筒32は、投射材を遠心投射機1内部に供給する。導入筒押え33は、遠心投射機1本体に導入筒32を固定する。導入筒32には、耐摩耗鋳物を用いることができ、その場合には、投射材による内面の摩耗を低減して、交換頻度を少なくできる。耐摩耗鋳物より耐摩耗性が低い材料を用いても良いが内面の摩耗による投射材の流れが悪くなることを防ぐため、適切なタイミングで部品交換を行う必要がある。
【0058】
次に、遠心投射機1の取付け手順を説明する。また、取外し手順は、この逆を行えばよい。軸受ユニット23は、本体ケース20にボルト等で固定される。本体ケース20の内面の回転軸14に対して円周方向には、投射材による摩耗を防ぐために、ライナ26が取り付けられる。
【0059】
軸受ユニット23の回転軸14に、ハブ18が差し込まれる。ハブ18には、側板11が遠心投射機1の内面からボルト15で固定される。ここで一対の側板11は、結合部材12により、一定の距離を有した状態で固定されている。換言すると、ハブ18には、一対の側板11が結合部材12により結合された状態である側板ユニット10が固定される。
【0060】
ブレード3は、一対の側板11のガイド溝部13に内側から外側に向けて挿入され、センタプレート28で固定される。遠心力で外側に力が働くので、センタプレート28で固定されないように構成してもよい。このとき、ブレード3の係合部3jが、ガイド溝部13の内側部分13dに係合するので、ブレード3の位置が適切な位置とされる。
【0061】
前面カバー29は、本体ケース20にボルト等で固定される。センタプレート28は、外周部でブレード3の内径部分を保持した状態でハブ18にボルト15で固定される。コントロールケージ21を側板11の内側へ挿入後に、ディストリビュータ22をその内側に入れ、ディストリビュータ22を回転軸14にボルト22cで固定する。
【0062】
コントロールケージ21は、適切な方向に投射材を投射できるように、開口部21aの位置を調整され、ブラケット30、シール31、導入筒32の順で取付け、導入筒押え33で押し付けながら固定する。
【0063】
そして、複数のブレード3は、コントロールケージ21の外側に、隙間を介して側板11に取り付けられている。また、コントロールケージ21の内側には、隙間を介してディストリビュータ22が設けられる。そして、ブレード3及び側板11と、ディストリビュータ22とは、同じ回転中心O1で回転可能とされている。ブレード3の第1部分3bは、ショット受取部としても機能する。また、第2部分3cは、ショット加速部としても機能する。
【0064】
次に、上述した本発明の実施形態による遠心投射機1による投射方法と、遠心投射機1により投射される投射材の動きを説明する。遠心投射機1による投射方法は、コントロールケージ21からのショット分散放出工程と、ブレード3上でのショット集中工程と、ブレード3からのショット放出工程とを有する。すなわち、分散放出工程では、コントロールケージ21の開口窓21aから投射材をブレード3に向けて分散放出する。集中工程では、分散放出された投射材をブレード3上で集中させる。放出工程では、ブレード上で集中された投射材をブレード3から放出する。
【0065】
ここで、分散放出とは、投射材がバラバラに分けて散らされて放出されることをいう。まとまった投射材群として放出されるのではなく、バラバラに多数個放出されることをいう。また、「投射材を集中させる」とは、バラバラにブレード3上に放出された多数の投射材の密度を高くすることをいう。「ブレード3から放出する」とは、密度の高くなった投射材群をブレード3から遠心投射機1の外に放出することをいう。また、ブレード3は、遠心力によって、コントロールケージから受けた投射材を加速させる機能を有する。
【0066】
投射材の動きについて、遠心投射機1の部品の動作とともに説明する。先ず、ディストリビュータ22、ブレード3、側板ユニット10等が回転される。次いで、ディストリビュータ22の内部に投射材2が供給される。供給された投射材2は、回転されたディストリビュータ22の開口から遠心力でコントロールケージ21とディストリビュータ22との間の隙間へ供給される。供給された投射材2は、その隙間中を回転方向に移動する。隙間中を移動された投射材2は、コントロールケージ21の開口窓21aから外側に飛び出す。開口窓21aから飛び出した投射材2は、ショット受取部として機能する第1部分3bで加速及び集中され、ショット加速部として機能する第2部分3cでさらに加速され、ブレード3の外側から遠心力で投射される。
【0067】
ここで、上述した本発明の実施形態による遠心投射機1のブレード3の利点について説明する。これと比較する従来のブレードは、第1部分が平面P1に対して傾斜していないとともに第2部分が設けられていない。すなわち、従来のブレードは、ほぼフラットな面(
図5(a)に示された平面P1上の面)を有する投射面を有し、この面内に法線と回転軸とが含まれる。従来のブレードでは、時間差を有してコントロールケージの開口窓から出た投射材が、その時間差を有した状態でブレード先端から投射される。そのため、広い投射パターンとなる。
【0068】
これに対し、上述した遠心投射機1のブレード3では、第1部分3bが平面P1に対して後傾になっているので、次のような利点がある。この利点を、
図9(a)〜(g)を用いて投射材2の挙動とともに説明する。
図9(a)〜(g)において、投射材2a〜2cは、大量に放出される投射材2の一部を、その挙動を分かり易く説明するために、選択して示している(
図9(h)〜(n)に示す投射材92a〜92cも同様である)。上述した後傾のブレード3では、最後に開口窓21aから出た投射材2cが、最初にブレード3に乗り、加速されながらブレード外周に進む。最後及び最初の間の中間で開口窓21aを出た投射材2bが、ブレード3に乗るときには、最初にブレード3に乗った投射材2cがその付近に存在する。また、これら最後及び中間の投射材2c,2bが加速されるので、最初に開口窓21aを出た投射材2aがブレードに乗るときに、これら最後及び中間の投射材2c,2bがその付近に存在する。よって、上述したブレード3を用いる場合には、時間差を有してコントロールケージ21の開口窓21aから供給された投射材が時間差をほぼ有さない状態でブレード先端から投射されることで、投射パターンを狭くすることができる。
【0069】
ところで、上述の
図9(a)〜(g)で説明した後傾のブレード3と比較するために、ブレード3とは逆に平面P1に対して前傾とされたブレード93(比較例)を用いた場合の投射材92の挙動を
図9(h)〜(n)を用いて説明する。前傾のブレード93は、最初に開口窓から出た投射材92aと、最後に開口窓から出た投射材92cとを結んだ供給される投射材の分散エリアが、ブレード93にほぼ平行となる。そのため、最初に開口窓から出た投射材92a、最初及び最後の間の中間で開口窓を出た投射材92b、最後に開口窓から出た投射材92cが、ほぼ同時にブレード93に乗ることになり、投射材92bが投射材92aの位置までブレード93上を移動する時間分だけ投射パターンが広がってしまう。
【0070】
上述したブレード3の第1部分3bの構成及びメリットは、本発明者らにより、ブレードに供給される投射材の動きを鋭意検討し、シミュレーションと実験とを繰り返すことにより、見出されたものである。また、本発明者らは、第1部分3bとは逆に、平面P1に対して前傾とされたブレードの挙動についても鋭意検討し、これらを比較して、上述のような構成を決定したのである。さらに、本発明者らは、次に説明する第2部分3cのメリット及び傾斜角度θ1の適切範囲、並びに上述したブレード3の枚数についても、シミュレーションと実験とを繰り返すことにより、有利で実現可能なものとすることに成功し、さらに、ブレードが消耗部品であることに鑑み、量産可能で、実現可能なものとすることができた。
【0071】
次に、第2部分3cの利点について、さらに詳しく説明する。上述したように、第1部分3bを有するメリットを考慮すれば、投射パターンを集中させる後傾面のみのブレードでも実用可能である。しかし、回転数に対する投射速度は、後ろに傾くほど低くなるため、投射速度を早くするためには回転数を上げる必要がある。回転数の上昇は、投射材を投射していない時の消費電力の上昇や騒音の上昇などの問題が発生する。そこで、ショット受取部としての第1部分3bの外側に例えば屈曲部を設けるなどして、実質的にブレード投射を行う第2部分3cを受取部である第1部分3bより前傾としたブレード3(正確には
図3及び
図4を用いて説明したブレード3)のような構成とすることで、投射電力効率を変化させず、投射パターンの集中を実現した。以上のようにブレード3の第2部分3cにより、回転数に対する投射速度を上げることができる。
【0072】
また、ブレード3の第1部分3bの傾斜角度θ1について、さらに詳しく説明する。上述したように、第1部分3bの後傾角度、すなわち、平面P1に対する傾斜角度θ1は、30〜50度が良好である。上述したように、ブレード3では、連続的に供給される投射材を第1部分3bで集めることにより投射パターンを集中させているが、30度より小さいとブレードに乗る時間差が短くなり、分布の集中度が低くなる。50度より大きいと、時間差が大きくなり過ぎて、ブレード根元付近でブレードに乗った投射材がブレード先端部で受ける投射材を追い越して、先に投射されるという現象が発生し、効果が低下する。また、第1部分3bの長さは、後傾にするほど長くなるため、ブレード重量も重くなり、部品コストの増加や作業性の低下につながる。以上の理由から適切な角度範囲が決定される。
【0073】
ところで、上述の投射面3aは、ここで説明した、投射材2が移動する面でもある。投射背面3qは、投射材2が移動する面の反対の面でもある。ブレード投射部3gは、この投射面3a及び投射背面3qに挟まれた部分を少なくとも有しているといえる。取付部3hは、ブレード3を側板11に取り付けて固定するための部材である。取付部3h及びガイド溝13の形状は、上述に限られるものではないが、ブレード3が側板ユニット10に対して機械的に取付け及び取外し可能な構成とされる。側板ユニット10とブレード3の組み合わせは、例えば上述したように遠心力により固定されるのがよい。
【0074】
以上のように構成された遠心投射機1及びこれに用いられるブレード3は、投射材の投射パターンを集中させることができ、狭い投射範囲に対する投射効率を高めることができる。すなわち、投射パターンが集中するので、被処理品が小さい場合に、製品に当たらないショット数が低減し、投射効率が良くなる。
【0075】
このように、遠心投射機1及びブレード3の構成は、各ブレードに供給される投射材の全体の動きを鋭意検討することにより初めて最適な構成を特定することが可能となった。従来の取り組みでは、投射材一粒ずつの運動を検討して加速特性を上げることが考えられた。今回の構成(遠心投射機1の構成)により、投射材全体の動きを集中させることを可能とし、投射パターンが集中される。そのため、効率の良い投射を実現できる。
【0076】
また、上述した側板ユニット10及びこれを用いた遠心投射機1は、投射材の投射パターンを集中させることができ、狭い投射範囲に対する投射効率を高めることができるとともに次の効果を有する。すなわち、上述のような作用効果を有するブレード3を容易かつ確実に取り付け及び交換可能とする。
【0077】
尚、本発明の実施形態による遠心投射機1に用いられるブレードは、上述した
図3及び
図4に示すブレード3に限られるものではない。少なくとも上述した各効果を有する構成の1つ以上を有していればよい。具体的に、例えば
図10及び
図11に示すブレード7も遠心投射機1用のブレードとして用いることができる。尚、ブレード7は、上述したブレード3と比べて、隆起部3r及び隆起部3rを有さないことを除いて、ブレード3とほぼ同様の構成及び効果を備える。同様の構成や機能や効果を備える部分には、同じ名称及び類似した符号(「3」及び「7」に続く記号が共通)を用いて詳細な説明は省略する。
【0078】
図10及び
図11に示すように、ブレード7の投射面7aは、投射面7aの半径方向内側部分の第1部分7bと、第1部分7bの半径方向外側に位置して投射面7aの外側部分である第2部分7cと、を有する。ブレード7の第2部分7cは、第1部分7bに対して屈曲部若しくは湾曲部を介して第1部分7bに一体に設けられる。尚、ここで説明する例では、湾曲部7dを介して設けられる。
【0079】
ブレード7の第1部分7bは、上述した第1部分3bと同様に、その半径方向外側がその内側に比べて回転方向R1の後ろに位置するように傾斜して形成される。第2部分7cは、上述した第2部分3cと同様に、第1部分7bを外側に延長した仮想線より回転方向の前側に位置するように形成されている。
【0080】
また、各ブレード7は、上述したブレード3と同様に、投射材を投射する投射面7aを有するブレード投射部7gと、このブレード投射部7gの両端縁部に位置して一対の取付部7hとを有する。取付部7hは、少なくともその外側部分7iが、ストレート形状に形成されている。ブレード投射部7gは、湾曲形状又は屈曲形状を有するが、取付部7hの外側部分の大部分(後述する内側部分以外の大部分)は、ストレート形状部分7h3とされている。
【0081】
ブレード7の取付部7hは、その内側部分に、係合部7jを有する。係合部7jは、上述のストレート形状から突出するように形成される。さらに、一対の取付部7hの外側には、当接部7kが複数設けられている。当接部7kは、取付部7hの外側面7mから突出するように形成されている。尚、ブレード7では、係合部7jの外面全体が当接部7kとなっている。ブレード投射部7g及び取付部7hは、一対の取付部7hの対向する内面7h1の間隔L9が、半径方向の内側(中心側)に比べて外側に向けて漸次小さくなるように形成されている。取付部7hの外面7h2や、ブレード投射部7gの両端縁部7g1の関係も、上述したブレード3で説明したのと同様である。
【0082】
また、ブレード7の第2部分7cは、上述したブレード3と同様に、ブレード7の回転中心と第2部分7cの外側端部付近の一点とを結ぶ仮想線が法線と一致するように形成されることで、上述の投射材の加速機能を発揮する。ここでは、ブレード7の回転中心と第2部分7cの外側端部7nとを結ぶ仮想線(ブレード3を用いて
図5に示した仮想線L2と同様)が法線と一致するように形成されている。
【0083】
ブレード7のブレード投射部7gの内側の端部7pは、上述したブレード3と同様に、内側に向けて先細り状に形成され、各ブレード7間の内側の端部7p間の距離を大きくすることで、回転する各ブレード7間に導かれる投射材の量を増加させるガイド部として機能する。
【0084】
以上のように、ブレード7は、投射背面7qに隆起部やそれに付随する構成を有しないことを除いて、ブレード3とほぼ同様の構成を有している。投射背面7qは、先細り形成部7uを除いて湾曲形状(屈曲部を有さない湾曲形状)に形成されている。先細り形成部7uは、上述した第1部分7bとともに、上述した先細り状の端部7pを形成している。尚、先細り形成部7uは、ここでは平面形状に形成したが、湾曲形状に形成してもよく、すなわち、投射背面7qに形成される湾曲面の一部となるように形成してもよい。
【0085】
以上のように構成されたブレード7及びこれを用いた遠心投射機1は、ブレード3と同様に、投射材の投射パターンを集中させることができ、狭い投射範囲に対する投射効率を高めることができる。また、ブレード7は、ブレード3と同様の構成を有する部分については、その構成から得られる効果を奏する。
【0086】
また、上述したようなブレード3,7自体の効果は、例えば側板ユニット、ディストリビュータ、コントロールケージ等の他の部品が上述した構成以外の場合にも発揮できるものである。例えば、このブレード3,7とともに用いられる側板は、上述した一対の側板に限られるものではなく、例えば、一枚の側板であってもよい。
【0087】
次に、
図12を参照して、遠心投射機1に用いられるコントロールケージの変形例について説明する。すなわち、上述したブレード3,7と同時に用いて相乗効果の得られるコントロールケージについて説明する。上述したコントロールケージ21は、例えば
図12(a)に示すように、長方形の開口窓21aを有するものである。遠心投射機1に用いられるコントロールケージは、これに限られるものではない。
【0088】
すなわち、遠心投射機1に用いられるコントロールケージは、例えば、四角若しくは三角の開口窓から選択された2つ以上の開口窓を有してもよい。また、四角若しくは三角の開口窓から選択された2つ以上の開口窓を有するとともにこれら開口窓のうちの全部若しくは一部がそれぞれ部分的に重なることで一体化された1つの開口窓を有していてもよい。ここで、四角には、矩形(長方形若しくは正方形)若しくは平行四辺形などが挙げられる。具体的に例えば、
図12(b)に示すコントロールケージ41も遠心投射機1用のコントロールケージとして用いることができる。
【0089】
図12(b)に示すコントロールケージ41は、2つの四角の開口窓41a,41bを有している。コントロールケージ41は、開口窓の構成を除き、上述したコントロールケージ21と同様の構成を備えるので、詳細な説明は省略する。
【0090】
ここで、ブレード3,7と同時に用いて相乗効果の得られるコントロールケージの一例である
図12(b)の利点について説明する。上述したコントロールケージからの投射材分散放出工程が、投射材が開口窓41a,41bのそれぞれから位相差を有した状態で供給される。これにより、投射パターンの合成が可能になり、被処理品の均一な処理が可能になり、処理に必要な総投射量の削減が可能となる。
【0091】
コントロールゲージの開口窓における位相差について詳細に説明する。コントロールケージの開口窓からは、連続で投射材が放出されている。ここで、
図12(b)に示すように、コントロールケージ41に2つの開口窓41a,41bが設けられ、円周方向の位置がずれている場合には、それぞれの投射にずれが発生することになる。すなわち、開口窓41a,41bの位置が円周方向にずれていることにより、第1の開口窓41aから出た投射材と、第2の開口窓41bから出た投射材とで、ブレードに供給される位置にずれが発生する。この投射のずれが、位相差となり、その結果として投射パターンの合成が行われる。すなわち、コントロールケージ41を用いる場合の遠心投射方法におけるショット分散放出工程では、2つの開口窓から投射材を放出させることで、分散放出する投射材に位相差(投射のずれ)を発生させる。
【0092】
このコントロールケージ41によるパターンの合成は、ブレード3,7以外のブレードでも行うことができる。しかし、元の投射パターンが広い場合には、それをずらして合成してもより広範囲な投射になるにすぎず、実際に適用することの利点はない。一般的に、元の分布(それぞれの開口部の分布)を狭くするため、開口窓を四角にする場合が多い。また、投射材がコントロールケージから位相差を有した状態で供給すること自体は、開口窓の形状を変更することでも実現可能である。例えば、コントロールケージの開口窓の形状を矩形(長方形若しくは正方形)にする場合が考えられる。これにより、コントロールケージからブレードへ投射材が供給されるタイミングがブレード幅方向で同時になる。その一方で、開口窓の形状を三角形などにすることで、ブレードへ投射材を供給するタイミングをブレード幅方向でずらす手法なども考えられる。本発明者達は、平板を処理する場合には、平行四辺形が好ましいことを見出した。以上のように、コントロールケージ41は、投射パターンを集中して狭くできるブレード3,7と相性がよい。すなわち、コントロールケージ41は、ブレード3,7で集中した投射パターンを合成することにより、被処理品の全範囲における投射量を上昇させることができる。
【0093】
すなわち、上述したブレード3,7と、コントロールケージ41等によるパターンの合成とにより、被処理品である製品に合わせた投射パターンを形成することができる。具体的に、ブレード上で投射材を集めることで投射パターンを集中させた後に、コントロールケージ41等の分布を合成する技術により任意に投射パターンを設定することを可能とし、製品の処理ムラや製品にあたらない投射材の割合を減少できる。
【0094】
コントロールケージ41を有する遠心投射機1は、投射効率を高めて、製品処理に必要な総投射量の低減を実現する。すなわち、例えば、投射材の加速効率を向上させても、投射された投射材のうちの製品に当たらないものや、必要以上に製品に当たる投射材の割合が多ければ、総投射量が増加してしまい、目的の処理を行うための効率はあまり上昇するとはいえない。製品によっては、投射した投射材の1/5程度しか製品の処理に寄与していない場合もあった。これらを向上させるブレード3,7及びコントロールケージ41を有する遠心投射機1は、飛躍的な効果を有する。
【0095】
ここで、
図13により、ブレード3,7及びコントロールケージ41のメリットを実験例を用いて説明する。
図13は、投射された投射材が製品(被処理品)のどの部分に全体の何%が投射されているかを示す図である。
図13は、製品に対する投射パターンを示しているともいえる。横軸は、製品の投射位置を示す。縦軸は、投射割合を示し、全体の何%かを示す。
【0096】
図13中、E3は、比較例の結果を示す。比較例では、上述したような従来のブレード、すなわちほぼフラットな面(平面P1上の面)を有する投射面を持つブレードと、開口窓を1つ有するコントロールケージを用いた結果である。E1は、実験例1の結果を示す。実験例1では、
図10及び
図11に示すブレード3と、開口窓を1つ有するコントロールケージ(例えば
図12(a))を用いた結果である。E2は、実験例2の結果を示す。実験例2では、ブレード3と、開口窓を2つ有するコントロールケージ(例えば
図12(b))を用いた結果である。尚、E1,E2,E3は、実験結果を示す。
【0097】
また、
図13中、W1は、製品(被処理品)の範囲、すなわち、製品の投射範囲を示す。Ra3は、比較例の被処理品の範囲内で最低の投射割合を示す。Ra1は、実験例1の被処理品の範囲内で最低の投射割合を示す。Ra2は、実験例2の被処理品の範囲内で最低の投射割合を示す。
【0098】
図13によれば、実験例1の投射パターンは、比較例の投射パターンに比較して、投射割合の最大値が高い半面、その他の部分の割合が低くなっており、投射が集中していることが確認できる。
【0099】
投射量が等しい場合、被処理品の処理時間は、もっとも低い投射割合に反比例して長くなる。製品の範囲がW1の場合には、Ra3>Ra1であるので、処理時間は実験例1より比較例の方が短くなる。実験例2のように投射パターンを合成した場合には、W1内でピークが2つになり全体として平坦な投射パターンに調整することができる。実験例2の場合は、Ra2>Ra3となり、処理時間は、比較例より実験例2の方が大幅に短くなる。尚、比較例は、分布が広いため例えば、開口窓を2つにしても全体的に低くなり、すなわち、被処理品に当たらないショットが増えて処理時間は更に増加する。また、例えば、W2で示すような被処理品の場合には、実験例1が最も投射効率が高くなり、処理時間が短くなることを意味している。
【0100】
W1の製品の場合には、上述したように、実験例2が一番優れている。このように、投射材が必要な量だけ必要な部分に投射されることが、処理時間を低減して、投射量を減らすことができることを意味している。これにより、投射に使用する電力を低減でき、さらに、投射材の循環量を減らすことでショット循環に使用する電力を低減でき、また、投射材の消耗も減少できる。さらに、製品に当たらない投射材が投射室(遠心投射機1を用いた表面処理装置の投射室)内のライナなどに当たることによる、投射材やライナの摩耗も減少できる。
【0101】
以上のように、複数の開口窓を有するコントロールケージと、上述した投射パターンの集中を可能とするブレード3,7は非常に相性がよい。そして、このような投射パターンの合成を可能とするコントロールケージと、ブレード3,7を有する場合には、投射材の投射パターンを集中させるとともに被処理品に適した投射パターンになるよう調整することを実現し、投射効率を高めることを実現する。すなわち、処理ムラや被処理品に当たらない投射材を低減し、投射材の総投射量を低減することができる。
【0102】
図13から、設定された処理条件で製品ごとに必要な投射量が決定される。理想的には処理面に均一にショットが投射されれば処理面の品質も均等で無駄な投射も発生しないといえる。しかし、現実は、投射パターンが均一ではないため、製品の場所により投射密度が異なり処理ムラが発生していた。また、製品にあたらないショットも多数存在し、製品や装置によって、投射したショットの20%以下しか製品処理の品質に寄与していないこともあった。これに対して、上述したブレード3,7及びコントロールケージ41を備える遠心投射機1及びこれを用いた遠心投射方法によれば、投射効率を高めることができる。
【0103】
次に、
図12を参照して、本発明の実施形態による遠心投射機1に用いられるコントロールケージの変形例や、コントロールケージを変えることによる作用効果について説明する。すなわち、上述したブレード3,7と同時に用いて相乗効果の得られるコントロールケージは、上述した
図12(a)、(b)以外にも、例えば、
図12(c)〜(f)に記載されたコントロールケージ42,43,44,45でもよい。以下、このコントロールケージ42〜45について説明するが、開口窓の構成を除き、上述したコントロールケージ21と同様の構成を備えるので、詳細な説明は省略する。
【0104】
図12(c)に示すコントロールケージ42は、2つの長方形の開口窓の一部が部分的に重なることで一体化された1つの開口窓42xを有する。開口窓42xは、窓を構成する長方形部分42a,42bを有する。例えばこの長方形部分42a,42bの大きさは、開口窓41a,41bと同じ大きさであるものとする。
図12(d)に示すコントロールケージ43は、平行四辺形の開口窓43aを有する。
【0105】
また、
図12(e)に示すコントロールケージ44は、長方形及び平行四辺形の開口窓で且つ3つの開口窓を有するとともにこれらの開口窓の一部が部分的に重なることで一体化された1つの開口窓44xを有する。開口窓44xは、窓を構成する長方形部分44aと、平行四辺形部分44bと、長方形部分44cとを有し、この順に位置するよう一体化されている。
図12(f)に示すコントロールケージ45は、五つ長方形の開口窓を有するとともにこれらの開口窓の一部が部分的に重なることで一体化された開口窓45xを有する。開口窓45xは、窓を構成する長方形部分45aと、長方形部分45eと、これらの間に位置する幅細の長方形部分45b,45c,45dとを有する。長方形部分45a,45eの大きさは、例えば長方形部分44a,44cとほぼ同じ大きさである。長方形部分45b,45c,45dを合わせた領域の位置・大きさは、例えば平行四辺形部分44bの位置・大きさとほぼ同じである。
【0106】
次に、
図12を参照して、本発明の実施形態による遠心投射機1に用いられるコントロールケージの変形例や、コントロールケージを変えることによる作用効果について
図12を用いて説明する。尚、
図12(a)〜
図12(f)は、筒形状を有するコントロールケージの側面図(側面に設けられた開口窓を示す図)であり、
図12(g)〜
図12(n)は、
図12(a)〜
図12(f)に示すコントロールケージの左側(導入筒側)から見たときのブレード等の回転方向が
図12中の矢印で示す場合、すなわち、各コントロールケージの窓を通過するブレードが
図12の紙面において下から上に向けて回転する場合の状態を示すものとする。
【0107】
まず、
図12(a)のコントロールケージ21を用いた場合の投射材が通る領域は、
図12(g)のB0で示され、投射材の被処理面上に当たる領域は、
図12(h)のBA0で示され、投射パターン(分布)は、
図12(g)のBL0で示される。尚、ここで「投射材の被処理面上に当たる領域」とは、投射材の投射方向にほぼ直交する平面上に被処理面があったと仮定したときに「投射材が当たる領域」を意味するものとする。
図12(a)で示される開口窓21aは、一般的に用いられるものである。
【0108】
図12(d)のコントロールケージ43を用いた場合の投射材が通る領域は、
図12(k)のB3で示され、投射材の被処理面上に当たる領域は、
図12(l)のBA3で示され、投射パターン(分布)は、
図12(k)のBL3で示される。
図12(d)で示される開口窓43aは、平行四辺形であり、コントロールケージ43からブレードへ投射材が供給されるタイミングがブレード幅方向でずらされることになるため、投射パターンが緩やかになる。被処理品の処理時間は、もっとも低い投射割合に反比例して長くなるので、製品の形状によっては、
図12(a)の場合より有利になる。
【0109】
換言すると、コントロールケージ43は、平行四辺形の開口窓43aを有し、この開口窓43aの平行四辺形は、円周方向に形成された互いに対向する辺が、円周方向の位置及び回転軸に平行な方向の位置がずれることで、コントロールケージ43の側面に見える位置関係(
図12(d)の位置関係)において斜めに並ぶ関係を有する平行四辺形であることにより、適切な投射パターンが得られる。この構成は、ブレード3、7の集中化性能と一緒に用いることで、製品に対する投射効率を高める効果を有する。尚、この平行四辺形を設ける場合の思想と同様に、三角の開口窓を設けてもよく、三角の開口窓を四角の開口窓と組み合わせて、若しくはその一部を一体化した開口窓をコントロールケージに設けるようにしてもよい。
【0110】
図12(b)及び(c)のコントロールケージ41,42を用いた場合の投射材が通る領域は、
図12(i)のB1a,B1x,B1bで示され、投射材の被処理面上に当たる領域は、
図12(j)のBA1a,BA1x,BA1bで示され、投射パターン(分布)は、
図12(i)のBL1xで示される。領域B1a、投射パターンBL1a、領域BA1aは、開口窓41a(長方形部分42a)に対応する。領域B1b、投射パターンBL1b、領域BA1bは、開口窓41b(長方形部分42b)に対応する。領域B1a、B1bの重複部分が領域B1xである。領域BA1a、BA1bの重複部分が領域BA1xである。投射パターンBL1a,BL1bを合成したもの(足し合わせたもの)が投射パターンBL1xであり、このコントロールケージ41,42を用いた場合の投射パターンといえる。
【0111】
コントロールケージ41,42は、2つ以上の開口窓を有している若しくは、2つ以上の開口窓が一体化された1つの開口窓を有しているので、投射パターンの合成により、投射パターンを所望の状態に調整できる。被処理品の処理時間は、もっとも低い投射割合に反比例して長くなるので、製品の形状によっては、
図12(a)、
図12(d)の場合より有利になる。
【0112】
換言すると、コントロールケージ41,42は、2つの長方形の開口窓41a,41bを有するか、若しくは、2つの長方形の開口窓(長方形部分42a,42b)を有するとともにこれらが部分的に重なることで一体化された1つの開口窓42xを有する。そして、2つの長方形(開口窓41a,41b)(長方形部分42a,42b)は、円周方向の位置及び回転軸に平行な方向の位置がずれることで、コントロールケージ41,42の側面に見える位置関係(
図12(b)、
図12(c)の位置関係)において斜めに並んでいることにより、適切な投射パターン(所望の投射パターン)が得られる。この構成は、ブレード3、7の集中化性能と一緒に用いることで、製品に対する投射効率を高める効果を有する。
【0113】
図12(e)及び(f)のコントロールケージ44,45を用いた場合の投射材が通る領域は、
図12(m)のB4a,B4x,B4cで示され、投射材の被処理面上に当たる領域は、
図12(n)のBA4a,BA4x,BA4cで示され、投射パターン(分布)は、
図12(m)のBL4xで示される。領域B4a、投射パターンBL4a、領域BA4aは、開口窓44a(長方形部分45a)に対応する。領域B4c、投射パターンBL4c、領域BA4cは、開口窓44c(長方形部分45e)に対応する。領域B4a、B4cの重複部分が領域B4xである。領域BA4a、BA4cの重複部分が領域BA4xである。投射パターンBL4a,BL4cを合成したもの(足し合わせたもの)が投射パターンBL4xであり、このコントロールケージ44,45を用いた場合の投射パターンといえる。
【0114】
コントロールケージ44,45は、3つ以上の開口窓が一体化された1つの開口窓を有しているので、投射パターンの合成により、投射パターンを所望の状態に調整できる。具体的に、
図12(i)を用いて説明した投射パターンBL1xでは、M字状になっており、すなわち2つのピークの間の部分が少し投射割合が少ない状態になっている。
図12(b)及び(c)の開口窓41a、41b(長方形部分42a,42b)に対応する長方形部分44a,44c(長方形部分45a,45e)の間に、
図12(e)の場合は平行四辺形部分44bを設け、
図12(f)の場合は、複数の長方形部分45b、45c、45dを設けることにより、2つのピークの間の部分の投射割合を上昇させるよう調整することができる。被処理品の処理時間は、もっとも低い投射割合に反比例して長くなるので、製品の形状によっては、
図12(a)乃至
図12(d)の場合より有利になる。また、処理ムラを極力低減できる投射パターンを得ることができる。
【0115】
換言すると、コントロールケージ44は、三つの四角(部分44a,44b,44c)が部分的に重なることで一体化された1つの開口窓44xを有する。この開口窓44xは、円周方向の位置及び回転軸に平行な方向の位置がずれることで、コントロールケージ44の側面に見える位置関係(
図12(e)の位置関係)において斜めに並ぶ関係を有する第1長方形部分(44a)及び第2長方形部分(44c)と、第1長方形部分(44a)と第2長方形部分(44c)との間に設けられ、これらの対向する辺に一致する辺を有する平行四辺形部分44bとを有する。この構成により、適切な投射パターン(所望の投射パターン)が得られる。この構成は、ブレード3、7の集中化性能と一緒に用いることで、製品に対する投射効率を高める効果を有する。
【0116】
また、コントロールケージ45は、5つの四角(部分45a〜45e有するものとして説明するが、4つ以上であれば同様の効果を発揮する。)が部分的に重なることで一体化された1つの開口窓45xを有する。この開口窓45xは、円周方向の位置及び回転軸に平行な方向の位置がずれることで、コントロールケージ45の側面に見える位置関係(
図12(f)の位置関係)において斜めに並ぶ関係を有する第1長方形部分(45a)及び第2長方形部分(45e)と、第1長方形部分(45a)と第2長方形部分(45e)との間に設けられ、第1及び第2長方形部分(45a,45e)に対して及び互いに、円周方向の位置及び回転軸に平行な方向の位置がずれるので、コントロールケージ45の側面に見える位置関係において斜めに並ぶ関係を有する複数の長方形部分45b,45c,45dからなる長方形部分群とを有する。この長方形部分群を構成する長方形部分45b,45c,45dは、回転軸に平行な方向の長さが、第1長方形部分及び第2長方形部分(45a,45e)よりも小さく形成されている。この構成により、適切な投射パターン(所望の投射パターン)が得られる。この構成は、ブレード3、7の集中化性能と一緒に用いることで、製品に対する投射効率を高める効果を有する。
【0117】
以上のように、2つ以上の開口窓を有するか、若しくは2つ以上の開口窓を有するとともにこれらの開口窓のうちの全部若しくは一部がそれぞれ部分的に重なることで一体化された1つの開口窓を有するコントロールケージは、投射パターンを調整することができる。すなわち、かかるコントロールケージは、投射パターンの集中化させるブレード3,7と相乗効果を生み、すなわち、被処理品の全範囲における投射量を上昇させることができる。そして、製品の処理ムラや製品にあたらない投射材の割合を減少して投射材の投射効率を高める。