【解決手段】噴射容器11および噴射ノズル12を収容する噴射器本体16と、その噴射器本体16の上部に回動自在に取り付けられ、噴射容器11を噴射操作する操作レバー17と、操作レバー17を操作不能にする噴射ロック位置と操作可能にする噴射アンロック位置との間を移動する切替部材18とを備えた噴射装置15。噴射装置15には、切替部材18を噴射アンロック位置に保持し、操作レバーを操作することによりその保持が解除される保持機構19と、操作レバー17の操作後、噴射アンロック位置にある切替部材18をその自重により噴射ロック位置へと移動させる再ロック機構20とが設けられている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1の噴射装置は誤って噴射しないようにストッパを備えているが、ストッパを外すとストッパを元に戻さない限り噴射できる状態が維持される。そのため、ストッパを戻し忘れると、エアゾール容器は繰り返し噴射操作ができる。
特許文献2の倒立用エアゾール製品は、エアゾール容器が正立状態である限り、再度ロック状態となるが、倒立状態のままでは、繰り返し噴射することができる。そのため、過剰の使用を防止したり、子供が誤って使用することを防止できない。
本発明は、使用者が誤って過剰に使用したり、子供等による誤った使用を防止する噴射装置およびそれを用いた噴射製品を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の噴射装置は、内容物が充填された噴射容器を収容する噴射器本体と、前記噴射器本体に取り付けられ、噴射容器を噴射操作する操作レバーと、操作レバーを操作不能にする噴射ロック位置と操作可能にする噴射アンロック位置との間を移動する切替部材とを備えており、前記操作レバーの操作後、前記切替部材を噴射アンロック位置から噴射ロック位置へと移動させる再ロック機構が設けられていることを特徴としている。
このような噴射装置であって、切替部材が操作レバーに保持されており、操作レバーが、噴射ロック位置と噴射アンロック位置とを繋ぐ通路を有しているものが好ましい。
【0006】
本発明の噴射装置であって、前記切替部材を噴射アンロック位置で保持し、操作レバーを操作することによりその保持が解除される保持機構を有しているものが好ましい。
本発明の噴射装置の再ロック機構としては、操作レバーの操作後、前記切替部材を噴射ロック位置に向かって付勢する弾性力によって移動させるもの、操作レバーの操作後、前記切替部材を自重により移動させるものが挙げられる。
【0007】
本発明の噴射装置であって、通路が操作レバーの操作方向に対して垂直に延びる縦溝と、その縦溝の上端に設けられ、操作レバーの操作方向に延びる横溝とからなり、前記縦溝内が噴射ロック位置であり、前記横溝内が噴射アンロック位置であり、前記切替部材が、操作レバーを操作したとき、操作レバーの動きとともに横溝内を縦溝の上端まで移動され、操作レバーの操作後に、その自重により縦溝の上端から落下するものが好ましい。
【0008】
本発明の噴射製品は、本発明の噴射装置と、その噴射装置に収容される噴射容器とを備えていることを特徴としている。
本発明の噴射製品であって、前記噴射容器が定量噴射機構を有しているものが好ましい。
【発明の効果】
【0009】
本発明の噴射容器を操作するための噴射装置は、内容物が充填された噴射容器を収容する噴射器本体と、前記噴射器本体に取り付けられ、噴射容器を噴射操作する操作レバーと、操作レバーを操作不能にする噴射ロック位置と操作可能にする噴射アンロック位置との間を移動する切替部材とを備えており、前記操作レバーの操作後、前記切替部材を噴射アンロック位置から噴射ロック位置へと移動させる再ロック機構が設けられているため、噴射装置は常時操作不能状態で維持される。そのため、噴射装置を作動させるためには、切替部材の操作(噴射ロック位置から噴射アンロック位置への切替操作)と操作レバーの操作との2つの操作が必要となり、子供等が誤って操作することができない。特に、濃縮した内容物を充填した噴射容器を操作するのに好ましく、内容物を効率的に噴射させることができる。
【0010】
本発明の噴射装置であって、前記切替部材が操作レバーに保持されており、前記操作レバーが噴射ロック位置と噴射アンロック位置とを繋ぐ通路を有している場合、例えば、噴射装置を把持し、通路に応じて傾けることで切替部材を操作レバーの通路に沿って移動させることができ、噴射アンロック状態への切替操作が煩雑になり過ぎない。また噴射装置を把持したまま操作レバーを操作することができ、切替操作と噴射操作とを連続的に行うことができる。
【0011】
本発明の噴射装置であって、前記切替部材を噴射アンロック位置で保持し、操作レバーを操作することによりその保持が解除される保持機構が設けられている場合、使用者は、切替部材を噴射アンロック位置に移動させた(切替部材の操作)後、操作レバーの操作および噴射に専念することができる。そのため、例えば、内容物を間違った対象物に噴射する等の誤った操作を防止できる。そして、操作レバーの操作により切替部材の保持が解除されるため、その後、切替部材は再ロック機構によりスムーズに噴射ロック位置に移動する。なお、操作レバーを操作することにより、切替部材を操作レバーの動きとともに移動させて、切替部材の保持を解除させる場合、操作レバーの操作において、切替部材の解除の影響が小さい。
【0012】
本発明の噴射装置であって、再ロック機構が、操作レバーの操作後、前記切替部材を噴射ロック位置に向かって付勢する弾性力によって移動させる場合、簡単な構造とすることができ、切替部材を確実に噴射ロック位置に戻すことができる。この場合、切替部材の操作は、弾性力に抗して切替部材を噴射アンロック位置に移動させることになる。また、噴射アンロック位置にある切替部材を前述する保持機構あるいは指で保持しながら、操作レバーを操作する必要がある。
本発明の噴射装置であって、再ロック機構が、操作レバーの操作後、前記切替部材を自重により移動させる場合、簡単な構造とすることができ、切替部材を確実に噴射ロック位置に戻すことができる。この場合も、噴射アンロック位置にある切替部材を後述する保持
機構あるいは指で保持しながら、操作レバーを操作する必要がある。
【0013】
本発明の噴射装置であって、前記通路が操作レバーの操作方向に対して垂直に延びる縦溝と、その縦溝の上端に設けられ、操作レバーの操作方向に延びる横溝とからなり、前記縦溝内が噴射ロック位置であり、前記横溝内が噴射アンロック位置であり、前記切替部材が、操作レバーを操作したとき、操作レバーの動きとともに横溝内を縦溝の上端まで移動され、操作レバーの操作後、その自重により縦溝の上端から落下する場合、操作レバーを操作することにより、切替部材は、操作レバーと噴射器本体との間に挟まれて横溝内を移動し、そして、操作レバーの操作後は、自動的に切替部材が縦溝内を落下して噴射ロック位置に戻る。
【0014】
本発明の噴射製品は、本発明の噴射装置と、その噴射装置に収容される噴射容器とを備えているため、噴射装置を子供等が使用できない安全な状態(操作不能状態)で保管できる。
本発明の噴射製品であって、噴射容器が定量噴射機構を有している場合、一回の操作で噴射できる量を定めることができるため、濃縮した内容物であっても効率的に噴射させることができる。
【発明を実施するための形態】
【0016】
図1の噴射製品10は、上端のステムSを下降させて作動させる噴射容器(エアゾール容器)11と、その噴射容器11のステムSに取り付けられた噴射ノズル12と、噴射容器11を上下動自在に収容し、噴射ノズル12を固定して収容する噴射装置15とを備えている。
【0017】
初めに噴射容器11の説明を行う。この噴射容器11は、ステムSを備えた吐出容器である(
図1b参照)。詳しくは、耐圧容器11aと、その上端開口部に取り付けられたエアゾールバルブ11bと、耐圧容器11a内に充填されるエアゾール組成物とからなる。なお、エアゾール組成物は、原液とその原液を霧状や泡状に噴射するための噴射剤とからなる。噴射容器11は、エアゾールバルブ11bのステムSを下降させることによって、容器本体11a内と外部とが連通するものである。つまり、ステムSを下降させることにより、原液が噴射剤の圧力によってステムSから外部に供給される。なお、噴射容器11
に定量噴射機構を設けてもよい。この場合、1回の噴射操作での噴射量を設定することができるため、過剰な噴射を防止でき、内容物を効率良く噴射できる。ここでは噴射容器として、エアゾール容器を挙げているが、本発明の噴射装置に取り付けられる噴射容器は、ステムを押し下げることによって内容物を噴射するポンプ式の噴射容器であってもよい。
噴射容器11内には、たとえば消臭剤、芳香剤、殺虫剤、防虫剤、殺菌剤などの空間用原液、制汗剤、収斂剤、日焼け止め、消炎鎮痛剤、鎮痒剤、害虫忌避剤、スタイリング剤、トリートメント剤などの人体用原液などを、液化石油ガス、ジメチルエーテル、ハイドロフルオロオレフィンおよびこれらの混合物などの液化ガス、窒素、亜酸化窒素、炭酸ガス、圧縮空気およびこれらの混合物などの圧縮ガス、液化ガスと圧縮ガスの混合物などの噴射剤と共に充填するのが好ましい。
【0018】
噴射ノズル12は、L字型の筒体であり、前方に開口(噴射孔12a)している。噴射ノズル12は、原液の噴射方向や拡がりを決定する。噴射ノズル12の形状および噴射孔12aの向きは、想定される使用によって適宜選択することができ、特に限定されるものではない。
【0019】
次に本発明の噴射装置について説明をする。
噴射装置15は、噴射容器11および噴射ノズル12を収容する噴射器本体16と、その噴射器本体16の上部に回動自在に取り付けられ、噴射容器11を噴射操作する操作レバー17と、操作レバー17を操作不能にする噴射ロック位置(
図1b)と操作可能にする噴射アンロック位置(
図1c)との間を移動する切替部材18とを備えている。また、噴射装置15には、切替部材18を噴射アンロック位置に保持し、操作レバーを操作することによりその保持が解除される保持機構19と、操作レバー17の操作後、噴射アンロック位置にある切替部材18をその自重により噴射ロック位置へと移動させる再ロック機構20とが設けられている。
【0020】
噴射器本体16は、
図2に示すように、噴射容器11を上下動自在に収容する収容部21と、その収容部の上方に連続して設けられ、噴射ノズル12を固定する噴射部22とを備えている。噴射器本体16の前面には、収容部21から噴射部22にかけて上下に延びる縦長の開口部16aが形成されている。この開口部16aに操作レバー17が挿入される。開口部16a(開口部16aの縁部)は、下方に向かって前方に突出するように傾いている。
【0021】
収容部21の外形は、断面形状が上方に向かって縮小するように山型となっている。そして、収容部21の上端から噴射部22へと断面形状が拡大するように連続している。つまり、収容部21と噴射部22との境界は、くびれ部16bとなっている。
また、収容部21の下端は、噴射容器11を交換できるように設けられた下端開口縁部21aと、その下端開口縁部を閉じる開閉自在の底蓋21bとなっている。この実施形態では、スライド開閉式の底蓋21bが採用されている。しかし、ヒンジ式、分離式なと、他の形態の底蓋であってもよい。なお、底蓋21bの前方には、操作レバー17の操作角度を規制するために、上方に突出した係合突起21cが形成されている。また、底蓋21bは開口縁部21aを閉じたときに、開口縁部21aの縁部と弾力的に係止するように構成されている。この実施形態では、収容部21の開口縁部21aに形成された係止溝21dに底蓋21bの先端(後方)の係止舌片21eがクリップ嵌合するように構成されてい
る。
【0022】
一方、収容部21の内面には、噴射容器11が収容部21内で上下に真っ直ぐ移動できるように、ガイド部23が形成されている。詳しくは、ガイド部23は、上下方向に形成されたガイド壁23aと、半径方向内側に延びる複数のガイドリブ23bとからなる。これにより収容部21内には、円筒状の収容空間が形成される。
そして、収容部21の内面の上端近辺ないし噴射部22の下端近辺には、操作レバー17を回動自在に支持する支持部24が形成されている。
【0023】
噴射部22は、噴射ノズル12を固定するノズル固定部22aが形成されており、前方22b(噴射ノズル12の噴射孔12aに相当する位置)が開口している。ノズル固定部22aは、噴射ノズル12を挟むようにL字状に配置された複数の保持突起からなる。
【0024】
このように構成された噴射器本体16は、噴射容器11を、噴射ノズル12を介してステムSで固定し、収容部21内に吊るようにして収容する(
図1b、参照)。そのため、耐圧容器11aを噴射器本体16に対して上昇させることにより、ステムSをエアゾールバルブ11bに対して下降させ、エアゾールバルブ11bを開くことができる(
図4a、参照)。
このような噴射器本体16は、ポリアセタール、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート等の合成樹脂などで形成されている。この実施形態では、射出成形などで成形された左半体と右半体とを合わせて一体とする左右2つ割りの構成となっている。
図1、2の噴射器本体16では、2つ割の当接面にハッチングを入れている。
【0025】
操作レバー17は、
図3に示すように、縦長の本体26と、その本体の上端から後方に向かって突出する脱離爪27と、下端から後方に向かって突出する加圧片28とを備えている。また操作レバー17の上端近辺であって、脱離爪27より若干下側に支持部24によって回動自在に支持する支持軸29が形成されている。
【0026】
本体26には、左右方向(
図3の表裏方向)に貫通した通路溝31が形成されている。この通路溝31は、切替部材18の移動を案内するものである。通路溝31は、上下方向に延びる縦溝31aと、その上端から後方に延びる横溝31bとからなる。縦溝31aは、傾斜した噴射器本体16の開口部16aと角度を有するように形成されている。なお、開口部16aを鉛直方向にし、縦溝31aを鉛直方向に対して傾斜させてもよい。縦溝31aは、鉛直方向のベクトルを有しており、切替部材18を上端から下端へ落下させることができればよい。一方、横溝31bは水平方向に設けるのが好ましい。そして、横溝31bは、操作レバー17の操作方向と平行のベクトルを有するように設けられている。
脱離爪27は、底蓋21bを取り外し、収容部21の下端開口を開けた状態で、操作レバー17の下端を前方側に引くことにより、噴射ノズル12からステムSを引き抜き、噴射容器11を噴射器本体16から脱離させ、噴射器本体16の下端開口から脱離させるものである(
図4b、参照)。なお、噴射容器11を交換式にせず、噴射装置15を再利用しない場合は、脱離片27は省略してもよい。
図3に戻って、加圧片28の上面は、後方に向かって薄くなるように傾斜面28aとなっている。加圧片28の先端近辺の下面には、底蓋の係止突起21cと係合する突起28bが設けられている(
図1b、参照)。これにより、使用しない状態(例えば、搬送時)において、操作レバー17が噴射本体16から必要以上前方に突出しないように回動角度が規制されている。加圧片28の傾斜面28aは、操作レバー17を操作する(下端を後方側に回動させる)とき、噴射容器11の底部を上方に押圧する部位である(
図4a、参照)。これにより噴射容器11の耐圧容器11aは、ガイド部23の内面に案内されて噴射器本体16(収容部21)に対して上昇する。
このような操作レバー17も、ポリアセタール、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート等の合成樹脂などで形成されている。
【0027】
このように構成された操作レバー17は、
図1bのように、噴射容器11を収容した通常の状態では、上端近辺と下端近辺が開口部16aから収容部21内に収容され、本体26の大部分が前述の縦長の開口部16aから外部に突出している。そして、使用者は、
図4aに示すように、噴射器本体11のくびれ部16bを握り、指先でトリガーを引くよう
にして操作レバー17を操作する。操作レバー17の本体26の前面側は、指で握りやすいように、いくらか凹面状に湾曲している。操作レバー17を突出させる方向(下端を前方側に回動する方向)に付勢するバネなどの付勢部材を設けるようにしてもよい。
この操作レバー17を操作することにより、突出していた本体26の一部が開口部16aに引っ込む。
【0028】
なお、操作レバー17の本体26に設けられた横溝31bは、操作レバー17を操作する前(
図1b、cの状態)は、開口部16aより外側(前方)に位置し、操作レバー17を操作したとき(
図4aの状態)、横溝31bの後端が開口部16aより内側(後方)に位置し、横溝31bの前端が開口部16aより外側(前方)に位置するように設けられている。一方、縦溝31aは、縦溝31aの下端が、操作レバーを操作する前(
図1b、cの状態)は、開口部16aと隣接する位置にあり、操作レバーを操作したとき(
図4aの状態)、開口部16aより内側(後方)の位置になるように設けられている。
【0029】
切替部材18は、
図1aに示すように、両端に拡径した拡径部18aが設けられたロックピンであり、操作レバー17の通路溝31に挿入される。拡径部18aは、通路溝31の外側に配置される。
図1bに示すように、切替部材18を縦溝31aの下端に位置させたとき、切替部材18の拡径部18aは開口部16aの縁部と当接する。そのため、操作レバー17を後方に向かって操作しても、操作レバー17を回動させることができない。つまり、噴射装置15は操作不能状態となる。一方、
図1cに示すように、切替部材18を横溝31bの位置にさせたとき、操作レバー17を後方に向かって回動させても、切替部材18は横溝31bに沿って前後方向に動くことができるため、操作レバー17は操作可能となる。
つまり、切替部材18を、縦溝31aの下端(噴射ロック位置)と横溝31b内との間で移動させることにより、操作不能状態と操作可能状態の切り替え操作ができる。
【0030】
次に保持機構19および再ロック機構20についての説明をする。
保持機構19は、再ロック機構20に抗うように切替部材18を支持する機構である。つまり、前述したように切替部材18を横溝31b内に移動させることにより、切替部材18は横溝31bの底によって支持され、切替部材18は横溝31b内で保持される。
一方、
図4aに示すように、切替部材18を噴射アンロック位置(横溝31b内)に配置させた状態で操作レバー17を操作することにより、切替部材18の拡径部18aが開口部16aの縁部によって前方に押され、切替部材18は操作レバー17の回動と共に横溝31b内を前方に移動する。そして、操作レバー17の操作が完了するときには横溝31bの前端近辺(再ロック機構20が作動する位置)にまで移動する。つまり、操作レバー17の操作の間、切替部材18は横溝31bを移動し、噴射可能状態が継続される。そして、縦溝31aの上端近辺(横溝31bの前端近辺)で横溝31bによる支持が無くなり、つまり、切替部材18の保持が解除される。
なお、切替部材18は、縦溝31aの上端近辺に移動して、直ちに縦溝31aを落下しない。操作レバー17を押し込んだ状態では、縦溝31aに対して傾斜した開口部16aの縁部が切替部材18を支持する。
操作レバー17の操作を完了させ、操作レバー17が元の位置に戻ると、切替部材18と開口部16aの縁部とが離れ、切替部材18は自重で縦溝31aを落ちる。これにより、切替部材18は噴射ロック位置(縦溝31aの下端)に戻る。
つまり、保持機構19は横溝31bから構成され、再ロック機構20は操作レバー17の縦溝31aから構成される。
【0031】
このように構成されている噴射製品10は、通常、切替部材18は噴射ロック位置(縦溝31aの下端、
図1b)にあり、噴射不能状態を呈している。この状態で、使用者が、切替部材18を噴射ロック位置から噴射アンロック位置(横溝31b内、
図1c)へと移
動させることにより(例えば、噴射器本体を傾けたり、上下に振ったり、切替部材18を摘むなど)、噴射可能状態となる。つまり、噴射製品10は、噴射を行う度に、噴射操作の前に切替部材18の操作を行わなければ、内容物を噴射することができない。そのため、子供等による誤った使用を防止できる。特に、内容物として人体に影響を及ぼす恐れのある原液を用いている場合に好適である。なお、切替部材18は、操作レバー17に保持されているため、大人であればその操作が簡単であり、操作レバー17および切替部材18の連続操作が煩雑になり過ぎない。また、前述したように、切替部材18を噴射アンロック位置に移動させた操作レバー17を操作することにより、切替部材18は噴射ロック位置に戻るため、操作後に切替部材18を操作する必要がなく、安全性が高い。
【0032】
図5aの噴射製品40は、保持機構と再ロック機構とを有する他の形態である。
噴射製品40は、ステムSを有する噴射容器(エアゾール容器)11と、その噴射容器11を上下動しないように収容する噴射装置45とを備えている。噴射容器11は、
図1の噴射容器11と実質的に同じものである。この噴射製品40は、テーブルや棚などに載置した状態で使用するものである。
【0033】
噴射装置45は、噴射容器11を収容する噴射器本体46と、噴射器本体46に回動自在に取り付けられ、噴射容器11のステムに取り付けられた操作レバー47と、操作レバー47を操作不能にする噴射ロック位置(
図5a)と操作可能にする噴射アンロック位置(
図5c)との間を移動する切替部材48とを備えている。また、噴射装置40には、切替部材48をアンロック位置に保持し、操作レバーを操作することによってその保持が解除される保持機構49と、操作レバー47の操作後、切替部材48を噴射アンロック位置から噴射ロック位置へと移動させる再ロック機構50とが設けられている。
【0034】
噴射器本体46は、噴射容器11を収容する収容部51と、その収容部51の上方に隔壁51aを介して連続して設けられ、上方が開放された筒状の噴射部52とを備えている。
【0035】
収容部51の隔壁51aには、ステムSを通す連通孔51bが形成されている。さらに、収容部51の側面には、内部の噴射容器11が視認できるように縦長のスリット51cが形成されている。収容部51の下端には、その開口を閉じる開閉自在の底蓋51dが設けられている。
【0036】
噴射部52は、前方に操作レバー47を支持する支持部52aを備えている。また後方の壁には、切替部材48と当接して操作レバーの押し下げを阻止する係止部52bが形成されている。係止部52bは他の部位に対して凹んでいる。
【0037】
操作レバー47は、下端にステムSが装着され、上端に噴射孔56aが設けられた円筒状の噴射筒56と、その前方に突出して設けられ、先端が支持部52aと回動自在に取り付けられる回動部57と、その後方に突出して設けられた操作部58とからなる。つまり、この操作レバー47は、噴射ノズルと操作レバーとが一体に構成されたものである。
操作部58の先端(後端)に、切替部材48が前後移動自在に取り付けられている。操作部58には、
図5bに示すように、先端(後端)から基端方向(前方向)に向かって形成された摺動孔58aが形成されている。摺動孔58aの開口端(後端)には、開口部を狭めるように内側に向けて突出し、切替部材48の抜け落ちを防止する係止突起58bが形成されている。この摺動孔58aは、切替部材48の通路となる。
操作レバー47は、操作部58を支持部52aを中心に下方に回動させて操作する。これにより、噴射容器11が上下動しないため、噴射筒56に取り付けられたステムSが下降し、噴射容器11が開放される。なお、操作レバーの操作力を弱めると、エアゾールバルブ11bのスプリングでステムSが上昇し、噴射が止まる。なお、噴射容器11を廃棄
する場合、操作レバー47を引き上げることにより、噴射容器11の上端が隔壁51aに引っかかるため、ステムSを操作レバー47から引き抜くことができ、噴射容器11を収容部51の下端から取り出すことができる。
【0038】
切替部材48は、溝58aに挿入される軸部48aと、その基端(後端)に設けられる摘み部48bとからなる。なお、軸部48aの先端には摺動孔58aの内面を摺動し、摺動孔58aの開口から脱離しないように左右方向に突出した摺動突起48cが形成されている(
図5b参照)。
このように構成された切替部材48は、操作部58の溝部58a内を前後に移動することができる。そして、溝部58aに対して後方(
図5の右側)に移動させることにより、操作部58の前後方向の長さが実質的に長くなる。それにより、切替部材48の摘み部48bが、噴射部52の係止部52bと当接し、操作レバー47の操作部58の下方への移動を妨げる。一方、
図5bのように、切替部材48を、溝部58a内に押し込むことにより、摘み部48bが係止部52bから離れ、操作レバー47の下方への移動が可能となる。つまり、操作部58の溝部58aの前方側が噴射アンロック位置となり、操作部58の溝部58bの後方側が噴射ロック位置となる。
【0039】
次に保持機構49および再ロック機構50について説明をする。
初めに、前述したように切替部材48を溝58a内に押し込むことにより、切替部材48は溝58aの底により支持され、噴射アンロック位置に保持される(
図5c)。
ついで、
図5dに示すように、切替部材48を保持した操作レバーを操作する。このとき、操作レバー47は操作部58が下となるように傾き、溝58aも傾く。つまり、操作レバー47が傾いて溝58aが傾くことにより、切替部材48の溝58aの底による支持が解除される(保持機構49)。これにより、切替部材48は摘み部48bの自重で後端側に移動する。操作レバーの操作を止めると操作レバーはエアゾールバルブ11bのスプリングの弾性力によって元の位置に戻り、切替部材は噴射ロック位置に戻る(再ロック機構50)(
図5a、参照)。
【0040】
このように構成されている噴射製品40は、通常、切替部材48は噴射ロック位置にあり、噴射不能状態を呈している。この状態で、使用者が、切替部材48を操作部58内に押し込むことにより、噴射可能状態となる。つまり、噴射製品40は、内容物の噴射を行う度に、噴射操作だけでなく、切替部材48の操作を行わないと、噴射製品40から内容物を噴射させることができない。そのため、
図1の噴射製品10と同様に、子供等による誤った使用することを防止できる。さらに、
図1の噴射製品10と同様に、切替部材48は操作レバー47に保持されているため、大人であれば簡単にでき、煩雑になり過ぎない。そして、操作レバー47を操作することにより、切替部材48は噴射ロック位置に戻るため、切替部材の操作し忘れによる噴射アンロック状態となることがない。
【0041】
図6aの噴射製品60は、保持機構と、再ロック機構とを備え、再ロック機構が弾性力を利用した形態である。詳しくは、操作レバー47の操作部58の先端と切替部材48の摘み部48bの間に切替部材48を常時後側に付勢するバネ61が設けられている。また、操作部58の溝58a内に噴射アンロック位置にある切替部材48の摺動突起48cと係合する係止突起62が形成されており、操作レバー47を操作したとき切替部材48の摘み部48bと当接する解除片63が設けられている。つまり、切替部材48を噴射アンロック位置で保持する係止突起62が保持機構である。そして、切替部材48を噴射ロック位置方向に付勢するバネが再ロック機構である。他の構成は、
図5a〜cの噴射製品40と実質的に同じである。
【0042】
このように構成されているため、切替部材48を操作部58の溝部58a内に押し込むことにより、係止突起62と切替部材48の摺動突起48cとが係合し、バネ61に抗っ
て切替部材48は噴射アンロック位置で保持される(
図6b参照)。一方、操作レバー47を操作することにより、係止突起62と切替部材48の摺動突起48cとの係合が解除されるように、切替部材48の摘み部48bが解除片63と当接する(
図6c参照)。ここでは、操作レバー47の軸部48aが溝58aに対して角度が形成されるように傾き、係止突起62が切替部材48の摺動突起48cとの係合が外れるように構成されている。これにより、バネ61の付勢力によって切替部材48が噴射ロック位置まで押し戻される。つまり、再ロック機構は、切替部材48と、操作レバー47の溝58aと、その間に設けられたバネ61とから構成され、操作レバーを操作後、バネによって切替部材48が噴射ロック位置に移動するものである。
この噴射製品60も、内容物を噴射させる度に、噴射レバー47の噴射操作と、切替部材48の切替操作を行わなければならないため、子供による誤った使用を防止する。
【0043】
図7aの噴射製品60aは、保持機構を備えていない形態である。詳しくは、
図6の噴射製品60であって、係止突起62と解除片63の保持機構49を省略したものである。この場合、保持機構を備えていないため、切替部材48を噴射アンロック位置に保持したまま噴射操作を行わなければならないため、内容物を噴射させるための操作がより煩雑となる。しかし、内容物を噴射させるためには切替部材48の操作と操作レバー47の操作が必要であるため、
図6の噴射製品60と同様に、子供による誤った使用を防止する。
【0044】
図7bの噴射製品10aは、保持機構を備えていない他の形態である。詳しくは、
図1の噴射製品10であって、横溝31bの保持機構19を省略したものである。この場合、保持機構を備えていないため、切替部材18の両端を摘まみ噴射アンロック位置に保持したまま噴射操作を行わなければならない。しかし、噴射には切替部材18の操作と操作レバー17の操作の2つの操作が必要であるため、
図1の噴射製品10と同様に、子供による誤った使用を防止する。