特開2015-231819(P2015-231819A)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2015-231819(P2015-231819A)
(43)【公開日】2015年12月24日
(54)【発明の名称】軌陸両用掘削機
(51)【国際特許分類】
   B60S 9/12 20060101AFI20151201BHJP
   B60F 1/04 20060101ALI20151201BHJP
   E02D 7/22 20060101ALI20151201BHJP
   E02D 7/16 20060101ALI20151201BHJP
【FI】
   B60S9/12
   B60F1/04
   E02D7/22
   E02D7/16
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
【全頁数】14
(21)【出願番号】特願2014-119957(P2014-119957)
(22)【出願日】2014年6月10日
(71)【出願人】
【識別番号】000004617
【氏名又は名称】日本車輌製造株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】505047784
【氏名又は名称】株式会社オムテック
(74)【代理人】
【識別番号】110000291
【氏名又は名称】特許業務法人コスモス特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】磯貝 隆明
【テーマコード(参考)】
2D050
3D026
【Fターム(参考)】
2D050AA16
2D050CB23
2D050EE04
2D050EE13
2D050EE14
2D050EE24
3D026EA06
3D026EA26
3D026EA33
3D026EA38
(57)【要約】
【課題】一方の軌道上で軌陸両用掘削機が掘削工事を行うときに、万が一、隣接する軌道を鉄道車両が通過する場合においても、通過する鉄道車両と干渉する恐れのない軌陸両用掘削機を提供すること。
【解決手段】アウトリガジャッキが、掘削機本体のリーダ20側に一対の前部アウトリガジャッキ23、24と、リーダ20と反対側に一対の後部アウトリガジャッキ25、26を有すること、後部アウトリガジャッキ25、26が折り畳み機構30(31)、32(33)、51(52)を備えること、を特徴とする。
【選択図】 図9
【特許請求の範囲】
【請求項1】
垂直方向に立設するリーダを備える掘削機本体と、軌道上を走行するための軌道用車輪と、陸上を走行するための走行装置と、掘削により発生するモーメントを受けるためのアウトリガジャッキとを有する軌陸両用掘削機において、
前記アウトリガジャッキが、前記掘削機本体の前記リーダ側に一対の前部アウトリガジャッキと、前記リーダと反対側に一対の後部アウトリガジャッキを有すること、
前記後部アウトリガジャッキが、折り畳み機構を備えること、
を特徴とする軌陸両用掘削機。
【請求項2】
請求項1に記載する軌陸両用掘削機において、
前記折り畳み機構により前記後部アウトリガジャッキを折り畳んだときに、前記後部アウトリガジャッキが、前記掘削機本体の旋回半径内に収納されること、
を特徴とする軌陸両用掘削機。
【請求項3】
請求項2に記載する軌陸両用掘削機において、
前記掘削機本体の前記旋回半径が、2組の並列する軌道の中心間距離の半分以下の長さであること、
を特徴とする軌陸両用掘削機。
【請求項4】
請求項1乃至請求項3に記載するいずれか1つの軌陸両用掘削機において、
前記後部アウトリガジャッキの下端に、接地プレートが搖動自在に保持されていること、
前記折り畳み機構が、前記接地プレートの動きを規制する規制部材を有すること、
を特徴とする軌陸両用掘削機。
【請求項5】
請求項1乃至請求項4に記載するいずれか1つの軌陸両用掘削機において、
前記折り畳み機構は、本体側固定部と、アウトリガジャッキ可動部とが、連結される構造を有すること、
前記アウトリガジャッキ可動部を取り外して、前記掘削機本体の両側位置に一対のアウトリガジャッキを備える後部アウトリガジャッキ構造体を取り付けることができること、
を特徴とする軌陸両用掘削機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、垂直方向に立設するリーダを備える掘削機本体と、軌道上を走行するための軌道用車輪と、陸上を走行するための走行装置と、掘削により発生するモーメントを受けるためのアウトリガジャッキとを有する軌陸両用掘削機に関するものである。
【背景技術】
【0002】
通常、杭打ちを行う杭打機や、充填剤を注入して地盤改良を行う地盤改良機等の掘削機は、陸上の不整地で使用される。このため、掘削機は、不整地の走行に適したクローラを備える。
一方、杭打工事や地盤改良工事は、鉄道の軌道近傍で行う場合もある。このような場合、掘削機は、軌道を走行するための軌道用車輪が設けられた台車に載せられ、杭打設置場所まで搬送される。そして、台車から降ろした後、軌道近傍の杭打工事等を行うのが一般的である。
【0003】
しかし、台車に掘削機を載せたり降ろしたりするには、そのためのスペースが必要であるが、このようなスペースを確保するのが軌道周辺では困難な場合が多い。このため、掘削機を軌道近傍の工事現場に台車で搬入して工事することが困難であるという問題があった。
その問題を解決するために、特許文献1においては、陸上を走行するための走行装置と、昇降自在の軌道用車輪とを備え、軌道用車輪を昇降させることにより、陸上走行と軌道上走行との切り替えができるように構成した軌陸両用車が提案されている。
この軌陸両用車によれば、軌道上において軌道用車輪を降ろすことで、軌道上走行が可能となり、軌道近傍の工事現場まで軌道上を自走して行き、軌道用車輪を上昇させることにより、陸上を走行して掘削工事を行うことができる。これにより、掘削機を工事現場まで搬入することが容易となる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平9−142116号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、従来の軌陸両用車には、次のような問題があった。
すなわち、従来の軌陸両用車は、掘削工事を行うときに、リーダにかかるモーメントを受けるためのアウトリガジャッキを、本体の前方及び後方に有している。
そのため、2組以上の軌道が付設された工事現場において、一方の軌道の外側近傍で掘削工事を行う場合に、後方のアウトリガジャッキが隣接する軌道を走行する鉄道車両と干渉する恐れがある。
したがって、両方の軌道上を鉄道車両が通過しない場合にのみ工事を行わざるを得なかった。そうすると、深夜等の極めて限られた時間帯しか工事できないこととなる。まして、軌陸両用車を工事現場まで搬送するのに多くの時間がかかるため、実際の掘削工事等に利用できる時間は、極めて短時間となり、非効率的であった。すなわち、軌陸両用車の搬送作業、及び撤収作業に時間がかかるため、実際の作業時間が短く、1箇所の工事に長い時間がかかるという問題があった。
【0006】
2組以上の軌道が付設された工事現場において、一方の軌道の外側近傍で掘削工事を行うときに、隣接する軌道上を鉄道車両が通過する場合に、アウトリガジャッキを上昇させ、掘削機本体を通過する鉄道車両と干渉しない位置まで旋回させることも考えられるが、リーダで杭打工事等を行っている場合には、そのような作業を行うことは困難である。また、工事を完全に中断することとなり、工事時間が大きな制約を受けるため、極めて非効率となる問題があった。
【0007】
本発明の目的は、一方の軌道上で軌陸両用掘削機が掘削工事を行うときに、万が一、隣接する軌道を鉄道車両が通過する場合においても、通過する鉄道車両と干渉する恐れのない軌陸両用掘削機を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するために、軌陸両用掘削機は、次のような構成を有している。
(1)垂直方向に立設するリーダを備える掘削機本体と、軌道上を走行するための軌道用車輪と、陸上を走行するための走行装置と、掘削により発生するモーメントを受けるためのアウトリガジャッキとを有する軌陸両用掘削機において、アウトリガジャッキが、掘削機本体のリーダ側に一対の前部アウトリガジャッキと、リーダと反対側に一対の後部アウトリガジャッキを有すること、後部アウトリガジャッキが、折り畳み機構を備えること、を特徴とする。
(2)(1)に記載する軌陸両用掘削機において、前記折り畳み機構により前記後部アウトリガジャッキを折り畳んだときに、前記後部アウトリガジャッキが、前記掘削機本体の旋回半径内に収納されること、を特徴とする。
【0009】
(3)(2)に記載する軌陸両用掘削機において、前記掘削機本体の前記旋回半径が、2組の並列する軌道の中心間距離の半分以下の長さであること、を特徴とする。
(4)(1)乃至(3)に記載するいずれか1つの軌陸両用掘削機において、前記後部アウトリガジャッキの下端に、接地プレートが搖動自在に保持されていること、前記折り畳み機構が、前記接地プレートの動きを規制する規制部材を有すること、を特徴とする。
(5)(1)乃至(4)に記載するいずれか1つの軌陸両用掘削機において、前記折り畳み機構は、本体側固定部と、アウトリガジャッキ可動部とが、連結される構造を有すること、前記アウトリガジャッキ可動部を取り外して、前記掘削機本体の両側位置に一対のアウトリガジャッキを備える後部アウトリガジャッキ構造体を取り付けることができること、を特徴とする。
【発明の効果】
【0010】
次に、本発明の軌陸両用掘削機の作用・効果を説明する。
(1)垂直方向に立設するリーダを備える掘削機本体と、軌道上を走行するための軌道用車輪と、陸上を走行するための走行装置と、掘削により発生するモーメントを受けるためのアウトリガジャッキとを有する軌陸両用掘削機において、アウトリガジャッキが、掘削機本体のリーダ側に一対の前部アウトリガジャッキと、リーダと反対側に一対の後部アウトリガジャッキを有すること、後部アウトリガジャッキが、折り畳み機構を備えること、を特徴とするので、後部アウトリガジャッキをコンパクト化できるため、リーダを所定の角度内で掘削工事を行う場合には、後方のアウトリガジャッキが使用中であっても、隣接する軌道上を通過する鉄道車両と干渉する恐れがない。
【0011】
また、例えば、軌道に対して直角方向にリーダを配置して掘削工事を行っている場合であっても、掘削工事を一時的に中断して、リーダ及び前部アウトリガジャッキをそのままの状態に維持して、後部アウトリガジャッキのロッドのみを上昇させ、作業員が、後部アウトリガジャッキを折り畳むことにより、隣接する軌道上を通過する鉄道車両と干渉する恐れをなくすことができる。そして、鉄道車両が通過した後、再び、後部アウトリガジャッキのロッドを下降させることにより、掘削工事を再開することができる。これにより、掘削工事を中断する時間を短縮でき、掘削工事の作業効率を向上させることができる。
【0012】
(2)(1)に記載する軌陸両用掘削機において、前記折り畳み機構により前記後部アウトリガジャッキを折り畳んだときに、前記後部アウトリガジャッキが、前記掘削機本体の旋回半径内に収納されること、を特徴とするので、掘削機本体の後部で一番外側に突き出ている箇所(この箇所が旋回半径を決めている。)より内側にあるため、旋回半径を大きくすることがない。このため、掘削工事中でなく後部アウトリガジャッキを折り畳んだ状態であれば、後部アウトリガジャッキが他方の軌道方向を向いている場合でも、隣接する軌道上を通過する鉄道車両と干渉する恐れがない。
【0013】
(3)(2)に記載する軌陸両用掘削機において、前記掘削機本体の前記旋回半径が、2組の並列する軌道の中心間距離の半分以下の長さであること、を特徴とするので、掘削工事中でなく後部アウトリガジャッキを折り畳んだ状態であれば、後部アウトリガジャッキが他方の軌道方向を向いている場合でも、隣接する軌道上を通過する鉄道車両と干渉する恐れがない。
【0014】
(4)(1)乃至(3)に記載するいずれか1つの軌陸両用掘削機において、前記後部アウトリガジャッキの下端に、接地プレートが搖動自在に保持されていること、前記折り畳み機構が、前記接地プレートの動きを規制する規制部材を有すること、を特徴とするので、後部アウトリガジャッキが折り畳まれて収納されているときには、接地プレートが固定されていて搖動することがないため、掘削機本体に傷をつける恐れがなく、これが走行部の軌道用車輪等に干渉し、傷つけることを防止できる。
【0015】
(5)(1)乃至(4)に記載するいずれか1つの軌陸両用掘削機において、前記折り畳み機構は、本体側固定部と、アウトリガジャッキ可動部とが、連結される構造を有すること、前記アウトリガジャッキ可動部を取り外して、前記掘削機本体の両側位置に一対のアウトリガジャッキを備える後部アウトリガジャッキ構造体を取り付けることができること、を特徴とするので、軌陸両用掘削機を軌道上で使用しない場合に、後部アウトリガジャッキ構造体を取り付けることにより、通常の掘削機と同じ位置のアウトリガジャッキを利用できるため、通常の掘削機としても不便なく使用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1】本発明の本実施形態に係る軌陸両用掘削機10の正面図である。
図2】軌陸両用掘削機10の平面図である。
図3図1の左側面図である。
図4】軌陸両用掘削機10が軌道上を移動している状態を示す図である。
図5】軌陸両用掘削機10が掘削作業を行っているときの正面図である。
図6】軌陸両用掘削機10が掘削作業を行っているときの平面図である。
図7】軌陸両用掘削機10が掘削作業を行っていないときの平面図である。
図8】後部アウトリガジャッキ25、26が広げられた状態の詳細図である。
図9】アウトリガジャッキ25、26が折り畳まれた状態の詳細図である。
図10】回転部分の詳細図である。
図11図8のAA矢視図である。
図12】後部アウトリガジャッキ26のみが折り畳まれ、後部アウトリガジャッキ25が折り畳まれていない状態を示す図である。
図13】2組の軌道R1、R2が敷設された軌道近傍で掘削工事を行う場合の第1説明図である。
図14】2組の軌道R1、R2が敷設された軌道近傍で掘削工事を行う場合の第2説明図である。
図15図5の右側面図である。
図16】本発明の変形例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本発明の本実施形態を図面に基づいて説明する。
図1は、本発明の本実施形態に係る軌陸両用掘削機10の正面図であり、図2は、平面図であり、図3は、図1の左側面図である。これらの図は、軌陸両用掘削機が、陸上にあるときの状態を示している。
軌陸両用掘削機10は、掘削機本体のベース17の左端に、垂直方向に立設されるリーダ20の下端部が回転可能に保持されている。また、リーダ20を伏せた状態から回転させ立設するための油圧シリンダ21が付設されている。ここで、掘削機本体とは、ベース17に取り付けられている装置・部品全体を指している。
リーダ20には、掘削ドリルに回転力を付与しつつリーダ20に対して上下動するオーガ22が保持されている。また、ベース17の上面には、運転者が軌陸両用掘削機10を運転するための運転台18が付設されている。
【0018】
図2に示すように、ベース17のリーダ20側(前方側)には、一対の前部アウトリガジャッキ23、24が、ベース17の両側端面とほぼ同じ位置に付設されている。また、ベース17のリーダ20と反対側(後方側)には、一対の後部アウトリガジャッキ25、26が、ベース17の中央付近に付設されている。
図1及び図3に示すように、ベース17の下面は、旋回装置16を介して、走行部本体19の上面に旋回可能に保持されている。走行部本体19には、走行装置であるクローラ11が配設されている。また、走行部本体19の前方側には、一対の軌道用車輪12が上下方向に搖動可能に保持され、後方側には、一対の軌道用車輪13が上下方向に搖動可能に保持されている。また、走行部本体19には、軌道用車輪12を上下方向に搖動させるための油圧シリンダ14、軌道用車輪13を上下方向に搖動させるための油圧シリンダ15が取り付けられている。
【0019】
図4に、軌陸両用掘削機10が軌道上を移動している状態を示す。
リーダ20は、軌陸両用掘削機10が掘削作業を行うときには、油圧シリンダ21により立設されているが、搬送されるときには、図4に示すように、油圧シリンダ21により伏せた状態とされている。軌陸両用掘削機10は、軌道上を走行するときには、軌道用車輪12、13が、油圧シリンダ14、15により、下方向に搖動され、軌道Rの上端と係合されている。
軌陸両用掘削機10が軌道上を走行するときには、図4の状態で、工事現場まで自走する。図4の状態では、軌陸両用掘削機10の最大高さ及び最大幅は、鉄道会社で規定された車輌限界(例えば、最大幅3000mm、最大高は4100mm)内である。
【0020】
次に、本発明の軌陸両用掘削機10の特徴部分である後部アウトリガジャッキ25、26について説明する。
図6に、軌陸両用掘削機10が掘削作業を行っているときの平面図を示す。また、図7に、軌陸両用掘削機10が掘削作業を行っていないときの平面図を示す。また、図5に、図6の正面図を示す。また、図15図5の右側面図を示す。図5においては、便宜のため、掘削機本体が軌道Rと平行に描いているが、実際の掘削工事では、掘削機本体は、軌道Rに対して所定の角度を持たせている。
軌陸両用掘削機10は、掘削工事中は、前部アウトリガジャッキ23、24のロッド23a、24aを突き出して、ロッド23a、24aの先端に搖動可能に取り付けられたジャッキプレート44を地面に設置させ、地面を押圧している。
軌陸両用掘削機10は、軌道近傍で杭打工事を行う場合には、図6に示すように、後部アウトリガジャッキ25、26を開いた状態としている。図8に後部アウトリガジャッキ25、26が広げられた状態の詳細図を示す。また、回転部分の詳細図を図10に示し、図8のAA矢視図を図11に示す。
【0021】
ベース17には、一対の固定板30、31が斜めに広がる方向に突設されている。図10に示すように、固定板30、31は、各々上下一対の板30A(31A)、30B(31B)で構成されている。固定板30、31の先端部には、回転軸32、33を回転中心にして、コの字状の一対の板である回転板51、52が回転可能に保持されている。回転板51には、後部アウトリガジャッキ25が固設され、回転板52には、後部アウトリガジャッキ26が固設されている。
回転板51、52には、位置決め孔(図示せず。)が形成されている。また、固定板30には、2箇所に固定ピン孔30a、30bが形成されている。また、固定板31には、2箇所に固定ピン孔31a、31bが形成されている。
図8に示す後部アウトリガジャッキ25、26が広げられた状態では、固定ピン50は、固定ピン孔30a、及び回転板51の位置決め孔に貫通して挿入されている。また、固定ピン50は、固定ピン孔31a、及び回転板52の位置決め孔に貫通して挿入されている。一対の固定ピン50により、後部アウトリガジャッキ25、26は、図8の状態に固定されている。
【0022】
次に、図7の状態について説明する。この状態では、後部アウトリガジャッキ25、26は、折り畳まれた状態である。アウトリガジャッキ25、26が折り畳まれた状態の詳細図を図9に示す。
図9に示す後部アウトリガジャッキ25、26が折り畳まれた状態では、固定ピン50は、固定ピン孔30b、及び回転板51の位置決め孔に貫通して挿入されている。また、固定ピン50は、固定ピン孔31b、及び回転板52の位置決め孔に貫通して挿入されている。一対の固定ピン50により、後部アウトリガジャッキ25、26は、図9の状態に固定されている。
図12に、後部アウトリガジャッキ26のみが折り畳まれ、後部アウトリガジャッキ25が折り畳まれていない状態を示す。後部アウトリガジャッキ26のロッド25a先端に搖動可能に保持されたジャッキプレート44(請求項の接地プレートに相当する。)の一部が、ベース17に固設されたブラケット45の先端に取り付けられたジャッキプレート規制冶具46の固定溝46aに係合している。これにより、ジャッキプレート44は、搖動が禁止されているため、ジャッキプレート44が搖動して走行部の軌道用車輪等に干渉し傷付けるのを防止することができる。
【0023】
次に、上記構成を有する軌陸両用掘削機10の使用方法について説明する。 例えば、2組の軌道R1、R2が敷設された軌道近傍で掘削工事を行う場合を、図13に示す。
後部アウトリガジャッキ25、26が、第1軌道R1の中心線R1Aと、第2軌道R2の中心線R2Aとの間の中点を結ぶセンターラインCLよりも、R1側にのみ位置している場合、すなわち、軌陸両用掘削機10の中心線が、第1軌道R1の中心線R1Aに対して、所定の角度以内にある場合、例えば、45度以内にある場合には、第2軌道R2を鉄道車両が通過したとしても、問題はない。
しかし、図13に示すように、軌陸両用掘削機10の中心線が、第1軌道R1の中心線R1Aに対して直交している場合には、後部アウトリガジャッキ25、26がセンターラインCLを越えて第2軌道R2の領域まで侵入している。すなわち、中心線R1Aと軌陸両用掘削機10の中心線との交点KKから、後部アウトリガジャッキ25、26の最外周部までの距離L3が、中心線R1AとセンターラインCLとの距離L2よりも大きいため問題となる。ここで、距離L2は、中心線R1Aと中心線R2Aとの距離L1の1/2である。
【0024】
例えば、図13に示すように、第1軌道R1の軌道上で、軌陸両用掘削機10が作業中に隣接する第2軌道R2を鉄道車両が通過する場合について説明する。ただし、実作業における制限、規制がある場合においては、別の手順、方法が採用されることがある。
掘削作業中においては軌陸両用掘削機10の前部アウトリガジャッキ23、24のロッド23a、24aは突出しており、各々のジャッキプレート44が地面を押圧している。同様に、後部アウトリガジャッキ25、26のロッド25a、26aは突出しており、各々のジャッキプレート44が地面を押圧している。また、オーガ22には、掘削ドリルがセットされ、地面を掘削中である。掘削ドリルで発生するモーメントを、接地しているクローラと合わせて4本のアウトリガジャッキ23、24、25、26が受けている。
【0025】
この様な作業中、第2軌道R2を鉄道車両が通過する時間の所定時間前になると、次のような退避作業を行う。
すなわち、後部アウトリガジャッキ25、26のみ油圧シリンダを駆動して、ロッドがシリンダに入り込むように動作させる。このとき、前部アウトリガジャッキ23、24は、作業中の状態、すなわちロッド23a、24aが突出した状態を維持させる。
アウトリガジャッキ23、24、25、26の機能は、接地しているクローラと合わせてオーガ22が掘削ドリルから受ける回転モーメントを受けて、掘削機本体が回転しないようにすることである。
【0026】
次に、作業者が、図8の状態において、2つの固定ピン50を、固定ピン孔30a、31aから引き抜き、後部アウトリガジャッキ25、26を各々内側方向(図6の矢印A、矢印Bの方向)に回転させ、図9の位置とする。そして、2つの固定ピン50を、固定ピン孔30b、31bに挿入して、図9の状態に後部アウトリガジャッキ25、26を固定する。この状態では、後部アウトリガジャッキ25、26は、図14に示す状態である。
すなわち、後部アウトリガジャッキ25、26の最外周部の位置が、中心線R1Aと軌陸両用掘削機10の中心線との交点KKから、掘削機本体の最外周部までの距離L4(掘削機本体の旋回半径)内にある。掘削機本体の旋回半径は、中心線R1AとセンターラインCLとの距離L2よりも小さく構成され製造されているため問題とならない。隣接する第2軌道R2を通過する鉄道車両の全ての部分は、いかなる場合でも、センターラインから第1軌道R1側に侵入することはないからである。なお、本実施例では、ベース17を含めた掘削機本体の後方側の角を大きく面取りすることにより、旋回半径L4を最小となるようにしている。
【0027】
次に、第2軌道R2を鉄道車両が通過した後、作業者は、2つの固定ピン50を固定ピン孔30b、31bから引き抜き、後部アウトリガジャッキ25、26を各々外側方向に回転させ、図8の位置とする。そして、2つの固定ピン50を、固定ピン孔30a、31aに挿入して、図8の状態に後部アウトリガジャッキ25、26を固定する。この状態では、後部アウトリガジャッキ25、26は、図13に示す状態である。
次に、後部アウトリガジャッキ25、26の油圧シリンダを駆動して、ロッドを突出させ、各々のジャッキプレート44が地面を押圧する状態とする。その後、オーガ22を回転させて掘削作業を再開する。
請求項の折り畳み機構とは、図8及び図9に示すように、固定板30(31)、回転軸32(33)、回転板51(52)を含む。
【0028】
次に、軌陸両用掘削機10を軌道に載置する方法について説明する。
始めに、軌陸両用掘削機10をトレーラーに搭載して、工事現場近くの踏切まで搬送する。そして、踏切箇所で軌陸両用掘削機10をトレーラーから降ろし、クローラ11を用いて、踏切内に軌道Rと直交する方向に進入し、第1軌道R1の中心に掘削機本体の中心KKを一致させる。そして、4本のアウトリガジャッキ23、24、25、26のロッドを突出させて、掘削機本体を上昇させ離陸させる。
その後、掘削機本体を旋回させ、軌道用車輪12、13を下降させる。そして、4本のアウトリガジャッキ23、24、25、26のロッドをシリンダ内に戻して、掘削機本体を下降させ、軌道用車輪12、13を第1軌道R1上に載せる。これにより、軌陸両用掘削機10は、第1軌道R1上を走行可能となる。
【0029】
以上詳細に説明したように、本実施例の軌陸両用掘削機10によれば、(1)垂直方向に立設するリーダ20を備える掘削機本体と、軌道上を走行するための軌道用車輪12、13と、陸上を走行するためのクローラ11と、掘削により発生するモーメントを受けるためのアウトリガジャッキ23、24、25、26とを有する軌陸両用掘削機において、アウトリガジャッキが、掘削機本体のリーダ20側に一対の前部アウトリガジャッキ23、24と、リーダ20と反対側に一対の後部アウトリガジャッキ25、26を有すること、後部アウトリガジャッキ25、26が折り畳み機構30(31)、32(33)、51(52)を備えること、を特徴とするので、後部アウトリガジャッキ25、26をコンパクト化できるため、リーダ20を所定の角度内で掘削工事を行う場合には、後部アウトリガジャッキ25、26が使用中であっても、隣接する第2軌道R2上を通過する鉄道車両と干渉する恐れがない。
【0030】
また、例えば、第1軌道R1に対して直角方向にリーダ20を配置して掘削工事を行っている場合であっても、掘削工事を一時的に中断して、リーダ20及び前部アウトリガジャッキ23、24をそのままの状態にして、後部アウトリガジャッキ25、26のロッド25a、26aのみを上昇させ、作業員が、後部アウトリガジャッキ25、26を、折り畳み機構により折り畳むことにより、隣接する第2軌道R2上を通過する鉄道車両と干渉する恐れをなくすことができる。
そして、鉄道車両が通過した後、再び、後部アウトリガジャッキ25、26のロッド25a、26aを下降させ、ジャッキプレート44を地面に押圧させることにより、掘削工事を再開することができる。
これにより、掘削工事を中断する時間を短縮でき、掘削工事の作業効率を向上させることができる。
【0031】
(2)また、(1)に記載する軌陸両用掘削機において、折り畳み機構30(31)、32(33)、51(52)により後部アウトリガジャッキ25、26を折り畳んだときに、後部アウトリガジャッキ25、26が、掘削機本体の旋回半径L4内に収納されること、を特徴とするので、掘削機本体の後方側で一番外側に突き出ている箇所(この箇所が旋回半径を決めている。)より内側(又はほぼ同じ距離)にあるため、旋回半径を大きくすることがない。
このため、掘削工事を中断して、後部アウトリガジャッキ25、26を折り畳んだ状態とすれば、後部アウトリガジャッキ25、26が、隣接する軌道方向を向いている場合でも、隣接する第2軌道R2上を通過する鉄道車両と干渉する恐れがない。
【0032】
(3)(2)に記載する軌陸両用掘削機において、掘削機本体の旋回半径L3が、2組の並列する軌道R1、R2の中心間距離L1の半分以下の長さであること、を特徴とするので、掘削工事であっても、後部アウトリガジャッキ25、26を折り畳んだ状態とすれば、後部アウトリガジャッキ25、26が他方の軌道方向を向いている場合でも、隣接する軌道上を通過する鉄道車両と干渉する恐れがない。
【0033】
(4)(1)乃至(3)に記載するいずれか1つの軌陸両用掘削機において、後部アウトリガジャッキ25、26の下端に、ジャッキプレート44が搖動自在に保持されていること、折り畳み機構30(31)、32(33)、51(52)が、ジャッキプレート44の動きを規制する規制部材であるジャッキプレート規制冶具46を有すること、を特徴とするので、後部アウトリガジャッキ25、26が折り畳まれて収納されているときには、ジャッキプレート44が固定されていて搖動することがないため、ジャッキプレート44が搖動して走行部の軌道用車輪等に干渉し傷つける恐れがない。
【0034】
次に、本発明の変形例を図16に示す。図16に示すように、固定ピン50を外して、後部アウトリガジャッキ25、26を、回転板51、52ごと取り外す。そして、後部構造体60を、固定板30、31に対して、固定ピン50を固定ピン孔30b、31bに挿入して固定する。後部構造体60は、従来の後部アウトリガジャッキと同様に、掘削機本体とほぼ同じ幅位置に、一対の後部アウトリガジャッキ61、62を備えている。また、後部アウトリガジャッキ61、62の油圧シリンダ等を駆動するための油圧配管53を油圧接続口54に接続する。
図16のように構成することにより、軌陸両用掘削機10を陸上のみで使用する期間中においては、通常の掘削機と同じ構造とすることができる。
再び、軌陸両用掘削機10として使用する場合には、後部構造体60を外して、後部アウトリガジャッキ25、26を、回転板51、52ごと取り付ければ良い。
【0035】
本実施例の軌陸両用掘削機10において、折り畳み機構30(31)、32(33)、51(52)は、本体側固定部である固定板30(31)と、アウトリガジャッキ可動部である回転板51(52)及びアウトリガジャッキ25(26)とが、連結される構造を有すること、回転板51(52)及びアウトリガジャッキ25(26)を取り外して、掘削機本体の両側位置に一対のアウトリガジャッキを備える後部アウトリガジャッキ構造体である後部構造体60を取り付けることができること、を特徴とするので、軌陸両用掘削機10を軌道上で使用しない場合に、後部構造体60を取り付けることにより、通常の掘削機と同じ位置のアウトリガジャッキを利用できるため、通常の掘削機としても不便なく使用することができる。
【0036】
本発明の軌陸両用掘削機10は、実施例で説明した以外にも色々な応用が可能である。
例えば、本実施例では、掘削機本体が軌道に対して所定の角度内にあることを検出していないが、掘削機本体と軌道用車輪12、13との角度を検出して、警報等を出しても良い。
また、本実施例では、折り畳み機構を作業者による手動操作としているが、自動化しても良い。
また、後部アウトリガジャッキ25、26が折り畳まれていることを検出して、折り畳まれていない場合には、警報等を出しても良い。
【符号の説明】
【0037】
10 軌陸両用掘削機
11 クローラ
12、13 軌道用車輪
23、24 前部アウトリガジャッキ
25、26 後部アウトリガジャッキ
30、31 固定板
32、33 回転軸
44 ジャッキプレート
46 ジャッキプレート規制冶具
51、52 回転板
R1 第1軌道
R2 第2軌道
R1A 第1軌道中心線
R2A 第2軌道中心線
CL R1AとR2Aとの中心線
L1 R1AからR2Aまでの距離
L2 R1AからCLまでの距離
L3 作業中の掘削機中心KKから後部アウトリガジャッキ25、26の最外周までの距離
L4 掘削機本体の旋回半径
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
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図12
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図16