特開2015-231782(P2015-231782A)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2015.5.11 β版

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特開2015-231782車両運行管理装置、方法、及びプログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2015-231782(P2015-231782A)
(43)【公開日】2015年12月24日
(54)【発明の名称】車両運行管理装置、方法、及びプログラム
(51)【国際特許分類】
   B61L 27/00 20060101AFI20151201BHJP
【FI】
   B61L27/00 H
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
【全頁数】20
(21)【出願番号】特願2014-119239(P2014-119239)
(22)【出願日】2014年6月10日
(71)【出願人】
【識別番号】000005108
【氏名又は名称】株式会社日立製作所
(74)【代理人】
【識別番号】100100310
【弁理士】
【氏名又は名称】井上 学
(74)【代理人】
【識別番号】100098660
【弁理士】
【氏名又は名称】戸田 裕二
(74)【代理人】
【識別番号】100091720
【弁理士】
【氏名又は名称】岩崎 重美
(72)【発明者】
【氏名】栗林 潤
(72)【発明者】
【氏名】岡田 光教
(72)【発明者】
【氏名】福井 清純
【テーマコード(参考)】
5H161
【Fターム(参考)】
5H161AA01
5H161JJ32
(57)【要約】      (修正有)
【課題】運転整理等の際に、システム内部に格納される列車の駅着発時刻を予測演算するための「定数テーブル」を列車運行管理システムから呼び出し、容易に変更可能にする。
【解決手段】列車運行管理装置1に、各車両の走行実績を記録した実績データを記憶する領域41と、各車両の運行予測するための演算に利用する予測演算定数を記憶する領域42と、各車両の実績データを抽出し、実績データの統計処理から得られた解析値を算出する演算部30と、予測演算定数の変更候補となる解析値、及び予測演算定数から解析値へ更新するかどうかを選択する選択手段を表示するグラフィカルユーザインターフェースと、を備える。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の車両のそれぞれについて、各車両の走行実績を記録した実績データを記憶する第1記憶領域と、
前記複数の車両のそれぞれについて、各車両の運行予測するための演算に利用する予測演算定数を記憶する記憶する第2記憶領域と、
前記複数の車両のそれぞれについて、各車両の第1期間の前記実績データを抽出し、前記第1期間における前記実績データの統計処理から得られた解析値を算出する演算部と、
前記複数の車両のそれぞれについて、前記予測演算定数、前記予測演算定数の変更候補となる前記解析値、及び前記予測演算定数から前記解析値へ更新するかどうかを選択する選択手段を表示する第1領域を備えるグラフィカルユーザインターフェースと、
を有する車両運行管理装置。
【請求項2】
請求項1において、
前記グラフィカルユーザインターフェースは、前記第1期間の設定を入力するための第2領域を更に備える車両運行管理装置。
【請求項3】
請求項2において、
前記グラフィカルユーザインターフェースは、前記第1期間設定するための期間開始日と期間終了日を入力する第3領域を更に備える車両運行管理装置。
【請求項4】
請求項1において、
前記グラフィカルユーザインターフェースは、パラメータの差分が前記所定の値を超えている場合にそのことを前記第1領域内に表示する手段を有する車両運行管理装置。
【請求項5】
請求項1において、
前記演算部は、前記実績データのうち所定の上限値と所定の下限値の範囲内の値をフィルタリングして前記統計処理を行い、前記解析値を算出する車両運行管理装置。
【請求項6】
請求項1において、
前記演算部は、前記複数の車両のそれぞれについて、第2期間の前記実績データを抽出し、前記第2期間における統計処理により得られた第2解析値を更に演算し、
前記グラフィカルユーザインターフェースは、前記第1領域に前記第2解析値、前記初期定数を前記第2解析値へ更新するかを選択する第2選択手段をさらに表示する車両運行管理装置。
【請求項7】
請求項6において、
前記第2期間は、前記車両運行管理装置が運行計画を立てる時期の前年度以前の期間である車両運行管理装置。
【請求項8】
請求項1から7のいずれか一つにおいて、
前記車両は、鉄道車両であり、
前記統計処理は、前記第1期間における前記実績データの平均値であり、
前記グラフィカルユーザインターフェースは、前記演算部が算出する前記予測演算定数の種類を選択するための手段を表示する第4領域を有する車両運行管理装置。
【請求項9】
(方法クレーム)
車両運行管理装置において行われる車両運行管理方法であって、
複数の車両のそれぞれについて、各車両の走行の実績を記録した実績データ準備し、
前記複数の車両のそれぞれについて、各車両の将来の走行を予測するための演算に利用する予測演算定数を準備し、
前記複数の車両のそれぞれについて、各車両の第1期間の前記実績データを抽出し、前記第1期間における前記実績データの統計処理から得られた解析値を算出し、
前記複数の車両のそれぞれについて、前記予測演算定数、前記予測演算定数の変更候補となる前記解析値、及び前記予測演算定数から前記解析値へ更新するかどうかを選択する選択手段を表示する第1領域をグラフィカルユーザインターフェースに表示する、
工程を有する車両運行管理方法。
【請求項10】
請求項9に記載の車両運行方法をコンピュータとしての前記車両運行管理装置に実行させるための車両運行管理プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、移動体の運行管理に関し、特に車両や列車の運行管理装置、方法、及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
天候不良や車両故障などにより列車運行に乱れが生じた時には、計画ダイヤ通りの列車の平常運転ができなくなることがある。このとき列車運行は、運転整理と呼ばれる運行を採用し、旅客等への影響を軽減し平常運転に戻すための運転計画の変更作業が行われている。
【0003】
特許文献1には、「列車の運行ダイヤに乱れが生じたときに、自動的に運転整理案を作成しオペレータの支援を行う」ことを目的とする「運転整理支援装置」が記載されている。さら詳しくは、「列車の今後一定時間の運行状況を予測してオペレータに表示し、列車の運行状況を監視して、運転整理実施の判断を行い、計画ダイヤと現在の列車の運行状況をもとに、運転整理案を自動的に作成し、作成した運転整理案に対して、オペレータが修正を行える運転整理支援装置を提供すること」が目的である、と記載されている。そのための手段として、「列車の駅間基準運転時分、最小続行時隔等の時間データと各駅の番線数等の路線データを記憶した基本データと、列車の運行ダイヤを記憶した計画ダイヤデータと、列車の実際の駅着発時刻を記憶した実績ダイヤデータと、前記実績ダイヤデータから駅間走行時間、駅での停車時間の統計データを得る着発時刻統計手段と、前記基本データ、前記計画ダイヤデータ、前記実績ダイヤデータと前記着発時刻統計手段の内容に基づいて一定時間内の列車の駅着発時刻を予測する予測手段を設ける」とある。更に、「着発時刻統計処理機能1は、列車の実際の駅着発時刻をもとに列車の駅間の走行時分や駅停車時間の統計処理を行う。また指定された列車の駅間走行時分や駅停車時間の統計結果を出力する。統計処理の方法としては、例えば各列車ごとに月別・曜日別に各駅間の走行時分と駅停車時間の平均を計算する」、と記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平7-52803号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
運転整理等の際に一定時間内の列車の駅着発時刻を予測演算することが必要になる。そのために、本願発明者等は、予測演算に利用する各駅間の走行時分や駅停車時間等の予測演算定数に、適切なタイミングで、適切な値を選択的に使用することが重要であることを見出した。
【0006】
例えば、4月は移動の季節であり、3月に比べると急激に人の流れが変わり、通勤時間帯の旅客量が増加することがある。旅客量が急激に増加すると、駅における乗降量の増加を吸収するために駅停車時間は増加する傾向になる。このような場合に、過去1ヶ月(つまり3月)の列車の実際の駅停車時間等から平均して得られた値を「予測演算定数」として無条件に利用して4月の列車の駅着発時刻を予測演算を行っても実情に合わないものになってしまう。別の例として、日本の7月に多くの学校の夏休みが始まると、特定の行楽地や遊園地等の旅客量が急激に増える場合があり、同様の現象が起こる。
【0007】
従って、本願に先だって検討した本件発明者が検討した装置においては、機械的に最新の過去の1ヶ月の平均値を無条件に「予測演算定数」として利用することは行われていなかった。すなわち、「予測演算定数」とは、統計的に得られた過去の実績値を経験則に照らして選択した値であり、通常はアップデートしない「定数」として一括して定数テーブルに準備していた。その「定数」を利用して運転整理における列車の駅着発時刻の予測演算するが、その「定数」を用いての列車の駅着発時刻の予測が走行実績とのかい離を起こす割合が大きくなったときに「定数」のアップデートを行ってきた。しかしながらその定数テーブルは、アップデートが必要になるとシステムを構築した業者だけが知っている特定のアドレスにある定数テーブルを書き換えるものであり、オペレータが定数テーブルを更新することはできなかった。
【0008】
本件発明の一つの目的は、システム内部に格納される列車の駅着発時刻を予測演算するための「定数テーブル」を列車運行管理システムから呼びだし、容易に変更可能にすることにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の一例によれば、車両運行管理装置を、各車両の走行実績を記録した実績データを記憶する第1記憶領域と、各車両の運行予測するための演算に利用する予測演算定数を記憶する記憶する第2記憶領域と、各車両の第1期間の前記実績データを抽出し、前記第1期間における前記実績データの統計処理から得られた解析値を算出する演算部と、記予測演算定数、前記予測演算定数の変更候補となる前記解析値、及び前記予測演算定数から前記解析値へ更新するかどうかを選択する選択手段を表示する第1領域を備えるグラフィカルユーザインターフェースと、を有するよう構成する。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、ユーザインタフェースにより、車両の予測演算定数の保守作業が容易になる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】列車運行管理装置のハードウェア構成の一例を示す。
図2】列車運行管理システムにおける列車運行計画ダイヤの一例を示す。
図3】定数保守プログラムの一例を示すフローチャートである。
図4】実績ダイヤDBの構成例を示す。
図5】解析結果DBの構成例を示す。
図6】予測演算定数DBの構成例を示す。
図7】定数保守プログラムのグラフィカルユーザインタフェースをしめす。
図8】実施例2に係る定数保守プログラムのグラフィカルユーザインタフェースを示す。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、実施例を図面を用いて説明する。なお、本実施例では、鉄道の列車運行管理システムを例として説明するが、本発明はこれに限定されず、移動体や車両の運行管理システム等にも適用可能である。
【実施例1】
【0013】
<ハードウェア構成例の説明>
図1に、本実施例の列車運行管理装置1のハードウェア構成の一例を示す。この装置1は、周辺機器としてキーボード、マウス、タッチパネル等の入力装置10、液晶ディスプレイ等の表示装置20とが接続されたコンピュータ本体2を備える。更にコンピュータ本体2は列車運行管理システムにおける広域ネットワーク4にネットワーク3を介して複数の駅5と接続されている。それにより、装置1は、ネットワーク3を介し、広域ネットワーク4に接続する各駅5からリアルタイムで列車走行の実績ダイヤを受信することができる。駅5はダイヤに基づき列車の制御を行う。
【0014】
コンピュータ本体2は、プログラムやデータを記憶する記憶部40と、記憶部40にアクセスしてプログラム等の実行を行う演算部30とを内部に有する。演算部30がプログラム等を実行しデータ処理を行うことにより、列車運行管理装置1の有する様々な機能が実現される。なお演算部30はCPU(Central Processing Unit)と呼ばれることもある。記憶部40は、例えば、SRAM(Static Radom Access Memory)、DRAM(Dynamic Radom Access Memory)、HDD(Hard Disk Drive)等で構成される。すなわち、記憶部40は、データのアクセス速度、記憶特性(揮発性又は不揮発性)、記憶容量、ビットコストなどを勘案して階層的に構成されている。
【0015】
この実施例においては、一例として記憶部40に、実績ダイヤDB41、予測演算定数DB42、解析結果DB43を持たせるようにしている。。ここで実績ダイヤDBのDBはデータベース(Data Base)を意味する。なお、実績ダイヤDB等のオリジナル情報は、広域ネットワーク接続される図示しないデータサーバに保存されており、必要に応じて装置1内の記憶部40に呼び出す構成にしても良い。
【0016】
実績ダイヤDB41は、各駅5から随時受信する実際の列車の着発時刻である実績ダイヤを格納する。より一般化すれば、列車運行管理装置1は、各列車の走行実績を記録した実績データを記憶する第1記憶領域を備えることになる。予測演算定数DB42は、運転整理における列車の予測ダイヤを作成する際に使用する予測演算定数を格納する。この、より一般化すれば、装置1は、車両の運転予測をするのための演算に利用する予測演算定数を記憶する第2記憶領域を備えることになる。解析結果DB43は、実績ダイヤDB41のデータを後述する実績ダイヤ解析ルーチン45によって解析した解析値を格納する。後述のように実績ダイヤDBは、実績ダイヤDBのデータがある限りは必要に応じて計算で求められるため、本実施例の処理中だけ1時的に作成されるデータベースであるのが通常である。しかし、過去に計算した結果を参照する必要がある場合には、装置1が、解析値を保存しておくよう第3記憶領域を備えるようにしても良い。各DB(データベース)41、42、43の詳細については、図4図5図6で後述する。
【0017】
更にこの実施例は、記憶部40に、本件発明の重要部分の一つである定数保守プログラム44を持つ。定数保守プログラム44は更に実績ダイヤ解析ルーチン45と、定数差分表示処理ルーチン46とを有する。定数保守プログラム44の詳細は図3のフローチャートで後述する。なお、記憶部40内には、オペレーティングシステム(OS)をはじめとする図示しない様々なプログラムを有しており、定数保守プログラム44の動作をサポートしているものとする。
【0018】
実績ダイヤ解析ルーチン45は、一定期間の実績ダイヤ情報を格納した実績ダイヤDB41から解析対象とする期間(以下、定数統計期間)を解析し、予測演算定数の候補となる解析値を演算部を使って統計処理により算出する。そして、算出した解析値を解析結果DB43に格納する。
【0019】
定数差分表示処理ルーチン46は、予測演算定数DB42にある現システムが採用している更新前の予測演算定数の値と、解析結果DB43に格納された予測演算定数の更新候補値とを比較対照するように、表示装置20にグラフィカルユーザインタフェース(GUI:Graphical User Interface)として表示させる機能を持つ。更に定数差分表示処理ルーチン46は、予測演算定数DB42にある現システムが採用している更新前の予測演算定数の値を、解析結果DB43に格納された予測演算定数の更新候補値に、入力装置10の指示に基づいて、変更するかどうかを指示するためのGUIを実現する(詳細は、図7で後述)。
<列車運行計画ダイヤの説明>
図2は、本件発明の前提となる列車運行計画ダイヤ200の一例を図示したものである。縦軸は、一つの線区の駅の並びを示し、横軸は時間、斜線は列車の走行計画を示す。ダイヤ200では、列車Taと列車Tbの列車の走行計画を示している。例えば、列車Taは、C駅とD駅を停車後にE駅にて折り返し、D駅、C駅、B駅を停車後にA駅に向かうダイヤであることを示す。
【0020】
ここで、一例として列車Taが遅延してC駅に到着した後、D駅の予想到着時刻について検討する。D駅の予想到着時刻EAT(D)は、以下の式で表される。
【0021】
EAT(D)=AT0(C)+ΔT+ΔT(C)+ΔT(CD) (式1)
ここでAT0(C)は計画ダイヤにおけるC駅の到着時刻である。ΔTはC駅への到着遅れ時間(遅延時間)、ΔT(C)はC駅の停車時間、ΔT(CD)はC駅からD駅間の列車走行時間を表す。
【0022】
停車時間ΔT(C)や列車走行時間ΔT(CD)は、列車の運行時刻を予測するために利用される「予測演算定数」の代表例である。図1の予測演算定数DB42にはこのような定数が記憶されている。正確な運行予測のためには、これら予測演算定数の精度が重要になる。
【0023】
なお、本実施例の対象とする予測演算定数には、他に、折返時分定数、交差時隔定数、続行時隔定数、運転時分などが挙げられる。折返時分定数とは列車が停車駅にて進行していた方向とは逆の方向に進路を進める際に要する時間定数であり、交差時隔定数とは互いに交わる進路を使用する列車間の時間定数である。さらに、続行時隔定数とは同じ番線を続けて使う2つの列車間の時間定数であり、運転時分とは列車が駅間を走行する際に要する時間定数である。いずれも実績ダイヤから算出可能な値である。

<定数保守プログラムの動作説明>
以下、図3に示す定数保守プログラム44により、(1)図4に示す実績ダイヤDB41のデータを演算部で処理し、図5に示す解析結果DB43の解析値を得、更に(2)その解析結果DB43のデータ、及び現在システムで使用されている予測演算定数(図6)をグラフィックユーザインターフェース(図7)に表示する流れを各図を使って詳細に説明する。
【0024】
まず、図4の実績ダイヤDB41のテーブル構成例から説明を始める。図4に示すように実績ダイヤDB41は、日毎にまとめられた実績ダイヤテーブル400〜440の集合体である。実績ダイヤテーブル400の内部では、実績ダイヤ情報をレコードとして管理する。各テーブルは、データ項目として、線区401と、駅402と、番線403と、線別404と、ダイヤ区分405と、列車番号406と、到着時刻407と、出発時刻408とを有する。これらの実績ダイヤ情報は、各駅5から随時データを受信し、更新されていく。また、これらの実績ダイヤ情報は、一定期間(過去数年分)のデータが実績ダイヤDB41に格納されているものとする。
【0025】
図3は、定数保守プログラム44の一例を示すフローチャートである。定数保守プログラム44は、おおまかには、実績ダイヤ解析ルーチン45、定数差分表示処理ルーチン46の2段階の処理を持っている。
【0026】
実績ダイヤ解析ルーチン45は、グルーピングパターン選択処理301から開始する。すなわち、ここでは解析の前提として、解析対象の予測演算定数の選択、及び統計期間設定を行う。図2の説明で前述したとおり、列車の運行予測のために用いられる予測演算定数には様々なものがあるが、そのうちどの定数を解析するかを選択すること必要となるからである。この実施例では、列車の特定の駅の停車時間である、「停車時間停車時間」を解析する予算演算定数の一つとして選択しているものとして以下説明する。図4の実績ダイヤテーブル400等には、停車時間停車時間は直接の値として記録されていないが、同じレコード内で出発時刻408から到着時刻407を差し引くと停車時間停車時間が求められる。また、参照する期間は後述するように作業する日を基準に過去1ヶ月等のいずれかを選択する。また特定の任意の期間を参照する期間として選択することもできる。この実施例では、一例として3ヶ月を選択したものとして以下説明する。解析対象の予測演算定数や期間の選択は、図7で後述するようにグラフィカルユーザインタフェースで実現可能とされる。
【0027】
次に、グルーピング処理302は、グルーピングパターン選択処理301で決定したグルーピング項目毎に実績ダイヤDB41をソートし、グルーピングを行う。本実施例では、図4の線区401、駅402、線別404、ダイヤ区分405、及び列車番号406のうち例えばレコード番号#1の1302を特定し、更に前の301で選択された3ヶ月についてデータをグルーピングする。
【0028】
解析値の算出処理303は、一つ前の302で特定したグループのレコードから統計処理により変更候補としての解析値を算出する。この解析値は、予測演算定数になる可能性のある値であるが、用語の混乱を避けるため、更新が確定するまでは解析値と呼んで区別することにする。
【0029】
処理303では、閾値判別によって明らかに逸脱したレコードを除外する処理も更に行う。閾値の判別は、人身事故等による列車運行の遅延等の例外を除外し、予測演算定数の精度を高めるためである。そのため閾値は、予め定数等で上限値αと下限値βで設定し、停車時間停車時間χ<上限値αと、下限値β<停車時間停車時間χで判定していく。本実施例では、閾値を上限値α=420秒、下限値β=25秒としたとき、実績ダイヤテーブル420(図4参照)の#1レコードの到着時刻407と出発時刻408の停車時間停車時間は、480秒(8:54−8:46=8分)のため平均値算出から除外される。そして、平均値としての解析値は、一例として実績ダイヤテーブル410、430、440等の3ヶ月の#1レコードの停車時間(408と407の差分)から75秒が算出されたとを想定する。なお、単純な平均演算では秒単位の数値が算出がされるが、列車運行では、運行は5秒単位または15秒単位で管理されるのが通常である。このため、解析値は単なる平均値ではなく、平均値を5秒単位または15秒単位のいずれかで丸め演算された数値となる。
【0030】
解析結果DB43への格納処理304は、303で算出された解析値を解析結果DB43に格納する。以上が実績ダイヤ解析ルーチン45の流れである。
【0031】
図5は、上記の処理304によって算出された解析結果DB43の構成例を示す。この実施例では、解析結果DB43は、図5に示した解析結果テーブル500に一致している。解析結果テーブル500は、列車番号でグルーピング処理し、データ項目として、列車番号501、線区502、駅503、線別504、ダイヤ区分505、及び停車時間506を有する。一例を説明すれば、この図でレコード#1は、列車番号1302について、A駅、上り、平日ダイヤの3ヶ月の平均値から求めた停車時間75秒が保存される。以下には列車番号1302についてのA駅から線区内の停車時間506とは、前述のとおり、図4の実績ダイヤテーブルの到着時刻と出発時刻の差を一定期間について統計処理(ここでは相加平均)によって算出した時間を表す。
【0032】
再び図3のフローチャートに戻り、以下定数差分表示処理ルーチン46の処理311〜316について説明する。まず、処理311では解析結果DB43及び予測演算定数DB42のデータを準備する。
【0033】
図6は、システムが運行予測のために利用する。予測演算定数DB42の構成例を示す。この実施例では予測演算定数DB42は、図6の予測演算定数テーブル600、610等の集合体である。ここで600は予測演算定数テーブル1であり、停車時間を保持する。610には予測演算定数テーブル2であり、他の予測定数である走行時間をを保持する。同様に予測演算定数DB42は、必要な種類の数だけ、予測演算定数テーブルをもつ。この予測演算定数テーブル600は、停車時間の数値を除けば、前述した図5の解析結果テーブル500と項目が一致する。なお、本実施例の列車運行管理装置は、予測演算定数DB42はユーザには開放されておらず、ユーザが直接見ることができない。従って、ユーザが予測演算定数DB42を直接保守管理することはできない。
【0034】
図7に、定数差分表示処理ルーチン46の処理312で作られた定数メンテナンスGUI700を示す。この図で定数メンテナンスGUI700は、定数統計期間701と、メンテナンス対象となる予測演算定数を選択するためのドロップダウンメニュー702を持つ。この実施例では、定数統計期間に3ヶ月が選択され、予測演算定数の停車時間をメンテナンスする様子を示している。更に700は、定数選択テーブル703を持ち、項目「現在値」には先のテーブル500(図5)の停車時間の値が表示され、項目「変更候補」にはテーブル600(図6)の停車時間の値(解析値)が表示される。703で変更候補が空白である場所は算定した解析値が現在と同じである場合を示しており、通常は値の更新が不要である。そのほか700は、703のチェックボックスを全選択する全選択ボタン704、703のチェックボックスを全解除する全解除ボタン705、703でチェックボックスを選択した項目をインストールするインストールボタン706、703のレコードを上下にスクロールするスクロールバー707と、とを有する。
【0035】
定数のメンテナンスに際して、ユーザは、定数選択テーブル703のチェックボックスによりからインストールする定数を、マウス等で選択する。また703には「変更値入力」用テキストボックスが用意されており、ユーザの判断でキーボード等により数値を入力することもでき、この欄に数値が入力された場合にはその値が優先的な変更候補値に置き換えられる。この「変更値入力」は不要であれば削除してもよいオプション機能である。また、変更候補の欄を数値で上書き可能な形式として、上書きによりユーザが個別に入力したときには文字の色等を変更してその履歴が残るようにしてもよい。このようにすれコンパクトな表示ができる点で好ましい。なお、この実施例ではチェックボックスを用いたが、解析値へ更新するかどうかを選択する選択手段であれば他にボタン等でもよく多くの代替手段で置き換え可能である。
【0036】
なお、保守作業中に定数統計期間を変更して変更候補の値を再計算した値に更新するする必要があることが解った場合には、定数統計期間701のラジオボタンで別の期間を選択する。701で別の期間が選択されると、変更候補が新たに算定した値にリフレッシュされる。すなわち図3において処理313から301に戻り解析結果DB43を書き換えて(301〜304)再度GUIに表示(311〜312)される。定数統計期間を変更することは駅の改修によるホームの増加や、駅周辺に人の流れを大きく変える施設の新設などの伴って必要となる予測演算定数の保守をする際に有効である。定数統計期間は、後の図8で示すように任意期間の開始日と終了日をテキストボックス等で入力するようにしても良い。
【0037】
定数選択テーブル703の変更候補値のレビューと変更を指示するチェックボックスの選択が完了したとユーザが判断したときに、インストールボタン706を押す。これにより、定数選択テーブル702で選択された項目が予測演算定数DB203にインストールされる。更に、インストールボタン706が押されると、変更が選択されたレコードについては現在値と候補値が同じ値示すようにGUI700画面上で更新される。なおインストールボタン706が押されない限りは、GUI700は同じ画面を表示し続ける。以上の説明が、図3の314及び315の動作である。また、誤ってインストールをした値を元に戻したい場合に備えていわゆるUNDOボタン(指示撤回ボタン)をインストールボタンの横に追加してもよい。
【0038】
以上により、予測演算定数の一つである停車時間のメンテナンスが完了する。さらに他の予測演算定数のメンテナンスを続ける場合には、予測演算定数を選択するドロップダウンメニュー702で他の予測演算定数を選択する。これにより図3の316の分岐から301に戻り、前述した一連の動作が繰り返される。
【0039】
なお図7の定数メンテナンスGUI700は、定数保守プログラム44の立ち上げ時の初期画面になりうるものである。すなわち、このような時に44が立ち上がったときには、図7において定数統計期間701は未選択、予測演算定数702の選択項目は空白、定数選択テーブルも空白が表示される。次に予測演算定数702で何らかの定数種類を選択し、かつ定数統計期間を選択して「実行」ボタンを押すと図3の301からの一連の処理が開始されるようにできる。もちろん700を表示するのではなく、専用の初期画面を設けて、予測演算定数と定数統計期間の初期入力画面から始めてもよい。
【0040】
更に図7は、液晶画面等の表示装置20の画面にグラフィカルユーザインタースを表示し、マウスやタッチパネルにより必要な要素を選択したり、キーボード等の入力装置30や画面にポップアップする入力画面で任意の数値や文字キャラクタを入力可能とされている。しかし、これは液晶画面のような表示装置に限定されるものではなく、専用に作られたユーザインターフェースでも構わない。
【0041】
実施例1により、以下の代表的な効果が得られる。(1)本実施例の列車運行管理装置は、定数保守プログラムにより、ユーザが直接予測演算定数の保守を行えるようになる。(2)更に本実施例の装置は、提案された予測演算定数の更新候補である解析値と、現在値とが対比可能にグラフィカルユーザインタフェースに表示されるので、予測演算定数の保守が容易になる。(3)更に本実施例の装置は、更新候補、及び更新を指示するための手段(チェックボックス等)が対照してグラフィカルユーザインタフェースに表示されるので、保守作業の効率が向上する。(4)更に本実施例の装置は、予測演算定数の更新候補を解析する際に統計期間が変更できるので、様々な状況に応じて最適の解析値を探索することができる。(5)また本実施例の装置は、予測演算定数の更新候補を解析する際に実績データのフィルタリング機能を持たせ異常値を予めフィルタリングすることで、解析値の精度を向上させることができる。以上本実施例の装置としての利点を説明したが、この利点はほ実施例を方法の発明やプログラムの発明としてとらえても同様である。
【0042】
なお実施例1では、図3のグルーピングパターン選択処理301において、1個の予備演算定数を解析対象として選択し、それについて解析値を計算して解析結果DB43に格納した。しかし、場合によっては301で予測演算定数は選択せずに、303で対象となる可能性のある全ての予測演算定数の解析値を一度に計算する方法も考えられる。この場合図5の解析結果テーブルには、図6の予測演算DBの全テーブルに対応するものが作成されることになる。この時図3における316のYESの分岐は312の前に飛ぶことになる。この方法は、統計期間を頻繁に変えて計算をやり直すと、予測演算DBの全テーブルを作りなおすので計算機の負荷が増大する。しかし、統計期間が一定であれば、対象の予測演算定数は予め計算されているので、予測演算定数の種類を変更したときの表示リフレッシュは効率化される。
【実施例2】
【0043】
図8に、本発明の第2の実施例による定数メンテナンスをするための第2のグラフィカルユーザインタフェース(GUI)800を示す。図7と比較した際の変更点は、801と802に2つの定数統計期間を任意期間で設定できるようになっていることである。さらにそれに2つの定数統計期間に対応させて、803の定数選択テーブルに変更候補(1)、その変更を選択するチェックボックス(1)、変更候補(2)、その変更を選択するチェックボックス(2)が設けられていることである。その他の702、704〜707の要素については前述の実施例1と同様である。
【0044】
本実施例は、変更候補として、2つの定数統計期間から算定した解析値を比較してグラフィカルユーザインタフェースに表示し、予測演算定数の保守の利便性を更に向上させたものである。
【0045】
ひとつの例として、B駅の周辺施設として大型商業施設が6月1日にオープンしたと仮定してみる。この時、7月末時点において8月に使うための予測演算定数を行うことを検討してみる。この時、定数統計期間(1)に大型商業施設オープン前の5月1日〜5月31日を選択することが考えられる。一方、定数統計期間(2)にオープン後の6月1日〜6月30日を選択することが考えられる。本実施例では、このような状況で要因の異なる2つの解析値を比較しながら、最適な予測演算定数が選択できるので、予測演算定数の保守精度の向上が図れることになる。
【0046】
上述した本発明の実施例は、本発明の説明のための例示であり、本発明の範囲をそれらの実施例にのみ限定する趣旨ではない。当業者は、本発明の要旨を逸脱することなしに、他の様々な態様で本発明を実施することができる。
【符号の説明】
【0047】
1…列車運行管理装置、 2…コンピュータ本体、 3…ネットワーク、 4…広域ネットワーク、5…駅、 10…入力装置、 20…表示装置、 30…演算部(CPU)、 40…記憶部、 41…実績ダイヤDB、 42…予測演算定数DB、 43…解析結果DB、 44…定数保守プログラム、 45…実績ダイヤ解析ルーチン、 46…定数差分表示ルーチン、 200…列車運行計画ダイヤ、
400…実績ダイヤテーブル、 401…線区、 402…駅、 403…番線、 404…識別、 405…ダイヤ区分、 406…列車番号、 407…到着時刻、 408…出発時刻、410〜440…実績ダイヤテーブル、
500…解析結果テーブル1(停車時間)、 501…列車番号、 502…駅、 503…線区、 504…識別、 505…ダイヤ区分、 506…停車時間、
600…予測演算定数テーブル1(停車時間)、 601…列車番号、 602…駅、 603…線区、 604…識別、 605…ダイヤ区分、 606…停車時間、610…予測演算定数テーブル2(走行時間)、
700…グラフィカルユーザインタフェース(GUI)、 701…定数統計期間選択ボタン、 702…予測演算定数選択ドロップダウンメニュー、 703…定数選択テーブル 、 704…チェックの全選択ボタン、 705…チェックの全解除ボタン、 706…更新定数のインストールボタン、 707…スクロールバー
800…第2のグラフィカルユーザインタフェース(GUI)、 801…定数統計期間(1)入力領域、 802…定数統計期間(2)入力領域、 803…定数選択テーブル2
図1
図2
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図7
図8