【解決手段】少なくともパルプ原料と蛍光顔料と定着剤を含有する蛍光着色紙であり、抄紙機に原料を供給するパルプ原料調整工程のミキシングボックス1又はマシンチェスト2内に、パルプ原料と共に一定量の蛍光顔料と定着剤とを連続添加して混合することによって前記パルプ原料に前記蛍光顔料を定着させ、染色された前記パルプ原料を抄紙して製造される。着色する色に応じてカラーL*値、a*値、b*値並びに蛍光強度の範囲が設定される。
オレンジ系に着色した蛍光着色紙であって、該着色紙のカラーL*値が77以上、a*値が21以上、b*値が47以上であって蛍光強度が0.07以上である、請求項6に記載の蛍光着色紙。
グリーン系に着色した蛍光着色紙であって、該着色紙のカラーL*値が87以上、a*値が−30以下、b*値が58以上であって蛍光強度が0.24以上である、請求項6に記載の蛍光着色紙。
ピンク系に着色した蛍光着色紙であって、該着色紙のカラーL*値が70以上、a*値が44以上、b*値が−10〜0であって蛍光強度が0.25以上である、請求項6に記載の蛍光着色紙。
イエロー系に着色した蛍光着色紙であって、該着色紙のカラーL*値が90以上、a*値が−20以下、b*値が68以上であって蛍光強度が0.20以上である、請求項6に記載の蛍光着色紙。
抄紙機に原料を供給するパルプ原料調整工程のミキシングボックス又はマシンチェスト内に、パルプ原料と共に一定量の蛍光顔料と定着剤とを連続添加して混合し、あるいは、前記ミキシングボックス又はマシンチェストに通じるパルプ原料配管の途中に配備されるスタティックミキサー内にパルプ原料と共に一定量の蛍光顔料と定着剤とを連続添加して混合することによって前記パルプ原料に前記蛍光顔料を定着させ、染色された前記パルプ原料を抄紙することを特徴とする蛍光着色紙の製造方法。
抄紙機ドライヤーパートの後に設置されているオンラインカラー計において抄紙後の着色紙の色調を測定し、その測定結果に応じ、前記蛍光顔料と定着剤の前記ミキシングボックス又は前記マシンチェストへの添加量の調整を行う、請求項11に記載の系蛍光着色紙の製造方法。
前記方法が、サイズプレス工程を含み、サイズプレスにおいて塗布している塗工液に前記蛍光顔料及び/又は染料を添加することによって補色する、請求項11又は12に記載の蛍光着色紙の製造方法。
【発明を実施するための形態】
【0017】
本発明に係る蛍光着色を有する紙は、パルプ原料、蛍光顔料及び定着剤を含有し、着色させた蛍光着色紙であることを特徴とするものである。
【0018】
本発明において原料として使用するパルプは特に制限されず、例えば、蛍光色上質紙とするためには、晒クラフトパルプを使用することができる。晒クラフトパルプとしては、樹種は特に制限されず、LBKP、NBKPをそれぞれ単独又は適宜混合して使用することができる。また、晒クラフトパルプに加えて古紙パルプを使用することもできる。古紙パルプの含有量は後述する蛍光強度に影響する。古紙パルプとしては、脱墨パルプを使用でき、脱墨パルプとしては、上質紙、中質紙、下級紙、新聞紙、チラシ、雑誌などの選別古紙や、これらが混合している無選別古紙を原料とする脱墨パルプを使用することができる。このように、本発明では、単一種のパルプを用いることとしてもよいし、複数種のパルプを混合したものを用いることとしてもよい。特に限定するものではないが、古紙パルプを10%以上配合することが望ましい。
【0019】
本発明において、蛍光顔料は鮮やかさ増の作用を奏するところに特徴があり、蛍光顔料を含有することにより、くすみのない鮮やかな色相を得ることが可能となる。本発明において用いる蛍光顔料は着色用であって、水や油や有機溶剤に不溶又は難溶であり、分散状態で存在する粉体である。蛍光顔料には有機蛍光顔料と無機蛍光顔料とがあり、そのいずれも使用可能であるが、耐光性に優れ、色が鮮明であるという点からして、有機蛍光顔料を用いることが好ましい。また、本発明では、補色を目的として染料を添加することができる。染料は色の風合い増の作用を奏する。染料としては、直接染料、塩基性染料などが使用可能であるが、好ましくは、塩基性染料を用いることとする。
【0020】
以下、本発明の具体的実施態様の一例として、オレンジ系、グリーン系、ピンク系、イエロー系の各着色紙について説明するが、本発明はこれらの色系に限定されるものではなく、各種色の蛍光顔料を単独又は併用して、さらに、必要に応じて各種色の染料を併用することによって、所望の着色を有する蛍光着色紙を得ることができる。
【0021】
オレンジ系の着色紙を得るには、オレンジ色蛍光顔料、ピンク色蛍光顔料、黄色染料を、単独又は併用して用いることができる。特に、鮮やかなオレンジ系の着色が得られることから、ピンク色の蛍光顔料と黄色の染料を併用することがより好ましい。オレンジ色の蛍光顔料としては、例えば水分散体型「SW−114 Orange」(シンロイヒ株式会社製)、ピンク色の蛍光顔料としては、例えば水分散体型「SW−117Pink」(シンロイヒ株式会社製)、黄色の染料としては、例えばメチン系カチオン染料「TOA ベーシック イエロー G(L)」(東亜化成株式会社製)などを挙げることができるが、これらに限定されるものではない。
【0022】
添加量は、所望のオレンジ系の蛍光着色が得られるように調整すればよく、特に制限さるものではないが、例えば、ピンク色の蛍光顔料と黄色の染料を併用する場合、ピンク色の蛍光顔料は対パルプ3〜7%(好ましくは対パルプ5%以上)、黄色の染料は対パルプ0.48〜1.28%(好ましくは対パルプ0.5%以上)とすることが好ましい。また、オレンジ色の蛍光顔料と黄色の染料を併用する場合、オレンジ色の蛍光顔料は対パルプ10%以上添加、黄色の染料は対パルプ0.01%以上添加することが好ましい。これらの添加量は適宜調整することができる。なお、ここにおける蛍光顔料及び染料の添加量、並びに、以下に述べる蛍光顔料及び染料の添加量は、有姿での添加である。
【0023】
オレンジ系の色相としては、着色紙のカラーL*値が77以上、a*値が21以上、b*値が47以上であって、蛍光強度が0.07以上であることが好ましい。カラーL*値が77未満であると明度が下がって暗い色調となり、また、a*値が21未満であると赤色が弱くなり、b*値が47未満であると黄色が弱くなるため、鮮やかさに欠けることになる。更に、蛍光強度が0.07未満の場合にも、鮮やかさに欠けることになる。本発明では、カラーL*値、a*値、b*値、蛍光強度が上記の範囲であることにより、よりくすみのない、より鮮やかなオレンジ系の蛍光着色紙となる。
【0024】
グリーン系の着色紙を得るには、グリーン色蛍光顔料、黄色蛍光顔料、青色蛍光顔料を、単独又は併用して用いることができる。特に、鮮やかなグリーン系の着色が得られることから、黄色と青色の蛍光顔料を併用することがより好ましい。グリーン色蛍光顔料としては、例えば水分散体型「SW−112Geen」(シンロイヒ株式会社製)、黄色の蛍光顔料としては、例えば水分散体型「SW−115Lemon Yellow」(シンロイヒ株式会社製)、青色の蛍光顔料としては、例えば水分散体型「SW−128Blue」(シンロイヒ株式会社製)などを挙げることができるが、これらに限定されるものではない。
【0025】
添加量は、所望のグリーン系の蛍光着色が得られるように調整すればよく特に制限されないが、グリーン系の蛍光顔料は対パルプ1%以上、黄色の蛍光顔料は対パルプ3〜8%、青色の蛍光顔料は対パルプ1〜2%とすることが好ましい。また、染料を併用することができ、青色が強くなるとくすんだグリーンとなるため、黄色染料を添加することが好ましい。黄色の染料の添加量としては対パルプ0.3〜0.8%とすることが好ましい。これらの添加量は適宜調整することができる。
【0026】
グリーン系の色相としては、着色紙のカラーL*値が87以上、a*値が−30以下、b*値が58以上であって、蛍光強度が0.24以上であることが好ましい。カラーL*値が87未満であると明度が下がって暗い色調となり、また、a*値が−30を超えると緑色が弱くなり、b*値が58未満であると黄色が弱くなるため、鮮やかさに欠けることになる。更に、蛍光強度が0.24未満の場合にも、鮮やかさに欠けることになる。本発明では、カラーL*値、a*値、b*値、蛍光強度が上記の範囲であることにより、よりくすみのない、より鮮やかなグリーン系の蛍光着色紙となる。
【0027】
ピンク系の着色紙を得るには、鮮やかなピンク系の着色が得られることから、ピンク色蛍光顔料を用いることができる。ピンク色の蛍光顔料としては、例えば、水分散体型「SW−117Pink」(シンロイヒ株式会社製)などを挙げることができるが、これに限定されるものではない。
【0028】
添加量は、所望のピンク系の蛍光着色が得られるように調整すればよく、特に制限されないが、ピンク色の蛍光顔料は対パルプ5〜15%とすることが好ましい。また、染料を併用することができるが、黄色染料の場合、黄色が強くなるとくすんだピンクとなるため、添加量としては、対パルプ0.01%以下とすることが好ましい。これらの添加量は適宜調整することができる。
【0029】
ピンク系の色相としては、着色紙のカラーL*値が70以上、a*値が44以上、b*値が−10〜0であって、蛍光強度が0.25以上であることが好ましい。カラーL*値が70未満であると明度が下がって暗い色調となり、また、a*値が44未満であると赤色が弱くなり、b*値が0を超えると黄色が強くなるため、鮮やかさに欠けることになる。更に、蛍光強度が0.25未満の場合にも、鮮やかさに欠けることになる。本発明では、カラーL*値、a*値、b*値、蛍光強度が上記の範囲であることにより、よりくすみのない、より鮮やかなピンク系の蛍光着色紙となる。
【0030】
イエロー系の着色紙を得るには、鮮やかなイエロー系の着色が得られることから、黄色蛍光顔料を用いることができる。黄色の蛍光顔料としては、例えば上記した水分散体型「SW−115Lemon Yellow」(シンロイヒ株式会社製)などを挙げることができるが、これに限定されるものではない。
【0031】
添加量は、所望のイエロー系の蛍光着色が得られるように調整すればよく特に制限されないが、黄色蛍光顔料は対パルプ3〜8%とすることが好ましい。また、染料を併用することができ、黄色染料の場合、添加量としては対パルプ0.25〜0.5%とすることが好ましい。これらの添加量は適宜調整することができる。
【0032】
イエロー系の色相としては、着色紙のカラーL*値が90以上、a*値が−20以下、b*値が68以上であって、蛍光強度が0.2以上であることが好ましい。カラーL*値が90未満であると明度が下がって暗い色調となり、また、a*値が−20を超えると緑色が弱くなり、b*値が68未満であると黄色が弱くなるため、鮮やかさに欠けることになる。更に、蛍光強度が0.2未満の場合にも、鮮やかさに欠けることになる。本発明では、カラーL*値、a*値、b*値、蛍光強度が上記の範囲であることにより、よりくすみのない、より鮮やかなイエロー系の蛍光着色紙となる。
【0033】
また、本発明では、鮮明な色相を得るために、定着剤を含有することが好ましい。蛍光顔料と定着剤の最適な配合により、くすみのない鮮やかな色相を得ることが可能となる。定着剤としては、ジメチルアミン・アンモニア・エピクロルヒドリン重縮合物を挙げることができる。その添加率としては、対パルプ0.01〜3.5%添加とすることが好ましいが、適宜調整することができる。中でも、オレンジ系、グリーン系、イエロー系の場合は、0.5〜3%とすることが好ましい。なお、本発明はこれらの例に限定されるものではなく、所望の色相に応じて定着剤の量を調整すればよい。また、ここにおける定着剤の添加は、有姿での添加である。
【0034】
また、本発明の場合、蛍光顔料のパルプ繊維への定着効果をより上げるために、硫酸バンドを添加することができる。その添加率としては、対パルプ0.5〜2%添加とすることが好ましいが、適宜調整することができる。中でも、グリーン系、ピンク系の場合は、0.5〜1.5%とすることが好ましい。なお、本発明はこれらの例に限定されるものではなく、所望の色相に応じて硫酸バンドの量を調整すればよい。また、ここにおける硫酸バンドの添加は、有姿での添加である。
【0035】
本発明の上記蛍光着色紙を製造するための好ましい方法は、抄紙機に原料を供給するパルプ原料調整工程のミキシングボックス又はマシンチェスト内に、パルプ原料と共に一定量の蛍光顔料と定着剤とを連続添加して混合し、あるいは、前記ミキシングボックス又はマシンチェストに通じるパルプ原料配管の途中に配備されるスタティックミキサー内にパルプ原料と共に一定量の蛍光顔料と定着剤とを連続添加して混合することによって、前記パルプ原料に前記蛍光顔料を定着させ、染色された前記パルプ原料を抄紙することを特徴とするものである。染料を添加する場合は、蛍光顔料と共に添加する。
【0036】
図1は、本発明において用いる抄紙機原料フローを示すもので、例えば、そこに示されるように、古紙パルプと晒クラフトパルプの混合スラリーであるパルプ原料がミキシングボックス1内に投入され、そのミキシングボックス内において、パルプ原料と蛍光顔料と定着剤とが混合されて当該パルプ原料が染色される。
【0037】
あるいは、図示してないが、ミキシングボックス1又はマシンチェスト2に入るパルプ原料配管の途中にスタティックミキサーが配備され、そのスタティックミキサー内において、パルプ原料と蛍光顔料と定着剤とが混合されて当該パルプ原料が染色される。このようにミキシングボックスやスタティックミキサーで混合すると、パルプ原料と蛍光顔料と定着剤とがよりよく混合され、ムラのない染色混合物が生成される。
【0038】
染色されたパルプ原料は、マシンチェスト2に送られて適宜紙力増強剤が添加され、また、種箱3において適宜サイズ剤が添加される。そして、ファンポンプ4を経てクリーナー5に送られる間に填料が添加され、クリーナー5からスクリーン6を経て除塵された後、抄紙機のインレット7に送られる。
【0039】
一実施形態において、色の調整は、抄紙機ドライヤーパートの後に設置されているオンラインカラー計において抄紙後の着色紙の色調を測定し、その結果に応じ、ミキシングボックス1やマシンチェスト2への蛍光顔料と定着剤の添加量の微調整を行うこととする。さらに、リールパートで巻き上がった製品を調湿して色差計で測定し、より高精度に色相を調整するようにすることもできる。
【0040】
また、サイズプレス工程を設けて、サイズプレスにおいて塗布している塗工液に蛍光顔料及び/又は染料を添加することによって、補色することができる。塗工液は、水のみでもよいし、澱粉系、ポリビニルアルコール系、ポリアクリルアミド系、セルロース系等の水溶性高分子、スチレン・ブタジエン系等の各種共重合体(ラテックス)を含有してもよい。これらは単独又は2種類以上混合して用いられる。本発明では水又は澱粉系が好ましい。この場合の蛍光顔料及び/又は染料の添加率としては、特に限定されないが、対水0.01〜10%濃度程度が好ましい。更に、リールパートで巻き上がった製品を調湿して色差計で測定し、より高精度に色調を調整するようにすることもできる。
【0041】
以上、本発明の蛍光着色紙を得るにあたり、好ましい実施態様として蛍光顔料と定着剤とを内添する場合について説明したが、本発明は内添に制限されるものではなく、蛍光顔料と定着剤とを外添して含有させてもよい。但し、内添の方が、着色紙断裁面の切り口を均一に染色することができるため望ましい。外添の方法は特に限定されず、例えば、サイズプレス工程において蛍光顔料と定着剤とを含有する塗工液を塗布する方法や、別途塗工工程を設けて蛍光顔料と定着剤とを含有する塗工液を塗布する方法等が挙げられる。塗工液には、有機又は無機顔料や添加剤を含有することができる。
【0042】
また、色相に表裏差がある場合、色相を調整したい面側に蛍光顔料及び/又は染料を外添することができる。その添加率としては、対水0.1〜0.4%添加とすることが好ましいが、適宜調整することができる。
【0043】
上記の他、本発明の蛍光着色紙は、カレンダー仕上げ等の紙の製造方法として従来知られた方法に従い、各種の処理を施すことができる。
【0044】
本発明の蛍光着色紙において、坪量は使用用途に応じて設定すればよく、特に制限されないが、30〜205g/m
2程度が好ましい。使用用途としては、印刷用紙の他、封筒や付箋、POP広告等が挙げられるが、これらに限定されるものではなく、くすみのない鮮やかな色相を活かして幅広い用途に使用することができる。
【0045】
[実施例]
以下に実施例を挙げて本発明についてより具体的に説明するが、言うまでもなく、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。なお、本明細書において、数値範囲はその端点を含むものとして記載されている。
【0046】
オレンジ系蛍光着色紙(Orange)
[実施例OR1]
ミキシングボックス内に、パルプ原料(LBKP60%:フリーネス350cc、古紙40%:フリーネス280cc、パルプ濃度3%)と共に、定着剤(商品名「ジェットフィックスPA−401」里田化工株式会社製 2.5%対パルプ)、メチン系カチオン染料(商品名「TOA ベーシック イエロー G(L)」東亜化成株式会社製 0.8%対パルプ)、ピンク蛍光顔料(商品名「SW−117Pink」シンロイヒ株式会社製 5%対パルプ)、及び、硫酸バンド(1.5%対パルプ)を連続添加して混合することにより染色したパルプ原料を抄紙機に供給し、坪量76.7g/m
2の印刷用の着色紙を抄紙し、表面を測定した。
【0047】
[実施例OR2]
古紙パルプの配合率を10%とした以外は実施例OR1と同じにして染色したパルプ原料を抄紙機に供給し、坪量76.7g/m
2の印刷用の着色紙を抄紙し、表面を測定した。
[実施例OR3]
古紙パルプの配合率を0%とした以外は実施例OR1と同じにして染色したパルプ原料を抄紙機に供給し、坪量76.7g/m
2の印刷用の着色紙を抄紙し、表面を測定した。
[実施例OR4]
古紙パルプの配合率を72%とした以外は実施例OR1と同じにして染色したパルプ原料を抄紙機に供給し、坪量76.7g/m
2印刷用の着色紙を抄紙し、表面を測定した。
【0048】
[実施例OR5]
ピンク蛍光顔料を8.0%対パルプ、イエロー染料を1.28%対パルプとした以外は実施例OR1と同じにして染色したパルプ原料を抄紙機に供給し、坪量76.7g/m
2の印刷用の着色紙を抄紙し、表面を測定した。
[実施例OR6]
定着剤を2%対パルプ、古紙パルプの配合率を0%とした以外は実施例OR1と同じにして染色したパルプ原料を抄紙機に供給し、坪量76.7g/m
2の印刷用の着色紙を抄紙し、表面を測定した。
【0049】
[実施例OR7]
定着剤を2%対パルプ、イエロー染料を0.6%対パルプ、古紙パルプの配合率を0%とした以外は実施例OR1と同じにして染色したパルプ原料を抄紙機に供給し、坪量76.7g/m
2の印刷用の着色紙を抄紙し、表面を測定した。
[実施例OR8]
定着剤を2%対パルプ、イエロー染料を0.5%対パルプ、古紙パルプの配合率を0%とした以外は実施例OR1と同じにして染色したパルプ原料を抄紙機に供給し、坪量76.7g/m
2の印刷用の着色紙を抄紙し、表面を測定した。
【0050】
[実施例OR9]
定着剤を2%対パルプ、ピンク蛍光顔料を7%対パルプ、イエロー染料を0.6%対パルプ、古紙パルプの配合率を0%とした以外は実施例OR1と同じにして染色したパルプ原料を抄紙機に供給し、坪量76.7g/m
2の印刷用の着色紙を抄紙し、表面を測定した。
[実施例OR10]
定着剤を0.5%対パルプ、ピンク蛍光顔料を3.9%対パルプ、イエロー染料を0.71%対パルプ、硫酸バンドを0.5%対パルプ、古紙パルプの配合率を72%として染色したパルプ原料を抄紙機に供給し、坪量76.7g/m
2の印刷用の着色紙を抄紙し、表面を測定した。
【0051】
[実施例OR11]
定着剤を1%対パルプ、オレンジ蛍光顔料(商品名「SW−114 Orange」シンロイヒ株式会社製を10%対パルプ)、イエロー染料(商品名「TOA ベーシック イエロー G(L)」東亜化成株式会社製を0.01%対パルプ)、古紙パルプの配合率を10%とした以外は実施例Or1と同じにして染色したパルプ原料を抄紙機に供給し、坪量76.7g/m
2印刷用の着色紙を抄紙し、表面を測定した。
【0052】
[参考例OR1]
定着剤を無添加とした以外は実施例OR1と同じにして染色したパルプ原料を抄紙機に供給し、坪量76.7g/m
2の印刷用の着色紙を抄紙し、表面を測定した。
[参考例OR2]
定着剤を無添加とした以外は実施例OR5と同じにして染色したパルプ原料を抄紙機に供給し、坪量76.7g/m2の印刷用の着色紙を抄紙し、表面を測定した。
[参考例OR3]
定着剤を無添加とし、ピンク蛍光顔料を3%対パルプ、イエロー染料を0.48%対パルプとした以外は実施例OR1と同じにして染色したパルプ原料を抄紙機に供給し、坪量76.7g/m2の印刷用の着色紙を抄紙し、表面を測定した。
【0053】
[参考例OR4]
ピンク蛍光顔料を3%対パルプ、イエロー染料を0.48%対パルプとした以外は実施例OR1と同じにして染色したパルプ原料を抄紙機に供給し、坪量76.7g/m
2の印刷用の着色紙を抄紙し、表面を測定した。
[参考例OR5]
定着剤を4%対パルプとした以外は実施例OR1と同じにして染色したパルプ原料を抄紙機に供給し、坪量76.7g/m
2の印刷用の着色紙を抄紙し、表面を測定した。
【0054】
[実施例OR12]
ミキシングボックス内に、パルプ原料(LBKP28%:フリーネス350cc、古紙72%:フリーネス280cc、パルプ濃度3%)と共に、定着剤(商品名ジェットフィックスPA−401 里田化工株式会社製 0.5%対パルプ)、メチン系カチオン染料(商品名「TOA ベーシック イエロー G(L)」東亜化成株式会社製 0.71%対パルプ)、ピンク蛍光顔料(商品名「SW−117Pink」シンロイヒ株式会社製 3.9%対パルプ)、及び、硫酸バンド(0.5%対パルプ)を連続添加して混合することにより染色したパルプ原料を抄紙機に供給し、坪量76.7g/m
2の印刷用の着色紙を抄紙し、表裏面を測定した。
【0055】
[実施例OR13]
実施例OR12と同じにして染色したパルプ原料を抄紙機に供給し、印刷用の着色紙を抄紙した後、外添として、対水0.35%濃度のアニオン系直接染料(商品名「カヤフェクトオレンジNR Liq」日本化薬株式会社製)を着色紙裏面に塗布し、坪量76.7g/m
2の印刷用の着色紙とし、裏面を測定した。
[実施例OR14]
実施例OR12と同じにして染色したパルプ原料を抄紙機に供給し、印刷用の着色紙を抄紙した後、外添として、対水0.2%濃度のアニオン系直接染料(商品名「カルダゾールレッド2GFN Liq」アークロマジャパン株式会社製)を着色紙裏面に塗布し、坪量76.7g/m2の印刷用の着色紙とし、裏面を測定した。
【0056】
[実施例OR15]
実施例OR12と同じにして染色したパルプ原料を抄紙機に供給し、印刷用の着色紙を抄紙した後、外添として、対水0.12%濃度のアニオン系直接染料(商品名「ダイレクトペーパーレッド4BL」日本化学工業株式会社製)を着色紙裏面に塗布し、坪量76.7g/m
2の印刷用の着色紙とし、裏面を測定した。
【0057】
上記条件で抄紙した各着色紙につき、村上色彩白色度計を用いて測定したL*値、a*値、b*値及び蛍光強度の計測値を表1、2に示す。表中の鮮明さの評価は目視によるもので、
(劣) 1 < 4 (優)
薄いオレンジ オレンジが強い
くすんでいる 鮮やか
の基準に基づくものである。なお、色相L*値、a*値、b*値は、村上色彩白色度計、色差値(UV−IN)JISP8150に準拠して測定し、蛍光強度は、村上色彩白色度計、JISP8148に準拠して測定した。
【0060】
計測の結果は表1の通りであり、それから明らかなように、定着剤、蛍光顔料及び染料を組合せ配合した実施例OR1〜11の場合は、いずれも定着剤を欠く参考例OR1〜3の場合よりも、L*値の明度が低いものの、a*値の赤が強く、且つ、b*値の黄色を示す値が小さくなっていることが分かる。また、参考例OR1〜3の場合はL*値の明度が高く、a*値の緑が強く、b*値の黄色を示す値がやや大きくなっている。また、参考例OR4〜5の場合はL*値の明度が高く、a*値の赤が弱く、b*値の黄色示す値がやや大きくなっているためにイエロー系の蛍光色を発現し、実施例OR1〜11ほどの鮮やかなオレンジ系の発光色を発現していない。
【0061】
更に、実施例OR1と参考例OR5からは、定着剤の添加率が2.5%を超える範囲ではa*値の値が下がる傾向にあり、b*値の黄色を示す値が大きくなることが分かる。このことから、特に定着剤の添加率が2.5%以下の場合にパルプ原料に対する蛍光顔料の良好な定着効果が得られることが理解される。
【0062】
更に、表2に示す実施例OR12〜15の計測の結果から、赤色系染料を外添して色調整を行う場合、実施例OR12と比較して実施例OR13〜15の場合は、L*値の明度が下がり、a*値が上がって赤色が強くなることが分かる。また、b*値の黄色を示す値が下がり、黄色が弱くなって鮮やかなオレンジ系の発光色を発現し、表裏面共に変わらない色相になることが分かる。
【0063】
グリーン系蛍光着色紙(Green)
[実施例G1]
ミキシングボックス内に、パルプ原料(LBKP60%:フリーネス350cc、古紙パルプ40%:フリーネス280cc、パルプ濃度3%)と共に、定着剤(商品名「ジェットフィックスPA−401」里田化工株式会社製 1.0%対パルプ)、メチン系カチオン染料(商品名「TOA ベーシック イエロー G(L)」東亜化成株式会社製 0.5%対パルプ)、蛍光顔料(商品名「SW−115Lemon Yellow」 シンロイヒ株式会社製 5%対パルプ、蛍光顔料「SW-128Blue」 シンロイヒ株式会社製 1%対パルプ)、及び、硫酸バンド (1.5%対パルプ)を連続添加して混合することにより染色したパルプ原料を抄紙機に供給し、坪量76.7g/m
2の印刷用の着色紙を抄紙した。
【0064】
[実施例G2]
古紙パルプの配合率を10%とした以外は実施例G1と同じにして染色したパルプ原料を抄紙機に供給し、坪量76.7g/m
2の印刷用の着色紙を抄紙した。
[実施例G3]
イエロー蛍光顔料を8%対パルプ、ブルー蛍光顔料を1.6%対パルプとした以外は実施例G1と同じにして染色したパルプ原料を抄紙機に供給し、坪量76.7g/m
2の印刷用の着色紙を抄紙した。
【0065】
[実施例G4]
定着剤を2%対パルプとした以外は実施例G1と同じにして染色したパルプ原料を抄紙機に供給し、坪量76.7g/m
2の印刷用の着色紙を抄紙した。
[実施例G5]
定着剤を2.5%対パルプとした以外は実施例G1と同じにして染色したパルプ原料を抄紙機に供給し、坪量76.7g/m
2の印刷用の着色紙を抄紙した。
【0066】
[実施例G6]
定着剤を2.5%対パルプとし、イエロー蛍光顔料を4.5%対パルプ、とした以外は実施例G1と同じにして染色したパルプ原料を抄紙機に供給し、坪量76.7g/m
2の印刷用の着色紙を抄紙した。
[実施例G7]
定着剤を2.5%対パルプ、イエロー蛍光顔料を4%対パルプとした以外は実施例G1と同じにして染色したパルプ原料を抄紙機に供給し、坪量76.7g/m
2の印刷用の着色紙を抄紙した。
【0067】
[実施例G8]
定着剤を3.0%とした以外は実施例G1と同じにして染色したパルプ原料を抄紙機に供給し、坪量76.7g/m
2の印刷用の着色紙を抄紙した。
[実施例G9]
定着剤を2.5%対パルプ、イエロー蛍光顔料を4%対パルプ、古紙パルプの配合率を72%とした以外は実施例G1と同じにして染色したパルプ原料を抄紙機に供給し、坪量76.7g/m
2の印刷用の着色紙を抄紙した。
【0068】
[実施例G10]
定着剤を1.3%対パルプ、イエロー蛍光顔料を3%対パルプ、イエロー染料を0.32%対パルプ、硫酸バンドを0.5%対パルプ、古紙パルプの配合率を72%とした以外は実施例G1と同じにして染色したパルプ原料を抄紙機に供給し、坪量76.7g/m
2の印刷用の着色紙を抄紙した。
【0069】
[参考例G1]
定着剤を無添加とした以外は実施例G1と同じにして染色したパルプ原料を抄紙機に供給し、坪量76.7g/m
2の印刷用の着色紙を抄紙した。
[参考例G2]
定着剤を無添加とした以外は実施例G3と同じにして染色したパルプ原料を抄紙機に供給し、坪量76.7g/m
2の印刷用の着色紙を抄紙した。
【0070】
[参考例G3]
定着剤を無添加、イエロー蛍光顔料を3%対パルプ、ブルー蛍光顔料を0.6%対パルプとした以外は実施例G1と同じにして染色したパルプ原料を抄紙機に供給し、坪量76.7g/m
2の印刷用の着色紙を抄紙した。
[参考例G4]
定着剤を4.0%とした以外は実施例G1と同にして染色したパルプ原料を抄紙機に供給し、坪量76.7g/m
2の印刷用の着色紙を抄紙した。
【0071】
上記条件で抄紙した各着色紙につき、村上色彩白色度計を用いて測定したL*値、a*値、b*値及び蛍光強度の計測値を表3に示す。表中の鮮明さの評価は目視によるもので、
(劣) 1 < 4 (優)
イエローグリーン グリーンが強い
くすんでいる 鮮やか
の基準に基づくものである。なお、色相L*値、a*値、b*値は、村上色彩白色度計、色差値(UV−IN)JISP8150に準拠して測定し、蛍光強度は、村上色彩白色度計、JISP8148に準拠して測定した。
【0073】
計測の結果は表3の通りであり、それから明らかなように、定着剤と蛍光顔料とを組合せ配合した実施例G1〜10の場合は、いずれも定着剤を欠く参考例G1〜3の場合よりも、L*値の明度が低いものの、a*値の緑を示す値が小さく、且つ、b*値の黄色を示す値がやや大きくなっていることが分かる。また、参考例G1〜3の場合はL*値の明度が高く、b*値の黄色を示す値がやや大きくなっているためにイエロー系の蛍光色を発現し、実施例G1〜10程の鮮やかなグリーン系の発光色を発現していない。また、参考例G4から、定着剤及び蛍光顔料を組合せ配合しても、本願発明で規定するL*値、a*値、b*値及び蛍光強度の値のうちいずれか1つでも満たさない場合には、所望の鮮やかなグリーン色が得られないことが分かる。
【0074】
更に、実施例G1、5、8及び参考例G4からは、定着剤の添加率が1.0〜3.0%の範囲ではa*値のグリーンを示す値はほぼ変わらないが、3.0%を超える範囲では、a*値の値が上がる傾向にあり、緑が弱くなっていることが分かる。このことから、特に定着剤の添加率が3.0%以下の場合に、パルプ原料に対する蛍光顔料の良好な定着効果が得られることが理解される。
【0075】
ピンク系蛍光着色紙(Pink)
[実施例P1]
ミキシングボックス内に、パルプ原料(LBKP60%:フリーネス350cc、古紙パルプ40%:フリーネス280cc、パルプ濃度3%)と共に、定着剤(商品名「ジェットフィックスPA−401」里田化工株式会社製、1.0%対パルプ)、メチン系カチオン染料(商品名「TOA ベーシック イエロー G(L)」東亜化成株式会社製、0.01%対パルプ)、蛍光顔料(商品名「SW−117Pink」シンロイヒ株式会社製、10%対パルプ)、及び、硫酸バンド(1.5%対パルプ)を連続添加して混合することにより染色したパルプ原料を抄紙機に供給し、坪量76.7g/m
2の印刷用の着色紙を抄紙した。
【0076】
[実施例P2]
蛍光顔料を対パルプ15%とした以外は実施例P1と同じにして染色したパルプ原料を抄紙機に供給し、坪量76.7g/m
2の印刷用の着色紙を抄紙した。
[実施例P3]
パルプ原料(LBKP90%:フリーネス350cc、古紙パルプ10%:フリーネス280cc、パルプ濃度3%)に蛍光顔料を対パルプ10%、とした以外は実施例P1と同じにして染色したパルプ原料を抄紙機に供給し、坪量76.7g/m
2の印刷用の着色紙を抄紙した。
【0077】
[実施例P4]
蛍光顔料を対パルプ5.0%、黄色染料を対パルプ0%とした以外は実施例P3と同じにして染色したパルプ原料を抄紙機に供給し、印刷用の着色紙を抄紙した後、外添として、対水1%濃度の蛍光顔料を着色紙に塗布し、坪量76.7g/m
2の印刷用の着色紙とした。
[実施例P5]
外添として、対水3%濃度の蛍光顔料を着色紙に塗布した以外は実施例P4と同じ条件で、坪量76.7g/m
2の印刷用の着色紙を抄紙した。
【0078】
[実施例P6]
外添として、対水5%濃度の蛍光顔料を着色紙に塗布した以外は実施例P4と同じ条件で、坪量76.7g/m
2の印刷用の着色紙を抄紙した。
[実施例P7]
定着剤を対パルプ2.5%、蛍光顔料を対パルプ8.4%、黄色染料を対パルプ0%、LBKPを28%、古紙パルプを72%、硫酸バンドを1.5%対パルプとして染色したパルプ原料を抄紙機に供給し、坪量76.7g/m
2の印刷用の着色紙を抄紙した。
【0079】
[実施例P8]
定着剤を対パルプ3.5%、蛍光顔料を対パルプ13%、黄色染料を対パルプ0%、LBKPを28%、古紙パルプを72%、硫酸バンドを0.5%対パルプとして染色したパルプ原料を抄紙機に供給し、坪量76.7g/m
2の印刷用の着色紙を抄紙した。
[実施例P9]
定着剤を2.0%対パルプとした以外は実施例P8と同じにして染色したパルプ原料を抄紙機に供給し、坪量76.7g/m
2の印刷用の着色紙を抄紙した。
【0080】
[実施例P10]
定着剤を1.0%対パルプとした以外は実施例P8と同じにして染色したパルプ原料を抄紙機に供給し、坪量76.7g/m
2の印刷用の着色紙を抄紙した。
【0081】
[参考例P1]
定着剤を無添加とした以外は実施例P1と同じにして染色したパルプ原料を抄紙機に供給し、坪量76.7g/m
2の印刷用の着色紙を抄紙した。
[参考例P2]
定着剤を無添加とし、蛍光顔料を15%対パルプとした以外は実施例P1と同じにして染色したパルプ原料を抄紙機に供給し、坪量76.7g/m
2の印刷用の着色紙を抄紙した。
【0082】
[参考例P3]
定着剤を無添加とし、蛍光顔料を5%対パルプとした以外は実施例P1と同じにして染色したパルプ原料を抄紙機に供給し、坪量76.7g/m
2の印刷用の着色紙を抄紙した。
[参考例P4]
定着剤を1.0%対パルプ、蛍光顔料を5%対パルプとした以外は実施例P1と同じにして染色したパルプ原料を抄紙機に供給し、坪量76.7g/m
2の印刷用の着色紙を抄紙した。
【0083】
[参考例P5]
定着剤を4.0%対パルプ、蛍光顔料を10%対パルプ、LBKPを100%とした以外は実施例P1と同じにして染色したパルプ原料を抄紙機に供給し、坪量76.7g/m
2の印刷用の着色紙を抄紙した。
[参考例P6]
定着剤を3.0%対パルプ、蛍光顔料を5%対パルプとした以外は実施例P8と同じにして染色したパルプ原料を抄紙機に供給し、坪量76.7g/m
2の印刷用の着色紙を抄紙した。
【0084】
[参考例P7]
定着剤を3.5%対パルプ、蛍光顔料を10%対パルプとした以外は実施例P8と同じにして染色したパルプ原料を抄紙機に供給し、坪量76.7g/m
2の印刷用の着色紙を抄紙した。
【0085】
上記条件で抄紙した各着色紙につき、村上色彩白色度計を用いて測定したL*値、a*値、b*値及び蛍光強度の計測値を表4に示す。表中の鮮明さの評価は目視によるもので、
(劣) 1 < 6 (優)
薄いピンク色 赤色が強いピンク
くすんでいる 鮮やか
の基準に基づくものである。なお、L*値、a*値、b*値は、村上色彩白色度計、色差値(UV−IN)JISP8150に準拠して測定し、蛍光強度は、村上色彩白色度計、JISP8148に準拠して測定した。
【0087】
計測の結果は表4の通りであり、これから明らかなように、定着剤及び蛍光顔料を組合せ配合した実施例P1〜6の場合は、いずれも定着剤を欠く参考例P1〜3の場合よりも、L*値の明度は低いものの、a*値の赤が強く、且つ、b*値の黄色を示す値が小さくなっていることが分かる。また、参考例P1〜3の場合はL*値の明度が高く、a*値が低いためにくすんだ薄いピンクとなっていて、実施例P1〜6程の鮮やかなピンク系の蛍光色を発現していない。また、参考例P4から、定着剤及び蛍光顔料を組合せ配合しても、本発明で規定するL*値、a*値、b*値及び蛍光強度の値のうちいずれか1つでも満たさない場合には、所望の鮮やかなピンク色が得られないことが分かる。
【0088】
更に、実施例P7〜10、参考例P6、7からは、定着剤の添加率が1.0〜2.5%の範囲ではb*値の黄色を示す値はほぼ変わらないが、2.5%を超える範囲ではa*値が下がる傾向にあり、赤が弱くなっていることが分かる。このことから、特に定着剤の添加率が2.5%以下の場合に、パルプ原料に対する蛍光顔料の良好な定着効果が得られることが理解される。また、b*値の黄色を示す値は、参考例P5から定着剤の添加率が4%では上昇し、黄が強くなっていることが分かる。また、当然のことながら、黄色染料を0%とした実施例P4〜10の場合は、黄色染料を含有する実施例P1〜3に比べて、b*値の黄色を示す値が低くなっていることが分かる。これらの結果から、本発明の有効性を十分に確認することができた。
【0089】
イエロー系蛍光着色紙(Yellow)
[実施例Y1]
ミキシングボックス内に、パルプ原料(LBKP60%:フリーネス350cc、古紙40%:フリーネス280cc、パルプ濃度3%)と共に、定着剤(商品名ジェットフィックスPA−401 里田化工株式会社製 0.5%対パルプ)、メチン系カチオン染料(商品名「TOA ベーシック イエロー G(L)」東亜化成株式会社製 0.5%対パルプ)、蛍光顔料(商品名「SW−115Lemon Yellow」 シンヒロイ株式会社製 3%対パルプ)、及び、硫酸バンド (1.5%対パルプ)を連続添加して混合することにより染色したパルプ原料を抄紙機に供給し、坪量76.7g/m
2の印刷用の着色紙を抄紙した。
【0090】
[実施例Y2]
蛍光顔料を5%対パルプとした以外は実施例Y1と同じにして染色したパルプ原料を抄紙機に供給し、坪量76.7g/m
2の印刷用の着色紙を抄紙した。
[実施例Y3]
蛍光顔料を8%対パルプとした以外は実施例Y1と同じにして染色したパルプ原料を抄紙機に供給し、坪量76.7g/m
2の印刷用の着色紙を抄紙した。
【0091】
[参考例Y1]
定着剤を無添加とした以外は実施例Y1と同じにして染色したパルプ原料を抄紙機に供給し、坪量76.7g/m
2の印刷用の着色紙を抄紙した。
[参考例Y2]
定着剤を無添加とした以外は実施例Y2と同じにして染色したパルプ原料を抄紙機に供給し、坪量76.7g/m
2の印刷用の着色紙を抄紙した。
【0092】
[参考例Y3]
定着剤を無添加とした以外は実施例Y3と同じにして染色したパルプ原料を抄紙機に供給し、坪量76.7g/m
2の印刷用の着色紙を抄紙した。
[参考例Y4]
定着剤を無添加とし、蛍光顔料を無添加とした以外は実施例Y1と同じにして染色したパルプ原料を抄紙機に供給し、坪量76.7g/m
2の印刷用の着色紙を抄紙した。
【0093】
上記条件で抄紙した各着色紙につき、村上色彩白色度計を用いて測定したL*値、a*値、b*値及び蛍光強度の計測値を表5に示す。表中の鮮明さの評価は目視によるもので、
(劣) 1 < 4 (優)
薄いイエロー イエローが強い
くすんでいる 鮮やか
の基準に基づくものである。なお、色相は、村上色彩白色度計、色差値(UV−IN)JISP8150に準拠して測定し、蛍光強度は、村上色彩白色度計、JISP8148に準拠して測定した。
【0095】
計測の結果は表5の通りであり、それから明らかなように、定着剤、蛍光顔料及び染料を組合せ配合した実施例Y1〜3の場合は、いずれも定着剤を欠く参考例Y1〜4の場合よりも、L*値の明度が高く、a*値の緑が強く、且つ、b*値の黄色を示す値が大きくなっていることが分かる。また、蛍光強度も、実施例の中で一番低い実施例Y1において0.21であり、実施例Y1〜3の場合はすべてが目視においてもくすみのない鮮やかなイエロー系の蛍光色を発現していることを確認することができ、この結果から、本発明の有効性を十分に確認することができた。
【0096】
以上、この発明をある程度詳細にその最も好ましい実施形態について説明してきたが、この発明の精神と範囲に反することなしに広範に異なる実施形態を構成することができることは明白である。従って、この発明は、添付請求の範囲において限定した以外はその特定の実施形態に制約されるものではない。