特開2015-231886(P2015-231886A)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2015.5.11 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2015-231886(P2015-231886A)
(43)【公開日】2015年12月24日
(54)【発明の名称】流体積荷返送設備および返送方法
(51)【国際特許分類】
   B65G 67/06 20060101AFI20151201BHJP
【FI】
   B65G67/06
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
【全頁数】12
(21)【出願番号】特願2014-118881(P2014-118881)
(22)【出願日】2014年6月9日
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.ジェットパック
(71)【出願人】
【識別番号】000006655
【氏名又は名称】新日鐵住金株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100129838
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 典輝
(74)【代理人】
【識別番号】100101203
【弁理士】
【氏名又は名称】山下 昭彦
(74)【代理人】
【識別番号】100104499
【弁理士】
【氏名又は名称】岸本 達人
(72)【発明者】
【氏名】宮脇 直也
(72)【発明者】
【氏名】樋野 一政
【テーマコード(参考)】
3F076
【Fターム(参考)】
3F076AA08
3F076BA10
3F076CA01
3F076CA07
3F076CA10
3F076DB17
3F076FA01
3F076FA07
3F076GA01
(57)【要約】
【課題】低コストで陸送効率を向上させることが可能な、流体積荷返送設備および返送方法を提供する。
【解決手段】流体を貯める貯槽部と、該貯槽部に接続された、流体を収容可能な収容部と、該収容部に収容された流体および/または流体を収容した収容部の重量を計測可能な重量計とを有し、流体を陸送する車両へと接続可能な配管が収容部に接続され、加圧気体を用いて車両から放出される流体の出口と上記配管の一端とが接続され、重量計の計測結果を外部から視認可能である流体積荷返送設備とし、該設備から車両に流体を積み込み、流体を積み込んだ車両の重量を計測した後、車両が過積載であるか否かを判断し、過積載でないと判断された車両は陸送へ移行し、過積載と判断された車両は、該車両に備えられている流体の出口と上記配管の一端とを接続した後、加圧された気体を用いて、車両から収容部へ流体の一部が返送される、流体積荷返送方法とする。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
流体を貯める貯槽部と、
前記貯槽部に接続された、前記流体を収容可能な収容部と、
前記収容部に収容された前記流体、および/または、前記流体を収容した前記収容部の重量を計測可能な重量計と、を有し、
前記流体を陸送する車両へと接続可能な配管が、前記収容部に接続され、
前記車両に備えられている、加圧された気体を用いて前記車両から放出される流体の出口と、前記配管の一端とが接続され、
前記重量計による計測結果を外部から視認可能である、流体積荷返送設備。
【請求項2】
前記流体が石炭灰であり、該石炭灰の90質量%以上は粒径が0.1mm以下である、請求項1に記載の流体積荷返送設備。
【請求項3】
流体を貯める貯槽部と、該貯槽部に接続された、前記流体を収容可能な収容部と、該収容部に収容された前記流体および/または前記流体を収容した前記収容部の重量を計測可能であり且つ計測結果を外部から視認可能な重量計と、前記収容部に接続された、前記流体を陸送する車両へと接続可能な配管と、を有する設備から、前記車両に、前記流体を積み込む、積み込み工程と、
前記流体が積み込まれた前記車両の重量を計測する、車両重量計測工程と、
前記車両が過積載であるか否かを判断する判断工程と、を有し、
前記判断工程で過積載でないと判断された場合には、前記車両は陸送へと移行し、
前記判断工程で過積載と判断された場合に、前記車両に備えられている、加圧された気体を用いて前記車両から放出される流体の出口と、前記配管の一端とを接続した後、前記加圧された気体を用いて前記車両から前記収容部へ向けて前記流体の一部を返送する返送工程を有する、流体積荷返送方法。
【請求項4】
前記流体が石炭灰であり、該石炭灰の90質量%以上は粒径が0.1mm以下である、請求項3に記載の流体積荷返送方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、陸送用車両に積み込んだ流体(例えば、粉粒体やスラッジ等。以下において同じ。)の一部を積み下ろしすることが可能な流体積荷返送設備、および、陸送用の車両に積み込んだ流体の一部を積み下ろしする流体積荷返送方法に関する。
【背景技術】
【0002】
流体を輸送する方法は、船舶による海上輸送、および、車両による陸上輸送に大別される。輸送作業の効率化のためには、1回あたりの積載量を多くすることが有効だが、後者の陸上輸送(以下、「陸送」とも称する。)においては、陸送用車両に積荷を積み込んだ場所から、当該積荷を下す場所まで一般道路を通って運搬する場合、道路交通法等により、積載物の重量の上限(最大積載量)が定められている。最大積載量を超えて積載することは、過積載と称される違法行為(例えば、「過積載防止対策指針」東京都建設局、平成14年4月)であるため、積荷の重量を、最大積載量以下にする必要がある。
【0003】
過積載を防止するためには、積載物の重量を計測し、その重量を把握する必要がある。これまでは、トラックスケールのような車両全体の重量を計測する重量計や、車両に設置されている自重計等を用いて、重量を把握する方法が採られている。
【0004】
トラックスケールで計測する場合には、積荷を積み込む前後の重量を計測することにより、積載量を把握するため、積荷を積み込んでいる間に現在の積載量を把握することが困難である。それゆえ、過積載または積載量が少ない状態が発生する虞がある。過積載になった場合には、流体を積み下ろす必要があり、積載量が少ない場合には、陸送効率が低下する。すなわち、トラックスケールを用いる従来の計測では、一定量を積載して車両により陸送することが困難であった。
【0005】
上記課題に対して、特許文献1には、タンク内部の所定位置に設けた満量近くになった粉粒体を感知する警告感知センサと、粉粒体が満量になった時に感知する満量感知センサと、これら2つのセンサが搭載されたセンサ位置調製可能な保持金具と、警告および満量を表示するそれぞれのランプとブザーが搭載された表示ボックスと、センサと表示ボックス間の配線部によって構成されることを特徴とする、粉粒体運搬車における積載時の満量表示装置が開示されている。また、特許文献2には、車両の荷台と車輪との間に介装される積載重量計であって、この積載重量計が、荷台または車輪の一方に取り付けられる基体と、荷台または車輪の他方にあてがわれて基体に対して摺動可能に挿嵌される長手方向に目盛りが付された移動子と、からなる車載重量計が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】登録実用新案第3011650号公報
【特許文献2】特開平10−142037号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
特許文献1に記載の技術では、粉粒体の状態がほぼ一定であり、且つ、タンクが比較的小型である場合には所定の精度を有すると考えられるが、密度や体積が変化する灰のような粉粒体に代表される流体を積み込む場合は、流体の積込状況に応じてタンク内に形成される積載物の山の状態が異なるため、流体の正しい重量を計測できない虞がある。さらに、流体を積み込む際の流量が一定でない場合には、タンク内に積み込まれた流体の堆積形態が変動すると考えられるため、特許文献1に記載の技術では、流体の正しい重量を計測できない虞がある。また、特許文献1に記載の技術によって、過積載を防止するためには、センサ等の器具を、陸送を行う全車両に取り付ける必要がある。器具の取り付け作業には手間とコストがかかるため、特許文献1に記載の技術は、コストが嵩みやすい。特許文献2に記載の技術や自重計を用いて積荷の重量を計測する従来技術も、コスト面の問題を有している。
【0008】
特許文献1に記載の技術のほかに積載量を把握する技術としては、流体を積み込む場所の下部にトラックスケールを設置し、このトラックスケールを用いて積荷を積み込む前後の車両重量を計測することにより、積載量を把握することが考えられる。しかしながら、流体を積み込む場所が複数箇所である場合には、トラックスケールを複数箇所に設置する必要があるため、この技術では、コストが嵩みやすい。
【0009】
また、過積載の流体を積み下ろす方法としては、流体を積下ろすための吸引車等を手配することが考えられる。この方法は、陸送用車両の全車両に自重計等が設置されておらず、積載量を的確に把握することが困難な現状において、消極的ながら採用されている方法である。しかしながら、この方法も、吸引車を手配するための手間とコストを要するため、コストが嵩みやすい。また、コスト面を考慮して少量の流体を積み込んだ状態で搬送すると、陸送効率が低下しやすかった。
【0010】
そこで本発明は、低コストで陸送効率を向上させることが可能な、流体積荷返送設備および返送方法を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明者らは、鋭意検討の結果、流体を運ぶ陸送用車両に備えられている、加圧された気体(例えば、加圧された空気。以下において同じ。)を用いて流体を放出する機能に着目した(以下において、当該機能を「気流輸送機能」と称し、この機能によって陸送用車両から放出される流体の放出口を、「流体放出口」ということがある。)。過積載の陸送用車両に積み込まれた流体の一部を、気流輸送機能を用いてそのまま外部へ放出すると、流体放出口から放出された流体が周囲に飛び散る。これを防止しつつ流体を貯槽設備へ返送可能な形態にするため、本発明者らは、流体の貯槽設備に新たに配管を設けることにした。この配管を陸送用車両の流体放出口に接続した後に、陸送用車両の気流輸送機能を使用することにより、周囲への飛散を防止しつつ、流体を貯槽設備へ返送することが可能になる。さらに、貯槽設備へと返送された流体の重量を正確に把握できるようにするため、貯槽設備へと返送された流体の重量を、その表示内容を外部から確認可能な重量計を用いて把握することにした。これにより、適切な量の流体を低コストで返送することが可能になることを知見し、本発明を完成させた。以下、本発明について説明する。
【0012】
本発明の第1の態様は、流体を貯める貯槽部と、該貯槽部に接続された、流体を収容可能な収容部と、該収容部に収容された流体、および/または、流体を収容した収容部の重量を計測可能な重量計と、を有し、流体を陸送する車両へと接続可能な配管が、収容部に接続され、上記車両に備えられている、加圧された気体を用いて車両から放出される流体の出口(流体放出口)と、上記配管の一端とが接続され、上記重量計による計測結果を外部から視認可能である、流体積荷返送設備である。
【0013】
ここに、本発明の第1の態様および以下に示す本発明の他の態様において、「流体を陸送する車両」とは、加圧された気体と流体とを混ぜて、自車積載の流体を圧力で外に放出する機能を有する車両をいう。この車両は、例えば、ジェットパック車やバルク車とも称される。車両の流体放出口と収容部とを配管で接続して、車両に備えられている気流輸送機能を用いて流体の一部を車両から収容部へと返送することにより、流体の飛散を防止しつつ、余分な流体を収容部へ返送することができる。流体を収容部へ返送するための配管を、流体を収容する設備に設けることにより、重量を把握するための器具を各車両に搭載する形態と比較して、流体を低コストで返送することが可能になる。また、返送された流体の重量を重量計を用いて把握できるので、最大積載量を超えた分の流体のみを車両から収容部へと返送することができる。すなわち、このような形態にすることにより、適切な量の流体を低コストで返送することが可能である。また、過積載を防止しつつ積載量を最適化することが可能なので、陸送効率を高めることも可能になる。
【0014】
また、上記本発明の第1の態様において、流体が石炭灰であり、該石炭灰の90質量%以上は粒径が0.1mm以下であっても良い。このような石炭灰は、他の粉粒体よりも流動性に優れているため、流体を返送するための所要時間を短縮することも可能になる。また、他の場所へと輸送される石炭灰は、その形状が問われないことが多いため、車両から収容部へと返送された石炭灰の形状が崩れたとしても問題になり難い。すなわち、流体が石炭灰であることにより、返送を行いやすくなる。
【0015】
本発明の第2の態様は、流体を貯める貯槽部と、該貯槽部に接続された、流体を収容可能な収容部と、該収容部に収容された流体および/または流体を収容した収容部の重量を計測可能であり且つ計測結果を外部から視認可能な重量計と、収容部に接続された、流体を陸送する車両へと接続可能な配管と、を有する設備から、上記車両に流体を積み込む積み込み工程と、流体が積み込まれた車両の重量を計測する車両重量測定工程と、車両が過積載であるか否かを判断する判断工程と、を有し、該判断工程で過積載でないと判断された場合には、上記車両は陸送へと移行し、判断工程で過積載と判断された場合に、上記車両に備えられている、加圧された気体を用いて車両から放出される流体の出口(流体放出口)と、上記配管の一端とを接続した後、加圧された気体を用いて車両から上記収容部へ向けて流体の一部を返送する返送工程を有する、流体積荷返送方法である。
【0016】
車両の流体放出口と収容部とを配管で接続して、車両に備えられている気流輸送機能を用いて流体の一部を車両から収容部へと返送する返送工程を有することにより、流体の飛散を防止しつつ、余分な流体を収容部へ返送することができる。流体を収容部へ返送するための配管を介して流体を返送することにより、重量を把握するための器具を車両に搭載する形態と比較して、流体を低コストで返送することが可能になる。また、返送された流体の重量は重量計を用いて把握することが可能なので、最大積載量を超えた分の流体のみを車両から収容部へと返送することができる。すなわち、このような形態にすることにより、適切な量の流体を低コストで返送することが可能である。また、過積載を防止しつつ積載量を最適化することが可能なので、陸送効率を高めることも可能になる。
【0017】
また、上記本発明の第2の態様において、流体が石炭灰であり、該石炭灰の90質量%以上は粒径が0.1mm以下であっても良い。このような石炭灰は、他の粉粒体よりも流動性に優れているため、流体を返送するための所要時間を短縮することも可能になる。また、他の場所へと輸送される石炭灰は、その形状が問われないことが多いため、車両から収容部へと返送された石炭灰の形状が崩れたとしても問題になり難い。すなわち、流体が石炭灰であることにより、返送を行いやすくなる。
【発明の効果】
【0018】
本発明によれば、低コストで陸送効率を向上させることが可能な、流体積荷返送設備および返送方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
図1】本発明の流体積荷返送設備および返送方法を説明する図である。
図2】従来の流体積荷返送設備および返送方法を説明する図である。
図3】本発明の流体積荷返送方法を説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、本発明の実施の形態について説明する。なお、以下の説明では、流体が石炭灰である場合について主に言及するが、以下に示す形態は本発明の例示であり、本発明は以下の形態に限定されない。
【0021】
図1は、本発明の流体積荷返送設備および返送方法を説明する図である。図1に示した流体積荷返送設備10は、ボイラで発生した石炭灰を一時的に貯める貯槽部1と、該貯槽部1に貯められた石炭灰を流体陸送用車両X(以下において、単に「車両X」とも称する。)へ向けて放出する放出部2と、貯槽部1に貯められた石炭灰のうち、船積設備へ向けて気流輸送される石炭灰が一時的に収容される収容部3と、該収容部3に収容された石炭灰の重量を計測可能な重量計4と、収容部3に接続された配管5と、車両Xの重量を測定するトラックスケール6と、を有している。重量計4は、重量の計測結果を表示可能な表示部4aを有している。貯槽部1はサイロとも呼ばれ、貯槽部1に貯められた石炭灰は、海送や陸送によって、他の場所へと運ばれる。
【0022】
車両Xを用いて、貯槽部1に貯められた石炭灰を陸送する場合には、貯槽部1に貯められた石炭灰を積み込む前に、車両Xをトラックスケール6の上に移動させることにより、車両Xの重量が測定される(図1の(a))。その後、車両Xは、放出部2の下方へと移動し(図1の(b))、放出部2に備えられている弁を開けることにより、放出部2から重力落下にて放出された石炭灰が、車両Xへと積み込まれる。石炭灰の積み込みが終了した車両Xは、再びトラックスケール6の上へと移動し(図1の(c))、石炭灰を積み込んだ後の重量が測定される。石炭灰を積み込んだ後の重量から石炭灰を積み込む前の重量を引くことにより算出される石炭灰の重量が、最大積載量以下である場合、車両Xは石炭灰を返送することなく、そのまま陸送へと移行することができる(図1の(e))。これに対し、同様にして算出される石炭灰の重量が、最大積載量を超える場合、車両Xはそのままの状態で公道を走行することはできないため、積み込んだ石炭灰の一部を車両Xの外へと放出する必要がある。そこで、石炭灰の重量が最大積載量を超えた車両Xは、配管5の下方へと移動する(図1の(d))。車両Xが配管5の下方に到着したら、車両Xに備えられている流体放出口X1と、配管5の一端とを接続する。その後、車両Xに備えられている気流輸送機能を使って、車両Xに積み込まれた石炭灰の一部を収容部3へと返送する。車両Xから収容部3へと返送された石炭灰の重量は、重量計4の表示部4aを確認することにより、把握される。重量計4の表示部4aを確認しながら石炭灰を返送することにより、最大積載量を超える分の石炭灰が収容部3へと返送された車両Xは、その後、陸送へと移行することができる(図1の(f))。
【0023】
このように、流体積荷返送設備10では、車両Xに自重計等の機器を設けなくても、適切な量(最大積載量を超えた分)の石炭灰を収容部3へと返送することができる。したがって、本発明の流体積荷返送設備10によれば、自重計等の機器を設ける場合と比較して、適切な量の石炭灰を低コストで返送することが可能である。また、流体積荷返送設備10では、収容部3へと返送された石炭灰の重量が、重量計4によって計測される。特許文献1に開示されている技術に代表されるセンサを用いて積荷の量を把握する従来技術とは異なり、流体積荷返送設備10では石炭灰の重量を計測するため、返送された石炭灰の重量を正確に把握することができ、その結果、車両Xに積み込まれている石炭灰の重量も正確に把握することができる。さらに、流体積荷返送設備10では、重量計4の表示部4aを確認しながら石炭灰を返送するので、最大積載量を超えた量の石炭灰のみを収容部3へと返送することが可能である。このような量の石炭灰を返送することにより、最大積載量以下の積載量であって且つ最大積載量に近い量の石炭灰を、車両Xに積み込むことができるので、陸送効率を向上させることができる。すなわち、本発明によれば、低コストで陸送効率を向上させることが可能な、流体積荷返送設備10を提供することができる。
【0024】
また、流体を積み込む場所毎にトラックスケールを設置する技術と本発明の流体積荷返送設備10とを比較すると、前者では複数のトラックスケールを設置する必要があるが、本発明では配管5を追加するのみで、トラックスケールを1箇所に集約することができるため、コストを抑制することができる。また、トラックスケールを設置するために必要な空間と比較して、配管5を設置するために必要な空間は小さいので、本発明によれば、設備の省スペース化を図ることも可能である。
【0025】
図2は、従来の流体積荷返送設備および返送方法を説明する図である。図2において、図1に示した流体積荷返送設備10と同様の構成をとる部位には、図1で使用した符号と同一の符号を付し、その説明を適宜省略する。図2に示した流体積荷返送設備90は、貯槽部1と、該貯槽部1に貯められた石炭灰を車両Xへ向けて放出する放出部2と、貯槽部1に貯められた石炭灰のうち、船積設備へ向けて気流輸送される石炭灰が一時的に収容される収容部3と、収容部3に収容された石炭灰の重量を計測可能な重量計4と、車両Xの重量を計測するトラックスケール6と、を有している。すなわち、流体積荷返送設備90は、配管5を有しておらず、石炭灰の返送時に重量計4の表示部4aを使用しないことを除いて、流体積荷返送設備10と同様に構成されている。
【0026】
車両Xを用いて、流体積荷返送設備90の貯槽部1に貯められた石炭灰を陸送する場合には、貯槽部1に貯められた石炭灰を積み込む前に、車両Xをトラックスケール6の上に移動させることにより、車両Xの重量が測定される(図2の(i))。その後、車両Xは、放出部2の下方へと移動し(図2の(ii))、放出部2に備えられている弁を開けることにより、放出部2から重力落下にて放出された石炭灰が、車両Xへと積み込まれる。石炭灰の積み込みが終了した車両Xは、再びトラックスケール6の上へと移動し(図2の(iii))、石炭灰を積み込んだ後の重量が測定される。石炭灰を積み込んだ後の重量から石炭灰を積み込む前の重量を引くことにより算出される石炭灰の重量が、最大積載量以下である場合、車両Xは石炭灰を返送することなく、そのまま陸送へと移行することができる(図2の(v))。これに対し、同様にして算出される石炭灰の重量が、最大積載量を超える場合、車両Xはそのままの状態で公道を走行することはできないため、積み込んだ石炭灰の一部を車両Xの外へと放出する必要がある。車両Xの気流輸送機能を使って、石炭灰を外気に解放された空間へと放出すると、石炭灰が飛散する。石炭灰は粉体であるため、広範囲に飛散しやすく、飛散したすべての石炭灰を集めて陸送することは困難である。それゆえ、石炭灰の飛散を防止するために、最大積載量を超える石炭灰を吸引するための吸引車(例えば、バキューム車)を手配し、最大積載量を超えた車両は、吸引車を用いて石炭灰を吸引するための場所へと移動する(図2の(iv))。そして、吸引車で石炭灰を吸引された車両Xは、再びトラックスケール6の上へと移動し(図2の(vi))、積み込んだ石炭灰の重量が最大積載量以下であることが確認された後に、陸送へと移行していた。このような形態では、最大積載量を超える度に、吸引車を手配するためのコストと手間が必要になる。また、吸引車の手配コスト等を考慮して少量の石炭灰を積み込んだ状態で陸送すると、陸送効率が低下しやすかった。これに対し、本発明の流体積荷返送設備10によれば、適切な量(最大積載量を超えた分)の石炭灰を低コストで返送することが可能である。また、本発明の流体積荷返送設備10によれば、収容部3へと返送された石炭灰の重量を、重量計4の表示部4aで確認することができるので、過積載を防止しつつ、車両Xを、最大積載量に近い量の石炭灰が積み込まれた状態にすることが可能である。その結果、陸送効率を高めることも可能になる。また、最大積載量を超える分の石炭灰を車両Xから収容部3へと返送することにより、貯槽部1に貯められる石炭灰のほぼすべてを海送または陸送することが可能なので、セメント材料や建材用の材料等に利用される石炭灰の有効利用を図ることも可能になる。
【0027】
図3は、本発明の流体積荷返送方法を説明する図である。図1および図3を参照しつつ、流体積荷返送設備10を用いる本発明の流体積荷返送方法について、以下に説明する。図3に示した流体積荷返送方法は、積み込み前重量計測工程(S1)と、積み込み工程(S2)と、車両重量計測工程(S3)と、判断工程(S4)と、返送工程(S5)と、を有している。
【0028】
積み込み前重量計測工程(以下において、「S1」という。)は、貯槽部1に貯められた石炭灰が積み込まれる前の時点における、車両Xの重量を計測する工程である。より具体的には、S1は、貯槽部1に貯められた石炭灰が積み込まれる前の車両Xをトラックスケール6の上に移動させることにより、車両Xの重量を計測する工程である。
【0029】
積み込み工程(以下において、「S2」という。)は、流体積荷返送設備10から車両Xへ、石炭灰を積み込む工程である。より具体的には、S2は、S1で重量が測定された車両Xを、放出部2の下方へと移動させた後、放出部2に備えられている弁を開けて、放出部2から石炭灰を重力落下にて放出させることにより、石炭灰を車両Xへと積み込む工程である。
【0030】
車両重量計測工程(以下において、「S3」という。)は、S2で石炭灰が積み込まれた車両Xの重量を計測する工程である。より具体的には、S3は、S2で石炭灰が積み込まれた車両Xをトラックスケール6の上に移動させることにより、車両Xの重量を計測する工程である。
【0031】
判断工程(以下において、「S4」という。)は、S2で石炭灰が積み込まれた車両Xが過積載であるか否かを判断する工程である。例えば、車両Xが、放出部2から放出された石炭灰のみを搬送する車両である場合、S4は、S3で測定された車両Xの重量W3からS1で測定された車両Xの重量W1を引くことにより求められる石炭灰の積載量W=W3−W1が、最大積載量を超えているか否かを判断する工程である。S4で否定判断がなされた場合、車両Xは過積載ではないので、そのまま公道を走行することができる。それゆえ、S4で否定判断がなされた場合、車両Xは、そのまま陸送へと移行することができる。これに対し、S4で肯定判断がなされた場合、車両Xは過積載であるため、そのまま公道を走行することはできない。それゆえ、S4で肯定判断がなされた場合には、引き続き、返送工程(S5)が行われる。
【0032】
返送工程(以下において、「S5」という。)は、車両Xの流体放出口X1と配管5の一端とを接続した後、車両Xに備えられている気流輸送機能を使って、車両Xに積み込まれた石炭灰の一部を収容部3へと返送する工程である。S5において、車両Xから収容部3へと返送された石炭灰の重量は、重量計4の表示部4aを確認することにより、把握される。重量計4の表示部4aを確認しながら石炭灰を返送することにより、車両Xの積載量を最大積載量以下にすることができる。このようにして最大積載量以下の状態にされた車両Xは、その後、陸送へと移行することができる。
【0033】
このように、本発明の流体積荷返送方法では、車両Xに自重計等の機器を設けなくても、S5において重量計4の表示部4aを確認しながら石炭灰を収容部3へと返送することにより、適切な量(最大積載量を超えた分)の石炭灰を収容部3へと返送することができる。したがって、本発明の流体積荷返送方法によれば、自重計等の機器を設ける場合と比較して、適切な量の石炭灰を低コストで返送することが可能である。また、本発明の流体積荷返送方法では、収容部3へと返送された石炭灰の重量が、重量計4によって測定される。特許文献1に開示されている技術に代表されるセンサを用いて積荷の量を把握する従来技術とは異なり、本発明の流体積荷返送方法では石炭灰の重量を計測するため、返送された石炭灰の重量を正確に把握することができ、その結果、車両Xに積み込まれている石炭灰の重量も正確に把握することができる。さらに、本発明の流体積荷返送方法では、重量計4の表示部4aを確認しながら石炭灰を返送するので、最大積載量を超えた量の石炭灰のみを収容部3へと返送することが可能である。このような量の石炭灰を返送することにより、最大積載量以下の積載量であって且つ最大積載量に近い量の石炭灰を、車両Xに積み込むことができるので、陸送効率を向上させることができる。すなわち、本発明によれば、低コストで陸送効率を向上させることが可能な、流体積荷返送方法を提供することができる。
【0034】
また、流体を積み込む場所毎にトラックスケールを設置する技術と本発明の流体積荷返送方法とを比較すると、前者では複数のトラックスケールを設置する必要があるが、本発明では、配管5を用いることにより、トラックスケールを1箇所に集約することができるため、コストを抑制することができる。また、トラックスケールを設置するために必要な空間と比較して、配管5を設置するために必要な空間は小さいので、本発明の流体積荷返送方法によれば、設備の省スペース化を図ることも可能である。
【0035】
また、最大積載量を超えた場合に吸引車を手配する従来技術と本発明の流体積荷返送方法とを比較すると、前者では最大積載量を超える度に、吸引車を手配するためのコストと手間が必要になる。また、吸引車の手配コスト等を考慮して少量の石炭灰を積み込んだ状態で陸送すると、陸送効率が低下しやすかった。これに対し、本発明の流体積荷返送方法によれば、適切な量の石炭灰(流体)を低コストで返送することが可能である。また、本発明の流体積荷返送方法によれば、重量計4の表示部4aを確認しながら石炭灰を収容部3へと返送することにより、過積載を防止しつつ、車両Xを、最大積載量に近い量の石炭灰が積み込まれた状態にすることが可能なので、陸送効率を高めることも可能である。
【0036】
本発明に関する上記説明では、流体が石炭灰である場合を例示したが、本発明は当該形態に限定されない。本発明を適用可能な流体としては、粒径が10−4m〜10−2mである粒体、粒径が10−6m〜10−4mであるフライアッシュや、粒径が10−9m〜10−4mである粉体のほか、固体と液体とが混合されたペースト状の物質(例えばスラッジ等)等を例示することができる。このほか、流体は、固体を含まない液体であっても良い。固体を含有している流体を本発明によって返送する場合、返送効率を高めやすい形態にする等の観点から、流体は石炭灰であることが好ましく、該石炭灰の90質量%以上は粒径が0.1mm以下であることが好ましい。このような石炭灰は流動性が高く、セメント材料や建材用の材料等の用途で使用される石炭灰は形状が崩れていても許容されやすいため、必要以上に形状に注意することなく、収容部3へと返送することが可能である。
【0037】
また、本発明に関する上記説明では、収容部に収容された石炭灰の重量を計測可能な重量計を用いる形態を例示したが、本発明は当該形態に限定されない。本発明で用いる重量計は、流体を収容している収容部の重量を計測する形態であっても良く、収容されている流体の重量、および、流体を収容している収容部の重量の両方を計測可能な形態であっても良い。
【実施例】
【0038】
実施例を参照しつつ、本発明についてさらに説明を続ける。
【0039】
本発明を、石炭火力発電所設備において、石炭の燃焼によって副生する石炭灰の陸送に適用した結果を説明する。なお、石炭灰の陸送に用いた車両(ジェットパック車)は、気流輸送機能を有しており、流体積荷返送設備90を用いた従来の陸送実績(2ヶ月間)と、流体積荷返送設備10を用いた陸送実績(2ヶ月間)とを比較した。
【0040】
今回の調査で陸送した石炭灰は、フライアッシュ、シンダアッシュ、および、クリンカアッシュが混合されたものである。「フライアッシュ」、「シンダアッシュ」、「クリンカアッシュ」は、例えば、「火力原子力発電、Vol.58(2007)、p.513」に記載されているように、通常に使用される用語である。本実施例において、クリンカアッシュは水冷されることなく、空冷および破砕されて(例えば、「火力原子力発電、Vol.54(2003)、p.358」)、粒径がほぼ0.1mm以下になる。今回の調査で陸送した石炭灰の90質量%は、粒径が0.1mm以下であったため、開放雰囲気では飛散等が問題になる。そのため、陸送には、「ジェットパック車」等の密閉した状態で石炭灰を輸送する車両を用いる必要がある。また、このような石炭灰は、配管による気体輸送に適している。
【0041】
ジェットパック車が、石炭火力発電所内に入所した後、空荷(石炭灰積載前)状態の車両重量を計測した(図1の(a)および図2の(i))。その後、ジェットパック車を貯槽部の下方へと移動させ(図1の(b)および図2の(ii))、貯槽部から重力落下により、ジェットパック車へ石炭灰を積み込んだ。次いで、ジェットパック車をトラックスケールへと移動させ(図1の(c)および図2の(iii))、石炭灰積載後の車両重量を計測し、空荷状態の車両重量との差から石炭灰の積載量を算出した。合わせて、積載後の車両が過積載であるか否かを判断した。過積載でなければ、石炭灰の返送を省略して、トラックスケールによる車両重量測定後、直ぐに陸送を実施した(図1の(e)および図2の(v))。ここまでは、流体積荷返送設備90を用いた場合も流体積荷返送設備10を用いた場合も共通である。
【0042】
過積載と判断された場合、流体積荷返送設備90を用いた場合には、別途準備するバキューム車によって石炭灰の吸引を行うことにより、ジェットパック車から取り出された石炭灰の一部を一時保管した(図2の(iv))。ジェットパック車は、積載物を自力で排出する機能(気流輸送機能)を有している。石炭灰を開放雰囲気に排出すると飛散するため、石炭灰の飛散を防止するためには一次保管機能を有するバキューム車が必要であり、手配のためのコストが必要であった。
これに対し、流体積荷返送設備10を用いた場合には、配管5を利用して石炭灰を収容部3へと返送することになるので、配管5の近傍までジェットパック車を移動する(図1の(d))。その後、ジェットパック車の流体放出口と配管5とを接続し、石炭灰の返送を開始する。石炭灰の返送時には、重量計4の表示部4aを確認することにより、最大積載量を超えた過剰積載分の石炭灰のみを収容部3へと返送した。これにより、最大積載量を超えない範囲内であって、且つ、最大積載量に近い量の石炭灰を積み込んだ状態で、陸送を実施した。
【0043】
流体積荷返送設備90を用いる従来の形態では、過積載によって吸引車手配コストが発生することを懸念していたため、最大積載量に対して不十分な量の石炭灰を車両に積み込んでいた。これに対し、流体積荷返送設備10を用いる本発明では、過積載であると判断された場合であっても、吸引車を手配する必要がないため吸引車の手配コストが発生しない。また、重量計4の表示部4aを確認しながら石炭灰を返送することにより、最適量の積み下ろしが可能であるため、最大積載量により近い重量の石炭灰を積み込むことができた。その結果、流体積荷返送設備10を用いた場合には、流体積荷返送設備90を用いた場合と比較して、車両1台当たり439kg多い量の石炭灰を陸送することができ、陸送効率を向上させることができた。なお、陸送実績の調査に用いた、流体を陸送する車両は、流体積荷返送設備90を用いた場合も流体積荷返送設備10を用いた場合も同じ82台であり、最大積載量は21.4t〜25tであった。
【符号の説明】
【0044】
X…車両
X1…流体放出口
1…貯槽部
2…放出部
3…収容部
4…重量計
4a…表示部
5…配管
6…トラックスケール
10、90…流体積荷返送設備
図1
図2
図3