特開2015-231781(P2015-231781A)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 株式会社ワイテックの特許一覧 ▶ マツダ株式会社の特許一覧

<>
  • 特開2015231781-フロントサブフレーム 図000003
  • 特開2015231781-フロントサブフレーム 図000004
  • 特開2015231781-フロントサブフレーム 図000005
  • 特開2015231781-フロントサブフレーム 図000006
  • 特開2015231781-フロントサブフレーム 図000007
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2015-231781(P2015-231781A)
(43)【公開日】2015年12月24日
(54)【発明の名称】フロントサブフレーム
(51)【国際特許分類】
   B62D 21/00 20060101AFI20151201BHJP
【FI】
   B62D21/00 B
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2014-119232(P2014-119232)
(22)【出願日】2014年6月10日
(71)【出願人】
【識別番号】500213915
【氏名又は名称】株式会社ワイテック
(71)【出願人】
【識別番号】000003137
【氏名又は名称】マツダ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001427
【氏名又は名称】特許業務法人前田特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】向井 北斗
(72)【発明者】
【氏名】高橋 一真
(72)【発明者】
【氏名】大黒谷 智久
(72)【発明者】
【氏名】大谷 隆広
【テーマコード(参考)】
3D203
【Fターム(参考)】
3D203AA01
3D203BA06
3D203BA13
3D203BA19
3D203BB06
3D203BB08
3D203BB16
3D203BB35
3D203BC36
3D203CA23
3D203CA34
3D203CA37
3D203CA40
3D203CA53
3D203CB09
3D203CB19
3D203DA22
3D203DA72
3D203DA83
(57)【要約】
【課題】フロントサブフレームのサイドメンバの前端部にクラッシュカンを取り付ける場合に部品点数を少なくし、しかも、サイドメンバの前側をフロントサイドフレームの前側に対して高剛性に取り付けることができるようにする。
【解決手段】サブフレームは、サイドメンバ40と、サイドメンバ40の前側をフロントサイドフレームの前側に取り付けるための前側マウント部材60とを備えている。前側マウント部材60は、前側に開放する断面を有するように成形された板材で構成されている。前側マウント部材60の前部には、クラッシュカン70を取り付けるための取付板部64、65が一体成形されている。
【選択図】図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
車体の前部に設けられた左右のフロントサイドフレームの下側に配設されるフロントサブフレームにおいて、
上記フロントサブフレームは、車体左右方向に延びるクロスメンバと、該クロスメンバの車体左右方向両側から前側へ延びるサイドメンバと、該サイドメンバの前側を上記フロントサイドフレームの前側に取り付けるための前側マウント部材とを備え、
上記前側マウント部材は、車両前側に開放する断面を有するように成形された板材で構成され、該前側マウント部材の車両前部には、クラッシュカンを取り付けるための取付板部が一体成形されていることを特徴とするフロントサブフレーム。
【請求項2】
請求項1に記載のフロントサブフレームにおいて、
上記サイドメンバの前側には、該サイドメンバの前端面に開放する切り欠き部が形成され、
上記前側マウント部材は、上記サイドメンバの切り欠き部に挿入された状態で該切り欠き部の周縁部に溶接されていることを特徴とするフロントサブフレーム。
【請求項3】
請求項1または2に記載のフロントサブフレームにおいて、
上記前側マウント部材は、上下方向に延びており、
上記取付板部は、上記前側マウント部材の前部から車幅方向に延出するとともに、上下方向に延びていることを特徴とするフロントサブフレーム。
【請求項4】
請求項1から3のいずれか1つに記載のフロントサブフレームにおいて、
上記前側マウント部材は、該前側マウント部材の車両後側で車幅方向に延びる後板部と、該後板部の車幅方向の両縁部から車両前側へ延びる側板部とを備えた略コ字状断面を有していることを特徴とするフロントサブフレーム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両の前部に設けられるフロントサブフレームに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来より、車両の前部には、フロントサイドフレームの下方においてサスペンションアームを支持するフロントサブフレームが設けられることがある(例えば、特許文献1参照)。特許文献1のフロントサブフレームは、前後方向に延びる一対のサイドメンバと、サイドメンバの後側同士を連結するリヤクロスメンバと、サイドメンバの前側同士を連結するフロントクロスメンバとを備えている。サイドメンバの前側及び後側には、パイプ状の前側及び後側マウント部材がそれぞれ取り付けられている。前側及び後側マウント部材は、フロントサイドフレームに固定される。さらに、サイドメンバの前端部には、上下方向に延びる取付板を介してクラッシュカンが取り付けられている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2013−203243号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、車両の前面衝突を想定すると、軽衝突時にはクラッシュカンのみを圧縮変形させることでフロントサイドフレームやフロントサブフレームの損傷を抑制したいという要求がある。このためには、フロントサブフレームのサイドメンバの前側をフロントサイドフレームに強固に取り付けておき、軽衝突時のサイドメンバの変形を抑制する必要がある。
【0005】
また、車両の走行時等にはサスペンションアームからフロントサブフレームに力が入力されることになるのであるが、このフロントサブフレームのフロントサイドフレームへの取り付け剛性を高めたいという要求もある。
【0006】
さらに、特許文献1では、フロントサブフレームのサイドメンバの前端部にクラッシュカンを取り付けるために取付板を設けなければならず、部品点数が多くなるという問題もある。
【0007】
本発明は、かかる点に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、フロントサブフレームのサイドメンバの前端部にクラッシュカンを取り付ける場合に部品点数を少なくし、しかも、サイドメンバの前側をフロントサイドフレームの前側に対して高剛性に取り付けることができるようにすることにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するために、本発明では、フロントサブフレームの前側マウント部材を前側に開放する断面を有するように成形された板材で構成し、クラッシュカンの取付板部を前側マウント部材に一体成形するようにした。
【0009】
第1の発明は、
車体の前部に設けられた左右のフロントサイドフレームの下側に配設されるフロントサブフレームにおいて、
上記フロントサブフレームは、車体左右方向に延びるクロスメンバと、該クロスメンバの車体左右方向両側から前側へ延びるサイドメンバと、該サイドメンバの前側を上記フロントサイドフレームの前側に取り付けるための前側マウント部材とを備え、
上記前側マウント部材は、車両前側に開放する断面を有するように成形された板材で構成され、該前側マウント部材の車両前部には、クラッシュカンを取り付けるための取付板部が一体成形されていることを特徴とする。
【0010】
この構成によれば、車両前側に開放する断面を有するように板材を成形することで、単純な平板形状等で構成する場合に比べて高い剛性の得られる断面形状となる。これにより、サイドメンバの前側がフロントサイドフレームの前側に対して高剛性に取り付けられるので、例えば軽衝突時には、クラッシュカンのみを圧縮変形させてサイドメンバの変形を抑制することが可能になる。また、車両走行時にサスペンションアームからフロントサブフレームへの入力を十分に支持することが可能になる。
【0011】
さらに、クラッシュカンを取り付けるための取付板部が前側マウント部材に一体成形されているので、クラッシュカンを取り付けるにあたって別部材が不要になり、部品点数が少なくて済む。
【0012】
第2の発明は、第1の発明において、
上記サイドメンバの前側には、該サイドメンバの前端面に開放する切り欠き部が形成され、
上記前側マウント部材は、上記サイドメンバの切り欠き部に挿入された状態で該切り欠き部の周縁部に溶接されていることを特徴とする。
【0013】
この構成によれば、前側マウント部材とサイドメンバとの溶接部分が広く確保されるので、前側マウント部材の取り付け剛性がより一層高まる。
【0014】
第3の発明は、第1または2の発明において、
上記前側マウント部材は、上下方向に延びており、
上記取付板部は、上記前側マウント部材の前部から車幅方向に延出するとともに、上下方向に延びていることを特徴とする。
【0015】
この構成によれば、車幅方向に延出する取付板部が上下方向に延びているので、取付板部が前側マウント部材のリブとして作用し、前側マウント部材が補強される。
【0016】
第4の発明は、第1から3のいずれか1つの発明において、
上記前側マウント部材は、該前側マウント部材の車両後側で車幅方向に延びる後板部と、該後板部の車幅方向の両縁部から車両前側へ延びる側板部とを備えた略コ字状断面を有していることを特徴とする。
【0017】
この構成によれば、前側マウント部材の上側がフロントサイドフレームに固定された状態で、例えば軽衝突時に下側に対して車両前側から後向きの外力が作用した際、側板部が前後方向に延びていることから、高い耐力を発生する。これにより、サイドメンバの前側がフロントサイドフレームの前側に対してより一層高剛性に取り付けられることになる。
【発明の効果】
【0018】
第1の発明によれば、フロントサブフレームの前側マウント部材を前側に開放する断面を有するように成形された板材で構成したので、サイドメンバの前側をフロントサイドフレームの前側に対して高剛性に取り付けることができ、しかも、クラッシュカンの取付板部を前側マウント部材に一体成形したので、部品点数を少なくすることができる。
【0019】
第2の発明によれば、前側マウント部材をサイドメンバの切り欠き部に挿入して切り欠き部の周縁部に溶接したので、前側マウント部材の取り付け剛性をより一層高めることができる。
【0020】
第3の発明によれば、取付板部が前側マウント部材の前部から車幅方向に延出するとともに、上下方向に延びているので、取付板部によって前側マウント部材を補強することができる。
【0021】
第4の発明によれば、前側マウント部材が車幅方向に延びる後板部と車両前側へ延びる側板部とを備えた略コ字状断面を有しているので、軽衝突時に前側マウント部材が高い耐力を発生し、サイドメンバの前側をフロントサイドフレームの前側に対してより一層高剛性に取り付けることができる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
図1】実施形態にかかるフロントサブフレームの斜視図である。
図2】フロントサブフレームを備えた車両前部の概略構成を示す側面図である。
図3】クラッシュカンを取り付けた状態の左側サイドフレームの前側を拡大して示す斜視図である。
図4】クラッシュカンを取り外した状態の図3相当図である。
図5】前側マウント部材を取り外した状態の図3相当図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。尚、以下の好ましい実施形態の説明は、本質的に例示に過ぎず、本発明、その適用物或いはその用途を制限することを意図するものではない。
【0024】
図1は、本発明の実施形態に係るフロントサブフレーム10を示す斜視図である。このフロントサブフレーム10が設けられる車両は、図2に示すように車両前側にエンジンルームEを備え、エンジンルームEの後側に乗員用の車室Rを備えた乗用自動車である。車両のエンジンルームEと車室Rとの間には、上下方向に延びるダッシュパネル2が設けられている。ダッシュパネル2の下縁部には、車室Rの床面を構成するフロアパネル3が連なっている。フロアパネル3の左右方向中央部には上方へ膨出するフロアトンネル(図示せず)が形成されている。また、フロアパネル3の左右両縁部には、前後方向に延びるサイドシル(図示せず)が設けられている。
【0025】
尚、この実施形態の説明では、車体前側を単に「前」といい、車体後側を単に「後」といい、車体左側を単に「左」といい、車体右側を単に「右」というものとする。
【0026】
車両には、左側及び右側のフロントサイドフレーム4(一方のみを図示する)と、フロントサブフレーム10とが設けられている。左側及び右側のフロントサイドフレーム4は、車体の左右方向に間隔をあけて設けられており、それらの間にエンジンルームEが設けられている。左側フロントサイドフレーム4は車体の左側を前後方向に延び、右側フロントサイドフレーム4は車体の右側を前後方向に延びている。
【0027】
左側及び右側のフロントサイドフレーム4は、側面視では略同じ形状である。フロントサイドフレーム4の後端部はサイドシルの前端部と連続している。フロントサイドフレーム4はフロアパネル3の前縁部近傍から前側へ向かって斜め上方へ延びた後、屈曲して水平方向前側へ延びている。フロントサイドフレーム4の前側には、クラッシュカン5が設けられている。クラッシュカン5の前部に、左右方向に延びるバンパーレインフォースメント(図示せず)が取り付けられている。また、図示しないが、前輪は、フロントサイドフレーム4の前後方向中間部において車体外側に配設される。
【0028】
次に、フロントサブフレーム10の構造について説明する。フロントサブフレーム10は、サスペンションアーム(共に図示せず)を支持するように構成されており、フロントサイドフレーム4の下側に配設されて該フロントサイドフレーム4に取り付けられている。
【0029】
図1にも示すように、フロントサブフレーム10は、鋼鈑を組み合わせて構成されたものであり、クロスメンバ20と、左右のタワー部30、30と、左右のサイドメンバ40、40と、サイドメンバ40、40の前側同士を連結する連結部材50と、左右の前側マウント部材60、60と、左右のクラッシュカン70、70とを備えている。
【0030】
クロスメンバ20は、左右方向に延びるメンバ本体21と、メンバ本体21の左右両側から左右へ延びる後側取付部22、22とを有している。各後側取付部22は、フロントサイドフレーム4の後側に対してその下方から連結されるようになっている。また、クロスメンバ20の後側取付部22には、サスペンションのロアアームが有する支持部が揺動可能に取り付けられる。
【0031】
左右のタワー部30、30は、クロスメンバ20のメンバ本体21の前側から上方へ延びている。左側のタワー部30は、上側へ行くほど左側に位置するように延びており、上端部がフロントサイドフレーム4の前後方向中間部に対してその下方から連結されるようになっている。右側のタワー部30は、上側へ行くほど右側に位置するように延びており、左側のタワー部30と同様にフロントサイドフレーム4に連結される。
【0032】
左側のサイドメンバ40は、クロスメンバ20のメンバ本体21の左側に接続され、その接続部分から前側へ向けて延びている。図2に示す側面視において、左側のサイドメンバ40は、前側が後側に比べて上に位置するように湾曲している。また、図1に示すように、左側のサイドメンバ40の後側は、前側に比べて右に位置するように湾曲している。
【0033】
図3図5に示すように、左側のサイドメンバ40は、上側部材41と下側部材42とを組み合わせて構成されている。上側部材41と下側部材42は共に鋼鈑をプレス成形してなるものである。上側部材41は、上板部41aと、上板部41aの左右方向両縁部から下方へそれぞれ延びる側板部41b、41bとを備えていて、これらが一体成形されて下方に開放する断面形状を有している。また、下側部材42は、上板部41aに対向する下板部42aと、下板部42aの左右方向両縁部から上方へそれぞれ延びる側板部42b、42bとを備えていて、これらが一体成形されて上方に開放する断面形状を有している。
【0034】
そして、上側部材41の開放側と、下側部材42の開放側とが合わさった状態で、上側部材41の側板部41b、41bと、下側部材42の側板部42b、42bとが板厚方向に重ね合わされて溶接されることで上側部材41及び下側部材42が一体化している。
【0035】
上側部材41の上板部41aの前側には、サイドメンバ40の前端面に開放するように切り欠くことによって上側切り欠き部41cが形成されている。上側切り欠き部41cの左右両側縁部は前後方向に延びており、また、上側切り欠き部41cの後縁部は、左右両側縁部の後端部に連なって左右方向に延びている。つまり、上側切り欠き部41cは、前側に開放する略コ字状を有している。
【0036】
また、下側部材42の下板部42aの前側には、上板部41aと同様にサイドメンバ40の前端面に開放する下側切り欠き部42cが形成されている。下側切り欠き部42cの縁部の形状は、上側切り欠き部41cの縁部の形状と略同じである。
【0037】
尚、右側のサイドメンバ40は、左側のサイドメンバ40と左右対称形状であって同じ構造である。
【0038】
左側に配設される前側マウント部材60は、前側に開放する断面を有するようにプレス成形された鋼鈑で構成されている。前側マウント部材60の上下寸法は、サイドメンバ40の前側の上下寸法よりも長く設定されていて、前側マウント部材60の上側は、サイドメンバ40の上板部41aから上方へ突出し、この上側がフロントサイドフレーム4の前側に対してその下方から取り付けられるようになっている。
【0039】
前側マウント部材60は、該前側マウント部材60の後側で左右方向(車幅方向)に延びる後板部61と、該後板部61の左右方向の両縁部から前側へ延びる側板部62、62とを備えた略コ字状断面を有している。後板部61は上下方向に延びており、その幅は、上側切り欠き部41c及び下側切り欠き部42cの幅と略同程度に設定されている。また、側板部62の前後方向の寸法は、上側切り欠き部41c及び下側切り欠き部42cの前後方向の寸法と略同程度に設定されている。
【0040】
側板部62の前縁部の下側は、サイドメンバ40の前端面に沿うように略上下方向に延びる一方、前縁部の上側は、上に行くほど後側に位置するように後傾している。左側の側板部62の前縁部には、クラッシュカン70を取り付けるための左側取付板部64が一体成形されている。左側取付板部64は、側板部62の前縁部から左側へ延出するとともに、該前縁部の上下両端部に亘るように上下方向に延びている。平面視において左側取付板部64と側板部62とは略直交している。左側取付板部64の左側は、サイドメンバ40の左側面よりも左側に位置するように延びている。
【0041】
左側取付板部64の下部には、クラッシュカン70が締結される締結板部64aが設けられている。締結板部64aは、左側へ延出しており、その中央部近傍には、締結部材としてのボルトBが挿通するボルト挿通孔64bが前後方向に貫通するように形成されている。また、左側取付板部64の上下方向中間部には、クラッシュカン70が当接する当接部64cが設けられている。
【0042】
左側取付板部64の左縁部における当接部64cよりも上側は、上に行くほど右側に位置するように傾斜している。従って、左側取付板部64の上側の幅は上に行くほど狭くなっている。
【0043】
右側の側板部62の前縁部には、クラッシュカン70を取り付けるための右側取付板部65が一体成形されている。右側取付板部65は、側板部62の前縁部から右側へ延出するとともに、該前縁部の上下両端部に亘るように上下方向に延びている。平面視において右側取付板部65と側板部62とは略直交している。右側取付板部65の右側は、サイドメンバ40の右側面よりも右側に位置するように延びている。
【0044】
右側取付板部65の上下方向中間部には、クラッシュカン70が締結される締結板部65aが設けられている。締結板部65aは、右側へ延出しており、その中央部近傍には、ボルトBが挿通するボルト挿通孔65bが前後方向に貫通するように形成されている。また、右側取付板部65の下部には、クラッシュカン70が当接する当接部65cが設けられている。
【0045】
右側取付板部65の右縁部における締結板部65aよりも上側は、上に行くほど左側に位置するように傾斜している。従って、右側取付板部65の上側の幅は上に行くほど狭くなっている。
【0046】
前側マウント部材60の上端部には、上板部66が設けられている。上板部66はフロントサイドフレーム4の下面に沿うように略水平に延びており、一方の側板部62に一体成形されている。上板部66の下面には、他方の側板部62の上縁部と、後板部61の上縁部とが溶接されており、上板部66を介して両側板部62及び後板部61の上側が一体化されている。
【0047】
上板部66の略中央部には、貫通孔66aが形成されている。貫通孔66aには、前側マウント部材60をフロントサイドフレーム4に締結するための締結部材が挿通するようになっている。
【0048】
左側に配設される前側マウント部材60の下側は、サイドメンバ40の上側及び下側切り欠き部41c、42cに挿入された状態で該切り欠き部41c、42cの周縁部に溶接されている。これにより、前側マウント部材60の下側において上下方向に離れた部位が共にサイドメンバ40に溶接されることになるので、前側マウント材60のサイドメンバ40に対する取り付け剛性を高めることができる。また、前側マウント部材60の左右両側面と後面とをサイドメンバ40に溶接することができるので、溶接部分を広く確保することができる。
【0049】
前側マウント部材60がサイドメンバ40に取り付けられた状態で、左側取付板部64の後面及び右側取付板部65の後面は、サイドメンバ40の前端面における左右両側に当接する。
【0050】
尚、右側に配設される前側マウント部材60は左側に配設されるものと同じ構造である。
【0051】
クラッシュカン70は、前側マウント部材60よりも前側へ突出するように形成されており、鋼鈑で構成された上側半割体71と、下側半割体72と、取付部材73とを備えている。上側半割体71は下方に開放しており、また、下側半割体72は上方に開放している。上側半割体71の開放側と下側半割体72の開放側とが溶接されて一体化されている。取付部材73は、クラッシュカン70の後端部において上下方向に延びるように配設され、上側半割体71及び下側半割体72に溶接されている。
【0052】
取付部材73には、前側マウント部材60の締結板部64a、65aに締結される締結板部73a、73aが左右方向に延出するように形成されている。クラッシュカン70の締結板部73a、73aには、ボルトBが挿通する挿通孔73b、73bが形成されている。
【0053】
以上説明したように、この実施形態によれば、前側に開放する断面を有するように成形された板材によって前側マウント部材60が構成されている。これにより、例えば単純な平板形状等で構成する場合に比べて高い剛性の得られる断面形状となるので、サイドメンバ40の前側をフロントサイドフレーム4の前側に対して高剛性に取り付けることができる。よって、例えば軽衝突時に、クラッシュカン70のみを圧縮変形させてサイドメンバ40の変形を抑制することができる。また、車両走行時にサスペンションアームからフロントサブフレーム10への入力を十分に支持することができる。
【0054】
さらに、クラッシュカン70を取り付けるための取付板部64、65が前側マウント部材60に一体成形されているので、クラッシュカン70を取り付けるにあたって別部材が不要になり、部品点数を少なくすることができる。
【0055】
また、前側マウント部材60をサイドメンバ40の上側及び下側切り欠き部41c、42cに挿入して切り欠き部41c、42cの周縁部に溶接したので、前側マウント部材60の取り付け剛性をより一層高めることができる。
【0056】
また、取付板部64、65が前側マウント部材60の前部から左右方向に延出するとともに、上下方向に延びているので、取付板部64、65によって前側マウント部材60を補強することができる。
【0057】
また、前側マウント部材60が左右方向に延びる後板部61と前側へ延びる側板部62、62とを備えた略コ字状断面を有しているので、軽衝突時に前側マウント部材60が高い耐力を発生し、サイドメンバ40の前側をフロントサイドフレーム4の前側に対してより一層高剛性に取り付けることができる。
【0058】
上述の実施形態はあらゆる点で単なる例示に過ぎず、限定的に解釈してはならない。さらに、特許請求の範囲の均等範囲に属する変形や変更は、全て本発明の範囲内のものである。
【産業上の利用可能性】
【0059】
以上説明したように、本発明に係るフロントサブフレームは、例えば乗用自動車に適用することができる。
【符号の説明】
【0060】
4 フロントサイドフレーム
10 フロントサブフレーム
20 クロスメンバ
40 サイドメンバ
41c、42c 切り欠き部
60 前側マウント部材
61 後板部
62 側板部
64、65 取付板部
70 クラッシュカン
図1
図2
図3
図4
図5