特開2015-232314(P2015-232314A)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2015.5.11 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2015-232314(P2015-232314A)
(43)【公開日】2015年12月24日
(54)【発明の名称】エンジン始動装置
(51)【国際特許分類】
   F02N 15/06 20060101AFI20151201BHJP
   F02N 15/02 20060101ALI20151201BHJP
   F16D 1/10 20060101ALI20151201BHJP
   F16D 41/06 20060101ALI20151201BHJP
   F16D 27/118 20060101ALI20151201BHJP
   H02K 7/10 20060101ALI20151201BHJP
【FI】
   F02N15/06 D
   F02N15/02 D
   F02N15/02 A
   F16D1/10 Z
   F16D41/06 Z
   F16D27/10 361
   H02K7/10 E
【審査請求】有
【請求項の数】9
【出願形態】OL
【全頁数】22
(21)【出願番号】特願2015-19024(P2015-19024)
(22)【出願日】2015年2月3日
(31)【優先権主張番号】特願2014-101941(P2014-101941)
(32)【優先日】2014年5月16日
(33)【優先権主張国】JP
(71)【出願人】
【識別番号】000006013
【氏名又は名称】三菱電機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100073759
【弁理士】
【氏名又は名称】大岩 増雄
(74)【代理人】
【識別番号】100088199
【弁理士】
【氏名又は名称】竹中 岑生
(74)【代理人】
【識別番号】100094916
【弁理士】
【氏名又は名称】村上 啓吾
(74)【代理人】
【識別番号】100127672
【弁理士】
【氏名又は名称】吉澤 憲治
(72)【発明者】
【氏名】水野 大輔
(72)【発明者】
【氏名】北野 弘明
(72)【発明者】
【氏名】亀井 光一郎
(72)【発明者】
【氏名】加藤 健介
(72)【発明者】
【氏名】松原 健修
(72)【発明者】
【氏名】佐々木 善弘
(72)【発明者】
【氏名】岡田 好由
(72)【発明者】
【氏名】小田原 一浩
【テーマコード(参考)】
5H607
【Fターム(参考)】
5H607BB04
5H607BB14
5H607CC03
5H607DD03
5H607EE03
5H607EE10
5H607EE18
5H607EE31
5H607EE36
5H607FF02
(57)【要約】
【課題】エンジンの逆回転中やリングギア等が摩耗していてもピニオンギアとリングギアを噛み合わせることができるエンジン始動装置を提供する。
【解決手段】ピニオン移動体部は、エンジンのリングギアと噛み合いトルクを伝達するピニオンギアがモータ回転によるトルク伝達方向に対して初期に空転しながら噛み合い、噛み合い後にピニオンギアが回転することによりモータのトルクをピニオンギアに伝達可能となる伝達部を備えている。
【選択図】図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
モータ部と、
エンジンに設けられたリングギアに噛み合い得るピニオンギア部を備え、前記モータ部の出力軸にヘリカルスプライン結合され軸方向に移動可能に形成されたピニオン移動体部と、
前記ピニオン移動体部を前記ピニオンギア部が前記リングギアと噛み合う位置に移動させる押し出し機構部と、前記モータ部への通電電流をオン/オフするスイッチ部とを有するソレノイドスイッチ部と、
を備えたエンジン始動装置であって、
前記ピニオン移動体部は、モータ部の出力軸からのトルクを、前記ピニオンギア部に伝達し又は遮断する伝達部を備え、
前記伝達部は、
前記ピニオン移動体部が前記リングギアと噛み合う位置まで移動して前記ピニオンギア部が前記リングギアと噛み合うまでの間は、前記トルクの前記ピニオンギア部への伝達を遮断し、前記ピニオン移動体部が前記リングギアと噛み合う位置まで移動して前記ピニオンギア部が前記リングギアに噛み合うことにより、前記トルクを前記ピニオンギア部に伝達することが可能となるように構成され、
前記ピニオンギア部は、前記伝達部が前記ピニオンギア部への前記トルクの伝達を遮断しているときは、回転方向にかかわらず自由回転が可能に構成されている、
ことを特徴とするエンジン始動装置。
【請求項2】
前記伝達部は、
前記ピニオンギア部とヘリカルスプライン結合されており、且つ軸方向への自由移動と回転方向にかかわらず自由回転が可能に支持されており、
前記ピニオン移動体部が前記リングギアと噛み合う位置まで移動して前記ピニオンギア部が前記リングギアに噛み合うことにより、前記ヘリカルスプライン結合の作用に基づいて前記ピニオンギア部から離れる方向に所定位置まで移動することにより、前記トルクを前記ピニオンギア部に伝達することが可能となるように構成されている、
ことを特徴とする請求項1に記載のエンジン始動装置。
【請求項3】
前記ピニオン移動体部は、
前記リングギアと噛み合った前記ピニオンギア部が、前記リングギアを介して前記エンジンにより駆動され前記出力軸の回転よりも高速で回転する場合に、空転するオーバーランニングクラッチ部と、前記オーバーランニングクラッチ部の出力側に結合されたクラッチ出力軸部とを備え、
前記伝達部は、前記クラッチ出力軸部に軸方向への自由移動と回転方向にかかわらず自由回転が可能に支持されており、前記所定位置まで移動したとき、前記クラッチ出力軸部と結合して前記クラッチ出力軸部を介して前記トルクを前記リングギアに伝達するように構成されている、
ことを特徴とする請求項2に記載のエンジン始動装置。
【請求項4】
前記クラッチ出力軸部は、前記クラッチ出力軸部の軸方向に垂直な面に対して所定の角度で傾斜するクラッチ出力軸トルク伝達突起面を備え、
前記伝達部は、前記伝達部の軸方向に垂直な面に対して所定の角度で傾斜する伝達部トルク伝達突起面を備え、
前記クラッチ出力軸部と前記伝達部とは、ばね部材により互いに離反する方向に常時付勢されており、
前記伝達部は、前記所定位置まで移動したとき、前記伝達部トルク伝達突起面が前記クラッチ出力軸トルク伝達突起面と結合することにより、前記クラッチ出力軸部を介して前記トルクを前記リングギアに伝達する、
ことを特徴とする請求項3に記載のエンジン始動装置。
【請求項5】
モータ部と、
エンジンに設けられたリングギアに噛み合い得るピニオンギア部を備え、前記モータ部の出力軸にヘリカルスプライン結合され軸方向に移動可能に形成されたピニオン移動体部と、
前記ピニオン移動体部を前記ピニオンギア部が前記リングギアと噛み合う位置に移動させる押し出し機構部と、前記モータ部への通電電流をオン/オフするスイッチ部とを有するソレノイドスイッチ部と、
を備えたエンジン始動装置であって、
前記ピニオン移動体部は、前記モータ部の出力軸からのトルクを、前記ピニオンギア部に伝達し又は遮断する伝達部を備え、
前記伝達部は、
前記ピニオン移動体部が前記リングギアと噛み合う位置まで移動して前記ピニオンギア部が前記リングギアに対して前記軸方向に所定の寸法まで噛み合った場合に、前記リングギアの側面部に当接して前記伝達部のリングギア側への移動を阻止するリングギア当接部を有し、前記リングギア当接部が前記リングギアの側面部に当接するまでは前記トルクの前記ピニオンギア部への伝達を遮断し、前記リングギア当接部が前記リングギアの側面部に当接した後は、前記トルクを前記ピニオンギア部に伝達することが可能となるように構成され、
前記ピニオンギア部は、前記伝達部が前記ピニオンギア部への前記トルクの伝達を遮断しているときは、回転方向にかかわらず自由回転が可能に構成されている、
ことを特徴とするエンジン始動装置。
【請求項6】
前記伝達部は、
前記ピニオンギア部とヘリカルスプライン結合されており、前記リングギア当接部が前記リングギアの前記側面部に当接した後は、前記ヘリカルスプライン結合の作用に基づいて前記ピニオンギア部から離れる方向に前記軸方向に所定位置まで移動して前記リングギア当接部を前記リングギアの側面部から離反させる、
ことを特徴とする請求項5に記載のエンジン始動装置。
【請求項7】
前記ピニオン移動体部は、
前記リングギアと噛み合った前記ピニオンギア部が、前記リングギアを介して前記エンジンにより駆動され前記出力軸の回転よりも高速で回転する場合に、空転するオーバーランニングクラッチ部と、前記オーバーランニングクラッチ部の出力側に結合されたクラッチ出力軸部とを備え、
前記伝達部は、
前記クラッチ出力軸部に軸方向への自由移動と回転方向にかかわらず自由回転が可能に支持されており、前記所定位置まで移動したとき、前記クラッチ出力軸部と結合して前記クラッチ出力軸部を介して前記トルクを前記リングギアに伝達するように構成されている、
ことを特徴とする請求項6に記載のエンジン始動装置。
【請求項8】
前記クラッチ出力軸部は、クラッチ出力軸トルク伝達突起面を備え、
前記伝達部は、伝達部トルク伝達突起面を備え、
前記クラッチ出力軸部と前記伝達部とは、ばね部材により互いに離反する方向に常時付勢されており、
前記伝達部は、前記所定位置まで移動したとき、前記伝達部トルク伝達突起面が前記クラッチ出力軸トルク伝達突起面と結合することにより、前記クラッチ出力軸部を介して前記トルクを前記リングギアに伝達する、
ことを特徴とする請求項7に記載のエンジン始動装置。
【請求項9】
前記クラッチ出力軸トルク伝達突起面と前記伝達部トルク伝達突起面との噛み合いが完了した後の前記軸方向の噛み合いの寸法は、前記噛み合いが完了した後の前記リングギア当接部と前記リングギアの側面部との間のギャップの寸法よりも大きくなるように設定されている、
ことを特徴とする請求項8に記載のエンジン始動装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、エンジンを始動するためのエンジン始動装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
通常、エンジンを始動するためのエンジン始動装置は、エンジンが停止している状態でエンジンの始動動作を行う。従って、エンジン始動装置に設けられたピニオンギアは、エンジンに設けられたリングギアが回転していない状態で、リングギアとの噛み合わせが行われていた。しかし、近年では低燃費化のためにアイドリングストップを行うシステムが普及しており、アイドリングストップを行うシステムに使用するエンジン始動装置に於いては、エンジン始動装置の使用頻度が高いためリングギアやピニオンギアの摩耗による損傷が進行し、ピニオンギアとリングギアの噛み合い失敗を引き起こすことがある。又、アイドリングストップを行うシステムに於いては、エンジンの再始動性を確保するため、リングギアの回転中にもピニオンギアをリングギアと噛み合わせることがある。
【0003】
例えば、アイドリングストップした瞬間であってエンジンの回転がまだ止まっていない状態で再始動要求が入った場合、或いはエンジンの停止状態から再始動の際に時間を短縮する必要がある場合には、リングギアの回転中に事前にピニオンギアとリングギアの噛み合わせを行なうようにしている。
【0004】
このような場合に、リングギアの回転中にピニオンギアを噛み合わせる方法としては、ピニオンギアの回転数とリングギアの回転数が所定の回転数差の間にあるときに噛み合わせている。更に、エンジンの逆回転時のピニオンギアとリングギアの噛み合い等は衝撃が大きくなる可能性があるため、エンジン始動装置に設けられているモータの回転開始タイミングを通常より遅らせる制御をすることが可能なスイッチを用いてモータの回転開始タイミングを遅らせ、エンジンの逆回転時に於けるピニオンギアとリングギアの噛み合いを避けることによりピニオンギアとリングギアの噛み合わせによる衝撃を回避するようにしたエンジン始動装置が提案されている(例えば、特許文献1参照)。
【0005】
更に、ピニオンギアとリングギアの噛み合いによる衝撃を緩和するために、エンジン始動装置の減速機構部に衝撃緩和手段を設けることで、ピニオンギアとリングギアの噛み合わせによる衝撃を緩和するようにしたエンジン始動装置も提案されている。(例えば、特許文献2参照)。又、リングギアやピニオンギアの摩耗による損傷が大きくなるとこれらのギアの噛み合い性は悪くなり、エンジンの逆回転速度が大きい場合は、ピニオンギアとリングギアの噛み合いによる衝撃が大きくなるだけでなく、ピニオンギアとリングギアの噛み合いの失敗が発生するため、エンジンの逆回転時の噛み合いを抑制する制御を実施することもある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2012−031819号公報
【特許文献2】特許第5272879号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
前述の従来のエンジン始動装置の場合、エンジンが惰性回転中にピニオンギアとリングギアを噛み合わせる際に、リングギアの回転速度が速い場合には、ピニオンギアがオーバーランニングクラッチ部により空転してリングギアの回転数と同期することで噛み合うことが可能となるが、エンジンの逆回転中の場合には、ピニオンギアは回転することができないため、リングギアに噛み合った瞬間の衝撃を全てエンジン始動装置を構成する機構側で受ける必要があるだけでなく、ピニオンギアとリングギアが同期して噛み合うということではないため、ピニオンギアとリングギアが衝突して噛み合う際に、ピニオンギアとリングギアの回転方向の噛み合い代が少なく、それらのギアの摩耗面等で噛み合うと、ピニオンギアに対する軸方向の反力により、ピニオンギアが大きく反リングギア側に弾き飛ばされることになる。ピニオンギアが反リングギア側に弾き飛ばされるとモータの回転が開始されてモータの回転速度が速くなり、ピニオンギアが空転する状態となりピニオンギアとリングギアは噛み合うことができず噛み合い失敗となる。
【0008】
このように、ピニオンギアとリングギアの噛み合いに際し、リングギアに対してピニオンが反リングギア側に弾き出される現象は、エンジン惰性回転中でなくてもこれ等のギアの摩耗量が大きくなれば起こり得るものである。
【0009】
この発明は、従来のエンジン始動装置に於ける前述のような課題を解決するためになされたもので、エンジンの逆回転中やリングギア等が摩耗していてもピニオンギアとリングギアを噛み合わせることができるエンジン始動装置を得ることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
この発明によるエンジン始動装置は、
モータ部と、
エンジンに設けられたリングギアに噛み合い得るピニオンギア部を備え、前記モータ部の出力軸にヘリカルスプライン結合され軸方向に移動可能に形成されたピニオン移動体部と、
前記ピニオン移動体部を前記ピニオンギア部が前記リングギアと噛み合う位置に移動させる押し出し機構部と、前記モータ部への通電電流をオン/オフするスイッチ部とを有するソレノイドスイッチ部と、
を備えたエンジン始動装置であって、
前記ピニオン移動体部は、前記モータ部の出力軸からのトルクを、前記ピニオンギア部に伝達し又は遮断する伝達部を備え、
前記伝達部は、
前記ピニオン移動体部が前記リングギアと噛み合う位置まで移動して前記ピニオンギア部が前記リングギアと噛み合うまでの間は、前記トルクの前記ピニオンギア部への伝達を遮断し、前記ピニオン移動体部が前記リングギアと噛み合う位置まで移動して前記ピニオンギア部が前記リングギアに噛み合うことにより、前記トルクを前記ピニオンギア部に伝達することが可能となるように構成され、
前記ピニオンギア部は、前記伝達部が前記ピニオンギア部への前記トルクの伝達を遮断しているときは、回転方向にかかわらず自由回転が可能に構成されている、
ことを特徴とするものである。
【0011】
又、この発明によるエンジン始動装置は、
モータ部と、
エンジンに設けられたリングギアに噛み合い得るピニオンギア部を備え、前記モータ部の出力軸にヘリカルスプライン結合され軸方向に移動可能に形成されたピニオン移動体部と、
前記ピニオン移動体部を前記ピニオンギア部が前記リングギアと噛み合う位置に移動させる押し出し機構部と、前記モータ部への通電電流をオン/オフするスイッチ部とを有するソレノイドスイッチ部と、
を備えたエンジン始動装置であって、
前記ピニオン移動体部は、前記モータ部の出力軸からのトルクを、前記ピニオンギア部に伝達し又は遮断する伝達部を備え、
前記伝達部は、
前記ピニオン移動体部が前記リングギアと噛み合う位置まで移動して前記ピニオンギア部が前記リングギアに対して前記軸方向に所定の寸法まで噛み合った場合に、前記リングギアの側面部に当接して前記伝達部のリングギア側への移動を阻止するリングギア当接部を有し、前記リングギア当接部が前記リングギアの側面部に当接するまでは前記トルクの前記ピニオンギア部への伝達を遮断し、前記リングギア当接部が前記リングギアの側面部に当接した後は、前記トルクを前記ピニオンギア部に伝達することが可能となるように構成され、
前記ピニオンギア部は、前記伝達部が前記ピニオンギア部への前記トルクの伝達を遮断しているときは、回転方向にかかわらず自由回転が可能に構成されている、
ことを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0012】
この発明によるエンジン始動装置によれば、モータ部と、エンジンに設けられたリングギアに噛み合い得るピニオンギア部を備え、前記モータ部の出力軸にヘリカルスプライン結合され軸方向に移動可能に形成されたピニオン移動体部と、前記ピニオン移動体部を前記ピニオンギア部が前記リングギアと噛み合う位置に移動させる押し出し機構部と、前記モータ部への通電電流をオン/オフするスイッチ部とを有するソレノイドスイッチ部と、を備えたエンジン始動装置であって、前記ピニオン移動体部は、モータ部の出力軸からのトルクを、前記ピニオンギア部に伝達し又は遮断する伝達部を備え、前記伝達部は、前記ピニオン移動体部が前記リングギアと噛み合う位置まで移動して前記ピニオンギア部が前記リングギアと噛み合うまでの間は、前記トルクの前記ピニオンギア部への伝達を遮断し、前記ピニオン移動体部が前記リングギアと噛み合う位置まで移動して前記ピニオンギア部が前記リングギアに噛み合うことにより、前記トルクを前記ピニオンギア部に伝達することが可能となるように構成され、前記ピニオンギア部は、前記伝達部が前記ピニオンギア部への前記トルクの伝達を遮断しているときは、回転方向にかかわらず自由回転が可能に構成されているので、逆回転中でもピニオンを噛み合わせることが可能となり、ギアが摩耗しても噛み合い失敗を抑制することができる。
【0013】
又、この発明によるエンジン始動装置によれば、モータ部と、エンジンに設けられたリングギアに噛み合い得るピニオンギア部を備え、前記モータ部の出力軸にヘリカルスプライン結合され軸方向に移動可能に形成されたピニオン移動体部と、前記ピニオン移動体部を前記ピニオンギア部が前記リングギアと噛み合う位置に移動させる押し出し機構部と、前記モータ部への通電電流をオン/オフするスイッチ部とを有するソレノイドスイッチ部とを備えたエンジン始動装置であって、前記ピニオン移動体部は、前記モータ部の出力軸からのトルクを、前記ピニオンギア部に伝達し又は遮断する伝達部を備え、前記伝達部は、前記ピニオン移動体部が前記リングギアと噛み合う位置まで移動して前記ピニオンギア部が前記リングギアに対して前記軸方向に所定の寸法まで噛み合った場合に、前記リングギアの側面部に当接して前記伝達部のリングギア側への移動を阻止するリングギア当接部を有し、前記リングギア当接部が前記リングギアの側面部に当接するまでは前記トルクの前記ピニオンギア部への伝達を遮断し、前記リングギア当接部が前記リングギアの側面部に当接した後は、前記トルクを前記ピニオンギア部に伝達することが可能となるように構成され、前記ピニオンギア部は、前記伝達部が前記ピニオンギア部への前記トルクの伝達を遮断しているときは、回転方向にかかわらず自由回転が可能に構成されているので、低騒音で摩耗も少なく、且つ、ピニオン移動体部を押し出すためのレバーやプランジャを移動させるストロークも小さくすることができ、小型化を達成することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】この発明の実施の形態1によるエンジン始動装置の分解斜視図である。
図2】この発明の実施の形態1によるエンジン始動装置の断面図である。
図3】この発明の実施の形態1によるエンジン始動装置に於ける、ピニオン移動体部の分解斜視図である。
図4】この発明の実施の形態1によるエンジン始動装置に於ける、クラッチ出力軸部の斜視図である。
図5】この発明の実施の形態1によるエンジン始動装置に於ける、伝達部の斜視図である。
図6】この発明の実施の形態1によるエンジン始動装置に於ける、ピニオンギア部の斜視図である。
図7】この発明の実施の形態1によるエンジン始動装置に於ける、リングギアとピニオンギア部の初期位置を示す断面図である。
図8A】この発明の実施の形態1によるエンジン始動装置に於いて、ピニオンギア部がリングギアに当接して噛み合いが進んでいく状態を示す断面図である。
図8B】この発明の実施の形態1によるエンジン始動装置に於いて、ピニオンギア部がリングギアに当接して噛み合いが進んでいく状態を示す平面図である。
図9】この発明の実施の形態1によるエンジン始動装置に於いて、ピニオンギア部がリングギアとの噛み合いが終了した状態を示す平面図である。
図10】この発明の実施の形態1によるエンジン始動装置に於いて、ピニオンギア部とリングギアとの間でトルクが伝達されている状態を示す断面図である。
図11】この発明の実施の形態2によるエンジン始動装置に於ける、ピニオンギア移動体部の分解斜視図である。
図12】この発明の実施の形態2によるエンジン始動装置に於ける、リングギアとピニオンギア部の初期位置を示す断面図である。
図13】この発明の実施の形態2によるエンジン始動装置に於ける、ピニオンギア部がリングギアに直接噛み合った場合の断面図である。
図14】この発明の実施の形態2によるエンジン始動装置に於ける、伝達部とクラッチ出力軸が初期噛み合いをした場合の断面図である。
図15】この発明の実施の形態2によるエンジン始動装置に於ける、ピニオンギア部とリングギアがトルクの伝達をしているときの断面図である。
図16】この発明の実施の形態2によるエンジン始動装置に於ける、伝達部の斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
実施の形態1.
以下、この発明の実施の形態1によるエンジン始動装置を図に基づいて詳細に説明する。図1は、この発明の実施の形態1によるエンジン始動装置の分解斜視図である。図1に示すこの発明の実施の形態1によるエンジン始動装置は、モータ部10と、出力軸20と、ピニオン移動体部30と、ソレノイドスイッチ部40と、プランジャ50と、レバー60と、ブラケット70と、出力軸ストッパ80とを備えている。
【0016】
モータ部10は、エンジンを始動するための回転力を発生する。出力軸20は、モータ部10に減速ギア部90を介して結合されている。ピニオン移動体部30は、出力軸20に対して、後述するクラッチヘリカルスプライン部38aと出力軸ヘリカルスプライン部20aとによりヘリカルスプライン結合され、出力軸20の周面を出力軸20の軸方向に回転しながら摺動することができる。
【0017】
ソレノイドスイッチ部40は、車両のキースイッチがオンされたとき、若しくはエンジン制御装置(以下、ECUと称する)からエンジン始動装置にオン指令が発動されたときに内部に設けられた吸引コイルが付勢され、プランジャ50を吸引する。レバー60は、ほぼ中央部が回動自在に支持され、一端がプランジャ50に係合され他端がピニオン移動体部30に係合されている。吸引コイルとプランジャ50とレバー60は、ピニオン移動体部30をピニオンギア部がリングギアと噛み合う位置に移動させる押し出し機構部を構成している。
【0018】
出力軸ストッパ80は、ピニオン移動体部30が反モータ部10側に所定位置まで移動した際にその移動を停止させる。ブラケット70は、モータ部10と、出力軸20と、ピニオン移動体部30と、ソレノイドスイッチ部40とからなる夫々の構成部品を、エンジン側に固定する。
【0019】
図2は、この発明の実施の形態1によるエンジン始動装置の断面図であって、エンジンに搭載された状態を示している。図2に於いて、エンジンの始動を行う場合は、車両のキースイッチをオンとするか、或いはECUからエンジン始動装置のオン指令を発動する。これにより、ソレノイドスイッチ部40の吸引コイル41に電流が流れて、プランジャ50が吸引コイル41に吸引される。プランジャ50が吸引コイル41に吸引されると、レバー60の一端がソレノイドスイッチ部40側に引き込まれ、レバー回転軸中心61を中心として図2の反時計方向に回転する。
【0020】
レバー60が反時計方向に回転すると、レバー60の他端がピニオン移動体部30を図2の右側つまり反モータ部10側に押し出し、その結果、出力軸20の周面に設けられている出力軸ヘリカルスプライン部20aに沿ってピニオン移動体部30が回転しながら図2の右方へ押し出される。更にプランジャ50が吸引コイル41に吸引されて接点軸42の端部に当接し、この接点軸42をバネ45を圧縮しながら図2の左方へ押し込む。これにより、接点軸42に設けられている移動接点部43が一対のモータ接点44a、44bを橋絡し、モータ部10への通電が開始され、モータ部10の回転子が回転する。
【0021】
図3は、この発明の実施の形態1によるエンジン始動装置に於ける、ピニオン移動体部の分解斜視図である。図3に於いて、ピニオン移動体部30は、オーバーランニングクラッチ部38と、クラッチ出力軸部37と、バネ部材としてのコイルバネ36と、伝達部35と、ピニオンギア部34と、ピニオンギアストッパ32と、ストッパ固定部材31とを備えている。
【0022】
ピニオンギア部34は、エンジンのリングギア100に噛み合ってリングギア100にトルクを伝達する。ピニオンギア部34は、伝達部35に対して、後述するピニオンギア部ヘリカルスプライン部34bと伝達部ヘリカルスプライン部35eとによりヘリカルスプライン結合され、伝達部35に対して軸方向に摺動することができる。ストッパ固定部材31は、ピニオンギアストッパ32をクラッチ出力軸部37の後述するトルク出力軸37dに固定する。オーバーランニングクラッチ部38は、後述する出力軸ヘリカルスプライン部20aとクラッチヘリカルスプライン部38aとにより、出力軸20に対してヘリカルスプライン結合され、出力軸20の軸方向に回転しながら移動することができる。
【0023】
クラッチ出力軸部37は、後述する図7図8A、及び図10によく示されているように、オーバーランニングクラッチ部38のクラッチ入力部38bに複数の結合ローラ38cを介して結合されている。クラッチ入力部38bからのトルクはクラッチ出力軸部37に伝達されるが、クラッチ出力軸部37からクラッチ入力部38bにはトルクは伝達されない。コイルバネ36は、クラッチ出力軸部37とピニオンギア部34との間に設けられ、クラッチ出力軸部37とピニオンギア部34とが互いに離反する方向にこれらを常時付勢している。
【0024】
図4は、この発明の実施の形態1によるエンジン始動装置に於ける、クラッチ出力軸部の斜視図である。図4に於いて、クラッチ出力軸部37は、トルク出力軸37dと、トルク出力軸37dに一体に形成されたトルク出力軸鍔構成体37fと、トルク出力軸鍔構成体37fの一方の軸方向端面に形成された複数のクラッチ出力軸トルク非伝達突起面37aと、トルク出力軸鍔構成体37fの一方の軸方向端面に形成された複数のクラッチ出力軸トルク伝達突起面37bと、クラッチ出力軸トルク非伝達突起面37aとクラッチ出力軸トルク伝達突起面37bとが結合する稜線により形成されたクラッチ出力軸突起先端部37cと、トルク出力軸鍔構成体37fの他方の軸方向端面に固定されたトルク入力軸37eを備えている。クラッチ出力軸トルク非伝達突起面37aとクラッチ出力軸トルク伝達突起面37bは、互いに逆方向に所定の角度で傾斜する傾斜面で構成されている。
【0025】
図5はこの発明の実施の形態1によるエンジン始動装置に於ける、伝達部の斜視図である。図5に於いて、伝達部35は、伝達部内周すべり面35cと、伝達部鍔構成体35fと、伝達部鍔構成体35fの一方の軸方向端面に固定された伝達部ヘリカルスプライン部35eと、伝達部鍔構成体35fの他方の軸方向端面に形成された複数の伝達部トルク非伝達突起面35aと、伝達部鍔構成体35fの他方の軸方向端面に形成された複数の伝達部トルク伝達突起面35bと、伝達部トルク非伝達突起面35aと伝達部トルク伝達突起面35bとの間に形成された平坦面である伝達部軸方向先端面35dとを備えている。伝達部トルク非伝達突起面35aと伝達部トルク伝達突起面35bとは、互いに逆方向に所定の角度で傾斜する傾斜面で構成されている。
【0026】
図6は、この発明の実施の形態1によるエンジン始動装置に於ける、ピニオンギア部の斜視図である。図6に於いて、ピニオンギア部34は、外周面に所定のピッチで設けられた複数個のピニオンギアトルク伝達歯面34aと、内周面に形成されたピニオンギア部ヘリカルスプライン部34bと、ピニオンギア軸方向先端面34cを備えている。
【0027】
図7は、この発明の実施の形態1によるエンジン始動装置に於ける、リングギアとピニオンギア部の初期位置を示す断面図であって、ピニオンギア部34がレバー60によってリングギア100側へ押し出される前の状態を示している。図7及び図2に示す初期位置では、ピニオンギア部34と伝達部35は、コイルバネ36の付勢力によりそれらの軸方向端面がピニオンギアストッパ32に当接した位置で停止している。この初期位置に於いては、図7及び図2に示すように、クラッチ出力軸部37のトルク出力軸鍔構成体37fと伝達部35の伝達部鍔構成体35fは互いに分離した状態にある。
【0028】
次に、前述したように車両のキースイッチをオンとするか、或いはECUからエンジン始動装置のオン指令が発動されると、ソレノイドスイッチ部40の吸引コイル41に電流が流れて、プランジャ50が吸引コイル41に吸引され、レバー60の一端がソレノイドスイッチ部40側に引き込まれる。その結果、レバー60は、レバー回転軸中心61を中心として図2の反時計方向に回転する。
【0029】
レバー60の反時計方向への回転により、オーバーランニングクラッチ部38は、図2及び図7に示す初期位置からリングギア100側に押し出され、出力軸ヘリカルスプライン部20aとヘリカルスプライン結合しているオーバーランニングクラッチ部38は、クラッチ出力軸部37とピニオンギア部34と共に回転しながら出力軸20を摺動してリングギア100の方向に移動し、ピニオンギア部34はリングギア100に当接する。ピニオンギア部34とリングギア100が当接すると、リングギア100とピニオンギア部34とがコイルバネ36を圧縮させながら噛み合いを開始する。
【0030】
このとき、リングギア100が逆回転中であったとしても、伝達部35の伝達部内周滑り面35cがクラッチ出力軸部37のトルク出力軸37dの外周面上で回転方向に関係なく自由に回転することができるように構成されているので、伝達部35とピニオンギア部34は自由に回転することができ、リングギア100とピニオンギア部34とがコイルバネ36を圧縮させながら噛み合いを開始することができる。
【0031】
図8Aはこの発明の実施の形態1によるエンジン始動装置に於いて、ピニオンギア部がリングギアに当接して噛み合いが進んでいく状態を示す断面図であって、伝達部35とピニオンギア部34とが初期位置の状態に保たれている状態を示している。図8Bはこの発明の実施の形態1によるエンジン始動装置に於いて、ピニオンギア部がリングギアに当接して噛み合いが進んでいく状態を示す平面図であって、伝達部35とヘリカルスプライン結合しているピニオンギア部34が伝達部35に対してリングギア100側に移動し、ピニオンギア軸方向先端面34cがピニオンギアストッパ32に当接した状態を示している。
【0032】
前述のようにしてリングギア100側に押し出されたピニオンギア部34がリングギア100に当接すると、リングギア100によりピニオンギア部34の軸方向への移動が抑制されるが、オーバーランニングクラッチ部38及びクラッチ出力軸部37は、コイルバネ36の弾性力に抗して、尚もリングギア100の方向に押し出されて移動し、ピニオンギア部34とリングギア100との噛み合いが進行し、その結果、クラッチ出力軸部37のクラッチ出力軸突起先端部37cが、伝達部35の伝達部軸方向先端面35dに当接する。この状態が図8A図8Bに示される状態である。
【0033】
そして、図8A図8Bに示す状態から、更にリングギア100と共にピニオンギア部34が回転することで、伝達部35が回転し、クラッチ出力軸部37のクラッチ出力軸トルク伝達突起面37bと、伝達部35の伝達部トルク伝達突起面35bとが当接するに至り、図9に示すようにトルク出力軸鍔構成体37fと伝達部鍔構成体35fとが噛み合った状態となる。この状態になると、リングギア100の回転が図9の矢印に示す回転方向に抑制され、ピニオンギア部ヘリカルスプライン部34bと伝達部ヘリカルスプライン部35eとのヘリカルスプライン結合によって、ピニオンギア部34は軸方向に回転しながら移動して図10に示すようにピニオンギア部34のピニオンギア軸方向先端面34cがピニオンギアストッパ32に当接し、ピニオンギア部34の軸方向への移動が停止する。
【0034】
ピニオンギア軸方向先端面34cがピニオンギアストッパ32に当接してピニオンギア部34の軸方向への移動が停止すると、クラッチ出力軸部37による軸方向の押圧力に対して伝達部35が突っ張る状態となり、伝達部トルク伝達突起面35bとクラッチ出力軸トルク伝達突起面37bとは強固に結合し、クラッチ出力軸部37から伝達部35へのトルクの伝達が可能となる。そしてこの伝達されるトルクが前述の伝達部35の突っ張り力となるため、クラッチ出力軸部37から伝達部35へのトルク伝達中には、伝達部トルク伝達突起面35bとクラッチ出力軸トルク伝達突起面37bとの結合が外れることはない。図10は、この発明の実施の形態1によるエンジン始動装置に於いて、ピニオンギアとリングギアの間でトルクが伝達されている状態を示す説明図である。
【0035】
以上のようにして、モータ部10のトルクがクラッチ出力軸部37と伝達部35を介してピニオンギア部34に伝達される。その結果、リングギア100はピニオンギア部34により駆動され、エンジンを始動する。エンジンが始動から立ち上がってピニオンギア部34の回転速度よりも早くリングギア100が回転するようになれば、ピニオンギア部ヘリカルスプライン部34bと伝達部ヘリカルスプライン部35eとのヘリカルスプライン結合によって伝達部35がピニオンギア部34側に引き込まれ、クラッチ出力軸トルク伝達突起面37bと伝達部トルク伝達突起面35bとの結合が外れ、伝達部35とピニオンギア部34は空転することができるようになる。そしてピニオンギア部34と伝達部35は、初期位置に戻ることになる。
【0036】
尚、以上の説明は、エンジンのアイドリングストップでエンジンが惰性回転しているときに、ピニオンギア部とリングギアとを噛み合わせてエンジンを再始動させる場合について述べたが、アイドリングストップでエンジンが完全停止してからピニオンギア部とリングギアを噛み合わせる場合や、アイドリングストップ制御装置を搭載していない車両のエンジン始動装置であっても、モータが回転することでリングギアの回転と同じ働きをするため、この発明のエンジン始動装置は前述の同様の動作をすることができる。
【0037】
この発明の実施の形態1によるエンジン始動装置によれば、ピニオンギア部とリングギアが噛み合う前には、ピニオン移動体部30のピニオンギア部34は空転することができるように構成されているため、リングギア100の端面にダメージを与えることなく、又、エンジンが瞬時に逆回転した場合でもピニオンギア部はリングギア100に噛み合うことが可能となる。
【0038】
更に、リングギアが摩耗していたとしても、ピニオンギア部34は、何れの方向にも回転することができるので、リングギアとの位相が合う方向に回転することによりリングギアに弾かれて噛み合いが失敗するようなことはない。従って、エンジンが逆回転中であっても、ピニオンギア部がリングギアに噛み合うことができ、従来の摩耗による噛み合い失敗も抑制することが可能になること、逆回転中の噛み合い禁止の制御が不要となり、耐久性も向上する効果がある。
【0039】
以上述べたこの発明の実施の形態1によるエンジン始動装置は、下記の(1)から(4)に記載の発明を具体化したものである。
(1)モータ部と、
エンジンに設けられたリングギアに噛み合い得るピニオンギア部を備え、前記モータ部の出力軸にヘリカルスプライン結合され軸方向に移動可能に形成されたピニオン移動体部と、
前記ピニオン移動体部を前記ピニオンギア部が前記リングギアと噛み合う位置に移動させる押し出し機構部と、前記モータ部への通電電流をオン/オフするスイッチ部とを有するソレノイドスイッチ部と、
を備えたエンジン始動装置であって、
前記ピニオン移動体部は、モータ部の出力軸からのトルクを、前記ピニオンギア部に伝達し又は遮断する伝達部を備え、
前記伝達部は、
前記ピニオン移動体部が前記リングギアと噛み合う位置まで移動して前記ピニオンギア部が前記リングギアと噛み合うまでの間は、前記トルクの前記ピニオンギア部への伝達を遮断し、前記ピニオン移動体部が前記リングギアと噛み合う位置まで移動して前記ピニオンギア部が前記リングギアに噛み合うことにより、前記トルクを前記ピニオンギア部に伝達することが可能となるように構成され、
前記ピニオンギア部は、前記伝達部が前記ピニオンギア部への前記トルクの伝達を遮断しているときは、回転方向にかかわらず自由回転が可能に構成されている、
ことを特徴とするエンジン始動装置。
この構成によれば、エンジンの逆回転での噛み合いを可能にし、逆回転だけでなく通常の噛み合う瞬間の摩耗を抑制、また摩耗があっても噛み合うことが可能となる。
【0040】
(2)前記伝達部は、
前記ピニオンギア部とヘリカルスプライン結合されており、且つ軸方向への自由移動と回転方向にかかわらず自由回転が可能に支持されており、
前記ピニオン移動体部が前記リングギアと噛み合う位置まで移動して前記ピニオンギア部が前記リングギアに当接した後、前記ヘリカルスプライン結合の作用に基づいて前記ピニオンギア部から離れる方向に所定位置まで移動することにより、前記トルクを前記ピニオンギア部に伝達することが可能となるように構成されている、
ことを特徴とする前記(1)に記載のエンジン始動装置。
【0041】
(3)前記ピニオン移動体部は、
前記リングギアと噛み合った前記ピニオンギア部が、前記リングギアを介して前記エンジンにより駆動され前記出力軸の回転よりも高速で回転する場合に、空転するオーバーランニングクラッチ部と、前記オーバーランニングクラッチ部の出力側に結合されたクラッチ出力軸部とを備え、
前記伝達部は、前記クラッチ出力軸部に軸方向への自由移動と回転方向にかかわらず自由回転が可能に支持されており、前記所定位置まで移動したとき、前記クラッチ出力軸部と結合して前記クラッチ出力軸部を介して前記トルクを前記リングギアに伝達するように構成されている、
ことを特徴とする前記(2)に記載のエンジン始動装置。
【0042】
(4)前記クラッチ出力軸部は、前記クラッチ出力軸部の軸方向に垂直な面に対して所定の角度で傾斜するクラッチ出力軸トルク伝達突起面を備え、
前記伝達部は、前記伝達部の軸方向に垂直な面に対して所定の角度で傾斜する伝達部トルク伝達突起面を備え、
前記クラッチ出力軸部と前記伝達部とは、ばね部材により互いに離反する方向に常時付勢されており、
前記伝達部は、前記所定位置まで移動したとき、前記伝達部トルク伝達突起面が前記クラッチ出力軸トルク伝達突起面と結合することにより、前記クラッチ出力軸部を介して前記トルクを前記リングギアに伝達する、
ことを特徴とする前記(3)に記載のエンジン始動装置。
この構成によれば、簡易な構造によって、トルク伝達面により摩擦でなく大きなトルクを伝達することができる。
【0043】
実施の形態2.
前述の実施の形態1によるエンジン始動装置では、エンジンの回転中にピニオンギア部34をリングギア100に飛び込ませてピニオンギア部34とリングギアを噛み合わせる場合と、通常のようにエンジンの停止時にピニオンギア部34をリングギア100に噛み合わせる場合との何れの場合に於いても、リングギア100側に押し出されたピニオンギア部34がリングギア100の端面に当接してその軸方向の移動が停止することで、若しくはピニオンギア部34とリングギア100とが噛み合いを開始して双方のギア面の摩擦力によりピニオンギア部34の軸方向の移動が抑制されることで、コイルバネ36を縮ませる方向にクラッチ出力軸部37とピニオンギア部34とが相対的に軸方向に移動し、これによってクラッチ出力軸部37のクラッチ出力軸トルク伝達突起面37bと伝達部35の伝達部トルク伝達突起面35bとが接触してクラッチ出力軸部37と伝達部35との間でトルクの伝達が行われ、その結果、ピニオンギア部34がリングギア側に更に押し出されてピニオンギア部34とリングギア100との噛み合いが可能となるように構成されている。
【0044】
実施の形態1によるエンジン始動装置は、実際のエンジン始動動作でピニオンギア部34がリングギア100の端面に接触しない場合、若しくはピニオンギア部34とリングギア100の歯面同士が接触せずに摩擦力が働かないままピニオンギア部34がリングギア100に噛み合った場合には、伝達部35は反ピニオンギア部34側(後方)に押し出されることはないが、その場合でもクラッチ出力軸部37と伝達部35との間でトルクの伝達を可能とするために、クラッチ出力軸部37をピニオンギア部34とリングギア100が完全に噛み合ったときの位置までリングギア100側に深く押し出して、クラッチ出力軸部37のクラッチ出力軸トルク伝達突起面37bと伝達部35の伝達部トルク伝達突起面35bとを接触させる必要がある。従って、ピニオン移動体部30をリングギア100側に押し出すストロークが大きくなり、ピニオン移動体部30を押し出すためのレバー60やプランジャ50を移動させるストロークも大きくなり、エンジン始動装置の製品自体が大型化する。又、ピニオンギア部34とリングギア100とが噛み合っているときのクラッチ出力軸部37のリングギア100に対する軸方向位置も毎回異なることになる。
【0045】
そこで、この発明の実施の形態2によるエンジン始動装置は、ピニオンギア部34が一定量以上にリングギア100に噛み合えば、伝達部35の伝達部トルク伝達突起面35bがクラッチ出力軸部37のクラッチ出力軸トルク伝達突起面37bに接触して相互間のトルクの伝達が可能となるようにしたものである。
【0046】
図11は、この発明の実施の形態2によるエンジン始動装置に於ける、ピニオンギア移動体部の分解斜視図である。図11に於いて、リングギア当接部39は、筒状に形成されており、その軸方向の一端部であるリングギア当接部39のかしめ部39aが伝達部35の伝達部鍔構成体35fの外周面にかしめられて伝達部35と一体に固定されている。従って、リングギア当接部39は、伝達部35と一体に軸線の周りに回転することが可能であり、且つ伝達部35と一体に軸方向に移動可能である。リングギア当接部39に於けるリングギア当接部39のかしめ部39aは、伝達部トルク伝達突起面35bと一体になっていれば、伝達部トルク伝達突起面35bの形状に合わせた形状とされていてもよい。
【0047】
図16は、この発明の実施の形態2によるエンジン始動装置に於ける、伝達部の斜視図である。図16に示すように、伝達部35は、伝達部内周すべり面35cと、伝達部鍔構成体35fと、伝達部鍔構成体35fの一方の軸方向端面に固定された伝達部ヘリカルスプライン部35eと、伝達部鍔構成体35fの他方の軸方向端面に形成された複数の伝達部トルク非伝達突起面35aと、伝達部鍔構成体35fの他方の軸方向端面に形成された複数の伝達部トルク伝達突起面35bと、伝達部トルク非伝達突起面35aと伝達部トルク伝達突起面35bとの間に形成された平坦面である伝達部軸方向先端面35dとを備えている。伝達部トルク非伝達突起面35aと伝達部トルク伝達突起面35bは、伝達部35の軸方向に対して直交する平面から軸方向に長さX2だけ垂直に延びる平面で構成されている。
【0048】
図11に於いて、クラッチ出力軸部37は、トルク出力軸37dと、トルク出力軸37dに一体に形成されたトルク出力軸鍔構成体37fと、トルク出力軸鍔構成体37fの一方の軸方向端面に形成された複数のクラッチ出力軸トルク非伝達突起面37aと、トルク出力軸鍔構成体37fの一方の軸方向端面に形成された複数のクラッチ出力軸トルク伝達突起面37bと、クラッチ出力軸トルク非伝達突起面37aとクラッチ出力軸トルク伝達突起面37bとの間の平坦面で形成されたクラッチ出力軸突起先端部37cと、トルク出力軸鍔構成体37fの他方の軸方向端面に固定されたトルク入力軸37eを備えている。クラッチ出力軸トルク非伝達突起面37aとクラッチ出力軸トルク伝達突起面37bは、クラッチ出力軸部37の軸方向に対して直交する平面から軸方向に長さX2だけ垂直に延びる平面で構成されている。図11図に示すその他の構成は、実施の形態1の場合と同様である。
【0049】
次に、以上のように構成されたこの発明の実施の形態2によるエンジン始動装置の動作を説明する。図12は、この発明の実施の形態2によるエンジン始動装置に於ける、リングギアとピニオンギア部の初期位置を示す断面図、図13は、この発明の実施の形態2によるエンジン始動装置に於ける、ピニオンギア部がリングギアに直接噛み合った場合の断面図、図14は、この発明の実施の形態2によるエンジン始動装置に於ける、伝達部とクラッチ出力軸が初期噛み合いをした場合の断面図、図15は、この発明の実施の形態2によるエンジン始動装置に於ける、ピニオンギア部とリングギアがトルクの伝達をしているときの断面図である。
【0050】
図12に於いて、リングギア100とピニオンギア部34の相対的位置は初期位置の関係にあり、ピニオン移動体部30がレバー60を介してリングギア100側に押し出される前の状態にある。この初期位置では、ピニオンギア部34のピニオンギア軸方向先端面34cとリングギア100の軸方向端面は、軸方向に長さXaのギャップを介して対向している。このとき、リングギア当接部39の軸方向端面は、ピニオンギア部34のピニオンギア軸方向先端面34cよりも更に軸方向に長さXbだけリングギア100の端面より離れているように構成されている。つまり、リングギア当接部39の軸方向端面は、軸方向の長さ[Xa+Xb]のギャップを介してリングギア100の軸方向端面に対向している。
【0051】
いま、図13に示すように、ピニオンギア部34がリングギア100に全く接触せずに軸方向の長さXbだけ噛み合ったとすると、リングギア当接部39の軸方向端面がリングギア100の軸方向端面に当接する。その結果、伝達部35はリングギア100側への軸方向の移動を停止し、ピニオンギア部34も伝達部35とのヘリカルスプライン結合による摩擦により軸方向の移動を停止する。
【0052】
しかしながら、前述の図13に示すように、リングギア当接部39の軸方向端面がリングギア100の軸方向端面に当接することで、伝達部35とピニオンギア部34のリングギア100側への移動が停止しても、レバー60の押圧によりオーバーランニングクラッチ部38が更にリングギア100側に押し込まれてくる。従って、クラッチ出力軸部37が更にリングギア100側に押し出され、図14に示すようにクラッチ出力軸部37と伝達部35とが軸方向の長さX0だけ噛み合う状態となる。
【0053】
即ち、図14に示す状態では、クラッチ出力軸部37に於けるクラッチ出力軸トルク非伝達突起面37aとクラッチ出力軸トルク伝達突起面37bと、伝達部35に於ける伝達部トルク非伝達突起面35aと伝達部トルク伝達突起面35bとが、互いに軸方向の長さX0だけ噛み合った状態となる。
【0054】
ここで、図14に示す位置でピニオン移動体部30の軸方向の移動が停止するように、出力軸20(図1参照)に設けられた出力軸ヘリカルスプライン部20aのリングギア側の端部が終了するように構成されている。従って、レバー60によりピニオン移動体部30をリングギア100側に押し込む量は、図14に示す位置までとなる。
【0055】
尚、図14に示す位置でピニオン移動体部30の軸方向の移動が停止するように、出力軸ストッパ80によりクラッチ出力軸部37上でのピニオン移動体部30の軸方向の移動を停止させるように構成してもよい。この場合でも、レバー60によりピニオン移動体部30をリングギア100側に押し込む量は、図14に示す位置までとなる。
【0056】
図14に示すように、クラッチ出力軸部37のクラッチ出力軸トルク伝達突起面37bと伝達部35の伝達部トルク伝達突起面35bとが軸方向の長さX0だけ噛み合うと、モータ部10が回転を開始して出力軸20が矢印Aの方向に回転した場合、若しくはリングギア100が逆転している場合には、伝達部35とピニオンギア部34とのヘリカルスプライン結合の作用により、伝達部35が矢印Bの方向に移動すると共にピニオンギア部34は矢印Cの方向に移動し、伝達部35とピニオンギア部34は互いに離れる方向に移動する。
【0057】
その結果、図15に示すように、伝達部35の伝達部トルク伝達突起面35bは、伝達部トルク伝達突起面35bの軸方向の深さX2まで完全にクラッチ出力軸部37のクラッチ出力軸トルク伝達突起面37bに噛み合う。そして、ピニオンギア部34は、伝達部35を反リングギア100側に突っ張りながら軸方向にリングギア100側に更に移動し、最終的にはピニオンギアストッパ32に当接してその軸方向移動を停止しその位置で固定される。
【0058】
このとき、図15に示すように、リングギア100とピニオンギア部34は完全に噛み合った状態となり、リングギア100の軸方向端面とリングギア当接部39の軸方向端面との間には、軸方向の長さXcのギャップが発生する。ピニオンギア部34とリングギア100との間でトルクの伝達が行われるが、リングギア100の軸方向端面とリングギア当接部39の軸方向端面との間には軸方向の長さXcのギャップが発生しているので、トルク伝達中にリングギア当接部39がリングギア100に擦れてトルク伝達の妨げになることはない。
【0059】
図15に示すように、伝達部トルク伝達突起面35bとクラッチ出力軸トルク伝達突起面37bとが、軸方向深さX2まで噛み合う状態になってしまえば、エンジンの始動時のクランキング状態でエンジンの回転の方が早くなってリングギア100とピニオンギア部34の間のトルクの伝達がなくなっても、[X2>Xc]のように噛み合いの深さX2を十分に確保しておけば、伝達部35とクラッチ出力軸部37の噛み合いが外れることはなく、噛み合いが外れることによるロスが発生することもない。
【0060】
又、図16に示すように、伝達部トルク非伝達突起面35aと、伝達部トルク伝達突起面35bとは、伝達部35の軸方向に対して直交する平面から垂直(90度)に延びる面で構成され、同様に、クラッチ出力軸トルク非伝達突起面37aと、クラッチ出力軸トルク伝達突起面37bとは、クラッチ出力軸部の軸方向に対して直交する平面から垂直(90度)に延びる面で構成されているが、伝達部トルク伝達突起面35bとクラッチ出力軸トルク伝達突起面37bとが当接して噛み合った後の、伝達部トルク伝達突起面35b及びクラッチ出力軸トルク伝達突起面37bと、伝達部トルク非伝達突起面35a及びクラッチ出力軸トルク非伝達突起面37aとの間に隙間(バックラッシ)をもっておけば問題はない。
【0061】
以上のように構成されたこの発明の実施の形態2によるエンジン始動装置によれば、エンジンが回転中と停止中に関係なく空転することができるピニオンギア部34をリングギア100に噛み合わせることで、低騒音で摩耗も少なく、且つ、前述したようにピニオン移動体部30を押し出すためのレバー60やプランジャ50を移動させるストロークも小さくすることができ、小型化を達成することができる。
【0062】
以上述べたこの発明の実施の形態2によるエンジン始動装置は、下記の(5)から(9)に記載の発明を具体化したものである。
(5)モータ部と、
エンジンに設けられたリングギアに噛み合い得るピニオンギア部を備え、前記モータ部の出力軸にヘリカルスプライン結合され軸方向に移動可能に形成されたピニオン移動体部と、
前記ピニオン移動体部を前記ピニオンギア部が前記リングギアと噛み合う位置に移動させる押し出し機構部と、前記モータ部への通電電流をオン/オフするスイッチ部とを有するソレノイドスイッチ部と、
を備えたエンジン始動装置であって、
前記ピニオン移動体部は、前記モータ部の出力軸からのトルクを、前記ピニオンギア部に伝達し又は遮断する伝達部を備え、
前記伝達部は、
前記ピニオン移動体部が前記リングギアと噛み合う位置まで移動して前記ピニオンギア部が前記リングギアに対して前記軸方向に所定の寸法まで噛み合った場合に、前記リングギアの側面部に当接して前記伝達部のリングギア側への移動を阻止するリングギア当接部を有し、前記リングギア当接部が前記リングギアの側面部に当接するまでは前記トルクの前記ピニオンギア部への伝達を遮断し、前記リングギア当接部が前記リングギアの側面部に当接した後は、前記トルクを前記ピニオンギア部に伝達することが可能となるように構成され、
前記ピニオンギア部は、前記伝達部が前記ピニオンギア部への前記トルクの伝達を遮断しているときは、回転方向にかかわらず自由回転が可能に構成されている、
ことを特徴とするエンジン始動装置。
この構成によれば、エンジンの逆回転での噛み合いを可能にし、逆回転だけでなく通常の噛み合う瞬間の摩耗を抑制、また摩耗があっても噛み合うことが可能となる。又、ピニオン、移動体部を押し出すためのレバーやプランジャを移動させるストロークも小さくすることができ、小型化を達成することができる。
【0063】
(6)前記伝達部は、
前記ピニオンギア部とヘリカルスプライン結合されており、前記リングギア当接部が前記リングギアの前記側面部に当接した後は、前記ヘリカルスプライン結合の作用に基づいて前記ピニオンギア部から離れる方向に前記軸方向に所定位置まで移動して前記リングギア当接部を前記リングギアの側面部から離反させる、
ことを特徴とする上記(5)に記載のエンジン始動装置。
この構成によれば、ピニオン、移動体部を押し出すためのレバーやプランジャを移動させるストロークも小さくすることができ、小型化を達成することができる。
【0064】
(7)前記ピニオン移動体部は、
前記リングギアと噛み合った前記ピニオンギア部が、前記リングギアを介して前記エンジンにより駆動され前記出力軸の回転よりも高速で回転する場合に、空転するオーバーランニングクラッチ部と、前記オーバーランニングクラッチ部の出力側に結合されたクラッチ出力軸部とを備え、
前記伝達部は、
前記クラッチ出力軸部に軸方向への自由移動と回転方向にかかわらず自由回転が可能に支持されており、前記所定位置まで移動したとき、前記クラッチ出力軸部と結合して前記クラッチ出力軸部を介して前記トルクを前記リングギアに伝達するように構成されている、
ことを特徴とする上記(6)に記載のエンジン始動装置。
この構成によれば、エンジンの逆回転での噛み合いを可能にし、逆回転だけでなく通常の噛み合う瞬間の摩耗を抑制、また摩耗があっても噛み合うことが可能となる。又、ピニオン、移動体部を押し出すためのレバーやプランジャを移動させるストロークも小さくすることができ、小型化を達成することができる。
【0065】
(8)前記クラッチ出力軸部は、クラッチ出力軸トルク伝達突起面を備え、
前記伝達部は、伝達部トルク伝達突起面を備え、
前記クラッチ出力軸部と前記伝達部とは、ばね部材により互いに離反する方向に常時付勢されており、
前記伝達部は、前記所定位置まで移動したとき、前記伝達部トルク伝達突起面が前記クラッチ出力軸トルク伝達突起面と結合することにより、前記クラッチ出力軸部を介して前記トルクを前記リングギアに伝達する、
ことを特徴とする上記(7)に記載のエンジン始動装置。
この構成によれば、クラッチ出力軸部と伝達部との間のトルクの伝達を確実に行うことができる。
【0066】
(9)前記クラッチ出力軸トルク伝達突起面と前記伝達部トルク伝達突起面との噛み合いが完了した後の前記軸方向の噛み合いの寸法は、前記噛み合いが完了した後の前記リングギア当接部と前記リングギアの側面部との間のギャップの寸法よりも大きくなるように設定されている、
ことを特徴とする上記(8)に記載のエンジン始動装置。
この構成によれば、クラッチ出力軸トルク伝達突起面と伝達部トルク伝達突起面との噛み合いが完了した後に、伝達部のリングギア当接部を確実にリングギアの側面部から離反した位置に保持することができる。
【0067】
尚、この発明は、その発明の範囲内に於いて、各実施の形態を適宜、変形、省略すること、及び各実施の形態を適宜組み合わせることが可能である。
【符号の説明】
【0068】
10 モータ部、20 出力軸、20a 出力軸ヘリカルスプライン部、30 ピニオン移動体部、31 ストッパ固定部材、32 ピニオンギアストッパ、34 ピニオンギア部、34a ピニオンギアトルク伝達歯面、34b ピニオンギア部ヘリカルスプライン部、34c ピニオンギア軸方向先端面、35 伝達部、35a 伝達部トルク非伝達突起面、35b 伝達部トルク伝達突起面、35c 伝達部内周滑り面、35d 伝達部軸方向先端面、35e 伝達部ヘリカルスプライン部、35f 伝達部鍔構成体、36 コイルバネ、37 クラッチ出力軸部、37a クラッチ出力軸トルク非伝達突起面、37b クラッチ出力軸トルク伝達突起面、37c クラッチ出力軸突起先端部、37d トルク出力軸、37e トルク入力軸、37f トルク出力軸鍔構成体、38 オーバーランニングクラッチ部、38a クラッチヘリカルスプライン部、39 リングギア当接部、39a リングギア当接部のかしめ部、40 ソレノイドスイッチ部、41 吸引コイル 42 接点軸、 43 移動接点部、44a、44b モータ接点、45 バネ、50 プランジャ、60 レバー、61 レバー回転軸中心、70 ブラケット、80 出力軸ストッパ、90 減速ギア部、100 リングギア
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8A
図8B
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16