【課題】毛髪のようなケラチン繊維を成形するためのパーマ処理分野において、毛髪の過度な膨張を抑制又は制御し、カール度合、はっきりしたウェーブ及びウェーブ弾力のような良好なウェーブパフォーマンスを与えることができる毛髪の成形方法の提供。
【解決手段】ケラチン繊維に、少なくとも1種の還元剤を含む還元組成物を塗布する工程;ケラチン繊維に、少なくとも1種の第一の金属塩、もしくは少なくとも1種の有機溶媒又はそれらの混合物を含む中間組成物を塗布する工程;ケラチン繊維に、少なくとも1種の酸化剤と、金属硫酸塩から選択される少なくとも1種の第二の金属塩とを含む酸化組成物を塗布する工程、を含む、毛髪の成形方法。該第一の金属塩としては、マグネシウム塩であることが好ましく、該有機溶媒としては、2−プロパノールであることが好ましく、該第二の金属塩としては、硫酸マグネシウムであることが好ましい毛髪の成形方法。
第一の金属塩が、1価、2価または3価の金属の塩から選択され、好ましくはナトリウム、カリウム、マグネシウム、アルミニウム、鉄、銅、亜鉛および銀からなる群より選択され、より好ましくはナトリウム、カリウム、マグネシウムおよびアルミニウムからなる群より選択され、更により好ましくはマグネシウム塩である、請求項1に記載の方法。
有機溶媒が、アルコール、エーテルおよびエステルからなる群より選択され、好ましくは1〜4個の炭素原子を有するアルコール、例えばメタノール、エタノール、1−もしくは2−プロパノールおよび1−もしくは2−ブタノールから選択され、より好ましくは2−プロパノールである、請求項1または2に記載の方法。
第二の金属塩が、1価、2価または3価の金属の硫酸塩から選択され、好ましくはナトリウム、カリウム、マグネシウム、アルミニウム、鉄、銅、亜鉛および銀からなる群より選択され、より好ましくはナトリウム、カリウム、マグネシウムおよびアルミニウムからなる群より選択され、更により好ましくは硫酸ナトリウムである、請求項1〜3のいずれか1項に記載の方法。
中間組成物が、1〜4個の炭素原子を有するアルコール、例えば2−プロパノールを含み、酸化組成物が、酸化剤および硫酸ナトリウムを含む、請求項1〜4のいずれか1項に記載の方法。
第一の金属塩が、1価、2価または3価の金属の塩から選択され、好ましくはナトリウム、カリウム、マグネシウム、アルミニウム、鉄、銅、亜鉛および銀からなる群より選択され、より好ましくはナトリウム、カリウム、マグネシウムおよびアルミニウムからなる群より選択され、更により好ましくはマグネシウム塩である、請求項9に記載のキット。
有機溶媒が、アルコール、エーテルおよびエステルからなる群より選択され、好ましくは1〜4個の炭素原子を有するアルコール、例えばメタノール、エタノール、1−もしくは2−プロパノールおよび1−もしくは2−ブタノールから選択され、より好ましくは2−プロパノールである、請求項9または10に記載のキット。
第二の金属塩が、1価、2価または3価の金属の硫酸塩から選択され、好ましくはナトリウム、カリウム、マグネシウム、アルミニウム、鉄、銅、亜鉛および銀からなる群より選択され、より好ましくはナトリウム、カリウム、マグネシウムおよびアルミニウムからなる群より選択され、更により好ましくは硫酸ナトリウムである、請求項9〜11のいずれか1項に記載のキット。
中間組成物が、1〜4個の炭素原子を有するアルコール、例えば2−プロパノールを含み、酸化組成物が、酸化剤および硫酸ナトリウムを含む、請求項9〜12のいずれか1項に記載のキット。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、かかる組成物を使用する従来の毛髪の成形方法は、カール度合い、はっきりしたウェーブおよびウェーブ弾力のような成形した毛髪のウェーブパフォーマンスが不十分であるため、完全に満足というわけではない。したがって、従来技術の課題を解決しうる毛髪の成形方法を提供する必要が、依然としてある。特に、上記の過度な膨張を抑制または制御し、カール度合、はっきりしたウェーブおよびウェーブ弾力のような良好なウェーブパフォーマンスを与えることができる毛髪の成形方法を提供する必要がある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明者らは、還元処理と特定の組成物を用いる酸化処理との間に、第一の金属塩および/または有機溶媒を含む中間組成物を毛髪に塗布することにより、上記従来技術の課題の少なくとも1つを解決することができることを見出した。
【0008】
すなわち、本発明の一形態において、以下の工程:
− ケラチン繊維に、少なくとも1種の還元剤を含む還元組成物を塗布する工程;
− 場合により、ケラチン繊維を水で濯ぐ工程;
− 場合により、ケラチン繊維を乾燥させる工程;
− ケラチン繊維に、少なくとも1種の第一の金属塩、もしくは少なくとも1種の有機溶媒またはそれらの混合物を含む中間組成物を塗布する工程;
− ケラチン繊維に、少なくとも1種の酸化剤と、金属硫酸塩から選択される少なくとも1種の第二の金属塩とを含む酸化組成物を塗布する工程;および
− 場合により、ケラチン繊維を水で濯ぐ工程
を含む、ケラチン繊維、例えば毛髪の成形方法を提供する。
【0009】
さらに、本発明の別の形態において、
− 少なくとも1種の還元剤を含む還元組成物;
− 少なくとも1種の第一の金属塩、もしくは少なくとも1種の有機溶媒またはそれらの混合物を含む中間組成物;および
− 少なくとも1種の酸化剤と、金属硫酸塩から選択される少なくとも1種の第二の金属塩とを含む酸化組成物
を含む、ケラチン繊維、例えば毛髪を成形するためのキットを提供する。
【0010】
前記両形態において、第一の金属塩は、1価、2価または3価の金属の塩から選択され、好ましくはナトリウム、カリウム、マグネシウム、アルミニウム、鉄、銅、亜鉛および銀からなる群より選択され、より好ましくはナトリウム、カリウム、マグネシウムおよびアルミニウムからなる群より選択され、より好ましくは第一の金属塩がマグネシウム塩であることが望ましい。
【0011】
前記両形態において、有機溶媒は、アルコール、エーテルおよびエステルからなる群より選択され、好ましくは1〜4個の炭素原子を有するアルコール、例えばメタノール、エタノール、1−もしくは2−プロパノールおよび1−もしくは2−ブタノールから選択され、より好ましくは2−プロパノールであることが望ましい。
【0012】
前記両形態において、少なくとも第二の金属塩は、1価、2価または3価の金属の硫酸塩から選択され、好ましくは硫酸ナトリウム、硫酸カリウム、硫酸マグネシウム、硫酸アルミニウム、硫酸鉄、硫酸銅、硫酸亜鉛および硫酸銀からなる群より選択され、より好ましくは硫酸ナトリウム、硫酸カリウム、硫酸マグネシウムおよび硫酸アルミニウムからなる群より選択され、更により好ましくは硫酸ナトリウムであることが望ましい。
【0013】
前記両形態において、中間組成物は、少なくとも1種のマグネシウム塩を含み、酸化組成物が、少なくとも1種の酸化剤および硫酸ナトリウムを含むことも望ましい。
【0014】
前記両形態において、中間組成物は、少なくとも1種の1〜4個の炭素原子を有するアルコール、例えば2−プロパノールを含み、酸化組成物が、少なくとも1種の酸化剤および硫酸ナトリウムを含むことも望ましい。
【0015】
前記両形態において、中間組成物は、2〜13の範囲のpH、好ましくは2〜6の範囲のpHを有することが望ましい。
【0016】
前記両形態において、酸化組成物は、2〜13の範囲のpH、好ましくは3〜9の範囲のpHを有することが望ましい。
【発明の効果】
【0017】
本発明の方法は、上記従来技術の課題の少なくとも1つを解決することができる。すなわち、本発明の毛髪の成形方法は、成形した毛髪に、カール度合い、はっきりしたウェーブおよびウェーブ弾力のような良好なウェーブパフォーマンスを付与することができる。
【発明を実施するための形態】
【0018】
<ケラチン繊維の成形方法>
本発明は、還元処理と特定の組成物を用いる酸化処理との間に、特定の組成物を用いる中間処理を含む、ケラチン繊維、例えば毛髪の成形方法に関する。すなわち、本発明の方法は、以下の工程:(i)ケラチン繊維に、少なくとも1種の還元剤を含む還元組成物を塗布する工程(本明細書において「還元処理」と称する);(ii)ケラチン繊維に、少なくとも1種の第一の金属塩、もしくは少なくとも1種の有機溶媒またはそれらの混合物を含む中間組成物を塗布する工程(本明細書において「中間処理」と称する);(iii)ケラチン繊維に、少なくとも1種の酸化剤と、金属硫酸塩から選択される少なくとも1種の第二の金属塩とを含む酸化組成物を塗布する工程(本明細書において「酸化処理」と称する)を包む。
【0019】
これらの処理に加えて、必要に応じて、本発明の方法は、更に以下の工程:ケラチン繊維を濡らす工程;ケラチン繊維を機械的張力下にセットする工程;ケラチン繊維を一定時間放置する工程;ケラチン繊維を水で濯ぐ工程;ケラチン繊維を乾燥させる工程;などを適切な順序で含んでもよい。
【0020】
一の実施態様において、本発明の方法は、以下の工程:ケラチン繊維に、少なくとも1種の還元剤を含む還元組成物を塗布する工程;場合により、ケラチン繊維を水で濯ぐ工程;場合により、ケラチン繊維を乾燥させる工程;ケラチン繊維に、少なくとも1種の第一の金属塩、もしくは少なくとも1種の有機溶媒またはそれらの混合物を含む中間組成物を塗布する工程;ケラチン繊維に、少なくとも1種の酸化剤と、金属硫酸塩から選択される少なくとも1種の第二の金属塩とを含む酸化組成物を塗布する工程;および場合により、ケラチン繊維を水で濯ぐ工程を含んでもよい。
【0021】
別の実施態様において、本発明の方法は、以下の工程:ケラチン繊維を濡らす工程;ケラチン繊維を機械的張力下にセットする工程、特に、ケラチン繊維をロッドに巻きつける工程;ケラチン繊維に、少なくとも1種の還元剤を含む還元組成物を塗布する工程;ケラチン繊維を一定時間(例えば、1〜30分、好ましくは15分)放置する工程;ケラチン繊維を水で濯ぐ工程;ケラチン繊維を乾燥させる工程、特に、ケラチン繊維をタオルで乾かす工程;ケラチン繊維に、少なくとも1種の第一の金属塩、もしくは少なくとも1種の有機溶媒またはそれらの混合物を含む中間組成物を塗布する工程;ケラチン繊維を一定時間(例えば、1〜30分、好ましくは15分)放置する工程;ケラチン繊維に、少なくとも1種の酸化剤と、金属硫酸塩から選択される少なくとも1種の第二の金属塩とを含む酸化組成物を塗布する工程;ケラチン繊維を一定時間(例えば、1〜30分、好ましくは10分)放置する工程;ケラチン繊維を水で濯ぐ工程;およびケラチン繊維を乾燥させる工程を含んでもよい。
【0022】
−
還元組成物
還元処理に用いる還元組成物は、少なくとも1種の還元剤を含む、化粧品的に許容可能な、慣用の組成物であってよい。
【0023】
本明細書中で使用される「還元剤」は、化粧品的に許容可能な、慣用の還元剤から選択されうる。還元剤の例としては、チオール系還元化合物および亜硫酸ナトリウムが挙げられる。
【0024】
本明細書中で使用される「チオール系還元化合物」は、1つ以上のチオール(−SH)基を有する化合物を意味し、該チオールは、場合により有機塩または無機塩の形態であってよい。
【0025】
チオール系還元化合物の例としては、チオグリコール酸およびその誘導体、特にそのエステル(モノチオグリコール酸グリセリンまたはモノチオグリコール酸グリコールなど);チオ乳酸およびその誘導体、特にそのエステル(モノチオ乳酸グリセリンなど);3−メルカプトプロピオン酸およびその誘導体、特にそのエステル(3−メルカプトプロピオン酸グリセリンおよび3−メルカプトプロピオン酸エチレングリコールなど);システアミンおよびその誘導体、特にそのC
1〜4アシル誘導体(N−アセチルシステアミンおよびN−プロピオニルシステアミンなど);モノチオグリセリンおよびその誘導体、特にそのエステル;ならびにシステインおよびその誘導体、特にそのC
1〜4アシル誘導体(N−アセチルシステイン、N−アルカノイルシステインおよびシステインアルキルエステルなどのそのエステル)が挙げられるが、これに限定されるものではない。上記で述べた誘導体の例としては、その塩、特に、そのアンモニウム塩;1級、2級もしくは3級アミン塩;アルカリ金属塩;およびアルカリ土類金属塩が挙げられる。ここで、1級、2級もしくは3級アミンの例としては、モノエタノールアミン、ジイソプロパノールアミンまたはトリエタノールアミンが挙げられる。
【0026】
チオール系還元化合物の好ましい例としては、チオグリコール酸およびその塩;ならびにチオ乳酸およびその塩が挙げられる。より好ましい例は、チオグリコール酸、チオ乳酸およびそれらのアンモニウム塩である。
【0027】
還元剤は、ケラチン繊維のジスルフィド結合を還元するのに十分な量で使用されうる。例えば、還元化合物の量は、還元組成物の総重量の0.1〜20重量%、好ましくは1〜15重量%でありうる。
【0028】
更に、還元組成物は、反応調節剤として、少なくとも1種のジスルフィド化合物を含んでもよい。通常、反応調節剤は、チオール系還元化合物とケラチン繊維のジスルフィド結合との間の反応速度を、反応における平衡の観点から制御するために添加され、それにより過剰な反応の進行を抑制する。したがって、反応調節剤としてのジスルフィド化合物の例としては、上記で述べたチオール系還元化合物に由来し、−S−S−結合を有するジスルフィド(ジチオジグリコール酸およびその塩;ならびにジチオジ乳酸およびその塩など)が挙げられるが、これに限定されるものではない。ここで、塩としては、アンモニウム塩;1級、2級もしくは3級アミン塩;アルカリ金属塩;およびアルカリ土類金属塩が挙げられる。反応調節剤として好ましいジスルフィド化合物の例としては、ジチオジグリコール酸およびその塩(ジチオジグリコール酸アンモニウムなど);ジチオジ乳酸およびその塩が挙げられる。
【0029】
ジスルフィド化合物は、適宜、反応速度を制御する量で使用されうる。通常、ジスルフィド化合物の量は、還元組成物の総重量の0.1〜10重量%、好ましくは2〜5重量%でありうる。
【0030】
更に、還元組成物は、2〜13の範囲のpH、好ましくは4〜10の範囲のpHを有する。必要に応じて、還元組成物のpH値を、pH調節剤および/または緩衝塩を添加することによって調整してもよい。pH調節剤および/または緩衝塩は、化粧品的に許容可能であってよく、後述のとおりであってよい。
【0031】
更にまた、必要に応じて、本発明の還元組成物は、後述のような1種以上の任意成分を含んでもよい。
【0032】
−
中間組成物
中間処理に用いる中間組成物は、少なくとも1種の第一の金属塩、もしくは少なくとも1種の有機溶媒またはそれらの混合物を含む。
【0033】
「第一の金属塩」は、通常、1価、2価または3価の金属の塩から選択され、好ましくはナトリウム、カリウム、マグネシウム、アルミニウム、鉄、銅、亜鉛および銀からなる群より選択され、より好ましくはナトリウム、カリウム、マグネシウムおよびアルミニウムからなる群より選択され、更により好ましくはマグネシウム塩である。第一の金属塩は、化粧品的に許容可能な無機酸または有機酸の1価、2価または3価の金属の塩から誘導されてもよい。無機酸または有機酸の例としては、塩酸、硫酸、リン酸、硝酸、酢酸およびクエン酸が挙げられるが、これに限定されるものではない。毛髪への効果および中間組成物の安定性の観点から、好ましい例としては、塩酸および硫酸が挙げられる。したがって、第一の金属塩は、好ましくは、塩酸または硫酸の、ナトリウム、カリウム、マグネシウムまたはアルミニウム塩(塩化マグネシウム、硫酸水素ナトリウム、硫酸ナトリウムまたは硫酸マグネシウムなど)から誘導されてもよい。
塩は溶媒和されていてもよく、特には水和されていてもよい。
【0034】
本明細書で使用される有機溶媒は、通常、アルコール、エーテルおよびエステルからなる群より選択される。アルコールの例としては、低級アルコール(1〜4個の炭素原子を有するアルコールなど、特にはメタノール、エタノール、1−もしくは2−プロパノールおよび1−もしくは2−ブタノール、より好ましくは2−プロパノール)ならびにポリオール(グリセリン、エチレングリコール、プロピレングリコールなど)が挙げられるが、これに限定されるものではない。エーテルおよびエステルの例としては、グリコールエーテル(エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノブチルエーテル、ジエチルエングリコールモノエチルエーテルおよびジエチルエングリコールモノブチルエーテルなど)ならびにグリコールエステルが挙げられるが、これに限定されるものではない。有機溶媒は、好ましくは1〜4個の炭素原子を有するアルコール、例えばエタノール、1−もしくは2−プロパノールおよび1−もしくは2−ブタノールから選択され、より好ましくは2−プロパノールである。
【0035】
中間組成物は、少なくとも1種の第一の金属塩、または少なくとも1種の有機溶媒、または少なくとも1種の第一の金属塩と少なくとも1種の有機溶媒の組合せを含む。
【0036】
一の実施態様において、中間組成物は、好ましくは1種以上の第一の金属塩、より好ましくは1種の第一の金属塩を含む。第一の金属塩は、ケラチン繊維の過度な膨張を抑制または制御するのに十分な量で使用されうる。通常、第一の金属塩の量は、中間組成物の総重量の0.1〜30重量%、好ましくは1〜15重量%でありうる。
【0037】
一の実施態様において、中間組成物は、好ましくは1種以上の有機溶媒、より好ましくは1種の有機溶媒を含む。有機溶媒は、ケラチン繊維の過度な膨張を抑制または制御するのに十分な量で使用されうる。通常、有機溶媒の量は、中間組成物の総重量の0.1〜30重量%、好ましくは1〜15重量%でありうる。
【0038】
更に、中間組成物は、2〜13の範囲のpH、好ましくは2〜6の範囲のpHを有する。必要に応じて、中間組成物のpH値を、pH調節剤および/または緩衝塩を添加することによって調整してもよい。pH調節剤および/または緩衝塩は、化粧品的に許容可能であってよく、後述のとおりであってよい。
【0039】
更にまた、必要に応じて、本発明の中間組成物は、後述のような1種以上の任意成分を含んでもよい。
【0040】
−
酸化組成物
酸化処理に用いる酸化組成物は、酸化剤と、金属硫酸塩から選択される少なくとも1種の第二の金属塩を含む。
【0041】
本明細書中で使用される「酸化剤」は、化粧品的に許容可能な、慣用の酸化剤から選択されうる。酸化剤の例としては、過酸化水素;臭素酸アルカリ(臭素酸カリウムおよび臭素酸ナトリウムなど);ポリチオン酸塩;ならびに過酸塩(過ホウ酸ナトリウムなど)が挙げられるが、これに限定されるものではない。酸化剤は、好ましくは、臭素酸カリウムおよび過酸化水素から選択される。
【0042】
「第二の金属塩」は、金属硫酸塩から選択され、通常、ナトリウム、カリウム、マグネシウム、アルミニウム、鉄、銅、亜鉛および銀からなる群より選択され、好ましくはナトリウム、カリウム、マグネシウムおよびアルミニウムからなる群より選択される、1価、2価または3価の金属の硫酸塩から選択され、より好ましくは硫酸ナトリウムである。第二の金属塩は、好ましくは、硫酸の、ナトリウム、カリウム、マグネシウムまたはアルミニウム塩から誘導されてもよく、例えば、硫酸水素ナトリウム、硫酸ナトリウムまたは硫酸マグネシウムであってよい。
塩は溶媒和されていてもよく、特には水和されていてもよい。
【0043】
本発明の酸化組成物は、少なくとも1種の酸化剤と、金属硫酸塩から選択される少なくとも1種の第二の金属塩を含む。
【0044】
酸化剤は、ケラチン繊維のジスルフィド結合を再形成するのに十分な量で使用されうる。例えば、酸化剤が臭素酸ナトリウムである場合、臭素酸ナトリウムの量は、酸化組成物の総重量の1〜12重量%であってよく;酸化剤が過酸化水素である場合、過酸化水素の量は、酸化組成物の総重量の1〜10重量%であってよい。
【0045】
硫酸塩は、ケラチンの過度な膨張を抑制または制御するのに十分な量で使用されうる。通常、硫酸塩の量は、酸化組成物の総重量の0.1〜30重量%、好ましくは1〜15重量%でありうる。
【0046】
更に、酸化組成物は、2〜13の範囲のpH、好ましくは3〜9の範囲のpHを有する。必要に応じて、酸化組成物のpH値を、pH調節剤および/または緩衝塩を添加することによって調整してもよい。pH調節剤および/または緩衝塩は、化粧品的に許容可能であってよく、後述のとおりであってよい。
【0047】
更にまた、必要に応じて、本発明の酸化組成物は、後述のような1種以上の任意成分を含んでもよい。
【0048】
本発明の方法において、中間組成物と酸化組成物の一の好ましい組合せは、マグネシウム塩を含む中間組成物と、酸化剤と硫酸ナトリウムを含む酸化組成物の組合せである。
【0049】
本発明の方法において、中間組成物と酸化組成物の別の好ましい組合せは、1〜4個の炭素原子を有するアルコール、例えば2−プロパノールを含む中間組成物と、酸化剤と硫酸ナトリウムを含む酸化組成物の組合せである。
【0050】
−
上記各組成物の任意成分
― 界面活性剤
必要に応じて、上記各組成物は、その成分を均一化するために、または組成物を所望の形態(液体、ジェルまたはエマルションなど)とするために、1種以上の界面活性剤を含んでもよい。界面活性剤は、カチオン性、アニオン性、非イオン性および両性界面活性剤、好ましくはカチオン性および/または非イオン性界面活性剤、より好ましくはカチオン性界面活性剤から選択されうる。
【0051】
カチオン性界面活性剤の例としては、C
6−30アルキルアミン塩(ココアルキルアセテートおよびステアリルアミンアセテートなど);ならびに4級アンモニウム塩、特にC
6−30アルキルトリメチルアンモニウム塩(ベヘントリモニウムクロリド(ドコシルトリメチルアンモニウムクロリド)、ココアルキルトリメチルアンモニウムクロリド、ステアリルトリメチルアンモニウムクロリドおよびセチルトリメチルアンモニウムクロリドなど)が挙げられる。カチオン性界面活性剤の好ましい例としては、4級アンモニウム塩、特にC
6−30アルキルトリメチルアンモニウム塩、例えば、ベヘントリモニウムクロリド(ドコシルトリメチルアンモニウムクロリド)、ココアルキルトリメチルアンモニウムクロリド、ステアリルトリメチルアンモニウムクロリドおよびセチルトリメチルアンモニウムクロリドが挙げられる。
【0052】
アニオン性界面活性剤の例としては、C
6−30アルキルスルフェートおよびその塩(ラウリル硫酸ナトリウム、ラウリル硫酸アンモニウムおよびラウリル硫酸トリエタノールアミン);ポリオキシエチレンC
6−30アルキルエーテルスルフェートおよびその塩(ポリオキシエチレンラウリルエーテル硫酸アンモニウムおよびポリオキシエチレンラウリルエーテル硫酸ナトリウムなど);C
6−30アルキルベンゼンスルホネートおよびその塩(ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウムなど);C
6−30アルキルベンゼンスルホン酸(ドデシルベンゼンスルホン酸など);他のスルホネート(アルキルナフタレンスルホン酸ナトリウム、ジアルキルスルホコハク酸ナトリウムおよびアルキルジフェニルエーテルジスルホン酸ナトリウムなど);C
6−30脂肪酸塩(ステアリン酸ナトリウムおよびオレイン酸カリウム);ならびにポリオキシエチレンC
6−30アルキルエーテルカルボン酸(ポリオキシエチレンラウリルエーテルカルボン酸など)が挙げられる。
【0053】
非イオン性界面活性剤の例としては、ポリオキシエチレンC
6−30アルキルエーテル(ポリオキシエチレンラウリルエーテル、ポリオキシエチレンオクチルドデシルエーテル、ポリオキシエチレンセチルエーテル、ポリオキシエチレンステアリルエーテル、ポリオキシエチレンミリスチルエーテルおよびそれらの混合物など);これらのエーテルはポリオキシエチレン化脂肪アルコールである;ソルビタンC
6−30脂肪酸エステル(ソルビタンモノラウレート、ソルビタンモノパルミテート、ソルビタンモノステアレート、ソルビタントリステアレート、ソルビタンモノオレエート、ソルビタントリオレエートおよびそれらの混合物など);ポリオキシエチレンソルビタンC
6−30脂肪酸エステル(ポリオキシエチレンソルビタンモノラウレート、ポリオキシエチレンソルビタンモノパルミテート、ポリオキシエチレンソルビタンモノステアレート、ポリオキシエチレンソルビタントリステアレート、ポリオキシエチレンソルビタンモノオレエートおよびポリオキシエチレンソルビタントリオレエートなど);グリセリンC
6−30脂肪酸エステル(グリセリンモノステアレートおよびグリセリンモノオレエートなど);ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油;ならびにC
6−30脂肪酸アルカノールアミド(ヤシ油脂肪酸モノエタノールアミドおよびヤシ油脂肪酸ジエタノールアミドなど)が挙げられる。非イオン性界面活性剤の好ましい例としては、ポリオキシエチレンC
6−30アルキルエーテル、例えば、ポリオキシエチレンセチルエーテル、すなわちポリオキシエチレン化セチルアルコール(INCI名:CETETH−n、ここでnはオキシエチレンユニットの数である)、ポリオキシエチレンステアリルエーテル、すなわちポリオキシエチレン化ステアリルアルコールおよびそれらの混合物(INCI名:CETEARETH−n、ここでnはオキシエチレンユニットの数である)が挙げられる。
【0054】
両性界面活性剤の例としては、ラウラミドプロピルベタイン、ラウリルベタイン、コカミドプロピルベタイン、ステアリルベタインおよびジメチルラウリルアミノ酢酸ベタインなどのベタイン系;ならびにココアンホジ酢酸などの非ベタイン系両性界面活性剤が挙げられる。
【0055】
通常、界面活性剤の量は、組成物の総重量の0.01〜10重量%、好ましくは0.5〜5重量%、より好ましくは0.1〜3.0重量%でありうる。
【0056】
− 封鎖剤
必要に応じて、上記各組成物は、1種以上の封鎖剤を含んでもよい。封鎖剤は、化粧品的に許容可能で、市販されているものでありうる。封鎖剤の例としては、エチレンジアミン四酢酸(EDTA)、N−(ヒドロキシエチル)エチレンジアミン三酢酸、アミノトリメチレンホスホン酸、ジエチレントリアミン五酢酸(すなわち、ペンテト酸)、ラウロイルエチレンジアミン三酢酸、ニトリロ三酢酸、イミノ二コハク酸、酒石酸、クエン酸、N−2−ヒドロキシエチルイミノ二酢酸およびその塩が挙げられる。封鎖剤の好ましい例としては、エチレンジアミン四酢酸(EDTA)またはその塩(エチレンジアミン四酢酸四ナトリウムなど);ならびにジエチレントリアミン五酢酸またはその塩(ジエチレントリアミン五酢酸五ナトリウム(すなわち、ペンテト酸五ナトリウム)など)が挙げられる。
【0057】
通常、封鎖剤の量は、組成物の総重量の0.001〜2重量%、好ましくは0.05〜1.0重量%、より好ましくは0.1〜0.5重量%でありうる。
【0058】
− pH調節剤
必要に応じて、上記各組成物は、組成物を所望のpHとするために、1種以上のpH調節剤を含んでもよい。pH調節剤は、化粧品的に許容可能な有機または無機酸および有機または無機アルカリから選択されてよい。通常、有機または無機酸の例としては、塩酸、クエン酸、リン酸およびそれらの塩が挙げられる。さらに有機または無機アルカリの例としては、アミノアルコール(モノエタノールアミン、トリエタノールアミン、イソプロパノールアミン、2−アミノ−2−メチル−1−プロパノールおよび2−アミノ−2−メチル−1,3−プロパンジオールなど);塩基性アミノ酸(L−アルギニンなど);モルホリン;リン酸塩(リン酸ナトリウム二塩基性およびリン酸アンモニウム二塩基性など);炭酸塩(炭酸ナトリウムなど);ならびに水酸化物(水酸化カリウム、水酸化ナトリウムおよび水酸化アンモニウムなど)が挙げられる。
【0059】
pH調節剤は、組成物を所望のpHとするのに十分な量で使用されうる。
【0060】
− 媒体
上記各組成物は、通常、水(純水、超純水、脱塩水および脱イオン水など)を含む。更に、中間組成物以外の上記各組成物はまた、有機溶媒、例えば、低級アルコール(1〜5個の炭素原子を有するアルコール、特には、エタノール、プロパノール、イソプロパノールおよびブタノール);ポリオール(グリセリン、エチレングリコール、プロピレングリコール、ポリエチレングリコールおよびソルビトールなど);ならびにポリオールモノアルキルエーテル(エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテルおよびジエチレングリコールモノブチルエーテルなど)を含んでもよい。
【0061】
− 他の補助剤
必要に応じて、上記各組成物は、例えば、溶解、分散および微分散形態のシリコーン;セラミド、グリコセラミドおよびプソイドセラミド;ビタミンおよびプロビタミン(パンテノールなど);セラミド、グリコセラミドおよびプソイドセラミド以外のワックス;水溶性および脂溶性、シリコーン系およびノンシリコーン系サンスクリーン;真珠光沢剤および乳白剤;可塑剤;可溶化剤;増粘剤(カルボキシメチルセルロース、カルボキシビニルポリマーおよびWO2009/063042A1に記載されたような(メタ)アクリラートコポリマー/ホモポリマーなど);酸化防止剤;浸透剤;香料;保存剤;粘度調整剤(高級アルコール、例えば、セタノールおよび鉱油);保湿剤;毛髪保護剤(アミノ酸、ポリペプチドおよびポリマーなど)から選択される少なくとも1種の補助剤を含んでもよい。
【0062】
−
上記各組成物の特性
上記各組成物は、液体、ジェルまたはエマルジョン、好ましくはジェルまたはエマルジョンの形態であってよい。所望の形態に応じて、(前述のとおりの)媒体の種類と量を適切に使用することができ、そして、必要に応じて、(前述のとおりの)界面活性剤または(前述のとおりの)増粘剤などの任意の追加成分を加えてもよい。
【0063】
<ケラチン繊維の成形用キット>
本発明のキットは、少なくとも1種の還元剤を含む還元組成物;少なくとも1種の第一の金属塩、もしくは少なくとも1種の有機溶媒またはそれらの混合物を含む中間組成物;および少なくとも1種の酸化剤と、金属硫酸塩から選択される少なくとも1種の第二の金属塩とを含む酸化組成物を含む。ここで、還元組成物、中間組成物および酸化組成物は、上述のものと同じである。
【実施例】
【0064】
本発明を、実施例を用いてより詳細に説明するが、実施例は、本発明の範囲を限定するものとして解釈されるべきではない。
【0065】
調製1:還元組成物(Reducer)の調製
表1に示した処方に従って、Reducerを調製した。得られたReducerは液体であり、そのpH値を8.5に調整した。
【0066】
【表1】
【0067】
調製2:中間組成物(中間処理剤)の調製
表2に示した処方に従って、中間処理剤1〜8を調製した。得られた中間処理剤1〜8は液体であり、そのpH値を3に調整した。
【0068】
【表2】
【0069】
調製3:酸化組成物(Oxidizer)の調製
表3に示した処方に従って、Oxidizer1〜4を調製した。得られたOxidizer1〜4は液体であり、そのpH値を7に調整した。
【0070】
【表3】
【0071】
実施例1〜8および比較例1〜11:毛髪の成形方法
上記調製1〜3でそれぞれ得られた、Reducer、いずれか一つの中間処理剤およびいずれか一つのOxidizerを、本発明の毛髪の成形方法で使用した。具体的に、表4に示したReducer、中間処理剤およびOxidizerの所定の組合せを、以下の適用方法で使用した。
【0072】
<適用方法>
毛髪をロッドに巻き付けた。次に上記調製1で得られたReducerを毛髪に塗布し、15分間そのままとした。次いで、毛髪を水で十分に濯ぎ、タオルで乾かした。上記調製2で得られた中間処理剤の所定の一つを毛髪に塗布し、15分間そのままとした。中間処理剤を毛髪より洗い落とすことなく、上記調製3で得られたOxidizerの所定の一つを毛髪に塗布し、10分間そのままとした。次いで、毛髪を水で十分に濯ぎ、乾かした。
【0073】
上記適用方法で処理した各毛髪は官能試験に付され、以下の評価点:「ウェーブ強度」、「ウェーブ弾力」、「はっきりしたウェーブ」および「官能パフォーマンス」について官能試験員により評価された。官能試験員により評価の結果も表4に示した。
【0074】
【表4】
【0075】
表4のける各評価点について記号:「++」、「+」、「±」および「−」で示される評価基準は、以下の意味を有する。
【0076】
ウェーブ強度:
++:かなり良好なウェーブ強度、+:良好なウェーブ強度、±:どちらでもない、
−:弱いウェーブ強度
【0077】
ウェーブ弾力:
++:かなり良好なウェーブ弾力、+:良好なウェーブ弾力、±:どちらでもない、
−:ウェーブ弾力の低下
【0078】
はっきりしたウェーブ(深さ):
++:かなり良好なはっきりしたウェーブ、+:良好なはっきりしたウェーブ、
±:どちらでもない、−:はっきりしないウェーブ
【0079】
官能パフォーマンス(傷んだ感触の減少):
++:かなり良好な官能パフォーマンス、+:良好な官能パフォーマンス、
±:どちらでもない、−:悪い官能パフォーマンス
【0080】
比較例1は従来技術に相当し、官能試験の基準である。すなわち、各実施例および比較例2〜11における官能試験の結果は、比較例1の結果と比較することによって評価された。
【0081】
比較例2は、第二の金属を含むOxidizer 3を使用したが中間処理を実施しなかったので、不十分なウェーブパフォーマンスを示した。更に比較例3は中間処理を実施せず、また有機溶媒を含むが第二の金属を含まないOxidizer 4を使用したので、不十分なウェーブパフォーマンスを示した。更に、比較例4〜11もまた、第二の金属を含まないOxidizer 1により不十分なウェーブパフォーマンスを示した。
【0082】
全ての実施例は、比較例よりも良好なウェーブパフォーマンスを示した。特に、実施例2および6は、最も良いウェーブパフォーマンスを示した。