【解決手段】ECU101は、マスタシリンダ、ペダルフォースシミュレータバルブなどを備えた入力装置14に設けられ、ペダルフォースシミュレータバルブを開閉制御する。電力供給ライン143,144は、入力装置14から外部に延びていてECU101を外部のブレーキペダルストロークセンサ131に接続するためのラインである。コネクタ145は、電力供給ライン143,144に接続され、電力供給ライン143,144をブレーキペダルストロークセンサ131側と連結するためのものである。電力供給ライン121,122は、入力装置14から外部に延びていてペダルフォースシミュレータバルブに外部から接続するためのラインである。電力供給ライン143,144はコネクタ145に接続されている。
ブレーキペダルの操作によりブレーキ液圧を発生させるマスタシリンダ、および、前記マスタシリンダと連通してペダル反力を発生するペダルフォースシミュレータと前記マスタシリンダとの間の連通路に設けられた常閉のペダルフォースシミュレータバルブを有する入力装置と、
前記入力装置に設けられ、前記ペダルフォースシミュレータバルブを開閉制御する制御部と、
前記入力装置から外部に延びていて前記制御部を前記入力装置から外部の検出部に接続するための第1のラインと、
前記第1のラインに接続され、当該第1のラインを前記検出部側と連結するための第1の連結器と、
前記入力装置から外部に延びていて前記ペダルフォースシミュレータバルブに外部から接続するための第2のラインと、
を備え、
前記第2のラインは前記第1の連結器に接続されていることを特徴とする車両用制動システム。
【背景技術】
【0002】
例えば特許文献1に示すように、運転者のブレーキペダルの操作に応じて、モータでスレーブシリンダ装置(モータシリンダ装置)を駆動して液圧(油圧)を発生させ、これにより車両の摩擦制動力を発生させる、所謂バイ・ワイヤ・ブレーキ(電動サーボブレーキ:ESB)が知られている。
バイ・ワイヤ・ブレーキ・システムにおいては、ブレーキペダルの操作により運転者が入力した踏力をブレーキ液圧に変換するマスタシリンダと、ペダルフォースシミュレータとが液圧的に連通している。そして、運転者がブレーキペダルを操作すると、ペダルフォースシミュレータがブレーキペダルに反力を与える。
【0003】
また、マスタシリンダと、ペダルフォースシミュレータとを連通する油路には、ペダルフォースシミュレータバルブ(PFSV)と呼ばれる電磁弁が介装されている。このペダルフォースシミュレータバルブは常閉弁である。
さらに、バイ・ワイヤ・ブレーキ・システムのマスタシリンダ、ペダルフォースシミュレータ、ペダルフォースシミュレータバルブなどは、例えば、単一の筺体に収容されてエンジンルーム内に配置される。このように、単一の筺体内に収納されたモータシリンダなどからなる装置を、以下、「入力装置」と称することがある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
前記のようなバイ・ワイヤ・ブレーキ・システムを搭載した車両の製造工程において、バイ・ワイヤ・ブレーキ・システム内にブレーキ液を充填するためには、まず、バイ・ワイヤ・ブレーキ・システム内の油路を吸引して真空にするエア抜き作業を行う。この場合、ペダルフォースシミュレータバルブは常閉の電磁弁であるため、ペダルフォースシミュレータバルブを外部から制御して開かせてから、ペダルフォースシミュレータ内のエアを吸引する。かかる制御は、バイ・ワイヤ・ブレーキ・システムを制御するために例えば車室側に設けられたECU(Electronic Control Unit)であるESB−ECU側からの制御によって実行することができる。
【0006】
ここで、装置の小型化やスペース効率の向上のためには、当該ESB−ECUはエンジンルーム内の前記の入力装置の筺体に一体的に取り付けることが考えられる。このような構成の場合は、ペダルフォースシミュレータバルブを外部から制御するためのエア抜き作業専用のワイヤハーネスおよびコネクタを、ペダルフォースシミュレータバルブから入力装置の外部に延ばすように設ける必要がある。このような構成とすれば、当該コネクタに車両の外部装置を接続してペダルフォースシミュレータバルブを開くように動作させ、ペダルフォースシミュレータ内のエア抜きを行うことができる。
【0007】
しかし、単にワイヤハーネスおよびコネクタを入力装置の外部に延ばしただけでは、車両の出荷後に当該コネクタが未接続のままにおかれていても、ESB−ECUは当該事実を検知できない。よって、当該コネクタが未接続のまま放置され、当該コネクタ内に水などの異物が入り込むおそれがある。
そこで、本発明は、ペダルフォースシミュレータバルブを駆動できるように外部に延ばした連結器が未接続の状態にあることを検知できるようにすることを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の一形態は、ブレーキペダルの操作によりブレーキ液圧を発生させるマスタシリンダ、および、前記マスタシリンダと連通してペダル反力を発生するペダルフォースシミュレータと前記マスタシリンダとの間の連通路に設けられた常閉のペダルフォースシミュレータバルブを有する入力装置と、前記入力装置に設けられ、前記ペダルフォースシミュレータバルブを開閉制御する制御部と、前記入力装置から外部に延びていて前記制御部を前記入力装置から外部の検出部に接続するための第1のラインと、前記第1のラインに接続され、当該第1のラインを前記検出部側と連結するための第1の連結器と、前記入力装置から外部に延びていて前記ペダルフォースシミュレータバルブに外部から接続するための第2のラインと、を備え、前記第2のラインは前記第1の連結器に接続されていることを特徴とする車両用制動システムである。
本発明によれば、第1の連結器に外部の制御装置などを接続することで、当該制御装置などによりペダルフォースシミュレータバルブを開かせることができるので、ペダルフォースシミュレータ内のエア抜きを行うことが可能となる。また、第1の連結器には、外部の検出部に接続するための第1のラインの他に、外部からペダルフォースシミュレータバルブに接続するための第2のラインが接続されている。そのため、検出部が制御部に接続されているか否かの当該制御部による判断により、ペダルフォースシミュレータバルブを駆動できるように外部に延ばした第2のラインの先の第1の連結器が未接続の状態にあるか否かを判断することができる。
【0009】
前記の発明において、前記検出部は、前記ブレーキペダルの操作量を検出するブレーキペダルストロークセンサであるようにしてもよい。
本発明によれば、バイ・バイヤ・ブレーキ制御を行うために設けられるブレーキペダルの操作量を検出するブレーキペダルストロークセンサは一般に検知精度が高いため、第1の連結器が未接続の状態にあるか否かの判断の精度を向上させることができる。
【0010】
また、前記の発明において、一端側が前記検出部に接続されている第3のラインと、前記第3のラインの他端側に接続され、前記第1の連結器と連結される第2の連結器と、を備え、前記第2の連結器が前記第1の連結器と接続されているときは、前記第2の連結器は前記第1の連結器の前記ペダルフォースシミュレータバルブに接続するための部分を覆うようにしてもよい。
本発明によれば、第2の連結器が第1の連結器と接続されているときは、第2の連結器は、第1の連結器のペダルフォースシミュレータバルブに接続するための部分を覆うので、第1の連結器の内部の接点などの部分に水などの異物が入り込むことを防止することができる。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、ペダルフォースシミュレータバルブを駆動できるように外部に延ばした連結器が未接続の状態にあることを検知できるようにすることができる。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明の実施形態について図面を用いて説明する。
図1は、本発明の一実施の形態である車両の制動システム10の説明図である。車両の制動システム10は、車両における摩擦制動力を発生するための装置である。具体的には、車両の制動システム10は、バイ・ワイヤ・ブレーキ・システム(電動サーボフレーキシステム:ESB)などから構成される。
【0014】
すなわち、車両の制動システム10は、ブレーキペダル12の操作により運転者が入力した踏力をブレーキ液圧に変換するマスタシリンダ34などを備えた入力装置14、マスタシリンダ34で発生したブレーキ液圧に応じて、または、そのブレーキ液圧とは無関係にブレーキ液圧を発生させるモータシリンダ装置(スレーブシリンダ装置)16、車両挙動安定化装置18、ディスクブレーキ機構30a〜30dなどを備える。モータシリンダ装置16は、電動モータ72の駆動力を受けてブレーキ液圧を発生させる第1及び第2スレーブピストン77a,77bを備える。
なお、配管チューブ22a〜22fには、各部のブレーキ液圧を検出するブレーキ液圧センサPm,Pp,Phが設けられている。また、車両挙動安定化装置18は、ブレーキ液加圧用のポンプ73を備える。
【0015】
モータシリンダ装置16には、車両100の右側前輪に設けられたディスクブレーキ機構30aで液圧により摩擦制動力を発生させるホイールシリンダ32FRと、左側後輪に設けられたディスクブレーキ機構30bに液圧により摩擦制動力を発生させるホイールシリンダ32RLと、右側後輪に設けられたディスクブレーキ機構30cに液圧により摩擦制動力を発生させるホイールシリンダ32RRと、左側前輪に設けられたディスクブレーキ機構30dに液圧により摩擦制動力を発生させるホイールシリンダ32FLと、が接続される。
【0016】
車両挙動安定化装置18は、ブレーキ液を供給するポンプ73と、ポンプ73を駆動するモータMと、
図1に図示する各種バルブなどから構成され(公知技術のため、詳細は省略)、各ホイールシリンダ32FR,32RL,32RR,32FLに個別に液圧を供給することにより、車両の挙動の安定化を図るための装置である。例えば、アンチロック・ブレーキ・システム(Antilock Brake System)も車両挙動安定化装置18により動作する。
【0017】
次に、車両の制動システム10の基本動作について説明する。車両の制動システム10では、モータシリンダ装置16などのバイ・ワイヤ・ブレーキ・システムの制御を行う制御系である後述のECU(Electronic Control Unit)101の正常作動時において、運転者がブレーキペダル12を踏むと、所謂バイ・ワイヤ式のブレーキシステムがアクティブになる。具体的には、正常作動時の車両の制動システム10では、運転者がブレーキペダル12を踏むと、ブレーキペダルストロークセンサ131(
図2)でブレーキペダル12の操作量、操作速度を検出し、第1遮断弁60aおよび第2遮断弁60bが、マスタシリンダ34と各車輪を制動するディスクブレーキ機構30a〜30d(ホイールシリンダ32FR,32RL,32RR,32FL)との連通を遮断した状態で、モータシリンダ装置16が、モータ72の駆動により発生するブレーキ液圧を用いてディスクブレーキ機構30a〜30d(のホイールシリンダ32FR,32RL,32RR,32FL)を作動させて、各車輪を制動する。
【0018】
また、正常作動時は、第1遮断弁60aおよび第2遮断弁60bが遮断される一方、第3遮断弁62が開弁され、ブレーキ液は、マスタシリンダ34からストロークシミュレータ(ペダルフォースシミュレータ)64に流れ込むようになり、第1遮断弁60aおよび第2遮断弁60bが遮断されていても、ブレーキ液が移動し、ブレーキペダル12の操作時にはストロークが生じ、ペダル反力が発生するようになる。なお、以下の説明では、第3遮断弁62を、適宜、「ペダルフォースシミュレータバルブ(PFSV)62」とも呼ぶ。なお、第3遮断弁62は、配管チューブ22a側の系統に設けられていてもよい。第3遮断弁(ペダルフォースシミュレータバルブ)62は、マスタシリンダ34とペダルフォースシミュレータ64とを連通する連通路となる配管チューブ66に介装されている。
【0019】
一方、車両の制動システム10では、モータシリンダ装置16などが不作動である異常時において、運転者がブレーキペダル12を踏むと、既存の油圧式のブレーキシステムがアクティブになる。具体的には、異常時の車両の制動システム10では、運転者がブレーキペダル12を踏むと、第1遮断弁60aおよび第2遮断弁60bをそれぞれ開弁状態とし、かつ、第3遮断弁62を閉弁状態として、マスタシリンダ34で発生するブレーキ液圧をディスクブレーキ機構30a〜30d(のホイールシリンダ32FR,32RL,32RR,32FL)に伝達して、ディスクブレーキ機構30a〜30d(ホイールシリンダ32FR,32RL,32RR,32FL)を作動させて各車輪を制動する。
その他の入力装置14、モータシリンダ装置16、車両挙動安定化装置18の構成や動作は公知であるため、詳細な説明は省略する。
【0020】
また、入力装置14には、マスタシリンダ34、ペダルフォースシミュレータ64、ペダルフォースシミュレータバルブ62などが内蔵されている。また、入力装置14の筺体には、車両の制動システム10のうち、主に入力装置14、モータシリンダ装置16などからなるバイ・ワイヤ・ブレーキ・システムを制御するECU101が設けられている。このECU101は、所謂ESB−ECUである。また、ECU101は、本発明の「制御部」を実現するものである。ECU101が設けられた入力装置14は、車両のエンジンルーム内に収納される。
【0021】
図2は、ECU101を中心とした制御系のブロック図である。ECU101には、ペダルフォースシミュレータバルブ62に駆動電圧を印加するための電源端子であるプラス側端子111およびマイナス側端子112が設けられている。そして、このプラス側端子111およびマイナス側端子112にそれぞれ電力供給ライン114,115が接続され、この電力供給ライン114,115を介して駆動電圧がペダルフォースシミュレータバルブ62に印加される。このように、電力供給ライン114,115を介した駆動電圧の供給により、ペダルフォースシミュレータバルブ62は駆動される。ペダルフォースシミュレータバルブ62は常閉のバルブであり、ブレーキペダル12の操作量や操作速度を検出するためのブレーキペダルストロークセンサ131を運転者が操作することにより、ペダルフォースシミュレータバルブ62は開き、ペダルフォースシミュレータ64によりブレーキペダル12に反力を与える。ブレーキペダルストロークセンサ131は、本発明の「検出部」を実現する。
【0022】
以上の構成の車両の制動システム10を備えた車両の製造工程においては、
図1に示す車両の制動システム10の内部の油路内にブレーキ液を充填する。
かかるブレーキ液充填作業においては、
図1に示すように、入力装置14のブレーキ液導入口91を開く。このブレーキ液導入口91は、常時は閉鎖されている。また、ブレーキ液導入口91は、マスタシリンダ34、ひいては、車両の制動システム10の各油路に連通している。
【0023】
ブレーキ液充填作業においては、まず、
図1の矢印92に示すように、ブレーキ液導入口91から車両の制動システム10の各油路内を吸引して真空にするエア抜き作業を行う。そして、このエア抜き後に、矢印93に示すように、ブレーキ液導入口91から車両の制動システム10の油路内にブレーキ液を導入することで、車両の制動システム10へのブレーキ液の充填を行う。
ここで、ペダルフォースシミュレータバルブ62は常閉の電磁弁であるため、ペダルフォースシミュレータバルブ62をECU101の駆動により開いた状態で前記の吸引を行わないと、ペダルフォースシミュレータ64内のエア抜き作業を行うことができない。
【0024】
この場合に、仮に、ECU101が例えば車両の車室側などに設けられているのであれば、ECU101とエンジンルーム側の入力装置14(ペダルフォースシミュレータバルブ62)とを接続するワイヤハーネスが設けられることになる。よって、入力装置14側から外部に延びている当該ワイヤハーネスの先端に接続されているコネクタからペダルフォースシミュレータバルブ62に駆動電圧を印加し、ペダルフォースシミュレータバルブ62を開かせてエア抜き作業を行うことができる。
【0025】
しかし、本実施形態の車両の制動システム10においては、前記のとおりECU101が入力装置14の筺体に取り付けられている。そのため、ECU101と入力装置14(ペダルフォースシミュレータバルブ62)側とを接続するワイヤハーネスは不要であり、ECU101とペダルフォースシミュレータバルブ62とは、前記の電力供給ライン114,115により内部的に接続されている。このように、電力供給ライン114,115は入力装置14内にとどまり、入力装置14の外部に延び出ていないので、電力供給ライン114,115を用いて入力装置14の外部からペダルフォースシミュレータバルブ62を駆動することができない。
よって、車両の製造工程において、ペダルフォースシミュレータバルブ62を外部からの操作で開かせて、エア抜き作業を行うことを可能とするための手段が別途必要となる。以下では、かかる手段について説明する。
【0026】
すなわち、本実施形態の車両の制動システム10では、
図2に示すように、入力装置14から外部に延びていて、ペダルフォースシミュレータバルブ62に外部から接続して駆動電力を供給するための電力供給ライン121,122(プラス側の電力供給ライン121およびマイナス側の電力供給ライン122)が設けられている。電力供給ライン121,122は、本発明の「第2のライン」を実現する。すなわち、電力供給ライン121,122の各一端部はペダルフォースシミュレータバルブ62に接続され、各他端部は入力装置14の外部に延びている。プラス側の電力供給ライン121には、電力供給ライン114側からの電流の逆流を防止するダイオード123が介装されている。
【0027】
ECU101には、ブレーキペダルストロークセンサ131に駆動電圧を印加するための電源端子であるプラス側端子141およびマイナス側端子142が設けられている。そして、このプラス側端子141およびマイナス側端子142にそれぞれ電力供給ライン143,144の各一端側が接続されている。電力供給ライン143,144は、本発明の「第1のライン」を実現する。電力供給ライン143,144の各他端側は、入力装置14から外部に延びている。電力供給ライン143,144は、ECU101とブレーキペダルストロークセンサ131側とを接続する。そのために、電力供給ライン143,144の他端側には電力供給ライン143,144をブレーキペダルストロークセンサ131側と連結するためのコネクタ145が接続されている。コネクタ145は、本発明の「第1の連結器」を実現する。
【0028】
ブレーキペダルストロークセンサ131には、ECU101から駆動電圧の供給を受けるための電力供給ライン151,152の各一端部が接続されている。電力供給ライン151,152の各他端部にはコネクタ153が接続されている。電力供給ライン151,152は、本発明の「第3のライン」を実現する。また、コネクタ153は、本発明の「第2の連結器」を実現する。コネクタ153は、コネクタ145に着脱可能に連結することができる。
【0029】
製造後の車両においては、
図2に示すように、コネクタ145とコネクタ153とは連結された状態にある。この連結状態においては、電力供給ライン121,122側を他のコネクタ側に接続するためのコネクタ145の接続部146、すなわち、ペダルフォースシミュレータバルブ62に入力装置14の外部から接続するための部分が、コネクタ153により覆われる。よって、コネクタ145とコネクタ153とが連結されている状態では、接続部146の接点などに外部から接触することができない。
【0030】
このような構成の車両の制動システム10において、車両の製造工程における前記のエア抜き作業を行う場合は、コネクタ145とコネクタ153との連結を外した状態で、
図3に示すように、コネクタ145に車両外部の所定の制御装置171を接続する。すなわち、車両の製造工程において車両外部に用意されている制御装置171には、ペダルフォースシミュレータバルブ62に駆動電圧を供給する電力供給ライン172,173の各一端部が接続され、その各他端部には、コネクタ174が接続されている。
そして、コネクタ145にコネクタ174を連結することで、車両の外部の制御装置171とペダルフォースシミュレータバルブ62とが電気的に接続され、制御装置171によってペダルフォースシミュレータバルブ62を駆動して開くことができる。よって、ペダルフォースシミュレータ64のエア抜きを行うことが可能となる。
【0031】
以上説明した本実施形態の車両の制動システム10によれば、コネクタ145には電力供給ライン121,122の他に電力供給ライン143,144が接続されているため、ブレーキペダルストロークセンサ131がECU101に接続されているか否かの当該ECU101による判断により、ペダルフォースシミュレータバルブ62を駆動できるように外部に延ばした電力供給ライン143,144の先のコネクタ145が未接続の状態にあるか否かを判断することができる。
よって、車両の製造後においても、コネクタ145にコネクタ153が接続されていなかった場合は、その事実をECU101が検知することができる。よって、コネクタ145にコネクタ153が未接続のまま放置され、コネクタ145の内部に水などの異物が入り込むことを防止することができる。
【0032】
この場合に、本発明の「検出部」としては、ブレーキペダルストロークセンサ131の他にも、前記のモータシリンダ装置16を駆動する前記の電動モータ72においてロータの回転角度を検出するホールセンサ(ホール素子)や、車両の制動システム10で用いられるその他の各種センサを用いるようにしてもよい。
しかし、バイ・ワイヤ・ブレーキ制御を行うために設けられるブレーキペダル12の操作量を検出するブレーキペダルストロークセンサ131は、一般に検知精度が高い。そのため、本発明の「検出部」として用いれば、ECU101によるコネクタ145が未接続の状態にあるか否かの判断の精度を向上させることができる。
【0033】
また、コネクタ153がコネクタ145と接続されているときは、コネクタ153は、コネクタ145のペダルフォースシミュレータバルブ62に接続するための接続部146も覆うので、コネクタ145の接続部146の内部の接点などの部分に水などの異物が入り込むことを防止することができる。