【解決手段】複数の窓サッシのうちの隣り合う第一窓サッシ30の第一縦枠34と第二窓サッシ40の第二縦枠44とが、該第一縦枠34の第一開口側脚部36と該第二縦枠44の第二開口側脚部46が前記横方向において対向するように配置され、その間に方立50が介装されている連窓10であって、前記方立50は、前記第一縦枠34に設けられた第一C型断面部35の内部に入り込んだ中空形状の本体部52であって、前記内部において該本体部52は前記横方向における挿入側の端と前記第一C型断面部35の非開口側部分35aとの間に隙間を有し、該本体部52の前記横方向における挿入側とは反対側に形成され、前記第二縦枠44に設けられた第二C型断面部45の内部において該第二縦枠44に係止固定された一対の外向き片56とを有することを特徴とする。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
従来の連窓においては、以下の課題があった。第一に、方立は窓サッシの縦枠同士を連結する役割を果たすものであるから、方立には強度が要求されるが、従来の連窓においては、この強度が不十分である場合があった。
【0006】
第二に、従来の連窓においては、横方向において互いに対向する前記第一開口側脚部と前記第二開口側脚部との間に方立の一部が物理的に存在していた。そのため、連窓の横幅調整の際に、第一窓サッシを第二窓サッシに近づけて横幅を小さくしようとしたときに、互いに近づく第一開口側脚部及び第二開口側脚部が前記方立の一部に干渉してしまい、方立部分の横幅(見付け寸法)をあまり小さくできないという不具合があった。
【0007】
第三に、従来の連窓においては、見込み方向における縦枠の外側に、方立が露出していた。すなわち、見込み方向における縦枠の最も室内側の端よりもさらに室内側に方立が位置していたり、見込み方向における縦枠の最も室外側の端よりもさらに室外側に方立が位置していたりしていた。そのため、当該はみ出した方立により、連窓の外観がシンプルでなくあまり美しくないものとなっていた。
【0008】
本発明は、かかる課題に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、方立の強度が高く、横幅が小さくかつ外観がシンプルな連窓を実現することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
かかる目的を達成するために本発明の連窓は、一対の開口側脚部を備えたC型断面部が設けられた縦枠を有し、横方向に連続して形成される複数の窓サッシを備え、
前記複数の窓サッシのうちの隣り合う第一窓サッシの第一縦枠と第二窓サッシの第二縦枠とが、該第一縦枠の第一開口側脚部と該第二縦枠の第二開口側脚部が前記横方向において対向するように配置され、
前記第一縦枠と前記第二縦枠との間に方立が介装されている連窓であって、
前記方立は、
一対の前記第一開口側脚部間に挿入されることにより、前記第一縦枠に設けられた第一C型断面部の内部に入り込んだ中空形状の本体部であって、前記内部において該本体部の前記横方向における挿入側の端と前記第一C型断面部の非開口側部分との間に隙間を有する本体部と、
該本体部の前記横方向における挿入側とは反対側に形成され、前記第二縦枠に設けられた第二C型断面部の内部において該第二縦枠に係止固定された一対の外向き片と、
を有することを特徴とする連窓である。
【0010】
このような連窓によれば、方立が中空形状の本体部を備えているので、方立の強度を向上させることが可能となる。また、連窓の横幅調整の際に、第一窓サッシを第二窓サッシに近づけて横幅を小さくしようとしたときに、互いに近づく第一開口側脚部及び第二開口側脚部が方立の一部に干渉することが回避され、かつ、横幅を小さくできるような構成上の工夫が成されている。また、方立をC型断面部の内部になるべく収めて連窓の外観を従来よりもシンプルにするような構成上の工夫が成されている。そのため、方立の強度が高く、横幅が小さくかつ外観がシンプルな連窓を実現することが可能となる。
【0011】
かかる連窓であって、前記方立は、前記横方向に前記第二C型断面部に向かって延出し、延出先が該第二C型断面部の非開口側部分に当接する延出部を備え、
前記外向き片は、前記横方向と交差する交差外方向に突出しており、
前記第二縦枠は、前記交差外方向と逆向きの交差内方向に突出した第二内向き片を備えており、
前記外向き片が前記第二内向き片よりも前記延出先側に位置した状態で該第二内向き片に引っ掛かることにより、前記方立が前記第二縦枠に嵌められていることが望ましい。
【0012】
このような連窓によれば、ビスの数を減らしたり目板や目板カバーを省略したりすることが可能となり、部品点数を減らすことができる。
【0013】
かかる連窓であって、前記第二内向き片は、前記第二開口側脚部よりも前記横方向において前記延出先側に位置し、
前記第二内向き片と前記第二開口側脚部との間に乾式止水材が設けられていることが望ましい。
【0014】
このような連窓によれば、第二内向き片に二種類の機能(外向き片を引っ掛けるための機能と、乾式止水材を設けるための機能)を持たせることにより、効率的な構成を備えた連窓が実現される。さらに、このことにより、湿式止水材ではなく、乾式止水材を用いることができ、外壁へのシーリング材の汚れ等を抑えることが可能となる。
【0015】
かかる連窓であって、前記第一縦枠は、前記横方向と交差する交差内方向に突出した第一内向き片を備えており、
前記第一内向き片と前記第一開口側脚部との間に乾式止水材が設けられていることが望ましい。
【0016】
このような連窓によれば、止水機能が向上することとなる。
【発明の効果】
【0017】
本発明によれば、方立の強度が高く、横幅が小さくかつ外観がシンプルな連窓を実現することが可能となる。
【発明を実施するための形態】
【0019】
===本実施の形態に係る連窓10について===
本実施の形態に係る連窓10について、
図1乃至
図4を用いて説明する。
図1は、連窓10の横方向における中央部付近を示した横断面図である。
図2は、連窓10の縦断面図である。
図3は、連窓10の正面概念図である。
図4は、連窓10の横方向における端部付近を示した横断面図である。
【0020】
なお、以下の説明においては、連窓10を室内側から見たときに、上下となる方向を上下方向、左右となる左右方向を横方向、室内外方向である奥行き方向を見込み方向として示す。
【0021】
連窓10は、窓サッシ20が連なったものである。本実施の形態に係る連窓10は、横方向に窓サッシ20が連なった所謂横連窓である。なお、横方向に連なる窓サッシ20の数は、二以上(複数)であり、その数に特に制限はないが、以下では、説明を簡便にするために、二つの窓サッシ20(第一窓サッシ30及び第二窓サッシ40)を備えた連窓10を例に挙げて説明する。
【0022】
連窓10は、横方向に連続して形成される複数(本実施の形態においては、二つ)の窓サッシ20と、方立50と、乾式止水材70と、を有している。なお、本実施の形態においては、左右方向における左側の窓サッシ20を第一窓サッシ30、右側の窓サッシ20を第二窓サッシ40とする。
【0023】
窓サッシ20は、枠体22と障子26とを有している。枠体22は、上枠23と下枠24と左右の(二つの)縦枠25とを備えている。そして、枠体22は、これら4つの枠体が矩形状に枠組みされて、全体として開口(枠体開口)を形成している。上枠23と下枠24は、左右方向(横方向)に延びた長尺状の部材であり、縦枠25は、上下方向に延びた長尺状の部材である。障子26は、枠体22により形成された前記枠体開口に収容される部材であり、ガラス26aを備えている。
【0024】
また、連窓10は、躯体80により形成された開口(躯体開口)に設けられている。したがって、連窓10の外側に位置する枠体22(本実施の形態においては、
図3に示すように、第一窓サッシ30及び第二窓サッシ40の上枠23と、第一窓サッシ30及び第二窓サッシ40の下枠24と、第一窓サッシ30の外側(左側)の縦枠25(第一外縦枠32と呼ぶ)と第二窓サッシ40の外側(右側)の縦枠25(第二外縦枠42と呼ぶ))は、鉄筋コンクリート製の躯体80と対向している。そして、これらの外側に位置する枠体22(以下、便宜上、外枠体22aと呼ぶ)は、躯体80に連結(固定)されている。
【0025】
すなわち、
図2及び
図4に示すように、外枠体22aにはブラケット74が設けられている。そして、躯体80に設けられた差筋アンカー75にこのブラケット74が溶接されることにより、連窓10(窓サッシ20)が躯体80に連結され、位置決めされている。なお、
図2には、上枠23及び下枠24が躯体80に連結された様子が示されている。また、
図4には、第一外縦枠32が躯体80に連結された様子が示されている(第二外縦枠42が躯体80に連結された様子は図示していないが、第一外縦枠32の例と同様である)。
【0026】
一方で、連窓10の内側に位置する内枠体22b(本実施の形態においては、
図3に示すように、第一窓サッシ30の内側(右側)の縦枠25である第一内縦枠34と第二窓サッシ40の内側(左側)の縦枠25である第二内縦枠44。第一内縦枠34及び第二内縦枠44は、それぞれ第一縦枠及び第二縦枠に相当)は、それぞれが躯体80とは対向しておらず、双方の内枠体22b(縦枠25)が互いに対向している。
【0027】
すなわち、第一内縦枠34は及び第二内縦枠44は、横断面(換言すれば、面外方向が上下方向に沿った断面)においてC型を備えるC型断面部(第一内縦枠34に設けられた第一C型断面部35及び第二内縦枠44に設けられた第二C型断面部45)を有している(本実施の形態においては、第一内縦枠34全体(第二内縦枠44全体)が第一C型断面部35(第二C型断面部45)となっている)。そして、第一窓サッシ30の第一内縦枠34と第二窓サッシ40の第二内縦枠44が、第一内縦枠34の第一C型断面部35の一部分である第一開口側脚部36と第二内縦枠44の第二C型断面部45の一部分である第二開口側脚部46が横方向において対向するように、配置されている。
【0028】
縦枠25の横断面について、
図1を参照しつつ、さらに詳しく説明する。本実施の形態に係る第一C型断面部35は、矩形のC型形状を有し、横方向における右側(第二C型断面部45に近い側)に開口を備えている。第一C型断面部35には、当該開口が入り口となる内部空間が形成されている。そして、第一C型断面部35は、この開口を挟んで当該開口よりも見込み方向において室外側と室内側にそれぞれ位置し、見込み方向に沿った一対の第一開口側脚部36(第一室外側脚部36a及び第一室内側脚部36b)と、当該第一開口側脚部36よりも左側(第二C型断面部45から遠い側)に設けられ、見込み方向に沿った第一非開口側部分35aと、を備えている。さらに、第一C型断面部35は、第一室外側脚部36aと第一非開口側部分35aとを連結し、室外側に露出した状態で横方向に沿った第一室外側連結部分35bと、第一室内側脚部36bと第一非開口側部分35aとを連結し、室内側に露出した状態で横方向に沿った第一室内側連結部分35cと、を備えている。
【0029】
一方、第二C型断面部45も、第一C型断面部35と同様の構成を備えているが、開口の向きが異なっている。すなわち、本実施の形態に係る第二C型断面部45は、矩形のC型形状を有し、横方向における左側(第一C型断面部35に近い側)に開口を備えている。そして、第二C型断面部45と第一C型断面部35は、互いに線対称な位置関係にある。
【0030】
第二C型断面部45には、当該開口が入り口となる内部空間が形成されている。そして、第二C型断面部45は、この開口を挟んで当該開口よりも見込み方向において室外側と室内側にそれぞれ位置し、見込み方向に沿った一対の第二開口側脚部46(第二室外側脚部46a及び第二室内側脚部46b)と、当該第二開口側脚部46よりも右側(第一C型断面部35から遠い側)に設けられ、見込み方向に沿った第二非開口側部分45aと、を備えている。さらに、第二C型断面部45は、第二室外側脚部46aと第二非開口側部分45aとを連結し、室外側に露出した状態で横方向に沿った第二室外側連結部分45bと、第二室内側脚部46bと第二非開口側部分45aとを連結し、室内側に露出した状態で横方向に沿った第二室内側連結部分45cと、を備えている。
【0031】
そして、第一室外側脚部36aと第二室外側脚部46aの見込み方向における位置が一致した状態で、第一室外側脚部36aと第二室外側脚部46aが対向し、また、第一室内側脚部36bと第二室内側脚部46bの見込み方向における位置が一致した状態で、第一室内側脚部36bと第二室内側脚部46bが対向している。
【0032】
また、内縦枠は、室外側連結部分の非端部から交差内方向(つまり、横方向と交差する交差方向(すなわち、見込み方向)かつ内側へ向かう方向)に突出した突出片を備えている。すなわち、第一内縦枠34は、第一室外側連結部分35bの非端部から交差内方向に突出した第一内縦枠突出片37(第一内向き片に相当)を備えている。また、第二内縦枠44は、第二室外側連結部分45bの非端部から交差内方向に突出した第二内縦枠突出片47(第二内向き片に相当)を備えている。双方の突出片は、後述する乾式止水材70を支持する役割を果たす。また、第二内縦枠突出片47は、方立50を第二内縦枠44に嵌める役割を果たす。なお、本実施の形態においては、突出片の先端が鉤状に曲がっている。また、これらの突出片の詳細については、後述する。
【0033】
方立50は、隣り合う窓サッシ20(本実施の形態においては、第一窓サッシ30と第二窓サッシ40)を連結するためのものである。この方立50は、第一窓サッシ30の第一内縦枠34(第一C型断面部35)と第二窓サッシ40の第二内縦枠44(第二C型断面部45)との間に介装されている。なお、方立50は、第二内縦枠44には固定されているが、第一内縦枠34には固定されていない(詳細については、後述する)。
【0034】
方立50は、本体部52と、方立突出片56(外向き片に相当)と、方立延出部60(延出部に相当)と、を備えている。以下、方立50の横断面について、
図1を参照しつつ、詳しく説明する。
【0035】
本体部52は、横方向において最も左側(第一C型断面部35側)に位置し、見込み方向に沿った左側部52aと、当該左側部52aの両端から右側(第二C型断面部45側)へ延び、横方向に沿った室外側部52b及び室内側部52cと、両端が室外側部52b及び室内側部52c(本実施の形態においては、室外側部52b及び室内側部52cの非端部)と繋がり、見込み方向に沿った右側部52dと、を有している。したがって、当該本体部52は、左側部52a、室外側部52b、室内側部52c、右側部52dに囲まれた部分に中空部を備えている。すなわち、本体部52は、中空形状を有している。
【0036】
この本体部52は、一対の第一開口側脚部36間(第一室外側脚部36aと第一室内側脚部36bとの間。つまり、第一C型断面部35の前述した開口)に挿入されることにより、第一C型断面部35の内部(前記内部空間)に入り込んでいる。また、当該内部において当該本体部52の横方向における挿入側の端(つまり、前記左側部52a)と第一C型断面部35の第一非開口側部分35aとの間に隙間Gを有している。
【0037】
そして、方立50(本体部52)と第一内縦枠34(第一C型断面部35)は、このような位置関係で互いに固定されず、連窓10の施工作業中に方立50と第一内縦枠34の相対位置を横方向に変更することができるようになっている。
【0038】
すなわち、連窓10を施工する際には、先ず、方立50を第二窓サッシ40に固定して双方を一体化し、かつ、方立50の本体部52を第一窓サッシ30の一対の第一開口側脚部36間に挿入させた状態で、第一窓サッシ30と一体化部材(方立50及び第二窓サッシ40)とを前述した躯体80の躯体開口に収める。そして、躯体開口の横方向における開口幅に連窓10の横幅(つまり、第一窓サッシ30の左端から第二窓サッシ40の右端までの幅)が合うように、当該横幅の調整を行う。すなわち、躯体開口の当該開口幅は、設計値から誤差分狭かったり広かったりする可能性がある。そして、連窓10の横幅の調整により、この誤差分を吸収することができる。
【0039】
そして、当該横幅調整は、第一窓サッシ30と一体化部材とが躯体開口に収まった状態で、本体部52を第一開口側脚部36間の開口に対し横方向に相対移動させて、挿入深さ(つまり、一対の第一開口側脚部36間に本体部52がどれだけ深く挿入されているか、換言すれば、第一C型断面部35の内部に本体部52がどれだけ深く入り込んでいるか)を調整することにより実現される。横幅調整が完了すると、差筋アンカー75とブラケット74の溶接により、第一窓サッシ30と一体化部材の第二窓サッシ40がそれぞれ躯体80に連結され、位置決めされる。なお、位置決め完了後(溶接後)には、前述した本体部52の相対移動(相対位置の変更)は不可能となる。
【0040】
このように、方立50と第一内縦枠34(第一C型断面部35)は、連窓10の横幅調整のために、固定がされないようになっている。一方で、前述したとおり、方立50と第二内縦枠44(第二C型断面部45)は、固定が成されている。本実施の形態において、この固定は二種類の方法で行われている。すなわち、以下で説明するように、室外側と室内側とでは、異なる方法で固定が行われている。
【0041】
方立突出片56は、方立50を第二内縦枠44に固定するために方立50に形成された部分であり、本実施の形態においては、二つの方立突出片56(室外側方立突出片57及び室内側方立突出片58と呼ぶ)が設けられている。これらの方立突出片56は、いずれも、本体部52の横方向における挿入側とは反対側に形成され、かつ、本体部52から交差外方向(つまり、横方向と交差する交差方向(すなわち、見込み方向)かつ外側へ向かう方向)に突出している。
【0042】
室内側方立突出片58は、本体部52の室内側部52cの最も右側(第二C型断面部45側)に位置する右端から交差外方向(つまり、見込み方向において室外側から室内側へ向かう方向)に突出している。また、室内側部52cが第二C型断面部45の内部(前記内部空間)に入り込んでいるため、室内側方立突出片58も当該内部に入り込んでいる。そして、当該内部において第二内縦枠44に係止固定されている。具体的には、室内側方立突出片58は、第二C型断面部45の第二室内側脚部46bよりも右側において第二室内側脚部46bと接触した状態で、第二室内側脚部46bにビス止めされている(
図1においては、細線でビス止めを表している)。
【0043】
室外側方立突出片57は、本体部52の室外側部52bの最も右側(第二C型断面部45側)に位置する右端から交差外方向(つまり、見込み方向において室内側から室外側へ向かう方向)に突出している。また、室外側部52bが第二C型断面部45の内部(前記内部空間)に入り込んでいるため、室外側方立突出片57も当該内部に入り込んでいる。そして、当該内部において第二内縦枠44に係止固定されている。
【0044】
室外側方立突出片57の第二内縦枠44への係止固定は、室内側方立突出片58のようなビス止めによる係止固定ではなく、後述する方立延出部60との協働により引っ掛け形状が形成されることにより実現されている。
【0045】
方立延出部60は、本体部52の室外側部52bの最も右側(第二C型断面部45側)に位置する右端から、横方向に第二C型断面部45に向かって延出している。そして、その延出先が第二C型断面部45の第二非開口側部分45aに当接している。一方で、室外側方立突出片57は、第二C型断面部45の第二内縦枠突出片47よりも右側(延出先側)において第二内縦枠突出片47と隣り合っている。そして、方立延出部60が第二非開口側部分45aに当接していることにより、室外側方立突出片57が第二内縦枠突出片47よりも延出先側に位置した状態で当該第二内縦枠突出片47に引っ掛かるようになっている。このことにより、方立延出部60及び室外側方立突出片57が、第二内縦枠44に引っ掛けられ、かつ、嵌められている。
【0046】
乾式止水材70は、室外側からの水の浸入を止める止水機能を有する室外側に設置された部材であり、本実施の形態においては、ガスケットが用いられている。この乾式止水材70は、矩形の横断面形状を備えている(
図1参照)。本実施の形態においては、二つの乾式止水材70(第一乾式止水材71及び第二乾式止水材72と呼ぶ)が設けられており、第一乾式止水材71及び第二乾式止水材72は、それぞれ第一C型断面部35の内部と第二C型断面部45の内部に備えられている。
【0047】
第一乾式止水材71は、第一開口側脚部36(第一室外側脚部36a)と、当該第一開口側脚部36(第一室外側脚部36a)よりも横方向において左側に位置する第一内縦枠突出片37と、の間に設けられている。そして、横方向において第一室外側脚部36aと第一内縦枠突出片37とに挟まれることにより双方の部材により支持されている。また、第一乾式止水材71は、見込み方向においては、第一室外側連結部分35bと方立50の室外側部52bとの間に設けられており、見込み方向において第一室外側連結部分35bと室外側部52bとに挟まれることにより双方の部材により支持されている。
【0048】
第二乾式止水材72は、第二開口側脚部46(第二室外側脚部46a)と、当該第二開口側脚部46(第二室外側脚部46a)よりも横方向において右側(延出先側)に位置する第二内縦枠突出片47と、の間に設けられている。そして、横方向において第二室外側脚部46aと第二内縦枠突出片47とに挟まれることにより双方の部材により支持されている。また、第二乾式止水材72は、見込み方向においては、第二室外側連結部分45bと方立50の室外側部52bとの間に設けられており、見込み方向において第二室外側連結部分45bと室外側部52bとに挟まれることにより双方の部材により支持されている。
【0049】
===本実施の形態に係る連窓10の有効性について===
上述したとおり、本実施の形態に係る連窓10は、一対の開口側脚部を備えたC型断面部が設けられた縦枠25を有し、横方向に連続して形成される複数の窓サッシ20を備え、前記複数の窓サッシ20のうちの第一窓サッシ30の第一内縦枠34と第二窓サッシ40の第二内縦枠44が、該第一内縦枠34の第一開口側脚部36と該第二内縦枠44の第二開口側脚部46が横方向において対向するように配置され、第一内縦枠34と第二内縦枠44との間に方立50が介装されている。
【0050】
そして、方立50は、一対の第一開口側脚部36間に挿入されることにより、第一内縦枠34に設けられた第一C型断面部35の内部に入り込んだ中空形状の本体部52であって、前記内部において該本体部52の横方向における挿入側の端(左側部52a)と第一C型断面部35の第一非開口側部分35aとの間に隙間Gを有する本体部52と、該本体部52の横方向における挿入側とは反対側に形成され、第二内縦枠44に設けられた第二C型断面部45の内部において該第二内縦枠44に係止固定された一対の方立突出片56と、を有している。そのため、方立50の強度が高く、横幅が小さくかつ外観がシンプルな連窓10を実現することが可能となる。
【0051】
すなわち、上述したとおり、方立は窓サッシの縦枠同士を連結する役割を果たすものであるから、方立には強度が要求されるが、従来の連窓においては、この強度が不十分である場合があった。これに対し、本実施の形態においては、
図1に示したように、方立50が、中空形状の本体部52を備えているので、方立50の強度を向上させることが可能となる。
【0052】
また、従来の連窓においては、横方向において互いに対向する第一開口側脚部と第二開口側脚部との間に方立の一部が物理的に存在していた。そのため、連窓の横幅調整の際に、第一窓サッシを第二窓サッシに近づけて横幅を小さくしようとしたときに、互いに近づく第一開口側脚部及び第二開口側脚部が方立の一部に干渉してしまい、横幅をあまり小さくできないという不具合があった。
【0053】
これに対し、本実施の形態においては、
図1に示したように、本体部52が、第一内縦枠34に設けられた第一C型断面部35の内部に入り込んでいる。さらに、当該内部において本体部52の横方向における挿入側の端(左側部52a)と第一C型断面部35の第一非開口側部分35aとの間に隙間Gが設けられている。また、一対の方立突出片56も第二C型断面部45の内部において第二内縦枠44に係止固定されている。このように、本実施の形態においては、連窓10の横幅調整の際に、第一窓サッシ30を第二窓サッシ40に近づけて横幅を小さくしようとしたときに、互いに近づく第一開口側脚部36及び第二開口側脚部46が方立50の一部に干渉することが回避され、かつ、横幅を小さくできるような構成上の工夫が成されている。
【0054】
また、従来の連窓においては、見込み方向における縦枠の外側に、方立が露出していた。すなわち、見込み方向における縦枠の最も室内側の端よりもさらに室内側に方立が位置していたり、見込み方向における縦枠の最も室外側の端よりもさらに室外側に方立が位置していたりしていた。そのため、当該はみ出した方立により、連窓の外観がシンプルでなくあまり美しくないものとなっていた。
【0055】
これに対し、本実施の形態においては、
図1に示したように、本体部52が、第一内縦枠34に設けられた第一C型断面部35の内部に入り込んでいる。さらに、一対の方立突出片56も、第二C型断面部45の内部において第二内縦枠44に係止固定されている。このように、本実施の形態においては、方立50をC型断面部の内部になるべく収めて連窓10の外観を従来よりもシンプルにするような構成上の工夫が成されている。
【0056】
以上のことから、本実施の形態によれば、方立50の強度が高く、横幅が小さくかつ外観がシンプルな連窓10を実現することが可能となる。
【0057】
===その他の実施の形態===
上記の実施の形態は、本発明の理解を容易にするためのものであり、本発明を限定して解釈するためのものではない。本発明は、その趣旨を逸脱することなく、変更、改良され得ると共に、本発明にはその等価物が含まれることは言うまでもない。特に、以下に述べる実施形態であっても、本発明に含まれるものである。
【0058】
上記実施の形態に係る連窓10においては、横方向に連なる窓サッシ20の数が二つのみであることとしたが、これに限定されるものではなく、三以上の窓サッシ20が連なっていることとしてもよい。そして、この場合には、隣り合う窓サッシ20の間には、それぞれ上述した方立50が介装されることとなる。ただし、隣り合う窓サッシ20の間全てに、上述した方立50が介装されることが必ず必要というわけではない(例えば、一部に従来の方立が介装されていてもよい)。
【0059】
また、上記実施の形態において、方立50は、横方向に第二C型断面部45に向かって延出し、延出先が該第二C型断面部45の第二非開口側部分45aに当接する方立延出部60を備え、方立突出片56は、横方向と交差する交差外方向に突出しており、第二内縦枠44は、前記交差外方向と逆向きの交差内方向に突出した第二内縦枠突出片47を備えており、方立突出片56が第二内縦枠突出片47よりも前記延出先側に位置した状態で該第二内縦枠突出片47に引っ掛かることにより、方立50が第二内縦枠44に嵌められていることとした。すなわち、方立突出片56と方立延出部60により形成された引っ掛け形状により、方立50が第二内縦枠44に引っ掛けられ、かつ、嵌められていることとした。
【0060】
しかしながら、これに限定されるものではなく、このような引っ掛け形状が連窓10に形成されていないこととしてもよい。
【0061】
図5に、このような引っ掛け形状が連窓10に形成されていない例を示す。
図5は、第二実施形態に係る連窓10の横方向における中央部付近を示した横断面図である。第二実施形態においては、上記実施の形態(以下、第一実施形態とも呼ぶ)と同様、室内側方立突出片58は、第二開口側脚部46(第二室内側脚部46b)にビス止めされている。一方で、第一実施形態とは異なり、室内側方立突出片58だけでなく、室外側方立突出片57も、第二開口側脚部46(第二室外側脚部46a)にビス止めされている。なお、第一実施形態の方立延出部60に対応した部材は、第二実施形態においては設けられていない。
【0062】
すなわち、室外側方立突出片57は、本体部52の室外側部52bの最も右側(第二C型断面部45側)に位置する右端から交差外方向(つまり、見込み方向において室内側から室外側へ向かう方向)に突出している。また、室外側部52bが第二C型断面部45の内部(前記内部空間)に入り込んでいるため、室外側方立突出片57も当該内部に入り込んでいる。そして、当該内部において第二内縦枠44に係止固定されている。具体的には、室外側方立突出片57は、第二C型断面部45の第二室外側脚部46aよりも右側において第二室外側脚部46aと接触した状態で、第二室外側脚部46aにビス止めされている(
図5においては、細線でビス止めを表している)。
【0063】
ただし、方立突出片56と方立延出部60による引っ掛け形状が方立50に設けられている第一実施形態の方が以下の点で望ましい。すなわち、第二実施形態と比べて、ビスの数を減らすことが可能となる(部品点数を減らすことが可能となる)。また、引っ掛け形状による固定はビス止めによる固定よりも強い係止固定となるため、以下に説明する目板102と目板カバー104の設置を省略することが可能となる。
【0064】
すなわち、第二実施形態においては、窓サッシ20の連結を補強するために、目板102が設けられている。この目板102は、第一内縦枠34及び第二内縦枠44よりも室内側に位置した状態で、第一内縦枠34及び第二内縦枠44(具体的には、第一C型断面部35の第一室内側連結部分35c及び第二C型断面部45の第二室内側連結部分45c)と接触している。そして、かかる接触状態で、目板102は、第一室内側連結部分35c及び第二室内側連結部分45cの双方に各1箇所で、ビス止めされている(
図5においては、細線でビス止めを表している)。また、目板102よりもさらに室内側には、目板102を隠して(露出させないようにして)見栄えを向上させるために、目板カバー104が嵌着されている。
【0065】
このように、第二実施形態においては、目板102と目板カバー104が必要となるが、第一実施形態においては、引っ掛け形状の導入により、このような部材を省略することが可能となる(部品点数を減らすことが可能となる)。
【0066】
また、第一実施形態において、第二内縦枠突出片47は、第二開口側脚部46(第二室外側脚部46a)よりも横方向において前記延出先側に位置し、第二内縦枠突出片47と第二開口側脚部46(第二室外側脚部46a)との間に乾式止水材70(第二乾式止水材72)が設けられていることとした。しかしながら、これに限定されず、例えば、乾式止水材70を設けずに、代わりに、湿式止水材112を設けるようにしてもよい。
【0067】
図6に、湿式止水材112が連窓10に設けられた例を示す。
図6は、第三実施形態に係る連窓10の横方向における中央部付近を示した横断面図である。
【0068】
湿式止水材112は、室外側からの水の浸入を止める止水機能を有する室外側に設置された部材であり、第三実施形態においては、シーリング材が用いられている。この湿式止水材112は、固化後には、矩形の横断面形状を備える(
図6参照)。第三実施形態においては、湿式止水材112が第一C型断面部35と第二C型断面部45の間(具体的には、第一室外側脚部36aと第二室外側脚部46aとの間)に設けられている。
【0069】
ただし、第一実施形態の方が、以下の点で望ましい。第一実施形態においては、引っ掛け形状を構成するために、方立突出片56(室外側方立突出片57)を引っ掛けるための第二内縦枠突出片47が設けられているが、この第二内縦枠突出片47を、乾式止水材70を設ける(支持する)ための部材としても使用している。すなわち、第一実施形態においては、第二内縦枠突出片47に二種類の機能を持たせることにより、効率的な構成を備えた連窓10が実現される。さらに、このことにより、湿式止水材112ではなく、乾式止水材70を用いることができ、外壁へのシーリング材の汚れ等を抑えることが可能となる。
【0070】
また、第一実施形態において、第一内縦枠34は、横方向と交差する交差内方向に突出した第一内縦枠突出片37を備えており、第一内縦枠突出片37と第一開口側脚部36(第一室外側脚部36a)との間に乾式止水材70(第一乾式止水材71)が設けられていることとした。すなわち、第一実施形態においては、(第二内縦枠突出片47とは異なり、単一機能であるが)第一内縦枠突出片37を設置し、第二乾式止水材72のみならず第一乾式止水材71も設けることとした、しかしながら、これに限定されるものではなく、第二乾式止水材72のみが設けられている実施形態が排除されるものではない。ただし、止水機能が向上する点で第一実施形態の方が望ましい。
【0071】
なお、第三実施形態においても、第一実施形態と同様、方立突出片56と方立延出部60による引っ掛け形状が方立50に設けられているが、以下の点で第一実施形態とは異なっている。
【0072】
すなわち、第一実施形態においては、引っ掛け形状が室外側に設けられているのに対し、第三実施形態においては、引っ掛け形状が室内側に設けられている。また、第一実施形態においては、方立突出片56が第二内縦枠突出片47に引っ掛かるようになっているのに対し、第三実施形態においては、方立突出片56が第二開口側脚部46(第二内向き片に相当)に引っ掛かるようになっている。
【0073】
具体的には、方立突出片56(室内側方立突出片58)は、本体部52の室内側部52cの最も右側(第二C型断面部45側)に位置する右端から交差外方向(つまり、見込み方向において室外側から室内側へ向かう方向)に突出している。また、室内側部52cが第二C型断面部45の内部(前記内部空間)に入り込んでいるため、室内側方立突出片58も当該内部に入り込んでいる。そして、当該内部において第二内縦枠44に係止固定されている。
【0074】
室内側方立突出片58の第二内縦枠44への係止固定は、方立延出部60との協働により引っ掛け形状が形成されることにより実現されている。方立延出部60は、本体部52の室内側部52cの最も右側(第二C型断面部45側)に位置する右端から、横方向に第二C型断面部45に向かって延出している。そして、その延出先が第二C型断面部45の第二非開口側部分45aに当接している。一方で、室内側方立突出片58は、第二C型断面部45の第二開口側脚部46(第二室内側脚部46b)よりも右側(延出先側)において第二開口側脚部46(第二室内側脚部46b)と隣り合っている。そして、方立延出部60が第二非開口側部分45aに当接していることにより、室内側方立突出片58が第二開口側脚部46(第二室内側脚部46b)よりも延出先側に位置した状態で当該第二開口側脚部46(第二室内側脚部46b)に引っ掛かるようになっている。このことにより、方立延出部60及び室内側方立突出片58が、第二内縦枠44に引っ掛けられ、かつ、嵌められている。
【0075】
このように、引っ掛け形状は室外側及び室内側のどちらに設けられていてもよいし、また、方立突出片56は、第二内縦枠突出片47及び第二開口側脚部46のいずれに引っ掛かるようにしてもよい。また、第三実施形態においては、引っ掛け形状が設けられているため、第一実施形態と同様、目板102と目板カバー104が省略されている。そのため、
図6に示すように、部屋間のパーティション等の内装材114を、横方向において第一内縦枠34及び第二内縦枠44に対応した位置に、適切に設置することが可能となる(第二実施形態の場合には、
図5から明らかなように、内装材114と目板102及び目板カバー104との干渉が発生し得る)。なお、第一実施の形態においては、内装材が図示されていないが、当然のことながら、第三実施形態と同様の位置に内装材を設置可能である。
【0076】
また、上記実施の形態においては、第一内縦枠34全体(第二内縦枠44全体)が第一C型断面部35(第二C型断面部45)となっている例を挙げたが、これに限定されるものではない。例えば、
図7(第四実施形態)に示すように、第一内縦枠34(第二内縦枠44)の一部が第一C型断面部35(第二C型断面部45)となっている場合であってもよい。なお、
図7は、第四実施形態に係る連窓10の横方向における中央部付近を示した横断面図である。