【実施例】
【0046】
実施例1.Fc突然変異の構築及び試験
表4に示されるヒトIgG2抗体に由来する突然変異を伴う一連の構築物は、標準的組
換え方法を使用して構築された。完全な可変ドメインを伴う抗体に対して、抗HER2及
び抗CD20抗体の既知のCDR配列が使用され、示されたようなアイソタイプ及びFc
突然変異が構築された。抗体突然変異は、標準的クローン化及び発現手順を使用し、29
3T細胞内に一時的に発現された。MAbは、次の実験的分析の前に、タンパク質Aカラ
ムを使用して、95%を超える均質性まで浄化された。
【0047】
【表5】
【0048】
親和性のビアコア(Biacore)研究
Biacore 3000光学バイオセンサー(Biacore AB,Uppsal
a,Sweden、現在は、GE Healthcareの一部である)を使用して、表
面プラズモン共鳴実験が実行された。実験は、3 mMのEDTAと0.01%の界面活
性剤P20とを含有するD−PBS緩衝剤中、摂氏25度で実行された。受容体とFc突
然変異との相互作用を分析するために、マウスの抗His IgG(R&D syste
ms cat#MAB050)をCM−5センサーチップへ共有結合させることによって
、捕捉表面が生成された。抗His Abは、10mMの酢酸ナトリウム緩衝剤pH 4
.5(Biacore AB)の中に希釈され、アミン連結化学剤製造者の説明書を使用
し、CM−5チップ(〜3000 RU)のカルボキシメチル化デキストラン表面と連結
された。表面上に残留する反応基は、エタノールアミンHCLを使用して非活性化された
。動力学的実験を実行するために、FcγRI、FcγRII、及びFcγRIIIの、
165、351、及び208反応単位(RU)がそれぞれ、この表面上で捕捉された。受
容体捕捉の後に、野生型又はFc突然変異の一連の希釈物が(4倍希釈工程で4000n
Mから3.9nMまで)、30uL/分で注入された。会合相を3分間観察した。その後
に、20分間の緩衝剤流入が続き、結合解離を観察した。捕捉表面は、100mMのリン
酸の9秒パルスを100uL/分で使用し、その後の移動緩衝剤の注入によって再生され
た。
【0049】
参照のために、Scrubberソフトウェアバージョン1.1g(BioLogic
Software)を使用して、データの二重参照減算(double reference subtracti
on)を実行し、信号及び機器ノイズ(Myszka 1999)への緩衝剤寄与を修正し
た。この初期データ処理の後、単純1:1結合モデルを仮定とし、BIA評価ソフトウェ
ア、バージョン4.0.1(Biacore、AB)を使用して、データの動力学的分析
を実行した。AlphaScreen及び結合研究。
【0050】
種々のFcγRとのIgGの競合結合及び直接結合の双方が、均質ビーズ系結合アッセ
イ、AlphaScreen(商標)(PerkinElmer,Waltham,MA
)を使用して評価された。手短に言うと、わずかな修正を伴って、以前に説明されたよう
に実験が実行された(Lazarら、2006 Proc Natl Acad Sci
USA 103(11):4005〜10)。FcγRI、IIaは、R&Dシステム
から取得された。FcγRIIIa及びFcRnは、クローン作製、発現、及び浄化され
た。IgGFc突然変異が、NLSビオチン、Pierce、2:1比率を使用してビオ
チン化された、CNT06234(非特異的制御ヒトIgG1サブクラス抗体)、又は抗
Her2/neu(ヒトIgG2抗体)に対する競合結合について、試験された。
【0051】
競合結合研究において、ビオチン化抗体が、200ng/mLの最終アッセイ濃度に添
加され、次にそれぞれの実験図に規定されている指定された最終濃度に、競合試験抗体が
添加された。FcγRが、200ng/mL最終濃度で96穴プレートへ添加され、次に
、ストレプトアビジン供与体及びNiキレート受容体ビーズが連続的に添加された。プレ
ートを密封し室温で振盪した後、プレートはEnvision plate reade
rを使用して読み取られ、GraphPad Prismにおいてデータがグラフ化され
プロットされた。結合活性研究は、試験IgG分子が2:1比率でビオチニル化され、か
つ直接FcR結合が競合の不在のもとに対照抗体に対して評価されたということ以外は、
競合研究と同様に実行された。
【0052】
結果
SPR/Biacore分析によって評価され、センサグラムから得られたヒトFcR
(FcγRI、FcγRIIa、FcγRIIb、及びFcγRIIIa)に対するIg
G変異型の相対親和性を、表5に示す。
【0053】
【表6】
【0054】
これらの数字は、1つの実験のグローバル・フィットのために生成されたパラメーター
に対応する。
【0055】
これらの4つのデータセットに対して、単純1:1結合モデル・キネティック・フィッ
トを使用してフィッティングを実行することによって、親和性が獲得された。他の全てに
対して、単純1:1結合定常状態親和性解析を使用してフィッティングを実行することに
よって、親和性が獲得された。
【0056】
ヒトIgG1(CNTO6234)を用いたAlpha Screen(商標)競合ア
ッセイを使用して測定された、結合活性関連におけるヒトFcR(FcγRIIa、Fc
γRIIb、及びFcRn)に対する、すなわち高密度の標的分野に結合する二価抗体に
対するIgG突然変異の相対親和性を、
図3A〜Cにそれぞれ示す。
【0057】
実験データは、IgG1 ag及びIgG4 Ala/Alaと同様に、IgG2突然
変異が、FcRn(生体内半減期をもたらす新生児Fc受容体)と結合するそれらの能力
を保持しつつ、IgG1と比較して大幅に減少したFcγ受容体との結合親和性を示すと
いうことを実証した。具体的には、IgG2に対する競合結合における、また高親和性か
ら最低親和性まで順位付けされたFcgRIIaとの結合におけるその順序は、以下の通
りである。IgG1>IgG2c4a>IgG2m4>IgG2=IgGc4c>IgG
2c4b>IgG4ala/ala>IgG4agly>IgG2c4d。この順序は、
FcgRIIbとの結合におけるIgG1(CNTO6234)に対する競合において、
一致している。pH 6.4でのFcRnとの結合における、IgG1(CNTO623
4)に対する更なる競合結合分析は、全てのアイソタイプ及び突然変異がFcRnと比較
的均等に結合することを示した。重要なことには、IgG2c4d及びIgG1 agl
yは、仮にあったとしても、FcgRIIa及びFcgRIIbとで最小の検出可能な結
合を示す。
【0058】
実施例2:ADCC及びCDC
CDCは、3つの経路カテゴリーにおいて始まる。抗体依存性(古典経路)、多糖類依
存性(レクチン依存性)、及び外来性表面構造(代替経路)であり、その全ては、タンパ
ク質分解工程のカスケードを産生し、ついには標的細胞又は微細物の溶解に至る膜攻撃複
合体のアセンブリをもたらす(W.E.Paul Immunologyを参照)。実験
1で説明されたアイソタイプ及びFc突然変異の部分集合が、抗CD20抗体の可変ドメ
インを使用して調製され、ヒト血清存在下におけるWIL2−S B細胞リンパ腫(lymo
phoma)標的細胞を溶解させる能力が評価された。WIL2−S細胞のCDCを媒介する
ことで知られる治療用抗CD20である、市販のRituxan(登録商標)が、溶解に
対する陽性対照として使用された。CDC分析のために、Wil2−S標的細胞が96穴
プレート内に播種され、ヒト血清補体(1/6希釈)とともに培養され、AlamarB
lueを使用して相対的細胞生存率が評価された。
【0059】
ADCCアッセイは、実験1に説明されたように、またSkBr3乳癌細胞を標的とし
て、異なるIgGアイソタイプ又は変異型の種々のFcドメインと組み合わされた、抗H
ER2/neu可変ドメインを使用して実行された。アッセイは、以前に説明されたよう
に、細胞溶解検出のEuTDA法(PerkinElmer,Waltham,MA)を
使用して実行された。TDAを負荷したSkBr3乳癌標的細胞が、U−bottom
96穴プレートに播種され、指定の抗体濃度でオプソニン化され、また37℃でロイコパ
ックから単離された25倍過剰のPBMCとともに共培養された。3時間後、プレートが
遠心分離され、製造者の説明書に従って上清がTDA放出について分析された。生データ
が正規化され、GraphPad Prismを使用してプロットされた。CDC分析の
ために、Wil2−S標的細胞が、96穴プレート内に一穴あたり50,000個で播種
され、ヒト血清補体(1/6希釈)とともに培養され、AlamarBlueを使用して
相対的細胞生存率が評価された。
【0060】
結果
NK細胞上のFcgRIIIaに主として関わるADCCは、IgG2、IgG2m4
、IgG2c4d及びe、IgG1 agly、並びにIgG4 ala/ala(
図5
)を含む、試験された一連の構築物に関して非検出可能であり、AlphaScreen
(商標)アッセイ(
図4A)における結合活性の欠損と同様に、より高い親和性FcgR
IIIa(V)受容体に見られる減少した結合特性と一致した。乳癌細胞上のHER2/
neu等の高密度標的の使用は、FcgRIIIa(40uMより低い)に対するFc親
和性が標的細胞溶解を誘発するには不十分にしか出現しないということを実証した。同様
に、IgG1を除いて、抗体又はFc突然変異のいずれも、試験された抗CD20構築物
内のWIL2−S標的細胞に対する、有意なCDCレベルを示さなかった(
図6)。試験
されたIgGサブクラス及び突然変異のうち、IgG1のみが、検出可能なCDCレベル
を示し、これは、C1q結合とは無関係に、残留する突然変異のいずれもがCDCを引き
起こすことはできないということを示唆している(
図6)。先行の試みにより、IgG2
は、C1q結合及び古典経路の活性化を通じて最小のCDCを有すると指摘されているが
、我々は、先行文献の観察(Idusogie,Prestaら、2000 J Imm
unol 164(8):4178〜84)と一致する抗CD20関連において、有意な
活性レベルを観察しなかった。更に、抗CD20及びヒト血清を用いて、残留補体活性を
有するIgG1 aglyの先行文献の指摘も検出されなかった(Dorai,Muel
lerら、1991 Hybridoma 10(2):211〜7)。この矛盾に対す
る説明は、低いレベルの補体活性化がIgG2によって媒介され得るが、活性化は、オプ
ソニン化された細胞を溶解させるのに十分な膜攻撃複合体(MAC)のアセンブリを始動
させるには不十分であるかもしれない、ということである。
【0061】
これらのデータは、補体活性化のレベルにかかわらず、ついには標的細胞溶解に至る膜
攻撃複合体のアセンブリが、結合型IgG1以外のアイソタイプの抗体に対しては、欠乏
しているか又は不十分であるということを示唆する。
【0062】
実施例3:抗体依存性細胞貪食作用
抗HER2/neu結合Fc突然変異が、オプソニン化された標的乳癌細胞であるSk
−Br3及びマクロファージを使用して、抗体依存性細胞貪食作用(ADCP)を媒介す
る能力について評価された。
【0063】
抗体依存性細胞貪食作用(ADCP)
末梢血単核球が、標準Ficoll−Paque(GE Healthcare)密度
勾配調製によってロイコパック(Biological Specialty Corp
oration)から単離され、細胞が等分され、かつ窒素内で貯蔵された。PBMCは
解凍され、製造者の説明書に従って、CD14陽性細胞が、CD16枯渇を伴わないCD
14 Isolation kit(Stem Cell Technologies)
を使用する陰性除去(negative depletion)によって単離された。細胞は、0.1×10
6細胞/cm
2で、20ng/mLのGM−CSF(R&D Systems)の存在下で
、RPMI/5%の加熱不活性化したFBS/50μg/mLゲンタマイシン内で、7日
間平板培養され、単核細胞由来マクロファージが生成された。SK−BR−3腫瘍細胞は
、製造者の説明書に従って、PKH67(Sigma)で標識付けされた。標的細胞は洗
浄され、かつ4エフェクター細胞に対して1標的細胞の比率で単核細胞由来マクロファー
ジを用いて、抗体の存在下で、37℃で4時間5% CO
2培養器内で培養された。培養
後、細胞はAccutase(Millipore)によって分離され、またマクロファ
ージは、AlexaFluor−647(Invitrogen)と複合化された抗CD
11b抗体(BD Biosciences)で標識付けされた。フローサイトメトリー
によって細胞が分析され、腫瘍細胞単独(PKH67
pos、CD11b
neg)、マクロファ
ージ単独(PKH67
neg、CD11b
pos)、及び貪食された腫瘍細胞(PKH67
pos
、CD11b
pos)が測定された。パーセント貪食作用が、次の等式によって決定された
。(貪食された腫瘍細胞)/(貪食された腫瘍細胞+腫瘍細胞単独)×100%。細胞は
、FACS Calibur(Becton Dickinson)上に取得され、その
結果はFloJo Software(Tree Star)によって分析された。
【0064】
単離した単核細胞が、GM−CSFを使用して生体外で分化され、更に、フローサイト
メトリック分析によってFcRの発現レベルについて特徴付けられた。他者の先行研究で
述べられているように、GM−CSF活性化マクロファージは、親単核細胞に対して、全
FcR(FcγRI、FcγRIIa、FcγRIIIa)の上昇したレベルを発現した
(データは図示せず)。抗HER2/neu IgG Fc突然変異構築物は、その後、
M1マクロファージを使用して貪食作用アッセイで試験された。
【0065】
結果
それぞれのmAbの存在下での、SkBr3細胞を伴う4時間の共培養後、かなりのレ
ベルのADCPがIgG1に対して出現したが、しかしながら、非グリコシル化IgG1
、IgG2、IgG2m4、及びIgG4 S>P ala/alaに対しては、より高
濃度の抗体において最小レベルのADCPも観察された(
図7)。対照的に、IgG2c
4dは、検出可能なレベルのADCPを示さなかった。この観察結果は、以前に実証され
たFcRに対する種々のIgGの結合プロファイルと一致している。例えば、IgG1、
IgG agly、及びIgG4 ala/alaは、多数の配位子ディスプレイビーズ
(例えば、AlphaScreen(登録商標)システムを使用して)の使用においてF
cγRIとの結合を実証したが、これら3つの全てはADCPも実証した。IgG2及び
IgG2M4及びIgG4 ala/alaは、より高濃度で最小のADCPを示した。
IgG2及びIgG2m4によるFcγRIIaの結合は、FcγRIIaの寄与を示唆
する結合活性研究によって示されるように、それ自体としては、有意なレベルのADCP
を生じさせるには不十分であるかもしれない。BiaCore及びAlphaScree
n(商標)の結果(表5、並びに
図4B及び4C)は更に、IgG aglyがFcγR
Iとの結合を保持し、IgG4 ala/alaはFcγRI及びFcγRIIaの双方
との結合活性を示すが、しかしADCPは、IgG1 aglyに対してIgG4 al
a/alaよりも幾分強固であるということを示した。IgG1 aglyは、FcγR
IIaに対し、また更には高度に類似した阻害物質FcγRIIb(細胞外ドメイン(do
man)内での、配列同一性>95%に基づく)に拡大して、仮にあったとしても最小の結
合性を有するため、FcγRI信号伝達を通してのITAMの活性化は、FcγRIIb
活性化に関連するITIMを通しての信号伝達によって相殺されない。対照的に、IgG
4 S>P ala/alaは抑制された貪食作用を示し、FcγRIIbの活性化に起
因する可能性が高い。最後に、単量体又は結合活性に基づく、種々のFcRとのIgG2
c4dの検出可能な結合の完全な欠損は更に、このFc主鎖の固有の無効にされた貪食能
力を立証する。
【0066】
実施例4:抗体媒介性サイトカイン放出
免疫細胞上のFcRのFc結合は、架橋結合されるとサイトカイン放出を促進する。免
疫細胞上のFcRの結合活性系結合を模倣するために、mAbがポリスチレンビーズへ結
合された。
【0067】
抗HER2/neu IgG突然変異を使用したサイトカイン放出が、IgGをラテッ
クスビーズへ直接結合した後、一晩培養してから、実行された。洗浄されたビーズが、1
mLあたり約1500個〜250,000個の指定の種々の濃度で単離したヒトPBMC
へ添加され、一晩培養した後、共培養上清を除去し、PerkinElmer(Walt
ham,MA)からの標準AlphaELISAキットを使用して、分泌されたTNFα
が測定された。
【0068】
試験されたIgGアイソタイプ及びFc突然変異は分化能力を有し、PBMCからのF
c受容体媒介性TNFα分泌を通じてサイトカイン放出を刺激する(
図8)。従って、種
々のアイソタイプ及びそれらのFc突然変異による、高レベルから低レベルまでのTNF
分泌のレベルは、以下の通りである。IgG1>IgG2>IgG2m4>IgG2c4
a>IgG1agly>IgG4ala/ala>IgG2c4b>IgG2c4c>I
gG4c4d及びe留意すべき点として、IgG4d及びeFc突然変異の双方は、仮に
あったとしても、検出可能なカイトカイン(TNF)放出を誘発する最小の能力を持つ。
【0069】
実施例5:生体外B細胞枯渇
生体内での発現抑制レベルに関するアイソタイプ及び突然変異の能力をより良く理解す
るために、ヘパリン化ヒト全血液の存在下で、WIL2−S B細胞の生体外枯渇が測定
された。抗CD20 IgG1は、全てのエフェクター機能(ADCC、CDC、ADC
P)に関与することが知られているため、PMN(好中球、好塩基球等)、ヒト補体、及
び過剰IgGの存在を含む全血液システムは、それぞれの変異型によって与えられる「発
現抑制」のレベルを表していると見なされた。
【0070】
手短に言うと、ヒト全血液は、ADCCアッセイのための標的細胞の機能を果たすエフ
ェクター細胞及びWIL2−S細胞を提供した。標的細胞は、BATDA(Perkin
Elmer)を用いて摂氏37度で30分間事前標識付けされ、2回洗浄されDMEM/
5%の加熱不活性化したFBS内で再懸濁され、その後50μLの標的(1穴あたり2×
10
4細胞)が、96穴U−bottomプレートの穴へ添加された。種々の濃度の抗体
を伴って又は伴わないで追加の50μLが添加され、細胞は室温で20分間培養された。
次に、ヒト全血液(100μL)が穴へ添加された。全ての試料は3組で実行された。プ
レートは、200gで3分間遠心分離され、5% CO
2培養器において摂氏37度で3
時間培養され、次に、200gで3分間再び遠心分離された。1穴あたり合計20μLの
上清が除去され、細胞溶解が、200μLのDELPHIA Europium系試薬(
PerkinElmer)の添加によって測定された。Envision 2101 M
ultilabel Reader(PerkinElmer)を使用して、蛍光性が測
定された。データは、Triton X−100(Sigma Aldrich)で細胞
を処理することによって得られた最大の細胞傷害に対して正規化され、また標的細胞単独
からのBATDAの自然放出によって最小対照が決定された。データは、GraphPa
d Prism v5.01を使用して、S字状用量−応答モデルにフィッティングされ
た。
【0071】
ヒト血液の存在下でのWIL2−Sの共培養は、IgG1を使用して、またある程度は
IgG2及びIgG2M4によって、標識付けされたWIL2−Sのエフェクター媒介に
よる重度の枯渇を明らかにした。留意すべき点として、(Fab’)
2及びFab抗CD
20断片の双方は、エフェクター機能を回復する能力がある血清内の開裂IgG自己抗体
(例えば、Breskiら、2008 J Immunol 181:3183〜319
2を参照)の存在を示し得る、あるレベルのWIL2−S枯渇を誘発した。先行のADC
C、CDC、及びADCPデータと一致して、IgG2c4eに伴って、大幅な又は検出
可能なレベルのサイトカイン放出は、観察されなかった。
【0072】
実施例6:CD20標的化を伴う生体内B細胞生存
IgG2c4eに関連する生体内エフェクター機能が、抗CD20の確立されたカニク
イザルB細胞(Cynomologous B-cell)枯渇モデル(Reffら、1994,Blood
83:435〜445)を使用して評価された。
【0073】
カニクイザル(Cynomologous monkeys)(n=3/群)は、0.2mg/Kg又は2m
g/Kgでの、IgG1か又はIgG2Σかの単回ボーラス静脈内投与の7日前に、生理
食塩水を注入された。注入後の所定の日に、全血液試料からのB細胞レベルが、抗CD2
0及び抗CD3をそれぞれマーカーとして使用するB及びT細胞のフローサイトメトリー
分析によって測定された。それぞれの群に対する平均B細胞レベル(CD20+/CD3
−)が、注入後3週間の間プロットされた(
図9)。IgG1の低投与量(0.2mg/
kg)は、注入後1日で全B細胞の完全に近い枯渇(99%)を誘発したのに対し、抗C
D20 IgG2c4eによっては有意な枯渇は誘発されなかった(群内平均15%)。
B細胞レベルは、抗CD20 IgG2c4eで処理された動物に対しては、後続の数日
に渡って相対的に正常なままであり、またIgG1で処理された動物に対しては、後続の
数週間の間で、徐々に回復へと向かうB細胞レベルの傾向が観察された。留意すべき点と
して、IgG2c4e及びIgG1の双方とも、2mg/Kgのより高い投与量では、完
全に近いB細胞枯渇を誘発した。
【0074】
抗CD20媒介性B細胞枯渇は、ADCC、CDC、及びアポトーシスを含むいくつか
のメカニズムによって媒介されると考えられる。IgG2c4eによる、より高い投与量
(2mg/Kg)でのB細胞の枯渇を示すサルのB細胞枯渇データを考慮し、単離したB
細胞内の抗体によって誘発されるアポトーシスのレベルを測定することによって、B細胞
枯渇の基本メカニズムが更に評価された。
【0075】
単離したB細胞は、0、0.26、2.6、及び26μg/mL濃度のIgG1、Ig
G2c4e、(Fab’)
2、及びIgG2と、非結合性の対照mAb(BM21)とで
、4時間処理され、Annexin V陽性及び7AAD陰性細胞が、フローサイトメト
リーによって定量化された。0.2及び2mg/Kgのボーラス注入後の、概算の最大生
体内血清IgG濃度を反映するように、2.6及び26μg/mLの特定の最終濃度が選
択された。
【0076】
これらの3つの全ての結合抗体に対して、アポトーシスの投与量依存性誘発が、(Fa
b’)
2を含む全てのIgGに対して観察され、抗CD20媒介性架橋結合は、より高い
投与量での細胞死滅の誘発に十分であるが、しかし、IgG2c4eに対するより低い投
与量では十分ではないことが示された。留意すべき点として、(Fab’)
2はまた、F
cの不在下でも有意なアポトーシスを示し、抗IgG媒介性アポトーシスは、以前に観察
されたように、Fc媒介性架橋結合とは無関係に誘発され得るという考えを裏付けた。
【0077】
したがって、細胞上の標的抗原の架橋結合に関連する正常な機能は、修飾されたFc変異型によって除去されない。
以下に、本願の当初の特許請求の範囲に記載された発明を付記する。
[1] 野生型Fcと比較して少なくとも1つのFcγ受容体に対する低下した親和性を有するFc含有分子であって、突然変異したIgG定常領域を伴う抗体Fcドメインを含み、EU番号付け方式によって定義されるアミノ酸残基233、234、235、237、及び238が、PAAAP(配列番号:4)、PAAAS(配列番号:5)、及びSAAAS(配列番号:6)から選択される配列を含む、Fc含有分子。
[2] 前記Fcドメインが更に、EU番号付け方式によって定義される突然変異H268A又はH268Q、V309L、A330S、及びP331Sを含む、[1]に記載のFc含有分子。
[3] 前記ドメインが、FcRnに特異的に結合することができる、[1]に記載のFc含有分子。
[4] 前記Fcドメイン配列が、ヒトIgG2重鎖CH2ドメインと少なくとも90%同一である、[1]に記載のFc含有分子。
[5] 前記Fc含有分子が、抗体又はFc融合タンパク質である、[1]に記載のFc含有分子。
[6] 残基228がSからPへ突然変異される、[1]に記載のFc含有分子。
[7] 組換えポリペプチド系結合分子であって、(i)標的分子に結合することができる結合ドメインと、(ii)ヒト免疫グロブリン重鎖のCH2及びCH3定常ドメインの全て又は一部に実質的に相同であるアミノ酸配列を有するFcドメインであって、EU番号付け方式によって定義される残基233、234、235、237、及び238が、PAAAP、PAAAS、及びSAAASから選択されるアミノ酸配列を含む、Fcドメインと、を含み、前記結合分子が、著しい補体依存性溶解又は前記標的の細胞媒介性破壊を引き起こすことなしに、前記標的分子に結合することができる、結合分子。
[8] 前記Fcドメインが、FcRnに特異的に結合することができる、[7]に記載の結合分子。
[9] 前記結合ドメインが、抗体、酵素、ホルモン、受容体、サイトカイン、免疫細胞表面抗原、配位子、及び接着分子の結合部位から選択される、[8]に記載の結合分子。
[10] 前記分子が結合活性を示す、[9]に記載の結合分子。
[11] 前記結合ドメインが、神経組織、内分泌組織、血管組織、心臓組織、滑膜組織、皮膚組織、又は粘膜組織内で標的と特異的に結合する、[7]〜[10]のいずれか一項に記載の結合分子。
[12] マクロファージの遊走及び集結によって特徴付けられる疾患を治療するための方法であって、請求項1〜7のいずれかに記載のFc含有タンパク質調製物を、対象又は患者に投与する工程を含む、方法。
[13] 移植片対宿主疾患;宿主対移植片疾患;臓器移植拒絶反応;骨髄移植拒絶反応;自己免疫、血管炎、自己免疫性溶血性貧血、自己免疫性血小板減少症及び関節炎;胎児/新生児同種免疫性血小板減少症等の同種免疫;ぜんそく及びアレルギー;慢性若しくは急性炎症性疾病、クローン病又は強皮症;アルツハイマー病、又は冠状動脈閉塞を治療する方法であって、請求項1〜7のいずれかに記載のFc含有分子を対象又は患者に投与する工程を含む、方法。
[14] [1]〜[7]のいずれかに記載のFc含有分子を対象又は患者に投与する工程を含む、症状を治療するための方法であって、前記結合分子が、患者に投与されるか、又は任意で前記患者が胎児である場合に前記患者の母親に投与される、方法。
[15] 野生型Fcと比較してFcγ受容体に対する低下した親和性を有するFc含有分子であって、IgG2定常領域に基づく抗体Fcドメインを含み、EU番号付け方式によって定義されるアミノ酸残基233、234、235、237、及び238が、PAAAP、PAAAS、及びSAAASから選択される配列を含み、かつEU番号付け方式によって定義される突然変異H268A又はH268Q、V309L、A330S、及びP331Sを更に含む、Fc含有分子。
[16] IgG2系Fc含有分子のFcγ受容体への結合を、野生型IgG2系Fcと比較して変化させる方法であって、EU番号付け方式によって定義される残基233、234、235、237、及び238でのIgG2定常領域に基づくFcドメインの配列を、PAAAP、PAAAS、及びSAAASから選択される配列を含み、かつ突然変異H268A又はH268Q、V309L、A330S、及びP331Sを含むように、変化させる工程を含む、方法。
[17] 本明細書に記載されたいずれかの発明。