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特開2015-231947セメント外皮を含むハニカム構造およびそのためのセメント
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2015-231947(P2015-231947A)
(43)【公開日】2015年12月24日
(54)【発明の名称】セメント外皮を含むハニカム構造およびそのためのセメント
(51)【国際特許分類】
   C04B 41/85 20060101AFI20151201BHJP
   C04B 38/00 20060101ALI20151201BHJP
【FI】
   C04B41/85 D
   C04B38/00 303Z
【審査請求】有
【請求項の数】16
【出願形態】OL
【全頁数】19
(21)【出願番号】特願2015-146480(P2015-146480)
(22)【出願日】2015年7月24日
(62)【分割の表示】特願2013-542094(P2013-542094)の分割
【原出願日】2011年11月29日
(31)【優先権主張番号】61/417,616
(32)【優先日】2010年11月29日
(33)【優先権主張国】US
(71)【出願人】
【識別番号】397068274
【氏名又は名称】コーニング インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100073184
【弁理士】
【氏名又は名称】柳田 征史
(74)【代理人】
【識別番号】100090468
【弁理士】
【氏名又は名称】佐久間 剛
(72)【発明者】
【氏名】トーマス アール チャップマン
(72)【発明者】
【氏名】リンダ ジェイ インガーソル
(72)【発明者】
【氏名】パトリック ディー テペシュ
【テーマコード(参考)】
4G019
【Fターム(参考)】
4G019FA12
(57)【要約】      (修正有)
【課題】ハニカム体と、ハニカム体の外面に塗布される多峰性粒径分布を有する非晶質ガラス粉末を含むセメントから形成され、熱膨張及び外皮とセラミック体との結合のバランスのとれた外層又は外皮とを含むハニカム触媒担体構造を提供する。
【解決手段】多峰性粒径分布は、第1の中央粒径を有する第1のガラス粉末及び少なくとも、第2の中央粒径を有する第2のガラス粉末の使用によって得られ、第1及び第2のガラス粉末は、石英ガラスからなる同じ非晶質ガラスであり、セメントは、コロイドシリカの形態のマイクロメートル未満のサイズの微粒子シリカを更に含み、乾燥後に15×10−7/℃未満、好ましくは約7〜10×10−7/℃の熱膨張係数を示すセメント層を含むハニカム構造体10。焼セメント層の破壊係数が14〜45kg/cmであり、多孔度が30〜60%で弾性率が1.6×10Pa以下である、ハニカム構造体10。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1および第2の対向する端面の間で軸方向に延在する複数のセルを含むセラミックハニカム体であって、前記複数のセルが、交差する多孔質の壁により画定されるハニカム体と;
前記ハニカム体の周囲にわたって付着される石英ガラスを含むか焼セメント層であって、600℃から23℃に冷ます際の前記か焼セメント層の平均熱膨張係数が、15×10−7/℃以下であるセメント層と;
を含むことを特徴とするハニカム構造。
【請求項2】
600℃から23℃に冷ます際の前記か焼セメント層の平均熱膨張係数が、7×10−7/℃から10×10−7/℃までの範囲内であることを特徴とする、請求項1に記載のハニカム構造。
【請求項3】
30分間にわたって600℃まで加熱してから23℃まで冷ました後、10倍の倍率で前記か焼セメント層に目に見える亀裂が示されないことを特徴とする、請求項1または請求項2に記載のハニカム構造。
【請求項4】
前記か焼セメント層が、無機繊維強化材を含むことを特徴とする、請求項1〜3のいずれか一項に記載のハニカム構造。
【請求項5】
前記か焼セメント層の破壊係数が、14kg/cmから45kg/cmまでの範囲内であることを特徴とする、請求項1〜4のいずれか一項に記載のハニカム構造。
【請求項6】
前記か焼セメント層の多孔度が、30%から60%までの範囲内であることを特徴とする、請求項1〜5のいずれか一項に記載のハニカム構造。
【請求項7】
前記か焼セメント層の弾性率が、1×10Pa以下であることを特徴とする、請求項1〜6のいずれか一項に記載のハニカム構造。
【請求項8】
二峰性粒径分布を有する非晶質石英ガラスを含むセメント混合物を、ハニカム体の周囲に塗布する工程と;
前記セメント混合物をか焼し、か焼セメント層を形成する工程と;
を含み;
600℃から23℃に冷ます際の前記か焼セメント層の平均熱膨張係数が、15×10−7/℃以下であることを特徴とする、ハニカム構造を形成する方法。
【請求項9】
前記セメント混合物が、10μm〜50μmの範囲のD50を有する第1の粒径分布を有する第1の非晶質石英ガラス粉末、および150〜300μmの範囲のD50を有する第2の粒径分布を有する第2の非晶質石英ガラス粉末を含むことを特徴とする、請求項8に記載の方法。
【請求項10】
前記第1の粒径分布が、1μm〜10μmの範囲のD10および25μm〜125μmの範囲のD90を有することを特徴とする、請求項9に記載の方法。
【請求項11】
前記第2の粒径分布が、100μm〜150μmの範囲のD10、および250μm〜350μmの範囲のD90を有することを特徴とする、請求項9に記載の方法。
【請求項12】
前記第2の非晶質石英ガラス粉末対前記第1の非晶質石英ガラス粉末の比率は、1:4〜1:1の範囲内であることを特徴とする、請求項9に記載の方法。
【請求項13】
前記セメント混合物がさらにコロイドシリカ粒子を含み、該コロイドシリカ粒子の最大粒径は1μm未満であることを特徴とする、請求項8〜12のいずれか一項に記載の方法。
【請求項14】
前記第1の非晶質石英ガラス粉末が、前記セメント混合物の無機固体成分の総重量の20重量%〜60重量%の範囲を占めることを特徴とする、請求項9に記載の方法。
【請求項15】
前記第2の非晶質石英ガラス粉末が、前記セメント混合物の無機固体成分の総重量の10重量%〜40重量%の範囲を占めることを特徴とする、請求項9に記載の方法。
【請求項16】
請求項8〜15のいずれか一項に記載の方法により作製されるハニカム構造。
【発明の詳細な説明】
【関連出願の相互参照】
【0001】
本出願は、米国特許法第119条の下で、内容が参照により本明細書に援用される、2010年11月29日に出願された米国仮特許出願第61/417,616号の優先権の利益を主張するものである。
【技術分野】
【0002】
本発明は、一般に、ハニカム構造に関し、特に、セラミックハニカム微粒子フィルタおよび下にあるハニカム体との改良された熱膨張適合性を示す外皮層を備えた基板に関する。
【背景技術】
【0003】
その効率性、耐久性および経済面によりディーゼルエンジンに多くの関心が向けられてきた。しかしながら、ディーゼル排出物は、米国および欧州において、環境および人へのその有害な影響のために非難の的になってきた。このため、より厳しい環境規制は、ディーゼルエンジンがガソリンエンジンと同じ水準に保持されることを求めるであろう。したがって、ディーゼルエンジンメーカーおよび排出物制御関連の企業は、消費者に対して最小のコストで全ての運転条件下で最も厳しい要件を満たす、より速く、よりクリーンなディーゼルエンジンを実現しようと取り組んでいる。
【0004】
大きい直径を有するディーゼル微粒子フィルタおよび基板は、予測不可能な乾燥および焼成収縮のため、相手先商標製品の製造業者(OEM)およびサプライチェーンによって設定された厳しい寸法要件に合わせて現在製造することができない。その結果、コージエライトモノリスの外皮を形成するのに低温硬化セラミックセメントが使用されてきた。低温硬化セラミックセメントは、混合され、焼成され成形された基板に塗布され、その後、湿潤した外皮が、周囲条件下で、または高温での対流乾燥またはマイクロ波乾燥によって乾燥される。その後、乾燥した部分は、触媒コーティングおよび必要とされる任意のさらなる下流処理を受ける準備ができた状態になる。
【0005】
現在の外皮設計では、最終用途と、途中の処理および取扱いとの間で、物理的特性要件の不一致が生じる。使用中、材料は、激しい温度勾配に耐えるために、低い熱膨張および高い熱衝撃耐性(低い弾性率)を有さなければならない。これらの特性を得るために、高い多孔度および弱い結合が、最大外皮可撓性のために必要とされる。出荷、取扱いおよび/または処理(触媒化(catalyzation)の際の極端なpHへの曝露を含む)に耐えるために、高強度および耐チップ性/耐摩耗性が必要とされる。これらの特性を得るために、低い多孔度および外皮とセラミック体との間の強い結合が、最大外皮強度のために求められる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上記の特性間のバランスを得るためのこれまでの試みは、低い熱膨張係数(CTE)を実現するための外皮中の充填材としての粉末状(ground)コージエライトに重点が置かれてきた。しかしながら、粉末状コージエライトは、減少したCTEを有する外皮を生成することができても、得られるCTEは、急速の加熱および冷却サイクルの最も極端なオーブン熱処理条件を可能にするには不十分に低い。
【課題を解決するための手段】
【0007】
一実施形態において、ハニカム構造が開示され、このハニカム構造は、第1および第2の対向する端面の間で軸方向に延在する複数のセルを含むハニカム体であって、セルが、交差する多孔質の壁を含むハニカム体と、ハニカム体の周囲にわたって付着されるセメント混合物であって、約10μm〜約50μmの範囲のD50を有する第1の粒径分布を有する第1のガラス粉末充填材および約150〜約300μmの範囲のD50を有する第2の粒径分布を有する第2のガラス粉末充填材を含むセメント混合物とを含み、第1および第2のガラス粉末が、非晶質石英ガラスである。セメント混合物は、セメント混合物が乾燥されているがか焼されていないという点で未焼成セメント混合物であってもよく、またはセメント混合物は、か焼セメント混合物であってもよい。600℃から室温に冷ます際のセメント混合物の平均熱膨張係数は、約15×10−7/℃以下、好ましくは約10×10−7/℃以下である。
【0008】
いくつかの実施形態において、セメント混合物は、か焼セメント混合物であり、セメント混合物の熱膨張係数は、ハニカム体の熱膨張係数と実質的に等しい。セメント混合物は、コージエライトまたはムライトをさらに含んでいてもよい。セメント混合物は、コロイドシリカ粒子もさらに含んでいてもよく、コロイドシリカ粒子の最大粒径は、1μm未満である。
【0009】
第1のガラス粉末充填材の第1の粒径分布は、好ましくは、約1μm〜約10μmの範囲のD10および約25μm〜約125μmの範囲のD90を有する。第2のガラス粉末充填材の第2の粒径分布は、好ましくは、約100μm〜約150μmの範囲のD10、および約250μm〜約350μmの範囲のD90を有する。第1のガラス粉末充填材は、セメント組成物の無機固体成分の総重量の20重量%〜60重量%を占める。第2のガラス粉末充填材は、セメント組成物の無機固体成分の総重量の10重量%〜40重量%を占める。第2のガラス粉末充填材対第1のガラス粉末充填材の比率は、好ましくは、約1:4〜約1:1の範囲である。
【0010】
特定の実施形態において、セラミック構造のか焼セメント外皮は、30分間にわたって600℃の温度まで加熱してから、23℃まで自然に冷ました後に、10倍の倍率で目に見える亀裂を示さなかった。すなわち、セラミック構造を、炉中で、600℃の温度まで加熱し、30分間にわたって600℃に維持し、次に、炉から、約23℃の周囲雰囲気中に取り出し、強制冷却(冷却空気の吹き込みなど)ではなく自然に冷ました。特定の他の実施形態において、セラミック構造のか焼セメント外皮は、30分間にわたって1000℃の温度まで加熱してから、23℃まで自然に冷ました後に、10倍の倍率で目に見える亀裂を示さなかった。
【0011】
別の実施形態において、ハニカム構造を作製する方法が記載され、この方法は、第1および第2の対向する端面の間で軸方向に延在する複数のセルを含むハニカム体であって、セルが、交差する多孔質の壁を含むハニカム体を押し出す工程と、ハニカム体を成形し、それによって、ハニカム体の周囲の多孔質の壁の部分を露出させる工程と、約10μm〜約50μmの範囲のD50を有する第1の粒径分布を有する第1のガラス粉末充填材、および約150〜約300μmの範囲のD50を有する第2の粒径分布を有する第2のガラス粉末充填材を含むセメント混合物を、成形されたハニカム体の周囲に塗布し、それによって、ハニカム構造を形成する工程と、セメント混合物を乾燥させる工程とを含む。好ましくは、乾燥後のセメント混合物の熱膨張係数は、15×10−7/℃未満である。
【0012】
第1および第2のガラス粉末充填材は、例えば、石英ガラスであり得る。第1の粒径分布は、好ましくは、約1μm〜約10μmの範囲のD10および約25μm〜約125μmの範囲のD90を有する。第2の粒径分布は、約100μm〜約150μmの範囲のD10、および約250μm〜約350μmの範囲のD90を有する。第1のガラス粉末充填材は、好ましくは、セメント組成物の無機固体成分の総重量の約20重量%〜約60重量%の範囲を占める。第2のガラス粉末充填材は、好ましくは、セメント組成物の無機固体成分の総重量の約10重量%〜約40重量%の範囲を占める。
【0013】
セメント混合物は、典型的に、1000℃未満の温度で乾燥される。セメント混合物は、セラミック強化用繊維をさらに含んでいてもよい。乾燥後のセメント混合物の破壊係数は、好ましくは、約20kg/cm〜約60kg/cmの範囲である。
【0014】
さらに別の実施形態において、セラミックハニカム体に塗布するためのセメント混合物が開示され、このセメント混合物は、約10μm〜約50μmの範囲のD50を有する第1の粒径分布を有する第1のガラス粉末充填材、約150μm〜約300μmの範囲のD50を有する第2の粒径分布を有する第2のガラス粉末充填材、および無機バインダー材料を含む。第1および第2のガラス粉末充填材は、例えば、石英ガラスであり得る。第1の粒径分布は、約1μm〜約10μmの範囲のD10および約25μm〜約125μmの範囲のD90を有する。第2の粒径分布は、約100μm〜約150μmの範囲のD10、および約250μm〜約350μmの範囲のD90を有する。第2のガラス粉末充填材対第1のガラス粉末充填材の比率は、約1:4〜約1:1の範囲である。無機バインダー材料は、好ましくは、コロイドシリカまたはコロイドアルミナを含む。1μm以上の直径を有する無機微粒子材料の粒径分布は、例えば二峰性であり得る。
【0015】
第1のガラス粉末充填材は、セメント混合物の無機成分の総重量の30重量%〜40重量%を占める。例えば、第1のガラス粉末充填材は、セメント組成物の無機固体成分の総重量の25重量%〜50重量%、セメント組成物の無機固体成分の総重量の30重量%〜50重量%、セメント組成物の無機固体成分の総重量の30重量%〜50重量%、セメント組成物の無機固体成分の総重量の30重量%〜45重量%、セメント組成物の無機固体成分の総重量の30重量%〜40重量%またはセメント組成物の無機固体成分の総重量の30重量%〜35重量%を占め得る。
【0016】
第2のガラス粉末充填材は、好ましくは、セメント混合物の無機成分の総重量の15重量%〜25重量%を占める。第2のガラス粉末充填材は、好ましくは、セメント組成物の無機固体成分の総重量の10重量%〜35重量%を占める。例えば、第2のガラス粉末充填材は、セメント組成物の無機固体成分の総重量の15重量%〜35重量%、セメント組成物の無機固体成分の総重量の20重量%〜35重量%、セメント組成物の無機固体成分の総重量の25重量%〜35重量%またはセメント組成物の無機固体成分の総重量の30重量%〜35重量%を占め得る。
【0017】
いくつかの実施形態において、セメント混合物は、繊維セラミック強化材をさらに含んでいてもよい。繊維強化材は、好ましくは、セメント組成物の無機固体成分の総重量の約35重量%〜約45重量%の範囲またはセメント組成物の無機固体成分の総重量の約35重量%〜約40重量%の範囲を占める。
【0018】
無機バインダー材料の固体部分は、セメント組成物の無機固体成分の総重量の約0重量%〜約15%重量%、好ましくは約2重量%〜約4重量%の範囲を占める。
【0019】
本発明のさらなる特徴および利点が、以下の詳細な説明に記載され、ある程度、その説明から当業者に容易に明らかになり、または以下の詳細な説明、特許請求の範囲、ならびに添付の図面を含め、本明細書に記載される本発明を実施することによって認識される。
【0020】
上記の全般的な説明および以下の詳細な説明はいずれも、本発明の実施形態を示し、権利請求される本発明の性質および特徴を理解するための概説または枠組みを提供することが意図されていることが理解されるべきである。添付の図面は、本発明のさらなる理解を与えるために含まれ、本明細書の一部に組み込まれ、本明細書の一部をなすものである。図面は、本発明の様々な実施形態を例示し、本明細書とともに、本発明の原理および作用を説明する役割を果たすものである。
【図面の簡単な説明】
【0021】
図1】本発明の一実施形態に係るハニカム構造の斜視図である。
図2図1のハニカム体の端面図である。
図3】本発明の実施形態に係るガラス粉末充填材の粒径分布の例を示すグラフである。
図4】本発明の実施形態に係るセメントの例の熱膨張係数を示す、エラーバー付きのグラフである。
図5】本発明の実施形態に係るセメントの例についての破壊係数を示すグラフである。
図6】x線回折解析の前の、本発明の実施形態に係る外皮を有する(skinned)構造の曝露についての温度対時間のプロットである。
図7】塗布されたままの外皮を有する第1のハニカム構造および図6の温度−時間スケジュールに曝した後のハニカム構造についてのx線回折結果のプロットである。
【発明を実施するための形態】
【0022】
これより、本発明の実施形態が詳細に言及され、その例が、添付の図面に示される。できる限り、図面全体を通して、同じかまたは類似の部分を指すのに同じ参照番号が使用される。
【0023】
本明細書において使用される際、未焼成材料は、無機および/または有機材料の混合物を含む焼成されていない材料である。未焼成材料は、様々な無機充填材、無機および/または有機バインダー材料、および液体媒体を含み得る。未焼成材料は、流体含有物(例えば水)を除去するために乾燥され得る。乾燥は、ある部分を周囲雰囲気に一晩曝しておくことによって行われることが多いが、熱風、強制空気、マイクロ波または赤外線が、乾燥を促進するために使用されてもよい。
【0024】
本明細書において使用される際、か焼は、材料中に含まれる有機材料を燃焼し尽くすのに十分な期間にわたって1000℃未満の温度、例えば、約3時間にわたって600℃まで未焼成材料を加熱することを指す。
【0025】
本明細書において使用される際、「追加添加(super addition)」は、混合物の無機成分の100重量パーセントを基準にした、またそれに対する、例えば、有機バインダー、液体媒体、添加剤または細孔形成剤などの成分の重量パーセントを指す。
【0026】
図1および2に示されるのは、ハニカム体12を含む一実施形態に係る例示的なハニカム構造10である。ハニカム体12は、長手方向軸14および長さLを有し、対向する端面20、22の間で軸方向に延在する互いに隣接するセルまたはチャネル18を形成する複数の交差する多孔質の壁16を含む。セル密度は、100〜900セル/平方インチ(15〜139セル/cm)であり得る。典型的なセルの壁厚は、約0.025mm〜約1.5mmの範囲であり得る。本明細書において使用される際、「ハニカム」という用語は、一般にハニカム構造を含むことが意図されるが、正方形構造に厳密に限定されるわけではない。例えば、六角形、八角形、三角形、矩形または任意の他の好適な形状が使用されてもよい。多孔質の壁内に含まれる典型的な細孔径は、0.1μm〜約100μmであり得、セル壁の多孔度は、約15%〜75%、好ましくは約25%〜50%である。
【0027】
ハニカム体12は、コージエライト(2MgO−2Al−5SiO)などのセラミック材料から形成され得る。しかしながら、Mg(マグネシウム)の代わりにFe(鉄)、Co(コバルト)、Ni(ニッケル)およびMn(マンガン)、Al(アルミニウム)の代わりにGa(ガリウム)およびケイ素の代わりにGe(ゲルマニウム)などの他の成分の限定された置換が許容可能である。また、コージエライト相は、アルカリ金属、アルカリ土類金属または希土類金属を含み得る。ハニカム体12は、場合によっては、炭化ケイ素、チタン酸アルミニウム、γアルミナおよび/またはムライト、またはそれらの組合せなどの他のセラミック材料で作製されていてもよい。
【0028】
ハニカム体は、ハニカムモノリス体を形成するのに適した任意の従来のプロセスにしたがって形成され得る。例えば、バッチ組成物を形成する可塑化セラミックは、押出し、射出成形、スリップキャスト成形、遠心鋳造、圧迫鋳造、乾式プレスなどの任意の公知の従来のセラミック形成プロセスによって未焼成体へと成形され得る。典型的に、ハニカム構造は、押出しプロセスによって形成され、押出しプロセスでは、セラミック材料が、押し出されて未焼成体にされてから、未焼成体が焼成されて、最終的なセラミック構造が形成される。例示的実施形態において、押出しは、水圧ラム押出しプレス(hydraulic ram extrusion press)、二段階脱気一軸オーガー押出機(two stage de−airing single auger extruder)、または吐出端にダイアセンブリが取り付けられた二軸混合機を用いて行うことができる。押し出された材料は、エンジンメーカーの要求を満たすように成形およびサイズ決定されたろ過体などのハニカム構造を生じるように切断することができる。これらの押し出された未焼成体は、任意のサイズまたは形状であり得る。
【0029】
一般に、セラミックハニカム構造が押し出されるにつれて、固体の外面が、表面の長さに沿って設けられる。しかしながら、特定の状況下で、外面を取り除くことが必要になることがある。例えば、未焼成の押し出されたハニカム構造が、押し出された外面を取り除くことによって、所望の形状およびサイズへと成形され得る。あるいは、未焼成ハニカム構造が焼成され、次に、押し出された外面および所望の形状およびサイズを得るのに必要な多孔質の壁構造の任意の部分を取り除くことによって、所望の形状およびサイズへと研削加工され得る。所望の形状およびサイズを得るためにハニカム構造の押し出された外面を切断、研磨(sanding)または研削加工(grinding)することを含む、当該技術分野において公知の任意の手段によって成形を行うことができる。所望の形状およびサイズが得られたら、新たな外面、または外皮を、本体上に形成するために、サイズ決定された本体の外周にセメント材料を塗布することができる。典型的に、ハニカム体の端部は、セメントで覆われないが、必要に応じて特定の通路が塞がれてもよい。セメント組成物が、ハニカム構造に塗布されたら、セメント組成物を乾燥させ、および/またはか焼することができる。いくつかの実施形態において、セメントが上に塗布されるハニカム体は、焼成されたセラミック材料を含む。他の実施形態において、ハニカム体は、未焼成体またはか焼体を含む。場合によっては、か焼ハニカム構造の最終的な焼成を、触媒化プロセス中に行うことができる。
【0030】
セメントの層をハニカム体12に塗布するのに様々な方法が用いられ得る。例えば、計量供給装置(図示せず)を用いて、適切な量のセメント混合物を、ハニカム体12の外面に塗布することができる。外皮材料l(例えばセメント)を塗布する方法は、当該技術分野において周知であり、本明細書においてさらに説明されない。例えば、内容が全体的に参照により本明細書に援用される米国特許出願第12/231140号明細書には、セメント外皮をハニカム体に塗布する様々な方法が記載されている。
【0031】
したがって、ハニカム構造10は、ハニカム体12の周囲面にわたって付着される外壁24をさらに含む。外壁24(以後、外皮24)は、低熱膨張充填材としてのガラス粉末、バインダーおよびガラスベースのセメントの固体成分を保有するための溶媒または媒体を含むセメントである。好ましくは、ガラス粉末充填材のガラスは、非晶質石英ガラス(SiO)である。ガラス粉末充填材は、10〜20μmの中央粒径(D50)を有することができ、最小粒径が7μm〜75μmで、最大粒径が50μm〜70μmである。粒径を、質量基準の球相当径として求めた。ガラス粉末充填材は、セメントの全無機成分の例えば60〜80重量%を占め得る。好適なシリカ粉末充填材が、例えば、CE Minerals of Tennessee Electro Minerals Incorporated(Tennessee,USA)から入手可能な商標名Teco−Silで入手可能である。特に示されない限り、本明細書における全ての粒径測定を、Microtrac Inc.の粒径分析器を用いて行った。
【0032】
別の実施形態において、ハニカム構造10の外皮24は、非晶質ガラスベースのセメントを含み、このセメントは、低熱膨張充填材としての第1の(微細な)ガラス粉末、低熱膨張充填材としての第2の(粗い)ガラス粉末、バインダーおよびガラスベースのセメントの固体成分を保有するための溶媒または媒体を含む組成物から形成される。好ましくは、第1のガラス粉末充填材および第2のガラス粉末充填材の両方のガラスは、約1μmを超える粒径を有する非晶質石英ガラスである。約1μmを超える粒径を有するガラス粉末充填材の分布が、粒径の複数の峰(極大)を示すことから、ガラス粉末充填材粒径の分布は、好ましくは多峰性である。一実施形態において、非晶質ガラスベースのセメントは、約1μmを超える粒径を有する非晶質ガラス粒子の二峰性粒径分布を有する。ガラスベースのセメントは、第1のガラス粉末充填材を含んでいてもよく、ここで、第1のガラス粉末充填材の中央(D50)粒径は、好ましくは約10〜約50μm、約15μm〜約50μm、約20μm〜約45μmまたは約30μm〜約45μmの範囲であり、D10が約1μm〜約10μmの範囲であり、D90が約25μm〜約125μmの範囲である。第2のガラス粉末充填材の中央(D50)粒径は、好ましくは約150μm〜約300μmの範囲、約150μm〜約250μmの範囲、約170μm〜約230μmの範囲、約180μm〜約220μmの範囲であり、D10が約100μm〜約150μmの範囲であり、D90が約250μm〜約350μmの範囲である。粒径を、質量基準の球相当径として求める。本明細書において使用される際、D50という用語は、粒径の分布の中央値を表し、D10は、分布の10%が、当該粒径より小さい粒径(単位マイクロメートル)を表し、D90は、分布の90%が、当該粒径より小さい粒径(単位マイクロメートル)を表す。ガラスベースのセメントは、例えば、セメントの無機固体成分の総重量の約20〜約60重量%の範囲、約25重量%〜約50重量%の範囲、約25重量%〜約40重量%の範囲、または約25重量%〜約35重量%の範囲の量の第1のガラス粉末充填材を含有し得る。ガラスベースのセメントは、例えば、セメントの無機固体成分の総重量の約10重量%〜約40重量%の範囲、約15重量%〜約40重量%の範囲、約20重量%〜約35重量%の範囲の量の第2のガラス粉末充填材を含有し得る。
【0033】
一実施形態において、第1のガラス粉末充填材のD50は、約34μm〜約40μmの範囲であってもよく、第2のガラス粉末充填材の中央粒径は、約190μm〜約280μmの範囲である。一例において、第1のガラス粉末充填材は、約6.0μmのD10、約34.9μmのD50および約99μmのD90を有する。別の例において、第1のガラス粉末充填材は、約6.7μmのD10、約39.8μmのD50、および約110.9μmのD90を有する。さらに別の例において、第1のガラス粉末は、約2.7μmのD10、約13.8μmのD50および約37.8μmのD90を有し、さらに別の例において、第1のガラス粉末充填材は、約2.8μmのD10、約17.2μmのD50および約47.9μmのD90を有する。
【0034】
第2のガラス粉末充填材対第1のガラス粉末充填材の比率は、約1:3.5〜約1:1、約1:3〜約1:1、約1:2.5〜約1:1、約1.2〜約1:1または約1:1.5〜約1:1などの、約1:4〜約1:1の範囲であり得る。好ましい実施形態において、第2のガラス粉末充填材対第1のガラス粉末充填材の比率は1:1である。
【0035】
本開示のセメント組成物を提供するために、上記の無機粉末のいずれかおよび何らかの任意の無機添加剤成分を含む無機粉末は、好適な有機および/または無機バインダー材料と一緒に混合され得る。有機バインダー材料は、セルロースエーテル、メチルセルロース、エチルセルロース、ポリビニルアルコール、ポリエチレンオキシドなど、またはいくつかの実施形態において、Actigum(登録商標)、キサンタンガムまたはラテックスなどのゴム状の材料などの1種以上の有機材料を含み得る。例えば、4 Methocelが、好適な有機バインダーである。Methocel A4は、Dow Chemicalから入手可能な水溶性メチルセルロースポリマーバインダーである。好適な無機バインダーは、水などの好適な液体中に懸濁されたナノメートルサイズのシリカまたはアルミナ粒子を含むコロイドシリカまたはアルミナを含み得る。無機バインダー材料は、好ましくは、セメント中に存在する無機固体の総重量の約10%未満の量でセメント組成物中に存在し、いくつかの実施形態において、無機バインダーは、約5重量%以下、特定の他の実施形態において、有機バインダーの流体部分を考慮に入れて約2重量%〜約4重量%の範囲(流体部分の重量の分が取り除かれる)の量で存在する。好適なコロイドシリカバインダー材料は、W.R.Graceによって製造されるLudox HS40である。典型的なコロイド状バインダー材料は、脱イオン水媒体中の懸濁液として約40重量%の固体材料を含み得る。
【0036】
いくつかの実施形態において、上に記載されるセメントは、無機繊維強化材も含み得る。例えば、アルミノケイ酸塩繊維が、外皮を塗布した後にハニカム構造を強化するために、セメント混合物に加えられてもよい。例えば、セメントは、セメントの無機固体成分の総重量の約25〜約50重量%、約30〜約50重量%、いくつかの実施形態において、セメントの無機固体成分の総重量の約35〜約45重量%の無機繊維材料を含み得る。特定の他の実施形態において、繊維無機強化材は、セメント組成物の無機固体の総重量のうちのパーセンテージとして約36重量%〜約43重量%の量で存在し得る。好適な無機繊維強化材は、Unifraxから入手可能なFiberfrax QF 180であるが、任意の高いアスペクト比の耐火性の微粒子が使用され得る。
【0037】
典型的に、流動性またはペースト様の稠度を与えるための好ましい液体媒体または溶媒は、脱イオン(DI)水などの水を含んでいたが、他の材料が使用されてもよい。液体媒体含有物が、セメント混合物の無機成分の約30重量%以下、好ましくはセメント混合物の無機成分の約10重量%〜約25重量%の範囲の量で追加添加として存在し得る。しかしながら、液体媒体は、典型的に、セメントを塗布しやすいものにするのに適した粘度が得られるように調整される。
【0038】
いくつかの実施形態において、セメントは、セメントとハニカム体との接着性を向上させるための接着促進剤などの有機改質剤を任意にさらに含有していてもよい。例えば、Michem 4983が、この目的に適していることが分かっている。
【0039】
以下の表1に示されるのは、本明細書に記載される実施形態に係る異なるセメント混合物の2つの例であり、各セメント混合物は、1μmを超える粒径を有する非晶質石英ガラス充填材を含有し、ここで、第1のシリカ粉末充填材および無機繊維材料の重量%は、セメントの全無機成分の%として表される。
【0040】
【表1】
【0041】
表2は、石英ガラス粒子の多峰性分布を有する本明細書に記載される実施形態に係るガラスベースのセメント混合物の3つの例を列挙しており、ここで、第1および第2のシリカ粉末充填材、コロイドシリカおよび無機繊維材料についての重量基準のパーセンテージが、セメントの全無機成分の%として表される。
【0042】
【表2】
【0043】
例C、DおよびEについての粒径分布が図3に示され、ここで、曲線26は、第1のガラス粉末(例えば−325 Teco−Sil)についての粒径分布を表し、曲線28は、別のガラス粉末(例えば−200 Teco−Sil)についての粒径分布を表し、曲線30は、さらに別のガラス粉末(例えば44i Teco−Sil)についての粒径分布を表し、曲線32は、別のガラス粉末(例えば−50+100 Teco−Sil)についての粒径分布を表す。
【0044】
本明細書に開示される実施形態によれば、600℃から室温に冷ます際のか焼セメントの平均熱膨張係数(CTE)は、15×10−7/℃以下、好ましくは約12×10−7/℃以下、好ましくは約10×10−7/℃以下、好ましくは約8×10−7/℃以下である。本明細書において使用される際、室温は23℃を意味する。好ましくは、か焼セメント混合物の熱膨張係数は、ハニカム体の熱膨張係数に等しい。特定の実施形態において、CTEは、約7×10−7/℃〜約10×10−7/℃の範囲であり得る。例えば、図4は、上記の例A〜Eについての、600℃から室温に冷ます際の平均CTEをグラフで示す。エラーバーが、各データセットの右に含まれる。示されるように、試料Aは、約5.1×10−7/℃の平均CTEを有し、試料Bは、約5.9×10−7/℃の平均CTEを有し、試料Cは、約8.6×10−7/℃の平均CTEを有し、試料Dは、約8.5×10−7/℃の平均CTEを有し、試料Eは、約8.6×10−7/℃の平均CTEを有していた。室温におけるセメント試料の寸法を測定し、次に、試料を600℃の温度まで加熱することによって、CTEの決定を行った。試料を600℃で平衡に保った後、1分当たり約1回の頻度で寸法測定を行いながら、試料を室温に冷ました。線膨張曲線を仮定してデータから平均CTEを求めた。
【0045】
本明細書に開示される実施形態によれば、非か焼セメントの破壊係数(MOR)は、約20kg/cm〜約60kg/cmの範囲、好ましくは約20kg/cm〜約50kg/cmの範囲、好ましくは約20kg/cm〜約40kg/cmの範囲、好ましくは約20kg/cm〜約35kg/cmの範囲である。非か焼セメントの破壊係数は、いくつかの実施形態において、22kg/cm〜35kg/cmである。特定の実施形態において、非か焼MORは、約24kg/cm〜約30kg/cmの範囲である。
【0046】
本明細書に開示される実施形態によれば、か焼セメントの破壊係数(MOR)は、約14kg/cm〜約45kg/cmの範囲、好ましくは約14kg/cm〜約40kg/cmの範囲、好ましくは約14kg/cm〜約35kg/cmの範囲、好ましくは約14kg/cm〜約30kg/cmの範囲である。か焼セメントの破壊係数は、いくつかの実施形態において、14kg/cm〜25kg/cmである。特定の実施形態において、か焼MORは、約14kg/cm〜約20kg/cmの範囲である。
【0047】
ASTM C158、Standard Test Methods for Strength of Glass by Flexure(Determination of Modulus of Rupture)に準拠した四点曲げ方法で、破壊係数を、キャスト(非か焼)シートおよびか焼シートについて求めた。図5は、か焼および非か焼(未焼成)の両方の試料A〜Eについて測定された破壊係数を示す。それらの試料、および本明細書に記載される他の試料の全てのか焼を、箱形炉において、3時間で600℃まで線形に温度上昇させながら行った後、3時間600℃に保持し、次に、3時間かけて室温まで温度を下げた。商業用途では、セラミック物品には、触媒がウォッシュコートされた後、有機材料を除去するための熱処理がなされるであろう。セラミック物品には、有機材料を除去するための熱処理を同様に必要とし得るマット材料が同様に充填されるであろう。か焼プロセスは、セラミック物品が受ける使用条件をシミュレートする。破壊係数試験による強度の測定により、石英ガラス試料のか焼後の保持強度のわずかな低下が示された。か焼後の高い保持強度は、有機成分が除去された後、サプライチェーンにおいて取り扱う場合に有利である。
【0048】
か焼セメント外皮の多孔度は、約30%〜約60%の範囲、好ましくは約35%〜約60%の範囲、好ましくは約35%〜約50%の範囲である。いくつかの実施形態において、多孔度は、約35%〜約48%の範囲であり得る。セメント組成物から有機材料を除去するために本明細書に記載されるように3時間にわたって600℃までか焼されるキャストシートにおいて水銀圧入ポロシメトリーを用いて多孔度を測定し、ここで、細孔半径は、以下の式によって表されるように、水銀を試料中に送り込むのに必要な水圧に反比例する:
P=−2γcosθ/(r)
式中、Pが、加えられる圧力であり、γが、水銀の表面張力であり、θが、水銀の接触角であり、rが、細孔半径である。
【0049】
本明細書に記載されるセメント組成物は、ハニカム体にわたる外皮を形成するのによく適した粘度を示すことができる。例えば、本明細書の実施形態に係る組成物は、約12パスカル−秒(Pa・s)以下、約5Pa・s以下、または約4Pa・s以下の無限せん断粘度を有し得る。10秒−1のせん断速度では、せん断粘度は、好ましくは約400Pa・s以下、約350Pa・s以下または約300Pa・s以下である。粘度を、平行板粘度計を用いて測定した。
【0050】
本明細書に記載されるか焼セメント組成物は、約1×10以下、約7×10Pa以下、約5×10Pa以下または約4×10Pa以下の弾性率を示すことができる。特定の実施形態において、弾性率は、約2×10Pa〜約6×10Paの範囲である。
【0051】
外皮を有するセラミック体が、急な温度逸脱に耐える能力を測定するために、試料1〜24について熱衝撃試験を行った。まず、オーブンを第1の温度まで予熱し、安定させる。次に、本明細書に記載されるその実施形態などの、セラミック外皮を含むハニカム体などの室温物品(すなわち23℃)を、30分間加熱炉に入れる。30分間の期間の後、高温の物品をオーブンから取り出し、強制冷却(例えば冷却空気の吹き込みなど)ではなく空気で室温に冷ます。物品を、高温および低温位置から低熱質量セラミックセッタ(setter)(コージエライト多孔性セラミックの1インチ(2.54cm)の立方体)に移す。物品を、目視検査(10倍の倍率を用いる)、透過光および超音波パルスエコーを含む非破壊的方法を用いて、外皮およびハニカム体における亀裂について検査する。亀裂がハニカム体またはセメント外皮に検出される場合、物品を不合格とみなす。物品が損傷せずに済んだ(survive)場合、オーブンをより高い温度に設定し、プロセスを繰り返す。合格した最後の温度および不合格になった最初の温度が、物品の性能の範囲を示す(bracket)。本明細書に示されるデータの場合、最初の温度は500℃であり、各連続工程は、50℃の追加である。損傷せずに済んだ最後の温度が報告される。1100℃を超える温度は試験しなかった。
【0052】
したがって、特定の実施形態において、セラミック構造のか焼セメント外皮は、30分間にわたって600℃の温度まで加熱してから、23℃に自然に冷ました後、10倍の倍率で目に見える亀裂を示さなかった。特定の他の実施形態において、セラミック構造のか焼セメント外皮は、30分間にわたって1000℃の温度まで加熱してから、23℃に自然に冷ました後、10倍の倍率で目に見える亀裂を示さなかった。
【0053】
1つの特定の例において、以下の表3A〜3Cに記載される組成を有する一連のセメントを作製した。
【0054】
【表3-1】
【0055】
【表3-2】
【0056】
【表3-3】
【0057】
次に、表3A〜3Cに記載される試料のそれぞれを、それらの破壊係数(非か焼およびか焼の両方)、それらのか焼多孔度および熱衝撃後の亀裂について評価した。その評価の結果が、表4A〜4Cにおいて以下に示される。
【0058】
【表4-1】
【0059】
【表4-2】
【0060】
【表4-3】
【0061】
非晶質から結晶シリカへの相転移の速度は、温度、時間、および結晶「シード」材料の量に応じて、文献において報告されている(例えば、全体として内容が参照により本明細書に援用される、The Effect of Cristobalite Seed on the Crystallization of Fused Silica Based Ceramic Core−A Kinetic Study,Ling−Yi Wang and Min−Hsiung Hon,Ceramics International 21(1995),pp.187−193.を参照されたい)。1100℃で2%の結晶シリカ(クリストバライト)を生成するのに必要な時間量を決定するのに使用される速度は、2重量%のクリストバライトを生成するのに1100℃で214時間であると推定された。この時間は、自動車用途などの処理後の用途における基板またはフィルタについてのいずれの予想時間も大幅に上回る。
【0062】
図6は、本明細書に開示されるハニカム構造の試料に適用される温度サイクルを示し、この温度サイクルの後、試料を、x線回折によって分析した。図6の温度曲線は、30分間にわたって最大で1100℃の温度、および少なくとも約1時間にわたって1000℃以上の温度、および約500℃以上の温度における少なくとも6時間を示す。x線回折解析の結果が、任意強度目盛に対してプロットされた図7に示される。図7の曲線34は、塗布されたままの外皮セメントのx線回折結果を示し、曲線36は、図6の温度サイクルに曝された後の外皮セメントについてのx線回折曲線を示す。いずれの曲線も結晶構造の特性を示していない。
【0063】
本発明の趣旨および範囲から逸脱せずに、本発明に様々な変更および変形を行うことができることが、当業者に明らかであろう。したがって、添付の特許請求の範囲およびその均等物の範囲内に含まれる限り、本発明が、本発明の変更および変形を包含することが意図される。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7