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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2015-231841(P2015-231841A)
(43)【公開日】2015年12月24日
(54)【発明の名称】ステアリングホイールの制振構造
(51)【国際特許分類】
   B62D 1/10 20060101AFI20151201BHJP
   B60R 21/203 20060101ALI20151201BHJP
【FI】
   B62D1/10
   B60R21/203
【審査請求】有
【請求項の数】9
【出願形態】OL
【全頁数】27
(21)【出願番号】特願2015-193470(P2015-193470)
(22)【出願日】2015年9月30日
(62)【分割の表示】特願2013-153841(P2013-153841)の分割
【原出願日】2013年7月24日
(31)【優先権主張番号】特願2012-248359(P2012-248359)
(32)【優先日】2012年11月12日
(33)【優先権主張国】JP
(71)【出願人】
【識別番号】000241463
【氏名又は名称】豊田合成株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100105957
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100068755
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 博宣
(72)【発明者】
【氏名】石井 力
(72)【発明者】
【氏名】広瀬 修
(72)【発明者】
【氏名】梅村 紀夫
(72)【発明者】
【氏名】林 幹根
【テーマコード(参考)】
3D030
3D054
【Fターム(参考)】
3D030DA55
3D030DA69
3D030DB07
3D030DB48
3D030DB64
3D030DB75
3D030DB77
3D054AA02
3D054AA13
3D054AA26
3D054BB04
3D054BB06
3D054DD11
(57)【要約】
【課題】簡単な作業を行なうことにより、高い強度で弾性部材を取付ける。
【解決手段】エアバッグ装置は、取付孔21gを有するバッグホルダ21を自身の前部に有し、芯金12の後側に配設される。ホーンスイッチ機構30は、上記取付孔21gに挿通された状態で、芯金12に支持されるスナップピン31を備えるとともに、スナップピン31と取付孔21gとの間に前後方向へのスライド可能に配置されるピンホルダ32を備え、エアバッグ装置の押圧操作に伴うピンホルダ32の前方への移動によりホーン装置40を作動させる。弾性部材41は円環状をなし、ピンホルダ32の外側に装着された状態でバッグホルダ21の後側に配置される。弾性部材41は、バッグホルダ21及びピンホルダ32により、前方及び後方から挟み込まれているとともに、径方向についての外方及び内方から挟み込まれている。
【選択図】図9
【特許請求の範囲】
【請求項1】
表面を有するパッド部と、前記パッド部との間にバッグ収容空間を形成するためのバッグホルダとを備えるエアバッグ装置と、
前端部と、後端部と、前後方向に延びる長尺状の部分と、前記後端部に設けられた鍔部とを有し、前記前端部においてステアリングホイールにスナップフィット構造を用いて取付けられるとともに、前記後端部において前記エアバッグ装置を支持する支持部材と、
ゴム又はエラストマーからなる弾性材料により全体が形成されるとともに、前記支持部材の外周側であって前記バッグホルダと同支持部材との間に配置され、前記エアバッグ装置と前記支持部材との間で伝達される振動を抑制する弾性部材とを備え、
前記エアバッグ装置をダイナミックダンパのダンパマスとして機能させ、前記弾性部材をダイナミックダンパのばねとして機能させるステアリングホイールの制振構造。
【請求項2】
前記バッグホルダは当該バッグホルダを前記前後方向に貫通する取付孔を備え、
前記支持部材の長尺状の部分は前記取付孔に挿通されており、
前記支持部材の前記鍔部の外径は、前記取付孔の内径よりも大きく設定されている
請求項1に記載のステアリングホイールの制振構造。
【請求項3】
前記弾性部材と前記バッグホルダとの間には同弾性部材を保持するダンパホルダが配置され、
前記弾性部材は前記ダンパホルダを介して前記バッグホルダにおける前記取付孔の周囲に取付けられる
請求項2に記載のステアリングホイールの制振構造。
【請求項4】
前記ステアリングホイールには、前記エアバッグ装置に対する押圧操作によりホーン装置を作動させるホーンスイッチ機構がさらに設けられ、
前記ホーンスイッチ機構は、前記支持部材の外周と前記弾性部材との間に配置され、かつ前記押圧操作により前方へ移動するスライダを備える
請求項1に記載のステアリングホイールの制振構造。
【請求項5】
前記支持部材の外周には、前記エアバッグ装置を前記ステアリングホイールから遠ざけるように付勢する付勢部材が配置される
請求項4に記載のステアリングホイールの制振構造。
【請求項6】
前記ステアリングホイールは、当該ステアリングホイールを前記前後方向に貫通する貫通孔を含み、
前記スナップフィット構造は、前記支持部材の前記前端部に設けられた係止溝と、前記貫通孔に対応して前記ステアリングホイールに保持され、かつ前記係止溝に係合するクリップとを含む
請求項5に記載のステアリングホイールの制振構造。
【請求項7】
前記支持部材の前記前端部と前記貫通孔の内壁面との間には、前記付勢部材の前方へ向かう付勢力を受け止めるとともに、同支持部材を前記ステアリングホイールに支持する樹脂製のピースが配置されている
請求項6に記載のステアリングホイールの制振構造。
【請求項8】
前記ステアリングホイールは固定部材を含む骨格部分を有し、
前記貫通孔は前記固定部材に設けられており、
前記支持部材はスナップフィット構造を用いて前記固定部材に直接的に取付けられる
請求項7に記載のステアリングホイールの制振構造。
【請求項9】
前記弾性部材は前面及び後面を有し、かつ、前記前面及び前記後面の少なくとも一方において開口する溝部を含む
請求項1に記載のステアリングホイールの制振構造。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、エアバッグ装置が内装されたステアリングホイールの振動を抑制(制振)する制振構造に関するものである。
【背景技術】
【0002】
車両の高速走行中や車載エンジンのアイドリング中に、ステアリングホイールに上下方向や左右方向の振動が伝わると、その振動が、ステアリングホイールを握った手を通じて運転者に伝わり、快適な運転が損なわれるおそれがある。そこで、ステアリングホイールの振動を抑制(制振)する技術が従来から開発・提案されている。その一つに、錘と、錘をステアリングホイールの芯金等に支持する弾性部材とからなるダイナミックダンパを用いる技術がある。この技術によると、ステアリングホイールからダイナミックダンパに対し、ダイナミックダンパ固有の共振周波数と同一又は近い周波数の振動が伝わると、ダイナミックダンパが共振してステアリングホイールの振動エネルギーを吸収する。この吸収により、ステアリングホイールの振動が抑制(制振)される。
【0003】
一方、ステアリングホイールには、車両の衝突時等における運転者の保護を図るべくエアバッグ装置が内装されている。エアバッグ装置は、エアバッグと、エアバッグにガスを供給するインフレータとを備えており、車両の衝突時等には、インフレータから供給されるガスによりエアバッグを後方へ膨張させることで、運転者を衝撃から保護する。
【0004】
ここで、上記エアバッグ装置が、ステアリングホイールの内部スペースの多くを占有することから、近時のステアリングホイールでは、上述したダイナミックダンパを内装することが難しくなっている。
【0005】
そこで、エアバッグ装置をダイナミックダンパとして機能させることが提案されている(例えば、特許文献1参照)。
図18に示すように、このステアリングホイールは、固定部材(ホーンプレート)51、エアバッグ装置52、ホーンスイッチ機構53及び弾性部材54を備えている。固定部材(ホーンプレート)51は、前後方向へ延びるステアリングシャフト(図示略)に固定されており、取付孔(開口部)55を有している。エアバッグ装置52は、バッグホルダ(ベースプレート)56を有し、上記固定部材(ホーンプレート)51の後側に配設されている。
【0006】
ホーンスイッチ機構53は、支持部材(案内部材)57及びスライダ(ブッシュ)58を備えている。支持部材(案内部材)57は、上記バッグホルダ(ベースプレート)56に取付けられて前方へ延び、固定部材(ホーンプレート)51の取付孔(開口部)55に挿通されている。スライダ(ブッシュ)58は、支持部材(案内部材)57と上記取付孔(開口部)55との間に、前後方向へのスライド可能に配置されている。こうした構成のホーンスイッチ機構53は、エアバッグ装置52の押圧操作に伴うスライダ(ブッシュ)58とバッグホルダ(ベースプレート)56との相対移動によりホーン装置を作動させる。
【0007】
弾性部材54は環状をなし、スライダ(ブッシュ)58に装着されている。弾性部材54は、上記取付孔(開口部)55において固定部材(ホーンプレート)51に取付けられている。
【0008】
なお、かっこ内の名称は、特許文献1で使用されている部材名称である。
上記ステアリングホイールによれば、エアバッグ装置52がダイナミックダンパのダンパマスとして機能し、弾性部材54がダイナミックダンパのばねとして機能する。そのため、ステアリングホイールが所定の周波数で、上下方向、左右方向等、ステアリングシャフトに直交する方向へ振動すると、その周波数と同一又は近い共振周波数で弾性部材54が弾性変形しながら、エアバッグ装置52を伴って上記ステアリングシャフトに直交する方向に振動し、ステアリングホイールの振動エネルギーを吸収する。この吸収により、ステアリングホイールの振動が抑制(制振)される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】特開2012−158236号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
ところが、上記特許文献1では、弾性部材54を固定部材(ホーンプレート)51に取付けるために、同弾性部材54の外周部に溝部59を設け、この溝部59を、取付孔(開口部)55に装着されたインシュレータ61に嵌合させる構成を採っている。そのため、このように、弾性部材54を、その外周部のみにおいて固定部材(ホーンプレート)51に取付ける構造では、同弾性部材54の固定部材(ホーンプレート)51に対する取付け強度が十分高いとは言い難い。また、取付孔(開口部)55の内径よりも外径の大きな弾性部材54をその取付孔(開口部)55に装着することになるため、弾性部材54を固定部材(ホーンプレート)51に取付ける作業が繁雑である。
【0011】
本発明は、このような実情に鑑みてなされたものであって、その目的は、簡単な作業を行なうことにより、高い強度で弾性部材を取付けることのできるステアリングホイールの制振構造を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0012】
上記課題を解決するステアリングホイールの制振構造は、表面を有するパッド部と、前記パッド部との間にバッグ収容空間を形成するためのバッグホルダとを備えるエアバッグ装置と、前端部と、後端部と、前後方向に延びる長尺状の部分と、前記後端部に設けられた鍔部とを有し、前記前端部においてステアリングホイールにスナップフィット構造を用いて取付けられるとともに、前記後端部において前記エアバッグ装置を支持する支持部材と、ゴム又はエラストマーからなる弾性材料により全体が形成されるとともに、前記支持部材の外周側であって前記バッグホルダと同支持部材との間に配置され、前記エアバッグ装置と前記支持部材との間で伝達される振動を抑制する弾性部材とを備え、前記エアバッグ装置をダイナミックダンパのダンパマスとして機能させ、前記弾性部材をダイナミックダンパのばねとして機能させる。
【0013】
上記の構成によれば、支持部材の後端部に支持されたエアバッグ装置がダイナミックダンパのダンパマスとして機能する。支持部材の外周側であってバッグホルダと支持部材との間に配置された弾性部材がダイナミックダンパのばねとして機能する。そのため、ステアリングホイールが所定の周波数で振動すると、その周波数と同一又は近い共振周波数で、弾性部材が弾性変形しながら、エアバッグ装置を伴って振動(エアバッグ装置及び弾性部材が共振)し、ステアリングホイールの振動エネルギーを吸収する。この吸収により、ステアリングホイールの振動が抑制(制振)される。
【0014】
上記ステアリングホイールの制振構造において、前記バッグホルダは当該バッグホルダを前記前後方向に貫通する取付孔を備え、前記支持部材の長尺状の部分は前記取付孔に挿通されており、前記支持部材の前記鍔部の外径は、前記取付孔の内径よりも大きく設定されていることが好ましい。
【0015】
上記の構成によれば、バッグホルダが後方へ動いた場合、鍔部はバッグホルダにおいて取付孔の周辺部分に当接することでストッパとして機能する。
上記ステアリングホイールの制振構造において、前記弾性部材と前記バッグホルダとの間には同弾性部材を保持するダンパホルダが配置され、前記弾性部材は前記ダンパホルダを介して前記バッグホルダにおける前記取付孔の周囲に取付けられることが好ましい。
【0016】
上記の構成によれば、弾性部材はダンパホルダによって保持された状態でバッグホルダにおける取付孔の周囲に取付けられる。
上記ステアリングホイールの制振構造において、前記ステアリングホイールには、前記エアバッグ装置に対する押圧操作によりホーン装置を作動させるホーンスイッチ機構がさらに設けられ、前記ホーンスイッチ機構は、前記支持部材の外周と前記弾性部材との間に配置され、かつ前記押圧操作により前方へ移動するスライダを備えることが好ましい。
【0017】
上記の構成によれば、エアバッグ装置が押圧操作されると、支持部材上をホーンスイッチ機構のスライダが前方へ移動し、ホーン装置が作動する。
上記ステアリングホイールの制振構造において、前記支持部材の外周には、前記エアバッグ装置を前記ステアリングホイールから遠ざけるように付勢する付勢部材が配置されることが好ましい。
【0018】
上記の構成によれば、ホーン装置を作動させる際には、支持部材の外周に配置された付勢部材の付勢力に抗してエアバッグ装置が前方へ押圧操作される。この付勢部材により、エアバッグ装置を押圧してホーン装置を作動させる際の荷重が決定される。
【0019】
上記ステアリングホイールの制振構造において、前記ステアリングホイールは、当該ステアリングホイールを前記前後方向に貫通する貫通孔を含み、前記スナップフィット構造は、前記支持部材の前記前端部に設けられた係止溝と、前記貫通孔に対応して前記ステアリングホイールに保持され、かつ前記係止溝に係合するクリップとを含むことが好ましい。
【0020】
上記の構成によれば、支持部材が、ステアリングホイールの貫通孔に挿通され、その支持部材の前端部の係止溝にクリップが係合されることで、支持部材がステアリングホイールに対しスナップフィット構造により取付けられる。
【0021】
上記ステアリングホイールの制振構造において、前記支持部材の前記前端部と前記貫通孔の内壁面との間には、前記付勢部材の前方へ向かう付勢力を受け止めるとともに、同支持部材を前記ステアリングホイールに支持する樹脂製のピースが配置されていることが好ましい。
【0022】
上記の構成によれば、支持部材の前端部と貫通孔の内壁面との間に配置された樹脂製のピースにより、付勢部材の前方へ向かう付勢力が受け止められるとともに、支持部材がステアリングホイールに支持される。
【0023】
上記ステアリングホイールの制振構造において、前記ステアリングホイールは固定部材を含む骨格部分を有し、前記貫通孔は前記固定部材に設けられており、前記支持部材はスナップフィット構造を用いて前記固定部材に直接的に取付けられることが好ましい。
【0024】
上記の構成によれば、支持部材は、ステアリングホイールの骨格部分における固定部材に対し、スナップフィット構造により直接的に取付けられる。
上記ステアリングホイールの制振構造において、前記弾性部材は前面及び後面を有し、かつ、前記前面及び前記後面の少なくとも一方において開口する溝部を含むことが好ましい。
【0025】
上記の構成によれば、弾性部材に、その前面及び後面の少なくとも一方において開口する溝部が設けられることで、その弾性部材が弾性変形しやすくなる。そのため、ステアリングホイールが振動した場合に、弾性部材がエアバッグ装置を伴って共振しやすくなる。
【発明の効果】
【0026】
上記ステアリングホイールの制振構造によれば、簡単な作業を行なうことにより、高い強度で弾性部材を取付けることができる。
【図面の簡単な説明】
【0027】
図1】ステアリングホイールの制振構造の第1実施形態を示す図であり、(A)はステアリングホイールの側面図、(B)は(A)のA矢視図。
図2】第1実施形態のステアリングホイールにおける芯金の部分正面図。
図3】第1実施形態におけるエアバッグ装置の斜視図。
図4図3のエアバッグ装置の分解斜視図。
図5】(A)は第1実施形態におけるホーンスイッチ機構等の斜視図、(B)は(A)の分解斜視図。
図6】(A)は第1実施形態におけるホーンスイッチ機構等の断面図、(B)は(A)の分解断面図。
図7】(A)は第1実施形態のホーンスイッチ機構等がバッグホルダに組付けられた状態を示す断面図、(B)は(A)の一部を拡大して示す部分断面図。
図8】第1実施形態の弾性部材の一部を切り欠いて示す部分斜視図。
図9】第1実施形態を示す図であり、芯金に装着された状態のホーンスイッチ機構等の内部構造を示す部分断面図。
図10図9の状態からエアバッグ装置が押圧等されたときのホーンスイッチ機構等の内部構造を示す部分断面図。
図11】第1実施形態の制振構造による効果を示す図であり、周波数毎のイナータンス(振動レベル)を測定した結果を示すグラフ。
図12】ステアリングホイールの制振構造の第2実施形態を示す図であり、ホーンスイッチ機構が取付けられたバッグホルダの一部を示す部分正面図。
図13】(A)は図12の13−13線に沿ったホーンスイッチ機構等の構造を示す部分断面図、(B)は(A)の一部を拡大して示す部分断面図。
図14図12の14−14線に沿ったホーンスイッチ機構等の構造を示す部分断面図。
図15】ステアリングホイールの制振構造の第3実施形態を示す図であり、バッグホルダに取付けられたホーンスイッチ機構の一部を示す部分断面図。
図16】ステアリングホイールの制振構造の第4実施形態を示す図であり、バッグホルダに取付けられたホーンスイッチ機構の一部を示す部分断面図。
図17】(A)〜(E)は、第1実施形態における弾性部材の変形例について、その一部を切り欠いて示す部分斜視図。
図18】従来のステアリングホイールの制振構造を示す部分断面図。
【発明を実施するための形態】
【0028】
(第1実施形態)
以下、ステアリングホイールの制振構造の第1実施形態について、図1図11を参照して説明する。
【0029】
図1(A)に示すように、車両の運転席よりも前方(図1(A)の右方)には、軸線L1に沿って前後方向に延び、かつ同軸線L1を中心として回転するステアリングシャフト(操舵軸)14が、運転席側(図1(A)の左側)ほど高くなるように傾斜した状態で配設されている。ステアリングシャフト14の後端部には、ステアリングホイール10が一体回転可能に取付けられている。
【0030】
なお、第1実施形態では、ステアリングホイール10の各部について説明する際には、ステアリングシャフト14の軸線L1を基準とする。この軸線L1に沿う方向をステアリングホイール10の「前後方向」といい、軸線L1に直交する面に沿う方向のうち、ステアリングホイール10の起立する方向を「上下方向」というものとする。従って、ステアリングホイール10の前後方向及び上下方向は、車両の前後方向(水平方向)及び上下方向(鉛直方向)に対し若干傾いていることとなる。
【0031】
なお、図3図5(B)、図6(A),(B),図7(A),(B)、図9図10図13図16では、便宜上、ステアリングホイール10の前後方向が水平方向に合致し、同ステアリングホイール10の上下方向が鉛直方向に合致した状態で図示されている。
【0032】
図1(B)に示すように、ステアリングホイール10は、中央部分にエアバッグ装置(エアバッグモジュール)20を備えている。ステアリングホイール10の骨格部分は、固定部材としての芯金12によって構成されている。図2は、その芯金12の一部を示している。芯金12は、鉄、アルミニウム、マグネシウム、又はそれらの合金等によって形成されている。芯金12は、その中心部分に位置するボス部12aにおいて上記ステアリングシャフト14に取付けられており、同ステアリングシャフト14と一体となって回転する。
【0033】
芯金12において、ボス部12aの周囲の複数箇所には、それぞれ貫通孔12cを有する保持部12bが設けられている。なお、芯金12において、保持部12bとそれ以外の箇所とを区別する必要がある場合には、後者の箇所を芯金本体12dというものとする。図9に示すように、各貫通孔12cの内壁面は、後側(図9の左側)ほど拡径するテーパ状をなしている。なお、図2では、このテーパ状の内壁面の図示が省略されている。
【0034】
図2及び図9に示すように、各保持部12bと芯金本体12dとの間であって、貫通孔12cの近傍には、クリップ13がそれぞれ組み込まれている。各クリップ13は、導電性を有するばね綱等の金属からなる線材を所定形状に屈曲させることによって形成されていて、若干弾性変形させられた状態で保持部12b及び芯金本体12d間に組み込まれて芯金12に保持されている。クリップ13は、その一部、例えば端部において、保持部12b及び芯金本体12dの少なくとも一方に接触している。クリップ13は、後述するホーンスイッチ機構30のスナップピン31を芯金12に対し導通状態で係止する機能を有する。各クリップ13の一部は、貫通孔12cの前方近傍に位置している。
【0035】
車両には、ホーン装置40が設けられており、これを作動させるための複数のホーンスイッチ機構30が、各保持部12bにおいて、スナップフィット構造にて芯金12に装着されている。各ホーンスイッチ機構30は互いに同一の構成を有している。そして、これらのホーンスイッチ機構30を介してエアバッグ装置20が芯金12に支持されている。このように、各ホーンスイッチ機構30は、エアバッグ装置20の支持機能とホーンスイッチの機能とを兼ねている。
【0036】
さらに、第1実施形態では、エアバッグ装置20におけるバッグホルダ21と各ホーンスイッチ機構30との間に弾性部材41及びダンパホルダ42が介在されている。これらのエアバッグ装置20、ホーンスイッチ機構30、弾性部材41、ダンパホルダ42、芯金12等によって、ステアリングホイール10の振動を抑制(制振)するための制振構造が構成されている。
【0037】
次に、上記制振構造を構成する各部について説明する。
<エアバッグ装置20>
図3及び図4に示すように、エアバッグ装置20は、パッド部24、エアバッグ(図示略)及びインフレータ23を、同エアバッグ装置20の前部に配置されたバッグホルダ21に組付けることによって構成されている。エアバッグ装置20は、上記芯金12(図9参照)の後側に配設されている。
【0038】
パッド部24は、樹脂成形によって形成されており、表面が意匠面をなす外皮部24aと、その外皮部24aの裏面側(前側:図3及び図4では右側)に略四角環状に立設された収容壁部24bとを有している。収容壁部24bによって囲まれる外皮部24aの内側面は、バッグホルダ21との間に、主としてエアバッグ(図示略)を収容するためのバッグ収容空間xを形成している。外皮部24aのバッグ収容空間xを形成する部位には、エアバッグが展開及び膨張するときに押し破られる薄肉部24cが形成されている。
【0039】
収容壁部24bの前端部には、それぞれ矩形板状をなす複数の係止爪24dが一体に形成されている。各係止爪24dは所定長さの幅広に形成されており、各係止爪24dの前端部には、外側(バッグ収容空間xから遠ざかる側)へ突出する係止突起24eが形成されている。
【0040】
パッド部24の複数箇所には、ホーンスイッチ機構30を支持するためのスイッチ支持部24fがそれぞれ形成されている。各スイッチ支持部24fは、パッド部24の外皮部24aから裏面側(前側)へ延びるように、収容壁部24bと一体に形成されている。
【0041】
バッグホルダ21は、導電性を有する金属板をプレス加工することにより、略矩形状に形成されている。なお、バッグホルダ21は、プレス加工以外の手段、例えばダイカスト成形等によって形成されたものであってもよい。バッグホルダ21の周縁部は、パッド部24を固定するための略四角環状の周縁固定部21aとして構成されている。
【0042】
周縁固定部21aにおいて、前記パッド部24の各係止爪24dに対応する箇所(前方となる箇所)には、それぞれ爪係止孔21bが形成されている。各爪係止孔21bは、幅広の上記各係止爪24dに対応してバッグホルダ21の辺方向に長いスリット状をなしている。各爪係止孔21bには、各係止爪24dの前端部が挿通されて係止されている。
【0043】
上記周縁固定部21aの内側部分は、略正方形状の台座部21cを構成している。台座部21cの中心部には円形状の開口部21dが形成されている。台座部21cであって、開口部21dの周縁部近傍の複数箇所には、それぞれねじ挿通孔21eが形成されている。台座部21cの開口部21dには、インフレータ23の一部が挿通されて取付けられる。
【0044】
より詳しくは、インフレータ23は低円柱状の本体23aを有しており、その本体23aの外周面にはフランジ部23bが形成されている。フランジ部23bには、本体23aの周方向に等角度間隔に複数の取付片23cが同本体23aの径方向外方へ延出されている。各取付片23cにおいて、バッグホルダ21の上記ねじ挿通孔21eの前方となる箇所には、それぞれねじ挿通孔23dが形成されている。インフレータ23において、フランジ部23bよりも後方側となる部分は、膨張用ガスを噴出するガス噴出部23eとして構成されている。そして、インフレータ23のガス噴出部23eがバッグ収容空間x側に突出するように、前側からバッグホルダ21の開口部21dに挿通されている。さらに、フランジ部23bが開口部21dの周縁部に当接させられ、この状態で、インフレータ23はリングリテーナ25とともにバッグホルダ21に取付けられている。
【0045】
より詳しくは、リングリテーナ25は、インフレータ23のガス噴出部23eが挿通されるバッグホルダ21の開口部21dと同等の円形状の開口部25aを有している。また、リングリテーナ25は、バッグホルダ21の各ねじ挿通孔21eに対応する複数箇所に取付ねじ25bを有している。リングリテーナ25とバッグホルダ21との間には、展開及び膨張可能に折り畳まれた状態のエアバッグ(図示略)の開口部が配置されている。リングリテーナ25の複数の取付ねじ25bは、エアバッグの開口部の周縁部分に設けられたねじ挿通孔(図示略)と、バッグホルダ21及びインフレータ23の各ねじ挿通孔21e,23dとに対し、後側から挿通されている。さらに、挿通後の各取付ねじ25bに前側からナット26が螺着されることにより、エアバッグがリングリテーナ25を介してバッグホルダ21に固定されるとともに、インフレータ23がバッグホルダ21に固定されている。
【0046】
バッグホルダ21の周縁固定部21aの複数箇所には、ホーンスイッチ機構30を取付けるための取付部21fが、円形の開口部21dの径方向外方へそれぞれ突出形成されている。各取付部21fは、上述したパッド部24のスイッチ支持部24fの前方となる箇所に位置しており、前後方向に対し直交している。図3図4及び図7(A),(B)に示すように、各取付部21fには、ホーンスイッチ機構30の取付けのための取付孔21gが円形に貫通形成されている。バッグホルダ21における各取付孔21gの周辺部には、それぞれ後方へ延びる複数の挟持部21iが一体に形成されている。第1実施形態では、バッグホルダ21において各取付孔21gを挟んで相対向する箇所を後方へ折り曲げることにより、各挟持部21iが形成されている。各挟持部21iの上記折り曲げ形成により、バッグホルダ21において各挟持部21iの外側、すなわち、各挟持部21iを挟んで取付孔21gとは反対側には孔21jが形成されている。
【0047】
<ホーンスイッチ機構30>
ホーンスイッチ機構30は、上述したように、ホーン装置40を作動させるためのものであり、第1実施形態では複数用いられている。各ホーンスイッチ機構30からステアリングホイール10の中心(ボス部12a)までの距離は互いに略等しく設定されることが望ましい。これは、後述する接点端子34とスナップピン31の鍔部31aとを確実に接触させて導通状態にするためである。
【0048】
図5(A),(B)に示すように、各ホーンスイッチ機構30は、支持部材としてのスナップピン31、ピンホルダ32、コンタクトホルダ33、可動側接点部としての接点端子34、ピース35、及び付勢部材としてのコイルばね36を備えている。次に、ホーンスイッチ機構30の各構成部材について説明する。
【0049】
スナップピン31は、上記バッグホルダ21よりも前方で上記芯金12に支持される部材であり、導電性を有する金属材料によって形成されている。このスナップピン31の芯金12に対する支持構造については、後述する。スナップピン31の多くの部分は、前後方向に延びる長尺状をなしており、その前端部の外周面には、凹部が設けられている。第1実施形態では、この凹部として、環状の係止溝31bがスナップピン31の全周にわたって形成されている。スナップピン31の後端部を除く大部分は、バッグホルダ21の上記取付孔21gよりも若干小径に形成されている。図7(A)に示すように、スナップピン31の後端部には、円板状をなし、かつ固定側接点部として機能する鍔部31aが形成されている。鍔部31aは、取付孔21gの内径D2よりも大きな外径D1を有している。なお、図6(B)では、スナップピン31が、その一部を省略された状態で図示されている。
【0050】
図5(A),(B)及び図6(A),(B)に示すように、ピンホルダ32は、絶縁体としての特性を有する材料、例えば、樹脂材料によって形成されている。ピンホルダ32は、段付形状を有する筒状をなしており、スナップピン31と弾性部材41との間に配置されている。ピンホルダ32は、ホーンスイッチ機構30の作動に際し、スナップピン31に対しその長手方向(前後方向)にスライドするスライダとして用いられている。ピンホルダ32において、スナップピン31が挿通される箇所(以下「筒状部32a」という)の後端には、同筒状部32aよりも大径状をなす拡径部32bが形成されている。拡径部32bには、スナップピン31の鍔部31aが嵌合される。
【0051】
コンタクトホルダ33は、樹脂材料により、前面を開放した有底円筒状に形成されている。コンタクトホルダ33は、スナップピン31及びピンホルダ32を後方から覆うように組付けられている。コンタクトホルダ33は、略円形の天板部33aと、その天板部33aの外周縁から前方に延びる略円筒状の側壁部33bとを有している。側壁部33bの径方向に相対向する箇所には、フック部33cが径方向への弾性変形可能に形成されている。
【0052】
なお、天板部33aの後部には、コンタクトホルダ33のスナップピン31及びピンホルダ32への組付け時において、同コンタクトホルダ33の向きを揃えるための溝33dが形成されている。
【0053】
上記側壁部33bの前後方向についての中間部であって、周方向に互いに離れた複数箇所には、爪係合孔33fが形成されている。また、側壁部33bの前端部であって、互いに周方向に離れた複数箇所には切欠き33gが形成されている。
【0054】
接点端子34は、導電性を有する金属板をプレス加工することにより形成されている。接点端子34は、コンタクトホルダ33の径方向に延びる長尺状の本体部34aと、同本体部34aの両端から前方へ延びる一対の側部34bとを備えている。本体部34aは、コンタクトホルダ33の天板部33aの前面に接触し、各側部34bは、コンタクトホルダ33の側壁部33bの内壁面に接触している。本体部34aには、前側へ突出する複数の接触突部34cが、本体部34aの長手方向に沿って等間隔毎に形成されている。
【0055】
なお、各側部34bとスナップピン31の鍔部31aとの間には、前記ピンホルダ32の拡径部32bが介在されており、各側部34bと鍔部31aとの絶縁状態が確保されている(図6(A)参照)。また、各側部34bとスナップピン31(鍔部31aを除く部分)との間には、ピンホルダ32の筒状部32a、弾性部材41及びダンパホルダ42が介在されており、各側部34bとスナップピン31との絶縁状態が確保されている。
【0056】
ピース35の全体は、絶縁材料である樹脂材料によって一体に形成されている。ピース35の一部は、スナップピン31の鍔部31aを除く部分よりも若干大径の挿通孔35aを有する円環状の環状部35bによって構成されている。環状部35bの外径は、上記コイルばね36の外径、及び貫通孔12cの内壁面における後端部の外径、すなわち、テーパ状の内壁面における最大径と同程度に設定されている(図9参照)。
【0057】
環状部35bの前面であって挿通孔35aの周りの複数箇所からは、前方へ向けて係止片35cが延びている。各係止片35cの前端部には、爪部35dが径方向内方へ突設されており、これらの爪部35dがスナップピン31の係止溝31b内に入り込んでいる。なお、各係止片35cの外側面は、前後方向のどの部位においても同一径である円筒面の一部を構成している。すなわち、各係止片35cの外側面は、貫通孔12cのテーパ状の内壁面に対応しておらず、従って、同内壁面に面接触することはない。
【0058】
また、環状部35bの前面における挿通孔35aの周りであって、隣り合う係止片35c間からは、前方へ向けて複数の係合片35eが延びている。各係合片35eの外側面は、後側ほど拡径するテーパ面の一部を構成している。
【0059】
環状部35bからは、一対の装着部35fが後方へ向けて延びている。各装着部35fは、スナップピン31の外形形状に対応して、ピース35の径方向外方へ膨らむように湾曲形成されている。
【0060】
図9に示すように、ピース35は、環状部35b及び両装着部35fにおいてスナップピン31の外側に嵌合され、かつ各爪部35dが係止溝31bに入り込むことにより、同スナップピン31に脱落不能に装着されている。上記のように、ピース35では、環状部35bの中心を通る軸線を、複数の係合片35eの外側面が複数の係止片35cの外側面を挟んで間欠的(断続的)に取り囲んでいる。こうした構成により、ピース35は、全体として、後側ほど拡径するテーパ状の外側面を有するものと同様な状態となっている。
【0061】
コイルばね36は、スナップピン31のうち鍔部31aを除く箇所の周りに巻回されている。コイルばね36は、ピンホルダ32の筒状部32aに形成された段差部32cとピース35の環状部35bとの間に、圧縮させられた状態で配置されている。この状態では、環状部35bは、圧縮されたコイルばね36の前向きの付勢力を受ける。
【0062】
このようにして、複数の単体部品、すなわち、スナップピン31、ピンホルダ32、コンタクトホルダ33、接点端子34、コイルばね36及びピース35がユニット化されて、アセンブリとされたホーンスイッチ機構30が構成されている。そのため、ホーンスイッチ機構30の取付けや交換の際に、ユニット化されたホーンスイッチ機構30を1つの集合体として扱うことが可能である。
【0063】
<弾性部材41>
図8及び図9に示すように、弾性部材41は、ホーンスイッチ機構30におけるピンホルダ32とバッグホルダ21との間に介在されている。弾性部材41の全体は、ゴム(例えば、EPDM、シリコンゴム等)、エラストマー等の弾性材料によって形成されている。弾性部材41は、上記ピンホルダ32の筒状部32aよりも若干径の大きな挿通孔41aを有していて、略円環状をなしている。さらに、弾性部材41には、その前面において開口する円環状の溝部41bが、上記挿通孔41aと同心円上に形成されている。溝部41bは矩形の断面を有している。そして、図7(B)に示すように、弾性部材41は、バッグホルダ21の取付部21fとピンホルダ32の拡径部32bとにより、前方及び後方から挟み込まれている。また、弾性部材41は、バッグホルダ21の挟持部21iとピンホルダ32の筒状部32aとにより、径方向についての外方及び内方から挟み込まれている。
【0064】
弾性部材41は、上述したエアバッグ装置20とともにダイナミックダンパを構成するものである。第1実施形態では、弾性部材41をダイナミックダンパのばねとして機能させ、エアバッグ装置20をダンパマスとして機能させるようにしている。
【0065】
ここで、弾性部材41の大きさ、径方向の厚み、前後方向の長さ等をチューニングすることで、ダイナミックダンパの上下方向や左右方向についての共振周波数が、ステアリングホイール10の上下方向や左右方向の振動について、狙いとする制振の周波数(制振したい周波数)に設定されている。
【0066】
<ダンパホルダ42>
図5(A),(B)及び図6(A),(B)に示すように、ダンパホルダ42は、ホーンスイッチ機構30のバッグホルダ21への取付け前には、同ホーンスイッチ機構30に係止されて、弾性部材41をピンホルダ32の筒状部32aの外側に装着された状態に保持する。また、ダンパホルダ42は、ホーンスイッチ機構30がバッグホルダ21に取付けられた状態では、弾性部材41とバッグホルダ21との間に位置する。
【0067】
ダンパホルダ42の主要部は、いずれも樹脂材料によって形成された側壁部42a及び前壁部42bによって構成されている。側壁部42aは、弾性部材41よりも径が僅かに大きく、かつコンタクトホルダ33の側壁部33bよりも径の小さな略円筒状に形成されており、同弾性部材41の径方向についての外側、かつバッグホルダ21における挟持部21iの径方向についての内側に配置されている。前壁部42bは、上記ピンホルダ32の筒状部32aよりも若干径の大きな取付孔42cを有していて、略円環状をなしている。前壁部42bは、弾性部材41の前側、かつバッグホルダ21における取付部21fの後側に配置されている。
【0068】
側壁部42aの互いに周方向に離れた複数箇所には係合爪42d(図5(B)参照)が形成されている。これらの係合爪42dが、コンタクトホルダ33の上記爪係合孔33fに内側から係合されることで、ダンパホルダ42がコンタクトホルダ33に係止されている。
【0069】
側壁部42aの前端部であって、互いに周方向に離れた複数箇所にはストッパ42e(図5(A),(B)参照)が形成されている。これらのストッパ42eがコンタクトホルダ33の上記切欠き33gに係合されることで、ダンパホルダ42のコンタクトホルダ33に対する前後方向の位置決めがなされている。
【0070】
上記のようにして、第1実施形態のステアリングホイールの制振構造が構成されている。次に、この制振構造の作用を中心に第1実施形態の作用について説明する。
最初に、バッグホルダ21に対し、弾性部材41及びダンパホルダ42を介して各ホーンスイッチ機構30を取付ける作業について説明する。この作業としては、各ホーンスイッチ機構30に弾性部材41及びダンパホルダ42を装着する作業と、各取付孔21gに各ホーンスイッチ機構30を装着する作業とが行なわれる。
【0071】
図5(B)及び図6(A)に示すように、前者の作業に際しては、各ホーンスイッチ機構30におけるピンホルダ32の筒状部32aが弾性部材41の挿通孔41aに挿通される。この挿通は、ピンホルダ32の拡径部32bが弾性部材41に後方から当接する位置まで行なわれる。この挿通により、弾性部材41がピンホルダ32の筒状部32aの外側に装着される。
【0072】
次に、ダンパホルダ42の側壁部42aが、弾性部材41の外周面と、コンタクトホルダ33の側壁部33b及び接点端子34の側部34bとの間に挿入される。この挿入の過程で、ダンパホルダ42の前壁部42bが弾性部材41に接近する際、図5(B)に示す係合爪42dがコンタクトホルダ33の爪係合孔33fに係合され、ダンパホルダ42がコンタクトホルダ33に係止される(図5(A)参照)。弾性部材41は、ダンパホルダ42とピンホルダ32とにより囲まれた状態となる。弾性部材41の径方向についての外側には、コンタクトホルダ33に係止されたダンパホルダ42の側壁部42aが位置し、前側には、同ダンパホルダ42の前壁部42bが位置する。弾性部材41は、ピンホルダ32の筒状部32aの外側に装着された状態に保持される。そのため、弾性部材41がピンホルダ32から脱落することが起こりにくい。
【0073】
また、係合爪42dの上記係合と略同時に、ダンパホルダ42の各ストッパ42eがコンタクトホルダ33の対応する切欠き33gに係合する。これらの係合により、ダンパホルダ42がそれ以上コンタクトホルダ33内に挿入されることが規制され、ダンパホルダ42のコンタクトホルダ33に対する前後方向の位置決めがなされる。この状態では、側壁部42aと側部34bとの間に、挟持部21iの挿入を可能とした隙間が形成される。
【0074】
後者の作業に際しては、上記のように弾性部材41及びダンパホルダ42の装着されたホーンスイッチ機構30が、スナップピン31(支持部材)、ピース35、コイルばね36(付勢部材)、及びピンホルダ32の筒状部32aにおいて、図6(A)中、二点鎖線で示すバッグホルダ21の取付孔21gに後方から挿入される。この挿入の過程で、図7(A),(B)に示すように、バッグホルダ21における両挟持部21iが、ダンパホルダ42における側壁部42aと接点端子34の側部34bとの隙間に入り込む。また、コンタクトホルダ33におけるフック部33cが、バッグホルダ21における孔21jに挿入される。このフック部33cにより、接点端子34の側部34bがバッグホルダ21における挟持部21iの外面に当接させられる。この当接により、バッグホルダ21と接点端子34とが導通された状態となる。
【0075】
ホーンスイッチ機構30の上記挿入は、ダンパホルダ42の前壁部42bがバッグホルダ21の取付部21fに当接する位置まで行なわれる。この位置では、コンタクトホルダ33のフック部33cによって付勢された側部34bの前端部が、バッグホルダ21において挟持部21iの前側に係止され、コンタクトホルダ33、ひいてはホーンスイッチ機構30がバッグホルダ21から後方へ移動することを規制される。
【0076】
このようにして、弾性部材41は、バッグホルダ21の取付部21fとピンホルダ32の拡径部32bとにより、前方及び後方から挟み込まれる。また、弾性部材41は、バッグホルダ21の挟持部21iとピンホルダ32の筒状部32aとにより、径方向についての外方及び内方から挟み込まれる。
【0077】
各ホーンスイッチ機構30が、上記のようにバッグホルダ21に取付けられた状態では、ステアリングシャフト14の軸線L1に沿う方向(前後方向)への弾性部材41の移動が、取付部21f及び拡径部32bによって規制される。また、ステアリングシャフト14の軸線L1に直交する方向への弾性部材41の移動は、挟持部21i及び筒状部32aによって規制される。
【0078】
各ホーンスイッチ機構30が上記のように取付けられた状態では、スナップピン31の鍔部31aは、バッグホルダ21の取付孔21gよりも後側に位置する。この鍔部31aは、コイルばね36から後ろ向きの付勢力を受ける。
【0079】
また、上記取付け状態では、ピンホルダ32が、スナップピン31とバッグホルダ21との間に配置されて、両者の接触を防ぎつつ、すなわち絶縁状態にしつつ、バッグホルダ21をスナップピン31に対し前後動可能に支持するとともに、コイルばね36の後ろ向きの付勢力をスナップピン31の鍔部31aに伝達する。
【0080】
また、上記取付け状態では、コンタクトホルダ33の天板部33aが、前述したパッド部24のスイッチ支持部24fと当接する(図3参照)。そのため、例えばエアバッグ装置20が強打されたとき、その反力がスイッチ支持部24fによって受け止められ、コンタクトホルダ33がピンホルダ32から外れることを規制される。
【0081】
さらに、上記取付け状態では、各ホーンスイッチ機構30におけるコイルばね36と、同コイルばね36に挿通されたスナップピン31とがバッグホルダ21から前方(パッド部24から離れる方向)に突出している。
【0082】
次に、上記複数のホーンスイッチ機構30を介してエアバッグ装置20を芯金12に組付ける作業について説明する。
この作業に際しては、図9に示すように、ホーンスイッチ機構30毎のスナップピン31が芯金12において対応する保持部12bの貫通孔12cに後方から近づけられる。このときには、各スナップピン31において係止溝31bよりも前方部分(以下「前端31c」という)が、各コイルばね36及び各ピース35から前方へ若干突出している(図5(A)参照)。
【0083】
各ピース35は、スナップピン31が貫通孔12cに挿通される前の段階で、同スナップピン31に装着されていることから、スナップピン31が貫通孔12cに挿通される過程で、ピース35もまた貫通孔12cに挿入される。
【0084】
上記挿入に伴い、ピース35の環状部35bが保持部12bに接近し、係合片35eが貫通孔12cの内壁面に接近する。また、スナップピン31の前端31cがクリップ13に接触する。さらに、クリップ13の付勢力に抗してスナップピン31等が前方へ移動されると、クリップ13がスナップピン31の径方向外方へ弾性変形させられる。そして、係止溝31bがクリップ13に対向する箇所までスナップピン31が移動されると、クリップ13が自身の弾性復元力により係止溝31bに入り込もうとする。
【0085】
一方、係止溝31b内には、コイルばね36によって前方へ付勢されたピース35の爪部35dが入り込んでいる。そのため、クリップ13は、係止溝31b内に入り込む過程で、コイルばね36を後方へ圧縮させながら、爪部35dと係止溝31b内の前壁面31dとの間に入り込む。この入り込みにより、係止溝31b内では、爪部35dがクリップ13の後側に位置する。クリップ13において、貫通孔12cの前方に位置する部分は、コイルばね36によって前方へ付勢された爪部35dと係止溝31bの前壁面31dとによって前後から挟み込まれ、動きを規制される。一方、スナップピン31は、係止溝31b内に入り込んだクリップ13によって、前後方向の動きを規制される。このようにして、スナップピン31がクリップ13によって芯金12に係止されることで、各ホーンスイッチ機構30の芯金12に対する締結と、エアバッグ装置20の芯金12に対する装着とが行なわれる。スナップピン31の挿通に伴いクリップ13の弾性によって芯金12に係止する構造は、スナップフィット構造とも呼ばれる。
【0086】
この組付け状態では、各係合片35eの外側面が貫通孔12cの内壁面に接触する。また、爪部35dが係止溝31b内の後壁面31eから前方へ僅かに離間する。このようにして、ピース35が芯金12の保持部12bにおける貫通孔12cの内壁面とスナップピン31との間に介在させられる。
【0087】
また、上記組付け状態では、芯金12に係止されたホーンスイッチ機構30毎のスナップピン31は、ピンホルダ32を介してエアバッグ装置20のバッグホルダ21を芯金12に対して進退可能に、すなわち、芯金12に対して近付いたり離れたりすることが可能となるように、支持する。
【0088】
ここで、ピンホルダ32の段差部32cとピース35の環状部35bとの間に介装されているコイルばね36は、芯金12への取付け前よりもさらに圧縮させられた状態となる。この圧縮状態のコイルばね36は、ピンホルダ32を芯金12から遠ざける方向である後方へ付勢し、接点端子34の接触突部34cをスナップピン31の鍔部31aから後方へ離間させる。
【0089】
上記コイルばね36は、さらに圧縮されることで、エアバッグ装置20の芯金12側への移動を許容する。すなわち、コイルばね36はホーンストロークを確保した状態で圧縮されている。ホーンストロークとは、接点端子34の接触突部34cをスナップピン31の鍔部31aから離隔させた状態(ホーンスイッチ機構30のオフ状態:図9)から、接触突部34cが鍔部31aに接触する状態(ホーンスイッチ機構30のオン状態:図10)にするために要するエアバッグ装置20の芯金12側への移動量である。また、このコイルばね36によって、運転者がエアバッグ装置20を押圧して各ホーンスイッチ機構30をオン状態にする際の荷重であるホーン荷重が決定される。
【0090】
ところで、上記ステアリングホイール10では、エアバッグ装置20が前方へ押圧されたり、同エアバッグ装置20に過大な負荷がかかったりすることのない通常時には、図9に示すように、接点端子34の接触突部34cが固定側接点部であるスナップピン31の鍔部31aから後方へ離れる。接点端子34及びスナップピン31が非導通状態となり、ホーン装置40が作動しない。このときには、クリップ13により芯金12に係止されたスナップピン31の鍔部31aに対し、コイルばね36の後ろ向きの付勢力がピンホルダ32を介して加わる。
【0091】
また、このときには、コイルばね36の前向きの付勢力が、環状部35bを通じてピース35に加わり、同ピース35においてスナップピン31の係止溝31b内に入り込んだ爪部35dが、同係止溝31b内のクリップ13を前方へ押圧する。この押圧により、クリップ13は、係止溝31b内の前壁面31dと爪部35dとによって前後から挟み込まれ、動きを規制される。
【0092】
これに対し、エアバッグ装置20が前方へ押圧されたり、同エアバッグ装置20に過大な負荷がかかったりして、バッグホルダ21がコイルばね36に抗して前方へ移動させられると、少なくとも1つのホーンスイッチ機構30のピンホルダ32がバッグホルダ21を介しコイルばね36の付勢力に抗して押圧され、芯金12側(前側)に移動する。コンタクトホルダ33及び接点端子34もバッグホルダ21及びピンホルダ32とともに芯金12側(前側)に移動する。過大な負荷がかかる状況としては、例えば車両が悪路を走行していてエアバッグ装置20が大きく振動したときを想定している。
【0093】
そして、図10に示すように、接点端子34の複数の接触突部34cの少なくとも1つが、スナップピン31の鍔部31aに接触すると、グランドGND(車体アース)に接続された芯金12とバッグホルダ21とが、クリップ13、スナップピン31及び接点端子34を介して導通される。この導通により、ホーンスイッチ機構30が閉成し、バッグホルダ21に電気的に接続されたホーン装置40が作動する。
【0094】
このように、スナップピン31は、芯金12の保持部12bに係止される機能と、バッグホルダ21を芯金12に対し前後方向への移動可能に支持する機能とを発揮するほかに、固定側接点部としても機能する。
【0095】
また、上記のようにバッグホルダ21が前方へ移動させられると、それまでピンホルダ32及びバッグホルダ21を介してスナップピン31の鍔部31aに加わっていたコイルばね36の後ろ向きの付勢力が消失する。そのため、スナップピン31は、クリップ13によって芯金12に係止された箇所を支点として揺動可能な状態となる。このときには、クリップ13に対してもそれまで係止溝31b内の前壁面31dを通じて加わっていた後ろ向きの付勢力が加わらなくなって、クリップ13が係止溝31b内で動き得る状態となる。
【0096】
一方、エアバッグ装置20では、車両に対し、前面衝突(前突)等による前方からの衝撃が加わらない通常時には、インフレータ23のガス噴出部23eからガスが噴出されず、エアバッグが折り畳まれた状態に維持される。
【0097】
上記通常時であって、車両の高速走行中や車載エンジンのアイドリング中に、ステアリングホイール10に対し、上下方向や左右方向の振動が伝わる場合がある。この振動は、芯金12、各ホーンスイッチ機構30及び各弾性部材41を介してエアバッグ装置20に伝わる。
【0098】
上記振動に応じて、エアバッグ装置20がダイナミックダンパのダンパマスとして機能し、各弾性部材41がダイナミックダンパのばねとして機能する。
例えば、ステアリングホイール10が所定の周波数で上下方向へ振動すると、その周波数と同一又は近い共振周波数で各弾性部材41が弾性変形しながら、エアバッグ装置20を伴って上下方向に振動(共振)し、ステアリングホイール10の上下方向の振動エネルギーを吸収する。この吸収により、ステアリングホイール10の上下方向の振動が抑制(制振)される。
【0099】
また、ステアリングホイール10が所定の周波数で左右方向へ振動すると、その周波数と同一又は近い共振周波数で各弾性部材41が弾性変形しながらエアバッグ装置20を伴って左右方向へ振動し、ステアリングホイール10の左右方向の振動エネルギーを吸収する。この吸収により、ステアリングホイール10の左右方向の振動が減衰(制振)される。
【0100】
このようにして、第1実施形態では、ステアリングホイール10について、上下及び左右のいずれの方向についても振動が減衰(制振)される。
弾性部材41に形成された溝部41bは、同弾性部材41を弾性変形しやすくする。そのため、ステアリングホイール10が振動した場合に、弾性部材41がエアバッグ装置20を伴って共振しやすくなる。
【0101】
ここで、図11は、ステアリングホイール10を種々の周波数で振動させ、周波数毎のイナータンスを測定した結果を示している。イナータンスは、加速度と加振力の比(加速度/加振力)による周波数応答関数であり、値が大きくなるに従い振動レベルが悪化する。図11中の実線は、弾性部材41が用いられた第1実施形態での周波数特性を示し、二点鎖線は、弾性部材41が用いられなかった場合(比較例)の周波数特性を示している。この図11から、第1実施形態では、車両の高速走行中や車載エンジンのアイドリングに発生する40Hz付近での振動のレベルが特に向上していることがわかる。
【0102】
前突等により車両に対し前方から衝撃が加わると、慣性により運転者が前傾しようとする。一方、エアバッグ装置20では、前記衝撃に応じインフレータ23が作動させられ、ガス噴出部23eからガスが噴出される。このガスがエアバッグに供給されることで、同エアバッグが展開及び膨張する。このエアバッグにより、パッド部24の外皮部24aに加わる押圧力が増大していくと、同外皮部24aが薄肉部24cにおいて破断される。破断により生じた開口を通じてエアバッグが後方へ向けて引き続き展開及び膨張する。前突の衝撃により前傾しようとする運転者の前方に、展開及び膨張したエアバッグが介在し、運転者の前傾を拘束し、運転者を衝撃から保護する。
【0103】
上記エアバッグの後方への膨張に際しては、バッグホルダ21に対し後方へ向かう力が加わる。この点、第1実施形態では、ホーンスイッチ機構30毎のスナップピン31が芯金12の保持部12bに支持されている。各スナップピン31の後端部に形成された鍔部31aはバッグホルダ21の取付孔21gよりも後方に位置している。鍔部31aは、取付孔21gの内径D2よりも大きな外径D1を有している(図7(A)参照)。そのため、この鍔部31aは、バッグホルダ21が後方へ動いた場合には、そのバッグホルダ21において取付孔21gの周辺部分に当接することでストッパとして機能する。
【0104】
以上詳述した第1実施形態によれば、次の効果が得られる。
(1)弾性部材41を、バッグホルダ21の取付部21fとピンホルダ32(スライダ)の拡径部32bとにより、前方及び後方から挟み込む。また、弾性部材41を、バッグホルダ21の挟持部21iとピンホルダ32(スライダ)の筒状部32aとにより、径方向についての外方及び内方から挟み込んでいる(図7(A),(B))。
【0105】
そのため、弾性部材41をバッグホルダ21及びピンホルダ32(スライダ)によって挟み込むといった簡単な作業を行なうことにより、高い強度で同弾性部材41を取付けることができる。
【0106】
(2)スナップピン31(支持部材)においてバッグホルダ21の取付孔21gよりも後方となる箇所である後端部に、同取付孔21gの内径D2よりも大きな外径D1を有する鍔部31aを形成している(図7(A))。
【0107】
そのため、エアバッグの膨張に際しては、バッグホルダ21に対し後方へ向かう力が加わるが、スナップピン31(支持部材)の鍔部31aにより、バッグホルダ21ひいてはエアバッグ装置20が過度に後方へ動くのを規制することができる。
【0108】
(3)ピンホルダ32(スライダ)の筒状部32aの外側に弾性部材41が装着された状態で、スナップピン31(支持部材)及びピンホルダ32(スライダ)を取付孔21gに挿通させることで、各ホーンスイッチ機構30をバッグホルダ21に取付ける(図7(A))。
【0109】
こうした形態で各ホーンスイッチ機構30がバッグホルダ21に取付けられるステアリングホイール10において、同バッグホルダ21への取付け前には、ホーンスイッチ機構30にダンパホルダ42を係止して、弾性部材41をピンホルダ32(スライダ)の筒状部32aの外側に装着された状態に保持する(図6(A))。また、ホーンスイッチ機構30がバッグホルダ21に取付けられた状態では、ダンパホルダ42を弾性部材41とバッグホルダ21との間に位置させるようにしている(図7(A))。
【0110】
そのため、各ホーンスイッチ機構30をバッグホルダ21に取付ける作業の前や同作業の際に、弾性部材41がピンホルダ32(スライダ)の筒状部32aから脱落するのをダンパホルダ42によって抑制し、各ホーンスイッチ機構30を取り扱いやすいものとするとともに、同取付け作業の作業性向上を図ることができる。
【0111】
また、各ホーンスイッチ機構30がバッグホルダ21に取付けられた状態では、ダンパホルダ42が弾性部材41とバッグホルダ21との間に位置する。そのため、ダンパホルダ42を付加したことが、弾性部材41を、バッグホルダ21及びピンホルダ32(スライダ)により、前方及び後方から挟み込むとともに、径方向についての外方及び内方から挟み込むことに影響を及ぼすのを抑制することができる。
【0112】
(第2実施形態)
次に、ステアリングホイールの制振構造の第2実施形態について、図12図14を参照して説明する。
【0113】
第2実施形態では、弾性部材41として第1実施形態とは異なる形態を有するものが用いられている。
図13(A)は、バッグホルダ21に装着されたホーンスイッチ機構30の断面構造を示し、図14は、図13とは異なる断面でのホーンスイッチ機構30の断面構造を示している。より詳しくは、図13(A)は、図12の13−13線に沿った断面構造を示し、図14は、同図12中、上記13−13線に対し直交する14−14線に沿った断面構造を示している。
【0114】
図13(A)及び図14に示すように、拡径部32bと段差部32cとの間において、ピンホルダ32の筒状部32aの外周部には、凹部32dが全周にわたって形成されている。筒状部32aにおいて、段差部32cと凹部32dとによって挟まれた箇所は、環状突部32eを構成している。環状突部32eは、バッグホルダ21の取付孔21gよりも前側に位置している。環状突部32eは、コイルばね36の後端部を受け止める機能を有している。
【0115】
図13(B)に示すように、弾性部材41は、内筒部41c、外筒部41d及び連結部41eを備えて構成されている。内筒部41cは前後方向に延びる円筒状をなしており、挿通孔41aを有し、凹部32dの外側に装着されている。外筒部41dは、内筒部41cよりも大きな内径を有し、かつ前後方向に延びる円筒状をなしている。外筒部41dは内筒部41cと同一軸線上に配置され、内筒部41cを取り囲んでいる。連結部41eは円環状をなし、内筒部41cの後端部と外筒部41dの後端部とを連結している。内筒部41cと外筒部41dとの間であって、連結部41eよりも前側の空間は、溝部41bを構成している。
【0116】
図14に示すように、弾性部材41は、バッグホルダ21の挟持部21iと筒状部32aの凹部32dとにより、径方向についての外方及び内方から挟み込まれている。また、弾性部材41は、バッグホルダ21の取付部21fと拡径部32bとにより前方及び後方から挟み込まれている。この点で、第2実施形態は第1実施形態と共通している。
【0117】
第2実施形態では、弾性部材41における内筒部41cの前端部が、第1実施形態よりも前方まで延ばされ、取付孔21g内に入り込んでいる。内筒部41cの前端面は、取付部21fの前面の近傍に位置し、環状突部32eに接近又は当接している。この構成により、取付孔21gの径方向についての内側に内筒部41cの前端部が位置している。また、ダンパホルダ42の取付孔42cの径方向についての内側には、弾性部材41の内筒部41cが位置している。
【0118】
ここで、図13(A)に示すように、取付孔42cの内壁面及び内筒部41cの間隔と、取付孔21gの内壁面及び内筒部41cの間隔とのうち小さいものを間隔C1とする。また、コンタクトホルダ33の側壁部33bと、ピンホルダ32の拡径部32bとの間隔をC2とする。第2実施形態では、C1<C2が成り立つように、両間隔C1,C2が設定されている。
【0119】
上記以外の構成は第1実施形態と同様である。そのため、第1実施形態で説明したものと同様の要素には同一の符号を付し、重複する説明を省略する。
上記のように構成された第2実施形態の制振構造では、ダンパホルダ42、ピンホルダ32及びコンタクトホルダ33がいずれも樹脂によって形成されていて硬質である。また、バッグホルダ21は、金属によって形成されていて硬質である。そのため、ステアリングホイール10の振動に伴い弾性部材41が弾性変形しながら、エアバッグ装置20を伴って大きく振動し、ダンパホルダ42の取付孔42cの内壁面やバッグホルダ21の取付孔21gの内壁面が、ピンホルダ32の筒状部32aに接触した場合、異音(打音)を発生するおそれがある。こうした状況は、例えば、車両が悪路を走行しているときに起こり得る。また、ピンホルダ32の拡径部32bがコンタクトホルダ33の側壁部33bに接触した場合にも、上記と同様に異音を発生するおそれがある。
【0120】
この点、弾性部材41の内筒部41cの前端部が取付孔21g内に入り込んでいる第2実施形態では、上記のようにダンパホルダ42の取付孔42cの内壁面が筒状部32aに接近した場合、内筒部41cによって同内壁面が受け止められる。取付孔42cの内壁面が筒状部32aに接触することが内筒部41cによって妨げられる。同様に、バッグホルダ21の取付孔21gの内壁面が筒状部32aに接近した場合、内筒部41cの前端部によって同内壁面が受け止められる。取付孔21gの内壁面が筒状部32aに接触することが内筒部41cの前端部によって妨げられる。
【0121】
そのため、取付孔42c,21gの内壁面が内筒部41cと接触することによって音が発生したとしても、その音は、同内壁面が筒状部32aと接触すること、すなわち硬質の部品同士が接触することによって発生する音よりも小さい。これは、上記内壁面との接触により内筒部41cが弾性変形することで、音の発生が抑制されるためである。
【0122】
また、図13(A)に示すように、間隔C2が間隔C1よりも大きいことから、上記のように取付孔42c,21gの内壁面が内筒部41cによって受け止められることで、ピンホルダ32の拡径部32bがコンタクトホルダ33の側壁部33bに接触することが妨げられる。
【0123】
従って、第2実施形態によれば、上記(1)〜(3)と同様の効果が得られるほか、次の効果が得られる。
(4)弾性部材41における内筒部41cを前方へ延ばし、バッグホルダ21の取付孔21g内に入り込ませている(図13(A))。
【0124】
そのため、ステアリングホイール10に大きな振動が伝わった場合に、硬質の部品同士(バッグホルダ21及びピンホルダ32、ダンパホルダ42及びピンホルダ32)が接触するのを抑制し、その接触に起因して不快な異音が発生するのを抑制することができる。
【0125】
(5)間隔C2が間隔C1よりも大きくなるように、両間隔C1,C2を設定している(図13(A))。
そのため、ステアリングホイール10に大きな振動が伝わった場合に、硬質のピンホルダ32の拡径部32bが硬質のコンタクトホルダ33の側壁部33bに接触するのを妨げ、その接触に起因して異音が発生するのを抑制することができる。
【0126】
また、単に両間隔C1,C2を上記の条件を満たすように設定するだけでよく、接触を妨げるための部品を追加したり、構造を設けたりする必要がない。
(第3実施形態)
次に、ステアリングホイールの制振構造の第3実施形態について、図15を参照して説明する。
【0127】
第3実施形態は、弾性部材41が内筒部41c、外筒部41d及び連結部41eによって構成されている点で、第2実施形態と共通している。第3実施形態の第2実施形態との相違点は、連結部41eが、内筒部41c及び外筒部41dの前後方向についての端部に代えて中間部に配置されている点である。この連結部41eにより、内筒部41cの前後方向についての中間部と、外筒部41dの前後方向についての中間部とが連結されている。連結部41eは、前後方向に対し直交している。
【0128】
上記以外の構成は第2実施形態と同様である。そのため、第2実施形態で説明したものと同様の要素には同一の符号を付し、重複する説明を省略する。
上記のように構成された第3実施形態の制振構造では、ステアリングホイール10の振動に伴い弾性部材41が弾性変形しながら、エアバッグ装置20を伴って振動する。この際、弾性部材41では、バッグホルダ21及びダンパホルダ42の動きが外筒部41dを介して連結部41eに伝達、又はピンホルダ32の動きが内筒部41cを介して連結部41eに伝達される。この伝達により、連結部41eが弾性変形することで、弾性部材41がダイナミックダンパのばねとして機能する。
【0129】
ここで、連結部41eが、内筒部41cと外筒部41dとの間において、前後方向についての中間部に位置しているため、バッグホルダ21及びダンパホルダ42の動きが外筒部41dを介して連結部41eに伝達されやすく、又はピンホルダ32の動きが内筒部41cを介して連結部41eに伝達されやすい。連結部41eは、内筒部41cと外筒部41dとが互いに略平行となるように、径方向に圧縮されることで弾性変形する。
【0130】
従って、第3実施形態によれば、上記(1)〜(5)と同様の効果が得られるほか、次の効果が得られる。
(6)弾性部材41として、ピンホルダ32の筒状部32aの外側に装着される内筒部41cと、内筒部41cを取り囲む外筒部41dと、内筒部41cの前後方向についての中間部を外筒部41dの前後方向についての中間部に連結し、かつ前後方向に対し直交する連結部41eとを備えるものを用いている。
【0131】
そのため、連結部41eを径方向へ圧縮させることで、連結部41eを弾性変形しやすくできる。連結部41eの厚み等をチューニングすることで、ダイナミックダンパを、狙いとする制振の方向へ、狙いとする制振の周波数で、振動させることが可能となる。
【0132】
(第4実施形態)
次に、ステアリングホイールの制振構造の第4実施形態について、図16を参照して説明する。
【0133】
第4実施形態は、弾性部材41における円環状の連結部41eが前後方向に対し傾斜している、すなわちテーパ状をなしている点で、前後方向に直交している第3実施形態と異なっている。第4実施形態では、連結部41eは、前側ほど縮径するテーパ状をなしている。連結部41eの後端部は、外筒部41dに接続され、同連結部41eの前端部は、上記後端部の外筒部41dとの連結箇所よりも前方で内筒部41cに接続されている。
【0134】
上記以外の構成は第3実施形態と同様である。そのため、第3実施形態で説明したものと同様の要素には同一の符号を付し、重複する説明を省略する。
上記のように構成された第4実施形態の制振構造では、ステアリングホイール10の振動に伴い弾性部材41が弾性変形する際、連結部41eが径方向に圧縮されることで弾性変形する。この点は、第3実施形態と同様である。そのほかにも、第4実施形態では、連結部41eが、前後方向に対する傾斜角を変えるように曲げられることで弾性変形する。この弾性変形に伴い連結部41eが生ずる反発力は、連結部41eが単に径方向へ圧縮されて弾性変形する場合よりも小さくなり、連結部41eがより弾性変形しやすくなる。
【0135】
従って、第4実施形態によれば、上記(1)〜(6)と同様の効果が得られるほか、次の効果が得られる。
(7)弾性部材41の連結部41eを前後方向に対し傾斜させている。
【0136】
そのため、連結部41eを径方向に圧縮させるとともに曲げることで、連結部41eをより一層弾性変形しやすくできる。連結部41eの厚み等をチューニングすることで、狙いとする制振の周波数をより低く設定することが可能となる。
【0137】
なお、上記各実施形態は、これを以下のように変更した変形例として実施することもできる。
<バッグホルダ21について>
・取付部21fは、前後方向に対し直交するものに限らず、傾斜するものであってもよい。
【0138】
・挟持部21iは、取付孔21gの周辺部であることを条件に上記実施形態とは異なる箇所に設けられてもよい。
・挟持部21iは、取付孔21gの周辺部の3箇所以上の複数箇所に設けられてもよい。
【0139】
・挟持部21iは、取付部21fとは別部材によって構成されてもよい。
<支持部材について>
・スナップピン31に代えて、次の条件を満たすものが支持部材とされてもよい。
【0140】
条件1:貫通孔12cに挿通されて、クリップ13によって芯金12に係止されること。
条件2:バッグホルダ21に挿通されることにより、同バッグホルダ21を芯金12に対し前後方向への移動可能に支持すること。
【0141】
条件3:バッグホルダ21よりも後側に、付勢部材(コイルばね36)による後ろ向きの付勢力を受ける受圧部(鍔部31a)を有すること。
条件4:導電性を有する金属によって形成されていて、自身の後端面(鍔部31a)が固定側接点部として機能すること。
【0142】
・鍔部31aは、スナップピン31(支持部材)においてバッグホルダ21の取付孔21gよりも後方となる箇所であることを条件に、後端部とは異なる箇所に設けられてもよい。
【0143】
<ピンホルダ32(スライダ)について>
・拡径部32bは、ピンホルダ32(スライダ)の外周であって後端部とは異なる箇所に設けられてもよい。
【0144】
・第1実施形態において、第2〜第4実施形態と同様に、筒状部32aに凹部32dが形成され、弾性部材41がこの凹部32dに装着されてもよい。
・第2〜第4実施形態において、第1実施形態と同様に、筒状部32aの凹部32dが省略されてもよい。
【0145】
<弾性部材41について>
・第1実施形態における弾性部材41として、下記図17(A)〜(E)に示すものが用いられてもよい。
【0146】
図17(A)は、溝部41bが形成されていない弾性部材41を示している。
図17(B)は、それぞれ前後方向に貫通し、かつ周方向に延びる長孔43が、互いに周方向に離れた複数箇所に形成された弾性部材41を示している。
【0147】
図17(C)は、それぞれ前後方向に貫通する丸孔44が、互いに周方向に離れた複数箇所に形成された弾性部材41を示している。
図17(D)は、外周面において開口する環状溝45が全周にわたって形成された弾性部材41を示している。
【0148】
図17(E)は、内周面において開口する環状溝46が全周にわたって形成された弾性部材41を示している。
上述した各種弾性部材41については、制振について要求される特性に応じて適宜選択されて使用されることが好ましい。
【0149】
・第1実施形態において、溝部41bは、弾性部材41の前面に代えて後面において開口するものであってもよい。
・溝部41bの断面形状が第1実施形態とは異なる断面形状に変更されてもよい。
【0150】
・第1実施形態における弾性部材41の径方向についての厚みが充分に大きい場合には、溝部41bは弾性部材41の径方向についての複数箇所に設けられてもよい。
・上記図17(A)〜(E)の弾性部材41の内周部分が前方へ延長され、取付孔21g内に入り込ませられてもよい。このようにすると、第2実施形態における上記(4)と同様の効果が得られる。
【0151】
・第3及び第4実施形態においては、連結部41eが円環状をなしていてもよいが、複数の連結部41eが、全体として円環状をなすように、周方向に互いに離間した複数箇所に配置されてもよい。この場合にも、複数の連結部41eは、内筒部41c及び外筒部41dの前後方向についての中間部に配置される。
【0152】
・第4実施形態における弾性部材41として、内筒部41cと外筒部41dとが前側ほど拡径するテーパ状の連結部41eによって連結されたものが用いられてもよい。この場合にも上記(7)と同様の効果が得られる。
【0153】
・第2〜第4実施形態において、内筒部41cの前端面は、取付孔21gの内壁面の筒状部32aとの接触を抑制する点では、取付部21fの前面と同一面状又は同前面よりも前方に位置することが望ましいが、取付孔21g内に入り込んでいることを条件に上記取付部21fの前面よりも僅かに後方に位置してもよい。
【0154】
・第2〜第4実施形態において、連結部41eは外筒部41dの長さ方向についての中央部に位置することが望ましいが、同方向について中央部を含む一定の領域内に位置してもよい。
【0155】
<その他>
・上記制振構造は、車両以外の乗物、例えば、航空機、船舶等における操舵装置のステアリングホイールに適用することもできる。
【符号の説明】
【0156】
10…ステアリングホイール、12…芯金(固定部材)、14…ステアリングシャフト、20…エアバッグ装置、21…バッグホルダ、21f…取付部、21g…取付孔、21i…挟持部、30…ホーンスイッチ機構、31…スナップピン(支持部材)、31a…鍔部、32…ピンホルダ(スライダ)、32a…筒状部、32b…拡径部、40…ホーン装置、41…弾性部材、41c…内筒部、41d…外筒部、41e…連結部、42…ダンパホルダ。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18