特開2015-232141(P2015-232141A)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2015.5.11 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2015-232141(P2015-232141A)
(43)【公開日】2015年12月24日
(54)【発明の名称】インクセット
(51)【国際特許分類】
   C09D 11/40 20140101AFI20151201BHJP
   C09D 11/54 20140101ALI20151201BHJP
   B41J 2/01 20060101ALI20151201BHJP
   B41J 2/21 20060101ALI20151201BHJP
   B41M 5/00 20060101ALI20151201BHJP
【FI】
   C09D11/40
   C09D11/54
   B41J2/01 501
   B41J2/21
   B41M5/00 E
   B41M5/00 A
【審査請求】有
【請求項の数】6
【出願形態】OL
【全頁数】28
(21)【出願番号】特願2015-167514(P2015-167514)
(22)【出願日】2015年8月27日
(62)【分割の表示】特願2011-74381(P2011-74381)の分割
【原出願日】2011年3月30日
(71)【出願人】
【識別番号】000002369
【氏名又は名称】セイコーエプソン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100116665
【弁理士】
【氏名又は名称】渡辺 和昭
(74)【代理人】
【識別番号】100164633
【弁理士】
【氏名又は名称】西田 圭介
(74)【代理人】
【識別番号】100179475
【弁理士】
【氏名又は名称】仲井 智至
(72)【発明者】
【氏名】奥田 一平
(72)【発明者】
【氏名】佐野 強
【テーマコード(参考)】
2C056
2H186
4J039
【Fターム(参考)】
2C056EA13
2C056EE17
2C056EE18
2C056FC02
2H186AA04
2H186AA05
2H186AA06
2H186AB03
2H186AB05
2H186AB06
2H186AB12
2H186AB28
2H186AB33
2H186AB44
2H186AB45
2H186AB47
2H186AB53
2H186AB54
2H186AB56
2H186AB61
2H186BA08
2H186DA09
2H186FA07
2H186FA08
2H186FA18
2H186FB11
2H186FB16
2H186FB17
2H186FB25
2H186FB29
2H186FB30
2H186FB32
2H186FB48
2H186FB54
2H186FB56
4J039AB08
4J039AB12
4J039AD01
4J039AD03
4J039AD05
4J039AD08
4J039AD09
4J039AD23
4J039AE04
4J039AE05
4J039AE06
4J039AE08
4J039AE13
4J039BA04
4J039BA13
4J039BA15
4J039BA16
4J039BA21
4J039BC07
4J039BC09
4J039BC50
4J039BC57
4J039BE01
4J039BE02
4J039BE12
4J039BE19
4J039BE22
4J039BE30
4J039CA02
4J039EA18
4J039EA21
4J039EA36
4J039GA24
(57)【要約】
【課題】ヒビ割れの発生を低減でき、かつ、耐擦性に優れた画像を記録することができる上、吐出安定性に優れたインクセットを提供すること。
【解決手段】本発明に係るインクセットは、白色色材および第1樹脂を含有する白色インクと、前記白色色材以外の色材を含有するカラーインクと、色材を含有せず、第2樹脂を含有するクリアインクと、を備え、前記第1樹脂は、スライドガラス上に0.5gを滴下させて、温度50℃、湿度0%RHの条件で10分間乾燥させたときにヒビが発生する(A)成分を含み、前記第2樹脂は、ポリオレフィンワックスおよびエチレン酢酸ビニル系樹脂の少なくとも一方である(B)成分を含む。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
白色色材および第1樹脂を含有する白色インクと、
前記白色色材以外の色材を含有するカラーインクと、
色材を実質的に含有せず、第2樹脂を含有するクリアインクと、を備え、
前記第1樹脂は、スライドガラス上に0.5gを滴下させて、温度50℃、湿度0%RHの条件で10分間乾燥させたときにヒビが発生する(A)成分を含み、
前記第2樹脂は、ポリオレフィンワックスおよびエチレン酢酸ビニル系樹脂の少なくとも一方である(B)成分を含む、インクセット。
【請求項2】
白色色材および第1樹脂を含有する白色インクと、
前記白色色材以外の色材を含有するカラーインクと、
色材を含有せず、第2樹脂を含有するクリアインクと、を備え、
前記第1樹脂は、フルオレン系樹脂およびスチレンアクリル系樹脂の少なくとも一方である(A)成分を含み、
前記第2樹脂は、ポリオレフィンワックスおよびエチレン酢酸ビニル系樹脂の少なくとも一方である(B)成分を含む、インクセット。
【請求項3】
請求項1において、
前記(A)成分は、フルオレン系樹脂およびスチレンアクリル系樹脂の少なくとも一方である、インクセット。
【請求項4】
請求項1ないし請求項3のいずれか1項において、
前記白色インク中の前記第1樹脂の含有量は、固形分換算で、1質量%以上7質量%以下である、インクセット。
【請求項5】
請求項1ないし請求項4のいずれか1項において、
前記クリアインク中の前記第2樹脂の含有量は、固形分換算で、3質量%以上10質量%以下である、インクセット。
【請求項6】
請求項1ないし請求項5のいずれか1項において、
液滴吐出装置に備えられ、
前記白色インクの液滴および前記クリアインクの液滴を実質的に同一時に吐出させて、当該白色インクの液滴および当該クリアインクの液滴を被記録媒体上で接触させて付着させた後、前記カラーインクの液滴を吐出させて、前記被記録媒体に付着させた前記白色インクの液滴および前記クリアインクの液滴上に付着させる画像形成方法に用いる、インクセット。
【請求項7】
請求項1ないし請求項5のいずれか1項において、
液滴吐出装置に備えられ、
前記白色インクの液滴を吐出させて、当該白色インクの液滴を被記録媒体に付着させた後、前記クリアインクの液滴および前記カラーインクの液滴を実質的に同一時に吐出させて、当該クリアインクの液滴および当該カラーインクの液滴を、前記被記録媒体に付着させた前記白色インクの液滴上で接触させて付着させる画像形成方法に用いる、インクセット。
【請求項8】
請求項6または請求項7において、
前記被記録媒体上における前記(A)成分の総量(TWA)と、前記被記録媒体上における前記(B)成分の総量(TWB)と、の比率(TWB/TWA)は、0.2以上1.7以下である、インクセット。
【請求項9】
請求項1ないし請求項8のいずれか1項において、
前記ポリオレフィンワックスの平均粒子径は、100nm以上200nm以下である、インクセット。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、インクセットに関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、様々な記録方式を用いて、被記録媒体にインクを付着させて所望の画像を形成することが行われている。形成された画像は、その用途によって、例えば、耐擦性が良好であることや、ヒビ割れ(亀裂)が生じにくいこと等の性質を備えていることが求められている。そのため、画像の性質を良好にすることを目的として、画像の形成に用いるインクに種々の成分を添加させることが広く行われている。例えば、特許文献1には、ヒビ割れを防止するために、インク組成物に種々のオリゴマーやモノマーを添加させることが記載されている。また、特許文献2には、ヒビ割れを防止するために、インクにポリエチレングリコール等の非イオン性化合物を添加させることが記載されている。
【0003】
また、被記録媒体に形成される画像は、発色性に優れていることが求められる場合がある。このような場合には、まず、色材として白色色材を含有する白色インクによって下地層を形成した後、カラー色材を含有するカラーインクによって所望の画像を形成することで、被記録媒体の固有の色の影響が少ない発色性の良好な画像を形成することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2008−120846号公報
【特許文献2】特開2007−194175号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、白色インクからなる画像の上にカラーインクからなる画像を形成すると、画像のヒビ割れや、画像の耐擦性の低下等が発生する場合があった。
【0006】
このような不具合を低減させるために、白色インク中に、画像の耐擦性を向上させるための成分と、画像のヒビ割れを低減するための成分と、を添加することが考えられる。しかし、添加する成分によっては、画像の耐擦性の向上および画像のヒビ割れの低減を同時に満たすことができない場合があった。また、画像の耐擦性の向上と、画像のヒビ割れを低減させるために、白色インク中の樹脂成分等の含有比率を高くすると、白色色材等が凝集しやすくなり、インクジェット記録装置の吐出安定性が低下する場合があった。
【0007】
また、上記不具合を解消するために、カラーインク中に、画像の耐擦性を向上させるための成分と、画像のヒビ割れを低減するための成分と、を添加することも考えられる。しかしながら、通常、インクセットは、複数カラーインク(例えば、ブラックインク、シアンインク、マゼンタインク、イエローインク等)を搭載しているので、すべてのカラーインク中に上記成分を添加することは、非常に煩雑な作業となる。
【0008】
本発明のいくつかの態様にかかる目的の一つは、ヒビ割れの発生を低減でき、かつ、耐擦性に優れた画像を記録することができる上、吐出安定性に優れたインクセットを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明は、上述の課題の少なくとも一部を解決するためになされたものであり、以下の態様または適用例として実現することができる。
【0010】
[適用例1]
本発明に係るインクセットの一態様は、
白色色材および第1樹脂を含有する白色インクと、
前記白色色材以外の色材を含有するカラーインクと、
色材を含有せず、第2樹脂を含有するクリアインクと、を備え、
前記第1樹脂は、スライドガラス上に0.5gを滴下させて、温度50℃、湿度0%RHの条件で10分間乾燥させたときにヒビが発生する(A)成分を含み、
前記第2樹脂は、ポリオレフィンワックスおよびエチレン酢酸ビニル系樹脂の少なくとも一方である(B)成分を含む。
【0011】
適用例1に記載の態様によれば、形成された画像のヒビ割れを低減でき、かつ、形成された画像の耐擦性にも優れる。また、インクジェット記録装置に適用された場合において、インクの吐出安定性に優れる。
【0012】
[適用例2]
本発明に係るインクセットの一態様は、
白色色材および第1樹脂を含有する白色インクと、
前記白色色材以外の色材を含有するカラーインクと、
色材を含有せず、第2樹脂を含有するクリアインクと、を備え、
前記第1樹脂は、フルオレン系樹脂およびスチレンアクリル系樹脂の少なくとも一方である(A)成分を含み、
前記第2樹脂は、ポリオレフィンワックスおよびエチレン酢酸ビニル系樹脂の少なくとも一方である(B)成分を含む。
【0013】
適用例2に記載の態様によれば、形成された画像のヒビ割れを低減でき、かつ、形成された画像の耐擦性にも優れる。また、インクジェット記録装置に適用された場合において、インクの吐出安定性に優れる。
【0014】
[適用例3]
適用例1において、
前記(A)成分は、フルオレン系樹脂およびスチレンアクリル系樹脂の少なくとも一方であることができる。
【0015】
[適用例4]
適用例1ないし適用例3のいずれか1例において、
前記白色インク中の前記第1樹脂の含有量は、1%質量以上5質量%以下であることができる。
【0016】
[適用例5]
適用例1ないし適用例4のいずれか1例において、
前記クリアインク中の前記第2樹脂の含有量は、3%質量以上10質量%以下であることができる。
【0017】
[適用例6]
適用例1ないし適用例5のいずれか1例において、
液滴吐出装置に備えられ、
前記白色インクの液滴および前記クリアインクの液滴を実質的に同一時で吐出させて、当該白色インクの液滴および当該クリアインクの液滴を被記録媒体上で接触させて付着させた後、前記カラーインクの液滴を吐出させて、前記被記録媒体に付着させた前記白色インクの液滴および前記クリアインクの液滴上に付着させる画像形成方法に用いることができる。
【0018】
[適用例7]
適用例1ないし適用例5のいずれか1例において、
液滴吐出装置に備えられ、
前記白色インクの液滴を吐出させて、当該白色インクの液滴を被記録媒体に付着させた後、前記クリアインクの液滴および前記カラーインクの液滴を実質的に同一時で吐出させて、当該クリアインクの液滴および当該カラーインクの液滴を、前記被記録媒体に付着させた前記白色インクの液滴上で接触させて付着させる画像形成方法に用いることができる。
【0019】
[適用例8]
適用例6または適用例7において、
前記被記録媒体上における前記(A)成分の総量(TWA)と、前記被記録媒体上における前記(B)成分の総量(TWB)と、の比率(TWB/TWA)は、0.2以上1.7以下であることができる。
【0020】
[適用例9]
適用例1ないし適用例8のいずれか1例において、
前記ポリオレフィンワックスの平均粒子径は、100nm以上200nm以下であることができる。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下に本発明の好適な実施の形態について説明する。以下に説明する実施の形態は、本発明の一例を説明するものである。また、本発明は、以下の実施の形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を変更しない範囲において実施される各種の変形例も含む。
【0022】
1.インクセット
本発明の一実施形態に係るインクセットは、白色インクと、カラーインクと、クリアインクと、を備える。以下、本実施形態に係る各インクに含まれる成分について詳細に説明する。
【0023】
1.1.白色インク
本実施形態に係る白色インクは、白色色材と、第1樹脂と、を含有する。本発明において「白色インク」とは、エプソン純正写真用紙<光沢>(セイコーエプソン社製)に、duty100%以上で吐出されたインクの明度(L*)および色度(a*、b*)が、分光測光器Spectrolino(商品名、GretagMacbeth社製)を用いて、測定条件をD50光源、観測視野を2°、濃度をDIN NB、白色基準をAbs、フィルターをNo、測定モードをReflectance、として設定して計測した場合に、70≦L*≦100、−4.5≦a*≦2、−6≦b*≦2.5、の範囲を示すものをいう。
【0024】
また、本明細書において、「duty値」とは、下式で算出される値である。
【0025】
duty(%)=実吐出ドット数/(縦解像度×横解像度)×100
(式中、「実吐出ドット数」は単位面積当たりの実吐出ドット数であり、「縦解像度」および「横解像度」はそれぞれ単位面積当たりの解像度である。)
次に、白色インクに含まれる成分について詳細に説明する。
【0026】
1.1.1.白色色材
本実施形態に係る白色インクは、白色色材を含有する。白色色材としては、例えば金属酸化物、硫酸バリウム、炭酸カルシウム等が挙げられる。金属酸化物としては、例えば二酸化チタン、酸化亜鉛、シリカ、アルミナ、酸化マグネシウム等が挙げられる。また、白色色材には、中空構造を有する粒子を含み、中空構造を有する粒子としては、特に限定されるものではなく、公知のものを用いることができる。中空構造を有する粒子としては、例えば、米国特許第4,880,465号などの明細書に記載されている粒子を好ましく用いることができる。本実施形態の白色インクに含有される白色色材としては、これらの中でも、白色度および耐擦性の観点から、二酸化チタンが好ましい。
【0027】
白色色材の含有量(固形分)は、白色インクの全質量に対して、好ましくは1%以上20%以下であり、より好ましくは5%以上15%以下である。白色色材の含有量が上記範囲を超えると、インクジェット記録装置のノズル詰まり等が発生する場合がある。一方、白色色材の含有量が上記範囲未満であると、白色度等の色濃度が不足する傾向がある。
【0028】
白色色材の体積基準の平均粒子径(以下、「平均粒子径」という。)は、好ましくは30nm以上600nm以下であり、より好ましくは200nm以上400nm以下である。白色色材の平均粒子径が前記範囲を超えると、粒子が沈降するなどして分散安定性を損なったり、インクジェット記録装置に適用した際にノズルの目詰まり等が発生することがある。一方、白色色材の平均粒子径が前記範囲未満であると、白色度が不足する傾向にある。
【0029】
白色色材の平均粒子径は、レーザー回折散乱法を測定原理とする粒度分布測定装置により測定することができる。粒度分布測定装置としては、例えば、動的光散乱法を測定原理とする粒度分布計(例えば、「マイクロトラックUPA」日機装株式会社製)が挙げられる。
【0030】
1.1.2.第1樹脂
本実施形態に係る白色インクは、第1樹脂を含有する。第1樹脂の機能の一つとしては、白色インクを被記録媒体に定着させることが挙げられる。第1樹脂の含有量(固形分量)は、白色インクの全質量に対して、好ましくは1質量%以上7質量%以下であり、より好ましくは2質量%以上4質量%以下である。第1樹脂の含有量が上記範囲内にあると、白色インクをインクジェット記録装置に適用した際に、白色インクの吐出安定性が良好になる。一方、第1樹脂の含有量が上記範囲を超えると、白色色材が凝集しやくなり、白色インクをインクジェット記録装置に適用した際に、ノズルの詰まり等が発生して、吐出安定性が低下する場合がある。また、第1樹脂の含有量が上記範囲未満であると、白色インクの被記録媒体に対する定着性が不十分となる場合がある。
【0031】
以下、第1樹脂に含まれる成分について説明する。なお、第1樹脂は一種以上の樹脂を含む概念であり、「第1樹脂に・・・含まれる」、「第1樹脂は・・・含有する」、「第1樹脂は・・・含み」等は、樹脂の構造に含まれるという意味ではなく、第1樹脂に該当する樹脂であるということを意味する。
【0032】
(1)(A)成分
第1樹脂は、(A)成分を含有する。(A)成分は、スライドガラス(例えば、MICRO SLIDE GLASS S−7213、松波硝子工業株式会社製)上に0.5gを滴下して、温度50℃、湿度0%RHの条件で10分間乾燥したときにヒビ割れが発生する樹脂である。
【0033】
(A)成分の具体例としては、フルオレン系樹脂およびスチレンアクリル系樹脂の少なくとも一方が挙げられる。(A)成分は、白色インクを被記録媒体に定着させる機能を有するだけでなく、被記録媒体に形成された画像の耐擦性を著しく向上させる機能を有する。
【0034】
(A)成分は、乾燥させた際にヒビ割れを発生する場合がある。(A)成分のヒビ割れは、例えば、スライドガラス(MICRO SLIDE GLASS S−7213、松波硝子工業株式会社製)上に(A)成分0.5gを滴下して、温度50℃、湿度0%RHの条件で10分間乾燥したときにおける、(A)成分の乾燥物のヒビ割れの有無によって判断することができる。なお、(A)成分の乾燥は、例えば、公知の恒温恒湿槽等を用いて行うことができる。
【0035】
(A)成分として用いられるフルオレン系樹脂は、フルオレン骨格を有する樹脂であれば特に制限されるものではなく、例えば下記のモノマー単位(a)ないし(d)を共重合することにより得ることができる。
(a)イソホロンジイソシアネート(CAS No.4098−71−9)
(b)4,4’−(9−フルオレニリデン)ビス[2−(フェノキシ)エタノール](CAS No.117344−32−8)
(c)3−ヒドロキシ−2−(ヒドロキシメチル)−2−メチルプロピオン酸(CAS No.4767−03−7)
(d)トリエチルアミン(CAS No.121−44−8)
(A)成分として用いられるフルオレン系樹脂は、4,4’−(9−フルオレニリデン)ビス[2−(フェノキシ)エタノール](CAS No.117344−32−8)で示されるようなフルオレン骨格を有するモノマーを含有する樹脂であれば特に制限されない。
【0036】
また、(A)成分として用いられるスチレンアクリル系樹脂としては、例えば、スチレン−アクリル酸共重合体、スチレン−メタクリル酸共重合体、スチレン−メタクリル酸−アクリル酸エステル共重合体、スチレン−α―メチルスチレン−アクリル酸共重合体、スチレン−α―メチルスチレン−アクリル酸−アクリル酸エステル共重合体等が挙げられる。なお、共重合体の形態としては、ランダム共重合体、ブロック共重合体、交互共重合体、グラフト共重合体のいずれの形態でも用いることができる。
【0037】
なお、スチレンアクリル系樹脂としては、市販されているものを利用してもよい。スチレンアクリル系樹脂の市販品としては、具体例には、ジョンクリル62J(BASFジャパン株式会社製)等が挙げられる。
【0038】
フルオレン系樹脂およびスチレンアクリル系樹脂は、いずれも白色インクによって形成される画像の耐擦性を向上させることができるが、特に白色インクにフルオレン系樹脂が配合されると、より画像の耐擦性を向上させることができる。
【0039】
(A)成分の含有量(固形分)は、白色インクの全質量に対して、好ましくは1質量%以上6質量%以下であり、より好ましくは2質量%以上4質量%以下である。(A)成分の含有量が上記範囲内にあると、白色インクをインクジェット式記録ヘッドに適用した際の吐出安定性が良好であり、記録される画像の耐擦性および定着性が良好となる。一方、(A)成分の含有量が上記範囲を超えると、記録される画像のヒビ割れが発生したり、インクジェット記録装置に適用した際にノズルの吐出安定性が低下する場合がある。一方、上記範囲未満であると、記録される画像の耐擦性が低下する場合がある。
【0040】
(2)その他の樹脂
第1樹脂としては、(A)成分のみが用いられてもよいが、(A)成分に加えて他の樹脂成分を併用してもよい。
【0041】
他の樹脂成分の機能の一つとしては、白色インクを被記録媒体に定着させたり、白色インク中の白色色材の分散性を向上させたりすることが挙げられる。他の樹脂成分としては、例えば、アクリル系樹脂、ウレタン系樹脂、ポリオレフィン系樹脂、ロジン変性樹脂、テルペン系樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリアミド系樹脂、エポキシ系樹脂、塩化ビニル系樹脂、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、エチレン酢酸ビニル系樹脂等の公知の樹脂や、後述する(B)成分等が挙げられる。
【0042】
第1樹脂として(A)成分および他の樹脂成分を併用する場合には、(A)成分および他の樹脂成分との含有量の合計は、白色インク全質量に対して、好ましくは1質量%以上6質量%以下であり、より好ましくは2質量%以上4質量%以下である。(A)成分および他の樹脂成分の含有量の合計が上記範囲を超えると、白色インクをインクジェット記録装置に適用した際に、ノズルの詰まり等が発生して、吐出安定性が低下する場合がある。
【0043】
また、白色インクに後述する「1.3.1.(1)」に記載の(B)成分を含有させる場合、(B)成分の含有量は、2質量%以下である事が好ましい(「2質量%以下」とは、0質量%も含む)。また、白色インク中の(B)成分の含有量は、より好ましくは1質量%以下(0質量%も含む)、さらに好ましくは0.5質量%以下(0質量%も含む)、一層好ましくは0.1質量%以下(0質量%も含む)である。ヒビ割れの防止効果等を奏する(B)成分をできる限り他のインクに含有させることで、白色インクの吐出安定性が良好となる場合がある。
【0044】
1.1.3.その他の成分
本実施形態に係る白色インクは、有機溶媒を含有することができる。白色インクには、複数種の有機溶媒が含有されていてもよい。白色インクに用いる有機溶媒としては、1,2−アルカンジオール類、多価アルコール類、ピロリドン誘導体等が挙げられる。
【0045】
1,2−アルカンジオール類としては、例えば、1,2−プロパンジオール、1,2−ブタンジオール、1,2−ペンタンジオール、1,2−ヘキサンジオール、1,2−オクタンジオール等が挙げられる。1,2−アルカンジオール類は、被記録媒体に対するインクの濡れ性を高めて均一に濡らす作用に優れているため、被記録媒体上に優れた画像を形成することができる。1,2−アルカンジオール類を含有する場合には、その含有量が、白色インクの全質量に対して、1質量%以上20質量%以下であることが好ましい。
【0046】
多価アルコール類としては、例えば、エチレングリコール、ジエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、1,3−プロパンジオール、1,4−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、グリセリン等が挙げられる。多価アルコール類は、白色インクをインクジェット記録装置に用いた場合に、ヘッドのノズル面でのインクの乾燥固化を抑制して目詰まりや吐出不良等を低減できるという観点から好ましく用いることができる。多価アルコール類を含有する場合には、その含有量が、白色インクの全質量に対して、2質量%以上20質量%以下であることが好ましい。
【0047】
ピロリドン誘導体として、例えば、N−メチル−2−ピロリドン、N−エチル−2−ピロリドン、N−ビニル−2−ピロリドン、2−ピロリドン、N−ブチル−2−ピロリドン、5−メチル−2−ピロリドン等が挙げられる。ピロリドン誘導体は、樹脂の良好な溶解剤として作用することができる。ピロリドン誘導体を含有する場合には、その含有量が、白色インクの全質量に対して、0.1質量%以上25質量%以下であることが好ましい。
【0048】
また、白色インクは、界面活性剤を含有することができる。界面活性剤としては、シリコン系界面活性剤、アセチレングリコール系界面活性剤等が挙げられる。
【0049】
シリコン系界面活性剤としては、ポリシロキサン系化合物等が好ましく用いられ、例えば、ポリエーテル変性オルガノシロキサン等が挙げられる。より詳しくは、BYK−306、BYK−307、BYK−333、BYK−341、BYK−345、BYK−346、BYK−348(以上商品名、ビックケミー・ジャパン株式会社製)、KF−351A、KF−352A、KF−353、KF−354L、KF−355A、KF−615A、KF−945、KF−640、KF−642、KF−643、KF−6020、X−22−4515、KF−6011、KF−6012、KF−6015、KF−6017(以上商品名、信越化学株式会社製)等が挙げられる。シリコン系界面活性剤は、被記録媒体上で白色インクの濃淡ムラや滲みを生じないように均一に広げる作用を有するという観点から好ましく用いることができる。シリコン系界面活性剤を含有する場合には、その含有量が、白色インクの全質量に対して、0.1質量%以上1.5質量%以下であることが好ましい。
【0050】
アセチレングリコール系界面活性剤としては、2,4,7,9−テトラメチル−5−デシン−4,7−ジオール、3,6−ジメチル−4−オクチン−3,6−ジオール、または3,5−ジメチル−1−ヘキシン−3オール、2,4−ジメチル−5−ヘキシン−3−オールなどが挙げられる。また、アセチレングリコール系界面活性剤は市販品も利用することができ、例えば、サーフィノール104、104E、104H、104A、104BC、104DPM、104PA、104PG−50、104S、420、440、465、485、SE、SE−F、504、61、DF37、DF110D、CT111、CT121、CT131、CT136、TG、GA(以上全て商品名、Air Products and Chemicals. Inc.社製)、オルフィンB、Y、P、A、STG、SPC、E1004、E1010、PD−001、PD−002W、PD−003、PD−004、EXP.4001、EXP.4036、EXP.4051、AF−103、AF−104、AK−02、SK−14、AE−3(以上全て商品名、日信化学工業株式会社製)、アセチレノールE00、E00P、E40、E100(以上全て商品名、川研ファインケミカル株式会社製)等が挙げられる。アセチレングリコール系界面活性剤は、他の界面活性剤と比較して、表面張力および界面張力を適正に保つ能力に優れており、かつ起泡性がほとんどないという特性を有する。アセチレン系界面活性剤を含有する場合には、その含有量は、白色インクの全質量に対して、0.1質量%以上1.0質量%以下であることが好ましい。
【0051】
本実施形態に係る白色インクは、水を50%以上含有する、いわゆる水系インクであってもよい。水系インクは、非水系(溶剤系)インク(例えば、記録物に用いるインクとしては米国特許出願公開第2007/0044684号明細書に記載されたインクを参照)に比べて、記録ヘッドに用いられているピエゾ素子や、被記録媒体に含まれる有機バインダー等への反応性が弱いので、これらを溶かしたり、腐食させたりすることを低減できる場合がある。また、水系インクは、高沸点・低粘度の溶剤を多く含有する非水系インクに比べて、乾燥性に優れた画像を形成することができる場合がある。さらに、水系インクは、溶剤系インクに比べて、臭気も抑えられており、かつ、その組成の50%以上が水であるので環境にも良いという利点がある。
【0052】
本実施形態に係る白色インクは、さらに、pH調整剤、防腐剤・防かび剤、防錆剤、キレート化剤等を含有することができる。本実施形態に係る白色インクは、これらの化合物を含有していると、その特性がさらに向上する場合がある。
【0053】
pH調整剤としては、例えば、リン酸二水素カリウム、リン酸水素二ナトリウム、水酸化ナトリウム、水酸化リチウム、水酸化カリウム、アンモニア、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、トリイソプロパノールアミン、炭酸カリウム、炭酸ナトリウム、炭酸水素ナトリウム等が挙げられる。
【0054】
防腐剤・防かび剤としては、例えば、安息香酸ナトリウム、ペンタクロロフェノールナトリウム、2−ピリジンチオール−1−オキサイドナトリウム、ソルビン酸ナトリウム、デヒドロ酢酸ナトリウム、1,2−ジベンジソチアゾリン−3−オン等が挙げられる。市販品では、プロキセルXL2、プロキセルGXL(以上商品名、アビシア社製)や、デニサイドCSA、NS−500W(以上商品名、ナガセケムテックス株式会社製)等が挙げられる。
【0055】
防錆剤としては、例えば、ベンゾトリアゾール等が挙げられる。
【0056】
キレート化剤としては、例えば、エチレンジアミン四酢酸およびそれらの塩類(エチレンジアミン四酢酸二水素二ナトリウム塩等)等が挙げられる。
【0057】
本実施形態に係る白色インクは、従来公知の装置、例えば、ボールミル、サンドミル、アトライター、バスケットミル、ロールミルなどを使用して、従来の顔料インクと同様に調製することができる。調製に際しては、メンブランフィルターやメッシュフィルター等を用いて粗大粒子を除去することが好ましい。
【0058】
1.2.カラーインク
本実施形態に係るカラーインクは、前述の白色色材以外の色材を含有する。本実施形態に係るインクセットは、互いに異なる色相を有する複数のカラーインクを備えることができる。以下、カラーインクに含まれる成分について詳細に説明する。
【0059】
1.2.1.色材
本実施形態に係るカラーインクは、前述の白色色材以外の色材(以下、単に「色材」ともいう。)を含有する。色材としては、例えば、染料、顔料等が挙げられる。色材の含有量は、カラーインク全質量に対して、好ましくは1質量%以上20質量%以下であり、より好ましくは1質量%以上15質量%以下である。
【0060】
(1)顔料
本実施形態において使用可能な顔料としては、特に制限されないが、無機顔料や有機顔料が挙げられる。
【0061】
無機顔料としては、ファーネスブラック、ランプブラック、アセチレンブラック、チャネルブラック等のカーボンブラック(C.I.ピグメントブラック7)類、酸化鉄、酸化チタンを使用することができる。
【0062】
また、有機顔料としては、不溶性アゾ顔料、縮合アゾ顔料、アゾレーキ、キレートアゾ顔料等のアゾ顔料、フタロシアニン顔料、ペリレンおよびペリノン顔料、アントラキノン顔料、キナクリドン顔料、ジオキサン顔料、チオインジゴ顔料、イソインドリノン顔料、キノフタロン顔料等の多環式顔料、染料キレート(例えば、塩基性染料型キレート、酸性染料型キレート等)、染色レーキ(塩基性染料型レーキ、酸性染料型レーキ)、ニトロ顔料、ニトロソ顔料、アニリンブラック、昼光蛍光顔料が挙げられる。上記顔料は1種単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
【0063】
更に詳しくは、ブラック用として使用される無機顔料としては、以下のカーボンブラック、例えば、三菱化学製のNo.2300、No.900、MCF88、No.33、No.40、No.45、No.52、MA7、MA8、MA100、又はNo2200B等;コロンビア社製のRaven5750、Raven5250、Raven5000、Raven3500、Raven1255、又はRaven700等;キャボット社製のRegal 400R、Regal 330R、Regal 660R、Mogul L、Monarch 700、Monarch 800、Monarch 880、Monarch 900、Monarch 1000、Monarch 1100、Monarch 1300、またはMonarch 1400等;あるいは、デグッサ社製のColor Black FW1、Color Black FW2、Color Black FW2V、Color Black FW18、Color Black FW200、Color Black S150、Color Black S160、Color Black S170、Printex 35、Printex U、Printex V、Printex 140U、Special Black 6、Special Black 5、Special Black 4A、またはSpecial Black 4等が挙げられる。
【0064】
イエロー有機顔料としては、C.I.ピグメントイエロー1、2、3、4、5、6、7、10、11、12、13、14、16、17、24、34、35、37、53、55、65、73、74、75、81、83、93、94、95、97、98、99、108、109、110、113、114、117、120、124、128、129、133、138、139、147、151、153、154、155、167、172、180、185、213等が挙げられる。
【0065】
マゼンタ有機顔料としては、C.I.ピグメントレッド1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、14、15、16、17、18、19、21、22、23、30、31、32、37、38、40、41、42、48(Ca)、48(Mn)、57(Ca)、57:1、88、112、114、122、123、144、146、149、150、166、168、170、171、175、176、177、178、179、184、185、187、202、209、219、224、245、254、264またはC.I.ピグメントバイオレット19、23、32、33、36、38、43、50等が挙げられる。
【0066】
シアン有機顔料としては、C.I.ピグメントブルー1、2、3、15、15:1、15:2、15:3、15:4、15:6、15:34、16、18、22、25、60、65、66、C.I.バットブルー4、60等が挙げられる。
【0067】
また、マゼンタ、シアンおよびイエロー以外の有機顔料としては、例えば、C.I.ピグメントグリーン7、10、C.I.ピグメントブラウン3、5、25、26、C.I.ピグメントオレンジ2、5、7、13、14、15、16、24、34、36、38、40、43、63等が挙げられる。
【0068】
(2)染料
染料としては、直接染料、酸性染料、食用染料、塩基性染料、反応性染料、分散染料、建染染料、可溶性建染染料、反応分散染料等の通常インクジェット記録に使用する各種染料を使用することができる。
【0069】
イエロー系染料としては、C.I.アシッドイエロー1、3、11、17、19、23、25、29、36、38、40、42、44、49、59、61、70、72、75、76、78、79、98、99、110、111、127、131、135、142、162、164、165、C.I.ダイレクトイエロー1、8、11、12、24、26、27、33、39、44、50、58、85、86、87、88、89、98、110、132、142、144、C.I.リアクティブイエロー1、2、3、4、6、7、11、12、13、14、15、16、17、18、22、23、24、25、26、27、37、42、C.I.フードイエロー3、4、C.I.ソルベントイエロー15、19、21、30、109等が挙げられる。
【0070】
マゼンタ系染料としては、C.I.アシッドレッド1、6、8、9、13、14、18、26、27、32、35、37、42、51、52、57、75、77、80、82、85、87、88、89、92、94、97、106、111、114、115、117、118、119、129、130、131、133、134、138、143、145、154、155、158、168、180、183、184、186、194、198、209、211、215、219、249、252、254、262、265、274、282、289、303、317、320、321、322、C.I.ダイレクトレッド1、2、4、9、11、13、17、20、23、24、28、31、33、37、39、44、46、62、63、75、79、80、81、83、84、89、95、99、113、197、201、218、220、224、225、226、227、228、229、230、231、C.I.リアクティブレッド1、2、3、4、5、6、7、8、11、12、13、15、16、17、19、20、21、22、23、24、28、29、31、32、33、34、35、36、37、38、39、40、41、42、43、45、46、49、50、58、59、63、64、C.I.ソルビライズレッド1、C.I.フードレッド7、9、14等が挙げられる。
【0071】
シアン系染料としては、C.I.アシッドブルー1、7、9、15、22、23、25、27、29、40、41、43、45、54、59、60、62、72、74、78、80、82、83、90、92、93、100、102、103、104、112、113、117、120、126、127、129、130、131、138、140、142、143、151、154、158、161、166、167、168、170、171、182、183、184、187、192、199、203、204、205、229、234、236、249、C.I.ダイレクトブルー1、2、6、15、22、25、41、71、76、77、78、80、86、87、90、98、106、108、120、123、158、160、163、165、168、192、193、194、195、196、199、200、201、202、203、207、225、226、236、237、246、248、249、C.I.リアクティブブルー1、2、3、4、5、7、8、9、13、14、15、17、18、19、20、21、25、26、27、28、29、31、32、33、34、37、38、39、40、41、43、44、46、C.I.ソルビライズバットブルー1、5、41、C.I.バットブルー4、29、60、C.I.フードブルー1、2、C.I.ベイシックブルー9、25、28、29、44等が挙げられる。
【0072】
また、マゼンタ、シアンおよびイエロー以外の染料としては、例えば、C.I.アシッドグリーン7、12、25、27、35、36、40、43、44、65、79、C.I.ダイレクトグリーン1、6、8、26、28、30、31、37、59、63、64、C.I.リアクティブグリーン6、7、C.I.アシッドバイオレット15、43、66、78、106、C.I.ダイレクトバイオレット2、48、63、90、C.I.リアクティブバイオレット1、5、9、10、C.I.ダイレクトブラック154等が挙げられる。
【0073】
1.2.2.樹脂
本実施形態に係るカラーインクは、樹脂を含有することができる。樹脂の機能としては、例えば、カラーインクを被記録媒体に定着させたり、カラーインク中の色材の分散性を向上させたりすることが挙げられる。樹脂の含有量は、カラーインクの全質量に対して、好ましくは0.1質量%以上10質量%以下であり、より好ましくは0.5質量%以上5質量%以下である。樹脂の含有量が上記範囲を超えると、カラーインクをインクジェット記録装置に適用した際に、ノズルの詰まり等が発生して、吐出安定性が低下する場合がある。なお、カラーインクに用いられる色材の粒子径は、白色インクに用いられる白色色材の粒子径よりも小さいことが多い。そのため、カラーインクは、色材の凝集が生じにくく、白色インクと比べてより多くの量の樹脂成分を含有しても、吐出不良が発生しにくい。
【0074】
カラーインクに樹脂が添加される場合の使用可能な樹脂としては、例えば、アクリル系樹脂、ウレタン系樹脂、ポリオレフィン系樹脂、ロジン変性樹脂、テルペン系樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリアミド系樹脂、エポキシ系樹脂、塩化ビニル系樹脂、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体等の公知の樹脂や、後述する(B)成分等が挙げられる。
【0075】
カラーインクに後述する「1.3.1.(1)」に記載の(B)成分を含有させる場合、(B)成分の含有量は、2質量%以下であることが好ましい(「2質量%以下」とは、0質量%も含む)。また、カラーインク中の(B)成分の含有量は、より好ましくは1質量%以下(0質量%も含む)、さらに好ましくは0.5質量%以下(0質量%も含む)、一層好ましくは0.1質量%以下(0質量%も含む)である。ヒビ割れの防止効果等を奏する(B)成分をできる限り他のインクに含有させることで、カラーインクの吐出安定性が良好となる場合がある。
【0076】
1.2.3.その他の成分
本実施形態に係るカラーインクは、上記以外の成分を含有することができる。カラーインクに使用可能な成分としては、上記「1.1.3.その他の成分」で挙げた成分と同様であるので、その説明を省略する。
【0077】
1.3.クリアインク
本実施形態に係るクリアインクは、色材を実質的に含有せず、第2樹脂を含有する。本実施形態に係るクリアインクは、色材を実質的に含有していないので、無色透明または無色半透明の液体である。なお、「色材を実質的に含有せず」とは、例えばインク中の色材の含有量が0.5質量%未満であること、より好ましくは0.1質量%未満であること、一層好ましくは0.01質量%未満、最も好ましくは0.005質量%未満であることをいう。以下、本実施形態に係るクリアインクに含まれる成分について説明する。
【0078】
1.3.1.第2樹脂
本実施形態に係るクリアインクは、第2樹脂を含有する。第2樹脂の機能の一つとしては、クリアインクを被記録媒体に定着させることが挙げられる。第2樹脂の含有量は、クリアインクの全質量に対して、好ましくは3質量%以上10質量%以下であり、より好ましくは3質量%以上8質量%以下である。第2樹脂の含有量が上記範囲を超えると、クリアインクをインクジェット記録装置に適用した際に、ノズルの詰まり等が発生して、吐出安定性が低下する場合がある。
【0079】
(1)(B)成分
第2樹脂は、(B)成分を含有する。(B)成分は、ポリオレフィンワックスおよびエチレン酢酸ビニル系樹脂の少なくとも一方からなる樹脂である。(B)成分の機能の一つとしては、上述したクリアインクの定着性を向上させる機能の他に、画像のヒビ割れの発生を低減することが挙げられる。なお、第2樹脂は一種以上の樹脂を含む概念であり、「第2樹脂に・・・含まれる」、「第2樹脂は・・・含有する」、「第2樹脂は・・・含み」等は、樹脂の構造に含まれるという意味ではなく、第2樹脂に該当する樹脂であるということを意味する。
【0080】
ここで、本実施形態に係るインクセットは、白色とは限らない被記録媒体(例えば、プラスチックや金属)に対して画像を記録するために用いられる場合がある。このような場合に、白色インクは、被記録媒体の色を消したり、カラー画像の透過性を下げたりするために、カラー画像の下地層の形成に用いられることがある。このとき、白色インクからなる下地層の上に、カラー画像が記録されると、画像にヒビ割れが発生することがある。ヒビ割れの生じる詳細なメカニズムは、明らかになっていないが、インクの乾燥過程に伴う画像の急激な収縮や、白色インクおよびカラーインクに含まれる成分の凝集等によるものだと考えられる。このような場合に、(B)成分を含有するクリアインクを画像の形成に用いると、画像のヒビ割れが効果的に抑制されるとともに、画像の耐擦性にも優れたものとなる。また、クリアインクに(B)成分を含有させ、必要に応じて白色インクとクリアインクを併用すれば、通常複数色用意されるカラーインク毎に(B)成分を含ませる必要が無い、または(B)成分を含ませる量を大きく低減できる。
【0081】
一方、白色インク中に(B)成分を含有させたり、カラーインク中に(B)成分を含有させたりすると、画像のヒビ割れは抑制できるが、インクの吐出安定性が低下する傾向にある。
【0082】
(B)成分として用いられるポリオレフィンワックスとしては、特に限定されるものではなく、例えばエチレン、プロピレン、ブチレン等のオレフィンまたはその誘導体から製造されたワックスおよびそのコポリマー、具体的には、ポリエチレン系ワックス、ポリプロピレン系ワックス、ポリブチレン系ワックス等が挙げられる。これらの中でも、画像のヒビ割れの発生をより効果的に低減できるという観点から、ポリエチレン系ワックスが好ましい。ポリオレフィンワックスは、1種単独または2種以上組み合わせて用いることができる。
【0083】
ポリオレフィンワックスの市販品としては、「ケミパールW4005」(三井化学株式会社製、ポリエチレン系ワックス、粒径200〜800nm、環球法軟化点110℃、針入度法硬度3、固形分40%)等のケミパールシリーズが挙げられる。その他、AQUACER513(ポリエチレン系ワックス、粒径100〜200nm、融点130℃、固形分30%)、AQUACER507、AQUACER515、AQUACER840(以上、ビックケミー・ジャパン株式会社製)等のAQUACERシリーズや、ハイテックE−7025P、ハイテックE-2213、ハイテックE-9460、ハイテックE-9015、ハイテックE−4A、ハイテックE−5403P、ハイテックE−8237(以上、東邦化学株式会社製)等のハイテックシリーズ、ノプコートPEM−17(サンノプコ社製、ポリエチレンエマルジョン、粒径40nm)等が挙げられる。これらは、常法によりポリオレフィンワックスを水中に分散させた水系エマルジョンの形態で市販されている。本実施形態に係るクリアインクにおいては、水系エマルジョンの形態のまま直接添加することができる。
【0084】
ポリオレフィンワックスの平均粒子径は、好ましくは10nm以上800nm以下であり、より好ましくは40nm以上600nm以下であり、特に好ましくは100nm以上200nm以下である。ポリオレフィンワックスの平均粒子径が前記範囲にあると、白色インクおよびカラーインクを重ねることで発生する画像のヒビ割れを低減させるとともに、画像の耐擦性も向上できる。特に、(B)成分として100nm以上200nm以下の平均粒子径を有するポリオレフィンワックスを用いると、インクジェット式記録ヘッドの吐出安定性と、形成される画像の耐擦性と、の両性能を高い基準で備えたものとなる。一方、ポリオレフィンワックスの平均粒子径が上記範囲未満であると、記録される画像の耐擦性を向上させる効果が低下する傾向にある。また、ポリオレフィンワックスの平均粒子径が上記範囲を超えると、インクの吐出安定性が低下する傾向にある。
【0085】
ポリオレフィンワックスの平均粒子径は、レーザー回折散乱法を測定原理とする粒度分布測定装置により測定することができる。粒度分布測定装置としては、例えば、動的光散乱法を測定原理とする粒度分布計(例えば、「マイクロトラックUPA」日機装株式会社製)を用いることができる。
【0086】
エチレン酢酸ビニル系樹脂としては、エチレンと酢酸ビニルとの共重合体に限られず、さらに他のモノマーを含む共重合体であってもよい。他のモノマーとしては、特に限定されず、公知のモノマーを用いることができる。
【0087】
エチレン酢酸ビニル系樹脂としては、溶媒中に粒子状で分散されたエマルジョンタイプ、溶媒中に溶解した状態で存在している溶液タイプのいずれのタイプを用いてもよいが、溶媒中に粒子状で分散されたエマルジョンタイプが好ましい。また、エマルジョンタイプは、その乳化方法によって強制乳化型と自己乳化型に分類することができるが、本発明においてはいずれの型式でも用いることができる。
【0088】
エチレン酢酸ビニル系樹脂の市販品としては、エバフレックス EV45X、EV40W・X、EV45LX、EV40LX、V5772ET、V5773W、EV150、EV205W、EV210、EV210ET、EV220、EV220ET、EV250、EV260、EV310、EV360、v577、EV410、EV420、EV450、EV460、EV550、EV560、P1207(以上、三井・デュポンポリケミカル株式会社製)、スミカフレックス、201HQ、520HQ、410HQ(以上、住友化学株式会社製)等が挙げられる。
【0089】
(B)成分の含有量(固形分)は、クリアインクの全質量に対して、好ましくは3質量%以上10質量%以下であり、より好ましくは3質量%以上5質量%以下である。(B)成分の含有量が上記範囲内にあると、白色インクおよびカラーインクを重ねて形成された画像のヒビ割れを効果的に低減できる。一方、(B)成分の含有量が上記範囲を超えると、インクジェット記録装置のノズル詰まり等が発生して、吐出安定性が低下する場合がある。また、上記範囲未満であると、白色インクおよびカラーインクを重ねて形成される画像のヒビ割れを低減させる効果が期待できない場合がある。
【0090】
(2)その他の樹脂成分
第2樹脂には、画像の定着性を一層向上させるために、上記(B)成分に加えて他の樹脂成分を用いてもよい。
【0091】
他の樹脂成分としては、例えば、アクリル系樹脂、ウレタン系樹脂、ポリオレフィン系樹脂、ロジン変性樹脂、テルペン系樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリアミド系樹脂、エポキシ系樹脂、塩化ビニル系樹脂、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体等の公知の樹脂が挙げられる。
【0092】
第2樹脂として(B)成分および他の樹脂成分を併用する場合には、(B)成分および他の樹脂成分の含有量の合計は、クリアインク全質量に対して、好ましくは3質量%以上10質量%以下であり、より好ましくは3質量%以上5質量%以下である。(B)成分および他の樹脂成分の含有量の合計が上記範囲を超えると、クリアインクをインクジェット記録装置に適用した際に、ノズルの詰まり等が発生して、吐出安定性が低下する場合がある。
【0093】
1.3.2.その他の成分
本実施形態に係るクリアインクは、上記以外の成分を含有することができる。クリアインクに使用可能な成分としては、「1.1.3.その他の成分」で挙げた成分と同様であるので、その説明を省略する。
【0094】
1.4.インクの物性
本実施形態に係るインクセットをインクジェット記録装置に用いる場合において、白色インク、カラーインクおよびクリアインク(以下、単に「インク」ともいう。)の20℃における粘度は、2mPa・s以上10mPa・s以下であることが好ましく、3mPa・s以上6mPa・s以下であることがより好ましい。インクは、20℃における粘度が上記範囲内にあると、ノズルから適量吐出され、飛行曲がりを起こすことや飛散することを一層低減できるので、インクジェット記録装置に好適に使用することができる。インクの粘度は、振動式粘度計VM−100AL(山一電機株式会社製)を用いて、インクの温度を20℃に保持することで測定できる。
【0095】
2.画像形成方法
本発明に係るインクセットは、液滴吐出装置に備えられ、画像の形成に用いることができる。液滴吐出装置としては、従来公知の装置を使用でき、例えば、インクジェットプリンター等が挙げられる。以下、本発明に係るインクセットを用いた画像形成方法の一態様として、第1の画像形成方法、第2の画像形成方法および第3の画像形成方法について説明する。
【0096】
2.1.第1の画像形成方法
第1の画像形成方法は、白色インクの液滴およびクリアインクの液滴を実質的に同一時に吐出させて、当該白色インクの液滴および当該クリアインクの液滴を被記録媒体上で接触させて付着させる工程(以下、「工程(1−1)」ともいう。)と、カラーインクの液滴を吐出させて、被記録媒体に付着させた白色インクの液滴およびクリアインクの液滴上に付着させる工程(以下、「工程(1−2)」ともいう。)と、を含む。
【0097】
本発明において「実質的に同一時に吐出させる」とは、一方のインクおよび他方のインクの両インクの液滴が、互いに混ざり合うことができるタイミングで吐出されることをいう。これによって、互いのインクが混ざり合った画像が記録される。例えばシリアルプリンターでは、同一走査で同一箇所に、クリアインクと白色インク又はカラーインクとを着弾させる場合がある。
【0098】
工程(1−1)では、白色インクおよびクリアインクの両インクの少なくとも一部が混ざり合う。工程(1−1)における白色インクの液滴およびクリアインクの液滴の接触は、これらの液滴のうち、先に被記録媒体に付着した液滴に、後から被記録媒体に付着した液滴が接触してもよいし、これらの液滴が同時に被記録媒体に付着して接触してもよい。いずれの場合であっても、両インクの少なくとも一部が混合され、両インクの混合された画像が記録されればよい。
【0099】
工程(1−2)は、工程(1−1)の後に行われ、被記録媒体上に吐出された白色インクおよびクリアインクの液滴上に、カラーインクの液滴を付着させる。これにより、白色インクが下地層として機能するので、カラーインクにより形成された画像は、発色性に優れたものとなる。
【0100】
以上の工程(1−1)および工程(1−2)を繰り返すことによって、白色インクおよびクリアインクによって形成された画像上に、カラーインクを用いた画像が形成される。
【0101】
2.2.第2の画像形成方法
第2の画像形成方法は、白色インクの液滴を吐出させて、被記録媒体に付着させる工程(以下、「工程(2−1)」ともいう。)と、クリアインクの液滴およびカラーインクの液滴を実質的に同一時に吐出させて、当該クリアインクの液滴および当該カラーインクの液滴を、被記録媒体に付着させた白色インクの液滴上で接触させて付着させる工程(以下、「工程(2−2)」ともいう。)と、を含む。
【0102】
工程(2−1)によって被記録媒体上に付着した白色インクの液滴は、カラーインクの下地層として機能する。
【0103】
工程(2−2)では、クリアインクおよびカラーインクの両インクの少なくとも一部が混ざり合う。工程(2−2)におけるクリアインクの液滴およびカラーインクの液滴の接触は、これらの液滴のうち、先に白色インクの液滴に付着した液滴に、後から白色インクの液滴に付着した液滴が接触してもよいし、同時に白色インクの液滴に付着して接触してもよい。いずれの場合であっても、両インクの少なくとも一部が混合され、両インクの混合された画像が記録されればよい。
【0104】
以上の工程(2−1)および工程(2−2)を繰り返すことによって、白色インクによって形成された画像上に、クリアインクおよびカラーインクからなる画像が形成される。
【0105】
2.3.第3の画像形成方法
第3の画像形成方法は、白色インクの液滴を吐出させて、被記録媒体に付着させる工程(以下、「工程(3−1)」ともいう。)と、クリアインクの液滴を吐出させて、被記録媒体に付着させた白色インクの液滴上に付着させる工程(以下、「工程(3−2)」ともいう。)と、カラーインクの液滴を吐出させて、クリアインクの液滴上に付着させる工程(以下、「工程(3−3)」ともいう。)と、を含む。
【0106】
第3の画像形成方法では、被記録媒体上に、白色画像、クリア画像、カラー画像の順に積層された画像を得ることができる。第3の画像形成方法では、各インクが実質的に同一時に吐出されていないため、各インクが混合されていない画像が形成される。
【0107】
2.4.その他
白色インクおよびクリアインクは、それぞれ、上述した成分を備えている。そのため、本発明に係るインクセットを用いた画像記録方法によれば、ヒビ割れが少なく、耐擦性に優れた画像を形成できる。
【0108】
また、詳細なメカニズムは明らかになっていないが、本発明に係るインクセットが第1の画像形成方法および第2の画像形成方法に用いられると、第3の画像形成方法に用いる場合に比べて、形成される画像のヒビ割れをより効果的に低減できる。さらには、本発明のインクセットが第1の画像形成方法に適用されると、第2の画像形成方法に適用されるよりも、形成される画像のヒビ割れをより一層効果的に低減できる。
【0109】
また、本発明に係るインクセットを用いて被記録媒体上に画像を形成する際に、被記録媒体上における(A)成分の総量(TWA)と、被記録媒体上における(B)成分の総量(TWB)と、の比率(TWB/TWA)は、好ましくは0.2以上2以下であり、より好ましくは0.2以上1.7以下であり、特に好ましくは0.3以上0.7以下である。比率(TWB/TWA)が上記範囲内にあると、滲みの少ない画像を得ることができる。
【0110】
上記TWAおよびTWBは、例えば、白色インク、カラーインク、クリアインクのduty値、白色インク等に含まれる(A)成分の含有比率、クリアインク等に含まれる(B)成分の含有比率等を調整して、適宜設定することができる。
【0111】
また、画像のヒビ割れの程度は、カラーインクに添加される色材の種類によって変化する場合がある。このような場合には、カラーインクに添加される色材の種類毎に、クリアインクのduty値等を変化させることによって、色材の種類によらずヒビ割れの少ない優れた画像を記録できる。
【0112】
3.実施例
以下、本発明を実施例により詳細に説明するが、本発明はこれらによって何ら限定されるものではない。
【0113】
3.1.インクの調製
表1〜表4に示す配合量で、色材、樹脂成分、1,2−ヘキサンジオール、2−ピロリドン、プロピレングリコール、ポリシロキサン系界面活性剤およびイオン交換水を混合撹拌し、孔径5μmの金属フィルターにてろ過、真空ポンプを用いて脱気処理をして、以下の評価に用いる白色インク、クリアインクおよびカラーインクを調製した。
【0114】
なお、表1〜表4に記載されている数値の単位は、いずれも、質量%であり、二酸化チタン顔料および樹脂成分についてはいずれも固形分換算した値である。
【0115】
表1〜表4に記載の成分は、具体的には、以下のものを用いた。
(色材)
・二酸化チタン顔料(シーアイ化成株式会社製、商品名「NanoTek(R) Slurry」、平均粒子径300nmの二酸化チタン粒子を固形分濃度15%の割合で含むスラリー)
・シアン顔料(C.I.ピグメントブルー15:3)
(樹脂成分)
・フルオレン系樹脂
・スチレンアクリル系樹脂(BASFジャパン株式会社製、商品名「ジョンクリル62J」)
・ポリエチレン系ワックスA(ビックケミー・ジャパン株式会社製、商品名「AQUACER513」、平均粒子径150nm)
・ポリエチレン系ワックスB(三井化学株式会社製、商品名「ケミパール W4005」、平均粒子径600nm)
・ポリエチレン系ワックスC(サンノプコ社製、商品名「ノプコート PEM−17」、平均粒子径40nm)
・エチレン酢酸ビニル系樹脂(三井・デュポンポリケミカル株式会社製、「エバフレックス EV210」、平均粒子径200nm)
・ウレタン系樹脂(三井化学株式会社製、商品名「W635」、平均粒子径150nm)(その他の成分)
・界面活性剤(ビックケミー・ジャパン株式会社製、商品名「BYK−348」、シリコン系界面活性剤)
・1,2−ヘキサンジオール
・2−ピロリドン
・プロピレングリコール
・イオン交換水
【0116】
上記のフルオレン系樹脂は、以下のように合成して得られたものである。フルオレン系樹脂は、イソホロンジイソシアネート30質量部、4,4’−(9−フルオレニリデン)ビス[2−(フェノキシ)エタノール]50質量部、3−ヒドロキシ−2−(ヒドロキシメチル)−2−メチルプロピオン酸100質量部、トリエチルアミン30質量部を量りとり十分に混合した後、触媒存在下120℃で5時間撹拌することにより合成した。得られたフルオレン系樹脂は、4,4’−(9−フルオレニリデン)ビス[2−(フェノキシ)エタノール]をモノマー構成比率略50質量%含有する、分子量3300の樹脂であった。
【0117】
また、用いたスチレンアクリル系樹脂およびフルオレン系樹脂は、いずれも、スライドガラス(MICRO SLIDE GLASS S−7213、松波硝子工業株式会社製)上に、0.5g滴下して、温度50℃、湿度0%RHの条件で10分間乾燥したときにおいて、ヒビ割れが発生するものであった。
【0118】
また、実施例および比較例におけるプロピレングリコールの添加量は、各インクの粘度を調整するために変化させた。
【0119】
3.2.インクジェットプリンター
以下の評価試験には、インクジェット記録方式のプリンターとして、インクジェットプリンターPX−G930(商品名、セイコーエプソン株式会社製、ノズル解像度:180dpi)の紙案内部に温度が可変できるヒーターを取り付けて改造したものを用いた。
【0120】
次に、表1〜表4に記載の白色インク、クリアインクおよびカラーインクを、インクジェットプリンター(セイコーエプソン株式会社製、製品名「PX−G930」)専用のインクカートリッジにそれぞれ充填して、実施例および比較例毎に白色インク、クリアインクおよびカラーインクからなるインクセットを得た。このようにして得られたインクセットを、それぞれ、上記の改造したプリンターに装着した。
【0121】
3.3.吐出安定性の評価試験
(1)ベタパターン画像の連続印刷
上記のプリンターを用いて、解像度1440×720dpi、duty100%の条件で、インク毎にノズルから液滴を吐出させて、A4サイズの被記録媒体(ルミラー(R) S10−100μm、東レ株式会社製)10枚に連続して単色のベタパターン画像の印刷を行った。
【0122】
(2)吐出安定性の評価
上記ベタパターン画像の連続印刷後、インク毎にノズルチェックパターンを印刷した。このとき、目視にて、ノズルの抜けや飛行曲がりを観察して、各インクの吐出安定性を評価し、最も吐出安定性の悪いインクを評価対象とした。なお、評価基準は以下のとおりであり、B以上の評価であると実用上使用に問題ない程度の吐出安定性を備えると判断できる。
A:ノズルの抜けがなく、かつ、飛行曲がりもない
B:ノズルの抜けはないが、飛行曲がりがある
C:ノズルの抜けが認められる
【0123】
3.4.耐擦性評価試験
3.4.1.耐擦性評価用サンプルの作成
(1)実施例1〜実施例10
上記のプリンターを用いて、A4サイズの被記録媒体(ルミラー(R) S10−100μm、東レ株式会社製)に対して、画像の印刷および乾燥を行った。
【0124】
具体的には、まず、白色インク(印刷条件:解像度1440×720dpi、100%duty)と、クリアインク(印刷条件:解像度1440×720dpi、20%〜60%duty)と、を実質的に同一時に吐出させ、被記録媒体上で両インクの液滴を接触(混合)させ、付着させて、クリアの画像および白色のベタパターン画像を形成した。
【0125】
そして、被記録媒体に付着させた白色インクおよびクリアインク上に、カラーインク(印刷条件:解像度1440×720dpi、100%duty)のみを付着させて、シアン色のベタパターン画像を形成した。その後、得られた画像をプリンターに設けられたヒーターによって乾燥させた。このようして、白色のベタパターン画像およびクリアの画像上に、シアン色のベタパターン画像が印刷された耐擦性評価用のサンプル(実施例1〜実施例10)を得た。
【0126】
なお、プリンターのヒーター温度は、45℃に設定した。また、画像の記録中に、プリンターのヘッド近傍にある被記録媒体の表面温度を測定したところ、被記録媒体の表面温度は、プリンターのヒーター設定温度と略同一であった。
【0127】
(2)実施例11
上記のプリンターを用いて、A4サイズの被記録媒体(ルミラー(R) S10−100μm、東レ株式会社製)に対して、画像の印刷および乾燥を行った。
【0128】
具体的には、まず、白色インク(印刷条件:解像度1440×720dpi、100%duty)のみ被記録媒体上に付着させて、白色のベタパターン画像を形成した。
【0129】
次いで、白色のベタパターン画像上に、クリアインク(印刷条件:解像度1440×720dpi、20%duty)と、カラーインク(印刷条件:解像度1440×720dpi、100%duty)を実質的に同一時に吐出させ、被記録媒体上で両インクの液滴を接触させ、混合させて、クリアインクの画像およびシアン色のベタパターン画像を形成した。その後、得られた画像をプリンターに設けられたヒーターによって乾燥させた。このようして、白色のベタパターン画像上に、クリアの画像およびシアン色のベタパターン画像が印刷された耐擦性評価用のサンプル(実施例11)を得た。
【0130】
なお、プリンターのヒーター温度は、45℃に設定した。また、画像の記録中に、プリンターのヘッド近傍にある被記録媒体の表面温度を測定したところ、被記録媒体の表面温度は、プリンターのヒーター設定温度と略同一であった。
【0131】
(3)比較例1および比較例2
上記のプリンターを用いて、A4サイズの被記録媒体(ルミラー(R) S10−100μm、東レ株式会社製)に対して、画像の印刷および乾燥を行った。
【0132】
具体的には、まず、白色インク(印刷条件:解像度1440×720dpi、100%duty)のみを被記録媒体上に付着させて、白色のベタパターン画像を形成した。次いで、白色のベタパターン画像上に、カラーインク(印刷条件:解像度1440×720dpi、100%duty)のみを付着させて、シアン色のベタパターン画像を形成した。そして、得られた画像をプリンターに設けられたヒーターによって乾燥させた。このようして、白色のベタパターン画像上に、シアン色のベタパターン画像が印刷された耐擦性評価用のサンプル(比較例1および比較例2)を得た。
【0133】
なお、プリンターのヒーター温度は、45℃に設定した。また、画像の記録中に、プリンターのヘッド近傍にある被記録媒体の表面温度を測定したところ、被記録媒体の表面温度は、プリンターのヒーター設定温度と略同一であった。
【0134】
3.4.2.耐擦性評価
得られた耐擦性評価サンプルを50℃の恒温槽で10分乾燥後、学振型摩擦堅牢試験機AB−301(テスター産業株式会社製)を用いて、荷重200g,摩擦回数10回の条件で、摩擦用白綿布(カナキン3号)を取り付けた摩擦子と記録物とを擦り合わせ、画像の表面状態を目視にて観察した。なお、評価基準は以下のとおりであり、B以上の評価であると実用上使用に問題ない程度の耐擦性を備えると判断できる。
A:摩擦用白綿布へのカラー色の転写はあるが、下地の白色画像の剥がれはない
B:下地の白色画像に剥がれが認められる[0%<(剥がれた白色画像の面積)≦50%]
C:下地の白色画像に著しい剥がれ認められる[50%<(剥がれた白色画像の面積)≦100%]
【0135】
3.5.ヒビ割れ試験
3.5.1.ヒビ割れ評価用サンプルの作成
(1)実施例1〜実施例10
実施例1〜実施例10におけるヒビ割れ評価用サンプルは、実施例毎にカラーインクのdutyを15%〜100%とした以外、上記「3.4.1.(1)」と同様にして作成した。
【0136】
(2)実施例11
実施例11におけるヒビ割れ評価用サンプルは、カラーインクのdutyを15%〜100%とした以外、上記「3.4.1.(2)」と同様にして作成した。
【0137】
(3)比較例1〜比較例2
比較例1〜比較例2におけるヒビ割れ評価用サンプルは、比較例毎にカラーインクのdutyを15%〜100%とした以外、上記「3.4.1.(3)」と同様にして作成した。
【0138】
3.5.2.ヒビ割れ評価
得られたヒビ割れ評価用サンプルを50℃の恒温槽で10分乾燥後、画像表面を目視により判定した。評価基準は下記の通りであり、B以上の評価であると実用上の使用に問題ない程度にヒビ割れを防止できていると判断できる。
A:カラーインクのduty100%でも画像のヒビ割れ無し
B:カラーインクのduty80%までなら画像のヒビ割れ無し
C:カラーインクのduty50%までなら画像のヒビ割れ無し
D:カラーインクのduty30%でも画像がヒビ割れる
【0139】
3.6.滲み試験
3.6.1.滲み評価用サンプルの作成
(1)実施例1〜実施例10
実施例1〜実施例10における滲み評価用サンプルは、実施例毎にカラーインクのdutyを15%〜100%とし、さらに、白色の画像とカラーインクの画像との境界部がわかるように印刷した以外、上記「3.4.1.(1)」と同様にして作成した。
【0140】
(2)実施例11
実施例11における滲み評価用サンプルは、カラーインクのdutyを15%〜100%とし、さらに、白色画像とカラー画像との境界部がわかるようにカラーインクを吐出させた以外、上記「3.4.1.(2)」と同様にして作成した。
【0141】
(3)比較例1〜比較例2
比較例1〜比較例2における滲み評価用サンプルは、比較例毎にカラーインクのdutyを15%〜100%とし、さらに、白色画像とカラー画像との境界部がわかるようにカラーインクを吐出させた以外、上記「3.4.1.(3)」と同様にして作成した。
【0142】
3.6.2.滲み評価
得られた滲み評価用サンプルを50℃の恒温槽で10分乾燥後、白色画像とカラー画像との境界部の滲みを目視により観察した。評価基準は下記の通りであり、C以上の評価であると実用上の使用に問題ない程度に滲みを防止できていると判断できる。
A:カラーインクのduty100%でも滲みが認められない
B:カラーインクのduty80%までなら滲みが認められない
C:カラーインクのduty50%までなら滲みが認められない
D:カラーインクのduty30%でも滲みが認められる
【0143】
3.7.評価結果
以上の評価結果を表1〜表4に併せて示す。表1〜表4中、TWAは被記録媒体上における(A)成分の総量を示し、TWBは被記録媒体上における(B)成分の総量を示す。
【0144】
【表1】
【0145】
【表2】
【0146】
【表3】
【0147】
【表4】
【0148】
表1〜表3の評価試験結果に示すように、実施例1〜実施例10のインクセットによれば、ヒビ割れおよび滲みが低減され、かつ、耐擦性に優れた画像を記録し、各インクの吐出安定性にも優れていた。
【0149】
なお、実施例1および実施例11は、同様のインクセットを用い、画像の形成方法が異なるものである。ヒビ割れの評価結果をみると、第1の画像形成方法(実施例3)を用いる方が、第2の画像形成方法(実施例11)を用いるよりも、優れていることが示された。
【0150】
一方、比較例1および比較例2のインクセットは、クリアインクを備えていない。そのため、表4の評価結果に示すように、記録された画像の耐擦性が優れていなかった。
【0151】
本発明は、前述した実施形態に限定されるものではなく、種々の変形が可能である。例えば、本発明は、実施形態で説明した構成と実質的に同一の構成(例えば、機能、方法および結果が同一の構成、あるいは目的および効果が同一の構成)を含む。また、本発明は、実施形態で説明した構成の本質的でない部分を置き換えた構成を含む。また、本発明は、実施形態で説明した構成と同一の作用効果を奏する構成または同一の目的を達成することができる構成を含む。また、本発明は、実施形態で説明した構成に公知技術を付加した構成を含む。
【手続補正書】
【提出日】2015年9月11日
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
白色色材および第1樹脂を含有する白色インクと、
前記白色色材以外の色材を含有するカラーインクと、
色材を実質的に含有せず、第2樹脂を含有するクリアインクと、を備え、
前記第1樹脂は、フルオレン系樹脂を含み、
前記第2樹脂は、ポリオレフィンワックスおよびエチレン酢酸ビニル系樹脂の少なくとも一方を含む、インクセット。
【請求項2】
請求項1において、
前記白色インク中の前記第1樹脂の含有量は、固形分換算で、1質量%以上7質量%以下である、インクセット。
【請求項3】
請求項1または2において、
前記クリアインク中の前記第2樹脂の含有量は、固形分換算で、3質量%以上10質量%以下である、インクセット。
【請求項4】
請求項1ないし請求項のいずれか1項において、
液滴吐出装置に備えられ、
前記白色インクの液滴および前記クリアインクの液滴を実質的に同一時に吐出させて、当該白色インクの液滴および当該クリアインクの液滴を被記録媒体上で接触させて付着させた後、前記カラーインクの液滴を吐出させて、前記被記録媒体に付着させた前記白色インクの液滴および前記クリアインクの液滴上に付着させる画像形成方法に用いる、インクセット。
【請求項5】
請求項1ないし請求項のいずれか1項において、
液滴吐出装置に備えられ、
前記白色インクの液滴を吐出させて、当該白色インクの液滴を被記録媒体に付着させた後、前記クリアインクの液滴および前記カラーインクの液滴を実質的に同一時に吐出させて、当該クリアインクの液滴および当該カラーインクの液滴を、前記被記録媒体に付着させた前記白色インクの液滴上で接触させて付着させる画像形成方法に用いる、インクセット。
【請求項6】
請求項1ないし請求項のいずれか1項において、
前記ポリオレフィンワックスの平均粒子径は、100nm以上200nm以下である、インクセット。