特開2015-232293(P2015-232293A)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2015.5.11 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2015-232293(P2015-232293A)
(43)【公開日】2015年12月24日
(54)【発明の名称】可変容量型オイルポンプ
(51)【国際特許分類】
   F04C 14/00 20060101AFI20151201BHJP
   F04C 2/10 20060101ALI20151201BHJP
   F04C 15/06 20060101ALI20151201BHJP
【FI】
   F04C14/00 C
   F04C2/10 341E
   F04C15/06 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
【全頁数】16
(21)【出願番号】特願2014-119363(P2014-119363)
(22)【出願日】2014年6月10日
(71)【出願人】
【識別番号】000003207
【氏名又は名称】トヨタ自動車株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】000000011
【氏名又は名称】アイシン精機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000947
【氏名又は名称】特許業務法人あーく特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】▲高▼橋 克明
(72)【発明者】
【氏名】横田 和宏
(72)【発明者】
【氏名】村上 伸之
(72)【発明者】
【氏名】橘鷹 伴幸
(72)【発明者】
【氏名】小野 壽
(72)【発明者】
【氏名】西田 裕基
【テーマコード(参考)】
3H041
3H044
【Fターム(参考)】
3H041AA02
3H041BB03
3H041CC20
3H041CC21
3H041DD03
3H041DD14
3H041DD20
3H044AA02
3H044BB03
3H044CC19
3H044CC26
3H044DD03
3H044DD10
3H044DD11
(57)【要約】
【課題】例えばエンジンなどに装備される可変容量型オイルポンプ1において、容量可変機構の容量調整部材(例えば調整リング5)の動作速度を高め、ポンプ容量の制御の応答性を向上させる。
【解決手段】容量調整部材には、長穴状のガイド孔54が形成され、このガイド孔54に挿入されたガイドピン7によって当該容量調整部材の変位が、ガイド孔54の長手方向に規制されている。ガイド孔54の内部には、その長手方向一側および他側にガイドピン7によって区分された二つの空間部A,Bが形成され、これらを互いに連通させるように連通路(例えば窪み70)が設けられている。
【選択図】図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
入力軸の1回転あたりの吐出量を変更可能な容量可変機構を備えた可変容量型のオイルポンプであって、
前記容量可変機構は、長穴状のガイド孔を有する容量調整部材を備え、そのガイド孔に挿入されたガイドピンによって、当該容量調整部材の変位がガイド孔の長手方向に規制されており、
前記ガイド孔の内部には、その長手方向一側および他側に前記ガイドピンによって区分された二つの空間部が形成され、
前記ガイドピンの外周に形成されたガイド面と、前記ガイド孔の内周に形成された被ガイド面とが摺接し、これらガイド面および被ガイド面の隙間を介して前記二つの空間部の間をオイルが流通可能に構成されているとともに、
前記二つの空間部を互いに連通させるように、前記ガイドピンおよび容量調整部材の少なくとも一方に連通路が設けられている、ことを特徴とする可変容量型オイルポンプ。
【請求項2】
請求項1に記載の可変容量型オイルポンプにおいて、
前記連通路の断面積が、前記ガイド面および被ガイド面の隙間の断面積よりも大きい、ことを特徴とする可変容量型オイルポンプ。
【請求項3】
請求項1または2のいずれかに記載の可変容量型オイルポンプにおいて、
前記ガイドピンには、その軸方向の一部分に他の部分よりも断面積の小さな小断面積部が設けられ、この小断面積部においてガイドピンの外周面に形成される窪みが前記連通路を構成している、可変容量型オイルポンプ。
【請求項4】
請求項3に記載の可変容量型オイルポンプにおいて、
前記ガイドピンの小断面積部には、前記他の部分に近づくに連れて徐々に断面積が増大する断面積徐変部が設けられている、可変容量型オイルポンプ。
【請求項5】
請求項1に記載の可変容量型オイルポンプにおいて、
前記連通路が、前記ガイドピンを貫通して前記二つの空間部を互いに連通させるように設けられている、可変容量型オイルポンプ。
【請求項6】
請求項1に記載の可変容量型オイルポンプにおいて、
前記ガイド孔の内周面には、当該ガイド孔の長手方向に延びるように溝部が形成されていて、この溝部が前記連通路を構成している、可変容量型オイルポンプ。
【請求項7】
請求項1に記載の可変容量型オイルポンプにおいて、
前記ガイド孔が、ポンプハウジング内に形成された低油圧室を介して吸入ポートに連通している、可変容量型オイルポンプ。
【請求項8】
請求項1〜7のいずれか一つに記載の可変容量型オイルポンプにおいて、
前記入力軸により回転される外歯車のドライブロータと、これに噛み合って回転される内歯車のドリブンロータとを備え、
前記容量調整部材は、前記ドリブンロータを外周から回転自在に保持する環状の保持部を備え、ポンプハウジング内に形成された制御油圧室の油圧を受けて変位するように構成されており、
前記容量可変機構は、前記容量調整部材の変位によって前記ドライブロータおよびドリブンロータの吸入ポートおよび吐出ポートに対する相対的な位置を変化させることによって、吐出量を変更するように構成されている、可変容量型オイルポンプ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は可変容量型のオイルポンプに関し、特にポンプ容量の制御の応答性を高めるための構造の技術分野に属する。
【背景技術】
【0002】
従来よりエンジンのオイルポンプとして、例えば特許文献1に開示されているように、互いに噛み合うインナロータ(ドライブロータ)およびアウタロータ(ドリブンロータ)の回転により、吸入ポートから吸い込んだオイルを吐出ポートから吐出する内接ギヤポンプが知られている。
【0003】
このものでは、ハウジング内においてアウタロータを外周から回転自在に保持するように調節リング(容量調整部材)が設けられており、ハウジング内の加圧空間に導入される油圧を受けて調節リングが変位するようになっている。これにより、インナロータおよびアウタロータの吸入ポートおよび吐出ポートに対する相対的な位置が変化し、この位置の変化によって入力軸の1回転あたりの吐出量(いわゆる押しのけ容積)、即ちポンプ容量が変化する。
【0004】
また、同文献の段落0072〜0074や図面の図8などに開示されているように、調節リングには長穴(断面が長穴状のガイド孔)が設けられ、この長穴に挿入されたガイドピンによって当該調節リングの変位が規制されている。すなわち、前記のように加圧空間の油圧を受けて調節リングが変位するときに、その変位の方向が長穴の延びる方向に規制されるものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2013−100737号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところで、従来例の構造では前記したように調節リングが長穴の延びる方向に変位するときに、その長穴の内部においてガイドピンが、相対的に長穴の長手方向に変位することになる。すなわち、長穴の内部はガイドピンによって長手方向の一側および他側に区分されていて、調節リングが変位するときには、その長穴に対し相対的にガイドピンが、長穴の長手方向に変位するのである。
【0007】
そうしてガイドピンによって区分された長穴の内部には、その長手方向の一側および他側の二つの空間部が形成されていて、前記のようにガイドピンが相対変位するときには、このガイドピンの外周面と、これと摺接する長穴の内周面との間の隙間をオイルが流通して、二つの空間部の間を行き来することになる。
【0008】
しかしながら、調節リングの変位の方向を精度良く規制するために、ガイドピンの外周面(ガイド面)と摺動するガイド孔の内周面(被ガイド面)との隙間は十分に狭くしなくてはならないので、この狭い隙間におけるオイルの流通抵抗が大きくなって、調節リングの変位の抵抗となる。特に低温時のようにオイルの粘性が高いときには、抵抗がかなり大きくなってしまい、調節リングの変位が遅くなることから、ポンプ容量の制御の応答性が低下する懸念があった。
【0009】
このような問題点に鑑みて本発明は、例えばエンジンなどに装備される可変容量型のオイルポンプにおいて、容量可変機構の容量調整部材の変位する速度を高め、ポンプ容量の制御の応答性を向上させることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
前記の目的を達成するために本発明では、ポンプハウジング内において容量調整部材(上述した従来例の調節リングに相当)が変位する際に、そのガイド孔(長穴)の内部における相対的なガイドピンの変位に伴い、このガイドピンによって区分された二つの空間部を行き来するオイルの流通抵抗が低減されるように構成した。
【0011】
具体的に本発明は、入力軸の1回転あたりの吐出量を変更可能な容量可変機構を備えた可変容量型のオイルポンプを対象として、前記容量可変機構は、長穴状のガイド孔を有する容量調整部材を備えており、そのガイド孔に挿入されたガイドピンによって当該容量調整部材の変位がガイド孔の長手方向に規制されている。
【0012】
すなわち、ガイド孔の内部には、その長手方向一側および他側に前記ガイドピンによって区分された二つの空間部が形成されているとともに、当該ガイドピンの外周に形成されたガイド面と、ガイド孔の内周に形成された被ガイド面とが摺接していて、これらガイド面および被ガイド面の隙間を介して前記二つの空間部の間をオイルが流通可能に構成されている。そして、本発明では、それら二つの空間部を互いに連通させるように、前記ガイドピンおよび容量調整部材の少なくとも一方に連通路を設けたものである。
【0013】
前記のような可変容量型のオイルポンプでは、ポンプハウジング内に収容された容量調整部材の変位に応じて、ポンプ容量(入力軸の1回転あたりの吐出量)が変更される。この際、容量調整部材の変位する方向は、そのガイド孔に挿入されたガイドピンによって規制される。そして、その容量調整部材の変位に連れてガイド孔の内部では、その長手方向にガイドピンが相対変位することになる。
【0014】
このときにはガイドピンの外周面(ガイド面)と、これと摺接するガイド孔の内周面(被ガイド面)との間の隙間を流通して、ガイド孔内の二つの空間部の間をオイルが行き来するとともに、これら二つの空間部を互いに連通させる連通路もオイルが流通するようになる。こうしてガイドピンとガイド孔の隙間だけでなく、連通路もオイルが流通することにより、その流通抵抗が低減され、これにより容量調整部材の変位が速くなるので、ポンプ容量の制御の応答性の向上が図られる。
【0015】
好ましくは、前記連通路の断面積を、前記ガイドピンの外周面(ガイド面)と、これに摺接する前記ガイド孔の内周面(被ガイド面)との隙間の断面積よりも大きく設定することであり、こうすれば、ガイド孔内の二つの空間部を行き来するオイルの流通抵抗を低減する効果が高い。
【0016】
また、前記連通路の具体的な構造として好ましいのは、前記ガイドピンの軸方向の一部分に他の部分よりも断面積の小さな小断面積部を設けて、この小断面積部においてガイドピンの外周面に形成される窪みを前記連通路とすることである。こうすると、ガイドピンの外形を変更するという簡単な構造で、容易に連通路を構成できる。
【0017】
その場合に、ガイドピンの外周の前記窪みの部分はガイド面としての機能を失うので、この窪みに対応する小断面積部をガイドピンの軸方向の中間部に設け、ガイドピンの軸方向の両端部における外周面はガイド面として機能させることが好ましい。こうすれば、ガイドピンによるガイド機能の安定化が図られる。
【0018】
また、前記ガイドピンの小断面積部には、前記他の部分に近づくに連れて徐々に断面積が増大する断面積徐変部を設けてもよく、この場合は、ガイドピンの先端部を小断面積部としてもよい。こうすると、ガイドピンの先端部を除いた大部分の外周面がガイド機能を発揮するようになるので、ガイド機能を担保しやすい。しかも、ガイドピンの先端部が先細りのテーパ状となるので、このガイドピンをポンプハウジングの鋳造時に一体成形する場合の型抜きが容易になる。
【0019】
但し、それらの構造に限定されることなく、前記連通路は例えば、前記ガイドピンを貫通して二つの空間部を互いに連通させるように設けてもよいし、ガイドピンではなく前記ガイド孔の内周面に、当該ガイド孔の長手方向に延びるように溝部を設けてもよい。また、ガイド孔の形成された容量調整部材の内部に連通路を穿孔してもよく、さらに、それらを適宜、組み合わせて連通路を構成することも可能である。
【0020】
ところで、前記のように容量調整部材に設けたガイド孔が、ポンプハウジング内に形成された低油圧室を介して吸入ポートに連通している場合があり、この場合はオイルポンプの吸入側の負圧がガイド孔の内部に作用することになる。この場合には、前述したようにガイド孔内でガイドピンが相対変位する際に、これに伴い容積が拡大する方の空間部において負圧が増大(圧力が低下)し、キャビテーションが発生するおそれがある。
【0021】
これに対し本発明によれば、前述したようにガイド孔内でガイドピンが相対変位する際に、二つの空間部を行き来するオイルの流通抵抗が低減されることにより、容積の拡大する方の空間部における負圧の増大(圧力の低下)が抑制される。よって、キャビテーションの発生を抑制する効果が期待できる。
【0022】
また、前記オイルポンプとして具体的には、ギヤポンプ、ベーンポンプ、ピストンポンプなど種々の構造が考えられるが、例えば内接ギヤポンプであって、前記入力軸により回転される外歯車のドライブロータと、これに噛み合って回転される内歯車のドリブンロータとを備えていてもよい。
【0023】
この場合、前記容量調整部材は、前記ドリブンロータを外周から回転自在に保持する環状の保持部を備え、ポンプハウジング内に形成された制御油圧室の油圧を受けて変位するように構成し、前記容量可変機構としては、前記の容量調整部材の変位によってドライブロータおよびドリブンロータの吸入ポートおよび吐出ポートに対する相対的な位置を変化させて、吐出量を変更するように構成すればよい。
【0024】
このような構造の内接ギヤポンプにおいては、可変容量機構の動作の際に、回転しながらオイルを圧送するドリブンロータおよびこれを保持する容量調整部材を変位させなくてはならず、大きな力が必要になる。そこで、上述の如く容量調整部材が変位する際の抵抗を低減できる、という本発明の作用効果が特に有効なものとなる。
【発明の効果】
【0025】
本発明に係る可変容量型オイルポンプによると、容量調整部材の変位をガイド孔に挿入したガイドピンによって規制する場合に、このガイドピンによってガイド孔の内部に区分される二つの空間部を、互いに連通させるように連通路を設けている。これにより、そのガイドピンのガイド孔内での相対変位に伴い、ガイドピンとガイド孔との隙間だけでなく、連通路もオイルが流通するようになって、二つの空間部を行き来するオイルの流通抵抗が低減される。よって、容量可変機構の動作を高速化して、ポンプ容量の制御の応答性を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0026】
図1】本発明の実施の形態に係るオイルポンプの構造を示す図であって、ポンプ容量が最大の状態を示す。
図2】同オイルポンプの容量が小さい状態を示す図1相当図である。
図3】(a)は、調整リングのガイド孔およびガイドピンを模式的に示す説明図であり、(b)は、縮径部を設けた第1実施例に係るガイドピンの斜視図である。
図4】ガイドピンの外周面に溝部を設けた第2実施例に係る図3相当図である。
図5】ガイドピンの先端側にテーパ部を設けた第3実施例に係る図3相当図である。
図6】ガイドピンに貫通孔を設けた第4実施例に係る図3相当図である。
図7】ガイド孔の内周面に溝部を設けた第5実施例に係る図3(a)相当図である。
図8】調整リングの内部に連通路を設けた第6実施例に係る図7相当図である。
【発明を実施するための形態】
【0027】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。本実施形態では、一例として自動車に搭載されるエンジンのオイル供給系統に本発明を適用した場合について説明するが、これに限ることはない。本実施形態の記載はあくまで例示に過ぎず、本発明の構成や用途などについても限定するものではない。
【0028】
−オイルポンプの全体構成−
以下、オイルポンプ1の全体的な構成について図1および図2を参照して説明する。これらの各図に示すようにオイルポンプ1は、入力軸2により回転される外歯車のドライブロータ3と、これに噛み合って回転される内歯車のドリブンロータ4と、を備えた内接ギヤポンプである。ドリブンロータ4の外周は調整リング5によって保持されており、この調整リング5は、後述するようにドライブロータ3およびドリブンロータ4を変位させて、ポンプ容量を変更する容量調整部材として機能する。
【0029】
また、オイルポンプ1のハウジング10は一例として深皿状の鋳物であって、図1,2に示すようにエンジン前方から見ると、全体としては上下に長い概略矩形状となっている。このハウジング10の全周を取り囲むように周壁11が形成されていて、見方を変えると、この周壁11に囲まれてハウジング10の概ね全体に、エンジンの前方(図の手前側)に向かって開放する凹部12が形成されている。
【0030】
この凹部12が、ハウジング10に前方から重ね合わされるカバー(図示せず)によって閉ざされて、前記のドライブロータ3、ドリブンロータ4、調整リング5などを収容する収容凹部12となる。収容凹部12の底部には、その中央付近から図1,2において少し上寄りの部位に円形断面の貫通孔(図には示さず)が形成され、ここに入力軸2が挿通されている。
【0031】
図示しないが、入力軸2の一端部にはポンプスプロケットが取り付けられて、チェーンにより駆動されるようになっている。一方、この入力軸2の他端部には例えばスプライン(図示せず)によって前記ドライブロータ3が取り付けられている。このドライブロータ3には、外周にトロコイド曲線またはトロコイド曲線に近似した曲線(例えばインボリュート、サイクロイドなど)を有する外歯3aが複数(図の例では11個)、形成されている。
【0032】
一方、ドリブンロータ4はリング状に形成され、その内周には前記ドライブロータ3の外歯3aと噛み合うような複数の内歯4aが形成されている。この内歯4aの歯数は、ドライブロータ3の外歯3aの歯数よりも1つ多く(図の例では12)なっている。また、ドリブンロータ4の中心はドライブロータ3の中心に対して所定量、偏心しており、その偏心している側(図1の右上側)においてドライブロータ3の外歯3aとドリブンロータ4の内歯4aとが噛み合っている。
【0033】
ドリブンロータ4の外周は、調整リング5のリング状の本体部50(保持部)によって摺動可能に保持されており、こうして保持されたドライブロータ3およびドリブンロータ4によって、本実施形態では11葉12節のトロコイドポンプが構成されている。すなわち、図1,2に表れているように2つのロータ3,4の間の環状の空間には、円周方向に並んで複数の作動室Rが形成され、これらの作動室Rが、2つのロータ3,4の回転に連れて円周方向に移動しながら、その容積が増減するようになっている。
【0034】
より詳しくは、2つのロータ3,4の歯が互いに噛み合う位置(図1では右上の位置)から、図1に矢印で示すロータ回転方向(図中の時計回りの方向)に約180度に亘る範囲(図1では右側の範囲)において、2つのロータ3,4の回転に連れて徐々に作動室Rの容積が増大してゆく。一方、残りの約180度に亘る範囲(図1では左側の範囲)では、ロータ3,4の回転に連れて徐々に作動室Rの容積が減少してゆく。
【0035】
そのように2つのロータ3,4の間で徐々に作動室Rの容積が増大してゆく範囲が、吸入ポート13からオイルを吸入する吸入範囲となり、反対に徐々に作動室Rの容積が減少してゆく範囲が、オイルを加圧しながら吐出ポート14へ送り出す吐出範囲となる。すなわち、図1,2に破線で示すように、ハウジング10の収容凹部12の底面には、前記の吸入範囲に対応して吸入ポート13が形成され、また、吐出範囲に対応して吐出ポート14が形成されている。
【0036】
本実施形態の吸入ポート13は、その下流端部13aが前記のように吸入範囲に対応して収容凹部12の底部に溝状に形成されるとともに、同じく収容凹部12の底部に形成された中間溝部13bによって、収容凹部12の底面に開口するポート上流部13cに連通されている。図示はしないが、ポート上流部13cはハウジング10の内部に形成されていて、その上流端部がオイルストレーナに繋がる配管に接続されている。
【0037】
図1,2に表れているように吸入ポート13の中間溝部13bは、後述するガイド孔54内に臨んでおり、また、収容凹部12の底部に開口するポート上流部13cの開口は、ハウジング10内(収容凹部12内)に形成される低油圧室TL(後述する)に臨んでいる。一方、吐出ポート14は、図1,2に破線で示すように、前記の吐出範囲に対応して収容凹部12の底部に開口し、ハウジング10内を延びて上流端が図示しないオイルポンプ1の吐出口に連通している。
【0038】
このように構成されたオイルポンプ1は、エンジンのクランクシャフトの回転力がチェーンを介してポンプスプロケットに伝えられ、入力軸2が駆動されることにより、ドライブロータ3およびドリブンロータ4が互いに噛み合いながら回転し、それらの間に形成される作動室Rに吸入ポート13からオイルを吸い込んで、吐出ポート14から吐出するようになっている。
【0039】
なお、前述したように吸入ポート13および吐出ポート14をハウジング10に形成する代わりに、ハウジング10に重ね合わされるカバーに形成してもよいし、吸入ポート13および吐出ポート14のいずれか一方をハウジング10に形成し、他方をカバーに形成してもよい。また、吸入ポート13および吐出ポート14を、ハウジング10およびカバーの両方に形成してもよい。
【0040】
−容量可変機構−
本実施形態のオイルポンプ1は、前記のようにドライブロータ3の1回転毎に吐出されるオイルの量、即ちポンプ容量が変更可能な容量可変機構を備えている。この容量可変機構は、ハウジング10の収容凹部12内に形成される制御油圧室TCの油圧によって調整リング5を変位させるものである。この調整リング5の変位によって、ドライブロータ3およびドリブンロータ4の吸入ポート13および吐出ポート14に対する相対的な位置が変化し、ポンプ容量が変更される。
【0041】
詳しくは前記調整リング5は、前記のようにドリブンロータ4を保持するリング状の本体部50と、この本体部50の外周からそれぞれ外方に張り出す第1および第2の張出部51,52と、この第1の張出部51の外周からさらに外方に延びるアーム部53とが一体に形成されたものである。そして、アーム部53に作用するコイルバネ6の押圧力によって調整リング5は、入力軸2の周りを図1の時計回りに回動(変位)するように付勢されている。
【0042】
そのように調整リング5が変位する方向は、ハウジング10の収容凹部12の底面に突設されたガイドピン7,7によって規制されている。すなわち、調整リング5の二つの張出部51,52には、図示のように断面が長穴状のガイド孔54,55が形成されており、その内部にそれぞれ前記ガイドピン7が摺動可能に挿入されている。これにより、調整リング5の変位がガイド孔54,55の延びる方向、即ちガイド孔54,55の断面の長手方向に規制される。なお、ガイド孔54,55およびガイドピン7について詳しくは後述する。
【0043】
また、前記調整リング5のアーム部53は、ハウジング10の収容凹部12内に並んで形成される制御油圧室TCと低油圧室TLとの間を仕切っている。このアーム部53の外周には第1のシール材56が配設されて、対向するハウジング10の周壁11と摺接しながら、前記調整リング5の変位に伴い移動するようになっている。この第1のシール材56によって、制御油圧室TCと低油圧室TLとの間のオイルの流通が制限されている。
【0044】
前記低油圧室TLは、図1においては収容凹部12内の下部から調整リング5の右側を迂回してその上部に亘り、当該調整リング5の外周とハウジング10の周壁11とによって囲まれる領域に形成されている。そして、上述したように低油圧室TLに臨んで吸入ポート13の中間溝部13bやポート上流部13cの開口が設けられているので、この低油圧室TLは、ドライブロータ3およびドリブンロータ4の回転によるオイルの吸い込み圧を受けて、大気圧よりも低い状態(負圧)になる。
【0045】
一方、制御油圧室TCは、調整リング5の外周とハウジング10の周壁11とによって囲まれ、かつ、その調整リング5の外周に設けられた第2のシール材58と、前記第1のシール材56とによってオイルの流れが制限される領域に形成されている。すなわち、調整リング5の外周には、図1において左上に突出するように突起部57が形成され、この突起部57に配設された前記第2のシール材58が、調整リング5の変位に伴い、ハウジング10の周壁11と摺接しながら移動するようになっている。
【0046】
なお、前記第1および第2のシール材56,58は、いずれも調整リング5の厚み(図1,2の紙面に直交する方向の寸法)と同程度の寸法を有し、耐摩耗性に優れた樹脂材などによって形成されている。
【0047】
そして、前記の制御油圧室TCに臨んで収容凹部12の底面には制御油圧の供給口15が開口し、図中には仮想線で示す制御油路16を介してオイルコントロールバルブ(図示せず)からの制御油圧を供給するようになっている。この制御油圧によってアーム部53には、調整リング5を図1,2の反時計回りに回動させるような押圧力が作用し、この押圧力とコイルバネ6の押圧力(付勢力)とがバランスするように、調整リング5の位置が決まることになる。
【0048】
そのような制御油圧の調整によって調整リング5を変位させ、オイルポンプ1の容量を変更することができる。すなわち、制御油圧が小さいときに調整リング5は、コイルバネ6の押圧力によって、図1に示す最大ポンプ容量位置に向かって付勢されている。そして、制御油圧が大きくなると、これを受けた調整リング5がコイルバネ6の押圧力に抗して図1,2の反時計回りに回動(変位)し、一例を図2に示すようにポンプ容量が小さくなってゆく。
【0049】
−ガイドピンおよびガイド孔−
上述したように本実施形態においては、前記の調整リング5の変位の方向をガイド孔54,55およびガイドピン7によって規制している。このガイドピン7による規制構造は二つのガイド孔54,55の両方で概ね同じなので、以下、調整リング5の第1の張出部51に設けたガイド孔54について説明する。
【0050】
図3(a)に模式的に示すように、概略円柱状のガイドピン7の外周面は、ガイド孔54の内周面(被ガイド面)に摺接するガイド面とされており、前記のようにポンプ容量を変更すべく調整リング5を変位させるときには、この変位に伴いガイド孔54の内周面がガイドピン7の外周面によって案内される。これにより、調整リング5の変位する方向がガイド孔54の断面の長手方向(以下、単にガイド孔の長手方向ともいう)に規制される。
【0051】
そうして調整リング5が変位するのに伴い、例えば図3(a)に示す破線から実線のようにガイド孔54がその長手方向に変位するときに、このガイド孔54に対して相対的にはガイドピン7が変位する。すなわち、ガイド孔54の内部はガイドピン7によって長手方向の一側および他側の二つの空間部A,Bに区分されていて、その内部においてガイドピン7がガイド孔54の長手方向に相対変位し、これにより二つの空間部A,Bの容積が変化する。
【0052】
例えば図3(a)における破線から実線のようにガイド孔54が変位し、このガイド孔54に対し相対的に下向きにガイドピン7が変位するときには、ガイド孔54内の長手方向一側(図の上側)の空間部Aの容積が増大し、長手方向他側(図の下側)の空間部Bの容積が減少する。このため、図中に実線の矢印oilとして示すように、ガイドピン7の外周面とこれに摺接するガイド孔54の内周面との隙間を、空間部Bから空間部Aに向かって(図中上向きに)オイルが流通するようになる。
【0053】
ここで、調整リング5の変位の方向を精度良く規制するためには、ガイドピン7の外周面と、これに摺接するガイド孔54の内周面との隙間を十分に狭くしなくてはならないので、この狭い隙間を流通するオイルの流通抵抗が大きくなってしまい、調整リング5の作動の抵抗も大きくなる。特に低温時のようにオイルの粘性が高いときには抵抗がかなり大きくなってしまい、調整リング5の変位が遅くなることから、ポンプ容量の制御の応答性が低下する懸念があった。
【0054】
これに対し本実施形態では、前記のようにガイド孔54の内部においてガイドピン7によって区分された二つの空間部A,Bを互いに連通させるように、ガイドピン7および調整リング5の少なくとも一方に連通路を設けている。
【0055】
(連通路の第1実施例)
具体的には前記図3(a)に破線7aとして表すとともに、図3(b)にはガイドピン7の斜視図に示すように、本実施形態(第1の実施例)ではガイドピン7の軸方向の中間部(一部分)に縮径部7a(他の部分よりも断面積の小さな小断面積部)を設けている。ガイドピン7はハウジング10とは別体とし、その製造工程で縮径部7aを一体成形するか、または機械加工によって形成すればよい。
【0056】
このように設けた縮径部7aにおいてガイドピン7の外周に形成される窪み70(図3(b)にのみ符号を付す)が連通路となって、前記のように調整リング5の変位に伴い、ガイド孔54内でガイドピン7が相対変位するときには、図3(a)に破線の矢印oilで示すように、連通路(窪み70)を流通してオイルが二つの空間部A,Bを行き来するようになる。よって、ガイドピン7の外周面とガイド孔54の内周面との隙間のみを流通する場合に比べて、オイルの流通抵抗を低減できる。
【0057】
また、図3に示す例では、ガイドピン7の軸方向の中央部に軸方向長さで1/3くらいの範囲を縮径部7aとし、軸方向の両端側におけるそれぞれ1/3くらいの範囲は、ガイドピン7の外周面をガイド面として機能させるようにしている。こうすれば、そのガイドピン7の両端側のガイド面によってガイド孔54の内周面(被ガイド面)、即ち調整リング5の変位する方向をガイドする機能の安定化が図られる。
【0058】
より好ましいのは、前記連通路(窪み70)の断面積を、ガイドピン7の外周のガイド面と、これに摺接するガイド孔54の内周の被ガイド面との隙間の断面積(図3(b)に仮想線で示す被ガイド面との間に誇張して示す範囲Cの面積)よりも大きく設定することである。こうすると、ガイド孔54内の二つの空間部A,Bを行き来するオイルの流通抵抗を低減する効果が極めて高くなる。
【0059】
以上、説明したように本実施形態に係る可変容量型のオイルポンプ1では、ハウジング10に収容した調整リング5を変位させることにより、ポンプ容量を変更することができる。この際、調整リング5に形成されたガイド孔54,55に挿入されているガイドピン7によって、調整リング5の変位する方向がガイド孔54,55の長手方向に規制されることになる。
【0060】
そうして調整リング5がガイド孔54,55の長手方向に変位するとき、そのガイド孔54,55の内部においては長手方向にガイドピン7が相対変位することになる。このときにはガイドピン7の外周面と、これに摺接するガイド孔54,55の内周面との間の隙間を流通して、ガイド孔54,55内の二つの空間部A,Bの間をオイルが行き来するとともに、ガイドピン7の外周に形成された連通路(窪み70)にもオイルが流通するようになる。
【0061】
このため、前記ガイドピン7の外周面とガイド孔54,55の内周面との隙間を十分に狭くして、調整リング5の変位の方向を精度良く規制するようにしていても、この隙間だけでなく連通路(窪み70)も流通するオイルの流通抵抗は十分に低減できる。これにより調整リング5の変位を速くして、ポンプ容量の制御の応答性を高めることができる。このことは、特に低温時のようにオイルの粘性が高いときに有効である。
【0062】
(第2実施例)
図4には、ガイドピン7の軸方向の中間部(一部分)の外周に、概ね半周の間隔を空けて一対の溝部71,71を形成し、この中間部を他の部分よりも断面積の小さな小断面積部とした第2の実施例を示す。この一対の溝部71,71もガイドピン7の製造工程において一体成形または機械加工すればよい。また、各溝部71の断面積は、ガイドピン7外周のガイド面とガイド孔54内周の被ガイド面との隙間の断面積よりも大きく設定することが好ましい。
【0063】
そして、前記のように溝部71を形成したガイドピン7を、その溝部71の延びる向きがガイド孔54,55の長手方向となるようにハウジング10に取り付ける。こうすると、溝部71は、ガイド孔54内の二つの空間部A,Bを互いに連通させる連通路となる。そして、調整リング5の変位に伴いガイド孔54内でガイドピン7が相対変位するときには、オイルが連通路(溝部71)を流通して二つの空間部A,Bの間で行き来するようになる。
【0064】
この例のように一対の溝部71,71を設ける場合は、前述の第1の実施例のように縮径部7aを設けるのに比べて、ガイドピン7の剛性および強度を高めやすいが、前記のように溝部71の方向を合わせてハウジング10に取り付ける必要がある。また、この第2の実施例でも、溝部71を除いたガイドピン7の軸方向両端部の外周面がガイド孔54の内周面(被ガイド面)と摺接するので、ガイド機能の安定化が図られる。
【0065】
(第3実施例)
図5には、ガイドピン7の先端側(図の上側)を小断面積部とし、かつ先細りのテーパ部7b(断面積徐変部)として、このテーパ部7bの周囲の空間72を連通路とした第3の実施例を示す。このテーパ部7bもガイドピン7の製造工程において一体成形するか、または機械加工すればよい。或いは、ガイドピン7自体を、ハウジング10の鋳造時にその収容凹部12の底部に一体成形するようにしてもよく、この場合にはガイドピン7の先端側がテーパ部7bとなっているため、型抜きが容易になる。
【0066】
この例によると、前述の第1の実施例と同様に、ガイドピン7のテーパ部7b(小断面積部)の周囲の空間72(図5(b)にのみ符号を付す)が連通路となって、オイルが流通するようになるので、その流通抵抗を低減できる。一方でテーパ部7bを除いたガイドピン7の基端部および中間部の外周面は、ガイド孔54の内周面(被ガイド面)と摺接するガイド面となって、ガイド機能を担保することができる。
【0067】
なお、テーパ部7bの大きさは、その周囲の空間72を流通するオイルの流路断面積が、ガイドピン7外周のガイド面とガイド孔54内周の被ガイド面との隙間の断面積よりも大きくなるように設定するのが好ましい。
【0068】
(第4実施例)
図6には、ガイドピン7を貫通するように連通路(貫通孔73)を設けた第4の実施例を示す。この貫通孔73もガイドピン7の製造工程において一体成型するか、または機械加工すればよい。この例でも連通路(貫通孔73)をオイルが流通することによって、その流通抵抗を低減できる。
【0069】
この第4の実施例では、ガイドピン7の外周面全体がガイド面となり、ガイド孔54の内周面(被ガイド面)と摺接するので、ガイド機能を担保し易い。但し、前述の第2の実施例と同様にガイドピン7を、貫通孔73の延びる向きがガイド孔54,55の長手方向となるようにハウジング10に取り付ける必要がある。なお、貫通孔73の断面積は、ガイドピン7外周のガイド面とガイド孔54内周の被ガイド面との隙間の断面積よりも大きく設定することが好ましい。
【0070】
(第5実施例)
図7には、連通路をガイドピン7ではなく、その外周面が摺接するガイド孔54の内周面に開口する溝部54aとして設けた第5の実施例を示す。この溝部54aは、ハウジング10の製造工程においてガイド孔54と一体成型するか、またはガイド孔54の成形後に機械加工すればよい。
【0071】
図示のように溝部54aはガイド孔54の長手方向に延びていて、その一端部(図7の上端部)はガイド孔54の長手方向一側の端部(図7の上端部)に位置し、ガイド孔54の長手方向について最も一側(図7の上側)寄りにガイドピン7が位置するときにも、一側の空間部Aに臨むようになっている。一方、溝部54aの他端部(図7の下端部)は、ガイド孔54の長手方向他側の端部(図7の下端部)に位置し、ガイド孔54の長手方向について最も他側(図7の下側)寄りにガイドピン7が位置するときにも、他側の空間部Bに臨むようになっている。
【0072】
このように形成した溝部54aは、ガイド孔54内をガイドピン7が相対変位するときに、その位置に依らずガイド孔54内の二つの空間部A,Bを連通させる連通路となり、そのガイドピン7の相対変位に伴いオイルが連通路(溝部71)を流通して、二つの空間部A,Bの間で行き来するようになる。なお、溝部54aの断面積は、ガイドピン7外周のガイド面とガイド孔54内周の被ガイド面との隙間の断面積よりも大きく設定することが好ましい。
【0073】
(第6実施例)
図8には、調整リング5の内部に形成した連通路59の両端部をそれぞれガイド孔54の内周面に開口させた第6の実施例を示す。この連通路59は、ハウジング10の製造工程においてガイド孔54の成形後に、例えばドリルなどによって穿孔して形成することができる。
【0074】
図示のように連通路59はガイド孔54の長手方向に延びていて、その一端部(図8の上側の端部)は、ガイド孔54の長手方向一側の端部(図8の上端部)において空間部Aに臨んで開口している。また、連通路59の他端部(図8の下側の端部)は、ガイド孔54の長手方向他側の端部(図8の下端部)において空間部Bに臨んで開口している。なお、連通路59の断面積は、ガイドピン7外周のガイド面とガイド孔54内周の被ガイド面との隙間の断面積よりも大きく設定することが好ましい。
【0075】
前記のように形成された連通路59は、ガイドピン7がガイド孔54内を相対変位するときに、その位置に依らず、即ちガイド孔54の長手方向について最も一側(図8の上側)寄りに位置するときにも、反対に最も他側(図8の下側)寄りに位置するときにも、二つの空間部A,Bを連通させる。よって、前記のガイドピン7の相対変位に伴いオイルが連通路59を流通して、二つの空間部A,Bの間で行き来するようになる。
【0076】
−他の実施形態−
以上、説明した実施形態は、自動車用のエンジンのオイルポンプ1に本発明を適用した場合について説明したが、これに限らず本発明は、自動車以外に搭載されるエンジンのオイルポンプとしても適用可能である。勿論、エンジンの気筒数や形式(V型や水平対向型等)には何ら限定されず、また、燃料の種類(ガソリン、軽油、ガス等)にも限定されない。さらに、本発明はトランスミッションのオイルポンプとしても適用可能である。
【0077】
また、前記第1〜6の実施例として、ガイドピン7やガイド孔54,55に設ける連通路の具体例を示したが、これらも例示に過ぎず、本発明の構成を限定することはない。即ち、例えば第1実施例の縮径部7aや第4実施例の貫通孔73を一つではなく複数、設けてもよいし、第2実施例の溝部71を一つだけにしてもよい。また、第5実施例の溝部54aや第6実施例の連通路59も二つ以上、設けてもよい。
【0078】
さらに、それらの縮径部7a、溝部71、貫通孔73、溝部54a、連通路59などを設ける位置についても前記第1〜6の実施例には限定されないし、縮径部7a、溝部71、貫通孔73、溝部54a、連通路59などを適宜、組み合わせて設けてもよい。
【0079】
さらにまた、前記の実施形態に記載したオイルポンプ1の全体的な構造も例示に過ぎない。例えば調整リング5を付勢するためにコイルバネ6を用いる代わりに、板バネなど種々の弾性部材を用いることができる。また、オイルポンプも内接式ギヤポンプに限らず、例えばベーンポンプやピストンポンプ等、種々の可変容量型オイルポンプに本発明は適用可能である。
【産業上の利用可能性】
【0080】
本発明は、エンジンなどに装備される可変容量型オイルポンプにおいて、ポンプ容量を変更する際の応答性を高めることができるので、運転状態の変化が大きな自動車のエンジンなどに適用して効果が高い。
【符号の説明】
【0081】
1 オイルポンプ
2 入力軸
3 ドライブロータ
4 ドリブンロータ
5 調整リング(容量調整部材:容量可変機構)
50 本体部(環状の保持部)
54、55 ガイド孔
54a 溝部(連通路)
59 連通路
7 ガイドピン
7a 縮径部(小断面積部)
7b テーパ部(断面積徐変部)
70 窪み(連通路)
71 溝状の窪み(連通路)
72 テーパ部の周囲の空間(連通路)
73 貫通孔(連通路)
10 ハウジング(ポンプハウジング)
13 吸入ポート
14 吐出ポート
TC 制御油圧室
TL 低油圧室
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8