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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2015-232222(P2015-232222A)
(43)【公開日】2015年12月24日
(54)【発明の名称】管網分割支援装置
(51)【国際特許分類】
   E03B 1/00 20060101AFI20151201BHJP
   E03B 5/00 20060101ALI20151201BHJP
【FI】
   E03B1/00 A
   E03B5/00 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
【全頁数】26
(21)【出願番号】特願2014-119217(P2014-119217)
(22)【出願日】2014年6月10日
(71)【出願人】
【識別番号】000005108
【氏名又は名称】株式会社日立製作所
(74)【代理人】
【識別番号】100100310
【弁理士】
【氏名又は名称】井上 学
(74)【代理人】
【識別番号】100098660
【弁理士】
【氏名又は名称】戸田 裕二
(74)【代理人】
【識別番号】100091720
【弁理士】
【氏名又は名称】岩崎 重美
(72)【発明者】
【氏名】小泉 賢司
(72)【発明者】
【氏名】足立 進吾
(72)【発明者】
【氏名】高橋 信補
(72)【発明者】
【氏名】武本 剛
(57)【要約】
【課題】
管網を分割する際に生じる一定の制約条件を満たしつつ、設備投資コストとポンプ運転コストのバランスを取りながら全体でコストを最適化にすることが困難である。
【解決手段】
開示する管網分割支援装置は、外部装置から配水管網のネットワークデータと、配水管網が満たすべき制約条件データと、配水管網を設置及び運用するためのコストを計算するための計算条件式データを取得するデータ受信部と、制約条件データに基づいて、ネットワークを複数のエリアに分割するエリア分割部と、分割する際に用いる設備に関する設備コストが最小になるような設備を決定する設備計算部と、分割されたエリアに設置された設備の運用に関する運用コストが最小になるように設備の運用を計算する運用計算部と、を備える。
【選択図】 図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
外部装置から配水管網のネットワークデータと、前記配水管網が満たすべき制約条件データと、前記配水管網に設備を設置及び運用するためのコストを計算するための計算条件式データを取得するデータ受信部と、
前記制約条件データに基づいて、ネットワークを複数のエリアに分割するエリア分割部と、
分割する際に用いる設備に関する設備コストが最小になるような設備を決定する設備計算部と、
分割されたエリアに設置された前記設備の運用に関する運用コストが最小になるように前記設備の運用を計算する運用計算部と、を備える
ことを特徴とする管網分割支援装
置。
【請求項2】
請求項1に記載の管網分割支援装置において、
前記設備計算部は、更に
前記分割されたエリアにおいて隣り合うエリア間で頂点が属するエリアを他のエリアに変更することでエリアの境界を変形した変形エリアデータを複数生成し、
エリアデータおよび複数の変形エリアデータの各々に対して、
計算されたエリアの境界に設置するための設備を再計算し、
前記運用計算部は、
再計算されたエリアに従い管網を分割した後の設備の運用を再計算し、
更に、再計算された設備コストと前記運用コストの指標が最適であるよう計算する最適分割機能部を更に備える
ことを特徴とする管網分割支援装置。
【請求項3】
請求項2に記載の管網分割支援装置であって、
前記設備とは閉止バルブまたは流量計であり、
前記設備の運用とは、ポンプの運転と制御バルブの制御方法を含み、
前記ポンプの運転とはポンプの吐出圧であり、
前記制御バルブの制御方法とは制御バルブの設定値を決定することであり、
前記指標とはライフサイクルコストである
ことを特徴とする管網分割支援装置。
【請求項4】
請求項3に記載の管網分割支援装置であって、
前記エリア分割部によって分割された前記エリアを表示する表示部を更に備え、
前記データ受信部が前記エリアの変更を更に取得した場合、
前記設備計算部と前記運用計算部は、更に設備コストと運用コストを計算する
ことを特徴とする管網分割支援装置。
【請求項5】
請求項4に記載の管網分割支援装置において、
前記エリア分割部は、
前記ネットワークの頂点を前記受信した制約条件データに記憶される制約条件を各クラスタが満たすようにクラスタリングすることでクラスタを構成し各々のクラスタをエリアとすることでエリアに分割する
ことを特徴とする管網分割支援装置。
【請求項6】
請求項5に記載の管網分割支援装置において、
前記ライフサイクルコストとは、
年間に換算した設備投資コストおよびポンプ運転コストの和であり、
前記設備投資コストとは前記計算条件式データが保持する設備投資コスト計算式に基づき算出される閉止バルブおよび流量計のコストであり、
前記ポンプ運転コストとは前記計算条件式データが保持する運用コスト計算式に基づき算出されるポンプの運転にかかる電力料金である
ことを特徴とする管網分割支援装置。
【請求項7】
請求項6に記載の管網分割支援装置において、
前記表示部は、
前記データ受信部が受信したネットワークデータから描画できるネットワークと、
前記エリア分割部が計算したエリアデータまたは前記設備計算部が計算した変形エリアデータに従い、前記ネットワークの頂点をエリア毎に異なる記号または色または大きさにより特徴付けたネットワークと、
前記エリア分割部が計算した分割済みネットワークデータに従いネットワークと設備を同時に描画した分割済みネットワークと、を含む情報を表示する
ことを特徴とする管網分割支援装置。
【請求項8】
請求項7に記載の装置において、
前記変形エリアデータとは、異なる2つのエリアに属する頂点をユーザから1つずつ選択されることにより作成されるエリアの統合を含む
ことを特徴とする管網分割支援装置。
【請求項9】
管網分割支援装置が、
外部装置から配水管網のネットワークデータと、前記配水管網が満たすべき制約条件データと、前記配水管網を設置及び運用するためのコストを計算するための計算条件式データを予め取得するステップと、
前記制約条件データに基づいて、ネットワークを複数のエリアに分割するステップと、
分割する際に用いる設備に関する設備コストが最小になるような設備を決定するステップと、
分割されたエリアに設置された前記設備の運用に関する運用コストが最小になるように前記設備の運用を計算するステップと、を含む
ことを特徴とする管網分割支援方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、水道における管網を分割するための管網分割支援装置に関する。
【背景技術】
【0002】
配水管網を分割するためのエリアの境界を決定する技術として、例えば非特許文献1に記載の技術がある。非特許文献1に記載の技術では、境界において分割のために流量計と閉止バルブのいずれを設置するか計算する技術である。
【0003】
非特許文献1では、配水管網においてコミュニティ構造に基づきエリアの境界を自動的に計算する方法が提案されている。非特許文献1では、水道管網において住民同士の密な接続をコミュニティと定義して分割の単位、すなわちエリアと扱っており、このコミュニティをクラスタリングにより抽出してエリアの境界を決定する技術が記載されている。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0004】
【非特許文献1】Automated Creation of District Metered Area Boundaries in Water Distribution Systems、 Kegong Diao and Yuwen Zhou and Wolfgang Rauch、 J. Water Resour. Plann. Manage、 Vol.139、 pp.184-190、 2013
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、非特許文献1に記載の技術では、配水管網の分割にかかるコストが考慮されていない。そのため、分割に必要な設備の設備投資コストが低減できるとは限らない。例えば管網が満たすべき水圧の条件を満たすために閉止バルブではなく流量計を多数設置する場合がある。一般に流量計は閉止バルブと比べて高額であるため、この場合は設備投資コストが増加しやすい。
【0006】
さらに分割後はポンプの運転方法が変わる可能性がある。例えば分割の際に閉止する管路が増えると、ポンプの運転コストが上昇し設備投資コストが減少する。逆に流量計を置いて管路を開放すると、ポンプの運転コストは低下するが設備投資コストは増加する。このようにコストのトレードオフが存在するが、非特許文献1に記載の技術では、これに関しても考慮されていない。このことにより、設備投資コストとポンプ運転コストのバランスを取りながら全体で最適化することが困難である。
【課題を解決するための手段】
【0007】
開示する管網分割支援装置は、外部装置から配水管網のネットワークデータと、配水管網が満たすべき制約条件データと、配水管網を設置及び運用するためのコストを計算するための計算条件式データを取得するデータ受信部と、制約条件データに基づいて、ネットワークを複数のエリアに分割するエリア分割部と、分割する際に用いる設備に関する設備コストが最小になるような設備を決定する設備計算部と、分割されたエリアに設置された設備の運用に関する運用コストが最小になるように設備の運用を計算する運用計算部と、を備える。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、管網を分割する際に生じる一定の制約条件を満たしながら、設備投資コストとポンプ運転コストを低減することが出来る。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】管網分割支援装置1001の機能ブロック構成図。
図2】ネットワークデータ1021が備える頂点属性テーブルの例。
図3】ネットワークデータ1021が備える辺属性テーブルの例。
図4】制約条件データテーブル1022の例。
図5】計算条件テーブル1032の例。
図6】管網分割支援装置1001が実行する全体処理フローチャート。
図7】エリア計算部1111が実行するエリア計算機能の処理フローチャート。
図8】設備運用計算部1211が実行する最適分割機能の処理フローチャート。
図9】設備運用計算部1211が実行するエリアデータ変形機能の処理フローチャート。
図10】表示装置1004が画面に表示するネットワークの例。
図11】表示装置1004がエリアデータを反映して表示するネットワークデータおよびネットワークデータの例。
図12】表示装置1004に表示される統合後のエリアの例。
図13】表示装置1004に表示される変形ネットワークデータおよび変形ネットワークデータを反映して表示されるネットワークの例。
図14】表示装置1004に表示される境界辺の例。
図15】表示装置1004に表示される最適分割機能実行後に表示する設備を設置した後のネットワークの例。
図16】表示装置1004が表示する画面の全体図の表示例。
図17】エリアデータ1015の情報を記載するテーブルの例。
図18】分割済みネットワークデータ1025の辺属性テーブルの例。
図19】管網分割支援装置1001のハードウェア構成図。
【発明を実施するための形態】
【実施例1】
【0010】
以下、第一の実施形態について、図面を参照しながら説明する。
【0011】
図1は、管網分割支援装置1001の機能ブロック構成図である。管網分割支援装置1001は、管網分割計算部1011とデータ受信部1021とデータ出力部1031と入力装置1003と表示装置1004から構成される。
【0012】
ここで管網分割計算部1011は、エリア計算部1111と設備運用計算部1211から成る。
【0013】
エリア計算部1111は、エリア計算機能1111aを備え、設備運用計算部1211は、最適分割機能1211aと設備計算機能1211bと運用計算機能1211cとエリアデータ変形機能1211dを備える。
【0014】
各々の処理は後述する。
【0015】
入力装置1003は、例えばキーボードやポインティングデバイスである。
【0016】
データ受信部1021は、外部記憶装置に格納される入力データ群1002と、エリアデータ1015と、ユーザが入力装置1003を介して送信した信号を受信する。データ群1002は、例えばネットワークデータ1012と制約条件データ1022と計算条件式データ1032から構成される。
【0017】
ここでネットワークデータ1012は、配水管網をグラフ理論におけるグラフネットワークで表現したモデルである。後述するように頂点と辺の集合を表すテーブルにより構成される。
【0018】
データ出力部1031は、管網分割計算部1011の演算結果を出力データ群1005に出力する。出力データ群1005は、管網分割計算部1011の演算結果であるエリアデータ1015と分割済みネットワークデータ1025を記憶する。ここでエリアデータとは、ネットワークデータ1012における各頂点が、分割の単位であるエリアのいずれに属しているかを示すデータである。
【0019】
加えてデータ出力部1031は、表示装置1004に対して前記入力データ群1002と出力データ群1005の内容とデータ受信部1021がユーザが入力装置1003を介して送信した信号を送信する。
【0020】
表示装置1004は、例えばディスプレイであり、データ出力部1031から受信した情報を表示する。
【0021】
図19は管網分割支援装置のハードウェア構成図である。内部記憶装置19001を備えており、例えば管網計算部をプログラムとして保存している。さらに外部記憶装置19004を備え、入力データ群1002や出力データ群1005を保存している。
【0022】
さらに処理を実行するためのCPU19002および内部メモリ19003を備える。管網分割計算部の各種処理を実行する際は、記憶媒体19001からメモリ19003にプログラムを読込み、CPU19002が処理することで実行される。
【0023】
データ受信部1021やデータ出力部1031はインターフェースとして備えられており、入力装置1003や表示装置1004と通信により信号を送受信する。
【0024】
以降、単に内部メモリと述べた場合は装置1001が備える内部メモリを指すものとする。
【0025】
ネットワークデータ1012は、配水管網を計算機上で処理可能なようモデル化したデータを保持している。
【0026】
例えば、ネットワークデータ1012は配水管網の管路であるネットワークを構成する頂点と辺に関するデータから構成される。具体的には後述の図2に記載する頂点属性テーブル2001および図3に記載する辺属性テーブル3001から構成される。
【0027】
テーブル2001は、ネットワークデータ1012を構成する要素である頂点の詳細な情報を格納する頂点属性テーブルである。頂点とは、例えば配水管網における供給源または管路接続点または需要家が該当する。
【0028】
頂点属性テーブル2001は、例えば頂点の固有ID、頂点の種類、供給源または管路接続点または需要家の標高とX座標とY座標、頂点が需要家である場合の上水の需要量を格納している。
【0029】
例えばテーブル2001は2行目と3行目に、それぞれ種類が供給源または管路接続点である頂点w1およびj1の情報を保持している。
【0030】
テーブル2001は、頂点w1とj1について、各々が存在する標高および座標を保持する。
【0031】
両者には上水の需要が存在しないため、テーブル2001は需要量の列において値を持たない。
【0032】
加えてテーブル2001は、4行目に、c1というIDを持つ需要家の情報を保持している。他の頂点と同様に標高および座標の値を保持する。種類が需要家の場合は上水の需要が存在するため、需要量をテーブル2001に記載する。
【0033】
テーブル2001は需要量の列を1つだけ持ち水需要量を保持しているが、列を増やし1単位時間毎の時系列データとして格納してもよい。ここで1単位とは例えば秒、分、時間、日などが該当する。
【0034】
図3のテーブル3001は、ネットワークを構成する要素である辺の詳細な情報を格納する辺属性テーブルである。
【0035】
辺とは、例えば管路やポンプや制御バルブが該当する。制御バルブとは、例えば流量制御弁や圧力制御弁などが存在する。
【0036】
辺属性テーブル3001は、辺の固有ID、口径、長さ、辺の始点と終点、設定値、ポンプの定格吐出圧、ポンプの定格流量、開閉状態、耐用年数を格納している。
【0037】
例えばテーブル3001は、2行目にp1という名前の管路の情報を保持しており、その管路の口径と長さと管路の始点と終点と設定値と開閉状態と耐用年数がテーブルが保持する通りの値であることを意味する。ここで設定値とは、種類が管路の場合は管路抵抗値を意味する。
【0038】
辺属性テーブル3001は同様に3行目にpmp1という名前のポンプについて、例えば図示する通りの情報を保持している。
【0039】
辺属性テーブル3001は同様に4行目にvlv1という名前の流量制御弁についての情報を保持している。種類が制御バルブの場合、設定値とは例えば圧力制御弁の二次圧や流量制御弁の流量を指す。もちろん設定値が開度を示すような制御バルブを用いてもよい。
【0040】
辺属性テーブル3001は、頂点属性テーブル2001と同様に列を増やして追加の情報を保持してもよい。例えばポンプの回転数や吐出圧の時系列の制御パターンなどを追加できる。
【0041】
頂点属性テーブル2001および辺属性テーブル3001は説明の都合上、一つのテーブルに各データを保持しているが、種類毎に異なるテーブルにデータを保持するよう入力データのテーブルを構成してもよい。
【0042】
またここではネットワークデータをテーブルとして表現したが、各値を格納したリストなど異なるデータ構造で表現してもよい。
【0043】
制約条件データ1022は、エリア計算部1111または設備運用計算部1211が各々の処理を実行する際に制約条件として用いるデータである。
【0044】
制約条件データ1022は、図4に記載する制約条件テーブル4001で構成される。
【0045】
制約条件データテーブル4001は、制約条件の名前と制約が満たすべき上限値と下限値の数値情報を保持している。
【0046】
もちろん制約条件データテーブル4001が格納するデータは必ずしも数値情報に限るものではなく、列を追加して例えば真理値などを格納してもよいし、その他の制約名の制約条件を保持してもよい。さらに特定の辺や頂点が満たすべき制約を記述するようテーブルを構成してもよい。
【0047】
制約の意味や使用方法については後述する管網分割計算部1011の処理の説明において述べる。
【0048】
計算条件式データ1032は、設備運用計算部1211が処理を実行する際の計算式を保持している。
【0049】
例えば図5の計算条件テーブル5001のように、参照する指標名およびその指標の計算式を格納する。
【0050】
例えば設備投資コストを算出するための式としては図5に記載している式を用いる。
【0051】
その他、管網分割計算部1011の処理を制御するためのパラメータを含んでもよい。
【0052】
各計算式やパラメータの詳細は後述の設備運用計算部1211の処理において説明する。
【0053】
エリアデータ1015はエリア計算部1111の処理結果を格納するデータである。
【0054】
例えば、図17のエリアデータテーブル17001に記載するエリアの固有IDとエリアに属する頂点ID一覧と違反制約一覧を記載したテーブルで構成される。
【0055】
エリアデータの詳細については、後述するエリア計算機能1111aの処理の説明において詳細に述べる。
【0056】
分割済みネットワークデータ1025は設備運用計算部1211の処理結果を格納したデータである。
【0057】
例えば頂点属性テーブル2001と同一形式の分割済み頂点属性テーブルおよび図18に記載する分割済み辺属性テーブル18001から構成される。
【0058】
分割済み辺属性テーブル18001においては、設備運用計算部1211が吐出圧および開閉状態を計算した結果を格納することで生成される。
【0059】
詳細については前記最適分割機能1211aの説明時に述べる。
【0060】
(管網分割支援装置の処理)
以降、管網分割支援装置のエリア計算部1111および計算部1211が実行するエリア計算機能1111aと最適分割機能1211aと設備計算機能1211bと運用計算機能1211cとエリアデータ変形機能1211dの処理の詳細を述べていく。
【0061】
図6のフローチャート6001は、管網分割支援装置1001が入力データを受信してから各機能の処理を実行し、計算結果を表示装置1004に出力するまでのフローチャートである。
【0062】
管網分割支援装置1001は起動すると、管網分割支援装置1001のデータ受信部1021が入力データ群1002を受信し、内部メモリへ読み込む(S6021)。
【0063】
その後に、管網分割支援装置1001は受信したネットワークデータ1012と制約条件データ1022を用いてエリア計算機能1111aを実行してエリアを計算しエリアデータ1015を内部メモリへ格納する(S6031)。
【0064】
管網分割支援装置1001が実行するエリア計算機能1111aの詳細な処理は(エリア計算機能の処理)にて後述する。
【0065】
次に、管網分割支援装置1001のデータ出力部1031が、エリアデータ1015を記録媒体へ出力する(S6041)。
【0066】
その後に管網分割支援装置1001は、最適分割機能1211a実行し、管網を分割するために用いる設備および分割後のポンプ吐出圧を自動計算する(S6051)。自動計算では、管網分割支援装置1001がネットワークデータ1012を入力として後述のエリア計算機能を実行し、計算結果をエリアデータ1015として出力する。また設備とは、例えば閉止バルブや流量計が該当する。
【0067】
なお、設備計算機能1211bと運用計算機能1211cとエリアデータ変形機能1211dは、管網分割支援装置1001が最適分割機能1211aを実行中にサブモジュールとして実行される。
【0068】
さらに管網分割支援装置1001のデータ出力部1031が、計算結果を分割済みネットワークデータ1025として記録媒体へ出力する(S6061)。
【0069】
同様にデータ出力部1031は、表示装置1004へ表示用データを送信する(S6071)。
【0070】
表示用データの図は割愛するが、データ出力部1031は、例えば頂点属性テーブルの各頂点の固有IDとX座標およびY座標と、辺属性テーブルが格納する始点および終点を表示用データとして送信する。
【0071】
もちろんデータ出力部1031がネットワークデータやエリアデータをそのまま送信してもよい。
【0072】
表示用データを受信した表示装置1004は、表示用データに従いネットワークを画面上へ表示する。
【0073】
表示用データおよび表示装置の画面例については後述する。
【0074】
(エリア計算機能の処理)
図7のフローチャートは、エリア計算部1111が実行するエリア計算機能1111aの処理フローチャートである。図7は、図6のS6031の詳細図である。
【0075】
エリア計算部1111は、処理6021において受信したネットワークデータを元に、内部メモリ上にネットワークを構築する(S7011)。
【0076】
ここでネットワークとは、一般的なグラフ理論におけるグラフG=(V、E)の形でメモリ上に格納される。
【0077】
エリア計算部1111は、受信したネットワークデータの頂点属性テーブルの固有IDを用いて頂点集合Vを、辺属性テーブルの固有IDと始点と終点の値から辺集合Eを構成する。
【0078】
次にエリア計算部1111は、ネットワークデータ1012が保持する各頂点に対して、各頂点が属するエリアを計算しエリアデータ1015を生成する(S7021)。
【0079】
ここでエリアとは、ネットワークの1つ以上の頂点を集約した頂点の集合である。集合ではなく頂点のリストなど他のデータ構造を用いて表現してもよい。
【0080】
エリア計算部1111が、例えばクラスタリングを実行することで頂点の集合であるクラスタを生成する。
【0081】
生成したクラスタは、エリア計算部1111が内部メモリへ格納する。
【0082】
エリア計算部1111は、例えば既知のクラスタリング手法であるNewman法を具体的な手法として実行する。
【0083】
前記エリア計算部1111は、生成した各クラスタを各エリアとして内部メモリへ格納する。
【0084】
格納に際して、エリア計算部1111は、エリアデータ1015の書式に従いエリアの固有IDおよびそのエリアに属する頂点固有ID一覧から構成されるテーブルを作成する。
【0085】
エリア計算部1111はエリアを生成し終わると、各エリアが制約条件データ1022に記載された各制約条件の上限値および下限値を満たすか否かを判定する。
【0086】
例えば制約条件データに記載されるエリア内需要については、まずエリア計算部1111が内部メモリに格納したエリアデータを参照し、あるエリアaiに含まれる頂点ID一覧vaiを取得する。
【0087】
次にエリア計算部1111が、その頂点ID一覧に含まれる固有IDと同一の固有IDを持つ頂点属性テーブルの行を取得する。
【0088】
更にエリア計算部1111が、取得した各行の需要量列の値を足し合わせることで、前記エリアaiの需要量daiを計算し、(数1)を満たすか否かを判定する。
【0089】
【数1】
ただしvはあるエリアaiの頂点ID一覧vaiに名前がある頂点であり、dvはその頂点の需要量である。したがって前記需要量daiは(数1)の第二項に等しい。
【0090】
またdlbおよびdubは制約条件データテーブル4001に記載される値である。
【0091】
需要量daiが制約条件のエリア内需要の上限値より大きいならば、エリア計算部1111はそのエリアの頂点ID一覧に名前がある頂点のみから前記の処理と同様にグラフG'=(V'、E')を構成し、クラスタリングを実行して分割する。
【0092】
例えば、あるエリアaiが制約条件に違反すると仮定したとき、エリア計算部1111はaiに属する頂点およびその頂点同士を接続する辺を頂点属性テーブル2001および辺属性テーブル3001から取得しグラフG'を構成する。
【0093】
エリア計算部1111は、グラフG'を対象に上記と同様の処理でクラスタリングを実行し、得られた各クラスタを内部メモリが保持しているエリアデータに追加する。
【0094】
さらにエリア計算部1111が、内部メモリに存在する分割前のエリアaiのデータを削除する。
【0095】
エリア計算部1111は得られたエリアデータに対して再度制約条件を満たすか判定し、満たさないエリアについては同様にクラスタリングを用いて分割する。
【0096】
下限値より小さいならば、エリア計算部1111は、前記エリアデータの違反制約一覧の列に制約名を記載する。
【0097】
エリア計算部1111は、前記制約条件データ1022のエリア内標高差についても、同様の処理を実行し、あるエリアaiの頂点一覧からエリア内の標高の最大値と最小値の差分を計算する。
【0098】
すなわち(数2)により制約違反の判定を行う。
【0099】
【数2】
ここでmax関数はaiに属する頂点vの中で最大の標高を取得する関数であり、min関数は同様に最小の標高を取得する関数である。
【0100】
エリア計算部1111は、あるエリアaiが(数2)の制約を満たさない場合、(数1)を満たさない場合と同様の処理を実行する。
【0101】
次にエリア計算部1111が、エリア内延長の制約を満たすか否か判定する。この処理は、同様に、まずエリア計算部1111があるエリアai毎にエリアaiに属する頂点一覧vaiを取得する。
【0102】
次にエリア計算部1111はその頂点一覧vaiと前記辺属性テーブルを参照し、頂点一覧vaiに記載される頂点同士を接続する辺一覧eaiを取得する。
【0103】
エリア計算部1111は、辺一覧eaiに記載された各々の辺の情報を辺属性テーブルから取得し、各々の長さの列の値を足し合わせてエリア内延長の制約を満たすか否かを判定する。
【0104】
すなわち、計算部1111は(数3)により制約違反の有無を判定する。
【0105】
【数3】
ここでv、uはあるエリアaiに属する頂点であり、evuは始点がvかつ終点がuまたは始点がuかつ終点がvである辺であり、len(evu)は辺evuの長さである。
【0106】
(数3)の制約を満たさない場合、エリア計算部1111が、(数1)を満たさない場合と同様の処理を実行する。
【0107】
またここで挙げた3点の制約以外にも、地形や行政区画の境界を元にエリアを制限するよう制約を追加してもよい。その場合は、制約条件データテーブル4001が、特定の辺を境界にしなければならないという条件を真理値として保持するよう記述する。
【0108】
制約条件データテーブル4001が他の制約条件を保持する場合においても、同様の処理によりエリア計算部1111が制約違反の有無を判定する。
【0109】
また、エリア計算部1111は、クラスタリングの代わりに既知のグラフ分割手法を用いたり、クラスタリングとグラフ分割手法を組合せてエリアを構成してもよい。もちろん他の既知のグラフアルゴリズムを用いてもよい。
【0110】
エリア計算部1111が、グラフ分割手法を用いる際も、(数1)、(数2)、(数3)を制約条件として用いることができる。
【0111】
この場合は、エリア計算部1111がグラフ分割手法を実行することで頂点集合Vの部分集合を複数構成し、この部分集合の各々をエリアとする。
【0112】
エリア計算部1111は処理7021が終わると、処理7031において内部メモリに保存したエリアデータを元に表示用データを生成する。
【0113】
表示装置は表示用データを受信し、この内容に従い画面上へネットワークを描画する。
【0114】
表示用データの図は割愛するが、例えばエリア計算部1111が、頂点属性テーブル2001にエリアの固有IDを記述する列(便宜上、エリアID列と呼ぶ)を追加したテーブル(便宜上、表示用頂点属性テーブルと呼ぶ)と辺属性テーブル3001と同一形式のテーブルを作成することで構成する。
【0115】
ここでエリア計算部1111はエリアID列の各行に、その行に記載されている頂点が属するエリアの固有IDを記述する。
【0116】
次にエリア計算部1111は、データ出力部1031が表示用データを表示装置1004に送信する(S7041)。
【0117】
データを受信した表示装置1004は、表示用データに従いネットワークを画面上へ表示する。
【0118】
図10は表示装置が、表示用データのエリアID列の情報を使用しないで表示するネットワークの例である。
【0119】
図10における10021は、表示装置が表示するネットワークの画面例である。
【0120】
例えば供給源w1を円柱で、接続点j1、j2〜j6および需要家c1、c2〜c10を黒い丸で表示する。
【0121】
さらに表示装置は、ポンプpmp1を丸と台形と線を組合せた記号で、管路を線で表示する。なお図が煩雑になるため管路の固有IDは図10には記載していない。
【0122】
図10における10011は、表示装置1004が表示する頂点または辺の情報である。
【0123】
例えば表示装置は、辺であるポンプpmp1の吐出圧および流量を線グラフに変換して表示している。線グラフに限らず他の形式のグラフや、テーブルの内容を表示してもよい。
【0124】
図11は表示装置が表示用データのエリアID列の情報を使用して表示するネットワークの例である。
【0125】
表示装置1004は、受信した表示用データのエリアID列の値を参照することで各頂点がどのエリアに属するか判定し、各頂点を各々が属するエリア毎に異なる図形または色または大きさの頂点と辺から成るネットワークを画面上へ表示する。
【0126】
図11における11011aは、表示装置がエリアa1に属する頂点を丸で、エリアa2に属する頂点を四角で、エリアa3に属する頂点を三角形で表示する例である。このとき内部メモリが保持するエリアデータはテーブル11011bの通りである。
【0127】
図の煩雑化を避けるために各頂点と各辺の固有IDの図示は割愛している。
【0128】
なお破線については便宜上エリアを見分けやすくするために記載しているもので、実際の表示画面には表示しなくてもよい。また図10図11は同一画面上に同時に両方表示してもよいし、いずれか一方のみ表示してもよい。
【0129】
エリア計算部1111は、表示装置1004が図11のようにネットワーク11011aを表示した後、S7051において作成したエリアを統合する処理を実行する。
【0130】
管網分割支援装置1001は、入力装置1003を介してユーザが入力した信号を受信する状態に遷移する(S7051)。
【0131】
ユーザは、入力装置1003を介して表示装置1004が表示するネットワーク上において、エリアを統合する信号を送信することができる。
【0132】
例えば入力装置がマウス等のポインティングデバイスである場合、表示装置が表示するネットワーク10011上において、ユーザはエリアa2に属する頂点と、エリアa3に属する頂点をマウスにより選択する。
【0133】
このようなユーザの操作を受けた入力装置の信号を前記装置1001がデータ受信部1021において受信した場合、エリア計算部1111は以下の処理を実行する。
【0134】
まずエリア計算部1111は、管網分割支援装置1001の内部メモリ上に保存されているエリアデータから、エリアa2およびエリアa3に属する頂点一覧V'を取得する。
【0135】
その後にエリア計算部1111は、新たなエリア、例えばエリアa4という行をエリアデータ上に作成し、頂点ID一覧にV'の頂点IDを全て格納する。
【0136】
さらにエリア計算部1111は、新たに作成したエリアa4について前述した(数1)、(数2)、(数3)の制約を満たすか否かの判定する。
【0137】
エリアa4が制約に違反する場合、エリア計算部1111はエリアデータの制約違反一覧の列に違反する制約を示す文字列を格納する。
【0138】
最後に、エリア計算部1111はエリアa2およびエリアa3の行を削除することでエリアを統合する。
【0139】
その後にエリア計算部1111は、S7041で実行したのと同様に、統合後のエリアデータを用いて表示用データを作成し内部メモリへ格納する。
【0140】
すなわち、この時点で管網分割支援装置1001は、エリアa1とエリアa4の2つの行を持つテーブルとしてエリアデータを保持する。
【0141】
もちろん、管網分割支援装置1001が適当な長さの配列を保持しており、その配列に統合した順にエリアデータの履歴を保持するようデータ構造を構成してもよい。
【0142】
データ出力部1031は表示用データを読込み、表示装置1004へ送信する。
【0143】
表示装置1004がS7041の説明と同様にネットワークを表示すると、図12のグラフ12011が表示される。
【0144】
図12の12011は、表示装置1004がエリアa1に属する頂点を丸で、エリアa4に属する頂点を四角で表示する例である。
【0145】
説明上ネットワークのみを表示する例を図示しているが、表示装置1004は統合途中のエリアデータのテーブルを表示してもよい。
【0146】
そのような例は後述の図16において述べる。
【0147】
ユーザは、入力装置1003を介して処理7051を終了する信号を送信することができる。
【0148】
もしデータ受信部1021がそのような信号を受信した場合は、エリア計算部1111が実行するエリア計算機能1111aの処理を終了する。
【0149】
そうでない場合、エリア計算部1111は再度入力装置からの信号を受信する状態に遷移する。ユーザは入力装置1003を介してエリアの統合を継続することができる。
装置1001がこのような処理を実行できることにより、管網の分割に対してユーザの意思を反映することができ、自動計算のみでは考慮しきれない管網構造の場合を含んで設計及び計画することができる。
【0150】
フローチャート6001の説明に戻る。
【0151】
管網分割支援装置1001がS6031を終了すると、データ出力部1031が、内部メモリに保存されたエリアデータを外部記憶媒体にエリアデータ1015として出力する(S6041)。
【0152】
次に管網分割支援装置1001は、分割のための設備および分割後のポンプ吐出圧を計算する(S6051)。
【0153】
(設備運用計算部の処理)
図8のフローチャートは、設備運用計算部1211が実行する最適分割機能1211aの処理フローチャートである。すなわち図8は、図6のS6051の詳細図である。
【0154】
計算部1211が、開始処理8011においてデータ受信部1021が受信した計算条件式データ1032を内部メモリに読み込む。
【0155】
(エリアデータ変形機能の処理)
次に計算部1211が、エリアデータ変形機能1211dを起動して処理8021を実行することで、前記エリア計算部1111が計算し内部メモリに保存したエリアデータを、変形して複数の変形エリアデータを作成する。以下、処理8021について説明する。
【0156】
変形エリアデータの作成は、設備運用計算部1211が、図9のフローチャートに従い処理を実行することで実現される。
【0157】
まず設備運用計算部1211が、計算条件式データ1032が保持するパラメータ1およびパラメータ2の値を取得する。
【0158】
以下、設備運用計算部1211が読み込んだパラメータ1の値をm1、パラメータ2の値をm2として記述する。
【0159】
設備運用計算部1211が処理の繰返し回数としてm1を内部メモリに設定する。計算部1211はS9021から繰返処理を実行する。
【0160】
設備運用計算部1211は、エリアデータを参照し、m2個のエリアを無作為に選択し、すなわちm2個の行を選択し、内部メモリに読み込む(S9031)。ここで計算部1211が読込んだエリアの集合をSm2とする。
【0161】
設備運用計算部1211が、Sm2の要素である各エリアaiに対してS9051およびS9061を実行する(S9051、S9061)。
【0162】
設備運用計算部1211が、まずエリアaiに関する境界辺の集合を取得する(S9051)。
【0163】
エリアaiに関する境界辺とは、内部メモリが保持する辺属性テーブルにおいて、始点がaiの頂点ID一覧に記載されておりかつ終点がaiの頂点ID一覧に記載されていない辺、または終点がaiの頂点一覧に記載されておりかつ始点がaiの頂点一覧に記載されていない辺のいずれかである。
【0164】
さらに設備運用計算部1211が、任意の境界辺の始点または終点のうちエリアaiに属する頂点を1つ選択する。この頂点をjとする。また端点がjである境界辺のもう一方の端点をj'とする。
【0165】
次に設備運用計算部1211は、あるエリアに属する頂点を一つ選び、その頂点が属するエリアを隣接するエリアへ変更することでエリアを変形する処理を実行する(S9061)。
【0166】
具体的には、まず計算部1211が、内部メモリが格納しているエリアデータのコピーを作成する。作成したコピーをエリアデータad'とする。
【0167】
次に設備運用計算部1211がad'上で、頂点jを頂点ID一覧に含む行を選択し、その行の頂点ID一覧からjを削除する。
【0168】
次に設備運用計算部1211がad'上で、頂点j'を頂点ID一覧に含む行を選択し、その行の頂点ID一覧にjを追加する。
【0169】
設備運用計算部1211が、エリアの集合Sm2に含まれる各エリアaiに対してS9051とS9061を実行した後、設備運用計算部1211が、エリアデータad'を内部メモリに保存する(S9071)。
【0170】
設備運用計算部1211が、例えば以上の変形処理を図11のテーブル11011bに記載するエリアデータを対象に処理すると、内部メモリに保存されるテーブルは、例えば図13に記載するテーブル13011cやテーブル13011dとなる。
【0171】
各々のエリアデータに対応して表示装置1004が表示するネットワークは、それぞれネットワーク13011aと13011bの通りであり、元のエリアデータ11011bの頂点ID一覧が変化する。
【0172】
上記の通り設備運用計算部1211が複数のエリアデータを作成することで、類似したエリアではあるが複数通りの分割を考慮できるようになる。これにより、単一のエリアデータのみを生成する場合と比べてライフサイクルコストを低減できる分割を得られる可能性が高くなる。
【0173】
S8021が終了した時点で、管網分割支援装置1001は、エリア計算部1111が実行したS7021において作成したエリアデータおよび、設備運用計算部1211が実行したS8021において作成したm1+1個のエリアデータのコピーを保持している。
【0174】
次に設備運用計算部1211が、この各々のエリアデータに対してS8031から処理8051を実行し、評価指標が最小であるエリアデータを決定する。本実施例においては、一つのエリアデータに対する設備運用計算部1211の処理のみを記載する。
【0175】
設備運用計算部1211が最適化処理を実行する対象のエリアデータをadiとする。
【0176】
設備運用計算部1211はS8031を実行し、境界辺を抽出する処理を実行する。
【0177】
これは設備運用計算部1211が、エリアデータadiが保持する各エリアaiついて、前記処理9051における境界辺の集合を作成する処理と同様の処理を実行して各aiに関する境界辺の集合Seaiを作成することで実行される。
【0178】
次に設備運用計算部1211が各Seaiの和集合を取り辺集合Seadを作成する。
【0179】
図14は、管網分割支援装置1001が、内部メモリに保持するエリアデータに従い計算部1211が辺集合Seadを作成した場合の例である。ネットワーク14011において、辺集合Seadは管路p1、p2、〜、p9から構成される。
【0180】
設備運用計算部1211は辺集合Seadを作成した後、S8041を実行して最適化計算のためのモデルを作成する。以下、S8041について説明する。
【0181】
設備運用計算部1211が、まず設備計算機能1211bを起動してSeadの各辺eiに対して、設置する設備の選択をモデル化する動作を実行する。
【0182】
例えば設備運用計算部1211が、値として0または1を取る変数xeiを作成することでモデル化し、内部メモリへ格納する。
【0183】
ただし設備計算機能1211bの処理フローチャートは割愛する。
【0184】
この変数xeiは、設備運用計算部1211が後述のS9051において変数xeiの値を0と計算する場合は辺eiに閉止バルブを、変数xeiの値を1と計算する場合は流量計を設置することを意味する。
【0185】
さらに設備運用計算部1211が運用計算機能1211cを起動し、ポンプの吐出圧をモデル化する動作を実行する。
【0186】
例えば設備運用計算部1211が、Spmpに含まれる各ポンプpmpiに対して値として実数値を取る変数xpmpiを作成することでモデル化する。
【0187】
設備計算機能1211bと同様に運用計算機能1211cの処理フローチャートは割愛する。
【0188】
例えば設備運用計算部1211が、内部メモリが保持する辺属性テーブルを参照し、種類がポンプである行の集合を取得し内部メモリに保存する。この行の集合をSpmpとする。
【0189】
設備運用計算部1211は、Spmpに含まれる各ポンプpmpiについて、値として実数値を取る変数xpmpiを作成する。
【0190】
さらに設備運用計算部1211は、データ受信部1021が受信した制約条件データから最適化における制約を読込む。
【0191】
制約としては、例えば水圧の上下限値であり、計算部1211は(数4)を制約として内部メモリに保存する。
【0192】
【数4】
ここでjとは管網分割支援装置1001が保持する頂点属性テーブルにおける各管路接続点または各需要家であり、prjはjの地点での水圧である。
【0193】
水圧の計算は、例えば既知の技術である管網計算を、設備運用計算部1211が実行することで算出する。
【0194】
設備運用計算部1211は上記の制約の下で、例えば指標として設備投資コストCCとポンプ運転コストOCの和であるライフサイクルコストLCCを低減する。
【0195】
設備投資コストは流量計および閉止バルブの設置コストの和であり、各々の計算方法は例えば前記データ受信部1021が受信した計算条件式データのテーブル5001に記載してある。具体的には設備投資コストCCは(数5)のように記載できる。
【0196】
【数5】
ここで、c1、c2、c3は流量計の設置コストを計算するための適当な係数であり、c4、c5、c6は閉止バルブの設置コストを計算するための適当な係数である。
【0197】
例として2次式の計算式を用いているが、計算条件式データは定数や1次式、3次以上の式など任意の式を保持できる。
【0198】
また計算部1211はポンプ運転コストOCを、そのポンプの吐出圧およびポンプの流量から算出する。具体的には(数6)に従い算出する。
【0199】
【数6】
ここでhiは、ポンプiの吐出圧であり、設備運用計算部1211が後述のS8051で計算する変数xpmpiと同一の値を持つ。
【0200】
一方、qiはポンプiの吐出圧がhiであるときにポンプiを流れる流量である。この流量は例えば設備運用計算部1211が既知の技術である管網計算を実行することで算出できる。
【0201】
ライフサイクルコストは(数7)の通り記述できる。
【0202】
【数7】
以上より、計算部1211が、目的関数が(数7)であり、制約条件が(数4)の元で、変数xeiおよびxpmpiを最適化するモデルを構築し、内部メモリへ保存する。
【0203】
次に設備運用計算部1211が、S8051において内部メモリに保存された変数xeiおよびxpmpiを対象に、ライフサイクルコストを低減するよう最適化計算を実行する。
【0204】
上記の通り設備運用計算部1211が設備投資コストおよびポンプ運転コストを同時に最適化するモデルを構築することで、双方のバランスを取った分割を得ることができる。
【0205】
S8051では、例えば遺伝的アルゴリズムなどのメタヒューリスティクスや他の組合せ最適化手法を計算部1211が実行することで最適化計算できる。
【0206】
またS8051では、計算部1211が、最適化計算により算出した各xeiおよびxpmpiの値を内部メモリ上へ保存する。
【0207】
フローチャート6001の説明に戻る。
【0208】
設備運用計算部1211が最適分割機能を実行し終えると、管網分割支援装置1001は次にデータ出力部1031にS6061を実行させて計算結果を記録媒体上へ出力する(S6061)。
【0209】
データ出力部1031がまず、設備運用計算部1211が内部メモリへ保存した各変数xeiおよびxpmpiの値を参照し、分割済み辺属性テーブルを構築する。
【0210】
データ出力部1031が、ネットワークデータ1012の辺属性テーブルのコピーを作成し、分割済み辺属性テーブルの原型として内部メモリに保存する。
【0211】
次にデータ出力部1031は、分割済み辺属性テーブルの原型の中から各変数xeiの指す辺iを検出し、開閉状態列の値をxeiの値に従い修正する。
【0212】
すなわち、xeiの値が0であるならばデータ出力部1031が、開閉状態列の値を閉と設定し、xeiの値が1であるならばデータ出力部が開閉状態列の値を流と設定する。
【0213】
続いてデータ出力部1031が、分割済み辺属性テーブルの原型の中から各変数xpmpiの指す辺iを検出し吐出圧列の値をxpmpiの値に設定する。
【0214】
例えばデータ出力部1031が、図18のテーブル18001のような形式で分割済み辺属性テーブルを構築する。
【0215】
さらにネットワークデータ1012の頂点属性テーブル2001のコピーを作成し、分割済み頂点属性テーブルとして内部メモリに保存する。
【0216】
続いてデータ出力部1031が、以上の分割済み頂点属性テーブルおよび分割済み辺属性テーブルを分割済みネットワークデータ1025として記録媒体へ出力する。
【0217】
最後に管網分割支援装置1001は、表示装置1004がこれまでの計算結果を表示するよう動作させる(S6071)。計算結果とは、例えばネットワークとネットワークデータと分割済みネットワークデータである。
【0218】
そのために管網分割支援装置1001は、データ出力部1031を通じて表示装置1004に対してエリアデータおよび分割済みネットワークデータを送信する。
【0219】
分割済みネットワークデータを受信した表示装置1004が、これまでの処理と同様に表示画面上へネットワークを表示する。
【0220】
ただし、表示装置1004は、開閉状態列の値が閉である辺は例えば三角形2つと線を組合せた閉止バルブを示す記号で、開閉状態列の値が流である辺は例えば丸とMと線を組合せた流量計を示す記号で表示する。
【0221】
図15の分割済みネットワーク15021は、表示装置1004が分割済みネットワークデータの内容を画面上へ表示する例である。
【0222】
前記の通り記号を組合せて表示しており、流量計が設置された管路を便宜上m1、m2として、閉止バルブが設置された管路を便宜上v1、v2、〜、v7として表示する。
【0223】
さらに表示装置1004は全体の画面として、図16に示す画面16001を表示する。
【0224】
加えて管網分割支援装置1001は入力装置1003からの信号を受信するまで待機する状態に遷移する。
【0225】
表示装置1004が表示する画面16001は、例えば最初に入力されたネットワークデータ1012のネットワークを表示する領域16011と、エリア計算部1111または設備運用計算部1211が作成したエリアデータを表示する領域16021と、分割済みネットワークおよび指標を表示する領域16031から構成される。
【0226】
例えば表示装置1004は領域16011にネットワークのみを表示する。
【0227】
また表示装置1004が領域16021において、ここまでの処理で管網分割支援装置1001が作成したエリアデータおよび表示するエリアデータを選択するボタン16221と16321を備える。
【0228】
ユーザが入力装置1003を通じてボタン16221または16321を選択する信号を送信することで、その信号を受信したデータ受信部1021がデータ出力部1031を通じて表示装置1004へ表示するエリアデータを選択するよう信号を送信する。
【0229】
そのような信号を受信した表示装置1004が、受信した信号に応じて領域16421上および領域16121に表示するエリアデータおよびネットワークを変更する。
【0230】
さらに表示装置1004が、領域16031に分割済みネットワークデータを前記の説明と同様に領域16131に表示する。
【0231】
表示装置1004が領域16131に表示するネットワークは、表示装置1004が前記領域16121に表示するネットワークと連動して変化する。すなわち、領域16121に表示するネットワークを対象に設備運用計算部1211が最適分割機能1211aを実行して生成する分割済みネットワークデータを元に、表示装置1004が領域16131にネットワークを表示する。
【0232】
最後に表示装置1004が、(数5)と(数6)を用いて分割済みネットワークデータにおける指標である各コストを計算し、領域16231に例えば棒グラフの形で表示する。
【0233】
このように表示することで、管網分割支援装置1001が生成した各分割について、ユーザが分割毎の特徴を知ることができるようになる。そのため管網分割の設計、計画立案においてユーザを支援することができ、よりコストの小さい分割や、管網の実世界での状況を考慮した分割を生成することができるようになる。
【実施例2】
【0234】
以降、第二の実施例について記載する。
【0235】
本実施例は、実施例1で説明した設備運用計算部1211が実行する運用計算機能1211cの処理において、ポンプの吐出圧をモデル化する代わりに、または追加の処理として、制御バルブの設定値をモデル化する動作を実行するものである。他の処理は、実施例1と同様であるため、説明は省略する。
【0236】
例えば設備運用計算部1211が、内部メモリが保持する辺属性テーブルを参照し、種類が制御バルブのいずれかである行の集合を取得し内部メモリに保存する。この行の集合をSvlvとする。
【0237】
さらに設備運用計算部1211が、Svlvに含まれる各制御バルブvlviに対して値として実数値を取る
変数xvlviを作成することでモデル化する。
【0238】
このような動作を設備運用計算部1211が実行することにより、過剰水圧や流量を抑制しながら管網を分割できる。
【符号の説明】
【0239】
1001 管網分割支援装置
1111 エリア計算部
1211 設備運用計算部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18
図19