特開2015-231722(P2015-231722A)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2015.5.11 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ セイコーエプソン株式会社の特許一覧
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2015-231722(P2015-231722A)
(43)【公開日】2015年12月24日
(54)【発明の名称】液体噴射ヘッド及び液体噴射装置
(51)【国際特許分類】
   B41J 2/14 20060101AFI20151201BHJP
   B41J 2/155 20060101ALI20151201BHJP
【FI】
   B41J2/14
   B41J2/14 603
   B41J2/155
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
【全頁数】43
(21)【出願番号】特願2014-120021(P2014-120021)
(22)【出願日】2014年6月10日
(71)【出願人】
【識別番号】000002369
【氏名又は名称】セイコーエプソン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100101236
【弁理士】
【氏名又は名称】栗原 浩之
(72)【発明者】
【氏名】縄野 真久
【テーマコード(参考)】
2C057
【Fターム(参考)】
2C057AF34
2C057AF79
2C057AG14
2C057AG77
(57)【要約】      (修正有)
【課題】気泡室をできるだけ増大させた流路部材とするが、フィルター室の消費量のバラツキが大きくなってもフィルターを塞ぐ虞のない流路部材を具備する液体噴射ヘッドを提供する。
【解決手段】ヘッド本体と、ヘッド本体へ液体を供給する流路と、流路の途中に設けられたフィルター244と、フィルターの上流側の上流フィルター室と下流側の下流フィルター室とからなりフィルターを収容するフィルター室と、上流フィルター室に連通しフィルターにより除去された気泡を貯留する気泡室315、325とを有する流路部材240を備え、液体噴射面上で第1の方向に直交する第2の方向における位置が互いに異なり、かつ、第1の方向における位置が少なくとも一部で重なる第1のノズル群と第2のノズル群とを有し、流路部材の流路は途中で分岐して第1のノズル群と前記第2のノズル群とに連通する分岐流路を含み、気泡室315、325は分岐流路毎に設けられている。
【選択図】図19
【特許請求の範囲】
【請求項1】
液体噴射面上において第1の方向の位置が互いに異なるノズル開口を有するノズル群から液滴を噴射するヘッド本体と、
前記ヘッド本体へ液体を供給する流路と、前記流路の途中に設けられたフィルターと、前記フィルターの上流側の上流フィルター室と下流側の下流フィルター室とからなり前記フィルターを収容するフィルター室と、前記上流フィルター室に連通し前記フィルターにより除去された気泡を貯留する気泡室とを有する流路部材と、
を備え、
前記液体噴射面上で前記第1の方向に直交する第2の方向における位置が互いに異なり、かつ、前記第1の方向における位置が少なくとも一部で重なる第1のノズル群と第2のノズル群とを有し、
前記流路部材の前記流路は途中で分岐して前記第1のノズル群と前記第2のノズル群とに連通する分岐流路を含み、
前記気泡室は前記分岐流路毎に設けられていることを特徴とする液体噴射ヘッド。
【請求項2】
前記第1のノズル群は、前記第1の方向に沿った第1ノズル列及び第2ノズル列を有し、前記第2のノズル群は、前記第1の方向に沿った第3ノズル列及び第4ノズル列を有し、
前記第1の方向における位置について、前記第1ノズル列と前記第2ノズル列とが互いに重なる量は、前記第1ノズル列と前記第3ノズル列とが互いに重なる量よりも、少なく、
前記第1の方向における位置について、前記第3ノズル列と前記第4ノズル列とが互いに重なる量は、前記第2ノズル列と前記第4ノズル列とが互いに重なる量よりも、少なく、
前記第1ノズル列及び前記第2ノズル列に共通して、各ノズル列に対応する前記気泡室の気泡が互いに移動可能な第1連通気泡室が設けられ、
前記第3ノズル列及び前記第4ノズル列に共通して、各ノズル列に対応する前記気泡室の気泡が互いに移動可能な第2連通気泡室が設けられ、
前記第1連通気泡室が前記分岐流路毎に設けられた一方の前記気泡室であり、前記第2連通気泡室が前記分岐流路毎に設けられた他方の前記気泡室である、
ことを特徴とする請求項1記載の液体噴射ヘッド。
【請求項3】
前記ヘッド本体は、前記第1ノズル列と前記第3ノズル列とが、単一のノズルプレートに設けられており、前記第2ノズル列と前記第4ノズル列とが、単一のノズルプレートに設けられている、
ことを特徴とする請求項2記載の液体噴射ヘッド。
【請求項4】
前記ヘッド本体は、複数あり、複数の前記ヘッド本体のそれぞれは、前記第1連通気泡室に対応する複数のノズル列と、前記第2連通気泡室に対応する複数のノズル列を有する
ことを特徴とする請求項2又は3記載の液体噴射ヘッド。
【請求項5】
前記流路は、流路途中で分岐する第1分岐点と、前記第1分岐点よりも下流で分岐する第2分岐点とを含み、
前記第1連通気泡室は、前記第1分岐点で分岐した前記流路の一方のフィルター室に対応し、
前記第2連通気泡室は、前記第1分岐点で分岐した前記流路の他方のフィルター室に対応する、
ことを特徴とする請求項2〜4の何れか一項記載の液体噴射ヘッド。
【請求項6】
前記気泡室はそれぞれ、前記液体噴射面に平行な面上に2次元的に配置され、
前記第1分岐点は、前記第1の方向に直交する方向の一方側に延設する前記流路と他方側に延設する前記流路とに分岐する分岐点であり、
前記第2分岐点は、第1の方向の一方側に延設する前記流路と他方側に延設する前記流路とに分岐する分岐点である、
ことを特徴とする請求項1〜5に記載の液体噴射ヘッド。
【請求項7】
請求項1〜6の何れか一項に記載する液体噴射ヘッドを備えることを特徴とする液体噴射装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、液体が流れる流路が形成された流路部材を具備する液体噴射ヘッド及び流路部材を具備する液体噴射装置に関する。
【背景技術】
【0002】
インクジェット式プリンターやプロッター等のインクジェット式記録装置に代表される液体噴射装置は、カートリッジやタンク等に貯留されたインクなどの液体を噴射可能な液体噴射ヘッドを具備する。このような液体噴射ヘッドは、液体を噴射する複数のヘッド本体と、該ヘッド本体を保持し、ヘッド本体に供給されるインクの流路を有する流路部材とを備えたものがある。
【0003】
かかる流路部材においては、フィルター室の一部を、気泡を貯留する気泡室として用いるものがある。そして、例えば、鉛直方向上側に気泡室95が設けられたフィルター33の形状を、上流から気泡室95へ侵入したインクのメニスカスの形状に合わせ、これにより、メニスカスとフィルター33との接触を遅らせて、気泡室95の容積を増大させることなく、メンテナンスの間隔を長くすることができるという効果を奏するものが提案されている(特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2013−129060号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上述した特許文献1では、流路部材の被印刷媒体の搬送方向への小型化については検討されておらず、また、搬送方向について小型化を図った流路部材つついてできるだけ気泡室の容積を増大させたいという要望についても検討されていない。
【0006】
また、フィルター室における液体の消費量のバラツキによっては、大容量の気泡がフィルターを塞いでしまう虞があるが、このようなフィルター室の液体の消費量のバラツキがあっても支障の無い流路の配置についても検討されていない。
【0007】
なお、このような要望は、インクジェット式記録装置だけではなく、インク以外の液体を噴射する液体噴射装置においても同様に存在する。
【0008】
本発明はこのような事情に鑑み、気泡室をできるだけ増大させた流路部材とするが、フィルター室の消費量のバラツキが大きくなってもフィルターを塞ぐ虞のない流路部材を具備する液体噴射ヘッド及び流路部材を具備する液体噴射装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
[態様1]本発明の態様は、液体噴射面上において第1の方向の位置が互いに異なるノズル開口を有するノズル群から液滴を噴射するヘッド本体と、前記ヘッド本体へ液体を供給する流路と、前記流路の途中に設けられたフィルターと、前記フィルターの上流側の上流フィルター室と下流側の下流フィルター室とからなり前記フィルターを収容するフィルター室と、前記上流フィルター室に連通し前記フィルターにより除去された気泡を貯留する気泡室とを有する流路部材と、を備え、前記液体噴射面上で前記第1の方向に直交する第2の方向における位置が互いに異なり、かつ、前記第1の方向における位置が少なくとも一部で重なる第1のノズル群と第2のノズル群とを有し、前記流路部材の前記流路は途中で分岐して前記第1のノズル群と前記第2のノズル群とに連通する分岐流路を含み、前記気泡室は前記分岐流路毎に設けられていることを特徴とする液体噴射ヘッドにある。
かかる態様では、第2の方向における位置が互いに異なり、かつ、前記第1の方向における位置が少なくとも一部で重なる第1のノズル群と第2のノズル群へと分岐した流路毎に気泡室を設けたので、各フィルター室の液体の消費量にばらつきがあっても、第1の方向における位置が少なくとも一部で重なる分だけ気泡室の気泡の貯留量にばらつきがでにくく、貯留された気泡が、あるフィルター室を塞いでしまうのを抑制することができる流路部材を備えた液体噴射ヘッドが実現できる。なお、第1、2のノズル群のノズルは、第1の方向における位置が同じであってもよく、ノズルピッチの半ピッチだけずれていてもよく、第1の方向における位置について、第1のノズル群の両端のノズルの間に、第2のノズル群の両端のノズルの1つがあればよい。
【0010】
[態様2]ここで、態様1の液体噴射ヘッドにおいて、前記第1のノズル群は、前記第1の方向に沿った第1ノズル列及び第2ノズル列を有し、前記第2のノズル群は、前記第1の方向に沿った第3ノズル列及び第4ノズル列を有し、前記第1の方向における位置について、前記第1ノズル列と前記第2ノズル列とが互いに重なる量は、前記第1ノズル列と前記第3ノズル列とが互いに重なる量よりも、少なく、前記第1の方向における位置について、前記第3ノズル列と前記第4ノズル列とが互いに重なる量は、前記第2ノズル列と前記第4ノズル列とが互いに重なる量よりも、少なく、前記第1ノズル列及び前記第2ノズル列に共通して、各ノズル列に対応する前記気泡室の気泡が互いに移動可能な第1連通気泡室が設けられ、前記第3ノズル列及び前記第4ノズル列に共通して、各ノズル列に対応する前記気泡室の気泡が互いに移動可能な第2連通気泡室が設けられ、前記第1連通気泡室が前記分岐流路毎に設けられた一方の前記気泡室であり、前記第2連通気泡室が前記分岐流路毎に設けられた他方の前記気泡室である、ことが好ましい。これによれば、貯留した気泡が互いに移動可能に連通した気泡室があるので、各フィルター室に対する気泡の貯留量を増やすことができる。また、第1の方向においてノズル列が互いに重なる量に着目し、重なる量が相対的に少ないノズル列、例えば、第1のノズル列と第2のノズル列、第3のノズル列と第4のノズル列の間ではそれぞれの気泡室を連通させるようにし、重なる量が相対的に多いノズル列、例えば、第1のノズル列と第3のノズル列との間、第2のノズル列と第4のノズル列との間ではそれぞれの気泡室を連通させないようにした。そして、重なる量が相対的に多いノズル列の間では液体の消費量が互いに同じ程度になりやすいため、そうした重なる量が相対的に多いノズル列の間ではそれぞれの気泡室を連通させず、かつ、重なる量が相対的に少ないノズル列の間ではそれぞれの気泡室を連通させることで、気泡室に貯留される気泡の量が偏るのを低減させつつ、各気泡室の貯留量を増大させた。この結果、貯留された気泡が、あるフィルター室のみを塞いでしまいやすくなるのを抑制することができる。なお、第1の方向における位置について、第1ノズル列と第2のノズル列とが互いに重なる量が、第1ノズル列と第3のノズル列とが互いに重なる量よりも少なければよいので、第1ノズル列と第2のノズル列とは互いに重ならなくてもよい。同様に、第3ノズル列と第4のノズル列とは互いに重ならなくてもよい。
【0011】
[態様3]また、態様2の液体噴射ヘッドにおいて、前記ヘッド本体は、前記第1ノズル列と前記第3ノズル列とが、単一のノズルプレートに設けられており、前記第2ノズル列と前記第4ノズル列とが、単一のノズルプレートに設けられていることが好ましい。これによれば、2つのノズル列の第2の方向の間隔を狭めることができるとともに、2つのノズル列間の位置合わせが容易になる。
【0012】
[態様4]また、態様3の液体噴射ヘッドにおいて、前記ヘッド本体は、複数あり、複数のヘッド本体のそれぞれは、前記第1連通気泡室に対応する複数のノズル列と、前記第2連通気泡室に対応する複数のノズル列を有することが好ましい。これによれば、ノズル列を第1の方向に容易に長尺化できる。
【0013】
[態様5]また、態様2〜4の何れかの液体噴射ヘッドにおいて、前記流路は、流路途中で分岐する第1分岐点と、前記第1分岐点よりも下流で分岐する第2分岐点とを含み、
前記第1連通気泡室は、前記第1分岐点で分岐した流路の一方のフィルター室に対応し、前記第2連通気泡室は、前記第1分岐点で分岐した流路の他方のフィルター室に対応することが好ましい。これによれば、より下流の分岐点で分岐した流路に設けられたフィルター室の気泡室を、気泡が移動可能に連通することができるので、配置が容易、小型化に寄与することができる。
【0014】
[態様6]また、態様1〜5の何れかの液体噴射ヘッドにおいて、前記気泡室はそれぞれ、前記液体噴射面に平行な面上に2次元的に配置され、前記第1分岐点は、前記第1の方向に直交する方向の一方側に延設する前記流路と他方側に延設する前記流路とに分岐する分岐点であり、
前記第2分岐点は、第1の方向の一方側に延設する前記流路と他方側に延設する前記流路とに分岐する分岐点であることが好ましい。これによれば、気泡室が2次元的に配置される場合に、分岐点で分岐した流路の方向が、分岐点毎に異なるので、流路部材を小型化できる。
【0015】
[態様7] 態様1〜6に記載する液体噴射ヘッドを備えることを特徴とする液体噴射装置にある。
かかる態様では、分岐した流路毎に気泡室を設けたので、各フィルター室の液体の消費量にばらつきがあっても、気泡室の気泡の貯留量にばらつきがでにくく、貯留された気泡が、あるフィルター室を塞いでしまうのを抑制することができる流路部材を備えた液体噴射装置が実現される。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1】インクジェット式記録装置の平面図である。
図2】インクジェット式記録装置の側面図及びその拡大図である。
図3】本実施形態に係る記録ヘッドの斜視図である。
図4】本実施形態1に係る記録ヘッドの分解斜視図である。
図5】本実施形態1に係る記録ヘッドの分解斜視図である。
図6】本実施形態1に係る記録ヘッドの分解斜視図である。
図7】本実施形態1に係る記録ヘッドの平面図である。
図8】本実施形態1に係る記録ヘッドの底面図である。
図9】記録ヘッドのカバー部材を取り外した平面図である。
図10】記録ヘッドのカバー部材及び流路部材を取り外した平面図である。
図11図9及び図10のB−B′線断面図である。
図12図7図9のC−C′線断面図である。
図13図7図9のD−D′線断面図である。
図14】ホルダー部材の底面図である。
図15】カバー部材の底面図である。
図16】流路部材の分解斜視図である。
図17図15のF−F′線断面図である。
図18図17のG線断面図である。
図19図17のH線断面図である。
図20】第1矯正板と回路基板との配置を示す側面図及び平面図である。
図21】実施形態2に係る流路部材の分解斜視図である。
図22図21のI−I′線断面図である。
図23図21のJ−J′線断面図である。
図24】ヘッド本体の分解斜視図である。
図25】ヘッド本体の液体噴射面側の平面図である。
図26図25のK−K′線断面図である。
図27】実施形態1の流路部材とノズル列の関係を示す模式図である。
図28】変形例の流路部材とノズル列の関係を示す模式図である。
図29】変形例の流路部材とノズル列の関係を示す模式図である。
図30】変形例の流路部材とノズル列の関係を示す模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
〈実施形態1〉
本発明を実施形態に基づいて詳細に説明する。インクジェット式記録ヘッドは液体噴射ヘッドの一例であり、単に記録ヘッドともいう。インクジェット式記録装置は、液体噴射装置の一例である。図1は、本実施形態1に係るインクジェット式記録装置を模式的に示した平面図であり、図2は、インクジェット式記録装置の側面図及びその拡大図である。
【0018】
インクジェット式記録装置1は、被噴射媒体である記録シートSを搬送するだけで印刷を行う、所謂ライン式のインクジェット式記録装置1である。
【0019】
記録シートSの搬送方向を第2の方向Yと称し、記録シートSのインクが着弾する着弾面S1の面内方向において、第2の方向Yに直交する方向を第1の方向Xと称する。また、第1の方向X及び第2の方向Yの双方に直交する方向、すなわち、記録シートSの着弾面S1に直交する方向を第3の方向Zと称する。本実施形態では、各方向(X、Y、Z)が互いに直交するものを例示したが、必ずしもこれに限定されない。
【0020】
インクジェット式記録装置1は、記録ヘッド2と、記録ヘッド2が搭載されたキャリッジ3と、インクを貯留したインクタンク等の液体貯留手段4と、第1搬送手段5と、第2搬送手段6と、装置本体7と、メンテナンス手段400とを具備する。
【0021】
記録ヘッド2は、第1の方向Xに沿って延在している。本実施形態では、詳しくは後述するが、記録ヘッド2には、複数のヘッド本体200(図8参照)が第1の方向Xに沿って並設されたヘッド本体群202を、第2の方向Yに複数列、本実施形態では、2列設けるようにした。もちろん、ヘッド本体200のヘッド本体群202の数は、特にこれに限定されず、3列以上であってもよい。このようなヘッド本体200は、インクを噴射する液体噴射面20aがZ1側となるように配置されている。
【0022】
液体貯留手段4は、記録ヘッド2にインクを供給するためのものであり、本実施形態では、装置本体7に固定されている。装置本体7に固定された液体貯留手段4からのインクはチューブ等の供給管8を介して記録ヘッド2に供給される。なお、記録ヘッド2が液体貯留手段4を具備する態様、例えば、記録ヘッド2の第3の方向Zの上方、すなわち、記録シートSとは反対側に、記録ヘッド2が液体貯留手段4を搭載するようにしてもよい。
【0023】
第1搬送手段5は、記録ヘッド2の第2の方向Yの一方側、本実施形態では、Y1側に設けられている。なお、本実施形態では、第2の方向Yにおいて、記録ヘッド2に対して一方側をY1側と称し、他方側をY2側と称する。
【0024】
第1搬送手段5は、第1搬送ローラー501と、第1搬送ローラー501に従動する第1従動ローラー502と、を具備する。第1搬送ローラー501は、記録シートSの着弾面S1とは反対側の裏面S2側に設けられており、第1駆動モーター503の駆動力によって駆動される。また、第1従動ローラー502は、記録シートSの着弾面S1側に設けられており、第1搬送ローラー501との間で記録シートSを挟持する。このような第1従動ローラー502は、図示しないばね等の付勢部材によって記録シートSを第1搬送ローラー501側に向かって押圧している。
【0025】
第2搬送手段6は、搬送ベルト601、第2駆動モーター602、第2搬送ローラー603、第2従動ローラー604、テンションローラー605及びローラーユニット610を具備する。
【0026】
第2搬送ローラー603は、第2駆動モーター602の駆動力によって駆動される。搬送ベルト601は、無端ベルトからなり、第2搬送ローラー603と第2従動ローラー604との外周に掛けられている。このような搬送ベルト601は、記録シートSの裏面S2側に設けられている。テンションローラー605は、第2搬送ローラー603と第2従動ローラー604との間に設けられて、搬送ベルト601の内周面に当接し、ばね等の付勢部材606の付勢力によって搬送ベルト601に張力を付与している。これにより、搬送ベルト601は、第2搬送ローラー603と第2従動ローラー604との間で記録ヘッド2に相対向する面が平坦になっている。
【0027】
ローラーユニット610は、記録シートSの着弾面S1側に設けられたものであり、記録シートSの着弾面S1側に複数のヘッド内ローラー及びヘッド外ローラーを有する。このローラーユニット610は、ヘッド内ローラー及びヘッド外ローラーと搬送ベルト601との間で記録シートSを挟持する。なお、ローラーユニット610については詳しくは後述する。
【0028】
このようなインクジェット式記録装置1では、第1搬送手段5及び第2搬送手段6によって記録シートSを、記録ヘッド2に対して第2の方向YにY1からY2側に向かって搬送しながら、記録ヘッド2の各インクジェット式記録ヘッドからインクを噴射させて、噴射したインクを記録シートSの着弾面S1に着弾させる、所謂、印刷を行う。
【0029】
また、インクジェット式記録装置1のキャリッジ3は、複数の記録ヘッド2を搭載し、キャリッジ軸9に軸方向移動可能に設けられている。キャリッジ軸9は、軸方向が第1の方向Xと一致するように配置されており、図示しない駆動モーターの駆動力が歯車やベルトを介してキャリッジ3に伝達されることで、キャリッジ3は、キャリッジ軸9の軸方向に移動される。また、キャリッジ3又はキャリッジ軸9は、図示しない昇降手段によって装置本体7に対して着弾面S1に直交する方向、すなわち、第3の方向Zに移動可能に設けられている。本実施形態では、印刷時の記録シートSの着弾面S1に直交する方向に記録ヘッド2が移動することを昇降と称する。すなわち、第3の方向Zにおいて、印刷時の記録シートS側であるZ1側から記録シートSとは離れたZ2側に記録ヘッド2が移動することを上昇すると言い、印刷時の記録シートSとは離れたZ2側から記録シートS側であるZ1側に記録ヘッド2が移動することを下降すると言う。
【0030】
このようなキャリッジ3は、記録ヘッド2が搬送ベルト601に相対向してインクを噴射して記録シートSに着弾させる着弾位置から、図示しない昇降手段によって第3の方向ZのZ2側に上昇した後、キャリッジ軸9の軸方向である第1の方向Xに移動することで、記録シートSや搬送ベルト601に相対向しないメンテナンス位置に移動する。そして、メンテナンス位置には、記録ヘッド2をメンテナンスするメンテナンス手段400が設けられている。なお、本実施形態では、第1の方向Xにおいて、装置本体7の内部の搬送ベルト601等の第2搬送手段6が設けられた側をX1側と称し、メンテナンス手段400が設けられたメンテナンス位置側をX2側と称する。
【0031】
メンテナンス手段400は、本実施形態では、液体噴射面をワイピングするブレードを有するワイピング手段410と、液体噴射面を覆うキャップを有するキャッピング手段420と、を具備する。
【0032】
ワイピング手段410は、記録ヘッド2の各ヘッド本体200の液体噴射面20aを払拭する部材であり、第2の方向Yに沿って相対移動が可能なように装置本体7に設けられている。メンテナンス位置に移動された記録ヘッド2に対し、ワイピング手段410をヘッド本体200の液体噴射面20aに接触させ、第2の方向Yに移動させることで、ヘッド本体200の液体噴射面20aを払拭することができる。
【0033】
キャッピング手段420は、ヘッド本体200毎に設けられたゴム等で形成されたキャップと、当該キャップを保持するキャップ保持部とを具備する。キャップは、各ヘッド本体200の液体噴射面20aに当接して、複数のノズル開口の全てを覆う大きさで設けられている。キャップが液体噴射面20aを覆うと、それらの間に密封空間が形成される。キャップ保持部の内部には図示しない吸引路が設けられている。この吸引路は、一端が前記密封空間に連通し、他端が吸引ポンプ等の吸引装置に連通している。このようなキャッピング手段420は、キャップによってヘッド本体200の液体噴射面20aを覆った状態で、吸引装置に吸引動作を行わせる。このような吸引動作により、キャップにより形成された密封空間の内部が負圧となり、ノズル開口21から流路内のインクが気泡等の異物と共に吸引される。また、非印刷時に液体噴射面20aをキャップで覆うことで、ノズル開口21近傍のインクの乾燥を抑制してもよい。
【0034】
なお、メンテナンス位置には、メンテナンス手段400として、ワイピング手段410のみ、又はキャッピング手段420のみを設けてもよい。さらには、インクジェット式記録装置1にメンテナンス位置に記録ヘッド2を移動させる機構や、メンテナンス位置自体を設けなくてもよい。
【0035】
図3は本実施形態に係る記録ヘッドの斜視図であり、図4は記録ヘッドの分解斜視図であり、図5は記録ヘッドの分解斜視図であり、図6は記録ヘッドの分解斜視図である。
【0036】
図示するように、上述した記録ヘッド2は、複数のヘッド本体200と、第3の方向Zの一方面側であるZ1側に複数のヘッド本体200を保持するホルダー部材210と、ホルダー部材210の第3の方向ZのZ2側の面に固定された回路基板220と、ホルダー部材210のZ2側の面に固定された第1矯正板230と、ホルダー部材210のZ1側の面に固定された第2矯正板280と、ホルダー部材210のZ2側の面に固定された流路部材240と、ホルダー部材210のZ2側の面に固定されて内部にヘッド本体200、回路基板220、第1矯正板230及び流路部材240を収容するカバー部材250と、複数のヘッド本体200を固定する固定板260とを具備する。
【0037】
まず、液滴の一例としてインク滴を噴射するヘッド本体200について、図24図26を参照して説明する。図24はヘッド本体の分解斜視図であり、図25はヘッド本体の液体噴射面側の平面図であり、図26図25のJ−J′線断面図である。
【0038】
ヘッド本体200は、流路形成基板10、連通板15、ノズルプレート20、保護基板30、コンプライアンス基板45及びケース部材40等の複数の部材で構成されている。
【0039】
流路形成基板10には、複数の隔壁によって区画された圧力発生室12が並設されている。記録ヘッド2は、ヘッド本体200の圧力発生室12の並設方向が第1の方向Xとなるようにインクジェット式記録装置1に搭載される。以降、圧力発生室12の並設方向を第1の方向Xとも称する。また、流路形成基板10には、第1の方向Xに圧力発生室12が並設された列が複数列、本実施形態では2列、第1の方向Xと直交する第2の方向Yに並設されている。
【0040】
流路形成基板10は、ステンレス鋼やNiなどの金属、ZrOあるいはAlを代表とするセラミック材料、ガラスセラミック材料、MgO、LaAlOのような酸化物などを用いることができる。本実施形態では、流路形成基板10は、シリコン単結晶基板からなる。この流路形成基板10には、一方面側から異方性エッチングすることにより、複数の隔壁によって区画された圧力発生室12がインクを吐出する複数のノズル開口21が並設される方向に沿って並設されている。
【0041】
流路形成基板10の第3の方向ZのZ1側には、連通板15とノズルプレート20とが順次積層されている。すなわち、流路形成基板10の第3の方向ZのZ1側の面に設けられた連通板15と、連通板15の流路形成基板10とは反対面側、すなわち連通板15のZ1側の面に設けられたノズル開口21を有するノズルプレート20と、を具備する。
【0042】
連通板15には、圧力発生室12とノズル開口21とを連通するノズル連通路16が設けられている。連通板15は、流路形成基板10よりも大きな面積を有し、ノズルプレート20は流路形成基板10よりも小さい面積を有する。このように連通板15を設けることによってノズルプレート20のノズル開口21と圧力発生室12とを離せるため、圧力発生室12の中にあるインクは、ノズル開口21付近のインクで生じるインク中の水分の蒸発による増粘の影響を受け難くなる。また、ノズルプレート20は圧力発生室12とノズル開口21とを連通するノズル連通路16の開口を覆うだけでよいので、ノズルプレート20の面積を比較的小さくすることができ、コストの削減を図ることができる。
【0043】
また、連通板15には、マニホールド100の一部を構成する第1マニホールド部17と、第2マニホールド部18(絞り流路、オリフィス流路)とが設けられている。
【0044】
第1マニホールド部17は、連通板15を厚さ方向に貫通して設けられている。ここでいう厚さ方向とは、連通板15と流路形成基板10とが積層された第3の方向Zである。第2マニホールド部18は、連通板15を厚さ方向に貫通することなく、連通板15のノズルプレート20側に開口して設けられている。
【0045】
連通板15には、圧力発生室12の第2の方向Yの一端部に連通する供給連通路19が、圧力発生室12毎に独立して設けられている。この供給連通路19は、第2マニホールド部18と圧力発生室12とを連通する。
【0046】
このような連通板15としては、ステンレスやニッケル(Ni)などの金属、またはジルコニウム(Zr)などのセラミックス等を用いることができる。なお、連通板15は、流路形成基板10と線膨張係数が同等の材料が好ましい。すなわち、連通板15として流路形成基板10と線膨張係数が大きく異なる材料を用いた場合、加熱や冷却されることで、流路形成基板10及び連通板15に反りが生じてしまう。本実施形態では、連通板15として流路形成基板10と同じ材料、すなわち、シリコン単結晶基板を用いることで、熱による反りや熱によるクラック、剥離等の発生を抑制することができる。
【0047】
ノズルプレート20には、各圧力発生室12とノズル連通路16を介して連通するノズル開口21が形成されている。このようなノズル開口21は、第1の方向Xに並設され、この第1の方向Xに並設されたノズル開口21の列が第2の方向Yに2列形成されている。また、ノズルプレート20の両面のうちインク滴を吐出する面、すなわち圧力発生室12とは反対側の面を液体噴射面20aと称する。
【0048】
このようなノズルプレート20としては、例えば、ステンレス(SUS)等の金属、ポリイミド樹脂のような有機物、又はシリコン単結晶基板等を用いることができる。なお、ノズルプレート20としてシリコン単結晶基板を用いることで、ノズルプレート20と連通板15との線膨張係数を同等として、加熱や冷却されることによる反りや熱によるクラック、剥離等の発生を抑制することができる。
【0049】
一方、流路形成基板10の連通板15とは反対面側には、振動板50が形成されている。本実施形態では、振動板50として、流路形成基板10側に設けられた酸化シリコンからなる弾性膜51と、弾性膜51上に設けられた酸化ジルコニウムからなる絶縁体膜52と、を設けるようにした。なお、圧力発生室12等の液体流路は、流路形成基板10を一方面側(ノズルプレート20が接合された面側)から異方性エッチングすることにより形成されており、圧力発生室12等の液体流路の他方面は、弾性膜51によって画成されている。
【0050】
流路形成基板10の振動板50上には、本実施形態の圧力発生手段である、第1電極60と圧電体層70と第2電極80とを有する圧電アクチュエーター130が設けられている。ここで、圧電アクチュエーター130は、第1電極60、圧電体層70及び第2電極80を含む部分をいう。一般的には、圧電アクチュエーター130の何れか一方の電極を共通電極とし、他方の電極を圧力発生室12毎にパターニングして構成する。本実施形態では、第1電極60を複数の圧電アクチュエーター130に亘って連続して設けることで共通電極とし、第2電極80を圧電アクチュエーター130毎に独立して設けることで個別電極としている。もちろん、駆動回路や配線の都合でこれを逆にしても支障はない。なお、上述した例では、振動板50が弾性膜51及び絶縁体膜52で構成されたものを例示したが、勿論これに限定されるものではなく、例えば、振動板50として弾性膜51及び絶縁体膜52の何れか一方を設けたものであってもよく、また、振動板50として弾性膜51及び絶縁体膜52を設けずに、第1電極60のみが振動板として作用するようにしてもよい。また、圧電アクチュエーター130自体が実質的に振動板を兼ねるようにしてもよい。
【0051】
圧電体層70は、分極構造を有する酸化物の圧電材料からなり、例えば、一般式ABOで示されるペロブスカイト型酸化物からなることができ、鉛を含む鉛系圧電材料や鉛を含まない非鉛系圧電材料などを用いることができる。
【0052】
このような圧電アクチュエーター130の個別電極である各第2電極80には、供給連通路19とは反対側の端部近傍から引き出され、振動板50上にまで延設される、例えば、金(Au)等からなるリード電極90の一端部がそれぞれ接続されている。
【0053】
また、リード電極90の他端部には、圧電アクチュエーター130を駆動するための駆動回路120が設けられた配線基板121が接続されている。配線基板121は、可撓性(フレキシブル)のあるシート状のもの、例えば、COF基板等を用いることができる。なお、配線基板121には、駆動回路120を設けなくてもよい。つまり、配線基板121は、COF基板に限定されず、FFC、FPC等であってもよい。
【0054】
流路形成基板10の圧電アクチュエーター130側の面には、流路形成基板10と略同じ大きさを有する保護基板30が接合されている。保護基板30は、圧電アクチュエーター130を保護するための空間である保持部31を有する。保持部31は、保持部31は、保護基板30を厚さ方向である第3の方向Zに貫通することなく、流路形成基板10側に開口する凹形状を有する。また、保持部31は、第1の方向Xに並設された複数の圧電アクチュエーター130により構成される列毎に独立して設けられている。すなわち、保持部31は、圧電アクチュエーター130の第1の方向Xに並設された列を収容するように設けられており、圧電アクチュエーター130の列毎、すなわち2つが第2の方向Yに並設されている。このような保持部31は、圧電アクチュエーター130の運動を阻害しない程度の空間を有していればよく、当該空間は密封されていても、密封されていなくてもよい。
【0055】
保護基板30は、厚さ方向である第3の方向Zに貫通した貫通孔32を有する。貫通孔32は、第2の方向Yに並設された2つの保持部31の間に複数の圧電アクチュエーター130の並設方向である第1の方向Xに亘って設けられている。つまり、貫通孔32は、複数の圧電アクチュエーター130の並設方向に長辺を有した開口とされている。リード電極90の他端部は、この貫通孔32内に露出するように延設され、リード電極90と配線基板121とが貫通孔32内で電気的に接続されている。
【0056】
このような保護基板30としては、流路形成基板10の熱膨張率と略同一の材料、例えば、ガラス、セラミック材料等を用いることが好ましく、本実施形態では、流路形成基板10と同一材料のシリコン単結晶基板を用いて形成した。また、流路形成基板10と保護基板30との接合方法は特に限定されず、例えば、本実施形態では、流路形成基板10と保護基板30とは接着剤(図示せず)を介して接合されている。
【0057】
ケース部材40は、平面視において上述した連通板15と略同一形状を有し、保護基板30に接合されると共に、上述した連通板15にも接合されている。具体的には、ケース部材40は、保護基板30側に流路形成基板10及び保護基板30が収容される深さの凹部41を有する。この凹部41は、保護基板30の流路形成基板10に接合された面よりも広い開口面積を有する。そして、凹部41に流路形成基板10等が収容された状態で凹部41のノズルプレート20側の開口面が連通板15によって封止されている。これにより、流路形成基板10の外周部には、ケース部材40によって第3マニホールド部42が画成されている。そして、連通板15に設けられた第1マニホールド部17及び第2マニホールド部18と、ケース部材40によって画成された第3マニホールド部42と、によって本実施形態のマニホールド100が構成されている。すなわち、マニホールド100は、第1マニホールド部17、第2マニホールド部18及び第3マニホールド部42を具備する。
【0058】
本実施形態のマニホールド100は、第2の方向Yにおいて、2列の圧力発生室12の両外側に配置されており、2列の圧力発生室12の両外側に設けられた2つのマニホールド100は、ヘッド本体200内では連通しないようにそれぞれ独立して設けられている。すなわち、本実施形態の圧力発生室12の列毎に1つのマニホールド100が連通して設けられている。言い換えると、ノズル列毎にマニホールド100が設けられている。もちろん、2つのマニホールド100は、連通していてもよい。
【0059】
また、ケース部材40は、マニホールド100に連通した導入口44を有している。導入口44からインクがマニホールド100に導入される。なお、詳細は後述するが、導入口44は、ホルダー部材210に形成された第1接続流路213、第2接続流路214に連通しており、第1接続流路213及び第2接続流路214からインクが導入口44に供給されるようになっている。
【0060】
また、ケース部材40には、保護基板30の貫通孔32に連通して配線基板121が挿通される接続口43が設けられている。なお、詳細は後述するが、接続口43は、ホルダー部材210に形成された第1配線挿通孔212、及びホルダー部材210を補強する第2矯正板280に形成された第2配線挿通孔282に連通している。すなわち、接続口43、第1配線挿通孔212及び第2配線挿通孔282は連通して一つの挿通孔を形成し、当該挿通孔に配線基板121が挿通されている。
【0061】
ケース部材40の材料としては、例えば、樹脂や金属等を用いることができる。ちなみに、ケース部材40として、樹脂材料を成形することにより、低コストで量産することができる。
【0062】
連通板15の第1マニホールド部17及び第2マニホールド部18が開口する面には、コンプライアンス基板45が設けられている。コンプライアンス基板45は、平面視において上述した連通板15と略同じ大きさを有し、ノズルプレート20を露出する第1露出開口部45aが設けられている。そして、このコンプライアンス基板45が第1露出開口部45aによってノズルプレート20を露出した状態で、第1マニホールド部17と第2マニホールド部18の液体噴射面20a側の開口を封止している。すなわち、コンプライアンス基板45がマニホールド100の一部を画成している。
【0063】
本実施形態に係るコンプライアンス基板45は、封止膜46と、固定基板47と、を具備する。封止膜46は、可撓性を有するフィルム状の薄膜(例えば、ポリフェニレンサルファイド(PPS)等により形成された厚さが20μm以下の薄膜)からなり、固定基板47は、ステンレス鋼(SUS)等の金属等の硬質の材料で形成される。この固定基板47のマニホールド100に対向する領域は、厚さ方向に完全に除去された開口部48となっているため、マニホールド100の一方面は可撓性を有する封止膜46のみで封止された可撓部であるコンプライアンス部49となっている。本実施形態では、1つのマニホールド100に対応して1つのコンプライアンス部49が設けられている。すなわち、本実施形態では、マニホールド100が2つ設けられているため、ノズルプレート20を挟んで第2の方向Yの両側に2つのコンプライアンス部49が設けられている。
【0064】
このような構成のヘッド本体200では、インクを噴射する際に、導入口44を介してインクを取り込み、マニホールド100からノズル開口21に至るまで流路内部をインクで満たす。その後、駆動回路120からの信号に従い、圧力発生室12に対応する各圧電アクチュエーター130に電圧を印加することにより、圧電アクチュエーター130と共に振動板50をたわみ変形させる。これにより、圧力発生室12内の圧力が高まり所定のノズル開口21からインク滴が噴射される。
【0065】
上述したヘッド本体200は、記録ヘッド2に保持されている。ここで、記録ヘッド2について、図3図6、さらに図7図17を参照して説明する。図7は記録ヘッドの平面図であり、図8は記録ヘッドの底面図であり、図9は記録ヘッドのカバー部材を取り外した平面図であり、図10は記録ヘッドのカバー部材及び流路部材を取り外した平面図であり、図11図9及び図10のB−B′線断面図であり、図12図7図9を第2の方向Yに沿って切断したC−C′線断面図であり、図13図7図9を第2の方向Yに沿って切断したD−D′線断面図であり、図14(a)は第2矯正板が固定されたホルダー部材の底面図であり、図14(b)はホルダー部材の底面図であり、図15はカバー部材の底面図である。なお、図7図9図10の平面とは第3の方向ZにおけるZ2側の面であり、図8図14図15の底面とは第3の方向ZにおけるZ1側の面である。
【0066】
図5図6及び図8に示すように、本実施形態では、1つの記録ヘッド2に、4個のヘッド本体200が第1の方向Xに沿って千鳥状に配置されている。具体的には、第1の方向Xに第1の間隔203Aを空けて配置された第1ヘッド本体群202Aと、第1の方向Xに第2の間隔203Bを空けて配置された第2ヘッド本体群202Bとを有している。各ヘッド本体200は、ノズル開口21の並設方向が記録ヘッド2の第1の方向Xとなるように保持される。
【0067】
Y1側に設けられたヘッド本体群202を第1ヘッド本体群202Aと称し、Y2側に設けられたヘッド本体群202を第2ヘッド本体群202Bと称する。また、第1ヘッド本体群202AのX1側のヘッド本体200をヘッド本体200A1と称し、X2側のヘッド本体200をヘッド本体200A2と称する。また、第2ヘッド本体群202BのX1側のヘッド本体200をヘッド本体200B1と称し、X2側のヘッド本体200をヘッド本体200B2と称する。
【0068】
各ヘッド本体200は、第1ヘッド本体群202Aと第2ヘッド本体群202Bとが、第1の方向Xに直交する第2の方向Yにおいて異なる位置に配置され、かつ、第1ヘッド本体群202Aの何れかのヘッド本体200が、第1の方向Xにおいて第2の間隔203Bが設けられた位置に配置され、第2ヘッド本体群202Bの何れかのヘッド本体200が第1の間隔203Aが設けられた位置に配置されている。
【0069】
すなわち、第1ヘッド本体群202Aと第2ヘッド本体群202Bとは、第1の方向Xに互いにずれて配置されている。第1ヘッド本体群202Aと第2ヘッド本体群202Bとの第1の方向Xへのずれ量は、ヘッド本体群202を構成するヘッド本体200のピッチの半分である。本実施形態では、第1ヘッド本体群202Aを第2ヘッド本体群202Bに対してX2側にずらして配置した。すなわち、第1ヘッド本体群202Aにおいて第1の方向Xで互いに隣り合うヘッド本体200の第1の間隔203Aは、第2ヘッド本体群202Bを構成するヘッド本体200、本実施形態では、ヘッド本体200B2に第2の方向Yで相対向して設けられている。また、第2ヘッド本体群202Bにおいて第1の方向Xで互いに隣り合うヘッド本体200の第2の間隔203Bは、第1ヘッド本体群202Aを構成するヘッド本体200、本実施形態では、ヘッド本体200A1に第2の方向Yで相対向して設けられている。このように第1ヘッド本体群202A及び第2ヘッド本体群202Bを配置することで、4つのヘッド本体200によって、ノズル開口21を同一ピッチで第1の方向Xに亘って連続して並設することができる。
【0070】
図9図14に示すように、ホルダー部材210は、記録シートSに相対向する面、すなわち、第3の方向ZのZ1側の面に複数のヘッド本体200を保持する。具体的には、ホルダー部材210のZ1側の面には、当該Z1側に開口する凹形状を有するヘッド保持部211が設けられている。ヘッド保持部211は、後述する第2矯正板280を収容し、さらに、固定板260により固定された複数のヘッド本体200を収容する。ヘッド保持部211の開口は固定板260により封止される。すなわち、ヘッド保持部211及び固定板260により形成された内部にヘッド本体200及び第2矯正板280が収容されている。
【0071】
ヘッド保持部211は、第1ヘッド本体群202A及び第2ヘッド本体群202Bを構成するように配置された各ヘッド本体200が収容可能な形状となっている。本実施形態では、第1ヘッド本体群202A及び第2ヘッド本体群202Bを構成するヘッド本体200の位置に対向するように、各ヘッド本体200よりも若干大きな長方形状の開口を有する4つの凹部を連通させることでヘッド保持部211が形成されている。換言すると、略長方形状の外形を有するホルダー部材210のZ1側の表面に、後述する第1収容部215及び第2収容部216以外の領域に凹部を設けることでヘッド保持部211が形成されている。
【0072】
また、詳細は後述するが、ホルダー部材210には第1流路の一例として第1接続流路213A、213B、第2接続流路214A、214Bが設けられている。第1流路は、ホルダー部材210に設けられた流路であって、流路部材240からインクが供給され、該インクをヘッド本体200に供給する流路である。
【0073】
第1接続流路213は、第3の方向Zに対して傾斜してホルダー部材210に設けられた流路である。本実施形態では、ホルダー部材210には、X1側の流路部材240、ヘッド本体200A1及びヘッド本体200B1に対して、第1接続流路213として第1接続流路213A及び第1接続流路213Bの2つが設けられている。また、ホルダー部材210には、X2側の流路部材240、ヘッド本体200A2及びヘッド本体200B2についても同様に、第1接続流路213として第1接続流路213A及び第1接続流路213Bの2つが設けられている。
【0074】
第1接続流路213Aは、流路部材240の第2供給路323(すなわち、2つあるうちのX2側の第2供給路323)と、第1ヘッド本体群202AのX1側のヘッド本体200A1のY2側の導入口44とを連通する。第1接続流路213Bは、流路部材240の第1供給路313(すなわち、2つあるうちのX1側の第1供給路313)と、第2ヘッド本体群202BのX1側のヘッド本体200B1のY1側の導入口44とを連通する。なお、X2側の流路部材240とヘッド本体200A2及びヘッド本体200B2とを接続する第1接続流路についても同様である。
【0075】
また、ヘッド保持部211の底面には、第3の方向ZのZ1側に突出した突起部217が設けられており、第1接続流路213A及び213BのZ1側の開口は、突起部217の頂面に開口している。第1接続流路213AのZ2側の開口は、後述する流路部材240の第2供給路323に対向する位置に開口している。第1接続流路213BのZ2側の開口は、後述する流路部材240の第1供給路313に対向する位置に開口している。なお、X2側の流路部材240とヘッド本体200A2及びヘッド本体200B2とを接続する第1接続流路についても同様である。
【0076】
第2接続流路214は、第3の方向Zに沿ってホルダー部材210に延設された流路である。本実施形態では、ホルダー部材210には、X1側の流路部材240、ヘッド本体200A1及びヘッド本体200B1に対して、第2接続流路214として第2接続流路214A及び第2接続流路214Bの2つが設けられている。また、ホルダー部材210には、X2側の流路部材240、ヘッド本体200A2及びヘッド本体200B2についても同様に、第2接続流路214として第2接続流路214A及び第2接続流路214Bの2つが設けられている。
【0077】
第2接続流路214Aは、流路部材240の第1供給路313(すなわち、2つあるうちのX2側の第1供給路313)と、第1ヘッド本体群202AのX1側のヘッド本体200A1のY1側の導入口44とを連通する。第2接続流路214Bは、流路部材240の第2供給路323(すなわち、2つあるうちのX1側の第2供給路323)と、第2ヘッド本体群202BのX1側のヘッド本体200B1のY2側の導入口44とを連通する。なお、X2側の流路部材240とヘッド本体200A2及びヘッド本体200B2とを接続する第2接続流路についても同様である。
【0078】
また、ヘッド保持部211の底面には、第3の方向ZのZ1側に突出した突起部217が設けられており、第2接続流路214A及び214BのZ1側の開口は、突起部217の頂面に開口している。第2接続流路214AのZ2側の開口は、後述する流路部材240の第1供給路313(すなわち、2つあるうちのX2側の第1供給路313)に対向する位置に開口している。第2接続流路214BのZ2側の開口は、後述する流路部材240の第2供給路323(すなわち、2つあるうちのX1側の第2供給路323)に対向する位置に開口している。なお、X2側の流路部材240とヘッド本体200A2及びヘッド本体200B2とを接続する第1接続流路についても同様である。
【0079】
さらに、ホルダー部材210には、ヘッド保持部211の底面に開口した第1配線挿通孔212が設けられている。この第1配線挿通孔212は、請求項のホルダーに部材に形成された配線挿通孔である。第1配線挿通孔212は、ヘッド保持部211と、ホルダー部材210のZ2側とを貫通している。
【0080】
このようなヘッド保持部211には、第2矯正板280が収容されている。第2矯正板280は、ホルダー部材210のZ1側の面に固定された板状部材からなり、液体噴射面20aの面方向、すなわち、第1の方向X及び第2の方向Yを含む方向が面方向となるように配置されている。本実施形態では、ヘッド保持部211に収容可能な形状に形成されており、具体的には、略長方形状の板状部材のうち第1収容部215及び第2収容部216に対向する領域を切り欠くことで形成されている。
【0081】
また、第2矯正板280は、液体噴射面20aに対する平面視において、全てのヘッド本体200の液体噴射面20a、すなわちノズルプレート20を覆う大きさを有している。このような第2矯正板280は、例えば、接着剤によりヘッド保持部211に収容されて接着されている。もちろん、ヘッド保持部211は接着剤によらず、例えばネジなどの固定手段によってホルダー部材210に固定されていてもよいし、ホルダー部材210と他の部材(例えば、ヘッド本体200など)との間に挟持されることでホルダー部材に固定されていてもよい。
【0082】
第2矯正板280には、ホルダー部材210に設けられた第1配線挿通孔212に連通する第2配線挿通孔282が形成されている。第1配線挿通孔212と第2配線挿通孔282とが連通して一つの連通孔となっている。ヘッド保持部211内に保持されたヘッド本体200の配線基板121は、第1配線挿通孔212及び第2配線挿通孔282を介してホルダー部材210のZ2側に引き出されて、配線基板121の引き出された端部が回路基板220と接続される。
【0083】
また、第2矯正板280には、第3の方向Zに貫通した開口281が設けられている。開口281は、ホルダー部材210に設けられた突起部217が挿通する程度の開口形状とされている。この開口281を挿通した突起部217は、ヘッド本体200のケース部材40に接着され、突起部217の頂面に開口した第1接続流路213及び第2接続流路214がヘッド本体200の導入口44に連通している。
【0084】
このように、ホルダー部材210には、第2接続流路214が第3の方向Zに沿って直線状に延設されている。また、第2矯正板280には、第3の方向Zに貫通した開口281が設けられている。第2接続流路214が開口した突起部217を第3の方向Zに沿って開口281に挿通させることで、第2接続流路214をヘッド本体の導入口44に連通させることができる。このような構成の第2矯正板の開口281によれば、第3の方向Zに沿った貫通孔として形成すればよいので、第2矯正板280の加工が容易である。すなわち、第2接続流路214と同様に第3の方向Zに対して傾斜して設ける必要はない。
【0085】
第2矯正板280は、ホルダー部材210よりも高い剛性を有する材料、例えば、金属板等からなり、ホルダー部材210に接合することで、ホルダー部材210の第1の方向X及び第2の方向Yを含む平面における歪みやねじれを矯正する。つまり、ホルダー部材210の製造時や加熱時に歪みやねじれが生じたとしても、ホルダー部材210の歪みやねじれを矯正した状態でホルダー部材210に第2矯正板280を接合することで、ホルダー部材210の歪みやねじれを矯正した状態を維持することができる。これにより、ホルダー部材210のヘッド本体200が接合されるZ1側の面の平面度を向上して、記録シートSへのインクの着弾位置ずれを抑制することができる。
【0086】
また、上述したように第2矯正板280は、全てのヘッド本体200の液体噴射面20aであるノズルプレート20を覆う大きさを有し、ホルダー部材210に接合されている。すなわち、第2矯正板280は、全てのヘッド本体200を保持するホルダー部材210に接着されるので、製造時等における歪みやねじれをより確実に矯正することができる。さらには、第2矯正板280により記録ヘッド2の剛性を向上することができる。
【0087】
図3図5図6及び図8に示すように、第2矯正板280及びヘッド本体200をヘッド保持部211に保持したホルダー部材210のZ1側の面には、ヘッド保持部211の開口を覆う固定板260が設けられている。
【0088】
固定板260は、ヘッド本体200が固定される部材である。本実施形態では、固定板260は、平板状の部材を折り曲げることで形成されており、液体噴射面20a側に設けられたノズル面形成部263と、ノズル面形成部263の外縁の一部が第3の方向ZのZ2側に屈曲して設けられた折り曲げ部261とを具備する。
【0089】
また、固定板260のノズル面形成部263には、ヘッド本体200の液体噴射面20aを露出する第2露出開口部262が形成されている。第2露出開口部262は、各ヘッド本体200の液体噴射面20aを独立して露出するように4つ形成されている。
【0090】
このような固定板260は、ヘッド本体200のコンプライアンス基板45の連通板15とは反対側である第3の方向ZのZ1側に接合されている。なお、固定板260は、コンプライアンス部49を封止しており、コンプライアンス部49にインクが付着することを抑制している。
【0091】
そして、固定板260のノズル面形成部263のうちホルダー部材210に対向する部分と、折り曲げ部261とがホルダー部材210に接着剤やネジなどの固定手段により固定されている。すなわち、複数のヘッド本体200が固定板260に固定された状態でホルダー部材210のヘッド保持部211に収容されている。
【0092】
また、固定板260に固定された各ヘッド本体200は、ケース部材40のZ2側の表面が第2矯正板280のZ1側の面に接着剤により接着されている。なお、当該接着剤は、ケース部材40の導入口44と、導入口44に連通した第1接続流路213及び第2接続流路214との境界からインクが漏れることを抑制するシールとしても機能する。
【0093】
なお、ヘッド本体200を第2矯正板280に接着せずに、ヘッド本体200と第2矯正板280とを離間した構成としてもよい。
【0094】
本実施形態のように、ヘッド本体200と第2矯正板280とが接着されていると、ホルダー部材210と固定板260との間に配置される部品は、ヘッド本体200と第2矯正板280の2種である。したがって、それらが収容されるヘッド保持部211の第3の方向Zにおける深さは、ヘッド本体200と第2矯正板280の2種を考慮して寸法公差を設計する必要がある。
【0095】
一方、ヘッド本体200と第2矯正板280とを離間した構成としては、例えば、ヘッド本体200は、導入口44が第1接続流路213及び第2接続流路214に連通した状態で、Z2側の面がホルダー部材210のZ1側の面に接着され、液体噴射面20a側が固定板260に接着された構成が挙げられる。そして第2矯正板280は、ホルダー部材210のZ1側の面にのみ接着され、ヘッド本体200には接着されていない構成が挙げられる。
【0096】
このような構成の記録ヘッド2においては、ホルダー部材210と固定板260との間に配置される部品は、実質的にヘッド本体200のみである。したがって、ヘッド保持部211の第3の方向Zにおける深さは、ヘッド本体200の1種を考慮して寸法公差を設計すればよい。このように、ホルダー部材210と固定板260との間に直接接触する部品として第2矯正板280が減った分、第3の方向Zにおける寸法公差を小さくすることができるので、記録ヘッド2の第3の方向Zにおける小型化を図ることができる。
【0097】
一方、ホルダー部材210には、第3の方向ZのZ2側の面に、回路基板220、第1矯正板230、流路部材240及びカバー部材250が固定される。
【0098】
図4図9図13に示すように、回路基板220は、液体噴射面20aに垂直な方向である第3の方向Zに沿った基板225と、基板225の両面に設けられて配線基板121に電気的に接続される接続部226とを備えている。回路基板220は、ホルダー部材210のZ2側の面に起立した状態で固定されている。すなわち、回路基板220は、第1の方向X及び第3の方向Zを含む方向が面方向となった状態で、ホルダー部材210のZ2側の面に固定されている。この回路基板220の固定位置は、ホルダー部材210の第2の方向Yの略中央であって、2列のヘッド本体群202の間に対応する位置に設けられている。すなわち、各ヘッド本体群202は、回路基板220を挟んで配置されている。
【0099】
また、回路基板220には、各ヘッド本体200から引き出された可撓性を有する配線基板121がそれぞれ電気的に接続されている。本実施形態では、回路基板220の第2の方向YのY1側に設けられた第1ヘッド本体群202Aを構成するヘッド本体200の配線基板121は、回路基板220のY1側の第1面222に接続されている。同様に、回路基板220の第2の方向YのY2側に設けられた第2ヘッド本体群202Bを構成するヘッド本体200の配線基板121は、回路基板220のY2側の第2面223に接続されている。つまり、各ヘッド本体200の配線基板121は、回路基板220を第2の方向Yに跨ぐことなく、回路基板220の両面にそれぞれ接続されている。
【0100】
また、本実施形態では、図10に示すように、第1ヘッド本体群202Aのヘッド本体200から引き出された配線基板121が接続される領域L1と、第2ヘッド本体群202Bのヘッド本体200から引き出された配線基板121が接続される領域L2とは、第2の方向Yにおいて少なくとも一部が重なるように配置されている。このように回路基板220と配線基板121との接続を回路基板220の第1面222及び第2面223の両面で行うため、第2の方向Yでヘッド本体200の一部が重なり、それぞれの配線基板121の回路基板220に接続される領域L1、L2の一部が互いに第2の方向Yで重なる場合であっても、ヘッド本体200の配線基板121と回路基板220との接続を容易に行うことができる。
【0101】
これに対して、例えば、回路基板220の一方面のみに全てのヘッド本体200の配線基板121を接続する場合、配線基板121同士が干渉してしまう。このため、配線基板121の接続部分が互いに干渉しないようにするには、配線基板121が回路基板220に接続される部分を第3の方向Zに異なる位置に変更する必要があり、回路基板220が第3の方向Zに大型化してしまう。本実施形態では、回路基板220の両面に配線基板121を接続するため、回路基板220を第3の方向Zに小型化することができる。
【0102】
なお、第1ヘッド本体群202Aのヘッド本体200から引き出された配線基板121が接続される領域L1と、第2ヘッド本体群202Bのヘッド本体200から引き出された配線基板121が接続される領域L2とが第2の方向Yにおいて少なくとも一部が重なる配置となるのは、第1の方向Xの幅が幅広の配線基板121を用いるからである。すなわち、第1の方向Xの幅が幅狭の配線基板121を用いた場合には、配線基板121の回路基板220への接続部分同士が第2の方向Yで重なる位置となることはない。
【0103】
ただし、ヘッド本体200は、近年、多くのノズル開口を設けた多ノズル化やノズル開口を高密度に配置した高密度化が求められているため、ノズル開口の高密度化に伴い小型化が図られていると共に、多ノズル化に伴い配線数が増加している。したがって、配線基板121の第1の方向Xの幅を狭くするのは困難であり、実質的に配線基板121の第1の方向Xの幅は、ヘッド本体200の第1の方向Xの幅と略同じになる。
【0104】
また、配線基板121の第1面222と第2面223とに接続される配線基板121が互いに一部が重なるように配置することができるため、第1の方向Xで隣り合うヘッド本体200を第2の方向Yにオーバーラップさせる量を自由に設計することが可能となる。したがって、第1の方向Xで隣り合うヘッド本体200の第2の方向Yで同じ位置となるノズル開口21の数を増やすことができ、ヘッド本体200の第1の方向Xのつなぎ目における印刷品質の劣化を低減することができる。
【0105】
なお、図12及び図13に示すように、回路基板220の配線基板121が接続される領域L1、L2は、第3の方向Zにおいて、ホルダー部材210の流路部材240の流路300が接続される面よりも液体噴射面20aとは反対側に設けられている。これにより、配線基板121と回路基板220とをヒートツール等によって接続する際に、ホルダー部材210の流路300が接続される部分が干渉することなく、配線基板121と回路基板220とを容易に且つ確実に接続することが可能となる。
【0106】
また、回路基板220を液体噴射面20aに対して垂直に起立させたので、液体噴射面20aの面方向において、回路基板220が占める領域を小さくできる。これにより記録ヘッド2を液体噴射面20aの面方向で小型化することができる。
【0107】
また、回路基板220には、第3の方向Zにおいて、ホルダー部材210とは反対側、すなわちZ2側の端部に電子部品の一例であるコネクター221が設けられている。回路基板220のコネクター221は、本実施形態では、2つの流路部材240の間で回路基板220をZ2側に延設し、延設した端部のY1側の面及びY2側の面のそれぞれに設けられている。このようなコネクター221には、図示しない外部配線を介して制御部が接続される。これにより、制御部からの信号等がコネクター221を介して回路基板220に供給され、回路基板220から配線基板121を介してヘッド本体200に供給される。なお、カバー部材250には、コネクター221に対応する領域にコネクター221を外部に露出するためのコネクター露出孔251が設けられており、コネクター露出孔251によって露出されたコネクター221に外部配線が接続される。
【0108】
図10図13に示すように、第1矯正板230は、平面形状であり、ホルダー部材210を矯正するための部材である。具体的には、第1矯正板230は、第1の方向X及び第3の方向Zを含む平面を有する矯正本体部231と、矯正本体部231に設けられて配線基板121が挿通する開口部233と、開口部233の第1の方向Xの両側に設けられた脚部232とを備える。
【0109】
このような第1矯正板230は、ホルダー部材210のZ2側の面に固定され、回路基板220の両面のそれぞれに対して、相対向するように配置されている。本実施形態では、一組の第1矯正板230がホルダー部材210のZ2側の面に回路基板220を挟んで固定されている。なお、第1矯正板230は二組以上備えていてもよい。
【0110】
また、図11に示すように、第1矯正板230は、液体噴射面20aに垂直な方向である第3の方向Zにおいて、回路基板220の接続部226を跨いでいる。ここでいう第1矯正板230が接続部226を跨ぐとは、回路基板220の平面視において、矯正本体部231および脚部232の第3の方向Zの位置が、少なくとも接続部226の第3の方向Zの位置に重なった状態をいう。換言すれば、第3の方向Zに沿った直線が矯正本体部231及び脚部232の少なくとも一部と、接続部226の一部とを通る。本実施形態では、矯正本体部231は、接続部226の第1の方向Xにおける全幅に亘って、第3の方向Zにおいて重なっている。このように矯正本体部231は、接続部226を跨ぐ大きさが接続部226の第1の方向Xにおける全幅になるように形成されているので、ホルダー部材210の矯正をより強固にすることができる。なお、矯正本体部231は、必ずしも回路基板220の接続部226を跨いでいなくてもよい。
【0111】
また、矯正本体部231に開口部233が設けられていることで、開口部233を有さない第1矯正板230を用いた場合に比較して、記録ヘッド2を第3の方向Zに小型化することができる。
【0112】
ちなみに、開口部233を有さない第1矯正板を用いた場合、第3の方向Zにおいて第1矯正板のZ2側の頂部を越えるようにして配線基板121を迂回させて回路基板220の接続部226に接合しなければならない。すなわち、回路基板220の接続部226は、第1矯正板230よりも第3の方向ZのZ2側に配置しなければならなくなり、第3の方向Zにおける回路基板220の大きさが大きくなってしまう。
【0113】
本実施形態では、矯正本体部231が接続部226を跨いでいるので、配線基板121は開口部233を通して接続部226に接続することができる。すなわち、接続部226を少なくとも一部が矯正本体部231に重なる位置に形成することができるので、回路基板220の第3の方向Zにおける回路基板の大きさを小さくすることができる。これにより、記録ヘッド2の第3の方向Zにおける小型化を図ることができる。
【0114】
このような第1矯正板230は、回路基板220よりも小さな面積を有し、回路基板220の両面側において回路基板220と間隔を開けて配置されている。また、第1矯正板230は、回路基板220と配線基板121とを接続する接続部226と第2の方向Yで対向する位置に、配線基板121を挿通可能な開口部233を有する。この開口部233は、第1矯正板230のホルダー部材210に固定されたZ1側の端部からZ2側の途中まで凹状に切り欠いて形成されている。なお、本実施形態では、第1矯正板230は、ホルダー部材210の第1の方向Xよりも短い長さを有し、2枚の第1矯正板230は、それぞれホルダー部材210の第1の方向XのX1側及びX2側の端部側に配置されている。具体的には、回路基板220よりもY1側に設けられた第1矯正板230は、ホルダー部材210に対してX1側の端部側に設けられており、X2側のヘッド本体200A2の配線基板121に達しない長さで形成されている。つまり、Y1側の第1矯正板230には、ヘッド本体200A1の配線基板121を挿通する開口部233が1つだけ設けられており、X2側のヘッド本体200A2の配線基板121は、第1矯正板230の外側であるX2側で回路基板220に接続されている。また、Y2側に設けられた第1矯正板230は、ホルダー部材210に対してX2側の端部側に設けられており、X1側のヘッド本体200B1に達しない長さで形成されている。つまり、Y2側の第1矯正板230には、ヘッド本体200B2の配線基板121を挿通する開口部233が1つだけ設けられており、X1側のヘッド本体200A1の配線基板121は、第1矯正板230の外側であるX1側で回路基板220に接続されている。このようなY1側及びY2側に設けられた第1矯正板230は、ホルダー部材210の第1の方向Xの中央部において、一部が第2の方向Yで互いに相対向して設けられている。すなわち、2枚の第1矯正板230は、第2の方向Yにおいて重なってホルダー部材210の第1の方向Xの略全体に亘って設けられている。
【0115】
第1矯正板230は、ホルダー部材210よりも高い剛性を有する材料、例えば、金属板等からなり、ホルダー部材210に接合することで、ホルダー部材210の第3の方向Zへの反りを矯正する。つまり、ホルダー部材210の製造時や加熱時に反りが生じたとしても、ホルダー部材210の反りを矯正した状態でホルダー部材210に第1矯正板230を接合することで、ホルダー部材210の反りを矯正した状態で維持することができる。これにより、ホルダー部材210のヘッド本体200が接合されるZ1側の面の平面度を向上して、記録シートSへのインクの着弾位置ずれを抑制し、噴射品質が向上した記録ヘッド2が得られる。
【0116】
また、第1矯正板230は、回路基板220と相対向するように回路基板220の両面に配置されている。これにより、第1矯正板230は、製造時等における歪みやねじれを矯正するだけでなく、記録ヘッド2の剛性を向上することにも寄与している。
【0117】
このようなホルダー部材210の反りを矯正することができる記録ヘッド2の製造方法としては、固定板260が固定されていないホルダー部材210に対して、ホルダー部材210の固定板260が固定される側の面である第3の方向ZにおけるZ1側の面を、例えば、常磐の上に置くなど平坦を担保できる部材の上に載置し、当該ホルダー部材210側に第1矯正板230を押し付けるようにしてホルダー部材210に固定する。これにより、ホルダー部材の成形によって生じた反りを矯正することができる。
【0118】
なお、第1矯正板230は、上述のように1枚ではホルダー部材210の第1の方向Xの全体に亘る長さで形成されていないが、2枚の第1矯正板230を第1の方向Xに互いにずらして配置することで、2枚の第1矯正板230を第2の方向Yにおいて重なってホルダー部材210の第1の方向Xの略全体に亘って形成することができ、ホルダー部材210の反りを効果的に矯正することができる。ちなみに、1枚の第1矯正板230の長さをホルダー部材210の第1の方向Xの略全体に亘って形成することも考えられるが、第1矯正板230に配線基板121を挿通する開口部233が2つ必要になると共に、開口部233を形成するための余分な領域が必要になり、ホルダー部材210が第1の方向Xに大型化してしまう。本実施形態では、2枚の第1矯正板230のそれぞれに開口部233を1つずつ設けることで、第1矯正板230に余分な領域が不要となり、ホルダー部材210を第1の方向Xに小型化することができる。
【0119】
また、図10に示すように、回路基板220は、上述したように電子部品の一例としてコネクター221を有する。一組の第1矯正板230が相対向する方向、すなわち第2の方向Yにおけるコネクター221の寸法である幅をW1とする。また、第2の方向Yにおいて、回路基板220と第1矯正板230との間隔をW2とする。
【0120】
このコネクター221の幅W1は、回路基板220と第1矯正板230との間隔W2よりも大きくなっている。そして、図11に示すように、コネクター221は、回路基板220のうち第1矯正板230が対向しない位置に配置されている。すなわち、回路基板220に対する平面視において、コネクター221は、回路基板220のうち第1矯正板230に重ならない位置に配置されている。本実施形態では、第3の方向Zにおいて、コネクター221は、第1矯正板230よりもZ2側に配置されている。
【0121】
このように、コネクター221の幅W1が間隔W2よりも大きい場合であっても、コネクター221を第1矯正板230よりもZ2側に配置することで、第1矯正板230を幅W1よりも短い間隔W2となるように回路基板220に近接して配置することができる。換言すれば、コネクター221に干渉しないように幅W1以上に第2の方向Yにおいて第1矯正板230を回路基板220から離隔する必要がない。したがって、記録ヘッド2を第2の方向Yにおいて小型化することができる。
【0122】
なお、電子部品の一例としては、上述したコネクター221の他に、例えば、コンデンサー、トランジスター及び集積回路等が挙げられる。また、コネクター221の寸法や、回路基板220と第1矯正板230との間隔は上述したものに限定されるものではない。
【0123】
上述したように、回路基板220及び第1矯正板230はホルダー部材210のZ2側の面に起立した状態で固定されている。具体的には、図4及び図12に示すように、ホルダー部材210のZ2側の表面には、回路基板220が挿通される凹部として回路基板固定部275及び第1矯正板230が挿通される凹部として矯正板固定部276が設けられている。
【0124】
回路基板固定部275は、第1の方向Xに沿って長尺に形成され、回路基板220の第1の方向Xにおける幅と略同じ幅で形成されている。また、回路基板固定部275は、第2の方向Yにおいて、ホルダー部材210の略中央に位置している。
【0125】
回路基板固定部275には、回路基板固定部275の第3の方向ZにおけるZ1側の端部が挿入される。回路基板固定部275に回路基板220が挿入されることで、回路基板220が第3の方向Zに沿って起立した状態でホルダー部材210に固定されている。
【0126】
矯正板固定部276は、第1の方向Xに沿って長尺に形成され、第1矯正板230の脚部232の第1の方向Xにおける幅と略同じ幅で形成されている。本実施形態では、第1矯正板230の脚部232は2つであるので、一つの第1矯正板230について、2つの矯正板固定部276が第1の方向Xに沿って配置されている。そして、第1の方向Xに並設された二つの矯正板固定部276は、回路基板固定部275を挟んで第2の方向Yの両側に設けられている。
【0127】
矯正板固定部276には、脚部232の第3の方向ZにおけるZ1側の端部が挿入される。矯正板固定部276に脚部232が挿入されることで、第1矯正板230が第3の方向Zに沿って起立した状態でホルダー部材210に固定されている。なお、矯正板固定部276の深さは、脚部232が矯正板固定部276に挿入された状態において開口部233がホルダー部材210のZ2側の表面上に開口し、配線基板121が挿通できる程度とされている。
【0128】
そして、第1矯正板230と回路基板220とは、第3の方向Zに対して傾斜した第1接続流路213に沿うようにホルダー部材210に固定されている。
【0129】
すなわち、図12に示すように、第1接続流路213が延設された方向である第2の方向Y及び第3の方向Zを含む平面視において、第1接続流路213は、第2の方向Yの外側から中心に向かうほど、ホルダー部材210のZ1側の表面との距離が長くなっている。一方、第2の方向Yにおいて第1矯正板230よりも中心側に位置する回路基板220は、第1矯正板230よりもZ1側に深くホルダー部材210の回路基板固定部275に挿入されている。
【0130】
このように傾斜した第1接続流路213をホルダー部材210に設けることで、第2の方向Yにおける中心部分には、回路基板固定部275を形成可能な領域を矯正板固定部276よりも大きくすることができる。換言すれば、回路基板固定部275を第1接続流路213に干渉させずに形成しやすくなる。
【0131】
これにより、回路基板固定部275を矯正板固定部276よりも深く形成することができ、回路基板220を深く挿入することができる。これにより、回路基板220の接続部226をZ1側に近づけることが可能となり、接続部226に接続される配線基板121を短くすることができる。特に、配線基板121をフレキシブルケーブルとして形成した場合、高価であるが、配線基板121を短くすることができるので、配線基板121に係るコストを低減することができる。もちろん、第1矯正板230と回路基板220とは第1接続流路213に沿うようにホルダー部材210に形成されていなくてもよい。
【0132】
図9図11図13に示すように、流路部材240は、液体貯留手段4から導入されたインクをヘッド本体200に供給するものであり、内部には第2流路の一例である流路300が設けられている。
【0133】
本実施形態の流路部材240は、第2の方向Yで近接する2つのヘッド本体200に対して1つずつ設けられている。すなわち、第1ヘッド本体群202AのX1側のヘッド本体200と第2ヘッド本体群202BのX1側のヘッド本体200とに共通する流路部材240と、第1ヘッド本体群202AのX2側のヘッド本体200と第2ヘッド本体群202BのX2側のヘッド本体200とに共通する流路部材240との2つが設けられている。
【0134】
この流路部材240は、回路基板220を第2の方向Yに跨いで回路基板220の両面側に配置されている。本実施形態では、流路部材240は、回路基板220と2つの第1矯正板230とを第2の方向Yに跨ぐように連続して設けられている。具体的には、流路部材240は、ホルダー部材210の第2の方向Yの幅と略同じ幅を有し、第2の方向Yの中央部にはZ1側の面に開口する凹部241が形成されている。凹部241は、回路基板220及び2枚の第1矯正板230を挿入可能な幅で、第3の方向Zにおいてホルダー部材210のZ2側の面から回路基板220のZ2側の端部(コネクター221の設けられた部分を除く)までの高さよりも深く形成されている。これにより、流路部材240の凹部241内に回路基板220及び2枚の第1矯正板230を挿入することで、回路基板220及び2枚の第1矯正板230の両側でホルダー部材210のZ2側の面に固定することができる。
【0135】
このような流路部材240の内部には、流路300が設けられている。流路300は、供給管8(図1参照)が接続される導入路301と、導入路301から2つに分岐して回路基板220のY1側に設けられた第1液体流路310と、回路基板220のY2側に設けられた第2液体流路320とを具備する。
【0136】
導入路301は、流路部材240の第3の方向ZのZ2側の面に突出して設けられた供給針242の先端に開口して設けられている。供給針242は、液体噴射面20aに交差する方向に沿って延びる針形状を有する部位である。本実施形態では、供給針242は、液体噴射面20aに直交する第3の方向Zに沿っている。このように供給針242が液体噴射面20aに交差するように設けることで、液体噴射面20aの面内方向の寸法を小さくすることができる。ここでいう面内方向とは、液体噴射面20aを含む第1の方向Xのみ、第2の方向Yのみ、又は第1の方向Xと第2の方向Yとを合成した任意の方向をいう。
【0137】
カバー部材250には、供給針242をカバー部材250の外側に露出させる露出部290が設けられている。このような露出部290から露出した供給針242に供給管8が接続されることで、供給管8と導入路301とは連通する。なお、露出部290の詳細については後述する。
【0138】
第1液体流路310及び第2液体流路320は、ヘッド本体200の各々に設けられた2つの導入口44にそれぞれ連通して設けられている。具体的には、第1液体流路310は、導入路301に連通する第1連通路311と、第1連通路311に連通する第1液体溜まり部312と、第1液体溜まり部312に連通する2つの第1供給路313と、を具備する。
【0139】
第1連通路311の一部及び第1液体溜まり部312は、流路部材240の側面、すなわち、回路基板220とは反対側の面であって、Y1側の面に開口して設けられた凹形状部に設けられている。凹形状部は外壁部245に囲まれており、第1液体溜まり部312の開口部分は、固定部材であるフィルム243を外壁部245に溶着することによって封止されている。
【0140】
また、詳細は後述するが、第1液体溜まり部312にはゴミや気泡等の異物を除去するためのフィルター244が、第1の方向Xに2つ並んで設けられており、第1連通路311から第1液体溜まり部312に流入したインクは、2つのフィルター244を通過して第1液体溜まり部312から2つの第1供給路313に供給される。すなわち、第1液体溜まり部312はフィルター244を収容するフィルター室であり、上流側を上流フィルター室3121、下流側を下流フィルター室3122という。
【0141】
2つの流路部材240のうち第1の方向XのX1側の流路部材240について、第1液体溜まり部312は、第1の方向Xに並設された第1ヘッド本体群202AのX1側のヘッド本体200A1と、第2ヘッド本体群202BのX1側のヘッド本体200B1との2つに跨がるように、第1の方向Xに延在している。そして、第1供給路313は、第1の方向Xに2つ並設されており、2つの第1供給路313は、流路部材240のZ1側の面に開口している。ここでは各第1供給路313a、313bとも称する。一方の第1供給路313aは、第2接続流路214Aを介して、ヘッド本体200A1のY1側の導入口44に接続される。他方の第1供給路313bは、ホルダー部材210に形成された第1接続流路213Bを介して、ヘッド本体200B1のY1側の導入口44に接続される。
【0142】
第2液体流路320は、導入路301に連通する第2連通路321と、第2連通路321に連通する第2液体溜まり部322と、第2液体溜まり部322に連通する2つの第2供給路323と、を具備する。
【0143】
第2連通路321の一部及び第2液体溜まり部322は、流路部材240の側面、すなわち、回路基板220とは反対側の面であって、Y2側の面に開口して設けられた凹形状部に設けられている。凹形状部は外壁部245に囲まれており、第2液体溜まり部322の開口部分は、外壁部245にフィルム243によって封止されている。
【0144】
また、詳細は後述するが、第2液体溜まり部322にはゴミや気泡等の異物を除去するためのフィルター244が、第1の方向Xに2つ並んで設けられており、第2連通路321から第2液体溜まり部322に流入したインクは、2つのフィルター244を通過して第2液体溜まり部322から2つの第2供給路323に供給される。すなわち、第2液体溜まり部322はフィルター244を収容するフィルター室であり、上流側を上流フィルター室3221、下流側を下流フィルター室3222という。
【0145】
2つの流路部材240のうち第1の方向XのX1側の流路部材240について、第2液体溜まり部322は、第1の方向Xに並設された第1ヘッド本体群202AのX1側のヘッド本体200A1と、第2ヘッド本体群202BのX1側のヘッド本体200B1との2つに跨がるように、第1の方向Xに延在している。そして、第2供給路323は、第1の方向Xに2つ並設されており、2つの第2供給路323は、流路部材240のZ1側の面に開口している。ここでは各第1供給路313a、313bとも称する。一方の第2供給路323aは、第1接続流路213Aを介して、ヘッド本体200A1のY2側の導入口44に接続される。他方の第2供給路323bは、ホルダー部材210に形成された第2接続流路214Bを介して、ヘッド本体200B1のY2側の導入口44に接続される。
【0146】
2つの流路部材240のうち第1の方向XのX2側の流路部材240についても同様の構成を備える。すなわち、当該流路部材240は、ヘッド本体200A2のY1側の導入口44と連通する第1供給路313a、ヘッド本体200B2のY2側の導入口44と連通する第1供給路313b、ヘッド本体200A2のY2側の導入口44と連通する第2供給路323a、ヘッド本体200B2のY2側の導入口44と連通する第2供給路323bとを有する。
【0147】
ホルダー部材210には、1つのヘッド本体200に対して、第1流路の一例である第1接続流路213と、第2接続流路214とが設けられている。本実施形態では、ホルダー部材210に4つのヘッド本体200が固定されているため、第1接続流路213と第2接続流路214とは合計8個設けられている。
【0148】
具体的には、第1ヘッド本体群202AのX1側のヘッド本体200A1のY1側の導入口44に連通する第2接続流路214Aは、回路基板220のY1側に、第3の方向Zに沿った直線状に延設されて、第1供給路313aと連通する。また、ヘッド本体200A1のY2側の導入口44に連通する第1接続流路213Aは、第3の方向Zに対して傾斜した方向に沿った直線状に延設されている。第1接続流路213Aのインクの入口となるZ2側の開口は、回路基板220よりも第2の方向YのY2側にあり、インクの出口となるZ1側の開口は、回路基板220よりも第2の方向YのY1側にある。つまり、第1接続流路213Aは、回路基板220に対して第2供給路323aに接続されるY2側からヘッド本体200A1が設けられた回路基板220のY1側に向かって傾斜して設けられている。これにより、回路基板220のY2側に設けられた第2供給路323aと、Y1側に設けられたヘッド本体200A1のY2側の導入口44とを第1接続流路213Aを介して容易に接続することができる。なお、本実施形態の第1接続流路213Aは、第3の方向Zに対して傾斜して設けられたものであるが、第1接続流路213Aは特にこれに限定されず、例えば、第3の方向Zに沿って設けられた垂直流路と第2の方向Yに沿って設けられた水平流路とで構成するようにしてもよい。ただし、本実施形態のように傾斜した第1接続流路213Aを設けることで、ホルダー部材210を成形によって1部品で形成することができ、水平流路等を設ける場合に比べて部品点数を減少させてコストを低減することができる。
【0149】
同様に、第2ヘッド本体群202BのX1側のヘッド本体200B1のY2側の導入口44に連通する第2接続流路214Bは、回路基板220のY2側に、第3の方向Zに沿った直線状に延設されて、第2供給路323と連通する。また、ヘッド本体200B1のY1側の導入口44に連通する第1接続流路213Bは、第3の方向Zに対して傾斜した方向に沿った直線状に延設されている。第1接続流路213Bのインクの入口となるZ2側の開口は、回路基板220よりも第2の方向YのY1側にあり、インクの出口となるZ1側の開口は、回路基板220よりも第2の方向YのY2側にある。つまり、第1接続流路213Bは、回路基板220に対して第1供給路313bに接続されるY1側からヘッド本体200B1が設けられた回路基板220のY2側に向かって傾斜して設けられている。これにより、回路基板220のY1側に設けられた第1供給路313bと、Y2側に設けられたヘッド本体200B1のY1側の導入口44とを第1接続流路213Bを介して容易に接続することができる。なお、本実施形態の第1接続流路213Bは、第3の方向Zに対して傾斜して設けられたものであるが、第1接続流路213Aと同様に、例えば、第3の方向Zに沿って設けられた垂直流路と第2の方向Yに沿って設けられた水平流路とで構成するようにしてもよい。
【0150】
また、第1ヘッド本体群202AのX2側のヘッド本体200A2と、第2ヘッド本体群202BのX2側のヘッド本体200B2とに対応して設けられた流路部材240についても、上述した流路部材240と同様の構成であるため、重複する説明は省略する。
【0151】
以上説明したように、1つのヘッド本体200に接続される第1接続流路213と第2接続流路214とは、搬送方向である第2の方向Yにおいてヘッド本体200に接続される部分の幅が、流路300に接続される部分の幅よりも狭くなっている。つまり、第2の方向Yに並設された2列のノズル列の間隔を狭くすることができ、2列のノズル列から噴射されたインクの着弾位置ずれが生じ難い。
【0152】
また、図11及び図12に示すように、本実施形態では、ヘッド本体200A1及びヘッド本体200B1に接続される2つの第1接続流路213は、第1の方向Xから見た場合に、互いに交わるように配置されている。したがって、2つの第1接続流路213を収容する第2の方向Yのスペースを減少させて小型化することができる。ヘッド本体A2及びヘッド本体B2の2つの第1接続流路213についても同様である。
【0153】
このようなホルダー部材210には、図8図12図14に示すように、各ヘッド本体群202において、第1の方向Xに並設されたヘッド本体200の間の間隔203に凹形状に切り欠いた第1収容部215が設けられている。すなわち、ホルダー部材210には、第1ヘッド本体群202Aの第1の間隔203A、及び第2ヘッド本体群202Bの第2の間隔203Bに対応して、第1収容部215が設けられている。
【0154】
第1収容部215は、ホルダー部材210のZ1側の面に開口すると共に、第2の方向Yの一側面に開口して設けられている。すなわち、Y1側に設けられた第1ヘッド本体群202Aの第1の間隔203Aに設けられた第1収容部215は、ホルダー部材210のY1側の側面に開口する。また、Y2側に設けられた第2ヘッド本体群202Bの第2の間隔203Bに設けられた第1収容部215は、ホルダー部材210のY2側の側面に開口する。なお、本実施形態では、ヘッド本体群202は2つのヘッド本体200で構成されて、1つの間隔203が設けられているため、ヘッド本体群202毎に1つの第1収容部215が設けられている。もちろん、ヘッド本体群202が3個以上のヘッド本体200で構成されている場合には、間隔203は、2つ以上形成されるため、ヘッド本体群202毎に2つ以上の第1収容部215を設けるようにしてもよい。このような第1収容部215は、第1接続流路213に干渉しない深さで形成されている。すなわち、第1接続流路213を第3の方向Zに対して傾斜して設けることで、第1接続流路213のZ1側に第1収容部215を形成することが可能である。これに対して、第1接続流路213をホルダー部材210のZ1側を通るように設けると、第1収容部215を設けることができなくなってしまう。もちろん、第1収容部215が第1接続流路213に干渉する場合には、第1収容部215の一部に第1接続流路213が内部に形成された部分が突出して設けられていてもよい。
【0155】
また、ホルダー部材210には、第1ヘッド本体群202Aと第2ヘッド本体群202Bとを互いに第1の方向Xにずらして配置することで、第1ヘッド本体群202Aの端部と、第2ヘッド本体群202Bの端部との間に第1の方向Xに隙間204が設けられている。すなわち、第1ヘッド本体群202AのX1側と、第2ヘッド本体群202BのX2側とにそれぞれ隙間204が設けられている。本実施形態では、第1ヘッド本体群202AのX1側に設けられた隙間204を隙間204Aとも称し、第2ヘッド本体群202BのX2側に設けられた隙間204を隙間204Bとも称する。
【0156】
そして、各隙間204には、凹形状に切り欠いた第2収容部216が設けられている。第2収容部216は、ホルダー部材210のZ1側の面に開口すると共に、第1の方向Xの一側面及び第2の方向Yの一側面に開口して設けられている。すなわち、Y1側の隙間204Aに設けられた第2収容部216は、ホルダー部材210のY1側の側面とX2側の側面とに開口して設けられている。また、Y2側の隙間204Bに設けられた第2収容部216は、ホルダー部材210のY2側の側面とX1側の側面とに開口して設けられている。すなわち、隙間204Aに設けられた第2収容部216は、第2ヘッド本体群202Bのヘッド本体200B1に第2の方向Yで相対向し、隙間204Bに設けられた第2収容部216は、第1ヘッド本体群202Aのヘッド本体200A2に第2の方向Yで相対向する。
【0157】
このような第1収容部215及び第2収容部216には、本実施形態では、ローラーユニット610のヘッド内ローラー630の少なくとも一部が収容される。
【0158】
また、このような記録ヘッド2は、図2に示すように、キャリッジ3に当該キャリッジ3よりも液体噴射面20a側が記録シートS側に突出するように搭載される。
【0159】
上述したように、ホルダー部材210には、複数のヘッド本体200と、回路基板220と、該ヘッド本体200にインクを供給する流路部材240が保持されている。このようなホルダー部材210のZ2側には、回路基板220及び流路部材240等を収容するカバー部材250が設けられている。
【0160】
ここで、本実施形態に係る流路部材240についてさらに詳細に説明する。図16は、流路部材240の分解斜視図、図17は、図16を第2の方向Y及び第3の方向Zに沿って切断したF−F′線断面図、図18は、図17を第2の方向Yに沿って切断したG−G′線断面図、図19は、図17を第2の方向Yに沿って切断したH−H′線断面図である。
【0161】
これらの図面に示すように、流路部材240は、ホルダー部材210の第2の方向Yの幅と略同じ幅を有し、第2の方向Yの中央部にはZ1側の面に開口する凹部241が形成されている。凹部241は、回路基板220及び2枚の第1矯正板230を挿入可能な幅で、第3の方向Zにおいてホルダー部材210のZ2側の面から回路基板220のZ2側の端部(コネクター221の設けられた部分を除く)までの高さよりも深く形成されている。これにより、流路部材240の凹部241内に回路基板220及び2枚の第1矯正板230を挿入することで、回路基板220及び2枚の第1矯正板230の両側でホルダー部材210のZ2側の面に流路部材240を固定することができる。
【0162】
流路部材240の第3の方向ZのZ2側の面に突出して設けられた供給針242の先端に開口して設けられている導入路301は、図18の左右方向に延設される分岐用流路3011に連通し、分岐用流路3011は、連通流路3012に連通する。かかる分岐用流路3011は、導入路301を第2の方向YのY1側とY2側に分岐するものであり、流路部材の第1分岐点となる。連通流路3012は、流路壁部246により規定されている。流路壁部246は、外壁部245から少し離れた位置から、2つのフィルター244の間の鉛直方向の途中の位置まで延設され、流路部材240の側面、すなわち、回路基板220とは反対側の面であって、Y1側及びY2側の面には、外壁部245へ溶着される固定部材であるフィルム243が溶着され、封止される。これにより、連通流路3012は、上流側は導入路301のみに連通し、下流側の出口部分2461を介して第1液体溜まり部312及び第2液体溜まり部322の上流フィルター室3121、3221に連通する。
【0163】
このように、流路部材240には、凹部の厚さ方向両側、すなわち、第2の方向Yの両側のそれぞれに、フィルター室である第1液体溜まり部312及び第2液体溜まり部322を有する。これによれば、基板をの両側のスペースを有効に活用してフィルター室を配置できるので、下流側への液体の供給において圧力損失をさらに低減できる。
【0164】
また、本実施形態では、流路部材24の入口側に設けた分岐用流路3011により厚さ方向、すなわち、第2の方向Yに分岐したが、これに限定されず、連通流路3012の出口部分2461に至るまでの流路途中において、第2の方向Yに分岐されていればよい。これによれば、流路部材が分岐する流路を有することにより、上流側の流路との接続が簡便となる。
【0165】
本実施形態では、上流フィルター室3121、3221のそれぞれには、2つのフィルター244が設けられている。すなわち、上流フィルター室3121、3221は、それぞれ2つのフィルター244の共通するフィルター室となっている。一方、下流フィルター室3122,3222は、第1の方向Xに並設されたフィルター244に対応して2つに分離されている。なお、上流フィルター室3121、3221のそれぞれに2つずつ設けられたフィルター244を、1つずつとし、下流フィルター室3122、3222をそれぞれ2つに分離してもよいし、上流フィルター室3121、3221のそれぞれに2つずつ設けられたフィルター244を、1つずつとし、下流フィルター室3122、3222もそれぞれ1つずつとしてもよい。
【0166】
何れにしても、下流フィルター室3122、3222以降において、第1の方向XのX1側とX2側に流路が分岐され、第1供給路313及び第2供給路323に繋がるので、ここが第2分岐点となる。
【0167】
上流フィルター室3121、3221の鉛直方向上方のスペースは、気泡室315、325となっている。気泡室315、325は、フィルター244により除去された気泡を貯留する空間であり、外壁部245に囲まれ、フィルム243により封止された空間のうち、上流フィルター室3121、3221以外の空間をいう。なお、上流フィルター室3121、3221と気泡室315、325とは完全に連通した空間であり、境界がどこになるかは特に規定する必要はなく、気泡が溜まりうる空間であって、気泡が貯留しても流路部材240として機能する範囲を気泡室315、325という。本実施形態では、仮に、フィルター244の鉛直方向上端を気泡室315、325の下端とする。すなわち、ここまで気泡が溜まっても、フィルター244に気泡が接触することがなく、流路部材240の機能が阻害されないからである。
【0168】
また、上述した連通流路3012の一部は、気泡室315、325内に設けられているが、出口部分2461がフィルター244の鉛直方向上端より下方、すなわち、流路壁部246が上流フィルター室3121、3221まで延設され、出口部分2461が上流フィルター室3121、3221内に開口しているので、出口部分2461が気泡により塞がれる虞はない。このように、連通流路3012の出口部分2461は、フィルター244の上端位置以下の位置、好ましくは、フィルター244の鉛直方向の中間位置より低いとこころに開口するのが好ましい。
【0169】
なお、連通流路3012を規定する流路壁部246の上端壁部2462は、外壁部245と所定の間隔をあけて設けられている。上端壁部2462と外壁部245との隙間3151、3251は、気泡室315、325内の気泡の流路となり、気泡室315、325を流路壁部246により第1の方向Xに分断しないためのものである。
【0170】
このように、2つのフィルター244に対応する気泡室315は、第1の方向Xにおいて連通する連通気泡室である。また、同じく2つのフィルター244に対応する気泡室325は、第1の方向Xにおいて連通する連通気泡室である。よって、2つのフィルターで気泡の貯留量がばらついても均一化を図れるので、結果的に大容量の気泡を貯留することができる。
【0171】
また、連通流路3012の出口部分2461は、2つのフィルター244の間に設けるのが好ましい。これは、両方のフィルター244に均等に液体が供給できるようにするためである。但し、連通流路3012の出口部分2461は、必ずしもフィルター244の間に配置されなくてもよく、両方のフィルター244への供給が十分であればよい。
【0172】
ここで、気泡室315、325の図19に示すように、凹部241の上方まで形成されているので、上部における第2の方向Yの寸法は、上流フィルター室3121、3221及び下流フィルター室3122、3222の合計の寸法より大きくなっており、気泡を多く溜められるようになっている。なお、第2の方向Yの両側に位置する気泡室315と気泡室325は、本実施形態では、隔壁247により隔離されている(図19参照)。このように隔壁247を設けることにより、下流フィルター室3122又は下流フィルター室3222の何れかが大きな負圧となった場合に、気泡室315、325の両方に溜まった気泡が負圧側に移動して上流フィルター室3121、3221まで気泡が入り込むのを防止することができる。
【0173】
なお、図19で上流フィルター室3121、3221と気泡室315、325とを分離しているように見えるガイド部材248は、フィルター244の上端に沿って、図17に示すように、フィルター244の第1の方向Xの一部に設けられており、フィルター244を設置する際にガイドになる部材である。また、ガイド部材248は、フィルム243の溶着部となるので、フィルム243をより安定して支持できる効果も奏する。勿論、ガイド部材248は必ずしも設ける必要はない。なお、ガイド部材248は、中壁部の一例である。
【0174】
以上説明したように、流路部材240の第1の方向XのX1側の外壁部245により囲まれた凹部には、フィルター室となる第1液体溜まり部312及び気泡室315が設けられ、X2側の外壁部245により囲まれた凹部には、フィルター室となる第2液体溜まり部322及び気泡室325が設けられている。そして、第1液体溜まり部312及び気泡室315、及び流路壁部246で囲まれた連通流路3012は、外壁部245及び流路壁部246に共通の1つの固定部材であるフィルム243を溶着することにより封止されている。また、第2液体溜まり部322及び気泡室325、及び流路壁部246で囲まれた連通流路3012は、外壁部245及び流路壁部246に共通の1つの固定部材であるフィルム243を溶着することにより封止されている。これによれば、フィルター室である第1及び第2液体溜まり部312、322及び気泡室315、325を、共通の1つの固定部材であるフィルム243により封止することにより形成でき、比較的簡便に作製できる。また、気泡室315、325を通って上流フィルター室3121、3221へ連通する連通流路も共通の固定部材であるフィルム243で形成できるので、比較的簡便に作製でき、また、連通流路の流路壁部は固定部材を安定に支持することができる。
【0175】
ここで、流路部材240は、樹脂成形により形成されるのが好ましいが、外壁部245と流路壁部246とが不連続であるので、樹脂成形のヒケ対策となり、また、流路壁部246に邪魔されずに気泡が気泡室315、325内を移動でき、気泡室315、325の容量も向上する。
【0176】
また、固定部材はフィルム243ではなく、剛性を有する板部材であってもよいが、フィルム243とすると、固定部材のコストを低減でき、また、外壁部245と流路壁部246などの溶着面の平面度が求められないので、さらに作製が簡便となる。また、フィルム243からなる固定部材がコンプライアンスになるが、流路壁部246がそれを低減できる。
【0177】
フィルター室となる第1液体溜まり部312及び気泡室315が設けられ、また、フィルター室となる第2液体溜まり部322及び気泡室325が設けられている凹部は、図19に示すように、鉛直方向上方、すなわち、第1液体溜まり部312及び第2液体溜まり部322より上方では、第2の方向Yの寸法が大きく、すなわち、凹部が深く形成されている。これによれば、ヘッド本体を駆動させるための配線基板等を有効に配置しつつフィルターの寸法を大きくでき、フィルター244による圧力損失を低減できる。さらに、フィルターに垂直な方向において、気泡室315、325の寸法が、フィルター室である第1液体溜まり部312及び第2液体溜まり部322の寸法よりも大きいので、気泡をたくさん貯留することができる。
【0178】
さらに、以上説明したように、気泡室315、325は、それぞれ2つのフィルター244に対応し、それぞれは第1の方向Xにおいて連通する連通気泡室であるが、第2の方向Yにおいては、気泡室315と気泡室325とは隔壁247により分離されている。このようにすることで、第1の方向Xについて記録ヘッド2の全幅に亘って液体を吐出するのではなく、記録ヘッド2の一部の幅に亘って液体を吐出する場合であっても、隔壁247により分離された気泡室315と気泡室325とのそれぞれに貯留される気泡の量が偏るのを低減させることができる。この結果、気泡室315、325のいずれかに多寡に溜まった気泡が負圧側に移動して上流フィルター室3121、3221まで気泡が入り込むのを防止することができる。
【0179】
次に、カバー部材250について詳細に説明する。図3図6図7図11図13図15図17に示すように、カバー部材250は、ホルダー部材210と一体化されて、内部に回路基板220及び流路部材240を収容する部材である。すなわち、カバー部材250は、ホルダー部材210に一体化され、回路基板220及び流路部材240を収容することが可能な大きさの内部空間259を形成可能な部材である。
【0180】
本実施形態では、カバー部材250は、第3の方向ZにおいてZ1側に開口し、Z2側の底部を有する箱形状となっている。そして、カバー部材250のZ1側の開口がホルダー部材210のZ2側の面で封止されることで内部空間259が形成される。
【0181】
このようなカバー部材250は、ホルダー部材210に当接するシール部分253と、シール部分253よりもヤング率の高い剛性部分254とを有する。
【0182】
シール部分253は、ホルダー部材210に当接し、後述する剛性部分254よりもヤング率が高い異なる材料から形成された部分である。シール部分253は、カバー部材250がホルダー部材210側に押圧されることで弾性変形し、カバー部材250とホルダー部材210との境界の隙間を埋め、インクが内部空間259に浸入することを防止する作用を有する。
【0183】
剛性部分254は、ホルダー部材210とともに内部空間259を実質的に形成する部分であり、シール部分253よりもヤング率が高い材料から形成されている。このような材料により剛性部分254を形成することで、カバー部材250の剛性を向上することができ、内部空間259に収容した回路基板220や流路部材240を保護することができる。
【0184】
また、剛性部分254は、第3の方向ZにおいてZ1側に開口し、Z2側の底部を有する箱形状となっている。具体的には、剛性部分254は、第1の方向X及び第2の方向Yに直交し、シール部分253につながる4つの側面255、及びこれら全ての側面255につながり第3の方向ZのZ2側に設けられた天井256を含み、全体が略直方体状に形成されている。このように側面255のみならず、天井256を含むので、カバー部材250の強度を向上させることができる。
【0185】
なお、本実施形態では、カバー部材250は箱形状となっているがこのような態様に限定されない。例えば、ホルダー部材210をZ2側に開口した箱形状とし、カバー部材250を、当該開口を封止する板状の部材としてもよい。
【0186】
シール部分253は、剛性部分254の第3の方向ZのZ1側に開口した端部、すなわち、シール部分253を設けなければホルダー部材210のZ2側の面に当接する部位に設けられている。このようなシール部分253及び剛性部分254とは、二色成形により形成されている。上述したように、剛性部分254がシール部分253よりもヤング率が高い材料で形成されていれば、特に限定はないが、例えば、剛性部分254に樹脂材料を用い、シール部分253に弾性材料としてエラストマーを用いることができる。
【0187】
二色成形により形成されたシール部分253は、液体噴射面20aに対する平面視、本実施形態では、第3の方向Zからみた平面視において、回路基板220及び流路部材240を収容する輪郭を有する。本実施形態に係るシール部分253の輪郭は、剛性部分254のZ1側の開口形状に合わせて、環状であり、略長方形となっている。すなわち、シール部分253は、2つの長辺部253aと2つの短辺部253bとから構成されている。長辺部253aは、シール部分253のうち第1の方向Xに延設された部分であり、第2の方向Yに2つ並設されている。短辺部253bは、シール部分253のうち長辺部253aよりも短く第2の方向Yに延設された部分であり、第1の方向Xに二つ並設されている。
【0188】
このような輪郭に回路基板220及び流路部材240が収容されるとは、前記平面視において、シール部分253の輪郭の内側に回路基板220と流路部材240とが配置されていることをいう。
【0189】
そして、このようなシール部分253の輪郭は、少なくとも記録シートSが搬送される搬送方向である第2の方向Yに交差する部分が記録ヘッド2の最も外側をなす。輪郭のうち、第2の方向Yに交差する部分とは、前記平面視において、第2の方向Yに交差する成分を含む部分をいう。本実施形態では、第2の方向Yに直交した第1の方向Xに延設された長辺部253aが第2の方向Yに交差する部分である。
【0190】
シール部分253の輪郭の一部である長辺部253aが記録ヘッド2の最も外側をなすとは、液体噴射面20aに平行な断面であって、シール部分253を含む断面において、長辺部253aが記録ヘッド2全体の輪郭の一部を構成することをいう。換言すれば、少なくとも第2の方向Yにおいては、長辺部253aよりも外側に記録ヘッド2を構成する部品が存在しない。
【0191】
本発明は、少なくとも第2の方向Yに交差する部分が記録ヘッド2の最も外側をなすものであるが、シール部分253の輪郭のうち第2の方向Yに交差しない部分についても記録ヘッド2の最も外側をなしていてもよい。
【0192】
本実施形態では、第2の方向Yに交差しない部分、すなわち第2の方向Yに平行な短辺部253bについても記録ヘッド2の最も外側をなすようにシール部分253を形成した。
【0193】
具体的には、前記平面視において、ホルダー部材210及びカバー部材250の輪郭が記録ヘッド2全体の輪郭を構成するようにしてある。すなわち、ホルダー部材210の側面(つまり、第1の方向X及び第2の方向Yに直交する側面である。)及びカバー部材250の側面255が記録ヘッド2の最も外側を構成している。そして、シール部分253は、カバー部材250の側面255のZ1側の端面に環状に形成されている。
【0194】
このようにカバー部材250を形成することで、シール部分253は、液体噴射面20aに平行な断面においてホルダー部材210及びカバー部材250により形成される記録ヘッド2全体の輪郭の最も外側を構成している。
【0195】
上述したように、本実施形態に係る記録ヘッド2では、カバー部材250にシール部分253を形成した。これにより、ホルダー部材210とカバー部材250との境界部分がシール部分253により封止され、当該境界部分からインクが内部空間259に浸入することをより確実に抑制することができる。これにより、記録ヘッド2を構成する回路基板220などの電子部品を保護することができる。
【0196】
そして、カバー部材250は、二色成形により形成されたシール部分253と剛性部分254とを有している。二色成形によれば、幅が狭い側面255のZ1側の端面であっても、その幅に収まるようにシール部分253を形成することができる。これにより、剛性が高い剛性部分254を有するカバー部材250及びホルダー部材210によって平面視における記録ヘッド2の輪郭を規定すれば、その輪郭よりも外側にはみ出すことなくシール部分253を設けることができる。
【0197】
ここで、仮に、二色成形ではなく、剛性部分254とは別のシール部材によりシール部分253を代替させる場合、シール部材の幅を剛性部分254の側面255の幅に合わせることになる。このようなシール部材を、ホルダー部材210のZ2側の表面及び剛性部分254の側面255のZ1側の端面により挟持することでシール部材によるシールを図ろうとすると、シール部材の幅が狭いために、側面255がシール部材からずれてしまい、シールを確保することが困難である。また、シール部材の幅を側面255の幅よりも広げることで、側面255がシール部材からずれることを抑制し、確実なシールを図ろうとすると、シール部材の幅を広げた分、記録ヘッド2の少なくとも第2の方向Yにおける大きさが大きくなってしまう。
【0198】
本実施形態に係る記録ヘッド2では、上述したように二色成形により剛性部分254と一体的にシール部分253を形成したため、シール部分253が剛性部分254の外形よりも大きくなることがないので、記録ヘッド2の大型化を抑制することができる。
【0199】
さらに、本実施形態に係る記録ヘッド2では、シール部分253は少なくとも搬送方向である第2の方向Yに交差する長辺部253aが記録ヘッド2全体の輪郭をなしている。すなわち、第2の方向Yにおいて記録ヘッド2を小型化することができる。
【0200】
ここで、第2の方向Yに交差する長辺部が記録ヘッド2全体の輪郭をなしていない態様としては、例えば、第2の方向Yにおいてシール部分253よりも外側に、記録ヘッド2を構成する他の部材が設けられている構成が挙げられる。このような態様では、記録ヘッド2としては、第2の方向Yにおいて当該他の部材を設けた分だけ大型化してしまう。
【0201】
本実施形態に係る記録ヘッド2では、上記態様のようにシール部分253よりも外側に、記録ヘッド2を構成する他の部材が存在しないので、第2の方向Yにおける記録ヘッド2の大型化を抑制することができる。
【0202】
特に、本実施形態に係る記録ヘッド2では、第2の方向Yに交差する長辺部253aのみではなく短辺部253bについても記録ヘッド2の最も外側の輪郭をなすようにした。したがって、記録ヘッド2は、第1の方向Xにおいても大型化を抑制することができる。
【0203】
次に、図20を用いて、本実施形態に係る記録ヘッド2の第1矯正板230と回路基板220との構成について詳細に説明する。図20は本実施形態に係るホルダー部材に固定された第1矯正板と回路基板との配置を示す側面図及び平面図である。図20(a)は、第2ヘッド本体群202B側から、すなわち第2の方向YのY2側の側面図であり、図20(b)は平面図である。また、同図では、流路部材240、カバー部材250、配線基板121の図示は省略している。
【0204】
本実施形態に係る記録ヘッド2は、矯正本体部231、開口部233、及び開口部233の第1の方向Xの両側に配置された脚部232を有する第1矯正板230を有する。第2の方向Yにおいて回路基板220を挟んだ2つのうち、第1ヘッド本体群202A側を第1矯正板230a、第2ヘッド本体群202B側を第1矯正板230bとも称する。
【0205】
また、回路基板220の両面には、接続部226が設けられている。各接続部226のうち、第2の方向YのY1側の面に設けられた接続部226を第1接続部226aとも称し、Y2側の面に設けられた接続部226を第2接続部226bとも称する。
【0206】
第1接続部226aは、第1ヘッド本体群202Aを構成するヘッド本体200の配線基板121に接続され、第2接続部226bは、第2ヘッド本体群202Bを構成するヘッド本体200の配線基板121に接続される。
【0207】
このような一組の第1矯正板230のうちの一方の第1矯正板230aの脚部232は、第1の方向Xにおいて、第2接続部226bに重なり、かつ、第1接続部226aに重ならない位置に配置されている。
【0208】
また、一組の第1矯正板230のうちの他方の第1矯正板230bの脚部232は、第1の方向Xにおいて、第1接続部226aに重なり、かつ、第2接続部226bに重ならない位置に配置されている。
【0209】
第1矯正板230a及び第1矯正板230bのそれぞれの脚部232を、第1接続部226a及び第2接続部226bに対して上述したような配置とすることで、2つある第1接続部226aのうちのX1側の一つと、2つある第2接続部226bのうちのX2側の一つは、平面視において、第1矯正板230の開口部233の内側には配置されていない。
【0210】
本実施形態に係る記録ヘッド2では、第1矯正板230a及び第1矯正板230bのそれぞれの脚部232を、第1接続部226a及び第2接続部226bに対して上述したような配置とした。これにより、全ての第1接続部226aの第1の方向Xにおける外側、及び全ての第2接続部226bの第1の方向Xにおける外側に第1矯正板230の脚部232を配置する必要がなくなるため、その分、第1の方向Xの大きさを小型化することができる。
【0211】
さらに、特に図示しないが、回路基板220の平面視において、第1接続部と第2接続部とは互いに重なり、第1の方向Xにおける脚部232の幅は第1の方向Xにおける開口部233の幅よりも狭い態様の記録ヘッドであってもよい。
【0212】
当該態様の記録ヘッドによれば、第1接続部と第2接続部とが互いに重なるので、第1の方向Xに並べるヘッド本体200の間隔を狭くすることができる。これにより、記録ヘッドの第1の方向Xにおける小型化を図ることができる。さらには、第1接続部に配線基板121を介して接続される第1ヘッド本体群202Aに、第1の方向Xにおいて、第2接続部に配線基板121を介して接続される第2ヘッド本体群202Bを重ねて配置することができる。また、脚部232の幅が開口部233の幅よりも狭いので、第1の方向Xに小型化することができる。
【0213】
もちろん、回路基板220の平面視において、第1接続部と第2接続部とは互いに重ならない態様の記録ヘッドであってもよい。また、第1の方向Xにおける脚部232の幅は第1の方向Xにおける開口部233の幅以上に広い態様の記録ヘッドであってもよい。
【0214】
以上説明した液体噴射ヘッドにおいては、第1ヘッド本体群202AのX1側のヘッド本体200と第2ヘッド本体群202BのX1側のヘッド本体200とに共通する流路部材240の第1供給路313からは、第1ヘッド本体群202Aのヘッド本体200のY1側のノズル列と、第2ヘッド本体群202Bのヘッド本体200のY1側のノズル列とに供給し、第2供給路323からは、第1ヘッド本体群202Aのヘッド本体200Y2側のノズル列と、第2ヘッド本体群202Bのヘッド本体200のY2側のノズル列とに液体を供給するようにした。
【0215】
この接続状態の模式図を図27に示す。図27は、ノズル列を上方から透視してみたものであり、第1ノズル列2001と第3ノズル列2003が1つのノズルプレートに設けられ、第1の方向Xにおける位置が重なっているが、第2の方向Yの位置は異なり、また、第2ノズル列2002と第4ノズル列2004とが1つのノズルプレートに設けられ、第1の方向Xにおける位置が重なっているが、第2の方向Yの位置は異なっている。また、第1ノズル列2001及び第3ノズル列2003と、第2ノズル列2002及び第4ノズル列2004との第2の方向Yの位置が異なっている。このようなノズル配置において、第1の方向Xにおいて並設された2つのノズル列に対応する気泡室315、325は共通し、気泡が互いに移動可能な連通気泡室となっているが、第2の方向Yにおいては、気泡室315と気泡室325とは分離されている。前述したように、第2の方向Yにおいては、気泡室315と気泡室325とを分離するようにすることで、第1の方向Xについて記録ヘッド2の全幅に亘って液体を吐出するのではなく、記録ヘッド2の一部の幅に亘って液体を吐出する場合であっても、隔壁247により分離された気泡室315と気泡室325とのそれぞれに貯留される気泡の量が偏るのを低減させることができる。この結果、気泡室315、325のいずれかに多寡に溜まった気泡が負圧側に移動して上流フィルター室3121、3221まで気泡が入り込むのを防止することができる。
【0216】
ここで、ノズル列が第1の方向Xで重なるとは、図27のように、第1ノズル列2001と第3ノズル列2003とが半ピッチずれていてもよいし、図28のように、半ピッチずれていなくてもよい。また、ノズル列が第1の方向Xにおいて位置が異なる場合、図27図28に示すように、一部オーバーラップしているものも含むものである。
【0217】
また、1つのノズルプレートに2列のノズル列が設けられることで、第2の方向Yにおける寸法を小さくしつつ、2列のノズル列間の位置合わせを容易にすることができるが、1つのノズルプレートに1列のノズル列を設けたものでもよい。例えば、図29に示すように、第1〜第4ノズル列2001〜2004が異なるノズルプレートに設けられてもよい。また、気泡室315と気泡室325とで、第1の方向Xにおいて重なり、第2の方向Yで異なるノズル列に対応すれば、例えば、図30に示すように、気泡室315を第4ノズル列2004につなぎ、気泡室325を第3ノズル列2003につなぐようにしてもよい。
【0218】
また、第2の方向Yにおける位置が互いに異なり、かつ、第1の方向Xにおける位置が少なくとも一部で重なるノズル列について、隔壁247により気泡室315と気泡室325とを分離すればよく、気泡室315や気泡室325とつながるノズル列の数は2つに限られない。気泡室315とつながるノズル列の集合を第1のノズル群、気泡室325とつながるノズル列の集合を第2のノズル群とすると、第1のノズル群と第2のノズル群とが第2の方向Yにおける位置が互いに異なり、かつ、前記第1の方向における位置が少なくとも一部で重なることで、各フィルター室の液体の消費量にばらつきがあっても、第1の方向における位置が少なくとも一部で重なる分だけ気泡室の気泡の貯留量にばらつきがでにくく、貯留された気泡が、あるフィルター室を塞いでしまうのを抑制することができる。なお、第1のノズル群が1つのノズルプレートに設けられ、第2のノズル群が1つのノズルプレートに設けられていてもよいものの、複数のノズル列で第1、2のノズル群を形成することで、ノズル群を第1の方向に容易に長尺化できる。
【0219】
〈実施形態2〉
ここで、他の実施形態に係る流路部材240Aについて説明する。図21は、流路部材240Aの分解斜視図、図22は、図21を第2の方向Y及び第3の方向Zに沿って切断したI−I′線断面図、図23は、図21を第2の方向Y及び第3の方向Zに沿って切断したJ−J′線断面図である。なお、図16図19と同一部材には同一符号を付して重複する説明は省略する。
【0220】
これらの図面に示すように、流路部材240Aは、供給針242が第1の方向Xの中央部ではなく、X1方向に偏った位置に配置されており、供給針242内の導入路301に連通する分岐用流路3011は供給針242の直下に設けられている。よって、分岐用流路3011に連通する連通流路3013を規定する流路壁部246Aは、供給針242の直下で分岐用流路3011と連通する連通部2463と、下方に向かって中央方向に傾斜する傾斜部2464と、2つのフィルター244の間で下方に延びる直線部2464とを有し、直線部2465の先端が出口部分2461となる。
【0221】
また、流路壁部246Aと鉛直方向に対して線対称となる位置に、本実施形態では、傾斜部2463とほぼ同形状となる固定壁部249が設けられている。固定壁部249は、流路壁部246Aと同様にフィルム243の溶着部となる。これにより、フィルム243が対称に設けられた溶着部によって保持されるので、フィルム243がより安定して保持される。勿論、固定壁部249は必ずしも設ける必要はない。
【0222】
なお、流路壁部246Aの傾斜部2463や固定壁部249は、傾斜させずに、水平に設けることもできるが、傾斜させるのが好ましい。水平に設けると、気泡が壁面の下部に沿って滞留する虞があるが、傾斜させることにより、気泡を確実に鉛直方向上方に移動させることができる。また、流路壁部246Aや固定壁部249は、外壁部245と不連続となっているのが好ましい。これは気泡の移動を妨げないようにするためである。
【0223】
〈他の実施形態〉
以上、本発明の一実施形態について説明したが、本発明の基本的な構成は上述したものに限定されるものではない。
【0224】
例えば、上述した実施形態の流路部材240、240Aでは、第2の方向Yの両側に第1液体溜め部312及び第2液体溜まり部322並びに気泡室315、325を設けたが、一方側のみに設けたものであってもよい。
【0225】
また、上述した実施形態の流路部材240、240Aでは、固定部材としてフィルム243を用いたが、剛性を有する板状部材としてもよい。
【0226】
また、上述した実施形態の流路部材240、240Aでは、フィルター244を鉛直方向に平行に設けたが、鉛直方向から多少傾斜していてもよく、これも鉛直方向に沿って設けたものである。
【0227】
また、上述した実施形態の流路部材240、240Aでは、液体の導入口である1つの供給針242から2つの連通流路3012に分岐したが、導入口を2つ設けるようにしてもよい。さらに、分岐用流路3011を形成する構成や分岐位置も上述した実施形態の構造に限定されない。
【0228】
また、上述した実施形態の流路部材240、240Aでは、連通流路を流路壁部に固定部材を固定することによって形成したものとしたが、これに限定されるものではない。
【0229】
また、固定部材と外壁部との固定の軌跡と、流路壁部や固定壁部などとの固定の軌跡とを不連続としたが、必ずしも不連続とする必要はない。
【0230】
また、実施形態1では、流路部材240は、第2の方向Yで近接する2つのヘッド本体200に対して1つずつ、すなわち、第1ヘッド本体群202AのX1側のヘッド本体200と第2ヘッド本体群202BのX1側のヘッド本体200とに共通する流路部材240と、第1ヘッド本体群202AのX2側のヘッド本体200と第2ヘッド本体群202BのX2側のヘッド本体200とに共通する流路部材240との2つが設けられているがこれに限定されない。例えば、1つのヘッド本体200に対して1つずつでもよいし、4つのヘッド本体200に対して1つでもよい。
【0231】
また、上述した実施形態1では、第1矯正板230は、第1の方向Xにおいてホルダー部材210の幅よりも短い構成としたがこのような態様に限定されない。回路基板220の両面のそれぞれに相対向する平面形状であれば、特に大きさや厚さなどに限定はない。
【0232】
また、実施形態1に係る記録ヘッド2は、第1矯正板230及び第2矯正板280を備えていたがこのような態様に限定されない。すなわち、記録ヘッド2は、少なくとも第1矯正板230を備えていればよく、第2矯正板280を備えない態様の記録ヘッドであってもよい。
【0233】
また、実施形態1に係る記録ヘッド2は、液体噴射面20aに平行な平面形状の第2矯正板280を備えていたが、必ずしも液体噴射面20aに平行でなくてもよい。また、第2矯正板280は、ホルダー部材210よりも剛性が高い材料からなる場合に限定されず、ホルダー部材210と同等又は剛性が低い材料から形成されていてもよい。さらに、第2矯正板280は、液体噴射面20aに平行な面において、全てのヘッド本体200の液体噴射面を覆う大きさを有していたが、これに限定されない。
【0234】
また、ホルダー部材210に規制部218を設けたが、これに限定されず、規制部を設けなくてもよい。また、規制部218はホルダー部材210と一体であっても別部材であってもよい。
【0235】
実施形態1に係る記録ヘッド2は、露出部290を備えていたが、このような態様に限定されない。例えば、カバー部材250に供給針242が露出する開口を設けた態様でもよい。すなわち、露出部290を構成する側壁部291、天井部292及び切り欠け部295を備えない態様の露出部290であってもよい。
【0236】
実施形態1に係る記録ヘッド2は、ホルダー部材210とカバー部材250との間に二色成形によるシール部分253を設けていたがこのような態様に限定されない。例えば、二色成形ではない別部材の環状の弾性材料からなるシール部材を用いてもよい。
【0237】
実施形態1に係る記録ヘッド2は、ホルダー部材210のヤング率がカバー部材250の剛性部分254のヤング率よりも高いが、このような態様に限定されない。
【0238】
上述した実施形態1では、キャリッジ3に記録ヘッド2を1つ設けるようにしたが、特にこれに限定されず、例えば、キャリッジ3に記録ヘッド2を2つ以上設けるようにしてもよい。
【0239】
上述した実施形態1では、1つの記録ヘッド2から1種類のインクが噴射される構成を例示したが、特にこれに限定されず、例えば、ノズル列毎に異なるインクが噴射されるようにしてもよい。
【0240】
上述した実施形態1では、記録ヘッド2のヘッド本体200の並設方向を、インクジェット式記録装置1に搭載された際の第1の方向Xとしたが、特にこれに限定されない。例えば、ヘッド本体200の並設方向、すなわち、ノズル開口21の並設方向をインクジェット式記録装置1の第1の方向Xに対して傾いた方向としてもよい。すなわち、ヘッド本体群202を構成するヘッド本体200が、キャリッジ軸の軸方向に対して傾いた方向に並設されていてもよい。同様に、ヘッド本体群202の並設方向を第2の方向Yとしたが、これに限定されず、例えば、ヘッド本体群202の並設方向が第2の方向Yに対して傾いた方向となってもよい。
【0241】
上述した実施形態1では、圧力発生室12に圧力変化を生じさせる圧力発生手段として、薄膜型の圧電アクチュエーター130を用いて説明したが、特にこれに限定されず、例えば、グリーンシートを貼付する等の方法により形成される厚膜型の圧電アクチュエーターや、圧電材料と電極形成材料とを交互に積層させて軸方向に伸縮させる縦振動型の圧電アクチュエーターなどを使用することができる。また、圧力発生手段として、圧力発生室内に発熱素子を配置して、発熱素子の発熱で発生するバブルによってノズル開口から液滴を吐出するものや、振動板と電極との間に静電気を発生させて、静電気力によって振動板を変形させてノズル開口から液滴を吐出させるいわゆる静電式アクチュエーターなどを使用することができる。
【0242】
なお、上記実施の形態においては、液体噴射ヘッドの一例としてインクジェット式記録ヘッドを、また液体噴射装置の一例としてインクジェット式記録装置を挙げて説明したが、本発明は、広く液体噴射ヘッドを有する液体噴射ヘッド及び液体噴射装置全般を対象としたものであり、インク以外の液体を噴射する液体噴射ヘッドや液体噴射装置にも勿論適用することができる。その他の液体噴射ヘッドとしては、例えば、プリンター等の画像記録装置に用いられる各種の記録ヘッド、液晶ディスプレイ等のカラーフィルターの製造に用いられる色材噴射ヘッド、有機ELディスプレイ、FED(電界放出ディスプレイ)等の電極形成に用いられる電極材料噴射ヘッド、バイオchip製造に用いられる生体有機物噴射ヘッド等が挙げられ、かかる液体噴射ヘッドを備えた液体噴射ヘッド及び液体噴射装置にも適用できる。
【符号の説明】
【0243】
1 インクジェット式記録装置(液体噴射装置)、 2 記録ヘッド(液体噴射ヘッド)、 121 配線基板、 200 ヘッド本体、 202 ヘッド本体群、 210 ホルダー部材、 213 第1接続流路(第2流路)、 214 第2接続流路(第2流路)、 218 規制部、 220 回路基板、 221 コネクター(電子部品)、 225 基板、 226 接続部、 230 第1矯正板、 231 矯正本体部、 232 脚部、 233 開口部、 240 流路部材、 241 凹部、 242 供給針、 243 フィルム、 244 フィルター、 245 外壁部、 246 流路壁部、 247 隔壁、 248 ガイド部材、 249 固定壁部、 250 カバー部材、 253 シール部分、 254 剛性部分、 255 側面、 256 天井、 260 固定板、 280 第2矯正板、 290 露出部、 300 流路(第2流路)、 301 導入路、 312 第1液体溜まり部、 322 第2液体溜まり部、 3011 分岐用流路、 3012 連通流路、 3121、3221 上流フィルター室、 3122、3222 下流フィルター室
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18
図19
図20
図21
図22
図23
図24
図25
図26
図27
図28
図29
図30