【解決手段】a.メチルビニルエーテル及び無水マレイン酸のポリマーである接着性物質;及びb.2〜4μmの粒径の中央値、0.5〜2μmのd10、及び5〜10μmのd90を有するシリカ粒子を含む口腔ケア組成物であって、その口腔ケア組成物がエッチングされた象牙質の流体流速の約45%より大きくない流体流速を提供する口腔ケア組成物。リンス、ペースト、ゲル、ガム、溶解可能なロゼンジ又はフィルムから選択された形で配合された口腔ケア組成物。
【発明の概要】
【0007】
[0007] 本発明は接着性物質およびシリカ粒子を含む口腔ケア組成物を含み、ここでそ
の口腔ケア組成物はエッチングされた象牙質(etched dentin)の流体流速
の約45%より大きくない流体流速を提供する。1側面において、組成物は3μm〜5μ
mの粒径分布(PSD)を有するシリカ粒子を含む。別の側面において、組成物は3μm
〜5μmの粒径の中央値を有するシリカ粒子を含む。さらに別の側面において、組成物は
3μm〜5μmの平均粒径を有するシリカ粒子を含む。本発明の1側面において、組成物
は2μm〜5μmの粒径分布(PSD)を有するシリカ粒子を含む。別の側面において、
組成物は2μm〜5μmの粒径の中央値を有するシリカ粒子を含む。さらに別の側面にお
いて、組成物は2μm〜5μmの平均粒径を有するシリカ粒子を含む。別の側面において
、組成物は2.7μm〜4.0μmの平均粒径を有するシリカ粒子を含む。別の側面にお
いて、組成物は2μm、2.5μm、3μm、3.5μm、4μm、4.5μm、および
5μmからなるグループから選択される粒径を有するシリカ粒子の集団を含み、ここで前
記のシリカ粒子の集団は前記の口腔ケア組成物中の全シリカ粒子の少なくとも20%を構
成する。別の側面において、組成物は3μm〜5μmの粒径の中央値、1.5μm〜3μ
mのd10、および6μm〜11μmのd90を有するシリカ粒子を含む。さらに別の側
面において、組成物は2μm〜4μmの粒径の中央値、0.5μm〜2μmのd10、お
よび5μm〜10μmのd90を有するシリカ粒子を含む。
【0008】
[0008] 本発明の1側面において、組成物はシリカ粒子を含み、ここでその組成物は少
なくとも20%の3.95μm以下の累積粒径体積分率(AUC3.95)を有し、ここ
でその口腔ケア組成物はエッチングされた象牙質の流体流速の約45%より大きくない流
体流速を提供する。別の側面において、組成物はシリカ粒子を含み、ここでそのシリカ粒
子は少なくとも40%の累積粒径体積分率(AUC3.95)を有する出発物質シリカ粒
子の集団を含み、ここでその口腔ケア組成物はエッチングされた象牙質の流体流速の約4
5%より大きくない流体流速を提供する。
【0009】
[0009] 1側面において、組成物のシリカ粒子は600オングストローム以下の細孔に
おいて0.45cc/g未満の多孔度を有する。
[0010] 1側面において、組成物中の接着性物質は100,000および2,500,
000の間(両端を含む)の数平均分子量を有するポリマーである。1側面において、そ
の接着性物質は、ポリビニルホスホン酸、ポリ(1−ホスホノプロペン)スルホン酸、ポ
リ(ベータスチレンホスホン酸)、アルファスチレンホスホン酸、合成陰イオン性ポリマ
ー性ポリカルボキシレート、無水マレイン酸、マレイン酸、およびメチルビニルエーテル
のポリマーから選択される。別の側面において、その接着性分子はメチルビニルエーテル
および無水マレイン酸のポリマーである。
【0010】
[0011] 本発明の1側面において、組成物はリンス、ペースト、ゲル、ガム、溶解可能
なロゼンジ、およびフィルムから選択される形の中に配合される。別の側面において、そ
の組成物は溶解可能なフィルムから選択される形の中に配合される。
【0011】
[0012] 本発明の1側面において、組成物は非シリカ脱感作剤(desensitiz
ing agent)を含む。1側面において、その脱感作剤は硝酸塩、アルギニンエス
テル、炭酸水素塩、硝酸カリウム、塩化カリウム、アルギニン−重炭酸−フィチン酸複合
体、クエン酸カリウム、およびアルギニンからなるグループから選択される。
【0012】
[0013] 1側面において、組成物はさらに抗細菌剤を含む。1側面において、組成物は
さらに2,4,4’−トリクロロ−2’−ヒドロキシジフェニルエーテルを含む。
[0014] 1側面において、組成物はさらに、化学的白化剤、不透明な(opaque)
白化剤および抗歯石剤から選択される薬剤を含む。1側面において、組成物はさらに、ラ
ウリル硫酸ナトリウムおよびタウラノール(tauranol)を含む界面活性剤系を含
む。1側面において、界面活性剤系は本質的に1:5〜1:3の比率のラウリル硫酸ナト
リウムおよびタウラノールからなる。
【0013】
[0015] 1側面において、組成物はさらに、スズイオン剤;フッ化物化合物;フッ化ナ
トリウム;クロルヘキシジン;アレキシジン;ヘキセチジン;サンギナリン;塩化ベンザ
ルコニウム;サリチルアニリド;臭化ドミフェン;塩化セチルピリジニウム(CPC);
塩化テトラデシルピリジニウム(TPC);塩化N−テトラデシル−4−エチルピリジニ
ウム(TDEPC);オクテニジン;デルモピノール(delmopinol);オクタ
ピノール(octapinol);ナイシン(nisin);亜鉛イオン剤;銅イオン剤
;精油;フラノン類;バクテリオシン類、エチルラウロイルアルギネート(ethyll
auroyl arginate)、マグノリアの抽出物、金属イオン源、重炭酸アルギ
ニン、ホノキオール(honokiol)、マゴノール(magonol)、ウルソール
酸(ursolic acid)、ウルシック酸(ursic acid)、モリン、シ
ーバックソーンの抽出物、過酸化物、酵素、ツバキ抽出物、フラボノイド、フラバン、ハ
ロゲン化ジフェニルエーテル、クレアチン、およびプロポリスから選択される薬剤を含む
。
【0014】
[0016] 1側面において、本発明は歯の敏感性を低減するための組成物および方法を提
供する。1側面において、歯の敏感性を低減する方法は、哺乳類の歯の表面に本明細書で
提供される口腔ケア組成物を適用することを含む。別の側面において、歯の敏感性を低減
する方法は、哺乳類の歯の表面に請求項1の口腔ケア組成物を適用することを含み、ここ
でその接着性物質はポリビニルホスホン酸、ポリ(1−ホスホノプロペン)スルホン酸、
ポリ(ベータスチレンホスホン酸)、アルファスチレンホスホン酸、合成陰イオン性ポリ
マー性ポリカルボキシレート、無水マレイン酸、マレイン酸、およびメチルビニルエーテ
ルのポリマーから選択される。1側面において、歯の敏感性を低減する方法は、哺乳類の
歯の表面に本明細書で提供される口腔ケア組成物を適用することを含み、ここでその粒子
は600オングストローム以下の細孔において0.45cc/g未満の多孔度を有する。
【0015】
[0017] 1側面において、哺乳類の歯の表面に本明細書で提供される口腔ケア組成物を
適用することを含む、象牙質を酸に仲介される分解から保護するための方法を提供する。
[0018] 別の側面において、ある期間の間少なくとも1日1回哺乳類の口の表面に組成
物を適用することを含む、哺乳類の全身の健康を維持する、または増大させるための方法
を提供し、ここでその組成物は本明細書で提供される口腔ケア組成物ならびにトリクロサ
ン;トリクロサン一リン酸塩;クロルヘキシジン;アレキシジン;ヘキセチジン;サンギ
ナリン;塩化ベンザルコニウム;サリチルアニリド;臭化ドミフェン;塩化セチルピリジ
ニウム(CPC);塩化テトラデシルピリジニウム(TPC);塩化N−テトラデシル−
4−エチルピリジニウム(TDEPC);オクテニジン;デルモピノール;オクタピノー
ル;ナイシン;亜鉛イオン剤;銅イオン剤;精油;フラノン類;バクテリオシン類、エチ
ルラウロイルアルギネート、マグノリアの抽出物、金属イオン源、重炭酸アルギニン、ホ
ノキオール、マゴノール、ウルソール酸、ウルシック酸(ursic acid)、モリ
ン、シーバックソーンの抽出物、過酸化物、酵素、ツバキ抽出物、フラボノイド、フラバ
ン、ハロゲン化ジフェニルエーテル、クレアチン、およびプロポリスから選択される薬剤
を含み、ここでそのシリカ粒子は組成物中に5重量%以上の量で存在する。
【0016】
[0019] 歯の表面に接着性物質および象牙質細管より大きくない粒径の中央値を有する
シリカ粒子を含む組成物を適用することを含む、哺乳類の歯の表面内の象牙質細管をふさ
ぐ方法も含まれる。1側面において、哺乳類の歯の表面内の象牙質細管をふさぐ方法は、
その歯の表面に本明細書で提供される組成物を適用することを含む。1側面において、適
用の方法は歯の表面をブラッシングする以外の方法である。別の側面において、歯を1日
未満で脱感作する方法を提供し、その方法はその歯の表面に本明細書で提供される組成物
を適用することを含む。
【0017】
[0020] 本発明は歯のカリウムの流動を増大させる方法を含み、その方法はその歯の表
面に本明細書で提供される組成物を適用することを含む。一般に用いられるカリウムを含
む脱感作性歯磨剤のカリウムの流動を増大させる方法であって、歯の表面に本明細書で提
供される組成物を適用することを含む方法も含まれる。1側面において、一般に用いられ
るカリウムを含む脱感作性歯磨剤のカリウムの流動を増大させる方法は歯の表面に本明細
書で提供される組成物を適用することを含み、ここでその組成物は一般に用いられる歯磨
剤の歯への適用の前、一般に用いられる歯磨剤の歯への適用と同時、一般に用いられる歯
磨剤との混合物中で一般に用いられる歯磨剤の歯への適用と同時、またはそれらのあらゆ
る組み合わせとしてのいずれかで適用される。
【発明を実施するための形態】
【0019】
[0027] 本明細書で記述される本発明は、少なくとも(a)接着性物質および(b)シ
リカ粒子を含む口腔ケア組成物を含む。そのシリカ粒子は象牙質細管より大きくない平均
粒径を有していてよく、あるいはそれは8ミクロン以下の粒径の中央値を有していてよい
。その粒子は5重量%以上の量で存在していてよい。その組成物は追加の療法的および非
療法的構成要素を含んでいてよく、様々な方法の実施において利用されてもよく、その全
ては本発明の範囲内に含まれる。本発明の範囲内の組成物および方法は、例えば哺乳類の
歯の敏感性の低減または除去、全身の健康の向上/維持、および/または象牙質細管の閉
塞において有用である可能性がある。
【0020】
[0028] 粒径分布はMalvern粒径分析器、モデルMastersizer 20
00(または比較可能なモデル)(Malvern Instruments, Inc
.、マサチューセッツ州サウスボロ)を用いて測定され、ここでヘリウム−ネオンガスレ
ーザービームが例えば水溶液中に懸濁したシリカヒドロゲル粒子のようなシリカを含む透
明なセルを通して投射される。粒子に当たる光線は粒径に反比例する角度で散乱される。
光検出器のアレイがいくつかのあらかじめ決められた角度で光の量を測定する。次いで、
測定された光束の値に比例する電気シグナルを、試料および水性分散剤の屈折率により定
められる理論上の粒子から予測される散乱パターンに対してマイクロコンピューターシス
テムにより処理し、例えばシリカヒドロゲルの粒径分布を決定する。粒径を測定する他の
方法が当技術で既知であり、本明細書で述べられる開示に基づいて当業者はどのように本
発明のシリカ粒子の粒径の中央値、平均粒径、および/または粒径分布を算出するかを理
解するであろうことは理解されるであろう。
【0021】
[0029]
シリカおよびシリカ組成物。1側面において、本発明の口腔用組成物に適した
シリカ粒子には、例えば3〜4ミクロンの粒径分布、あるいは5〜7ミクロンの粒径分布
、あるいは3〜5ミクロンの粒径分布、あるいは2〜5ミクロンの粒径分布、あるいは2
〜4ミクロンの粒径分布を有するシリカ粒子が含まれる。
【0022】
[0030] 本発明の範囲内の口腔用組成物には、1個以上の粒子が細管内部で留まった状
態になり、それにより知覚される歯の敏感性の低減または除去を達成することができるよ
うな、哺乳類の象牙質細管の平均直径より大きくない粒径の中央値を有する粒子も含まれ
る。
【0023】
[0031] 1側面において、適切なシリカ粒子は、例えば8ミクロン以下の粒径の中央値
、あるいは3〜4ミクロンの粒径の中央値、あるいは5〜7ミクロンの粒径の中央値、あ
るいは3〜5ミクロンの粒径の中央値、あるいは2〜5ミクロンの粒径の中央値、あるい
は2〜4ミクロンの粒径の中央値を有していてよい。
【0024】
[0032] 1態様において、シリカ粒子は2.0ミクロンの粒径を有する。別の態様にお
いて、シリカ粒子は2.5ミクロンの粒径を有する。別の態様において、シリカ粒子は3
.0ミクロンの粒径を有する。別の態様において、シリカ粒子は3.5ミクロンの粒径を
有する。別の態様において、シリカ粒子は4.0ミクロンの粒径を有する。別の態様にお
いて、シリカ粒子は4.5ミクロンの粒径を有する。別の態様において、シリカ粒子は5
.0ミクロンの粒径を有する。本発明の1側面において、そのシリカの粒径は粒径の中央
値である。別の側面において、そのシリカの粒径は平均(average(mean))
粒径である。1態様において、そのシリカ粒子はシリカ粒子を含む組成物中の全シリカ粒
子の少なくとも5%、少なくとも10%、少なくとも15%、少なくとも20%、少なく
とも25%、少なくとも30%、少なくとも35%、または少なくとも40%を構成する
。
【0025】
[0033] 本発明の1側面において、シリカは以下のパラメーターにより特徴付けられる
粒径を有する:約2μm〜約4μmの粒径の中央値、約0.5μm〜約2μmのd
10、
および約5μm〜約10μmのd
90。本明細書で用いられるd
10は標本抽出された集
団の10%の閾値である直径を有する粒子を指し(すなわち、その集団の10%がそのd
10の値以下である)、d
90は標本抽出された集団の90%の閾値である直径を有する
粒子を指す(すなわち、その集団の90%がそのd
90の値以下である)。別の側面にお
いて、シリカは約3μm〜約5μmの粒径の中央値、約1.5μm〜約3μmのd
10、
および約6μm〜約11μmのd
90により特徴付けられる粒径を有する。
【0026】
[0034] 本発明の別の側面において、シリカを含む歯磨剤中のシリカの少なくとも一部
は、3.95μmのd
50を有する(すなわち、そのシリカ粒子の集団の50%がそのd
50の値以下である)。Sorbosil AC43シリカは3.95μmのd
50を有
する。限定的では無い例として、そのd
50は本明細書の他の箇所で述べた粒径測定技法
(例えばMALVERN MASTERSIZER)を用いて測定される。1態様におい
て、シリカを含む歯磨剤は、粒径測定において得られた曲線下面積(AUC)により決定
される3.95μm以下の粒子の集団を有する。本明細書で用いられる用語“AUC3.
95”は、3.95μm以下の粒子の累積体積分率を指す。限定的では無い例として、そ
れの粒子の20%が3.95μm以下である組成物は20%の累積粒径体積分率(AUC
3.95)を有すると言われる。
【0027】
[0035] 1態様において、本発明のシリカを含む歯磨剤は、少なくとも18%のAUC
3.95値を有する。別の態様において、本発明のシリカを含む歯磨剤は、少なくとも2
0%のAUC3.95値を有する。別の態様において、本発明のシリカを含む歯磨剤は、
少なくとも22%のAUC3.95値を有する。別の態様において、本発明のシリカを含
む歯磨剤は、少なくとも24%のAUC3.95値を有する。別の態様において、本発明
のシリカを含む歯磨剤は、少なくとも26%のAUC3.95値を有する。別の態様にお
いて、本発明のシリカを含む歯磨剤は、少なくとも30%のAUC3.95値を有する。
【0028】
[0036] 別の態様において、本発明のシリカを含む歯磨剤は、少なくとも40%のAU
C3.95値を有するシリカ出発物質を含む。別の態様において、本発明のシリカを含む
歯磨剤は、少なくとも42%のAUC3.95値を有するシリカ出発物質を含む。別の態
様において、本発明のシリカを含む歯磨剤は、少なくとも45%のAUC3.95値を有
するシリカ出発物質を含む。別の態様において、本発明のシリカを含む歯磨剤は、少なく
とも50%のAUC3.95値を有するシリカ出発物質を含む。本発明の1側面において
、シリカ出発物質は小粒子シリカである。
【0029】
[0037] 本発明の1側面において、シリカ粒子は600オングストローム以下の細孔に
おいて約0.45cc/g未満の多孔度を有する。
[0038] 1態様において、そのシリカはINEOS(現PQ Corp.)のSorb
osil AC43シリカである。1態様において、AC43シリカは(MALVERN
MASTERSIZERにより決定される)2.7〜4.0ミクロンの平均粒径、+4
5μmのふるい残分(sieve residue)、105℃における最大8.0%の
水分損失、1000℃における最大14.0%の強熱減量、および水性懸濁液中で5.5
〜7.5のpHを含む特性を有するが、それらに限定されない。
【0030】
[0039] 1態様において、そのシリカ粒子は組成物中に最初から望まれる粒径を有して
存在していてよく、またはその粒子の構造が例えばブラッシングの際の歯ブラシによる機
械的な力の適用により砕けて、もしくは壊れて望まれる粒径になるようなものである限り
、最初はその組成物中により大きい大きさで存在していてよい。
【0031】
[0040] そのシリカ粒子は当技術で既知の、または当技術で開発されるあらゆる手段に
より調製されてよく、望まれるならばその粒子が歯の表面に接着する能力を増大させるた
めに表面修飾されてよい。例えば米国特許出願番号11/271,306において例を見
つけられる可能性があり、その内容を本明細書に援用する。そのシリカ粒子は組成物全体
の重量により5%以上の量で組成物中に存在する。あるいは、そのシリカ粒子は5重量%
、6重量%、7重量%、8重量%、9重量%、10重量%、15重量%、20重量%また
は25重量%の量で存在していてよい。
【0032】
[0041] あらゆる研磨性粒子を用いてよく、それは炭酸水素ナトリウム、リン酸カルシ
ウム(例えばリン酸二カルシウム二水和物)、硫酸カルシウム、沈降炭酸カルシウム、シ
リカ(例えば水和シリカ)、酸化鉄、酸化アルミニウム、パーライト、プラスチック粒子
、例えばポリエチレン、およびそれらの組み合わせから選択されてよい。特に、その研磨
剤はリン酸カルシウム(例えばリン酸二カルシウム二水和物)、硫酸カルシウム、沈降炭
酸カルシウム、シリカ(例えば水和シリカ)、ピロリン酸カルシウムおよび組み合わせか
ら選択されてよい。沈降シリカ類またはシリカゲル類のようなあらゆるタイプのシリカを
用いてよい。1態様において、本明細書の他の箇所で記述されているように、商業的に入
手可能なシリカ類、例えばIneos Silicas、英国ウォリントンから入手可能
なINEOS AC43が用いられる。1態様において、本明細書の他の箇所で詳細に記
述されているように、シリカは3μmから5μmまでの粒径の中央値を有する。別の態様
において、本明細書の他の箇所で詳細に記述されているように、シリカおよび/またはシ
リカを含む口腔用組成物はエッチングされた象牙質の流体流速の約45%より大きくない
流体流速を提供する。
【0033】
[0042] 様々な研磨剤を本発明に従って用いてよい。ある種類の研磨剤には、本明細書
で詳細に述べられたシリカ粒子が含まれる。別の種類の研磨剤は粉末状シリカ類、特に米
国特許第3,538,230号において定義されているようなシリカキセロゲル類である
。加えて、米国特許第4,358,437号において述べられているように、研磨性の形
の炭酸カルシウムの粉末の形は別の種類の研磨剤である。
【0034】
[0043]
ポリマー類および接着性物質。本発明の口腔用組成物には接着性物質も含まれ
る。その接着性物質は、哺乳類の歯の表面に、および/またはそれも歯の表面上に存在す
る可能性のある異種性のバイオフィルムに付着する、当技術におけるあらゆる既知の、ま
たは当技術において開発されているものであってよい。付着はあらゆる手段、例えばイオ
ン性相互作用、ファンデルワールス力、疎水性−親水性相互作用等により起こってよい。
その接着性物質は、例えばキトサン、キチン、ガムまたは海水コロイド(marine
colloid)であってよい。他の考えられる接着性物質には、歯の表面に接着するあ
らゆるホモポリマーまたはコポリマー(以下まとめて“ポリマー”と呼ぶ)が含まれる。
そのようなポリマーには、ポリ(エチレンオキシド)ポリマー類(例えばDow Che
micalからのPOLYOX)、線状PVPおよび架橋されたPVP、PEG/PPG
コポリマー類(例えばBASF Pluracare L1220)、エステルガム、シ
ェラック、感圧シリコン接着剤(例えばDow−CorningからのBioPSA)、
メタクリレート類、またはそれらの混合物が含まれる可能性がある。1態様において、コ
ポリマーはポリ(メチルビニルエーテル/無水マレイン酸)を含む。別の態様において、
コポリマーはポリ(メチルビニルエーテル/マレイン酸)を含む。別の態様において、コ
ポリマーはポリ(メチルビニルエーテル/マレイン酸)半エステル類を含む。別の態様に
おいて、コポリマーはポリ(メチルビニルエーテル/マレイン酸)混合塩類を含む。
【0035】
[0044] 例えば(数平均または重量平均のどちらかにより算出される)50,000〜
500,000、500,000〜2,500,000、または2,500,000〜1
0,000,000の分子量を含む、あらゆる分子量のポリマーを用いてよい。1態様に
おいて、ポリマーは130,000の分子量を有する。1態様において、ポリマーは20
0,000の分子量を有する。1態様において、ポリマーは690,000の分子量を有
する。1態様において、ポリマーは1,000,000の分子量を有する。1態様におい
て、ポリマーは1,250,000の分子量を有する。1態様において、ポリマーは1,
980,000の分子量を有する。別の態様において、ポリマーは2,500,000の
分子量を有する。さらに別の態様において、ポリマーは5,000,000の分子量を有
する。
【0036】
[0045] 1態様において、メチルビニルエーテルおよび無水マレイン酸のコポリマーは
、1:4から4:1までのモノマー比で用いられてよい。接着性物質として用いられてよ
い他のポリマーには、米国特許出願公開番号2006/0024246において列挙され
ているポリマーが含まれ、その内容を本明細書に援用する。
【0037】
[0046] 商業的に入手可能なポリマーを本発明において用いてよい。時間の経過に伴い
商業的に入手可能なポリマーの正確な大きさ、重量および/または組成が変化する可能性
があることが理解されている。本明細書で述べられる開示に基づいて、当業者はそのよう
なポリマーが本発明において有用であるかどうかをどのように決定するかを理解するであ
ろう。
【0038】
[0047]
象牙質の伝導度の評価:本発明の組み合わせで処理した象牙質は、象牙質伝導
度の手順により決定される、エッチングされた象牙質の流速の値の45%、25%、20
%、15%または10%より大きくない流体流速をもたらす。
【0039】
[0048]
象牙質伝導度の手順:歯の敏感性の低減は、本明細書において、象牙質の伝導
度の尺度である測定された流体流速の低減により実証される。
[0049] 抜き取られたヒト臼歯を、ダイヤモンドソーを用いて歯冠および歯根において
切断する。歯髄を取り除き、得られた象牙質切片を、例えばアクリルブロックの上に安定
に取り付ける。歯髄腔(pulp chamber)直下のアクリルブロック台の穴から
管を接続する。象牙質切片を、流体の流れの速度(水伝導度)を測定する装置に接続する
。Zhang et al., “インビトロでの、時間の経過に伴う象牙質透過性および細管の閉塞へ
の無痛脱感作剤の効果”, Journal of Clinical Periodontol, 25(11 Pt 1): 884-91 (No
v, 1998)を参照、その内容を本明細書に援用する。
【0040】
[0050] その象牙質の上面をクエン酸でエッチングする。エッチングされた象牙質を横
断する流体流速を、70cmの水圧下で測定する。次いで、象牙質表面を、3部(3 p
arts)の脱イオン水で希釈した本発明の口腔用組成物のスラリーで処理し、再び流体
流速を測定する。Pashley et al., “インビトロでの脱感作性歯磨剤の効果” J. Period
ontol., 55 (9): 522-525 (Sep, 1984)を参照。
【0041】
[0051]
脱感作性シリカ組成物
[0052] 1側面において、本発明のシリカを含む組成物は歯を脱感作することができる
。別の側面において、本発明のシリカを含む組成物は一般に用いられる脱感作性歯磨剤よ
りも優れた歯の脱感作を提供する。限定的では無い例として、本発明のシリカを含む歯磨
剤は、数ある作用の中でも、一般に用いられる歯磨剤もしくは一般に用いられる脱感作性
歯磨剤よりも大きな脱感作を提供することにより、一般に用いられる歯磨剤もしくは一般
に用いられる脱感作性歯磨剤よりも急速に脱感作を提供することにより、またはより大き
な脱感作およびより急速な脱感作の組み合わせにより、歯の脱感作を提供する。1態様に
おいて、本発明のシリカを含む組成物は、あらゆる他の脱感作剤の非存在下で脱感作およ
び/または優れた脱感作を提供する。別の態様において、本発明のシリカを含む組成物は
脱感作および/または優れた脱感作を提供し、本明細書の他の箇所で記述された1種類以
上の追加の脱感作剤を含んでいてよい。
【0042】
[0053] 本発明は、シリカを含む脱感作性組成物の使用および/または適用の方法も含
む。1態様において、シリカを含む組成物は一般に用いられるブラッシングの技法(例え
ば歯ブラシの使用)により歯に適用されてよい。別の態様において、シリカを含む組成物
は一般に用いられるブラッシングの技法以外の方法により歯に適用されてよい。適用の他
の方法には、手作業での適用(例えば、1本以上の指を用いて、歯の表面上にこすり付け
て、円状の動きでこすり付けて、等で組成物を歯に適用する)、またはあらゆる既知の歯
用の器具または塗布具(applicator)を用いる適用が含まれる。本明細書で述
べられる開示に基づいて、場合により様々な程度の物理的圧力を用いて組成物を歯の上に
塗り付けるあらゆる方法が本発明に含まれることは理解されるであろう。
【0043】
[0054] 本発明に従う歯の脱感作は、本明細書で述べられるあらゆる技法、または当業
者に既知のあらゆる技法により測定されてよい。1態様において、本発明の組成物に従う
歯の脱感作の程度は、本明細書の他の箇所において詳細に記述されているように、カリウ
ムの流動を測定することにより確かめられてよい。
【0044】
[0055] 加えて、本発明はカリウムに基づく脱感作性歯磨剤を用いて得られる脱感作を
増大させる、増進させる、および/または補うための組成物および方法を提供する。1側
面において、本発明の組成物は、象牙質細管をふさいで外向きの流体の流れを阻害し、一
方で同時にカリウムイオンの細管中への内向きの流動を許すために用いられる。別の側面
において、本発明は歯を脱感作する組成物および方法を提供し、ここで脱感作の程度は、
本明細書の他の箇所において詳細に記述されているように、20cm歯髄圧力でカリウム
の流動を測定することにより確かめられる。1態様において、本発明の組成物は、ゼロ歯
髄圧力においてその組成物に関して得られるカリウムの流動の値の20%よりも大きい2
0cm歯髄圧力におけるカリウムの流動の値を有する。
【0045】
[0056] 驚いたことに、小粒子シリカ/ポリマー閉塞組成物のカリウム脱感作剤との組
み合わせは象牙質細管を通る内向きのカリウムの送達を増進することが分かった。1態様
において、本発明は、歯に適用される一般に用いられるカリウムを含む歯磨剤の使用の際
に測定されるカリウムの流動の値を増大させるための組成物および方法を提供する。その
ようなカリウムの流動の変化は、本明細書の他の箇所において詳細に記述されているよう
に測定することができる。本発明は、一般に用いられるカリウムを含む歯磨剤および本発
明のシリカを含む組成物の同時適用(co−application)により、本発明の
シリカを含む組成物の適用に続く一般に用いられるカリウムを含む歯磨剤の適用により、
または一般に用いられるカリウムを含む歯磨剤および本発明のシリカを含む組成物を含む
混合物の適用により仲介される、一般に用いられるカリウムを含む歯磨剤を用いる際に得
られるカリウムの流動のあらゆる増大を含む。
【0046】
[0057] 本発明は歯の1本以上の象牙質細管中のカリウムの流動を増大させる方法を含
み、その方法は歯の表面に本明細書で提供される組成物を適用することを含む。組成物の
歯の表面への適用は、結果として1本以上の象牙質細管中への組成物の導入をもたらす。
組成物は歯に本明細書で述べられている、または当技術で既知のあらゆる方法により適用
される。カリウムの流動、カリウムの流動の速度、およびカリウムの流動の速度の変化は
、本明細書の他の箇所において詳細に述べられているように確かめることができる。
【0047】
[0058] 一般に用いられるカリウムを含む脱感作性歯磨剤のカリウムの流動を増大させ
る方法も含まれ、その方法は歯の表面に本明細書で提供される組成物を適用することを含
む。1側面において、一般に用いられるカリウムを含む脱感作性歯磨剤のカリウムの流動
を増大させる方法は歯の表面に本明細書で提供される組成物を適用することを含み、ここ
でその組成物は、一般に用いられる歯磨剤の歯への適用の前、一般に用いられる歯磨剤の
歯への適用と同時、一般に用いられる歯磨剤との混合物中で、一般に用いられる歯磨剤の
歯への適用と同時、またはそれらのあらゆる組み合わせとしてのいずれかで適用される。
【0048】
[0059]
口腔ケア組成物:その口腔ケア組成物は、望まれる可能性があるようなあらゆ
る他の療法用、化粧用、および/または美的(aesthetic)物質を含んでいてよ
い。例には、非シリカ脱感作剤(例えば、数ある中でも、硝酸塩、アルギニンエステル、
炭酸水素塩、硝酸カリウム、アルギニン−重炭酸−フィチン酸複合体、クエン酸カリウム
、およびアルギニン)、化学的白化剤(例えば過酸化物を放出する化合物)、不透明な白
化剤(例えばヒドロキシアパタイト(hydroxyapetite))および抗歯石剤
が含まれる。本発明の口腔ケア組成物中に含ませるための他の選択肢には、トリクロサン
;スズイオン剤;クロルヘキシジン;アレキシジン;ヘキセチジン;サンギナリン;塩化
ベンザルコニウム;サリチルアニリド;臭化ドミフェン;塩化セチルピリジニウム(CP
C);塩化テトラデシルピリジニウム(TPC);塩化N−テトラデシル−4−エチルピ
リジニウム(TDEPC);オクテニジン;デルモピノール;オクタピノール;ナイシン
;亜鉛イオン剤;銅イオン剤;精油;フラノン類;バクテリオシン類、エチルラウロイル
アルギネート、マグノリアの抽出物、金属イオン源、重炭酸アルギニン、ホノキオール、
マゴノール、ウルソール酸、ウルシック酸(ursic acid)、モリン、シーバッ
クソーンの抽出物、酵素、ツバキ抽出物、フラボノイド、フラバン、ハロゲン化ジフェニ
ルエーテル、クレアチン、およびプロポリスが含まれる。
【0049】
[0060] 本明細書において記述される口腔ケア組成物は、接着性物質および粒子の歯の
表面への接触を可能にするあらゆる送達形中に配合されてよい。例えば、その組成物はマ
ウスリンス、ペースト、ゲル、(溶解可能な、または噛むことができる)ロゼンジ、スプ
レー、ガム、および(完全にまたは部分的に溶解可能な、または溶解不能な)フィルム中
に配合されてよい。その組成物はあらゆる一般に用いられる賦形剤またはキャリヤーを含
んでいてよいが、これらは選択される剤形または投薬の手段に依存して様々であろう。賦
形剤またはキャリヤーは、例えば湿潤剤、着色剤、香味料(flavorants)、グ
リセリン、ソルビトール、キシリトール、および/またはプロピレングリコール、水また
は他の溶媒、ガム基礎剤(gum bases)、増粘剤、界面活性剤、カラギーナン(
リッチモス(rich moss))、キサンタンガムおよびカルボキシメチルセルロー
スナトリウム、デンプン、ポリビニルピロリドン、ヒドロキシエチルプロピルセルロース
、ヒドロキシブチルメチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、およびヒ
ドロキシエチルセルロースおよび非晶質シリカ類を含むことができる。
【0050】
[0061] 望まれるならば、界面活性剤が含まれていてよい。適切な界面活性剤の例には
、高級脂肪酸モノグリセリドモノサルフェート類の水溶性塩類、例えば硬化ヤシ油脂肪酸
の一硫化(monosulfated)モノグリセリドのナトリウム塩;高級アルキルサ
ルフェート類、例えばラウリル硫酸ナトリウム;アルキルアリールスルホネート類、例え
ばナトリウム ドデシルベンゼンスルホネート;高級アルキルスルホアセテート類、例え
ばナトリウム ラウリルスルホアセテート;1,2−ジヒドロキシプロパンスルホネート
の高級脂肪酸エステル類;および低級脂肪族アミノカルボン酸化合物の実質的に飽和した
高級脂肪族アシルアミド類、例えば脂肪酸、アルキルまたはアシル基中に12〜16個の
炭素を有するそれら;および同様のものが含まれる。最後に挙げたアミド類の例には、N
−ラウロイルサルコシン、ならびにN−ラウロイル、N−ミリストイル、またはN−パル
ミトイルサルコシンのナトリウム、カリウム、およびエタノールアミン塩類が含まれる。
他には、例えば非陰イオン性ポリオキシエチレン界面活性剤、例えばPolyoxame
r 407、Steareth 30、Polysorbate 20、およびヒマシ油
;ならびに両性界面活性剤、例えばコカミドプロピルベタイン(テゴバイン(tegob
aine))、およびコカミドプロピルベタインラウリルグルコシド;エチレンオキシド
の、それと反応性であり長い炭化水素鎖(例えば、12から20個までの炭素原子の脂肪
族鎖)を有する様々な水素を含む化合物との縮合生成物であって、その縮合生成物(エト
キサマー(ethoxamers))が親水性ポリオキシエチレン部分、例えばポリ(エ
チレンオキシド)の脂肪酸、脂肪アルコール、脂肪アミドおよび他の脂肪族部分との、な
らびにプロピレンオキシドおよびポリプロピレンオキシド類との縮合生成物を含むものが
含まれる。
【0051】
[0062] 1態様において、その口腔用組成物は、ラウリル硫酸ナトリウム(sodiu
m laurel sulfate)(SLS)およびタウラノールである界面活性剤系
を含む。望まれるなら、そのSLSおよびタウラノールは1:5〜1:3の比率で存在し
ていてよい。
【0052】
[0063] 本発明の口腔ケア組成物は、当技術で既知のあらゆる手段により調製されてよ
い。例えば、例えば米国特許第3,966,863号;第3,980,767号;第4,
328,205号;および第4,358,437号において記述されているように、歯磨
剤に関する調製法は周知であり、その内容を本明細書に援用する。通常は、いずれかの湿
潤剤(例えばグリセリン、ソルビトール、プロピレングリコール、および/またはポリエ
チレングリコール)を、一般に用いられるミキサー中で水中で撹拌の下で分散させる。そ
の分散液の中に、シックナー、例えばカルボキシメチルセルロース(CMC)、カラギー
ナン、またはキサンタンガム;いずれかの陰イオン性ポリカルボキシレート;いずれかの
塩類、例えばフッ化ナトリウム抗齲食剤;およびいずれかの甘味料を添加する。
【0053】
[0064] 得られた混合物を、均質なゲル相が形成されるまで攪拌する。そのゲル相の中
に、利用するいずれかの顔料、例えばTiO
2、および加えて組成物のpHを調節するた
めに必要ないずれかの酸または塩基を添加する。これらの成分を、均質な相が得られるま
で混合する。
【0054】
[0065] 次いでその混合物を高速/真空ミキサーに移し、そこで界面活性剤成分をその
混合物に添加する。続いて利用するシリカを添加する。あらゆる水に不溶性の薬剤、例え
ばトリクロサンを、歯磨剤中に含ませるために香味油中で可溶化し、その溶液を界面活性
剤と共にその混合物に添加し、次いでそれを20〜50mmHgの真空下で5から30分
間までの範囲で高速で混合する。得られた生成物は、均質で半固体の押し出し可能なペー
ストまたはゲル生成物である。
【0055】
[0066]
使用の方法:本発明は、その範囲内にいくつかの関連する方法も含む。例えば
、本発明はその範囲内に哺乳類の歯の象牙質細管を低減する方法およびふさぐ方法、酸に
仲介される分解から象牙質を保護する方法、ならびに歯の敏感性を低減する方法を含む。
【0056】
[0067] これらの方法のそれぞれには、上記の組成物のいずれかを歯の表面に適用する
工程が含まれる。適用は、接着性物質および粒子が歯の表面と接触する状態に置かれる限
り、いずれの方法により実行されてもよい。適用は、ブラッシング、フロッシング、予防
、洗浄(irrigating)、拭き(wiping)、すすぎ(口腔の洗浄)、泡/
ゲルおよびトレイ中での(in−tray)適用、咀嚼(masticating)、ス
プレー、塗布等により成し遂げられてよく、またはフィルムもしくは細片(strip)
により適用されてよい。
【0057】
[0068] 歯の敏感性は、本発明の方法に従って本発明の組成物を歯の表面に適用するこ
とにより低減することができる。組成物は、本明細書の他の箇所において詳細に記述され
ているように伝統的な方法を用いて、または典型的に歯への使用と関係していようといな
かろうとあらゆる器具もしくは塗布具により適用されてよい。1態様において、1本以上
のヒトの指を用いて歯の敏感性を低減する組成物を1本以上の歯に適用する。指は、組成
物を歯の表面上に塗りつけるために、または別のやり方で組成物を歯の表面に適用するた
めに用いることができる。
【0058】
[0069] あるいは、本発明は複合物(composite)を口の表面(口腔の硬組織
および軟組織両方)に適用することにより哺乳類の全身の健康を増大または維持するため
の方法を含む。この方法における使用のための組成物は、それがトリクロサン;トリクロ
サン一リン酸塩;クロルヘキシジン;アレキシジン;ヘキセチジン;サンギナリン;塩化
ベンザルコニウム;サリチルアニリド;臭化ドミフェン;塩化セチルピリジニウム(CP
C);塩化テトラデシルピリジニウム(TPC);塩化N−テトラデシル−4−エチルピ
リジニウム(TDEPC);オクテニジン;デルモピノール;オクタピノール;ナイシン
;亜鉛イオン剤;銅イオン剤;精油;フラノン類;バクテリオシン類、エチルラウロイル
アルギネート、マグノリアの抽出物、金属イオン源、重炭酸アルギニン、ホノキオール、
マゴノール、ウルソール酸、ウルシック酸(ursic acid)、モリン、シーバッ
クソーンの抽出物、過酸化物、酵素、ツバキ抽出物、フラボノイド、フラバン、ハロゲン
化ジフェニルエーテル、クレアチン、およびプロポリスの少なくとも1種類を含むならば
、上記のいずれのものであってもよい。その適用は少なくとも1日1回であってよいが、
1日あたり5回までが好まれる可能性があり、例えば1週間、1年間まで、3年間まで、
または一生涯の間のようなある継続期間にわたって実行されてよい。
【実施例】
【0059】
実施例1
[0070] ペーストの形の4種類の組成物を、表1において設定されている材料および量
ならびに下記のプロセスを用いて調製した。組成物Aは特定のシリカ粒子を含まない対照
組成物である。
【0060】
表1:試験した組成物中に含まれる構成要素。
【0061】
【表1】
【0062】
[0071] サッカリンナトリウムおよびフッ化ナトリウムを水中で溶解させた。トリクロ
サンを香味構成要素中で溶解させた。
[0072] グリセリンおよびプロピレングリコールを一緒に混合した。CMCナトリウム
およびイオタカラギーナンを分散させた。二酸化チタンを混合物に添加した。これに続い
てソルビトールを添加した。これに水中のサッカリンナトリウムおよびフッ化ナトリウム
を添加し、それを49℃で15分間混合した。次いでPMV/MAコポリマーおよび水酸
化ナトリウム(50%)を49℃で添加した(5分間混合した)。全混合物をミキサーの
中に入れ、混合した。続いて、研磨性シリカおよびIneos AC43シリカ粒子を高
速で完全真空下で添加した。
【0063】
[0073] 前もって混合した香味およびトリクロサンおよび硫酸ナトリウム粉末を添加し
た。それを中速で完全真空下で10分間混合した。真空を解除し、全バッチ(batch
)を均一性に関して検査した。
【0064】
[0074] それぞれの組成物(A〜D)を用いた象牙質試料を横断する流体の流れを、上
記の手順を用いて測定した。
表2:調製された組成物に関する測定された流体の流れの値
【0065】
【表2】
【0066】
[0075] 組成物C〜D(ポリマーおよび小粒子シリカ)で処理した象牙質は、エッチン
グされた象牙質の流体の流れの値の5〜22%である液体流速を生じ、それはポリマーの
みの組成物Aの液体流速よりも有意に低かった。小粒子シリカ/ポリマーを含まない典型
的な市販の歯磨剤に関する値は、エッチングされた象牙質の値の50〜100%であろう
(参照:Pashley DH et al, 脱感作性歯磨剤の作用。J. Periodontol, 1984: 55: 522-52
5)。従って、組成物C〜Dは液体流速において有意な低減をもたらした。
【0067】
[0076] この伝導度において観察された低減は、歯の敏感性の低減の尺度である。いず
れかの特定の理論により縛られることを望むわけでは無いが、本発明のシリカを含む口腔
ケア組成物による象牙質細管の少なくとも部分的な閉塞は、この歯の敏感性の低減に寄与
している。
【0068】
[0077] 同様に、組成物Cで処理したエッチングされた象牙質について撮られた共焦点
顕微鏡画像は、組成物Aで処理したエッチングされた象牙質と比較した場合に、開いた象
牙質細管の有意な閉塞/コーティングを示した。加えて、組成物Cによりもたらされる閉
塞的コーティングはコーラによる酸溶解に耐性であった。
【0069】
[0078]
実施例2:トリクロサン/コポリマー/小粒子シリカ/NaF歯磨剤の、象牙
質の酸蝕に対する作用。
[0079] トリクロサン/コポリマー/小粒子シリカ/NaFを含む口腔ケア組成物の能
力を、象牙質の酸による攻撃からの保護に関して調べた。ヒトの象牙質のブロックを抜き
取られた臼歯から切り出し、ネイルポリッシュでマスクして咬合面のみを露出させた。象
牙質の表面積を測定し(cm
2)、ブロックをエッチングし(1分間、6%クエン酸)、
超音波処理しながらリン酸緩衝生理食塩水(PBS)中に5分間置いた。2通りの象牙質
のブロックを3個のグループに分け、PBS、一般に用いられる歯磨剤、またはトリクロ
サン/コポリマー/小粒子シリカ/NaFを含む本明細書で述べた試験歯磨剤のいずれか
で1分間処理し、ここでそのシリカの粒径分布は2μm〜8μmであった。一般に用いら
れる歯磨剤および本発明に従う試験歯磨剤は共に1100ppmのNaFを含んでいた。
象牙質のブロックをすすぎ、PBS中で30分間保温した。そのサイクルを合計で6処理
繰り返し、続いて6%クエン酸中で3分間酸負荷をかけた。そのクエン酸負荷溶液を、原
子吸光分析法により可溶性カルシウム濃度に関して分析した。
【0070】
[0080] 象牙質ブロックの3個の処理グループは全て、カルシウム/cm
2の減少に関
して統計的に異なっており(p<0.05、一元配置ANOVA、テューキーのT検定)
、本発明のトリクロサン/コポリマー/小粒子シリカ/NaF口腔用組成物で処理した象
牙質は最も低い量のカルシウムの減少を示した(表3参照)。
【0071】
表3:処置に基づくカルシウムの減少
【0072】
【表3】
【0073】
[0081] 本発明のトリクロサン/コポリマー/小粒子シリカ/NaF口腔用組成物で処
理した象牙質は、一般に用いられるフッ化物歯磨剤で処理した象牙質と比較して、酸によ
る攻撃に対する有意により優れた保護を提供した。
【0074】
[0082]
実施例3:
[0083] トリクロサン/コポリマー/小粒子シリカ/NaF歯磨剤の過敏性低減の有効
性についての臨床試験。
【0075】
[0084] この8週間の二重盲検式平行グループ臨床試験の目的は、0.3%トリクロサ
ン、2.0%ポリメチルビニルエーテル/無水マレイン酸(PVM/MA)コポリマー、
小粒子シリカおよび0.243%フッ化ナトリウムをシリカ基礎剤中に含む歯磨剤の象牙
質過敏性の低減に関する有効性を研究することであった。
【0076】
[0085] ベースライン過敏性の試験の後、82人の適格な成人を、触覚およびエアブラ
スト刺激に対する過敏性の点数に関して釣合いを取った2個の処置グループの中に無作為
抽出した:(1)0.3%トリクロサン、2.0%PVM/MAコポリマー、小粒子シリ
カおよび0.243%NaFをシリカ基礎剤中に含む歯磨剤(試験歯磨剤);および(2
)一般に用いられ、商業的に入手できる、0.243%NaFをシリカ基礎剤中に含む非
脱感作性歯磨剤(対照歯磨剤)。対象を、家庭で1日2回(朝および晩)1分間、彼らの
割り当てられた歯磨剤製品および提供された柔らかい毛の(soft−bristled
)成人用歯ブラシのみを用いて彼らの歯を磨くように指示した。製品使用の4および8週
間後に過敏性試験を繰り返した。
【0077】
[0086] 82人の対象は全ての試験訪問を完了した。4週間目および8週間目の試験の
両方において、試験歯磨剤のグループは、対照歯磨剤のグループが示したよりも統計的に
有意により有利な触覚過敏性の点数を示し、それぞれ31.6%および52.1%の向上
があった。加えて、4週間目および8週間目の試験の両方において、試験歯磨剤のグルー
プは、対照歯磨剤のグループが示したよりも統計的に有意により有利なエアブラスト過敏
性の点数を示し、それぞれ17.8%および23.6%の向上があった。
【0078】
[0087] この臨床試験の結果は、0.3%トリクロサン、2.0%コポリマー、小粒子
シリカおよび0.243%NaFをシリカ基礎剤中に含む歯磨剤の形の本発明の口腔用組
成物は(1)製品の使用の4および8週間後に過敏性の有意な低減を提供し、(2)象牙
質過敏性において、製品の使用の4および8週間後に商業的に入手できる非脱感作性フッ
化物歯磨剤と比較して有意な向上を提供するという結論を支持する。
【0079】
[0088]
実施例4:トリクロサン/コポリマー/小粒子シリカ/フッ化ナトリウム歯磨
剤の過敏性低減の有効性:マルチサイト臨床試験。
[0089] この6箇所の独立した治験場所で実施された二重盲検式平行グループ臨床試験
の目的は、0.3%トリクロサン、2.0%PVM/MAコポリマー、小粒子シリカおよ
び0.243%フッ化ナトリウムを含む歯磨剤の象牙質過敏性の低減に関する有効性を研
究することであった。
【0080】
[0090] ベースライン過敏性の試験の後、366人の適格な成人を、触覚およびエアブ
ラスト刺激に対する過敏性の点数に関して釣合いを取った2個の処置グループの中に無作
為抽出した:(1)0.3%トリクロサン、2.0%PVM/MAコポリマー、小粒子シ
リカおよび0.243%フッ化ナトリウムを含む歯磨剤(試験歯磨剤)の使用;(2)一
般に用いられ、商業的に入手できる、0.3%トリクロサン、2.0%PVM/MAコポ
リマー、0.243%フッ化ナトリウムを含む歯磨剤(対照歯磨剤)の使用。
【0081】
[0091] 対象を、家庭で1日2回(朝および晩)1分間、彼らの割り当てられた歯磨剤
製品および提供された柔らかい毛の歯ブラシのみを用いて彼らの歯を磨くように指示した
。製品使用の4および8週間後に過敏性試験を繰り返した。
【0082】
[0092] 350人の対象が全ての試験訪問を完了した。4週間目および8週間目の試験
の両方において、試験歯磨剤のグループは、対照歯磨剤のグループが示したよりも統計的
に有意により有利な触覚過敏性の点数を示し、それぞれ11.5%および17.9%の向
上があった。加えて、4週間目および8週間目の試験の両方において、試験歯磨剤のグル
ープは、対照歯磨剤のグループが示したよりも統計的に有意により有利なエアブラスト過
敏性の点数を示し、それぞれ16.1%および23.3%の向上があった。
【0083】
[0093] この臨床試験の結果は、0.3%トリクロサン、2.0%コポリマー、小粒子
シリカおよび0.243%フッ化ナトリウムを含む歯磨剤は、4および8週間の期間にわ
たって用いられた場合に、商業的に入手できる対照歯磨剤と比較して象牙質過敏性の低減
を提供するのに有効であるという結論を支持する。
【0084】
[0094]
実施例5:本発明の組成物の閉塞有効性および増進されたカリウム送達。
[0095] この実験は、一般に用いられるカリウム脱感作剤との組み合わせでの象牙質細
管閉塞系の使用による歯の敏感性の緩和に関する、本発明の口腔用組成物、特に約2μm
〜約4μmの粒径の中央値、約0.5μm〜約2μmのd
10、および約5μm〜約10
μmのd
90のパラメーターにより特徴付けられる粒径を有するシリカ、ならびに2,0
00,000の分子量の中央値を有するポリメチルビニルエーテル/無水マレイン酸コポ
リマーを含む本発明の口腔用組成物(“試験歯磨剤”)ならびに脱感作剤である硝酸カリ
ウムの増進された有効性を実証した。これらの実験のために、“組成物E”(表4)を調
製して試験した。
【0085】
表4“組成物E”
【0086】
【表4】
【0087】
[0096] 象牙質過敏性に関する最も受け入れられている説明はBraennstroe
mの流体力学理論に基づいており、それは様々な刺激、例えば冷たさ、熱さ、圧力、酸、
または甘味が象牙質細管中の流体を内向きまたは外向きに移動させ、歯髄/象牙質境界面
において神経末端を活性化し、それが結果として痛みをもたらすと仮定している。過敏性
を処置するため、2つの主な方法論が有効であることが確認されている:1.カリウムイ
オンを象牙質を通して送達することによる神経の脱感作、および2.象牙質細管の閉塞に
よる流体の動きの減少。驚いたことに、小粒子シリカ/ポリマー閉塞組成物のカリウム脱
感作剤との組み合わせは象牙質細管を通る内向きのカリウムの送達を増進させることが分
かった。
【0088】
[0097] 1.共焦点顕微鏡法
[0098] 閉塞有効性に関する試験歯磨剤のシリカの用量反応試験を、シリカ粒子の3種
類の異なるレベル:5%、7.5%および10%(w/w)において、共焦点顕微鏡法を
用いて試験した。10パーセントのシリカ粒子が、14回のブラッシング処理および2回
の酸負荷曝露の後に、一般に用いられる市販の脱感作性製品と比較して優れた閉塞作用を
示した。象牙質の円盤を、7日間のブラッシング計画(regimen)を模倣するため
に14回処理した。試験した製品の間で明確な差異を有するためにコーラでの負荷を実施
した。共焦点顕微鏡画像を
図1において示し(拡大50×50μm)、それは試験歯磨剤
の優れた保護/脱感作作用を実証している。表面の画像に変化が無いことにより示される
ように(
図1の2列目参照)、試験歯磨剤の閉塞作用はコーラ負荷の後も保たれている。
【0089】
[0099] 2.水伝導度
[00100] 水伝導度試験を行い、時間の経過に伴う水の移動を測定するセンサーに取り
付けられた象牙質切片上で起こる閉塞の程度を評価した。閉塞有効性は、歯磨剤での処置
の後の象牙質切片の水伝導度または水透過性の減少と関係している。ベースラインは、あ
らかじめエッチングされて最大限に開いた細管およびより高い透過性(“0%閉塞”)を
有する象牙質切片について測定された。歯磨剤での処置の後の水伝導度の減少は閉塞作用
を示しており、透過性の低減の百分率で計算される。試験歯磨剤はこの試験において一般
に用いられる市販の脱感作性製品よりも50%優れていることが示された。
【0090】
[00101]
図2は、水伝導度を用いて決定された、それ自体のベースラインと比較した
それぞれの組成物を用いて観察された閉塞の百分率を図説している。この結果は共焦点顕
微鏡法の結果と一致しており、すなわち、試験歯磨剤に関してより高い閉塞の百分率が観
察される。
【0091】
[00102] 組成物Eに関して、水伝導度の試験の手順を、練り歯磨きを1本の指で敏感
な歯の上にこすりつける/塗りつけることを含む、即時の緩和のための別の適用法の試験
を可能にするように修正した。象牙質切片の表面を10μlのPBS緩衝液で濡らして口
の中の湿った歯を模した。組成物Eをその象牙質切片に希釈せずに(“ニート(neat
)”)1本の指で適用し、円状の動きで1分間こすりつけた。その試料を蒸留した脱イオ
ン水ですすぎ、70cmの水圧で水伝導度を測定した。一般に用いられる非脱感作性歯磨
剤(対照歯磨剤、表5)を用いてその手順を繰り返した。組成物Eを用いて処理した象牙
質に関して統計的に有意な(スチューデントのt検定、p<0.05)より低い伝導度が
観察され、それは本発明の歯磨剤の異なる適用の方法(すなわち、一般に用いられるブラ
ッシング以外)を用いた1回のみの処理の後の優れた閉塞を示している。この優れた閉塞
は、結果として一般に用いられる歯磨剤および適用の方法と比較して急速な歯の脱感作を
もたらす。
【0092】
表5:組成物Eの歯の敏感性への作用。
【0093】
【表5】
【0094】
[00103] 3.カリウムの流動
[00104] カリウムの流動(“K流動”)の方法論は、象牙質細管を遮断することによ
り外向きの流体の動きを減少させることへの閉塞剤の有益な作用を実証した。同じ圧力−
遮断作用は、神経脱感作剤、例えば硝酸カリウムの内向きの流れを助けるであろう。カリ
ウムの流動の実験の図式的な説明を
図3において示す。
【0095】
[00105] ヒトの象牙質の円盤を、組成物E(試験歯磨剤)または同レベルの硝酸カリ
ウムを含む一般に用いられる市販の脱感作性組成物のどちらかを用いてブラッシングし、
水の一定の流れをあらかじめ決められた時間間隔で集めることを可能にするPashle
yのスプリットチャンバー(Pashley’s split chamber)中に取
り付けた。カリウム溶液の一定分量(Aliquots)を、処理された象牙質の円盤上
の上部チャンバーに添加した。画分の第1セットを圧力ゼロで集めた(すなわち、より低
いチャンバーはコレクターと並んでおり(3a)、水の流れに抵抗を与えず、イオンが象
牙質の円盤を通って拡散することを可能にする)。次に、コレクターを上げて(3b)2
0cmH
2Oの歯髄圧力を模した。高さの違いにより生み出される対向圧力はイオンの流
れを遅らせ、結果としてコレクターにおけるより低い濃度をもたらす。画分を可溶性カリ
ウムに関してHPLCにより分析した。濃度の値をFickの拡散法則により流動に変換
し、ここでは×10
−10mol/cm
2.sとして表す。実験の終わりに、カリウムの
流動を計算して歯髄圧力の下でのカリウムの送達へのブラッシングされた円盤の相対的な
有効性を決定した。
【0096】
[00106]
図4は、研究された2種類の製品および対照の比較を示す。それぞれの比較
を3通りで評価し、1日あたり1枚の円盤を試験した。その実験は次のように行った:象
牙質の円盤をPashleyのスプリットチャンバー中に取り付け、それぞれ試験歯磨剤
、一般に用いられる市販の歯を脱感作する製品、またはリン酸緩衝液(PBS)のいずれ
かでブラッシングした。ブラッシングの後、(チャンバー中の)円盤を完全にすすぎ、そ
のチャンバーを実験系に接続した。一定の水の流れをシリンジポンプにより0.2mL/
分で与え、フラクションコレクターを10分ごとに切り替えた。
【0097】
[00107] 最初に、システムをすすぐため、上部チャンバーにNaCl溶液を添加した
後3個の画分を集めた。第4の画分において、それぞれのカリウム源、すなわち試験製品
の練り歯磨きスラリーおよびPBSで処理した試料に関してKNO3溶液を添加した。1
8画分または180分の間、ゼロcm H
2Oの最終圧力を有するためにチャンバーおよ
びコレクターを並べた。この仮想条件において、閉塞有効性はカリウムの拡散(×10
−
10mol/cm
2.sとして)により推測することができ、ここでPBSで処理したデ
ィスクは、それが閉塞を欠いているため、結果としてより高いK流動をもたらす。18画
分の後、チャンバーをコレクターに関して下げ、20cm H
2Oの歯髄圧力を有するイ
ンビボの状況を模する。この時点で、カリウムの流動はチャンバー/コレクターの高さの
違いにより生み出される対向圧力により減少することが予想された。歯髄圧力の下で最も
小さい変化またはより高いカリウムの流動を示すディスクは、露出された象牙質細管を有
する歯にカリウムイオンを送達するのにより有効であろう。イオンの拡散への水圧の負の
作用を小さくする閉塞系は、結果として末端におけるより高いカリウムの流動をもたらす
であろう。
図4における結果は、一般に用いられる市販の脱感作性製品およびPBSでブ
ラッシングしたディスクと比較して、試験歯磨剤は20cm H
2Oの下で最も高いカリ
ウムの流動を示すことを明確に示している。
図5において、歯髄圧力の下での平均の流動
の比較を2種類の試験した製品およびPBSに関してプロットする。
【0098】
[00108]
図6は、模擬の歯髄圧力を加えた後のカリウムの流動の百分率の点での同じ
傾向を図説する。これらの結果は、一般に用いられる市販の脱感作性製品と比較した試験
歯磨剤のより速い作用を示唆している。
【0099】
[00109] イオンの拡散に対する外向きの対向する流体の流れの有害な作用を妨げるた
めに効率的な閉塞系を有するという理論はこの実験により確かめられ、すなわち、本発明
の組成物である試験歯磨剤により与えられる閉塞は、カリウムがヒトの象牙質を横切って
拡散するのを促進するのにより有効である。
【0100】
[00110]
実施例6:様々なシリカ類に関して測定されたAUC3.95値。
[00111] 表6は、本発明のシリカを含む組成物および本発明のシリカを含む組成物に
おいて用いられたシリカ出発物質を含む、様々なシリカを含む組成物およびシリカ出発物
質に関して測定されたAUC3.95値を図説する。
【0101】
表6:様々なシリカ類およびシリカを含む組成物に関するAUC3.95値。
【0102】
【表6】