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特開2015-231910媒体送り制御方法および媒体送り装置
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2015-231910(P2015-231910A)
(43)【公開日】2015年12月24日
(54)【発明の名称】媒体送り制御方法および媒体送り装置
(51)【国際特許分類】
   B65H 23/185 20060101AFI20151201BHJP
   B65H 23/192 20060101ALI20151201BHJP
   B65H 16/06 20060101ALI20151201BHJP
【FI】
   B65H23/185
   B65H23/192
   B65H16/06 B
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
【全頁数】15
(21)【出願番号】特願2015-63900(P2015-63900)
(22)【出願日】2015年3月26日
(31)【優先権主張番号】特願2014-102059(P2014-102059)
(32)【優先日】2014年5月16日
(33)【優先権主張国】JP
(71)【出願人】
【識別番号】000002369
【氏名又は名称】セイコーエプソン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100116665
【弁理士】
【氏名又は名称】渡辺 和昭
(74)【代理人】
【識別番号】100164633
【弁理士】
【氏名又は名称】西田 圭介
(74)【代理人】
【識別番号】100179475
【弁理士】
【氏名又は名称】仲井 智至
(72)【発明者】
【氏名】林 徹
【テーマコード(参考)】
3F052
3F105
【Fターム(参考)】
3F052AA01
3F052AB05
3F052CA01
3F052CA06
3F105AA02
3F105AB04
3F105BA01
3F105CA13
3F105CB02
3F105CC01
3F105CC05
3F105CC07
3F105DA05
3F105DB16
(57)【要約】
【課題】ロール体と送りローラーとの間の媒体に掛かるテンションが送り動作ごとに変動することを抑制することができる媒体送り装置を提供する。
【解決手段】媒体が送られる複数回の送り動作のうち(n−1)回目の送り動作時に掛かったテンションである検出テンションTc(n−1)を取得する検出テンション取得部と、検出テンションTc(n−1)に基づいて、n回目の送り動作時に掛かるテンションの目標値である目標テンションTa(n)を補正した補正後テンションTb(n)を算出する補正後テンション算出部と、補正後テンションTb(n)に基づいて、n回目の送り動作時にロールモーターを制御する駆動制御部とを備えた。
【選択図】図7
【特許請求の範囲】
【請求項1】
媒体が巻かれたロール体を保持する保持部と、
前記ロール体から前記媒体を引き出して送る送り部と、
前記ロール体から前記媒体が送られる方向に、前記保持部を介して前記ロール体を回転させる回転駆動部と、
前記送り部を駆動する送り駆動部と、
を備え、前記媒体を送る送り動作を複数回行う媒体送り装置において、
前記ロール体と前記送り部との間の前記媒体に対して、複数回の前記送り動作のうち(n−1)回目(nは2以上の整数)以前の回の前記送り動作時に掛かったテンションに対応した検出テンションを取得し、
前記検出テンションに基づいて、n回目の前記送り動作時に掛かる前記テンションの目標値である目標テンションを補正した補正後テンションを算出し、
前記補正後テンションに基づいて、n回目の前記送り動作時に前記送り駆動部を制御することを特徴とする媒体送り制御方法。
【請求項2】
前記検出テンションを取得する際に、
(n−1)回目以前の回の前記送り動作時に、前記送り駆動部に流れた送り時電流と、前記ロール体と前記送り駆動部との間で前記媒体が弛んだ状態で、前記送り駆動部を駆動する基準電流測定動作時に、前記送り駆動部に流れた基準電流と、を取得し、
前記送り時電流と前記基準電流との差分であるテンション電流を算出し、
前記テンション電流に基づいて、前記検出テンションを算出することを特徴とする請求項1に記載の媒体送り制御方法。
【請求項3】
前記送り時電流を取得する際に、前記送り時電流を、1回の前記送り動作において所定の周期で複数回取得し、
前記基準電流を取得する際に、前記基準電流を、1回の前記基準電流測定動作において前記所定の周期で複数回取得し、
前記テンション電流を算出する際に、前記所定の周期で取得された前記各送り時電流と、前記所定の周期で取得された前記各基準電流と、から複数の前記テンション電流を算出し、
前記検出テンションを算出する際に、前記複数のテンション電流の平均値である平均テンション電流に基づいて、前記検出テンションを算出することを特徴とする請求項2に記載の媒体送り制御方法。
【請求項4】
前記送り時電流を取得する際に、前記送り時電流を、1回の前記送り動作において所定の周期で複数回取得し、
前記基準電流を取得する際に、前記基準電流を、1回の前記基準電流測定動作において前記所定の周期で複数回取得し、
前記テンション電流を算出する際に、前記所定の周期で取得された前記各送り時電流と、前記所定の周期で取得された前記各基準電流と、から複数の前記テンション電流を算出し、
前記検出テンションを算出する際に、前記複数のテンション電流のうちの最大値であるピークテンション電流に基づいて、前記検出テンションを算出することを特徴とする請求項2に記載の媒体送り制御方法。
【請求項5】
前記検出テンションを取得する際に、(n−1)回目の前記送り動作時に前記媒体に対して掛かった前記テンションに対応した前記検出テンションを取得することを特徴とする請求項1ないし4のいずれか一項に記載の媒体送り制御方法。
【請求項6】
前記補正後テンションを算出する際に、
前記目標テンションに対する前記検出テンションの誤差であるテンション誤差を積分したテンション誤差積分値を算出し、
前記テンション誤差積分値に基づいて、テンション補正量を算出し、
前記テンション補正量と前記目標テンションとを加算して、前記補正後テンションを算出することを特徴とする請求項1ないし5のいずれか一項に記載の媒体送り制御方法。
【請求項7】
媒体が巻かれたロール体を保持する保持部と、
前記ロール体から前記媒体を引き出して送る送り部と、
前記ロール体から前記媒体が送られるように、前記保持部を介して前記ロール体を回転させる回転駆動部と、
前記送り部を駆動する送り駆動部と、
前記ロール体と前記送り部との間の前記媒体に対して、前記媒体が送られる複数回の送り動作のうち(n−1)回目(nは2以上の整数)以前の回の前記送り動作時に掛かったテンションである検出テンションを取得する検出テンション取得部と、
前記検出テンションに基づいて、n回目の前記送り動作時に掛かる前記テンションの目標値である目標テンションを補正した補正後テンションを算出する補正後テンション算出部と、
前記補正後テンションに基づいて、n回目の前記送り動作時に前記送り駆動部を制御する駆動制御部と、
を備えたことを特徴とする媒体送り装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、媒体が巻かれたロール体から媒体を送る媒体送り装置における媒体送り制御方法および媒体送り装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、媒体が巻かれたロール体を保持する回転ホルダーと、ロール体から媒体を引き出して送る搬送駆動ローラーと、ロール体から媒体が送られるように、回転ホルダーを介してロール体を回転させるロールモーターと、搬送駆動ローラーを駆動するPFモーターとを備えたプリンターにおいて、ロール体と搬送駆動ローラーとの間の媒体に掛かるテンションが所定以下となるように、ロールモーターを制御する媒体送り制御方法が知られている。この媒体送り制御方法では、媒体を弛ませた状態で、ロール体が低速および高速で回転するようにロールモーターを駆動したときのロールモーターの負荷をそれぞれ測定することにより、ロール体が任意の速度で回転するときに、ロール体を回転させるために必要な負荷であるロール負荷を得るようにしている(特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2009−256095号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、このようなプリンターにおいては、ロール負荷は、媒体が送られる間に安定しているとは限らず、例えばロール体が偏心しているような場合には、媒体が送られる間に変動する。ロール負荷の変動は、ロール体と搬送駆動ローラーとの間の媒体に掛かるテンションが送り動作ごとに変動する要因となり得る。
【0005】
本発明は、ロール体と送りローラーとの間の媒体に掛かるテンションが送り動作ごとに変動することを抑制することができる媒体送り制御方法および媒体送り装置を提供することを課題としている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の媒体送り制御方法は、媒体が巻かれたロール体を保持する保持部と、ロール体から媒体を引き出して送る送り部と、ロール体から媒体が送られる方向に、保持部を介してロール体を回転させる回転駆動部と、送り部を駆動する送り駆動部と、を備え、媒体を送る送り動作を複数回行う媒体送り装置において、ロール体と送り部との間の媒体に対して、複数回の送り動作のうち(n−1)回目(nは2以上の整数)以前の回の送り動作時に掛かったテンションに対応した検出テンションを取得し、検出テンションに基づいて、n回目の送り動作時に掛かるテンションの目標値である目標テンションを補正した補正後テンションを算出し、補正後テンションに基づいて、n回目の送り動作時に送り駆動部を制御することを特徴とする。
【0007】
本発明の媒体送り制御装置は、媒体が巻かれたロール体を保持する保持部と、ロール体から媒体を引き出して送る送り部と、ロール体から媒体が送られるように、保持部を介してロール体を回転させる回転駆動部と、送り部を駆動する送り駆動部と、ロール体と送り部との間の媒体に対して、媒体が送られる複数回の送り動作のうち(n−1)回目(nは2以上の整数)以前の回の送り動作時に掛かったテンションである検出テンションを取得する検出テンション取得部と、検出テンションに基づいて、n回目の送り動作時に掛かるテンションの目標値である目標テンションを補正した補正後テンションを算出する補正後テンション算出部と、補正後テンションに基づいて、n回目の送り動作時に送り駆動部を制御する駆動制御部と、を備えたことを特徴とする。
【0008】
この構成によれば、(n−1)回目以前の回の送り動作時における検出テンションをフィードバックすることにより、n回目の送り動作時における目標テンションを補正した補正後テンションを算出し、算出した補正後テンションに基づいて、n回目の送り動作時に回転駆動部を制御する。このため、n回目の送り動作時に、目標テンションに対する実際のテンションの誤差を小さくすることができる。その結果、ロール体と送りローラーとの間の媒体に掛かるテンションが送り動作ごとに変動することを抑制することができる。
【0009】
上記の媒体送り制御方法において、検出テンションを取得する際に、(n−1)回目以前の回の送り動作時に、送り駆動部に流れた送り時電流と、ロール体と送り駆動部との間で媒体が弛んだ状態で、送り駆動部を駆動する基準電流測定動作時に、送り駆動部に流れた基準電流と、を取得し、送り時電流と基準電流との差分であるテンション電流を算出し、テンション電流に基づいて、検出テンションを算出することが好ましい。
【0010】
この構成によれば、送り駆動部に流れた送り時電流および基準電流を取得することで、検出テンションを算出することができる。
【0011】
この場合、送り時電流を取得する際に、送り時電流を、1回の送り動作において所定の周期で複数回取得し、基準電流を取得する際に、基準電流を、1回の基準動作において所定の周期で複数回取得し、テンション電流を算出する際に、所定の周期で取得された各送り時電流と、所定の周期で取得された各基準電流と、から複数のテンション電流を算出し、検出テンションを算出する際に、複数のテンション電流の平均値である平均テンション電流に基づいて、検出テンションを算出することが好ましい。
【0012】
この場合、送り時電流を取得する際に、送り時電流を、1回の送り動作において所定の周期で複数回取得し、基準電流を取得する際に、基準電流を、1回の基準動作において所定の周期で複数回取得し、テンション電流を算出する際に、所定の周期で取得された各送り時電流と、所定の周期で取得された各基準電流と、から複数のテンション電流を算出し、検出テンションを算出する際に、複数のテンション電流のうちの最大値であるピークテンション電流に基づいて、検出テンションを算出することが好ましい。
【0013】
この構成によれば、1回の送り動作中にテンション電流が複雑に変動するような場合にも、送り量に相関のある検出テンションを算出することができる。
【0014】
この場合、検出テンションを取得する際に、(n−1)回目の送り動作時に媒体に対して掛かったテンションに対応した検出テンションを取得することが好ましい。
【0015】
この構成によれば、各回の送り動作において、その前の回の送り動作時における検出テンションに基づいて、目標テンションを補正することで、目標テンションに対する実際のテンションの誤差を、より小さくすることができる。
【0016】
この場合、補正後テンションを算出する際に、目標テンションに対する検出テンションの誤差であるテンション誤差を積分したテンション誤差積分値を算出し、テンション誤差積分値に基づいて、テンション補正量を算出し、テンション補正量と目標テンションとを加算して、補正後テンションを算出することが好ましい。
【0017】
この構成によれば、テンション誤差積分値を用いてテンション補正量を算出することで、目標テンションに対して実際のテンションを徐々に近づけることができる。このため、検出テンションに検出誤差を含んでいるような場合にも、検出誤差が増幅した形でテンション補正量が算出されることを抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
図1】本発明の一実施形態に係る記録装置の概略構成を示す図である。
図2】ロール体、駆動ローラー、従動ローラーおよび記録ヘッドの位置関係を示す図である。
図3】コントローラーの機能構成例を示すブロック図である。
図4】送りモーター制御部の機能構成例を示すブロック図である。
図5】テンションTの概念を模式的に説明する図である。
図6】ロール体の任意の回転速度Vと、ロール体を回転させるために必要なロール負荷Nとの関係を示すグラフである。
図7】ロールモーター制御部の機能構成例を示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、添付の図面を参照して、本発明の一実施形態に係る媒体送り制御方法および記録装置について説明する。
【0020】
図1および図2に示すように、本実施形態の記録装置10は、ロール体RPから媒体Pを引き出して送りながら、媒体Pに対してインクジェット方式により画像を印刷するものである。また、記録装置10にセットされるロール体RPは、円筒状のコア(図示省略)に、帯状の媒体Pをロール状に巻き付けたものである。なお、媒体Pは、材質は特に限定されず、例えば、記録用紙、フィルム、布などである。媒体Pの幅は、例えば64インチである。記録装置10にセット可能なロール体RPの最大重量は、例えば80kgである。
【0021】
また、記録装置10は、外部装置であるコンピューターCOMと通信可能に接続されている。記録装置10は、例えば、画像を記録するための画像データをコンピューターCOMから受信する。なお、記録装置10は、画像データをコンピューターCOMから受信する形態に限らず、例えば、USB(Universal Serial Bus)メモリーなどの記憶媒体から画像データを受信してもよく、記録装置10自身が画像データを作成するようにしてもよい。
【0022】
記録装置10は、ロール駆動機構30と、キャリッジ駆動機構40と、媒体送り機構50と、プラテン55と、コントローラー100とを備えている。
【0023】
ロール駆動機構30は、媒体Pが巻かれたロール体RPを回転させる。ロール駆動機構30は、一対の回転ホルダー31と、ロール輪列32と、ロールモーター33と、ロール回転検出部34とを備えている。
なお、回転ホルダー31は、「保持部」の一例である。ロールモーター33は、「回転駆動部」の一例である。
【0024】
一対の回転ホルダー31は、ロール体RPのコアの両端にそれぞれ挿入され、ロール体RPを両側から保持する。一対の回転ホルダー31は、図示しないホルダー支持部に回転可能にそれぞれ支持されている。一方の回転ホルダー31には、ロール輪列32のロール出力ギア(図示省略)と噛み合うロール入力ギア32bが設けられている。
【0025】
ロールモーター33は、一方の回転ホルダー31に対して駆動力を与える。ロールモーター33は、例えば、DC(Direct Current)モーターである。ロールモーター33からの駆動力がロール輪列32を介して伝達されることにより、回転ホルダー31およびこれに保持されたロール体RPが回転する。より具体的には、ロールモーター33は、ロール体RPから引き出された媒体Pが、ロール体RPに巻き戻されるように、ロール体RPを巻戻し方向D1に回転させることが可能である。また、ロールモーター33は、ロール体RPから媒体Pが送られるように、ロール体RPを送り回転方向D2に回転させることが可能である。ロールモーター33は、例えば、媒体Pの先端の頭出しを行う際に、ロール体RPを巻戻し方向D1に回転させる。一方、ロールモーター33は、後述する送り動作の際に、ロール体RPを送り回転方向D2に回転させる。
【0026】
ロール回転検出部34は、ロール体RPの回転位置および回転方向を検出する。ロール回転検出部34は、ロールモーター33の出力軸に設けられた円盤状スケールと、フォトインターラプターとを備えたロータリーエンコーダーである。
【0027】
キャリッジ駆動機構40は、ロール体RPから引き出された媒体Pに対して画像を記録する。キャリッジ駆動機構40は、キャリッジ41と、キャリッジ軸42と、記録ヘッド44と、キャリッジモーター45と、キャリッジ位置検出部46とを備えている。
【0028】
キャリッジ41は、キャリッジモーター45がベルト機構(図示省略)を駆動することにより、キャリッジ軸42に沿って移動方向D3に移動する。キャリッジ41には、各色のインクを貯留するインクタンク43が設けられている。インクタンク43には、図示しないインクカートリッジからチューブを介してインクが供給される。また、キャリッジ41の下面には、インクジェットヘッドである記録ヘッド44が設けられている。記録ヘッド44は、インクタンク43から供給されたインクを、ノズルから吐出する。
【0029】
キャリッジ位置検出部46は、キャリッジ41の移動方向D3における位置を検出する。キャリッジ位置検出部46は、移動方向D3に沿って設けられたリニアスケールと、フォトインターラプターとを備えたリニアエンコーダーである。
【0030】
媒体送り機構50は、ロール体RPから引き出された媒体Pを、移動方向D3と略直交する送り方向D4に送る。媒体送り機構50は、駆動ローラー51aと、従動ローラー51bと、送り輪列52と、送りモーター53と、送り回転検出部54とを備えている。
なお、駆動ローラー51aは、「送り部」の一例である。送りモーター53は、「送り駆動部」の一例である。
【0031】
駆動ローラー51aおよび従動ローラー51bは、相互間に挟持した媒体Pを回転送りする。駆動ローラー51aには、送り輪列52の送り出力ギア(図示書略)と噛み合う送り入力ギア52bが設けられている。
【0032】
送りモーター53は、駆動ローラー51aに対して駆動力を与える。送りモーター53は、例えば、DCモーターである。送りモーター53からの駆動力が、送り輪列52を介して駆動ローラー51aに伝達されることより、駆動ローラー51aが回転し、それに伴って、従動ローラー51bが回転する。
【0033】
送り回転検出部54は、駆動ローラー51aの回転位置および回転方向を検出する。送り回転検出部54は、送りモーター53の出力軸に設けられた円盤状スケールと、フォトインターラプターとを備えたロータリーエンコーダーである。
【0034】
プラテン55は、記録ヘッド44と対向するように設けられている。プラテン55には、上下に貫通する吸引孔55aが複数形成されている。また、プラテン55の下方には、吸引ファン56が設けられている。吸引ファン56が作動することによって、吸引孔55a内が負圧となり、プラテン55上の媒体Pが吸引保持される。プラテン55上に吸引保持された媒体Pに対して、記録ヘッド44からインクが吐出される。
【0035】
コントローラー100は、記録装置10の各部を統括制御する。コントローラー100は、CPU(Central Processing Unit)101と、ROM(Read Only Memory)102と、RAM(Random Access Memory)103と、PROM(Programmable ROM)104と、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)105と、モータードライバー106と、バス107とを備えている。また、コントローラー100には、ロール回転検出部34、キャリッジ位置検出部46、送り回転検出部54からの各パルス信号が入力する。コントローラー100の機能構成については、後述する。
なお、モータードライバー106は、「駆動制御部」の一例である。
【0036】
以上のように構成された記録装置10は、媒体Pに画像を記録する記録ジョブを実行する際に、ドット形成動作と送り動作とを繰り返し行う。換言すれば、記録装置10は、1回の記録ジョブにおいて、複数回の送り動作を間欠的に繰り返し行う。ここで、ドット形成動作とは、キャリッジ41を移動方向D3に移動させながら記録ヘッド44からインクを吐出させて媒体P上にドットを形成する動作であり、主走査ともいう。送り動作とは、媒体Pを送り方向D4に送る動作であり、副走査ともいう。なお、1回の送り動作によりロール体RPが回転する回転量は、その時点におけるロール体RPの径にもよるが、通常1回転未満である。
【0037】
図3を参照して、コントローラー100の機能構成例について説明する。コントローラー100は、主制御部110と、ロールモーター制御部120と、送りモーター制御部130とを備えている。これらの各機能部は、コントローラー100を構成するハードウェアと、ROM102などのメモリーに記憶されているソフトウェアとの協働によって実現される。
【0038】
主制御部110は、ロールモーター制御部120および送りモーター制御部130に指令を与える。主制御部110は、ロールモーター33および送りモーター53をそれぞれ独立して駆動するように、または、ロールモーター33および送りモーター53を同期駆動するように、ロールモーター制御部120および送りモーター制御部130に指令を与えることが可能である。
【0039】
図4は、PID制御を実現するときの送りモーター制御部130のブロック図である。送りモーター制御部130は、位置演算部141と、回転速度演算部142と、第1減算部143と、目標速度発生部144と、第2減算部145と、比例要素146と、積分要素147と、微分要素148と、PID加算部150と、PWM(Pulse Width Modulation)出力部152と、タイマー153とを備えている。
【0040】
位置演算部141は、送り回転検出部54からのパルス信号をカウントすることにより、駆動ローラー51aの刻々の回転位置を算出する。回転速度演算部142は、送り回転検出部54からのパルス信号と、タイマー153で計測される時間とに基づいて、駆動ローラー51aの回転速度を算出する。
【0041】
第1減算部143は、位置演算部141から出力された駆動ローラー51aの回転位置と、主制御部110から指令された目標位置との位置誤差を算出する。目標速度発生部144は、第1減算部143から出力された位置誤差に基づいて、所定の速度テーブルに応じた目標速度を算出する。第2減算部145は、回転速度演算部142から出力された駆動ローラー51aの回転速度と、目標速度発生部144から出力された目標速度との速度誤差ΔVを算出する。
【0042】
比例要素146、積分要素147および微分要素148には、第2減算部145から出力された速度誤差ΔVが入力する。各要素は、速度誤差ΔVに基づいて、下記の(1)式〜(3)式により、以下の制御値Qを算出する。
QP(j)=ΔV(j)×Kp (1)
QI(j)=Q(j−1)+ΔV(j)×Ki (2)
QD(j)={ΔV(j)−ΔV(j−1)}×Kd (3)
ここで、jは時間であり、Kpは比例ゲイン、Kiは積分ゲイン、Kdは微分ゲインである。
【0043】
PID加算部150は、比例要素146、積分要素147および微分要素148から出力される各制御値を加算し、合計された制御値QpidをPWM出力部152に出力する。PWM出力部152は、制御値Qpidに応じたデューティ値のPWM信号をモータードライバー106に出力する。モータードライバー106は、PWM出力部152から出力されたPWM信号に基づいて、送りモーター53をPWM制御にて駆動する。
【0044】
本実施形態では、送りモーター制御部130が、送りモーター53をPID制御する構成であるが、これに限定されるものではなく、例えば、送りモーター53をPI制御する構成であってもよい。
【0045】
記録装置10は、送り動作時に、送りモーター53を駆動制御するだけでなく、ロールモーター33を駆動制御している。以下、ロールモーター33の駆動制御について説明する。
【0046】
図5を参照しつつ、まず、記録装置10が、仮に、送り動作時に、ロールモーター33を駆動せずに、送りモーター53のみを駆動することにより、媒体Pを送る場合について説明する。この場合、媒体Pに引っ張られるようにしてロール体RPが従動的に送り回転方向D2に回転することになる。これにより、ロール体RPを回転させるために必要な負荷であるロール負荷Nが、ロール体RPの回転軸の周りに発生する。このとき、ロール体RPと駆動ローラー51aとの間の媒体Pに掛かるテンションT0は、ロール体RPの回転軸周りのモーメントの釣り合いより、(4)式により表すことができる。
T0=k1×N/Rr (4)
k1:比例定数
Rr:ロール体RPの半径
【0047】
次に、記録装置10が、送り動作時に、送りモーター53だけでなく、ロールモーター33を駆動することにより、媒体Pを送る場合、つまり実際の送り動作時と同じ状況について説明する。ロール体RPが送り回転方向D2に回転するように、ロールモーター33が出力トルクMを発生させた場合、ロール体RPの回転軸周りには、ロール負荷Nから出力トルクMを減算したトルクが作用することになる。この場合、テンションTは、(5)式により表すことができる。
T=k1×(N−M)/Rr (5)
【0048】
(5)式より、ロールモーター33の出力トルクMは、(6)式により表すことができる。
M=N−{(Rr/k1)×T} (6)
ここで、比例定数k1は、既知である。ロール体RPの半径Rrは、例えば、送りモーター53のみを駆動して媒体Pを送った際の、ロール回転検出部34のカウント値と送り回転検出部54のカウント値とに基づいて、算出可能である。さらに、ロール負荷Nは、ロール体RPの回転速度Vと線形的な対応関係を有することが分かっている。このため、後述する負荷測定動作を、ロール体RPの装着時に行っておくことにより、任意の回転速度Vに対応したロール負荷Nを求めることができる。したがって、テンションTの目標値である目標テンションTaを(6)式のTに代入してやれば、ロールモーター33の出力トルクMを算出することができる。ここで、目標テンションTaは、媒体Pを送る時に、斜行しないように、また、破断することがないように良好な状態を保つように設定される。目標テンションTaは、予め実験等により求めておくことが好ましく、媒体Pの特性に応じて適正な値を設定する。また、設定された目標テンションTaは、媒体Pの情報と共にROM102等に記憶しておく。なお、目標テンションTaをユーザーが任意に設定し、直接またはコンピューターCOM等を通じて、記録装置10に入力してもよい。また、記憶されている目標テンションTaを基に、ロール体RPの径の変動や、記録装置10の状態の変化のより、変更した目標テンションを使用してもよい。
【0049】
図6を参照して、負荷測定動作について説明する。ロール負荷Nは、ロール体RPの回転速度Vと線形的な対応関係を有することが分かっている。このため、低速の回転速度Vlに対応するロール負荷Nlと、高速の回転速度Vhに対応するロール負荷Nhとが分かれば、近似曲線(N=a×V+b)の傾きaおよび切片bが決定され、任意の回転速度Vに対応するロール負荷Nを、線形補間によって算出可能になる。
【0050】
まず、コントローラー100は、低速の回転速度Vlでロール体RPが送り回転方向D2に回転するように、ロールモーター33を駆動する。このとき、コントローラー100のロールモーター制御部120は、PID制御にてロールモーター33を駆動するように、図4に示した送りモーター制御部130と同様に構成される。コントローラー100は、ロール体RPの回転速度が回転速度Vlに安定したところで、その時点でロールモーター33に出力しているデューティ値を、ロール負荷Nlとして取得する。このロール負荷Nlは、ロール体RPを回転速度Vlで回転させるために必要なトルクを示している。なお、コントローラー100は、デューティ値を、ロール体PRの回転速度が安定した時点における、積分要素147の制御値QIに基づいて取得することもできる。
【0051】
次に、コントローラー100は、高速の回転速度Vhでロール体RPが送り回転方向D2に回転するように、ロールモーター33を駆動する。そして、コントローラー100は、低速の回転速度Vlに対応するロール負荷Nlの取得時と同様にして、高速の回転速度Vhに対応するロール負荷Nhを取得する。
【0052】
コントローラー100は、取得したロール負荷Nlおよびロール負荷Nhを、RAM103またはPROM104に記憶し、負荷測定動作を終了する。
【0053】
ここで、上述したロール負荷Nは、媒体Pが送られる間に安定しているとは限らず、変動する場合がある。例えば、ロール体RPの偏心、ロール体RPの周方向における比重のばらつき、媒体Pと送り経路との摩擦力の変動、媒体Pのヤング率の変動等がある場合に、ロール負荷Nは変動する。ロール負荷Nが変動する場合、出力トルクMが一定であると、テンションTも変動する(図5(b)参照)。この場合、送り動作ごとにテンションTが変動することになる。その結果、送り動作ごとに送り量が変動してしまい、媒体Pに記録された画像にバンディング等の不良が生じることとなる。そこで、記録装置10は、後述するテンションFB(feedback)制御を行うことにより、目標テンションTaを補正した補正後テンションTbを演算し、演算された補正後テンションTbを用いて、出力トルクMを算出するようにしている。換言すれば、記録装置10は、送り動作ごとの送り量が一定となるように、目標テンションTaを補正している。
【0054】
図7は、テンションFB制御を実現するときのロールモーター制御部120のブロック図である。ロールモーター制御部120は、送り時電流算出部161と、基準電流算出部162と、ローパスフィルター163a,163bと、電流減算部164と、電流テンション変換部165と、テンション減算部166と、テンション補正量演算部167と、テンション加算部168と、PWM出力部152とを備えている。
なお、「検出テンション取得部」は、送り時電流算出部161と、基準電流算出部162と、電流減算部164と、電流テンション変換部165とを主な構成要素とする。「補正後テンション算出部」は、テンション減算部166と、テンション補正量演算部167と、テンション加算部168とを主な構成要素とする。
【0055】
送り時電流算出部161は、送り動作時に、送りモーター53に流れた電流である送り時電流Ia(k)を、所定の算出周期、例えば1msec周期で算出する。ここで、Ia(k)は、所定の算出周期でk回目に算出された送り時電流Iaを意味する。算出された送り時電流Ia(k)は、ローパスフィルター163aを介して電流減算部164に入力する。
【0056】
また、基準電流算出部162は、基準電流測定動作時に、送りモーター53に流れた電流である基準電流Ib(k)を、送り時電流算出部161と同じ算出周期、この場合1msec周期で算出する。この基準電流測定動作では、コントローラー100は、媒体Pを弛ませた状態で、送り動作時と同じ回転速度および同じ駆動時間で、送りモーター53を駆動する。コントローラー100は、基準電流測定動作を、例えば、各記録ジョブの開始前に実行する。なお、コントローラー100は、記録ジョブごとに基準電流測定動作を複数回行い、基準電流算出部162は、その平均値を基準電流Ib(k)とすることが好ましい。コントローラー100は、算出された基準電流Ib(k)を、RAM103またはPROM104に記憶し、基準電流測定動作を終了する。算出された基準電流Ib(k)は、ローパスフィルター163bを介して電流減算部164に入力する。
【0057】
ここで、送りモーター53に流れた電流Iは、(7)式により算出可能である。
I=(E×Duty−Ke×ω)/RR (7)
E:電源電圧
Duty:送りモーター53に出力されたPWM制御値
Ke:送りモーター53の逆起電力定数
ω:送りモーター53の回転速度
RR:送りモーター53の抵抗
なお、送りモーター53の逆起電力定数Keや抵抗RRは、温度により変動するため、これを補正するようにしてもよい。
【0058】
電流減算部164は、送り時電流Ia(k)から基準電流Ib(k)を減算したテンション電流Ic(k)を算出する。そして、電流減算部164は、算出された複数のテンション電流Ic(k)の平均値である平均テンション電流Idと、複数のテンション電流Ic(k)の最大値であるピークテンション電流Ieとを算出する。算出された平均テンション電流Idおよびピークテンション電流Ieは、電流テンション変換部165に入力する。
【0059】
電流テンション変換部165は、平均テンション電流Idに基づいて、平均テンションTdを算出し、ピークテンション電流Ieに基づいて、ピークテンションTeを算出する。平均テンションTdおよびピークテンションTeは、(8)式および(9)式によりそれぞれ求めることができる。
Td=Id×Kt×Z/Rk (8)
Te=Ie×Kt×Z/Rk (9)
Kt:送りモーター53のトルク定数
Z:送りモーター53の減速比
Rk:駆動ローラー51aの半径
【0060】
さらに、電流テンション変換部165は、(10)式により検出テンションTcを算出する。
Tc={Q1×Td/(Q1+Q2)}+{Q2×Te/(Q1+Q2)} (10)
ここで、Q1およびQ2は、検出テンションTcに対する平均テンションTdおよびピークテンションTeの重み付けのための任意の定数である。Q1およびQ2の値は、1回の送り動作中に複雑に変動するテンション電流Ic(k)から、いかに送り量に相関のある検出テンションTcを算出できるか、という観点から設定される。テンション電流Ic(k)の波形は、例えば、媒体Pの送り速度、送り動作当たりの媒体Pの送り量、ロール体RPの径等により変化するため、Q1およびQ2の値を、これらに応じて、複数パターン用意しておくことが好ましい。また、Q1およびQ2の値は、いずれか一方が0であってもよい。すなわち、検出テンションTcが平均テンションTdと等しくてもよく、検出テンションTcがピークテンションTeと等しくてもよい。例えば、送り動作当たりの媒体Pの送り量が比較的小さい場合には、ピークテンションTeが送り量に与える影響が大きいため、Q1=0とし、ピークテンションTeのみにより検出テンションTcを求めるようにしてもよい。また、媒体Pの送り速度が速い場合には、ロール体RPの径の大きさや、媒体Pの比重等により平均テンションTdとピークテンションTeの差が変動することがあるため、Q1およびQ2の値を設定し、平均テンションTdおよびピークテンションTeの両方を用いて検出テンションTcを求めることが好ましい。平均テンションTdおよびピークテンションTeの両方を用いる際には、平均テンションTdとピークテンションTeの差の変動量に応じて、Q1およびQ2の値を調整して、平均テンションTdおよびピークテンションTeの重み付けを変更できる。なお、平均テンションTdとピークテンションTeの差が、あまり変動せずに安定している場合には、Q2=0とし、平均テンションTdのみを用いて検出テンションTcを求めてもよい。
【0061】
テンション減算部166は、電流テンション変換部165から出力された検出テンションTc(n−1)と、主制御部110から指令された目標テンションTa(n)との誤差であるテンション誤差Tf(n)を算出する。
なお、括弧内の値は、送り動作の回数を意味している。例えば、Ta(n)は、n回目の送り動作時における目標テンションTaであることを意味している。以下、同様である。
【0062】
テンション補正量演算部167は、テンション減算部166から出力されたテンション誤差Tf(n)を積分したテンション誤差積分値Tg(n)を(11)式により算出する。さらに、テンション補正量演算部167は、(12)式によりテンション補正量Th(n)を算出する。
Tg(n)=Tg(n−1)+Tf(n) (11)
Th(n)=Tg(n)×G (12)
ここで、Gはゲインである。
なお、テンション誤差積分値Tgは、ロール体RPの装着、目標テンションTaの変更、および媒体Pの送り速度の変更のいずれか一つをトリガーとして、初期化つまり0クリアされる。
【0063】
テンション加算部168は、主制御部110から指令された目標テンションTa(n)と、テンション補正量演算部167から出力されたテンション補正量Th(n)とを加算し、合計された補正後テンションTb(n)を、PWM出力部152に出力する。
【0064】
PWM出力部152は、テンション加算部168から出力された補正後テンションTb(n)を、上記の(6)式に代入することにより、ロールモーター33の出力トルクMを算出する。PWM出力部152は、出力トルクMに比例したデューティ値のPWM信号を、モータードライバー106に出力する。モータードライバー106は、PWM出力部152から出力されたPWM信号に基づいて、送りモーター53をPWM制御にて駆動する。これにより、ロールモーター制御部120が、補正後テンションTb(n)を実現するための制御を行うことができる。
【0065】
以上のように、本実施形態の記録装置10によれば、(n−1)回目の送り動作時における検出テンションTc(n−1)をn回目の送り動作時にフィードバックすることにより、目標テンションTa(n)を補正した補正後テンションTb(n)を算出し、算出した補正後テンションTb(n)に基づいて、n回目の送り動作時にロールモーター33を制御する。このため、n回目の送り動作時に、目標テンションTa(n)に対する実際のテンションTの誤差を小さくすることができる。その結果、ロール体RPの偏心等に起因して、媒体Pが送られる間にロール負荷Nが変動するような場合にも、媒体Pに掛かるテンションTが送り動作ごとに変動することを抑制することができる。
【0066】
また、本実施形態の記録装置10によれば、(n−1)回目の送り動作時に検出した検出テンションTcを、n回目の送り動作時にフィードバックする構成であるため、各回の送り動作において、その前の回の送り動作時における検出テンションTcに基づいて、目標テンションTaを補正する。これにより、目標テンションTaに対する実際のテンションTの誤差を、より小さくすることができる。なお、ロール体RPの装着後、1回目の送り動作については、本実施形態のテンションFB制御によっては、目標テンションTa(1)を補正することはできない。もっとも、上述した負荷測定動作を行うことにより、1回目の送り動作時におけるテンション誤差Tf(1)を極力小さくすることが可能である。
【0067】
また、本実施形態の記録装置10によれば、ロールモーター33に流れた送り時電流Iaおよび基準電流Ibを取得することで、検出テンションTcを算出することができる。
【0068】
また、本実施形態の記録装置10によれば、平均テンション電流Idに対応する平均テンションTdと、ピークテンション電流Ieに対応するピークテンションTeとの少なくとも一方に基づいて、検出テンションTcを算出する。これにより、1回の送り動作中に複雑に変動するテンション電流Icから、送り量に相関のある検出テンションTcを算出することができる。
【0069】
また、本実施形態の記録装置10によれば、テンション誤差積分値Tgを用いてテンション補正量Thを算出することにより、つまり積分制御を行うことにより、目標テンションTaに対して実際のテンションを徐々に近づけることができる。このため、検出テンションTcに検出誤差を含んでいるような場合にも、検出誤差が増幅した形でテンション補正量Thが算出されることを抑制することができる。
【0070】
なお、本実施形態は、以下のような形態に変更することができる。
n回目の送り動作時にフィードバックされる検出テンションTcは、(n−1)回目以前の任意の回の送り動作時の検出テンションTcであればよく、例えば、(n−2)回目の送り動作時の検出テンションTc(n−2)であってもよい。この場合、テンション減算部166は、テンション誤差Tf(n)を、検出テンションTc(n−2)と、目標テンションTa(n)との誤差として算出する。好ましくは、送り動作時にロール体RPを回転させる際、ロール体RPが1周回転するうちのある角度が、同じ角度の位置を通過する回の検出テンションTcを用いた方がよい。すなわち、ロール体RPが1周回転する間に回転速度等が変動する場合、送り動作時に同じような変動が生じる角度で回転させる回の検出テンションTcを用いた方がよい。これによれば、ロール体RPが偏心している場合、ロール体RPが回転する時の負荷変動が近い状態の送り動作時の検出テンションTc用いることができる。また、n回目の送り動作時にフィードバックされる検出テンションTcは、(n−1)回目以前の全ての回、または、任意の複数回の平均値であってもよい。
【0071】
検出テンションTcを取得する態様としては、例えば、ロール体RPと駆動ローラー51aとの間にテンション測定器を設け、テンション測定器により測定した媒体PのテンションTを、検出テンションTcとして取得するようにしてもよい。
【0072】
本発明の媒体送り装置の適用例としては、インクジェット方式の記録装置に限定されるものではなく、例えば、ドットインパクト式の記録装置、電子写真式の記録装置であってもよい。さらに、記録装置に限定されるものではなく、例えば、媒体を送りながら媒体に乾燥処理を施す乾燥装置や、媒体を送りながら媒体に表面処理を施す表面処置装置に、本発明の媒体送り装置を適用してもよい。また、媒体にそのような処理を施す装置に限定されず、単に媒体を送るだけの装置であっても構わない。
【符号の説明】
【0073】
10:記録装置、31:回転ホルダー、33:ロールモーター、51a:駆動ローラー、53:送りモーター、P:媒体、RP:ロール体。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7