【解決手段】運転者のキー操作等でエンジンの始動操作が行われると、車両ECU39によりスタータリレー14と能動素子6u,6v,6wとがオンに切り替えられる。また、車両ECU39によりリングギアがスタータ15のエンジンのピニオンギアにかみ合う位置に移動する。スタータリレー14と能動素子6u,6v,6wとがオンになることで、二次電池2から能動素子6u,6v,6wとステータコイル12u,12v,12wとスタータリレー14とを経由して、スタータ15への電流の経路ができ、この電流の経路を電流が流れる。
前記回転電機の駆動コイルがΔ結線であり、前記駆動コイルは前記回転電機の駆動コイルに接続された結線切り替えスイッチによって星形結線に切り替えることが可能であり、
前記回転電機の中性点は、前記回転電機の各相の駆動コイルを星形結線に切り替えた場合の中性点である、請求項2又は3に記載のスタータ起動回路。
前記回転電機の駆動コイルがΔ結線であり、前記駆動コイルは前記回転電機の駆動コイルに接続された結線切り替えスイッチによって星形結線に切り替えることが可能である、請求項1に記載のスタータ起動回路。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、この発明の実施の形態を添付図面に基づいて説明する。
実施の形態1
この発明の実施の形態1に係るスタータ起動回路を
図1に示す。このスタータ起動回路1は、マイクロハイブリッド自動車(マイクロHV車)である車両に設けられているものであり、直流電源である二次電池2と平滑コンデンサ3とを備えている。二次電池2と平滑コンデンサ3とは並列に接続されている。二次電池2に、インバータ4の入力側が接続されている。車両の走行用動力源として使用する回転電機であるモータ5がインバータ4の出力側に接続されており、モータ5は三相のブラシレス直流モータである。二次電池2からの電力供給により、インバータ4はモータ5を駆動させる。インバータ4には、上アームのスイッチング素子として能動素子6u,6v,6wが設けられ、下アームのスイッチング素子として7u,7v,7wが設けられている。能動素子6u,6v,6w,7u,7v,7wはPチャネル形MOSFETである。二次電池2の陽極から延びる配線をDCプラスライン8とし、陰極から延びスタータ起動回路1のグランドと共通である配線をDCマイナスライン9とすると、能動素子6u,6v,6wには、能動素子6u,6v,6wと並列に且つDCプラスライン8側にカソード端子が接続されるように還流ダイオード10u,10v,10wが設けられている。能動素子7u,7v,7wには、能動素子7u,7v,7wと並列に且つDCマイナスライン9側にアノード端子が接続されるように還流ダイオード11u,11v,11wが設けられている。この実施の形態1では、能動素子6u〜6w,7u〜7wはMOSFETであるので、それぞれの寄生ダイオードを還流ダイオードとして用いてもよい。平滑コンデンサ3とインバータ4とモータ5とは、モータジェネレータ−インバータ(MG−INV)16を構成している。
【0012】
モータ5は内部に駆動コイルである、U相のステータコイル12uと、V相のステータコイル12vと、W相のステータコイル12wとを有している。ステータコイル12uと、ステータコイル12vと、ステータコイル12wとは星形結線されており、中性点13にそれぞれ接続している。能動素子6uは、DCプラスライン8とステータコイル12uとの間に接続されている。能動素子7uは、DCマイナスライン9とステータコイル12uとの間に接続されている。能動素子6vは、DCプラスライン8とステータコイル12vとの間に接続されている。能動素子7vは、DCマイナスライン9とステータコイル12vとの間に接続されている。能動素子6wは、DCプラスライン8とステータコイル12wとの間に接続されている。能動素子7wは、DCマイナスライン9とステータコイル12wとの間に接続されている。能動素子6u,6v,6w,7u,7v,7wのゲートは、図示しないゲートドライバ回路に接続されており、ゲートドライバ回路は車両ECU39に接続されている。
【0013】
中性点13に、スタータリレー14が接続されている。スタータリレー14に、車両のエンジンを始動させるためのスタータ15が接続されている。スタータリレー14はオンオフの切り替えによりスタータ15に対して電流が流れるか流れないかを切り替えるリレーであり、車両ECU39からの指示によりオンオフの操作が可能である。スタータ15には、スタータ15用の回転電機である図示しないスタータモータと、スタータモータによって回転する図示しないスタータ15のピニオンギアとが設けられている。スタータ15のピニオンギアは、車両ECU39からの指示により、図示しないエンジンのリングギアに噛み合わない位置から噛み合う位置に移動することができる。
【0014】
次に、実施の形態1に係るスタータ起動回路の動作を説明する。
車両のエンジンが始動していない状態では、スタータリレー14と能動素子6u,6v,6w,7u,7v,7wとはオフの状態であり、スタータ15のピニオンギアは、エンジンのリングギアに噛み合わない位置にある。運転者のキー操作等でエンジンの始動操作が行われると、車両ECU39によりスタータリレー14と能動素子6u,6v,6wとがオンに切り替えられる。つまり、能動素子6u,6v,6wは、二次電池2とステータコイル12u,12v,12wとの接続をオンオフするスイッチング素子として動作する。また、車両ECU39により、スタータ15のピニオンギアがエンジンのリングギアにかみ合う位置に移動する。スタータリレー14と能動素子6u,6v,6wとがオンになることで、二次電池2から能動素子6u,6v,6wとステータコイル12u,12v,12wとスタータリレー14とを経由して、スタータ15への電流の経路ができ、この電流の経路を電流が流れる。スタータ15に電流が流れると、スタータ15の内部に設けられているスタータモータが回転し、スタータモータの回転力によりスタータ15のピニオンギアが回転する。スタータ15のピニオンギアの回転によりエンジンのリングギアが回転し、このリングギアの回転によりエンジンのクランクシャフトが回転することによってエンジンが始動する。
【0015】
この時、スタータ15を始動するときにスタータモータが設けられている回路に流れる電流は、スタータ15を始動するときの回路のインピーダンスと電源電圧とから決まる。この時の電圧方程式は、Vb=Rb×I+Lm×dI/dt+Rm×I+ωφで表される。ここで、Vbは二次電池2の電圧、Rbは二次電池2の内部抵抗、Iは回路に流れる電流、Lmはスタータモータのモータコイルのインダクタンス、tは時間、Rmはスタータモータのモータコイルの抵抗、ωはスタータモータの回転速度、φは逆起電力定数である。ωφはスタータモータの回転速度に比例するスタータモータの逆起電力であり、インピーダンスとして作用する。つまり、スタータモータが起動直後で回転速度が小さいときは、逆起電力ωφが小さいので、電流Iが大電流すなわち突入電流となる。
【0016】
図2に、スタータ15の起動時の時間tに対するスタータモータの回転速度ωと、時間tに対する二次電池2からスタータ15に流れる電流Iとの関係を表すグラフを示す。仮に、二次電池2とスタータリレー14とを直接接続していれば、スタータリレー14をオンした時間t1以降に二次電池2からの電流がスタータ15のスタータモータに直接流れるので、時間tと電流Iとの関係を表すグラフ中の点線で示すように、スタータモータの起動直後に突入電流が流れる。しかし、この実施の形態1では、二次電池2(
図1参照)からの電流がステータコイル12u,12v,12w(
図1参照)を経由してスタータモータに流れる。このため、突入電流はモータ5のステータコイル12u,12v,12wのインピーダンスにより、時間tと電流Iとの関係を表すグラフ中の実線で示すようにピーク電流が低減され、突入電流が低減される。
【0017】
エンジンが始動した後は、車両ECU39は、スタータ15のピニオンギアをエンジンのリングギアと噛み合わない位置に戻し、
図1に示すようにスタータリレー14と能動素子6u,6v,6wとをオフにする。これによりスタータ起動回路1によるスタータ15の始動が終了する。
【0018】
このように、スタータ15に、スタータ15への電力供給をオンオフするスタータリレー14とステータコイル12u、12v,12wとが直列接続され、スタータ15を起動するときに、スイッチがオンになりステータコイル12u、12v,12wと二次電池2とを接続することで、スタータ15の起動時の消費電力を低減しながらスタータ15への突入電流を低減することができる。
【0019】
実施の形態1ではスタータ15の起動時に車両ECU39が能動素子6u,6v,6wをオンにしていたが、車両ECU39が能動素子6u,6v,6wを間欠的にオンオフするスイッチング制御を行ってもよい。この場合、例えば能動素子6u,6v,6wのオンオフの切り替えによってスタータ15に電流を流す、流さないを切り替えることでスタータモータへの突入電流を低減し且つスタータモータの起動に必要な電流を得られるような能動素子6u,6v,6wのオンオフ時間のデューティー比を求め、そのデューティー比に従って能動素子6u,6v,6wを間欠的にオンオフするスイッチング制御を行う。
【0020】
実施の形態1ではスタータ起動回路1はマイクロHV車に設けられていたが、マイルドハイブリッド自動車のように、MG−INVを備える車両なら他の種類の車両であってもよい。
【0021】
実施の形態1では能動素子7u,7v,7wを設けていたが、能動素子7u,7v,7wを設けなくともよい。この場合、インバータ4はインバータとして動作するのではなくモータ5からの発電電流を整流する整流器として動作する。
【0022】
実施の形態2
次に、この発明の実施の形態2に係るスタータ起動回路を説明する。尚、以下の実施の形態において、
図1及び
図2の参照符号と同一の符号は、同一または同様な構成要素であるので、その詳細な説明は省略する。
この発明の実施の形態2に係るスタータ起動回路は、実施の形態1に対して、スタータ起動回路のMG−INVをオルタネータに変更したものである。
【0023】
図3に示すように、スタータ起動回路1’にはオルタネータ17が設けられている。オルタネータ17は整流器18と発電部19とを備え、整流器18と発電部19とは互いに接続されている。整流器18には、整流ダイオード20u,20v,20w,21u,21v,21wが設けられている。発電部19は三相同期発電機である。整流器18の整流器陽極側出力22にDCプラスライン8が接続されている。整流器18の整流器陰極側出力23に切り替えリレー24が接続されている。切り替えリレー24が
図3の番号1側に切り替わっている場合は、DCプラスラインと整流器陰極側出力23とが接続される。切り替えリレー20が番号2側に切り替わっている場合は、DCマイナスライン9と整流器陰極側出力23とが接続される。発電部19に、車両の図示しないエンジンの動力が例えばベルト等で伝達されることで、発電部19は回転して交流電力を発電し、その交流電力が整流器18で整流されて直流電流を出力することで、オルタネータ17が機能する。
【0024】
発電部19は内部に、駆動コイルであるU相のステータコイル25uと、V相のステータコイル25vと、W相のステータコイル25wとを有している。ステータコイル25uと、ステータコイル25vと、ステータコイル25wとは星形結線されており、中性点26にそれぞれ接続している。整流ダイオード20uは、整流器陽極側出力22とステータコイル25uとの間に接続されている。整流ダイオード21uは、整流器陰極側出力23とステータコイル25uとの間に接続されている。整流ダイオード20vは、整流器陽極側出力22とステータコイル25vとの間に接続されている。整流ダイオード21vは、整流器陰極側出力23とステータコイル25vとの間に接続されている。整流ダイオード20wは、整流器陽極側出力22とステータコイル25wとの間に接続されている。整流ダイオード21wは、整流器陰極側出力23とステータコイル25wとの間に接続されている。その他の構成は実施の形態1と同じである。
【0025】
次に、この発明の実施の形態2に係るスタータ起動回路の動作を説明する。
車両のエンジンが始動していない状態では、スタータリレー14はオフの状態であり、切り替えリレー24は番号1側にも番号2側にも導通していない中間位置にあり、スタータ15のピニオンギアはエンジンのリングギアに噛み合わない位置にある。運転者のキー操作等でエンジンの始動操作が行われると、車両ECU39によりスタータリレー14がオンに切り替えられ、同時に切り替えリレー24が番号1側に切り替えられる。また、車両ECU39によりスタータ15のピニオンギアがエンジンのリングギアにかみ合う位置に移動する。スタータリレー14がオンになり、切り替えリレー24が番号1側に切り替えられることで、二次電池2からDCプラスライン8と切り替えリレー24と整流器陰極側出力23と整流ダイオード21u,21v,21wとステータコイル25u,25v,25wとスタータリレー14とを経由して、スタータ15への電流の経路ができ、この電流の経路を電流が流れる。つまり切り替えリレー24は二次電池2からスタータ15へ流れる電流の経路を、整流ダイオード21u,21v,21wとステータコイル25u,25v,25wとスタータリレー14とを経由するように切り替える切り替えスイッチとして動作する。スタータ15に電流が流れると、スタータ15の内部に設けられているスタータモータが回転し、スタータモータの回転力によりピニオンギアが回転する。ピニオンギアの回転によりリングギアが回転し、リングギアの回転によりエンジンのクランクシャフトが回転することによってエンジンが始動する。
【0026】
この実施の形態2では、二次電池2からの電流がステータコイル25u,25v,25wを経由してスタータモータに流れる。したがって、実施の形態1と同様に、二次電池からの電流を直接スタータ15のスタータモータに流す場合と比較して、発電部19のステータコイル25u,25v,25wのインピーダンスにより実施の形態1と同様の原理でピーク電流が低減され、突入電流が低減される。
【0027】
エンジンが始動した後は、車両ECU39は、スタータ15のピニオンギアをエンジンのリングギアと噛み合わない位置に戻し、スタータリレー14をオフにし、切り替えリレー24を番号2側に切り替える。これにより、スタータ起動回路1’によるスタータ15の始動が終了し、オルタネータ17は通常のオルタネータとしての動作が可能になる。
【0028】
このように、オルタネータ17を備えるスタータ起動回路1’において、切り替えリレー24によって二次電池2からの電流の流れる経路をステータコイル25u,25v,25wを流れる経路に切り替えることで、実施の形態1と同じくスタータモータへの突入電流を低減することができ、さらにスタータ15起動時の消費電力を低減することができる。
【0029】
実施の形態2ではスタータ起動回路1’はマイクロHV車に設けられていたが、マイルドハイブリッド自動車のように、オルタネータを備える車両なら他の種類の車両であってもよい。
【0030】
実施の形態2では、発電部19は三相同期発電機であったが、ステータコイル25u,25v,25wを備えるものであれば他の種類の発電機又はモータであってもよい。また、少なくとも2相以上の電流を使用する発電部19であってもよい。この場合、相の数に応じて整流器18の相の数も変更する。
【0031】
実施の形態2では、整流器18に整流ダイオード20u,20v,20w,21u,21v,21wが設けられていたが、整流器18の代わりにインバータを設け、インバータの還流ダイオードを整流ダイオード20u,20v,20w,21u,21v,21wとして用いてもよい。
【0032】
実施の形態3
次に、この発明の実施の形態3に係るスタータ起動回路を説明する。
この発明の実施の形態3に係るスタータ起動回路は、実施の形態1に対して、MG−INVの外部にスタータを起動するためのリレーを設けたものである。
【0033】
図4に示すように実施の形態3に係るスタータ起動回路1”には、MG−INV16の外部に外部スタータリレー27が設けられている。外部スタータリレー27は、DCプラスライン8と、ステータコイル12wの中性点13に接続されていない側とに接続されている。外部スタータリレー27は、図示しない車両ECU39によりオンオフ制御を行うことが可能である。スタータリレー14が、ステータコイル12wの中性点13に接続されていない側とスタータ15とに接続されている。その他の構成は実施の形態1と同じである。なお、
図4ではインバータ4の内部の構成は省略している。
【0034】
次に、この発明の実施の形態3に係るスタータ起動回路の動作を説明する。
車両のエンジンが始動していない状態では、スタータリレー14と外部スタータリレー27とはオフの状態であり、スタータ15のピニオンギアはエンジンのリングギアに噛み合わない位置にある。運転者のキー操作等でエンジンの始動操作が行われると、車両ECU39によりスタータリレー14と外部スタータリレー27とがオンに切り替えられる。また、車両ECU39によりスタータ15のピニオンギアにエンジンのリングギアがかみ合う位置に移動する。スタータリレー14と外部スタータリレーがオンになることで、二次電池2からDCプラスライン8と外部スタータリレー27とステータコイル12wとステータコイル12uとスタータリレー14とを経由して、スタータ15への電流の経路ができ、この電流の経路を電流が流れる。つまり、外部スタータリレー27は二次電池2とステータコイル12wとステータコイル12uとの接続をオンオフするスイッチとして動作する。スタータ15に電流が流れると、スタータ15の内部に設けられているスタータモータが回転し、スタータモータの回転力によりスタータ15のピニオンギアが回転する。スタータ15のピニオンギアの回転によりエンジンのリングギアが回転し、このリングギアの回転によりエンジンのクランクシャフトが回転することによってエンジンが始動する。
【0035】
この実施の形態3では、二次電池2からの電流がステータコイル12wとステータコイル12uとを経由してスタータモータに流れる。したがって、実施の形態1と同様に、二次電池からの電流を直接スタータ15のスタータモータに流す場合と比較して、ピーク電流がモータ5のステータコイル12wとステータコイル12uとのインピーダンスにより実施の形態1と同様の原理で低減され、突入電流が低減される。
【0036】
エンジンが始動した後は、車両ECU39は、スタータ15のピニオンギアをエンジンのリングギアと噛み合わない位置に戻し、スタータリレー14と外部スタータリレー27とをオフに切り替える。これによりスタータ起動回路1”によるスタータ15の始動が終了する。
【0037】
このように、MG−INV16を備えるスタータ起動回路1”において、外部スタータリレー27を設けて二次電池2からの電流の流れる経路をステータコイル12wとステータコイル12uとを流れる経路に切り替えることで、実施の形態1と同じくスタータモータへの突入電流を低減することができ、さらにスタータ15の起動時の消費電力を低減することができる。
【0038】
実施の形態3ではスタータ起動回路1”はマイクロハイブリッド自動車に設けられていたが、マイルドハイブリッド自動車のように、MG−INVを備える車両なら他の種類の車両であってもよい。
【0039】
実施の形態3ではスタータ15の起動時に車両ECU39が外部スタータリレー27をオンにしていたが、車両ECU39が外部スタータリレー27を間欠的にオンオフするスイッチング制御を行ってもよい。この場合、例えば外部スタータリレー27のオンオフの切り替えによってスタータ15に電流を流す、流さないを切り替えることで、スタータモータへの突入電流を低減し且つスタータモータの起動に必要な電流を得られるような外部スタータリレー27のオンオフ時間のデューティー比を求め、そのデューティー比に従って外部スタータリレー27を間欠的にオンオフするスイッチング制御を行う。
【0040】
実施の形態3ではスタータ起動回路1”はMG−INVを備えていたが、実施の形態2のようにオルタネータを備えていてもよい。
【0041】
実施の形態3では外部スタータリレー27は一つだけ設けられていたが、
図5に示すように、MG−INVの外部に、DCプラスライン8とステータコイル12uの中性点13に接続されていない側との間に外部スタータリレー27uを設け、DCプラスライン8とステータコイル12vの中性点13に接続されていない側との間に外部スタータリレー27vを設け、DCプラスライン8とステータコイル12wの中性点13に接続されていない側との間に外部スタータリレー27wを設け、中性点13とスタータ15との間にスタータリレー14を設けてもよい。この場合、スタータの起動時にスタータリレー14と外部スタータリレー27u,27v,27wとを同時にオンに切り替えることによって、実施の形態3と同じ効果を得ることができる。
【0042】
実施の形態3では、外部スタータリレー27,27u,27v,27wが設けられていたが、MOSFET等の半導体スイッチであってもよい。
【0043】
実施の形態4
次に、この発明の実施の形態4に係るスタータ起動回路を説明する。
この発明の実施の形態4に係るスタータ起動回路は、実施の形態1に対して、モータ5の結線を星形結線からΔ結線に変更したものである。
【0044】
この発明の実施の形態4に係るスタータ起動回路101を
図6に示す。スタータ起動回路101はMG−INV16’を備えている。MG−INV16’はモータ31を備えている。モータ31は、Δ結線の三相のブラシレス直流モータであり、駆動コイルであるステータコイル32u,32v,32w,33u,33v,33wが設けられている。ステータコイル32u,33uがインバータ4のU相の出力とV相の出力との間に接続されてモータ31のU相の結線を構成している。同じくステータコイル32v,33vがインバータ4のV相の出力とW相の出力との間に接続されてモータ31のV相の結線を構成している。さらにステータコイル32w,33wがインバータ4のW相の出力とU相の出力との間に接続されてモータ31のW相の結線を構成している。そしてステータコイル32u,33uと、ステータコイル32v,33vと、ステータコイル32w,33wとはΔ結線されている。MG−INV16’の外部には、ステータコイル32uとステータコイル33uとが接続されている点からステータコイル32wとステータコイル33wとが接続されている点までの間に結線切り替えスイッチ能動素子34が設けられている。同様に、ステータコイル32vとステータコイル33vとが接続されている点からステータコイル32wとステータコイル33wとが接続されている点までの間に結線切り替えスイッチ能動素子35が設けられている。結線切り替えスイッチ能動素子34,35はPチャネル形MOSFETである。結線切り替えスイッチ能動素子34,35と並列に、結線切り替えスイッチ還流ダイオード36,37が、ステータコイル33wと接続する点をカソード側にして設けられている。結線切り替えスイッチ能動素子34と結線切り替えスイッチ還流ダイオード36とで、結線切り替えスイッチ29を構成している。結線切り替えスイッチ能動素子35と結線切り替えスイッチ還流ダイオード37とで、結線切り替えスイッチ30を構成している。この結線切り替えスイッチ還流ダイオード36,37も寄生ダイオードを用いてもよいし、結線切り替えスイッチ能動素子34,35も、Nチャネル形MOSFETや、バイポーラトランジスタなど他の種類の能動素子を用いてもよい。結線切り替えスイッチ能動素子34,35のゲートに、モータ結線切り替え出力線28が接続されている。モータ結線切り替え出力線28は、図示しない結線切り替え指示装置に接続されている。ステータコイル32wとステータコイル33wとが接続されている点に、スタータリレー14が設けられている。その他の構成は実施の形態1と同じである。
【0045】
次に、この発明の実施の形態4に係るスタータ起動回路の動作を説明する。
車両のエンジンが始動していない状態では、スタータリレー14と結線切り替えスイッチ29,30とはオフの状態であり、スタータ15のピニオンギアはエンジンのリングギアに噛み合わない位置にある。運転者のキー操作等でエンジンの始動操作が行われると、図示しない結線切り替え指示装置により結線切り替えスイッチ29,30がオンに切り替えられる。
【0046】
結線切り替えスイッチ29,30がオンに切り替わると、モータ31の結線は、オン状態の結線切り替えスイッチ能動素子34,35とそれらに並列な結線切り替えスイッチ還流ダイオード36,37とを省略して記載すると、
図7に示すような結線と等価になる。つまり、結線切り替えスイッチ能動素子34,35がオンに切り替わった時のモータ31は、ステータコイル32uに対してステータコイル33wと、ステータコイル33uに対してステータコイル32vと、ステータコイル33vに対してステータコイル32wとがそれぞれ組となって並列に結線されるようになる。そして各並列に結線されたステータコイルのそれぞれの組は、中性点38に星形結線されるようになる。さらに、中性点38にスタータリレー14が接続されるようになる。つまり、結線切り替えスイッチ29,30をオンにすることにより、ステータコイルをΔ結線から星形結線に切り替えることが可能である。モータ31が星形結線に切り替えられた後はスタータ起動回路101は実施の形態1と同じ構成であるため、これ以降は、実施の形態1のように能動素子6u,6v,6wとスタータリレー14とをオンにすることで、実施の形態1と同様にスタータ15起動時の突入電流を低減することができる。
【0047】
このように、Δ結線のモータ31が設けられたスタータ起動回路101においても、ステータコイル32uとステータコイル33uとが接続されている点からステータコイル32wとステータコイル33wとが接続されている点までの間に、結線切り替えスイッチ29を設け、ステータコイル32vとステータコイル33vとが接続されている点からステータコイル32wとステータコイル33wとが接続されている点までの間に、結線切り替えスイッチ30を設け、モータ31のステータコイルを星形結線に切り替えることにより、設けられたスタータ起動回路101の構成が実施の形態1のスタータ起動回路1と同じ構成となるので、実施の形態1と同じ効果を得ることができる。
【0048】
実施の形態4では、スタータ起動回路101 は実施の形態1と同様にMG−INV16’を備えていたが、実施の形態2と同様にオルタネータ17を備えていてもよい。この場合、発電部19がΔ結線の三相同期発電機である。
【0049】
実施の形態1,3及び4では能動素子6u,6v,6w,7u,7v,7wはPチャネル形MOSFETであったが、Nチャネル形MOSFETや、バイポーラトランジスタなど他の種類の能動素子を用いてもよい。
【0050】
実施の形態1,3及び4ではモータ5は三相のブラシレス直流モータであったが、ステータコイル12u,12v,12wを備え、インバータ4で制御されるモータであれば他の種類のモータであってもよい。また、インバータで制御される少なくとも2相以上の電流を使用するモータであってもよい。この場合、モータの相の数に応じてインバータの相の数も変更する。
【0051】
実施の形態1〜4では、スタータリレー14を設けていたが、スタータリレー14の代わりにMOSFET等の半導体スイッチを設けてもよい。
【0052】
実施の形態1〜4では、二次電池2からスタータ15への電流を、ステータコイル12u,12v,12w,25u,25v,25w,32u,32v,32w,33u,33v,33wに流すようにスタータ起動回路1,1’,1”,101を構成していたが、この形態に限定するものではない。駆動コイルがロータに巻かれた形状のモータである場合は、二次電池2からスタータ15への電源をロータコイルに流すようにスタータ起動回路を構成してもよい。この場合には、ロータコイルが駆動コイルを構成する。