【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明者らは、伸線後(直後でなくてもよい)の伸線材、代表的には最終線径の伸線材に溶体化処理を施すことで、屈曲特性に優れるアルミニウム合金線が得られる、との知見を得た。特に、特定の組成のアルミニウム合金とすることで、屈曲特性に優れると共に、強度及び導電率が高いアルミニウム合金線が得られる、との知見を得た。詳しくは、溶体化処理を行うことで、アルミニウム合金中の添加元素を母材のアルミニウムに十分に固溶させることができ、固溶強化により強度を向上することができるため、屈曲特性を向上することができる、との知見を得た。また、上記溶体化処理後に時効処理を施すことで、時効強化により強度を更に向上して、屈曲特性を更に向上することができる、との知見を得た。かつ、上記添加元素の含有量を特定の範囲とすることで、当該添加元素が固溶されたことによる導電率の低下を低減して、導電率が高いアルミニウム合金線とすることができる、との知見を得た。更に、強度をある程度制限することで、強度と靭性とをバランスよく有するアルミニウム合金線が得られる、との知見を得た。本発明は、これらの知見に基づくものである。
【0012】
本発明アルミニウム合金線の製造方法は、以下の工程を具える。
1. 質量%で、Mgを0.1%以上1.5%以下、Siを0.03%以上2.0%以下、Cuを0.05%以上0.5%以下含有し、残部がAlからなるアルミニウム合金の溶湯を鋳造して鋳造材を形成する工程。
【0013】
2. 上記鋳造材に圧延を施して圧延材を形成する工程。
3. 上記圧延材に伸線加工を施して伸線材を形成する工程。
【0014】
4. 上記伸線材に溶体化処理を施して熱処理材を形成する工程。
上記1.〜4.の工程を経て、本発明製造方法は、導電率が35%IACS以上58%IACS未満、引張強さが150MPa以上400MPa以下、かつ伸びが2%以上であるアルミニウム合金線を製造する。得られたアルミニウム合金線は、導体に利用される。
【0015】
上記製造方法により、本発明アルミニウム合金線が得られる。本発明アルミニウム合金線は、導体に利用されるものであり、質量%で、Mgを0.1%以上1.5%以下、Siを0.03%以上2.0%以下、Cuを0.05%以上0.5%以下含有し、残部がAl及び不純物からなる。上記Mg及びSiの質量比Mg/Siは、0.8≦Mg/Si≦3.5を満たす。そして、このアルミニウム合金線(以下、Al合金線と呼ぶ)は、導電率が35%IACS以上58%IACS未満、引張強さが150MPa以上400MPa以下、伸びが2%以上である。
【0016】
本発明Al合金線は、上述のように溶体化処理が施された線材であることで、固溶強化により、優れた強度及び屈曲特性を有する。かつ、本発明Al合金線は、添加元素の含有量が特定の範囲であることで、電気伝導性にも優れる。
【0017】
また、本発明者らは、ワイヤーハーネスを機器などに組み付ける際、導体の強度が高過ぎると、導体において端子部との境界近傍で導体が破断することがある、との知見を得た。従って、特に、ワイヤーハーネスの電線用導体を構成する線材には、強度だけでなく、靭性にも優れることが望まれる。本発明Al合金線は、上述のように強度を特定の範囲とすることで、高強度化による靭性の低下を抑制し、靭性にも優れる。
【0018】
上述のように本発明Al合金線は、屈曲特性、強度、電気伝導性、及び靭性に優れることから、ワイヤーハーネスに望まれる特性を十分に具えており、ワイヤーハーネスの電線用導体に好適に利用できる。特に、本発明Al合金線を導体とする電線は、屈曲動作が行われる箇所に配置された場合であっても、断線し難い。
【0019】
以下、本発明をより詳細に説明する。なお、元素の含有量は、質量%を示す。
[Al合金線]
<組成>
本発明Al合金線を構成するAl合金は、Mg(マグネシウム)を0.1%〜1.5%、Si(シリコン)を0.03%〜2.0%、Cu(銅)を0.05%〜0.5%含有するAl−Mg−Si−Cu系合金である。Mgを0.1%以上、Siを0.03%以上、及びCuを0.05%以上含有し、これらの元素がAlに固溶又は析出して存在することで、本発明Al合金線は、屈曲特性、強度に優れる。Mg,Si,Cuの含有量が高いほどAl合金線の屈曲特性や強度が高まるが、導電率や靭性が低下する上に、伸線加工時などで断線が生じ易くなるため、Mg:1.5%以下、Si:2.0%以下、Cu:0.5%以下とする。
【0020】
Mgは、Al合金線の導電率の低下が大きいものの、屈曲特性や強度の向上効果が高い元素である。特に、Mgと同時にSiを特定の範囲で含有することで、時効硬化による強度の向上を効果的に図ることができる。Cuは、Al合金線の導電率の低下が少なく、屈曲特性や強度を向上することができる。より好ましい含有量は、Mg:0.2%以上1.5%以下、Si:0.1%以上1.5%以下、Cu:0.1%以上0.5%以下である。かつ、Mg及びSiの質量比Mg/Siが0.8≦Mg/Si≦3.5を満たす。Mg/Siが0.8未満では、Al合金線の屈曲特性や強度の向上の効果が十分に得られず、3.5超では、導電率の低下が大きくなる。より好ましくは、0.8≦Mg/Si≦3である。
【0021】
更に、上記Al合金は、Fe(鉄)及びCr(クロム)の少なくとも一方を含有してもよい。Feは、導電率の低下をあまり招くことなく屈曲特性や強度を向上することができるが、Feを添加し過ぎると、伸線加工などの加工性の低下を招くことから、含有量は、0.1%以上1.0%以下、特に0.2%以上0.9%以下が好ましい。Crは、導電率の低下が大きいものの、屈曲特性や強度の向上効果が高い元素であり、含有量は、0.01%以上0.5%以下、特に、0.05%以上0.4%以下が好ましい。
【0022】
更に、上記Al合金は、Ti(チタン)及びB(ホウ素)の少なくとも一方を含有することが好ましい。TiやBは、鋳造時のAl合金の結晶組織を微細にする効果がある。結晶組織が微細であると、強度を向上することができる。B単独の含有でもよいが、Ti単独、特に双方を含有すると、結晶組織の微細化効果が更に向上する。この微細化効果を十分に得るには、質量割合で、Tiは100ppm以上、Bは10ppm以上含有することが好ましい。但し、Ti:500ppm超、B:50ppm超では、上記微細化効果が飽和したり、導電率の低下を招くことから、Ti:500ppm以下、B:50ppm以下が好ましい。
【0023】
<特性>
上述のように特定の組成のAl合金から構成され、かつ溶体化処理が施されている本発明Al合金線は、高強度である上に、導電率、伸びも高く、導電率:35%IACS以上、引張強さ:150MPa以上、伸び:2%以上を満たす。但し、本発明Al合金線は、母材のAlに添加元素を積極的に固溶させているため、電気伝導性の向上には限界があり、導電率は58%IACS未満である。引張強さは200MPa以上がより好ましいが、単に高強度なだけで靭性に劣る電線用導体ではワイヤーハーネスに適さないことから、本発明Al合金線は、引張強さを400MPa以下とする。引張強さが上記範囲を満たすことで、本発明Al合金線は、靭性と強度とをバランスよく具えることができる。
【0024】
Al合金線の導電率、引張強さ、伸びは、添加元素の種類や量、伸線条件、溶体化条件、更に後述する時効処理の有無、時効処理条件によって変化させることができる。例えば、添加元素を少なくすると、導電率及び靭性が高くなる傾向にあり、添加元素を多くすると、強度や屈曲特性が高くなる傾向にある。例えば、本発明Al合金線として、導電率:40%IACS以上、伸び:10%以上を満たすものが挙げられる。
【0025】
<形状>
本発明Al合金線は、伸線加工時の加工度(断面減少率)を適宜調整することで、種々の線径(直径)を有することができる。例えば、自動車用ワイヤーハーネスの電線用導体に利用する場合、線径は0.1mm以上1.5mm以下が好ましい。
【0026】
また、本発明Al合金線は、伸線加工時のダイス形状によって種々の断面形状を有することができる。断面円形状が代表的であり、その他、楕円形状、矩形や六角形といった多角形状などの断面形状が挙げられる。断面形状は特に問わない。
【0027】
[Al合金撚り線]
上記本発明Al合金線を複数本撚り合わせた撚り線とすることができる。細径の線材であっても撚り合わせることで、屈曲特性や強度の高い線材(撚り線)とすることができる。撚り合わせ本数は、特に問わない。例えば、7,11,19,37本が挙げられる。また、本発明Al合金撚り線は、撚り合わせた後、圧縮成形した圧縮線材とすると、撚り合わせた状態よりも線径を小さくすることができ、導体の小径化に寄与することができる。
【0028】
[被覆電線]
上記本発明Al合金線や本発明Al合金撚り線、上述した圧縮線材は、電線用導体に好適に利用することができる。用途に応じて、このまま導体として使用することもできるし、この導体の外周に絶縁被覆層を具える本発明被覆電線として使用することもできる。上記絶縁被覆層を構成する絶縁材料は、適宜選択することができる。例えば、ポリ塩化ビニル(PVC)やノンハロゲン樹脂、難燃性に優れる材料などが挙げられる。絶縁被覆層の厚さは、所望の絶縁強度を考慮して適宜選択することができ、特に限定されない。
【0029】
[ワイヤーハーネス]
上記被覆電線は、本発明ワイヤーハーネスの構成部材に好適に利用することができる。本発明ワイヤーハーネスは、上記被覆電線と、この被覆電線の端部に装着された端子部とを具える。この端子部を介して、被覆電線は、機器などの接続対象に接続される。このワイヤーハーネスは、端子部が装着された複数の被覆電線に対して一つのコネクタを共有するような電線群を含んでいてもよい。上記端子部は、雄型、雌型、圧着型、溶接型などの種々の形態が挙げられ、特に限定されない。また、上記ワイヤーハーネスに具える複数の被覆電線は、結束具などにより一纏まりに束ねることで、ハンドリング性に優れる。更に、このワイヤーハーネスは、軽量化が望まれている種々の分野、特に、燃費の向上のために更なる軽量化が望まれている自動車に好適に利用することができる。
【0030】
[製造方法]
<鋳造工程>
本発明製造方法は、まず、上記特定の組成のAl合金からなる鋳造材を形成する。鋳造は、可動鋳型又は枠状の固定鋳型を用いる連続鋳造、箱状の固定鋳型を用いる金型鋳造(以下、ビュレット鋳造と呼ぶ)のいずれも利用することができる。特に、連続鋳造では、溶湯を急冷凝固できるため、微細な結晶組織を有する鋳造材が得られる。このような鋳造材を素材にすると、微細な結晶組織を有するAl合金線を製造し易く、結晶の微細化による屈曲特性や強度の向上を図ることができる。冷却速度は、適宜選択することができるが、固液共存温度域である600℃〜700℃において20℃/sec以上が好ましい。例えば、水冷銅鋳型や強制水冷機構などを有する連続鋳造機を用いると、上述のような冷却速度による急冷凝固を実現できる。
【0031】
TiやBを添加する場合、溶湯を鋳型に注湯する直前に添加すると、Tiなどの局所的な沈降を抑制して、Tiなどが均等に混合された鋳造材を製造することができて好ましい。
【0032】
<圧延工程>
次に、上記鋳造材に(熱間)圧延を施し、圧延材を形成する。特に、上記鋳造工程と上記圧延工程とは、連続的に行うと、鋳造材に蓄積される熱を利用して熱間圧延を容易に行えて、エネルギー効率がよい上に、バッチ式の鋳造方法により作製した鋳造材に圧延を施して圧延材を生産する場合と比較して、圧延材(連続鋳造圧延材)の生産性に優れる。更に、鋳造材を連続鋳造材とすると、微細な結晶組織を有する鋳造材に対して連続的に圧延が施されることで、得られた圧延材(連続鋳造圧延材)も、微細な結晶組織を有することができて好ましい。
【0033】
<伸線工程>
次に、上記圧延材又は連続鋳造圧延材に(冷間)伸線加工を施し、伸線材を形成する。伸線加工度は、所望の線径に応じて適宜選択することができる。
【0034】
伸線加工途中に適宜中間熱処理を行うと、中間熱処理前までの加工により導入された歪を除去して、中間熱処理後の伸線加工性を高められる。中間熱処理条件は、例えば、加熱温度:150℃〜400℃、加熱時間:0.5時間以上が挙げられる。中間熱処理条件は、後述する溶体化処理条件と同じとしてもよい。
【0035】
<撚り線工程>
得られた最終線径の伸線材は、単線のままとしてもよいが、本発明製造方法の一形態として、更に、複数の上記伸線材を用意し、これらの伸線材を撚り合せて撚り線を形成する工程を具え、撚り線とすることができる。更に、本発明製造方法の一形態として、上記撚り線を圧縮成形して所定の線径の圧縮線材を形成する工程を具え、圧縮線材とすることができる。上記撚り線や上記圧縮線材とする場合、後述する溶体化処理は、当該撚り線や当該圧縮線材に施してもよいし、上記伸線材に溶体化処理を施した後、或いは、溶体化処理に加えて時効処理を施す場合は時効処理を施した後に上記撚り線としてもよい。
【0036】
<溶体化工程>
次に、上記最終線径の伸線材、撚り線とする場合には、撚り合せる前の伸線材、又は撚り合せ後の撚り線、圧縮線材とする場合には、圧縮前の撚り線、又は圧縮後の圧縮線材に溶体化処理を施す。この溶体化処理は、主として固溶強化を目的とし、固溶強化による屈曲特性の向上、強度の向上のために行う。なお、鋳造材としてビュレット材を利用する場合は、鋳造後と、上記伸線後との双方に溶体化処理を行ってもよい。ビュレット材に溶体化処理を施すことで、添加元素が十分に固溶した状態となるため、その後の圧延や伸線などの塑性加工を行い易く、伸線後に更に溶体化処理や時効処理を施すことで、強度の向上、引いては屈曲性の向上を図ることができる。
【0037】
溶体化処理は、上記特定の添加元素を母材のAl中に固溶させて過飽和固溶体を形成できる条件で行う。例えば、上記最終線径の伸線材や撚り線、圧縮線材などを450℃以上に加熱した後、急冷する、具体的には、50℃/min以上の冷却速度で冷却することが挙げられる。加熱温度を450℃以上とすることで、上述した特定の組成からなるAl合金において、添加元素を母材のAl中に十分に固溶することができる。かつ上述のように冷却速度を大きくして急冷することで、母材に固溶させた元素が冷却工程で析出されることを抑制することができる。上記冷却速度は、水や液体窒素といった液体冷媒を利用したり、送風を行うなどの強制冷却により実現することができる。特に、冷却速度が100℃/min以上となるように冷却状態を調整することが好ましい。
【0038】
溶体化処理中の雰囲気は、代表的には、大気雰囲気が挙げられる。その他、酸素含有量がより少ない雰囲気、例えば、非酸化性雰囲気とすると、溶体化処理中の熱により処理対象の線材の表面に酸化膜が生成されることを抑制することができる。非酸化性雰囲気は、例えば、真空雰囲気(減圧雰囲気)、窒素(N
2)やアルゴン(Ar)などの不活性ガス雰囲気、水素含有ガス(例えば、水素(H
2)のみ、N
2、Ar、ヘリウム(He)といった不活性ガスと水素(H
2)との混合ガスなど)や炭酸ガス含有ガス(例えば、一酸化炭素(CO)と二酸化炭素(CO
2)との混合ガスなど)といった還元ガス雰囲気が挙げられる。
【0039】
また、溶体化処理は、連続加熱処理又はバッチ式加熱処理が利用できる。
(バッチ式加熱処理)
バッチ式加熱処理は、加熱用容器(雰囲気炉、例えば、箱型炉)内に加熱対象を封入した状態で加熱する処理方法であり、一度の処理量が限られるものの、温度制御が行い易く、加熱対象全体の加熱状態を管理し易い処理方法である。バッチ式加熱処理では、加熱対象が所定の温度に加熱されるように、加熱用容器内の雰囲気温度を設定するとよい。
【0040】
(連続加熱処理)
連続加熱処理は、加熱用容器内に加熱対象を連続的に供給して、加熱対象を連続的に加熱する処理方法であり、1.連続的に加熱できるため作業性に優れる、2.加熱対象となる線材の長手方向に均一的に加熱できるため線材の長手方向における特性のばらつきを抑制できる、といった利点がある。特に、電線用導体に利用されるような長尺な線材に溶体化処理を施す場合、連続加熱処理が好適に利用できる。
【0041】
上記連続加熱処理は、加熱対象を抵抗加熱により加熱する直接通電方式(通電連続加熱処理)、加熱対象を高周波の電磁誘導により加熱する間接通電方式(高周波誘導連続加熱処理)、その他、加熱雰囲気とした加熱用容器(パイプ炉)内に加熱対象を導入して熱伝導により加熱する炉式が挙げられる。
【0042】
上記連続加熱処理では、例えば、各種の制御パラメータを適宜変化させて試料に溶体化処理を行い、そのときの試料の特性(ここでは、引張強さ、導電率、伸び)、及び試料の温度(例えば、非接触式の温度測定装置を利用して測定)を測定し、パラメータ値と測定データとの相関データを予め作成する。この相関データに基づいて、所望の特性(ここでは、引張強さ:150MPa〜400MPa、導電率:35%IACS〜58%IACS、伸び:2%以上)を有する溶体化処理材が得られるように上記制御パラメータを調整すると共に、温度の制御を行うことで、連続加熱処理により容易に溶体化処理を行える。例えば、通電方式の制御パラメータは、容器内への供給速度(線速)、加熱対象の大きさ(線径)、電流値などが挙げられる。炉式の制御パラメータは、容器内への供給速度(線速)、加熱対象の大きさ(線径)、炉の大きさ(パイプ軟化炉の直径)などが挙げられる。
【0043】
<時効処理>
本発明製造方法は、更に、上記溶体化処理が施された溶体化処理材(熱処理材)に時効処理を施して熱処理材(時効処理材)を形成する工程を具えることができる。溶体化処理後に時効処理を行うことで、Al合金中の添加元素を析出させ、Al合金中に析出物を分散させることができる。この析出物の分散強化、即ち、時効強化により強度の向上を図ることができると共に、固溶元素の低減による導電率の向上を図ることができる。特に、Al合金が上述のように微細組織であると、析出物が均一的に分散した組織となり易く、強度を更に向上でき、強度及び導電率が高いAl合金線が得られる。
【0044】
上記時効処理は、上述した連続加熱処理を利用してもよいが、バッチ式加熱処理を利用すると、熱処理時間を十分に保持できるため、析出物を十分に析出させることができる。バッチ式加熱処理により時効処理を行う場合の具体的な条件は、例えば、加熱温度:100℃以上、加熱時間:0.5時間以上が挙げられ、加熱温度:100℃〜250℃、加熱時間:1時間〜24時間がより好ましい。また、時効処理も大気雰囲気でもよいし、上述した酸素含有量が少ない雰囲気としてもよい。
【0045】
<被覆工程>
上記溶体化処理、及び適宜時効処理が施された熱処理材(単線、撚り線、及び圧縮線材のいずれか)を用意し、この熱処理材の外周に上述した絶縁材料からなる絶縁被覆層を形成する工程を具えることで、本発明被覆電線を製造することができる。
【0046】
更に、得られた上記被覆電線の端部に端子部を装着し、端子部付きの被覆電線を複数束ねることで、ワイヤーハーネスを製造することができる。