特開2015-232287(P2015-232287A)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2015.5.11 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ イビデン株式会社の特許一覧
特開2015-232287排ガス浄化方法及び排ガス浄化システム
<>
  • 特開2015232287-排ガス浄化方法及び排ガス浄化システム 図000003
  • 特開2015232287-排ガス浄化方法及び排ガス浄化システム 図000004
  • 特開2015232287-排ガス浄化方法及び排ガス浄化システム 図000005
  • 特開2015232287-排ガス浄化方法及び排ガス浄化システム 図000006
  • 特開2015232287-排ガス浄化方法及び排ガス浄化システム 図000007
  • 特開2015232287-排ガス浄化方法及び排ガス浄化システム 図000008
  • 特開2015232287-排ガス浄化方法及び排ガス浄化システム 図000009
  • 特開2015232287-排ガス浄化方法及び排ガス浄化システム 図000010
  • 特開2015232287-排ガス浄化方法及び排ガス浄化システム 図000011
  • 特開2015232287-排ガス浄化方法及び排ガス浄化システム 図000012
  • 特開2015232287-排ガス浄化方法及び排ガス浄化システム 図000013
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2015-232287(P2015-232287A)
(43)【公開日】2015年12月24日
(54)【発明の名称】排ガス浄化方法及び排ガス浄化システム
(51)【国際特許分類】
   F01N 3/023 20060101AFI20151201BHJP
   F01N 3/025 20060101ALI20151201BHJP
   F01N 3/029 20060101ALI20151201BHJP
【FI】
   F01N3/02 321K
   F01N3/02 321B
【審査請求】未請求
【請求項の数】13
【出願形態】OL
【全頁数】24
(21)【出願番号】特願2014-118964(P2014-118964)
(22)【出願日】2014年6月9日
(71)【出願人】
【識別番号】000000158
【氏名又は名称】イビデン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000914
【氏名又は名称】特許業務法人 安富国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】豊田 健介
(72)【発明者】
【氏名】樋口 剛広
【テーマコード(参考)】
3G190
【Fターム(参考)】
3G190AA02
3G190BA02
3G190BA22
3G190BA43
3G190CA03
3G190CA13
3G190CB18
3G190CB35
3G190DA04
3G190DA17
3G190DB05
3G190DB07
3G190DB12
3G190DB15
3G190DB18
3G190DB74
3G190DD08
3G190EA08
3G190EA09
3G190EA23
(57)【要約】      (修正有)
【課題】PM堆積量の推定値に幅が存在しても、再生までに堆積できるPM堆積量が多く、再生限界値までに余裕があるため、再生時にパティキュレートフィルタの破壊等の不具合が発生せず、良好にパティキュレートフィルタの再生処理を行うことが可能な排ガス浄化方法を提供する。
【解決手段】パティキュレートフィルタを再生する排ガス浄化方法であって、車両に備え付けられた走行距離測定手段及び/又は走行時間測定手段を用いるとともに、前記パティキュレートフィルタとして、触媒が担持されていないハニカムフィルタを用い、走行距離が所定走行距離となった時点、走行時間が所定走行時間となった時点、又は、所定走行距離となった時点と所定走行時間となった時点のうち、いずれか早い時点に、パティキュレート堆積量は再生が必要な値となったとする判断に基づき、パティキュレートフィルタ昇温手段によりパティキュレートフィルタを再生する。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両の内燃機関の排気通路に設置されたパティキュレートフィルタに堆積したパティキュレートを焼却除去して前記パティキュレートフィルタを再生する排ガス浄化方法であって、
車両に備え付けられた走行距離測定手段及び/又は走行時間測定手段を用いるとともに、
前記パティキュレートフィルタとして、触媒が担持されていないハニカムフィルタを用い、
前記走行距離測定手段により計測された走行距離が所定走行距離となった時点、前記走行時間測定手段により計測された走行時間が所定走行時間となった時点、又は、前記所定走行距離となった時点と前記所定走行時間となった時点のうち、いずれか早い時点に、パティキュレート堆積量は再生が必要な値となったとする判断に基づき、パティキュレートフィルタ昇温手段により前記パティキュレートフィルタ中のパティキュレートを焼却除去して前記パティキュレートフィルタを再生することを特徴とする排ガス浄化方法。
【請求項2】
車両の運転開始時又は再生終了時を始点として、前記走行距離測定手段により走行距離を測定するステップと、
計測された走行距離に基づき、パティキュレート堆積量Aを推定するステップと、
推定されるパティキュレート堆積量Aが所定の閾値を超えたか否かを判断するステップと、
推定されるパティキュレート堆積量Aが所定の閾値を超えたとき、前記パティキュレートフィルタは再生が必要となったと判断するステップと、
再生が必要となったとの判断に基づき、前記パティキュレートフィルタ昇温手段を駆動させてパティキュレートフィルタの温度を上昇させ、パティキュレートを焼却除去するステップと
を備えた請求項1に記載の排ガス浄化方法。
【請求項3】
車両の運転開始時又は再生終了時を始点として、前記走行時間測定手段により走行時間を測定するステップと、
計測された走行時間に基づき、パティキュレート堆積量Bを推定するステップと、
推定されるパティキュレート堆積量Bが所定の閾値を超えたか否かを判断するステップと、
推定されるパティキュレート堆積量Bが所定の閾値を超えたとき、前記パティキュレートフィルタは再生が必要となったと判断するステップと、
再生が必要となったとの判断に基づき、前記パティキュレートフィルタ昇温手段を駆動させてパティキュレートフィルタの温度を上昇させ、パティキュレートを焼却除去するステップと
を備えた請求項1に記載の排ガス浄化方法。
【請求項4】
車両の運転開始時又は再生終了時を始点として、前記走行距離測定手段により走行距離を測定するステップと、
計測された走行距離に基づき、パティキュレート堆積量Aを推定するステップと、
車両の運転開始時又は再生終了時を始点として、前記走行時間測定手段により走行時間を測定するステップと、
計測された走行時間に基づき、パティキュレート堆積量Bを推定するステップと、
推定されるパティキュレート堆積量A又は推定されるパティキュレート堆積量Bが所定の閾値を超えたか否かを判断するステップと、
推定されるパティキュレート堆積量Aが所定の閾値を超える時点、及び、推定されるパティキュレート堆積量Bが所定の閾値を超える時点のうち、いずれか早く所定の閾値を超えた時点を基準とし、そのとき、パティキュレートフィルタは再生が必要となったと判断するステップと、
再生が必要となったとの判断に基づき、前記パティキュレートフィルタ昇温手段を駆動させてパティキュレートフィルタの温度を上昇させ、パティキュレートを焼却除去するステップと
を備えた請求項1に記載の排ガス浄化方法。
【請求項5】
パティキュレートフィルタとして、一のハニカム焼成体からなるハニカムフィルタを用いる請求項1〜4のいずれかに記載の排ガス浄化方法。
【請求項6】
パティキュレートフィルタとして、一辺の長さが30〜50mmの四角形の端面を有する四角柱状のハニカム焼成体が1〜4個、及び、隣接する2辺若しくは3辺が直線でそれ以外の辺が曲線からなる端面を有する柱状のハニカム焼成体が8〜12個組み合わされたハニカムフィルタを用いる請求項1〜4のいずれかに記載の排ガス浄化方法。
【請求項7】
パティキュレートフィルタとして、隣接する2辺が直線でそれ以外の辺が曲線からなる端面を有する柱状のハニカム焼成体が4個組み合わされたハニカムフィルタを用いる請求項1〜4のいずれかに記載の排ガス浄化方法。
【請求項8】
パティキュレートフィルタとして、その体積が1リットル以下のハニカムフィルタを用いる請求項1〜4のいずれかに記載の排ガス浄化方法。
【請求項9】
炭化ケイ素からなるパティキュレートフィルタを用いる請求項1〜4のいずれかに記載の排ガス浄化方法。
【請求項10】
車両の内燃機関の排気通路に設置されたパティキュレートフィルタに堆積したパティキュレートを焼却除去して前記パティキュレートフィルタを再生する排ガス浄化システムであって、
前記パティキュレートフィルタであって、触媒が担持されていないハニカムフィルタと、
車両に備え付けられた走行距離測定手段と、
車両に備え付けられた走行時間測定手段と、
パティキュレートフィルタ昇温手段と、
前記走行距離測定手段により測定される走行距離及び/又は前記走行時間測定手段により測定される走行時間を用いて前記パティキュレートフィルタへのパティキュレート堆積量を推定するパティキュレート堆積量推定手段と、
前記パティキュレート堆積量推定手段により推定したパティキュレート堆積量が所定の閾値を超えたとき、パティキュレート堆積量は再生が必要な値となったと判断する再生判断手段と、
前記再生判断手段により再生が必要となったとの判断に基づき、前記パティキュレートフィルタ昇温手段を駆動させ、パティキュレートフィルタを昇温させ、前記パティキュレートフィルタ中のパティキュレートを焼却除去して前記パティキュレートフィルタを再生する再生手段と
を備えていることを特徴とする排ガス浄化システム。
【請求項11】
前記パティキュレート堆積量推定手段として、前記走行距離測定手段により測定される走行距離及び前記走行時間測定手段により測定される走行時間を用いる際、
前記再生判断手段は、前記走行距離により推定されるパティキュレート堆積量Aが所定の閾値を超える時点、及び、前記走行時間により推定されるパティキュレート堆積量Bが所定の閾値を超える時点のうち、いずれか早く所定の閾値を超えた時点を基準とし、そのとき、パティキュレートフィルタは再生が必要となったと判断する請求項10に記載の排ガス浄化システム。
【請求項12】
パティキュレートフィルタは、その体積が1リットル以下のハニカムフィルタである請求項10又は11に記載の排ガス浄化システム。
【請求項13】
パティキュレートフィルタは、炭化ケイ素からなるハニカムフィルタである請求項10〜12のいずれかに記載の排ガス浄化システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、排ガス浄化方法及び排ガス浄化システムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、ディーゼルエンジンより排出されるススを主体とするパティキュレート(以下、PMという)を捕捉するのに、多孔質セラミックより構成されるパティキュレートフィルタが使われている。このようなパティキュレートフィルタでは、継続的な使用に伴って捕捉したPMがパティキュレートフィルタを構成するセルの内壁に徐々に堆積していく。このため、パティキュレートフィルタを使った排ガス浄化装置においては、パティキュレートフィルタ中に堆積したPMを定期的に燃焼させて除去し、パティキュレートフィルタを再生することが行われている。パティキュレートフィルタ中におけるPMの堆積を放置すると、排ガスにより生じる圧力が過大になり、燃費の悪化やエンジンの損傷を招くことがあるからである。
【0003】
所定の車両では、パティキュレートフィルタに酸化触媒を担持したものを使用し、パティキュレートフィルタに堆積したPMを燃焼し易くし、PM堆積量の増加速度を低下させたり、通常よりも低温での再生が可能なようにしていた。
【0004】
パティキュレートフィルタ中に堆積したPMを定期的に燃焼させるためには、パティキュレートフィルタ中に堆積したPM堆積量を把握する必要がある。このため、従来は、排気通路に配設されたパティキュレートフィルタの前後に圧力センサを設置し、パティキュレートフィルタの圧力損失を測定していた。パティキュレートフィルタに堆積したPMの量が増大したことに伴い、排ガスがパティキュレートフィルタを通過しにくくなる場合が多いので、測定された圧力損失の程度によりパティキュレートフィルタ中のPM堆積量を推定し、圧力損失が所定の閾値を超えると、PM堆積量が限界に近づいたと判断して再生処理を行っていた(特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2013−160045号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、圧力損失センサを用いたPM堆積量の推定は、実際のPM堆積量と隔たりがある場合がある。例えば、実際にはPM堆積量が少なくても、PMがパティキュレートフィルタを構成するセルを閉塞する状態になってしまうと、圧力損失は極端に上昇するため、実際よりも多いPM堆積量が推定されてしまうことになる。
図10(a)及び(b)は、パティキュレートフィルタを構成する排気ガス導入側から所定の距離離れたセルの内部を走査型顕微鏡(SEM)で観察した写真(SEM写真)である。
図10(a)及び(b)より明らかなように、セル隔壁よりPMが剥れてセルを塞いでおり、このため、圧力損失が急上昇する。なお、図10(b)は、図10(a)に示す写真の四角で囲った部分の拡大図であり、PMが剥れているため、セル隔壁表面には、PMの堆積層は殆ど存在しない。
このようなPM堆積量を過大に推定する推定ミスが発生すると、圧力損失のデータを信頼した制御装置が再生禁止モードを発令し、車両は、走行不能になってしまう。
【0007】
また、PMがパティキュレートフィルタを構成するセル隔壁に密着せず、堆積したPMとパティキュレートフィルタを構成するセル隔壁との間に隙間が形成されると、PM堆積層を避けてガスが流通できるため圧力損失はさほど上がらず、実際よりも少ないPM堆積量が推定されることになってしまう。
図11(a)及び(b)は、パティキュレートフィルタを構成する排気ガス導入側から所定の距離離れたセルの内部を走査型顕微鏡(SEM)で観察した写真(SEM写真)である。
図11(a)及び(b)より明らかなように、セル隔壁に近い部分のPMが一部無くなっており、このため、排ガスが通過しやすくなって圧力損失が減少する。セル隔壁の一部の温度が上昇したことに伴い、PMがその部分で燃焼し、消失したためと考えられる。
このようなPM堆積量を寡少に推定する推定ミスが発生すると、過剰な量のPMがパティキュレートフィルタ中に堆積されることとなり、再生時に異常発火等の不具合が生じ、場合によってはパティキュレートフィルタに破損が発生する可能性もある。
【0008】
また、酸化触媒が担持されたパティキュレートフィルタでは、酸化触媒を分散させるために、まず、アルミナ等の酸化物層をセル隔壁に形成した後、その表面に酸化触媒を担持していた。このため、このような酸化触媒等が担持されたパティキュレートフィルタは、熱伝導率が低下し、再生時にパティキュレートフィルタの温度が上昇し易く、パティキュレートフィルタが破壊され易いため、再生までに堆積させることができるPM堆積量を低く設定せざるを得ないという問題があった。
【0009】
さらに、排気通路に配設されたパティキュレートフィルタの前後に圧力センサを設置し、パティキュレートフィルタの圧力損失を測定することにより、PM堆積量を推定する方法は、排ガス浄化装置の設置料が高くつくため、新興国では、これが排ガス浄化装置を備えた車両の数を増加させる障害となっていた。
【0010】
本発明は、上記課題に鑑みてなされたものであり、PM堆積量の推定値に幅が存在しても、再生までに堆積できるPM堆積量が多く、再生限界値(堆積したPMを燃焼させる際に、フィルタにクラックが発生しないPMの最大堆積量)までに余裕があるため、再生時にパティキュレートフィルタの破壊等の不具合が発生せず、良好にパティキュレートフィルタの再生処理を行うことが可能な排ガス浄化方法及び排ガス浄化システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記目的を達成するための、本発明の排ガス浄化方法は、車両の内燃機関の排気通路に設置されたパティキュレートフィルタに堆積したPMを焼却除去して上記パティキュレートフィルタを再生する排ガス浄化方法であって、車両に備え付けられた走行距離測定手段及び/又は走行時間測定手段を用いるとともに、上記パティキュレートフィルタとして、触媒が担持されていないハニカムフィルタを用い、上記走行距離測定手段により計測された走行距離が所定走行距離となった時点、上記走行時間測定手段により計測された走行時間が所定走行時間となった時点、又は、上記所定走行距離となった時点と上記所定走行時間となった時点のうち、いずれか早い時点に、PM堆積量は再生が必要な値となったとする判断に基づき、パティキュレートフィルタ昇温手段により上記パティキュレートフィルタ中のPMを焼却除去して上記パティキュレートフィルタを再生することを特徴とする。
【0012】
本発明の排ガス浄化方法では、パティキュレートフィルタとして、触媒が担持されていないハニカムフィルタを用いるので、酸化触媒を担持したハニカムフィルタと比較して熱伝導率が高く、再生限界値が高くなる。すなわち、再生限界値の数値が大きくなる。そのため、PM堆積量の許容範囲を広くとることができ、走行距離や走行時間でPM堆積量を推定し、PMの推定堆積量に多少の誤差が発生したとしても、再生時にパティキュレートフィルタに破壊等が発生することはなく、良好に継続的に再生処理を行うことができる。
また、PM堆積量を推定する手段として、車両に供えられている走行距離計等を利用することができるので、安価な排ガス浄化装置を提供することができる。
【0013】
また、慢性的な渋滞が発生する地域を走行すると、排ガスの温度が上がらないので、パティキュレートフィルタの温度が上がらない。さらに、従来より使用されている酸化触媒はPMの活性エネルギーを下げることで、パティキュレートフィルタに堆積したPMを燃焼し易くしたり、PM堆積量の増加速度を低下させたりすることを目的として使用されている。従って、パティキュレートフィルタの温度が上がらない状況で酸化触媒を担持したパティキュレートフィルタを使用しても、PMの活性温度に到達しないので酸化触媒の効果が発現できず、PMを燃焼し易くしたり、PM堆積量の増加速度を低下させることができない。よって、費用対効果の観点から触媒が担持されていないハニカムフィルタを用いる。
【0014】
本発明の排ガス浄化方法は、下記する3つの浄化方法のうちのいずれかの方法により行うことができる。
第1の排ガス浄化方法は、車両の運転開始時又は再生終了時を始点として、上記走行距離測定手段により走行距離を測定するステップと、計測された走行距離に基づき、PM堆積量Aを推定するステップと、推定されるPM堆積量Aが所定の閾値を超えたか否かを判断するステップと、推定されるPM堆積量Aが所定の閾値を超えたとき、上記パティキュレートフィルタは再生が必要となったと判断するステップと、再生が必要となったとの判断に基づき、上記パティキュレートフィルタ昇温手段を駆動させてパティキュレートフィルタの温度を上昇させ、PMを焼却除去するステップとを備えている。
【0015】
また、第2の排ガス浄化方法は、車両の運転開始時又は再生終了時を始点として、上記走行時間測定手段により走行時間を測定するステップと、計測された走行時間に基づき、PM堆積量Bを推定するステップと、推定されるPM堆積量Bが所定の閾値を超えたか否かを判断するステップと、推定されるPM堆積量Bが所定の閾値を超えたとき、上記パティキュレートフィルタは再生が必要となったと判断するステップと、再生が必要となったとの判断に基づき、上記パティキュレートフィルタ昇温手段を駆動させてパティキュレートフィルタの温度を上昇させ、PMを焼却除去するステップとを備えている。
【0016】
第3の排ガス浄化方法は、車両の運転開始時又は再生終了時を始点として、上記走行距離測定手段により走行距離を測定するステップと、計測された走行距離に基づき、PM堆積量Aを推定するステップと、車両の運転開始時又は再生終了時を始点として、上記走行時間測定手段により走行時間を測定するステップと、計測された走行時間に基づき、PM堆積量Bを推定するステップと、推定されるPM堆積量A又は推定されるPM堆積量Bが所定の閾値を超えたか否かを判断するステップと、推定されるPM堆積量Aが所定の閾値を超える時点、及び、推定されるPM堆積量Bが所定の閾値を超える時点のうち、いずれか早く所定の閾値を超えた時点を基準とし、そのとき、パティキュレートフィルタは再生が必要となったと判断するステップと、再生が必要となったとの判断に基づき、上記パティキュレートフィルタ昇温手段を駆動させてパティキュレートフィルタの温度を上昇させ、PMを焼却除去するステップとを備えている。
【0017】
本発明の排ガス浄化方法では、上記第1の排ガス浄化方法、上記第2の排ガス浄化方法、又は、上記第3の排ガス浄化方法を用いることにより、本発明の効果を享受することができ、PMの推定堆積量に多少の誤差が発生したとしても、再生時にパティキュレートフィルタに破壊等が発生することはなく、良好に継続的に再生処理を行うことができる。
【0018】
本発明の排ガス浄化方法では、パティキュレートフィルタとして、一のハニカム焼成体からなるハニカムフィルタを用いることが望ましい。
一のハニカム焼成体からなるハニカムフィルタは、複数のハニカム焼成体を組み合わせるための接着層や接着工程を必要としないので、安価にハニカムフィルタを製造することができる。
【0019】
本発明の排ガス浄化方法では、一辺の長さが30〜50mmの四角形の端面を有する四角柱状のハニカム焼成体が1〜4個、及び、隣接する2辺若しくは3辺が直線でそれ以外の辺が曲線からなる端面を有する柱状のハニカム焼成体が8〜12個組み合わされたハニカムフィルタを用いることが望ましい。
上記ハニカムフィルタは、組み合わせた時の接着層が熱負荷時の緩衝層となって耐熱衝撃性に優れているので、再生時にパティキュレートフィルタに破壊等が発生しにくく、良好に継続的に再生処理を行うことができる。
【0020】
本発明の排ガス浄化方法では、パティキュレートフィルタとして、隣接する2辺が直線でそれ以外の辺が曲線からなる端面を有する柱状のハニカム焼成体が4個組み合わされたハニカムフィルタを用いることが望ましい。
上記ハニカムフィルタは、組み合わせた時の接着層が熱負荷時の緩衝層となって耐熱衝撃性に優れているので、再生時にパティキュレートフィルタに破壊等が発生しにくく、良好に継続的に再生処理を行うことができる。
【0021】
本発明の排ガス浄化方法では、パティキュレートフィルタとして、その体積が1リットル以下のハニカムフィルタを用いることが望ましい。
上記ハニカムフィルタは、容量が小さいため、再生時のパティキュレートフィルタに温度のバラツキが生じにくく、再生時にパティキュレートフィルタに破壊等が発生しにくいので、良好に継続的に再生処理を行うことができる。
【0022】
本発明の排ガス浄化方法では、炭化ケイ素からなるパティキュレートフィルタを用いることが望ましい。
上記ハニカムフィルタは、耐熱性、機械的特性及び熱伝導特性に優れているので、再生時に破壊等が発生しにくく、良好に継続的に再生処理を行うことができる。
【0023】
本発明の排ガス浄化システムは、車両の内燃機関の排気通路に設置されたパティキュレートフィルタに堆積したPMを焼却除去して上記パティキュレートフィルタを再生する排ガス浄化システムであって、上記パティキュレートフィルタであって、触媒が担持されていないハニカムフィルタと、車両に備え付けられた走行距離測定手段と、車両に備え付けられた走行時間測定手段と、パティキュレートフィルタ昇温手段と、上記走行距離測定手段により測定される走行距離及び/又は上記走行時間測定手段により測定される走行時間を用いて上記パティキュレートフィルタへのPM堆積量を推定するPM堆積量推定手段と、上記PM堆積量推定手段により推定したPM堆積量が所定の閾値を超えたとき、PM堆積量は再生が必要な値となったと判断する再生判断手段と、上記再生判断手段により再生が必要となったとの判断に基づき、上記パティキュレートフィルタ昇温手段を駆動させ、パティキュレートフィルタを昇温させ、上記パティキュレートフィルタ中のPMを焼却除去して上記パティキュレートフィルタを再生する再生手段とを備えていることを特徴とする。
【0024】
本発明の排ガス浄化システムでは、パティキュレートフィルタとして、触媒が担持されていないハニカムフィルタを用いるので、酸化触媒を担持したハニカムフィルタと比較して熱伝導率が高く、再生限界値(堆積したPMを燃焼させる際にフィルタにクラックが発生しないPMの最大堆積量)が高くなる。そのため、PM堆積量の許容範囲を広くとることができ、走行距離や走行時間でPM堆積量を推定し、PMの推定堆積量に多少の誤差が発生したとしても、再生時にパティキュレートフィルタに破壊等が発生することはなく、良好に継続的に再生処理を行うことができる。
また、PM堆積量を推定する手段として、車両に供えられている走行距離計等を利用することができ、酸化触媒が担持されていないので、安価な排ガス浄化装置を提供することができる。
【0025】
本発明の排ガス浄化システムでは、上記PM堆積量推定手段として、上記走行距離測定手段により測定される走行距離及び上記走行時間測定手段により測定される走行時間を用いる際、上記再生判断手段は、上記走行距離により推定されるPM堆積量Aが所定の閾値を超える時点、及び、上記走行時間により推定されるPM堆積量Bが所定の閾値を超える時点のうち、いずれか早く所定の閾値を超えた時点を基準とし、そのとき、パティキュレートフィルタは再生が必要となったと判断することが望ましい。
本発明の排ガス浄化システムでは、PM堆積量推定手段として、上記走行距離測定手段及び上記走行時間測定手段の両方を用いることができ、早く閾値を超えた時点を基準として再生処理を行えば、PMが堆積しすぎるといった事態を避けることができ、再生時にパティキュレートフィルタに破壊等が発生することはなく、良好に継続的に再生処理を行うことができる。
【0026】
本発明の排ガス浄化システムでは、パティキュレートフィルタは、その体積が1リットル以下のハニカムフィルタであることが望ましい。
容量が小さいため、再生時のパティキュレートフィルタに温度のバラツキが生じにくく、再生時にパティキュレートフィルタに破壊等が発生しにくいので、良好に継続的に再生処理を行うことができる。
【0027】
本発明の排ガス浄化システムでは、パティキュレートフィルタは、炭化ケイ素からなるハニカムフィルタであることが望ましい。
上記ハニカムフィルタは、耐熱性及び機械的特性に優れているので、再生時に高温になっても破壊等が発生しにくく、良好に継続的に再生処理を行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0028】
図1図1は、本発明の排ガス浄化システムを示すブロック図である。
図2図2は、本発明で用いるハニカムフィルタの一例を模式的に示す斜視図である。
図3図3(a)は、上記ハニカムフィルタを構成するハニカム焼成体を模式的に示す斜視図であり、図3(b)は、図3(a)に示したハニカム焼成体のA−A線断面図である。
図4図4は、内燃機関の排気通路に設置されたハニカムフィルタの一例を模式的に示す断面図である。
図5図5は、本発明で用いる別のハニカムフィルタの一例を模式的に示す斜視図である。
図6図6は、本発明で用いるさらに別のハニカムフィルタの一例を模式的に示す斜視図である。
図7図7は、本発明の第1の排ガス浄化方法における一連の処理を示すフローチャートである。
図8図8は、本発明の第2の排ガス浄化方法における一連の処理を示すフローチャートである。
図9図9は、本発明の第3の排ガス浄化方法における一連の処理を示すフローチャートである。
図10図10(a)及び(b)は、パティキュレートフィルタを構成する排気ガス導入側から所定の距離離れたセルの内部を走査型顕微鏡(SEM)で観察した写真(SEM写真)である。
図11図11(a)及び(b)は、パティキュレートフィルタを構成する排気ガス導入側から所定の距離離れたセルの内部を走査型顕微鏡(SEM)で観察した写真(SEM写真)である。
【0029】
(発明の詳細な説明)
以下、本発明に係る排ガス浄化方法及び排ガス浄化システムについて、図面を参照しながら具体的に説明する。しかしながら、本発明は、以下の内容に限定されるものではなく、本発明の要旨を変更しない範囲において適宜変更して適用することができる。
【0030】
まず、本発明の排ガス浄化システムについて説明する。
本発明の排ガス浄化システムは、車両の内燃機関の排気通路に設置されたパティキュレートフィルタに堆積したPMを焼却除去して上記パティキュレートフィルタを再生する排ガス浄化システムであって、上記パティキュレートフィルタであって、触媒が担持されていないハニカムフィルタと、車両に備え付けられた走行距離測定手段と、車両に備え付けられた走行時間測定手段と、パティキュレートフィルタ昇温手段と、上記走行距離測定手段により測定される走行距離及び/又は上記走行時間測定手段により測定される走行時間を用いて上記パティキュレートフィルタへのPM堆積量を推定するPM堆積量推定手段と、上記PM堆積量推定手段により推定したPM堆積量が所定の閾値を超えたとき、PM堆積量は再生が必要な値となったと判断する再生判断手段と、上記再生判断手段により再生が必要となったとの判断に基づき、上記パティキュレートフィルタ昇温手段を駆動させ、パティキュレートフィルタを昇温させ、上記パティキュレートフィルタ中のPMを焼却除去して上記パティキュレートフィルタを再生する再生手段とを備えていることを特徴とする。
【0031】
図1は、本発明の排ガス浄化システムを示すブロック図である。
図1に示すように、本発明の排ガス浄化システム10を構成するエンジン(内燃機関)11は、インジェクタ14から燃焼室13の内部に噴射された燃料の燃焼により、シリンダ12内に配設されたピストン12aを往復運動させて、動力としている。この燃料の燃焼により発生する排ガスを、排気バルブ15から排気通路16へと排出し、排気通路に設置された排ガス浄化装置17を構成する触媒担体18とパティキュレートフィルタ(以下、DPFという)19で浄化して、車外へと放出している。
【0032】
また、本発明の排ガス浄化システム10は、インジェクタ(燃料噴射弁)14と排気バルブ(排気弁)15等を電子的に制御するエンジンコントロールユニットと呼ばれるECU(制御装置)20を備えている。
このECU20には、車両の走行距離を測定する走行距離計21、時間を計測する時計22及び温度センサ23が接続されている。温度センサ23は、DPF19から排出された排気温度を測定するセンサである。
温度センサ23により、再生時のパティキュレートフィルタ19の温度を監視することができ、また、再生が終了した時点を特定することができる。ただし、再生を開始してから所定の時間経過したときを再生終了と設定することもでき、温度センサ23は、本発明の排ガス浄化システムや排ガス浄化方法において、必須の部材ではない。
【0033】
図1に図示はしていないが、このエンジン11は、DPF19を再生するときに、排気ガスの温度を上昇させる、いわゆるポストインジェクションが可能なように構成されている。
【0034】
ECU20は、走行距離測定手段として機能するプログラムを備えており、車両の運転開始時又は再生終了時を始点として、走行距離計21により測定された走行距離をECU20が読み込み、記憶する。
【0035】
ECU20は、走行時間測定手段として機能するプログラムを備えており、車両の運転開始時又は再生終了時を始点として、時計21により計測された時間に基づき、エンジン11が稼働している時間を積算し、記憶する。エンジンが稼働している時間としたのは、車両が停止していても、エンジンが稼働している限り、排ガスが発生するからである。従って、走行時間と記載しているが、実際は、エンジンが稼働している時間を示している。なお、時計21としては、車両に備わった時計を使用してもよく、ECU20に備わっているリアルタイムクロックを使用してもよい。
【0036】
本発明の排ガス浄化システム10では、上記走行距離測定手段をのみを備えていてもよく、上記走行時間測定手段のみを備えていてもよく、上記走行距離測定手段及び上記走行時間測定手段の両方を備えていてもよい。
【0037】
ECU20は、さらに、PM堆積量を推定するPM堆積量推定手段として機能するプログラムを備えている。すなわち、ECU20には、上記走行距離測定手段により測定される走行距離及び/又は上記走行時間測定手段により測定される走行時間とPM堆積量との関係を示すデータがROMにインプットされており、上記走行距離及び/又は上記走行時間に基づいて、上記データからDPFへのPM堆積量を推定し、推定されるPM堆積量(以下、推定PM堆積量という)をRAMの所定領域に記憶する。
【0038】
ECU20は、さらに、推定PM堆積量に基づき、再生が必要か否かを判断する再生判断手段として機能するプログラムを備えている。すなわち、ECU20には、DPF19の容量等に基づき、PMの堆積量が所定の値を超えると再生が必要となる値(閾値)がインプットされており、推定PM堆積量と閾値とを比較することにより、再生が必要か否かを判断する。
【0039】
上述したように、このエンジン11は、DPF19を再生するときに、排気ガスの温度を上昇させる、いわゆるポストインジェクションが可能なように構成されており、ECU20は、エンジン11を構成するインジェクタ14及び排気バルブ15等を、DPF19のパティキュレートフィルタ昇温手段として機能させるプログラムを備えている。
【0040】
ECU20は、上記パティキュレートフィルタ昇温手段として機能するプログラムを実行することによりDPF19中のPMを焼却除去してDPF19を再生する再生手段として機能する。
すなわち、ECU20は、再生が必要と判断すると、再生が必要と判断した時点で、インジェクタ14及び排気バルブ15を制御し、ポストインジェクションを行うことにより、排気ガスの温度を上昇させ、DPF19の温度を上昇させ、DPF19に堆積したPMを焼却除去してDPF19を再生させる。
【0041】
走行距離及び走行時間に基づいて、DPFへのPM堆積量を推定する際、走行距離及び走行時間のぞれぞれに基づいて推定PM堆積量を決定し、いずれかのうち、早く推定PM堆積量が閾値となった時点で再生を行う方法を採用してもよく、走行距離及び走行時間の両方のデータに基づいて1つの推定PM堆積量及び閾値を設定し、推定PM堆積量が閾値となった時点で再生を行う方法を採用してもよい。
【0042】
走行距離及び走行時間の両方のデータに基づいて1つの推定PM堆積量を設定するとは、例えば、基本的には、走行距離に基づいて推定PM堆積量を設定するが、渋滞等により車両の走行距離は短いが、エンジンを稼働している時間は走行距離に比例せず、長い場合には、渋滞で走行していない時間を考慮に入れて推定PM堆積量を設定する方法等が挙げられる。推定PM堆積量を設定する際には、実際のデータに渋滞で走行していない場合に、どの程度PM堆積量が増加するかのデータを取り、それに基づいて推定PM堆積量を設定する。
【0043】
次に、本発明の排ガス浄化システムで用いるDPF19について説明する。
DPFの構成は、特に限定されるものではないが、フィルタの長手方向に排気ガスを流通させるための多数のセルが並設され、該セルの排気ガス入口側又は出口側のいずれかが目封止され、セル同士を隔てるセル隔壁がフィルタとして機能するハニカムフィルタが好ましい。以下においては、DPFとしてハニカムフィルタを用いた場合について説明する。
【0044】
ハニカムフィルタの形状、寸法は、特に限定されるものではないが、その体積が1リットル以下のハニカムフィルタであることが望ましく、一辺の長さが30〜50mmの四角形の端面を有する四角柱状のハニカム焼成体が1〜4個と、隣接する2辺若しくは3辺が直線でそれ以外の辺が曲線からなる端面を有する柱状のハニカム焼成体が8〜12個とが組み合わされたハニカムフィルタであるか、又は、隣接する2辺が直線でそれ以外の辺が曲線からなる端面を有する柱状のハニカム焼成体が4個組み合わされたハニカムフィルタであることが望ましい。
【0045】
図2は、本発明で用いるハニカムフィルタの一例を模式的に示す斜視図である。
図3(a)は、上記ハニカムフィルタを構成するハニカム焼成体を模式的に示す斜視図であり、図3(b)は、図3(a)に示したハニカム焼成体のA−A線断面図である。
【0046】
図2に示すハニカムフィルタ30は、多孔質セラミックからなるハニカム焼成体40が接着材層31を介して複数個結束されてセラミックブロック33を構成し、このセラミックブロック33の周囲には、排ガスの漏れを防止するためのコート層32が形成されている。なお、コート層32は、必要に応じて形成されていればよい。
【0047】
図2に示すハニカムフィルタ30は、一辺の長さが30〜50mmの四角形の端面を有する四角柱状のハニカム焼成体が4個、ハニカムフィルタ30の内部に配置されており、その周囲に、隣接する2辺が直線でそれ以外の辺が円弧からなる端面を有する柱状のハニカム焼成体が4個、及び、隣接する3辺が直線でそれ以外の辺が円弧からなる端面を有する柱状のハニカム焼成体が8個組み合わされてハニカムフィルタ30を構成している。
【0048】
このようなハニカム焼成体40が複数個結束されてなるハニカムフィルタ30は、集合型ハニカムフィルタともいう。
【0049】
また、ハニカムフィルタ30を構成するハニカム焼成体40は、図3(a)および図3(b)に示すように、長手方向(図3(a)中、矢印aの方向)に多数のセル41が並設され、セル41同士を隔てるセル隔壁43がフィルタとして機能するようになっている。なお、図3(a)及び(b)に示すハニカム焼成体40は、内部に位置する4個のハニカム焼成体に相当し、その周囲に位置するハニカム焼成体は、内部に位置するハニカム焼成体が切削加工された形状のものである。
【0050】
ハニカム焼成体40に形成されたセル41は、図3(b)に示すように、排ガスの入口側の端部45が封止材ペーストを固化させて形成した封止部42で封止されるか、または排ガスの出口側の端部46が封止材ペーストを固化させて形成した封止部42で封止され、排ガスの出口側の端部が封止されたセル41に流入した排ガスは、必ずセル41を隔てるセル隔壁43を通過した後、ガスの入口側の端部が封止されたセル41から流出するようになっており、排ガスがこのセル隔壁43を通過する際、PMがセル隔壁43部分で捕捉され、排ガスが浄化される。なお、図3(b)中の矢印は、排ガスの流れを示している。
【0051】
図4は、内燃機関の排気通路に設置されたハニカムフィルタの一例を模式的に示す断面図である。
図4に示すように、内燃機関の排気通路には、PMを捕集するために、ハニカムフィルタ30を含む複数の部材が配設されており、以下においては、この部分を排ガス浄化装置ということとする。なお、図4では、触媒担体を省略している。
【0052】
この排ガス浄化装置50は、ハニカムフィルタ30、ハニカムフィルタ30を収容する金属製のケーシング51、及び、ハニカムフィルタ30とケーシング51との間に挿入され、ハニカムフィルタ30を保持する保持シール材60により構成されている。また、排ガス浄化装置50の一方の端部(導入部)には、エンジン等の内燃機関から排出された排ガスを導入するための導入管52が接続されており、ハニカムフィルタの他方の端部(排出部)には、排ガスを排出するための排出管53が接続されている。図3において矢印Gは、排ガスの流れを示している。
保持シール材60は、無機繊維からなるマット状のものであり、ハニカムフィルタ30をしっかりと保持し、ハニカムフィルタ30の破損を防止するとともに、ハニカムフィルタ30がケーシング51から抜けるのを防止している。
【0053】
このような構成のハニカムフィルタ30において、エンジンの内燃機関から排出された排ガスは、導入管51を介して、排ガス浄化装置50内に導入される。
【0054】
この排ガスは、矢印Gに示すように、導入管52と面するハニカムフィルタ30の第1の端面35の側が開放されたセル41から、ハニカムフィルタ30に流入する。ハニカムフィルタ30のセル41に流入した排ガスは、セル隔壁43を通過する。その際、排ガス中のPMはセル隔壁43で捕捉され、浄化された排ガスは、ハニカムフィルタ30の第2の端面36の側が開放されたセル41を通過し、さらに排出管53を通り、排ガス浄化装置50から排出される。
【0055】
このように、排ガスを、排ガス浄化装置50を構成するハニカムフィルタ30の内部を通過させることにより、排ガス中のPMを除去することができるが、上述したように、PMが所定量堆積すると、PMを焼却除去して、ハニカムフィルタ(DPF)を再生する。
【0056】
次に、上記ハニカムフィルタを構成する各部材について、詳しく説明する。
ハニカム焼成体40は、例えば、窒化アルミニウム、窒化ケイ素、窒化ホウ素、窒化チタン等の窒化物セラミック、炭化ケイ素、炭化ジルコニウム、炭化チタン、炭化タンタル、炭化タングステン等の炭化物セラミック、アルミナ、ジルコニア、コージュエライト、ムライト、シリカ、チタン酸アルミニウム等の酸化物セラミック等で構成されている。
【0057】
上記セラミック材料の中では、耐熱性が高く、機械的特性に優れた炭化ケイ素質セラミックが望ましい。機械的特性と多孔質性によるフィルタ性能とを併せ持つことにより、フィルタとして好適に使用することができるからである。炭化ケイ素質セラミックは、炭化ケイ素のほかに、金属シリコンを含むものであってもよい。
【0058】
セル隔壁43の厚さは特に限定されないが、0.2〜0.4mmであることが望ましい。セル隔壁の厚さが0.2mm未満であると、ハニカム構造体を支持するセル隔壁の厚さが薄くなり、ハニカム構造体の強度を保つことができなくなるおそれがあり、一方、上記厚さが0.4mmを超えると、圧力損失の上昇を引き起こす場合があるからである。
【0059】
ハニカム焼成体40のセル隔壁の気孔率は、40〜65%であることが好ましい。
セル隔壁の気孔率が40%未満では、セル隔壁の気孔の割合が小さすぎるため、排ガスがセル隔壁を透過しにくくなり、排ガスがセル隔壁を透過する際の圧力損失が大きくなる。一方、セル隔壁の気孔率が65%を超えると、セル隔壁の機械的特性が低く、再生時等において、クラックが発生し易くなる。
【0060】
ハニカム焼成体40のセル隔壁に含まれる気孔の平均気孔径は、8〜25μmであることが好ましい。気孔径および気孔径は、水銀圧入法にて接触角を130°、表面張力を485mN/mの条件で測定する。
セル隔壁に含まれる気孔の平均気孔径が8μm未満であると、気孔が小さすぎるため、排ガスがセル隔壁を透過する際の圧力損失が大きくなる。一方、セル隔壁に含まれる気孔の平均気孔径が25μmを超えると、気孔径が大きくなりすぎるので、PMの捕集効率が低下してしまう。
【0061】
ハニカム焼成体10の断面におけるセルの単位面積あたりの数は、31〜62個/cm(200〜400個/inch)であることが望ましい。
【0062】
また、ハニカムフィルタ30の第1の端面35の側から見たとき、セル41の形状は、図2では、正方形であるが、セルの形状は、正方形に限定されるものではなく、例えば、正方形、長方形、三角形、六角形または八角形であってもよい。さらに、各セルの上記形状は、全て同一の形状である必要はなく、相互に異なる形状であってもよい。
【0063】
接着材層31とコート層32とは、同じ材料であっても、異なる材料であってもよい。
また、これらの層は、緻密質でも多孔質であってもよいが、シール性を重視する場合は、緻密質であることが好ましい。接着材層31およびコート層32を構成する材料は、特に限られないが、例えば、無機バインダと有機バインダと無機繊維および/または無機粒子とからなるものを使用することができる。
【0064】
上記無機バインダとしては、例えば、シリカゾル、アルミナ等を使用することができ、これらは単独で使用しても、2種類以上のものを混合して使用してもよい。上記無機バインダの中では、シリカゾルが望ましい。
【0065】
上記有機バインダとしては、例えば、ポリビニルアルコール、メチルセルロース、エチルセルロース、カルボキシルメチルセルロース等を使用することができ、これらは単独で使用しても、2種類以上のものを混合して使用してもよい。上記有機バインダの中では、カルボキシルメチルセルロースが望ましい。
【0066】
上記無機繊維としては、例えば、シリカ−アルミナ、ムライト、アルミナ、シリカ等のセラミックファイバーを使用することができる。これらは、単独で使用しても、2種類以上のものを混合して使用してもよい。上記無機繊維の中では、シリカ−アルミナファイバーが望ましい。
【0067】
上記無機粒子としては、例えば、炭化物、窒化物等を使用することができ、具体的には、炭化ケイ素、窒化ケイ素、窒化ヒ素等からなる無機粉末またはウィスカー等を使用することができる。これらは、単独で使用しても、2種類以上のものを混合して使用してもよい。上記無機粒子の中では、熱伝導性に優れる炭化ケイ素が望ましい。
【0068】
なお、通常の場合、接着層31およびコート層32は、上記成分を含むペースト液を原料として調製し、これを所定の箇所に塗布後、乾燥および焼成硬化させることにより形成される。原料となるペースト液には、必要に応じて、酸化物系セラミックを成分とする微小中空球体であるバルーンや、球状アクリル粒子、グラファイト等の造孔剤を添加してもよい。
【0069】
本発明で用いるハニカムフィルタは、上記した構成のハニカムフィルタのほか、図5に示すハニカムフィルタであるか、図6に示すハニカムフィルタであることが望ましい。
【0070】
図5は、本発明で用いる別のハニカムフィルタの一例を模式的に示す斜視図である。
図5に示すハニカムフィルタ70は、一辺の長さが30〜50mmの四角形の端面を有する四角柱状のハニカム焼成体が1個、及び、隣接する2辺若しくは3辺が直線でそれ以外の辺が曲線からなる端面を有する柱状のハニカム焼成体が8個組み合わされたハニカムフィルタである。
【0071】
具体的には、このハニカムフィルタ70では、一辺の長さが30〜50mmの四角形の端面を有する四角柱状のハニカム焼成体71が1個、ハニカムフィルタ60の内部に配置され、その周囲に、隣接する2辺が直線でそれ以外の1辺が円弧からなる端面を有する柱状のハニカム焼成体72が4個、及び、3辺が直線でそれ以外の1辺が円弧からなる端面を有する柱状のハニカム焼成体73が4個、接着材層74を介して接着されてハニカムフィルタ70が形成されている。
【0072】
図6は、本発明で用いるさらに別のハニカムフィルタの一例を模式的に示す斜視図である。
図6に示すハニカムフィルタ80は、隣接する2辺が直線でそれ以外の辺が曲線からなる端面を有する柱状のハニカム焼成体が4個組み合わされたハニカムフィルタである。
具体的には、このハニカムフィルタ80では、隣接する2辺が直線で、これら2辺のなす角度90°であり、それ以外の1辺が円弧からなる扇型の端面を有する同形状の4個のハニカム焼成体81が接着材82を介して接着されてハニカムフィルタ80が形成されている。
【0073】
図5及び図6に示すハニカムフィルタ70、80は、ハニカムフィルタを構成するハニカム焼成体の形状や組み合わせ方が異なるものの、ハニカムフィルタを構成するハニカム焼成体の材料や特性等や接着材層の材料や特性等は、図4に示すハニカムフィルタ30と同様であるので、ここではその説明を省略する。
【0074】
上記ハニカムフィルタは、円柱形状のハニカムフィルタである場合、その直径は、80〜150mm、その長さは、60〜200mmであることが望ましい。
【0075】
図2図5及び図6に示すハニカムフィルタを構成するセルの長手方向に対して垂直な断面形状は、円形であるが、その形状は、円形に限定されるものではなく、その他の形状であってもよい。例えば、ハニカムフィルタの断面形状は、円形、楕円形、又は、多角形であってもよい。
【0076】
次に、本発明の排ガス浄化方法について説明する。
本発明の排ガス浄化方法は、車両の内燃機関の排気通路に設置されたDPFに堆積したパティキュレートを焼却除去して上記DPFを再生する排ガス浄化方法であって、車両に備え付けられた走行距離測定手段及び/又は走行時間測定手段を用いるとともに、上記DPFとして、触媒が担持されていないハニカムフィルタを用い、上記走行距離測定手段により計測された走行距離が所定走行距離となった時点、上記走行時間測定手段により計測された走行時間が所定走行時間となった時点、又は、上記所定走行距離となった時点と上記所定走行時間となった時点のうち、いずれか早い時点に、PM堆積量は再生が必要な値となったとする判断に基づき、パティキュレートフィルタ昇温手段により上記DPF中のパティキュレートを焼却除去して上記DPFを再生することを特徴とする。
【0077】
以下、本発明の排ガス浄化方法について具体的に説明する。上記したように、本発明の排ガス浄化方法は、3つの方法に分けられる。以下、3つの排ガス浄化方法について、順次説明することとする。
【0078】
(第1の排ガス浄化方法)
本発明の第1の排ガス浄化方法は、車両の運転開始時又は再生終了時を始点として、上記走行距離測定手段により走行距離を測定するステップと、計測された走行距離に基づき、PM堆積量Aを推定するステップと、推定PM堆積量Aが所定の閾値を超えたか否かを判断するステップと、推定PM堆積量Aが所定の閾値を超えたとき、上記DPFは再生が必要となったと判断するステップと、再生が必要となったとの判断に基づき、上記パティキュレートフィルタ昇温手段を駆動させてDPFの温度を上昇させ、PMを焼却除去するステップとを備えている。
【0079】
上記したように、ECU20は、それぞれ、走行距離測定手段、PM堆積量推定手段、再生判断手段、パティキュレートフィルタ昇温手段及び再生手段として機能するプログラムを備えており、上記プログラムに基づいた上記ステップを実行することにより、再生処理を適切に行うことができる。
【0080】
図7は、本発明の第1の排ガス浄化方法における一連の処理を示すフローチャートである。
まず、ステップS11において、車両の運転開始時又は再生終了時を始点として、上記走行距離測定手段により走行距離を測定する走行距離測定処理を行う。
【0081】
すなわち、車両の運転開始時又は再生終了時を始点として、走行距離計21により測定された走行距離をECU20が読み込み、RAMの所定領域に記憶する。走行距離の読み込みは、所定の時間毎に行われ、所定時間毎に走行距離が新しい値に更新される。
再生が終了しているか否かは、DPF19の内部温度を測定する温度センサ23の温度により決定する。すなわち、再生処理によりDPF19の内部温度が上昇するが、その後、PMが燃焼しにくい温度(例えば、400℃)まで下降したときを再生終了時とし、その時点で走行距離を0にリセットする。
【0082】
次に、ステップS12において、計測された走行距離に基づき、PM堆積量Aを推定するPM堆積量推定処理を行う。
すなわち、ECU20には、上記走行距離測定手段により測定される走行距離とPM堆積量との関係を示すデータ(関係式)がROMにインプットされており、ステップS11でRAMに記憶された走行距離に基づき、上記データ(関係式)を用いて推定PM堆積量Aを算出し、その結果をRAMの所定領域に記憶する。
【0083】
次に、ステップS13において、推定PM堆積量Aと所定の閾値とを比較することにより、再生が必要か否かを判断する。
すなわち、ECU20のROMには、使用するDPF19の容量毎に、PMの堆積量が所定の値を超えると再生が必要となる値(閾値)がインプットされており、ステップS13において得られた推定PM堆積量AとROMに記憶された閾値とを比較することにより、再生が必要か否かを判断する。
【0084】
得られた推定PM堆積量Aが閾値を超えていないと判断した場合には、ステップS11に戻り、ステップS11、ステップS12及びステップS13を繰り返す。
ステップS13において、得られた推定PM堆積量Aが閾値を超えている場合には、再生が必要と判断し、得られた推定PM堆積量Aが閾値を超えた時点でステップS14に移行する。
【0085】
次に、ステップS14において、得られた推定PM堆積量Aが閾値を超えているので再生が必要となったとの判断に基づき、パティキュレートフィルタ昇温手段を駆動させてDPFの温度を上昇させ、PMを焼却除去する再生処理を行う。
【0086】
すなわち、ステップS13における再生が必要との判断に基づき、ECU20は、エンジン11を構成するインジェクタ14及び排気バルブ15等を制御することにより、ポストインジェクションを行い、排気ガスの温度を上昇させることにより、DPF19の温度をPMが燃焼する以上の温度に上昇させ、PMを焼却除去し、DPFを再生する。
【0087】
その後、上述したように、温度センサ23によりDPF19の温度を測定し、DPF19の温度がPMが燃焼しにくい温度(例えば、400℃)まで下降したときを再生終了時とし、その時点で走行距離を0にリセットし、ステップS11に戻り、上記したステップS11〜ステップS14の処理を行う。
【0088】
(第2の排ガス浄化方法)
次に、第2の排ガス浄化方法について説明する。
本発明の第2の排ガス浄化方法は、車両の運転開始時又は再生終了時を始点として、上記走行時間測定手段により走行時間を測定するステップと、計測された走行時間に基づき、PM堆積量Bを推定するステップと、推定PM堆積量Bが所定の閾値を超えたか否かを判断するステップと、推定PM堆積量Bが所定の閾値を超えたとき、上記DPFは再生が必要となったと判断するステップと、再生が必要となったとの判断に基づき、上記パティキュレートフィルタ昇温手段を駆動させてDPFの温度を上昇させ、PMを焼却除去するステップとを備えている。
【0089】
上記したように、ECU20は、それぞれ、走行時間測定手段、PM堆積量推定手段、再生判断手段、パティキュレートフィルタ昇温手段及び再生手段として機能するプログラムを備えており、上記プログラムに基づいた上記ステップを実行することにより、再生処理を適切に行うことができる。
【0090】
図8は、本発明の第2の排ガス浄化方法における一連の処理を示すフローチャートである。
まず、ステップS21において、車両の運転開始時又は再生終了時を始点として、上記走行時間測定手段により走行時間を測定する走行時間測定処理を行う。
【0091】
すなわち、車両の運転開始時又は再生終了時を始点として、時計22により計測された時間に基づき、エンジン11が稼働しているか否かを判断するとともに、エンジン11が稼働していると判断したときには、時計22により計測されたエンジン稼働時間を積算し、積算値をRAMの所定領域に記憶する。
【0092】
次に、ステップS22において、得られた走行時間に基づき、PM堆積量Bを推定するPM堆積量推定処理を行う。
すなわち、ECU20には、上記走行時間測定手段を実行することにより得られた走行時間とPM堆積量との関係を示すデータ(関係式)がROMにインプットされており、ステップS21でRAMに記憶された走行時間に基づき、上記データ(関係式)を用いて推定PM堆積量Bを算出し、その結果をRAMの所定領域に記憶する。
【0093】
次に、ステップS23において、PM堆積量Bと所定の閾値とを比較することにより、再生が必要か否かを判断する。
すなわち、ECU20のROMには、使用するDPF19の容量毎に、PMの堆積量が所定の値を超えると再生が必要となる値(閾値)がインプットされており、ステップS22において得られた推定PM堆積量BとROMに記憶された閾値とを比較することにより、再生が必要か否かを判断する。
【0094】
得られた推定PM堆積量Bが閾値を超えていないと判断した場合には、ステップS21に戻り、ステップS21、ステップS22及びステップS23を繰り返す。
ステップS22において、得られた推定PM堆積量Bが閾値を超えている場合には、得られた推定PM堆積量Bが閾値を超えた時点で再生が必要と判断し、ステップS24に移行する。
【0095】
次に、ステップS24において、得られた推定PM堆積量Bが閾値を超えているので再生が必要となったとの判断に基づき、パティキュレートフィルタ昇温手段を駆動させてDPFの温度を上昇させ、PMを焼却除去する再生処理を行う。
【0096】
すなわち、ステップS23における再生が必要との判断に基づき、ECU20は、エンジン11を構成するインジェクタ14及び排気バルブ15等を制御することにより、ポストインジェクションを行い、排気ガスの温度を上昇させることにより、DPF19の温度をPMが燃焼する以上の温度に上昇させ、PMを焼却除去し、DPFを再生する。
【0097】
その後、上述したように、温度センサ23によりDPF19の温度を測定し、温度がPMが燃焼しにくい温度(例えば、400℃)まで下降したときを再生終了時とし、その時点で走行距離を0にリセットし、ステップS21に戻り、上記したステップS21〜ステップS24の処理を繰り返す。
【0098】
上記した本発明の第2の排ガス浄化方法においては、エンジン11が稼働している時間を走行時間としたが、走行距離計21が動いて車両が実際に移動している時間を走行時間としてもよい。この場合には、走行距離計21が動いているか否かを判断し、時計22に基づき、走行距離計21が動いている時間のみを積算して走行時間とする。
PM推定堆積量についても、上記した条件のデータを取得し、それに基づいてPM推定堆積量を算出してもよい。
【0099】
さらに、エンジン11は稼働しているが、車両は動いていない場合の単位時間当たりのPMの堆積量と、車両が実際に動いている場合の単位時間当たりのPMの堆積量に違いがある場合には、上記した二つの条件に合致するデータをそれぞれ取得する。そして、エンジン11は稼働しているが、車両は動いていない時間と、車両が実際に動いている時間とを別々に積算し、それぞれの時間及びそれらに基づく推定PM堆積量を算出し、両者を積算することにより、推定PM堆積量を得てもよい。
【0100】
(第3の排ガス浄化方法)
本発明の第3の排ガス浄化方法は、車両の運転開始時又は再生終了時を始点として、上記走行距離測定手段により走行距離を測定するステップと、計測された走行距離に基づき、PM堆積量Aを推定するステップと、車両の運転開始時又は再生終了時を始点として、上記走行時間測定手段により走行時間を測定するステップと、計測された走行時間に基づき、PM堆積量Bを推定するステップと、推定PM堆積量A又は推定PM堆積量Bが所定の閾値を超えたか否かを判断するステップと、推定PM堆積量Aが所定の閾値を超える時点、及び、推定PM堆積量Bが所定の閾値を超える時点のうち、いずれか早く所定の閾値を超えた時点を基準とし、そのとき、DPFは再生が必要となったと判断するステップと、再生が必要となったとの判断に基づき、上記パティキュレートフィルタ昇温手段を駆動させてDPFの温度を上昇させ、PMを焼却除去するステップとを備えている。
【0101】
上記したように、ECU20は、それぞれ、走行距離測定手段、走行時間測定手段、走行距離又は走行時間に基づくPM堆積量推定手段、再生判断手段、パティキュレートフィルタ昇温手段、及び、再生手段として機能するプログラムを備えており、上記プログラムに基づいた上記ステップを実行することにより、再生処理を適切に行うことができる。
【0102】
図9は、本発明の第3の排ガス浄化方法における一連の処理を示すフローチャートである。
まず、ステップS31において、車両の運転開始時又は再生終了時を始点として、上記走行距離測定手段により走行距離を測定する走行距離測定処理を行う。
すなわち、第1の排ガス浄化方法のステップS11と同様に、車両の運転開始時又は再生終了時を始点として、走行距離計21により測定された走行距離をECU20が読み込み、RAMの所定領域に記憶する。
【0103】
次に、ステップS32において、計測された走行距離に基づき、PM堆積量Aを推定するPM堆積量推定処理を行う。
すなわち、ECU20には、上記走行距離測定手段により測定される走行距離とPM堆積量との関係を示すデータ(関係式)がROMにインプットされており、第1の排ガス浄化方法のステップS12と同様に、ステップS31でRAMに記憶された走行距離に基づき、上記データ(関係式)を用いて推定PM堆積量Aを算出し、その結果をRAMの所定領域に記憶する。
【0104】
次に、ステップS33において、第2の排ガス浄化方法のステップS21と同様に、車両の運転開始時又は再生終了時を始点として、上記走行時間測定手段により走行時間を測定する走行時間測定処理を行う。
【0105】
すなわち、車両の運転開始時又は再生終了時を始点として、時計22により計測された時間に基づき、エンジン11が稼働しているか否かを判断するとともに、エンジン11が稼働していると判断したときには、時計22により計測されたエンジン稼働時間を積算し、積算値をRAMの所定領域に記憶する。
【0106】
次に、ステップS34において、得られた走行時間に基づき、PM堆積量Bを推定するPM堆積量推定処理を行う。
すなわち、ECU20には、上記走行時間測定手段を実行することにより得られた走行時間とPM堆積量との関係を示すデータ(関係式)がROMにインプットされており、第2の排ガス浄化方法のステップS22と同様に、ステップS33でRAMに記憶された走行時間に基づき、上記データ(関係式)を用いて推定PM堆積量Bを算出し、その結果をRAMの所定領域に記憶する。
【0107】
次に、ステップS35において、ステップS32で得られた走行距離に基づくPM堆積量Aと所定の閾値とを比較することにより、再生が必要か否かを判断する。
すなわち、ECU20のROMには、使用するDPF19の容量毎に、PM堆積量が所定の値を超えると再生が必要となる値(閾値)がインプットされており、第1の排ガス浄化方法のステップS13と同様に、ステップS32において得られた走行距離に基づく推定PM堆積量AとROMに記憶された閾値とを比較することにより、再生が必要か否かを判断する。
【0108】
得られた走行距離に基づく推定PM堆積量Aが閾値を超えていないと判断した場合には、ステップS36に移行する。
【0109】
一方、ステップS35において、得られた走行距離に基づく推定PM堆積量Aが閾値を超えていると判断した場合には、得られた推定PM堆積量Aが閾値を超えた時点でステップS37に移行する。
【0110】
ステップS37では、得られた推定PM堆積量Aが閾値を超えているので再生が必要となったとの判断に基づき、パティキュレートフィルタ昇温手段を駆動させてDPFの温度を上昇させ、PMを焼却除去する再生処理を行う。
【0111】
一方、得られた走行距離に基づく推定PM堆積量Aが閾値を超えていないと判断し、ステップS36に移行した場合、ステップS36では、走行時間に基づくPM堆積量Bと所定の閾値とを比較することにより、再生が必要か否かを判断する。
すなわち、ECU20のROMには、走行時間に基づき、使用するDPF19の容量毎に、PMの堆積量が所定の値を超えると再生が必要となる値(閾値)がインプットされており、第2の排ガス浄化方法のステップS23と同様に、ステップS34において得られた走行時間に基づく推定PM堆積量BとROMに記憶された閾値とを比較することにより、再生が必要か否かを判断する。
【0112】
ステップS36において得られた走行時間に基づく推定PM堆積量Bが閾値を超えていないと判断した場合には、ステップS31に戻り、ステップS35かステップS36で再生処理が必要と判断するまで、ステップS31〜ステップS36の処理を繰り返す。
ステップS35で再生処理が必要と判断しない場合であっても、ステップS36において、再生処理が必要と判断した場合には、得られた推定PM堆積量Bが閾値を超えた時点でステップS37に移行し、パティキュレートフィルタ昇温手段を駆動させてDPFの温度を上昇させ、PMを焼却除去する再生処理を行う。
【0113】
この第3の排ガス浄化方法においては、走行距離に基づく推定PM堆積量Aか、走行時間に基づく推定PM堆積量Bのいずれか早く閾値に到達した時点で、再生処理を行うので、早めに再生処理を行うことができる。
すなわち、例えば、渋滞等で走行距離が余り長くない場合であっても、エンジンが稼働している時間が長いとPMの堆積量が多くなり、早く閾値に到達することも考えられるので、その場合には、走行時間に基づいて再生処理を行うことができる。
【0114】
上記した第3の排ガス浄化方法では、走行距離に基づいてPM堆積量を推定し、走行時間に基づいてPM堆積量を推定しているが、走行距離と走行時間の両方を考慮することにより、1つのPM堆積量を推定してもよい。すなわち、所定の時間における走行距離と走行時間との比から、渋滞等で車両が停車している時間の割合が多いか否かが分かるが、そのような種々の状況において、PM堆積量がどのようになるか、実際のデータを取り、それに基づいてPM堆積量を推定してもよい。
【符号の説明】
【0115】
10 排ガス浄化システム
11 エンジン(内燃機関)
12 シリンダ
12a ピストン
13 燃焼室
14 インジェクタ(燃料噴射弁)
15 排気バルブ(排気弁)
16 排気通路
17 排ガス浄化装置
18 触媒担体
19 パティキュレートフィルタ(DPF)
20 ECU(制御装置)
21 走行距離計
22 時計
23 温度センサ
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11