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特開2015-232325往復動エンジンのためのピストンアッセンブリ
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2015-232325(P2015-232325A)
(43)【公開日】2015年12月24日
(54)【発明の名称】往復動エンジンのためのピストンアッセンブリ
(51)【国際特許分類】
   F02F 3/00 20060101AFI20151201BHJP
   F02F 5/00 20060101ALI20151201BHJP
   F16J 1/02 20060101ALI20151201BHJP
【FI】
   F02F3/00 B
   F02F3/00 Z
   F02F5/00 Q
   F16J1/02
【審査請求】未請求
【請求項の数】20
【出願形態】OL
【外国語出願】
【全頁数】23
(21)【出願番号】特願2015-111016(P2015-111016)
(22)【出願日】2015年6月1日
(31)【優先権主張番号】14/298,864
(32)【優先日】2014年6月6日
(33)【優先権主張国】US
(71)【出願人】
【識別番号】390041542
【氏名又は名称】ゼネラル・エレクトリック・カンパニイ
(74)【代理人】
【識別番号】100137545
【弁理士】
【氏名又は名称】荒川 聡志
(74)【代理人】
【識別番号】100105588
【弁理士】
【氏名又は名称】小倉 博
(74)【代理人】
【識別番号】100129779
【弁理士】
【氏名又は名称】黒川 俊久
(74)【代理人】
【識別番号】100113974
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 拓人
(72)【発明者】
【氏名】リチャード・ジョン・ドナヒュー
【テーマコード(参考)】
3J044
【Fターム(参考)】
3J044CA08
3J044CA09
3J044DA09
(57)【要約】      (修正有)
【課題】往復動エンジンのためのピストンアッセンブリを提供する。
【解決手段】往復動エンジンのためのパワーシリンダーシステムは、円周方向に延在する最上部の溝部を備えるピストンを含む。最上部の溝部42は、1つまたは複数のチャネル100が最上部の溝部42の周りに円周方向に間隔を離して配置されており、ピストンアッセンブリの外側周囲部から内向きに延在している。また、最上部の溝部42の中に位置付けされているリング44の外周面90は、上部面110と底部面112との間でテーパーが付けられている。スペース130が、最上部の溝部42の一部分とリング44の内周面124との間に画定されており、このスペース130は、1つまたは複数の半径方向のチャネル100に流体連通している。
【選択図】図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
内側壁部(28)を有し、キャビティー(30)を画定しているシリンダー(26)と、
前記シリンダー(26)の中に配設され、前記シリンダー(26)の中で往復運動様式に移動するように構成されているピストン(20)と、
前記ピストン(20)のトップランド(40)の下で前記ピストン(20)の周りに円周方向に延在する最上部の溝部(42)であって、前記最上部の溝部(42)は、上部表面(101)、底部表面、および、前記上部表面(101)と前記底部表面との間に延在する内側表面(131)によって画定されている、最上部の溝部(42)と、
前記最上部の溝部(42)の中に配設されているリング(44)であって、前記リング(44)は、前記最上部の溝部(42)の前記内側表面(131)の近位に配設されている内側面(124)、および、前記内側面(124)の反対側にある外側面(90)を含み、前記外側面(90)は、テーパー付きのプロファイルを含み、前記外側面(90)は、前記ピストン(20)が前記シリンダー(26)の中で移動するときに、前記シリンダー(26)の前記内側壁部(28)に接触するように構成されている、リング(44)と、
前記トップランド(40)の中に、または、前記リング(44)の上側面(110)の中に形成されている1つまたは複数のチャネル(100)であって、前記1つまたは複数のチャネル(100)は、燃焼ガスが、前記キャビティー(30)から、前記最上部の溝部(42)の前記内側表面(131)と前記リング(44)の前記内側面(124)との間のスペース(130)へ流れることを可能にするように構成されている、1つまたは複数のチャネル(100)と
を含む、往復動エンジン(10)のためのパワーシリンダーシステム。
【請求項2】
前記1つまたは複数のチャネル(100)のうちの少なくともいくつかが、1つまたは複数の離散的な場所において、前記最上部の溝部(42)の上側表面(101)の中へ延在している、請求項1記載のシステム。
【請求項3】
前記1つまたは複数のチャネル(100)のうちの少なくともいくつかが、前記最上部の溝部(42)の前記上部表面(101)の中で、前記スペース(130)まで半径方向に延在している、請求項1記載のシステム。
【請求項4】
前記1つまたは複数のチャネルのうちの少なくともいくつかが、前記ピストン(20)の前記トップランド(40)を通って軸線方向に前記スペース(130)まで延在している、請求項1記載のシステム。
【請求項5】
前記リング(44)の半径(104)が、前記リング(44)の上部面(110)から底部面(112)へ増加し、前記底部面(112)が、前記最上部の溝部(42)の前記底部表面に接触するように構成されている、請求項1記載のシステム。
【請求項6】
前記リング(44)の前記外側面(90)が、前記シリンダー(26)の前記内側壁部(28)に対して、おおよそ1.5度よりも大きい角度(115)で位置付けされている、請求項1記載のシステム。
【請求項7】
前記トップリング(44)の前記外側面(90)が前記シリンダー(26)の前記内側壁部(28)に接触するシーリング点(114)が、前記リング(44)の上部面(110)と底部面(112)との間に位置付けされており、前記リング(44)が、前記シーリング点(114)と前記リング(44)の前記底部面(112)との間に切り欠き部(143)を含み、前記底部面(112)が、前記最上部の溝部(42)の前記底部表面に接触するように構成されている、請求項1記載のシステム。
【請求項8】
前記シーリング点(114)が、前記リング(44)の前記上部面(110)から第1の軸線方向の距離(102)に位置付けされており、前記第1の軸線方向の距離(102)は、前記リング(44)の高さ(118)のおおよそ75から99パーセントである、請求項7記載のシステム。
【請求項9】
ピストン(20)の周りに円周方向に延在する最上部の溝部(42)を有するピストン(20)であって、前記最上部の溝部(42)に開口する1つまたは複数のチャネル(100)は、前記最上部の溝部(42)の周りに円周方向に間隔を離して配置されており、前記ピストン(20)の外側周囲部(80)から内向きに延在している、ピストン(20)と、
前記最上部の溝部(42)の中に位置付けされているリング(44)であって、前記リング(44)は、上部面(110)、底部面(112)、内周面(124)、および外周面(90)を含み、前記外周面(90)は、前記上部面(110)と前記底部面(112)との間にテーパー付きのプロファイルを有しており、スペース(130)が、前記最上部の溝部(42)の一部分と前記リング(44)の前記内周面(124)との間に画定されており、前記スペース(130)は、前記1つまたは複数のチャネル(100)に流体連通している、リング(44)と
を含む、往復動エンジン(10)のためのパワーシリンダーシステム。
【請求項10】
前記1つまたは複数のチャネル(100)が、前記ピストン(20)もしくは前記リング(44)の中の1つまたは複数の半径方向のチャネル(100)、または、それらの組み合わせを含む、請求項9記載のシステム。
【請求項11】
前記1つまたは複数のチャネル(100)のうちの少なくともいくつかが、前記最上部の溝部(42)の上部表面(101)の中に形成されている、請求項9記載のシステム。
【請求項12】
前記1つまたは複数のチャネル(100)の少なくともいくつかが、前記リング(44)の前記上部面(110)の中に形成されている、請求項9記載のシステム。
【請求項13】
前記1つまたは複数のチャネルが、前記ピストン(20)の中の1つまたは複数の軸線方向のチャネル(160)を含む、請求項9記載のシステム。
【請求項14】
前記リング(44)の半径(104)が、前記リング(44)の前記上部面(110)から前記底部面(112)へ増加している、請求項9記載のシステム。
【請求項15】
前記リング(44)の半径(104)が、前記リング(44)の前記上部面(110)から、前記リング(44)の前記上部面(110)から第1の軸線方向の距離(102)に位置付けされている中間部分(140)へ、直線的に増加しており、前記第1の軸線方向の距離(102)は、前記リング(44)の高さ(118)のおおよそ75から99パーセントであり、前記リング(44)の前記半径(104)が、前記リング(44)の前記中間部分(140)から前記底部面(112)へ減少している、請求項9記載のシステム。
【請求項16】
前記リング(44)の前記外側面(90)がシリンダー(26)の内側壁部(28)に接触するように構成されているシーリング点(114)が、前記リング(44)の前記上部面(110)と前記底部面(112)との間に位置付けされており、前記リング(44)が、前記リング(44)の前記シーリング点(114)と前記底部面(112)との間に切り欠き部(143)を含む、請求項9記載のシステム。
【請求項17】
前記システムが、シリンダー(26)を含み、前記シリンダー(26)は、内側壁部(28)を有し、キャビティー(30)を画定しており、前記リング(44)の前記外周面(90)は、前記ピストン(20)が前記シリンダー(26)の中で移動するときに、前記シリンダー(26)の前記内側壁部(28)に接触している、請求項9記載のシステム。
【請求項18】
ピストン(20)の周りに円周方向に延在する最上部の溝部(42)を含むピストン(20)と、
前記最上部の溝部(42)の中に配設されているリング(44)であって、前記リング(44)は、前記リング(44)の高さ(118)の少なくとも一部分に沿ってテーパーが付けられた外周面(90)を有しており、前記リング(44)の上部面(110)および前記最上部の溝部(42)の上部表面(101)は、第1の軸線方向の距離(102)だけ分離されており、前記リング(44)の前記上部面(110)、前記最上部の溝部(42)の前記上部表面(101)、または、それらの組み合わせの中に形成されている1つまたは複数の半径方向のチャネル(100)が、前記第1の軸線方向の距離(102)を前記リング(44)の周囲部の周りで変化させている、リング(44)と
を含む、往復動エンジン(10)のためのパワーシリンダーシステム。
【請求項19】
前記1つまたは複数の半径方向のチャネル(100)が、加圧燃焼ガスを、前記最上部の溝部(42)の一部分と前記リング(44)の内周面(124)との間に画定されているスペース(130)の中へ移送し、前記リング(44)の前記内周面(124)に半径方向外向きの力(146)を及ぼすように構成されている、請求項18記載のシステム。
【請求項20】
前記システムが、シリンダー(26)を含み、前記シリンダー(26)は、内側壁部(28)を有し、キャビティー(30)を画定しており、前記リング(44)の前記外周面(90)は、前記ピストン(20)が前記シリンダー(26)の中で移動するときに、前記シリンダー(26)の前記内側壁部(28)に接触している、請求項18記載のシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本明細書で開示されている主題は、概して、往復動エンジンに関し、より具体的には、往復動エンジンのためのピストンアッセンブリに関する。
【背景技術】
【0002】
往復動エンジン(たとえば、往復動内燃エンジン)は、酸化剤(たとえば、空気)とともに燃料を燃焼させ、高温燃焼ガスを発生させ、そして、高温燃焼ガスは、シリンダーまたはピストンライナーの中でピストン(たとえば、往復動ピストン)を駆動する。とりわけ、高温燃焼ガスは、膨張し、ピストンに対して圧力を加え、その圧力は、膨張ストロークの間に、シリンダーの上部部分から底部部分へピストンを直線的に移動させる。ピストンは、燃焼ガスによって及ぼされる圧力、および、ピストンの直線的な運動を、(たとえば、ピストンに連結されているコネクティングロッドおよびクランクシャフトを介して)回転運動に転換し、回転運動は、1つまたは複数の負荷、たとえば、発電機を駆動する。ピストンおよび関連の構造体(たとえば、ピストンアッセンブリ)の構造は、排気ガス(たとえば、未燃炭化水素)、およびエンジン効率、ならびに潤滑剤(たとえば、油)消費にかなり影響を与える可能性がある。そのうえ、ピストンアッセンブリの構造は、往復動エンジンのコンポーネント同士の間の摩擦、および、往復動エンジンのコンポーネントの寿命に、かなり影響を及ぼす可能性がある。したがって、ピストンアッセンブリの構造を改善することが望ましいこととなる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】米国特許第7730866号明細書
【発明の概要】
【0004】
出願当初に特許請求されている発明の範囲と同等の特定の実施形態が、以下に要約されている。これらの実施形態は、特許請求されている発明の範囲を限定することを意図しておらず、むしろ、これらの実施形態は、本発明の可能な形態の概要を提供することだけを意図している。実際に、本発明は、以下に述べられている実施形態と同様または異なり得る様々な形態を包含することが可能である。
【0005】
一実施形態では、往復動エンジンのためのパワーシリンダーシステムは、シリンダーを含み、シリンダーは、内側壁部を有し、キャビティーを画定している。また、システムは、ピストンを含み、ピストンは、シリンダーの中に配設され、シリンダーの中で往復運動様式に移動するように構成されている。最上部の溝部が、ピストンのトップランドの下でピストンの周りに円周方向に延在しており、最上部の溝部は、上部表面、底部表面、および、上部表面と底部表面との間に延在する内側表面によって画定されている。リングが、最上部の溝部の中に配設されており、リングは、最上部の溝部の内側表面の近位に配設されている背面、および、背面の反対側にある前面を含む。前面は、テーパー付きのプロファイルを含み、また、ピストンがシリンダーの中で移動するときに、シリンダーの内側壁部に接触するように構成されている。また、ピストンアッセンブリは、トップランドまたはリングの中に形成されている1つまたは複数の半径方向のチャネルを含み、1つまたは複数のチャネルは、流体が、キャビティーから、最上部の溝部の内側表面とリングの背面との間のスペースへ流れることを可能にするように構成されている。
【0006】
第2の実施形態では、往復動エンジンのためのパワーシリンダーシステムは、ピストンの周りに円周方向に延在する最上部の溝部を備えるピストンを含む。最上部の溝部は、1つまたは複数のチャネルを含み、1つまたは複数のチャネルは、最上部の溝部の周りに円周方向に間隔を離して配置されており、ピストンアッセンブリの外側周囲部から内向きに延在している。また、システムは、最上部の溝部の中に位置付けされているリングを含み、リングは、上部面、底部面、内周面、および外周面を含み、外周面は、上部面と底部面との間でテーパーが付けられている。スペースが、最上部の溝部の一部分とリングの内周面との間に画定されており、スペースは、1つまたは複数の半径方向のチャネルに流体連通している。
【0007】
第3の実施形態では、往復動エンジンのためのパワーシリンダーシステムは、ピストンを含み、ピストンは、ピストンの周りに円周方向に延在する最上部の溝部を有している。また、往復動エンジンは、最上部の溝部の中に配設されているリングを含む。リングは、リングの高さの少なくとも一部分に沿ってテーパーが付けられた外周面を有している。リングの上部面および最上部の溝部の上部表面は、ある軸線方向の距離だけ分離されており、リングの上部面、最上部の溝部の上部表面、または、それらの組み合わせの中に形成されている1つまたは複数の半径方向のチャネルが、この軸線方向の距離をリングの周囲部の周りで変化させている。
【0008】
本発明のこれらの特徴、態様、および利点、ならびに、他の特徴、態様、および利点は、添付の図面を参照して、以下の詳細な説明を読めば、より良く理解されるであろう。図面では、同様の文字は、図面を通して、同様の部分を表している。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】エンジン駆動式の発電システムの一部分の実施形態の概略ブロック図である。
図2】エンジンのシリンダーの中に位置付けされているピストンの実施形態の断面図である。
図3】ピストンのトップランドの中に形成されている半径方向のチャネルを有するピストンの実施形態の一部分の側面図である。
図4】ピストンのトップ溝部の中に位置付けされている、テーパー付きの外側面を有するトップピストンリングの実施形態の一部分の側断面図である。
図5】ピストンのトップ溝部の中に位置付けされている、部分的にテーパー付きの外側面を有するトップピストンリングの実施形態の一部分の側断面図である。
図6】トップピストンリングの中に形成されている半径方向のチャネルと、ピストンのトップランドの中に形成されている軸線方向のチャネルとを有するピストンの実施形態の一部分の側断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
本発明の1つまたは複数の具体的な実施形態が、以下に説明されることとなる。これらの実施形態の簡潔な説明を提供する目的で、実際の実施の全ての特徴が、明細書の中に説明されてはいない可能性がある。任意のエンジニアリングまたは設計プロジェクトなどのような任意の実際の実施の開発において、システム関連の制約およびビジネス関連の制約(それは、実施ごとに変化する可能性がある)を順守するなどのような、開発者の特定の目標を実現するために、多数の実施時固有の決断がなされなければならないということが認識されるべきである。そのうえ、そのような開発努力は、複雑であり、時間がかかるが、それにもかかわらず、この開示の利益を有する当業者にとって、設計、組み立て、製造の日常的業務であるいうことが認識されるべきである。
【0011】
本発明の様々な実施形態の要素を導入するとき、冠詞の「1つの(a)」、「1つの(an)」、「前記(the)」、および「前記(said)」は、要素のうちの1つまたは複数が存在するということを意味するように意図されている。用語の「含む(comprising)」、「含む(including)」、および「有する(having)」は、包含的であることが意図されており、リストアップされている要素以外の追加的な要素が存在することが可能であるということを意味することが意図されている。
【0012】
本開示による往復動エンジン(たとえば、往復動内燃エンジン)のためのパワーシリンダーシステムは、1つまたは複数のピストンを含むことが可能であり、1つまたは複数のピストンは、それぞれ、シリンダー(たとえば、ライナー)の中で直線的に移動し、燃焼ガスによって及ぼされる圧力、および、ピストンの直線的な運動を、回転運動に転換し、1つまたは複数の負荷に動力を与えるように構成されている。それぞれのピストンは、ピストンの周りに円周方向に延在するトップ溝部(たとえば、トップリング溝部、または、最上部のリング溝部)を有することが可能であり、トップリング(たとえば、トップピストンリング)を、トップ溝部の中に配設させることが可能である。トップリングは、有利には、テーパー付きのプロファイルまたは部分的にテーパー付きのプロファイルなどのような、非対称的なプロファイル(たとえば、非対称的な断面)を有することが可能であり、それは、ピストンのダウンストローク(たとえば、膨張ストローク)の間に、シリンダーの内側壁部から効果的におよび効率的に油を掻き取るように構成されている。また、テーパー付きのプロファイルまたは部分的にテーパー付きのプロファイルなどのような、この非対称的なプロファイル(たとえば、非対称的な断面)は、摩擦を低減させるライナーにかかる圧力負荷を低減させる有利な効果を有している。しかし、テーパー付きのプロファイルまたは部分的にテーパー付きのプロファイルは、トップリングを横切って(たとえば、トップリングの外側面と内側面との間で)、圧力勾配を引き起こすことが可能である。開示されている実施形態がなければ、トップリングを横切る特定の圧力勾配は、次いで、たとえば、半径方向のリング崩壊(たとえば、シリンダーの内側壁部から離れるようなトップリングの移動)、油消費の増加、未燃炭化水素の吹き抜けの増加、排出ガスの増加、および/または、トップリングとシリンダーの内側壁部との間の摩擦の増加を引き起こす可能性がある。したがって、本開示の実施形態は、高圧燃焼ガスをトップリングの内側面に隣接するスペースへ移送するための1つまたは複数のチャネルを含み、燃焼ガスが、トップリングの内側面の上に、半径方向外向きに方向付けされた力を及ぼすようになっている。有利には、本明細書で開示されている特徴を有するピストンは、半径方向のリング崩壊を阻止しながら、ならびに、吹き抜け、油消費、排出ガス、および/または、コンポーネント同士の間の摩擦を低減させながら、シリンダーの内側壁部から潤滑剤(たとえば、油)を効果的におよび効率的に掻き取ることが可能であり、それは、たとえば、少ない摩耗およびスカッフィング(scuffing)を結果として生じさせることが可能である。
【0013】
図面を見てみると、図1は、エンジン駆動式の発電システム8の一部分の実施形態のブロック図を図示している。以下に詳細に説明されているように、システム8は、1つまたは複数の燃焼室12(たとえば、1個、2個、3個、4個、5個、6個、7個、8個、10個、12個、14個、16個、18個、20個、またはそれ以上の燃焼室12)を有するエンジン10(たとえば、往復動内燃エンジン)を含む。空気供給部14は、空気、酸素、酸素富化空気、酸素低減空気、または、それらの任意の組み合わせなどのような、加圧酸化剤16をそれぞれの燃焼室12に提供するように構成されている。また、燃焼室12は、燃料供給部19から燃料18(たとえば、液体および/またはガス燃料)を受け入れるように構成されており、燃料−空気混合物は、それぞれの燃焼室12の中で点火および燃焼する。高温の加圧燃焼ガスは、それぞれの燃焼室12に隣接するピストン20をシリンダー26の中で直線的に移動させ、ガスによって及ぼされる圧力を回転運動に転換し、回転運動は、シャフト22を回転させる。ピストン20およびシリンダー26は、一緒に、エンジン10のためのパワーシリンダーシステムを形成することが可能である。さらに、シャフト22を負荷24に連結することが可能であり、負荷24は、シャフト22の回転を介して動力を与えられる。たとえば、負荷24は、発電機などのようなシステム10の回転出力を介して電力を発生させることが可能な任意の適切なデバイスとすることが可能である。追加的に、以下の議論は、酸化剤16を空気と称しているが、開示されている実施形態とともに、任意の適切な酸化剤を使用することが可能である。同様に、燃料18は、たとえば、天然ガス、関連の石油ガス、プロパン、バイオガス、下水ガス、ランドフィルガス、炭鉱ガスなどのような、任意の適切なガス燃料とすることが可能である。
【0014】
本明細書で開示されているシステム8は、定置式の用途において(たとえば、産業用発電エンジンにおいて)、または、可動式の用途において(たとえば、車もしくは航空機において)使用するために適合させることが可能である。エンジン10は、2ストロークエンジン、3ストロークエンジン、4ストロークエンジン、5ストロークエンジン、または6ストロークエンジンとすることが可能である。また、エンジン10は、任意の数の燃焼室12、ピストン20、および、関連のシリンダー(たとえば、1個〜24個)を含むことが可能である。たとえば、特定の実施形態では、システム8は、4個、6個、8個、10個、16個、24個、またはそれ以上の、シリンダーの中で往復運動するピストン20を有する大型の産業用往復動エンジンを含むことが可能である。いくつかのそのようなケースでは、シリンダーおよび/またはピストン20は、おおよそ13.5〜34センチメートル(cm)の間の直径を有することが可能である。いくつかの実施形態では、シリンダーおよび/またはピストン20は、おおよそ10〜40cmの間、15〜25cmの間、または、約15cmの直径を有することが可能である。特定の実施形態では、ピストン20は、ピストン20のトップリング溝部の中にニレジスト(Ni−resist)リングインサートを備えるスチール製ピストンまたはアルミニウム製ピストンとすることが可能である。システム8は、10kWから10MWの範囲にある電力を発生させることが可能である。いくつかの実施形態では、エンジン10は、おおよそ毎分1800回転(RPM)未満で動作することが可能である。いくつかの実施形態では、エンジン10は、おおよそ2000RPM未満、1900RPM未満、1700RPM未満、1600RPM未満、1500RPM未満、1400RPM未満、1300RPM未満、1200RPM未満、1000RPM未満、または900RPM未満で動作することが可能である。いくつかの実施形態では、エンジン10は、おおよそ800〜2000RPMの間、900〜1800RPMの間、または、1000〜1600RPMの間で動作することが可能である。いくつかの実施形態では、エンジン10は、おおよそ1800RPM、1500RPM、1200RPM、1000RPM、または900RPMで動作することが可能である。例示的なエンジン10は、たとえば、General Electric CompanyのJenbacher Engine(たとえば、Jenbacher Type2、Type3、Type4、Type6、もしくはJ920 FleXtra)またはWaukesha Engine(たとえば、Waukesha VGF、VHP、APG、275GL)を含むことが可能である。
【0015】
図2は、往復動エンジン10のシリンダー26(たとえば、エンジンシリンダー)の中に配設されているピストン20を有するピストンアッセンブリ25の実施形態の側断面図である。シリンダー26は、円筒形状のキャビティー30を画定する内側環状壁部28を有している。ピストン20は、軸線方向軸線または軸線方向34、半径方向軸線または半径方向36、および、円周方向軸線または円周方向38を参照して説明され得る。ピストン20は、上部部分40(たとえば、トップランド)と、ピストン20の周りに円周方向に(たとえば、円周方向38に)延在する第1の環状の溝部42(たとえば、トップ溝部またはトップリング溝部)とを含む。第1のリング44(たとえば、トップリングまたはトップピストンリング)は、トップ溝部42の中に位置付けさせることが可能である。トップリング44は、システム10の動作中にトップリング44が曝される高温高圧燃焼ガスに応答して、膨張および収縮するように構成させることが可能である。示されているように、ピストン20は、複数の追加的な溝部46(たとえば、追加的なリング溝部)を含み、複数の追加的な溝部46は、ピストン20の周りに円周方向に延在しており、トップ溝部42から、および互いから、軸線方向軸線34に沿って、間隔を離して配置されている。追加的なピストンリング48が、追加的な環状の溝部46のそれぞれの中に位置付けされている。様々な特徴が、トップ溝部42およびトップリング44を参照して、本明細書で開示されている。しかし、複数の追加的な溝部46、および、対応する追加的なピストンリング48は、様々な構成のいずれかを有することが可能であるということが理解されるべきである。たとえば、複数の追加的な溝部46および/または対応する追加的なリング48のうちの1つまたは複数は、以下に開示されている特徴のうちのいくつかまたはすべてを含むことが可能であり、または、たとえば、異なる構成、形状、サイズ、および/もしくは機能を有することが可能である。
【0016】
示されているように、ピストン20は、コネクティングロッド52およびピン54を介してクランクシャフト50に取り付けられている。クランクシャフト50は、ピストン20の往復直線運動を回転運動に変換する。燃焼室12は、ピストン20のトップランド40に隣接して位置付けされている。燃料噴射器56は、燃料18を燃焼室12に提供し、弁58は、燃焼室12への空気16の送達を制御する。排気弁60は、エンジン10からの排気の排出を制御する。しかし、燃料18および空気16を燃焼室12に提供するための、および/または、排気を排出させるための、任意の適切なエレメントおよび/または技法を利用することが可能であるということが理解されるべきである。
【0017】
動作時に、燃焼室12の中で空気16とともに燃料18が燃焼することは、ピストン20が、シリンダー26のキャビティー30の中で、軸線方向34に、往復運動様式(たとえば、後退および前進)で移動することを引き起こす。ピストン20が移動すると、クランクシャフト50が回転し、上記に議論されているように、負荷24(図1に示されている)に動力を与える。クリアランス78(たとえば、環状スペースを画定する半径方向のクリアランス)が、シリンダー26の内側壁部28とピストン20の外側表面80との間に設けられている。トップリング44は、トップ溝部42からクリアランス78の中へ半径方向外向きに突出し、シリンダー26の内側壁部28に接触するように構成されている。トップリング44は、一般的に、燃料18および空気16、または燃料−空気混合物82が、燃焼室12から逃げることを阻止し、および/または、膨張する高温燃焼ガスがピストン20の往復運動を引き起こすことを可能にするために適切な圧力を維持することを促進させる。そのうえ、トップリング44は、一般的に、潤滑剤(たとえば、油)の掻き取りおよび分配を促進させ、潤滑剤は、内側壁部28をコーティングし、潤滑剤は、たとえば、エンジン10の中の熱および/または摩擦を制御する。したがって、トップリング44が内側壁部28から油を効果的におよび効率的に掻き取ることを可能にする形状、ならびに、任意の流体(たとえば、高温燃焼ガス、燃料、空気など)の吹き抜けを防止するためにトップリング44と内側壁部28との間の接触の維持を促進させるための他の特徴を、トップリング44が有することが望ましいこととなる。
【0018】
本実施形態によれば、トップリング44は、テーパー付きの環状のプロファイル(たとえば、テーパー付きの環状の外側面)、または、部分的にテーパー付きのプロファイル(たとえば、部分的にテーパー付きの環状の外側面)などのような、非対称的なプロファイル(たとえば、非対称的な断面)を備える外側面90(たとえば、外周面)を有することが可能である。たとえば、外側環状面90は、切頭円錐形状、湾曲した環状の形状、または、その両方を有することが可能である。そのような構成は、ピストン20のダウンストロークの間にトップリング44が内側壁部28から油を効果的におよび効率的に掻き取ることを可能にし、したがって、また、エンジン10の中の全体的な油消費を低減させる。しかし、より詳細に以下に議論されているように、燃焼室12からの高温の加圧燃焼ガス(たとえば、燃焼ガス)は、テーパー付きの環状の外側面90に接触し、シリンダー26の内側壁部28から離れるように半径方向内向きに(たとえば、半径方向軸線36に沿って)トップリング44を駆動する力を及ぼす。したがって、テーパー付きの環状の外側面90を有するトップリング44がシリンダー26の内側壁部28との接触を維持することを可能にすることができる様々な特徴が、本明細書で開示されている。
【0019】
図3は、ピストン20のトップランド40の中に形成された半径方向のチャネル100(たとえば、通路、トラフ、溝部など)を有するピストン20の実施形態の一部分の側面図である。示されているように、半径方向のチャネル100は、ピストン20の周りの離散的な場所(たとえば、ピストン20の周りに円周方向に間隔を離して配置されている離散的な場所)に形成されている。示されているように、半径方向のチャネル100は、湾曲した断面を有しており(たとえば、湾曲した壁部99を有しており)、かつ、軸線方向を向く表面101(たとえば、環状の表面)の中に、または、軸線方向を向く表面101に沿って形成されており、軸線方向を向く表面101は、トップランド40の底部表面およびトップ溝部42の上側表面(たとえば、上部表面または上部周囲部)の両方に対応している。半径方向のチャネル100は、ピストン20のトップランド40の外側表面80(たとえば、外側の環状表面)から半径方向内向きに(たとえば、半径方向36に)延在することが可能である。示されているように、半径方向のチャネル100は、トップ溝部42に向かって開口しており、また、トップリング44とトップ溝部42の上側表面101との間の軸線方向の距離102が、(たとえば、第1の軸線方向の距離102および第2の軸線方向の距離103(第2の軸線方向の距離103は、第1の軸線方向の距離102よりも大きく、半径方向のチャネル100と一致している)によって示されているように)半径方向のチャネル100に沿って増加させられている。したがって、トップリング44とトップ溝部42の上側表面101との間の軸線方向の距離は、トップリング44の周りで円周方向に変化する。より詳細に以下に議論されているように、そのような構成は、キャビティー30から半径方向のチャネル100に沿ってスペース(図4に示されている)への燃焼ガスの移送を促進させ、スペースにおいて、燃焼ガスが、トップリング44の内側面(図4に示されている)に対して半径方向外向きの力(たとえば、圧力誘起による付勢力)を及ぼす。したがって、半径方向のチャネル100は、トップリング44を横切る圧力勾配の制御を促進させることが可能であり、また、テーパー付きの環状の外側面90を有するトップリング44が、シリンダー26の内側壁部28との接触を維持することを可能にすることができる。
【0020】
先述のことを考慮に入れて、図4は、テーパー付きの環状の外側面90(たとえば、切頭円錐形状の面)を有するトップリング44の実施形態の一部分の側断面図であり、トップリング44が、ピストン20のトップ溝部42の中に位置付けされている。図示されている実施形態では、トップリング44は、非対称的なプロファイル(たとえば、非対称的な断面)を有しており、半径方向の線105に対して非対称的である。トップリング44のテーパー付きの環状の外側面90は、一般的に、ダウンストロークの間に、シリンダー26の内側壁部28に沿った効果的なおよび効率的な油の掻き取りを促進させる。示されているように、トップリング44の半径104(ひいては、直径)は、トップリング44の上部面110(たとえば、軸線方向上側の面)と底部面112(たとえば、軸線方向下側の面)との間で増加している。図示されている実施形態では、テーパー付きの環状の外側面90は、角度付きの直線的なプロファイルを有しており、トップリング44の最小半径104は、上部面110と一致しており、一方、トップリング44の最大半径104は、底部面112と一致している。そのような構成では、外側表面90は、トップリング44の底部面112において、または、トップリング44の底部面112の近位において、環状のシーリング点114(たとえば、環状のシール)を形成するために、内側壁部28と接触するように構成されている。半径104は、(示されているように)直線的な様式で、または、非直線的な様式で(たとえば、湾曲している)、変化することが可能であるということが理解されるべきである。外側面90は、シリンダー26の内側壁部28に対しておおよそ1.5度大きい角度115などのような任意の適切な角度で位置付けされ得る。いくつかの実施形態では、角度115は、1度、2度、3度、4度、または5度よりも大きくすることが可能である。特定の実施形態では、角度115は、約1度から15度の間、1.25から10度の間、または、1.5から5度の間にすることが可能である。
【0021】
追加的に、そのような構成では、燃焼ガスが、トップリング44の高さ118にわたって、テーパー付きの環状の外側面90に圧力を加える。たとえば、燃焼ガスは、矢印116によって示されているように、テーパー付きの環状の外側面90に向かって流れ、したがって、トップリング44を半径方向内向きに(たとえば、半径方向36に)駆動する半径方向内向きの力119を発生させる。トップリング44の上部面110とトップ溝部42の上側表面101との間に設けられている環状のギャップ120は、トップ溝部42の中でのトップリング44のいくらかの膨張を可能にすることができる。しかし、たとえば、リングフラッターおよび/またはリフトを制御し、リング安定性を維持するために、トップリング44の上部面110とトップ溝部42の上側表面101との間の第1の距離102(たとえば、環状のクリアランス)が最小にされることが望ましい可能性があるので、ギャップ120は、トップリング44の半径方向内側の面124(たとえば、内周面)への燃焼ガスの効率的な移送を可能にすることができない。
【0022】
上記に議論されているように、テーパー付きの環状の外側面90を有するトップリング44は、1つまたは複数の半径方向のチャネル100と関連して使用することが可能であり、1つまたは複数の半径方向のチャネル100は、トップリング44の内側面124に隣接するスペース130(たとえば、環状のチャンバー)への燃焼ガスの移送を促進させるように構成されている。たとえば、1個、2個、3個、4個、5個、6個、7個、8個、9個、10個、またはそれ以上の半径方向のチャネル100を、ピストン20の周りに均一な円周方向の間隔で、スペース130まで分配させることが可能である。スペース130は、トップリング44の内側面124およびトップ溝部42の内側表面131(たとえば、内側環状壁部)に隣接して位置付けられ、または、トップリング44の内側面124およびトップ溝部42の内側表面131(たとえば、内側環状壁部)によって画定され得る。そのようなケースでは、トップ溝部42の上側表面101およびトップリング44は、トップリング44の周囲部のうちのいくらかまたはほとんどの周りで、第1の距離102だけ分離されており、したがって、リングフラッターおよび/またはリフトを制御し、リング安定性を維持し、一方、燃焼ガスは、矢印132によって示されているように、キャビティー30から半径方向のチャネル100に沿ってスペース130の中へ流れることが許容される。したがって、トップリング44を横切る圧力勾配を低減させることが可能であり(たとえば、テーパー付きの環状の外側面90と内側面124との間の圧力勾配)、燃焼ガスは、トップリング44を半径方向外向きに(たとえば、半径方向軸線36に沿って)駆動する半径方向外向きの力134を及ぼし、テーパー付きの環状の外側面90に対して及ぼされる半径方向内向きの力119に対抗することが可能である。
【0023】
そのような構成は、テーパー付きの環状の外側面90を備えるトップリング44の使用を可能にすることができ、テーパー付きの環状の外側面90は、ダウンストロークの間に、シリンダー26の内側壁部28から効果的におよび効率的に油を掻き取ることが可能であり、一方、トップリング44がシリンダー26の内側壁部28との接触を維持することも可能にする。したがって、油消費、吹き抜け、および、半径方向のリング崩壊を低減させることが可能である。そのうえ、そのような構成は、エンジン10の中の(たとえば、トップリング44とシリンダー26の内側壁部28との間の)摩擦を低減させることが可能である。その理由は、トップリング44を半径方向外向きに(たとえば、半径方向軸線36に沿って)に駆動する半径方向外向きの力134は、テーパー付きの環状の外側面90に対して及ぼされる実質的に等しい半径方向内向きの力119によってバランスが保たれているからである。また、これらのバランスの取れた力は、エンジン10の様々なコンポーネントおよび部分(たとえば、トップリング44の外側面90、および、シリンダー26の内側壁部28)の摩耗およびスカッフィングを低減させる。
【0024】
図5は、ピストン20のトップ溝部42の中に位置付けされているトップリング44の実施形態の一部分の側断面図であり、トップリングの外側面90は、部分的にテーパーが付けられている(たとえば、部分的にテーパー付きの環状の外側面または切頭円錐面)。トップリング44は、半径方向の線138に対して非対称的なプロファイル(たとえば、非対称的な断面)を有している。そのようなケースでは、トップリング44の最大半径104は、トップリング44の中間部分140と一致しており、中間部分140は、トップリング44の高さ118に沿って、上部面110と底部面112との間に位置付けされている。いくつかの実施形態では、中間部分140は、トップリング44の中間点142(たとえば、高さ118に沿って、上部面110と底部面112との間に、軸線方向の中間に位置付けされている点)と底部面112との間に位置付けさせることが可能である。いくつかの実施形態では、半径104が上部面110から中間部分140へ増加するように、トップリング44を構成させることが可能であり、環状のシーリング点114を、中間部分140とシリンダー26の内側壁部28との間に形成させることが可能である。いくつかのそのようなケースでは、トップリング44の半径104は、中間部分140から底部面112へ、直線的な様式、階段状の様式、または切り欠きのある様式で、減少することが可能である。たとえば、示されているように、環状の切り欠き部143が、中間部分140と底部面112との間に設けられている。
【0025】
示されているように、部分的にテーパー付きの環状の外側面90は、上側部分150(たとえば、中間部分140と上部面110との間)と下側部分152(たとえば、中間部分140と底部面112との間)とを含む。そのようなケースでは、トップリング44およびトップ溝部42の特徴は、トップリング44を横切る圧力勾配を調節および/または制御ために使用することが可能である。たとえば、示されているように、燃焼ガスは、上側部分150を半径方向内向きに(たとえば、半径方向36に)駆動する半径方向内向きの力144を及ぼす。燃焼ガスは、半径方向のチャネル100を通って、トップリング44の内側面124に隣接するスペース130へ流れることが可能であり、半径方向内向きの力144に対抗するように、トップリング44を半径方向外向きに(たとえば、半径方向36に)駆動する半径方向外向きの力146を及ぼすことが可能である。追加的に、トップリング44の底部部分152を横切る圧力差を制御することが可能である。たとえば、トップリング44のシーリング点114は、一般的に、底部部分152に隣接するキャビティー30の中への燃焼ガスの移送を阻止するので、部分的にテーパー付きの環状の外側面90の底部部分152に隣接する圧力は、相対的に低くなることが可能である。しかし、半径方向のチャネル100を介してスペース130の中に流れる燃焼ガスが、内側面124の底部部分152に対して半径方向外向きの力146を及ぼし得るので、内側表面124の底部部分152に隣接する圧力は、外側表面90の底部部分152に隣接する圧力よりも大きくなることが可能である。したがって、半径方向外向きの力146は、半径方向内向きの力144よりも大きい。そのような構成は、トップリング44を半径方向外向きに促し、トップリング44がシリンダー26の内側壁部28との接触を維持することを可能にする。
【0026】
また、そのうえ、圧力勾配は、(たとえば、トップリング44および/または半径方向のチャネル100の形状を介して)制御され、トップリング44とシリンダー26の内側壁部28との間の摩擦などのような、エンジン10の中の摩擦を低減させることが可能である。たとえば、トップリング44の異なるプロファイル、および/または、半径方向のチャネル100の異なる体積は、トップリング44を横切る圧力勾配の制御が、ブロック半径方向のリング崩壊を阻止し、および/または、摩擦を低減させることを可能にすることができる。たとえば、シーリング点114と底部面112との間の軸線方向の距離158が減少するにつれて、トップリング44の底部部分152を横切る圧力差による力も減少することが可能である。したがって、トップリング44は、シリンダー26の内側壁部28との接触を維持することが可能であり、一方、トップリング44とシリンダー26の内側壁部28との間の摩擦が、トップリング44のプロファイルおよび/または幾何学形状を調節することによって制御される。いくつかの実施形態では、中間部分140が、シリンダー26の内側壁部28とともにシーリング点114を形成するように構成されている場合に、中間部分140は、上部面110に対して、トップリング44の高さ118のおおよそ60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、もしくは95%、またはそれ以上に位置付けされ得る。追加的に、上記に議論されているように、外側面90の上側部分150は、シリンダー26の内側壁部28に対して、1度、1.5度、2度、3度、4度、5度、またはそれ以上よりも大きいような任意の適切な角度に位置付けされ得る。いくつかの実施形態では、角度115は、約1度から15度の間、1.25度から10度の間、または、1.5度から5度の間とすることが可能である。
【0027】
図6は、トップリング44の中に形成された半径方向のチャネル100と、ピストン20のトップランド40を通して形成された軸線方向のチャネル160とを有するピストン20の実施形態を図示している。特定の実施形態では、半径方向のチャネル100は、トップリング44の上部面110に沿って形成させることが可能であり、および/または、軸線方向のチャネル160は、ピストン20のトップランド40を通して設けることが可能である。そのようなチャネルは、たとえば、図2図5に示されているように、ピストン20のトップランド40の中に形成された半径方向のチャネル100に加えて、または、それらの代替例として、設けることが可能である。
【0028】
示されているように、トップリング44の中に形成された半径方向のチャネル100は、トップリング44の部分的にテーパー付きの環状の外側面90から内側面124へ、半径方向内向きに(たとえば、半径方向36と)延在することが可能である。半径方向のチャネル100は、半径方向のチャネル100と一致する半径104に沿って、トップリング44の上部面110とトップ溝部42の上側表面101との間の軸線方向の距離102を増加させることが可能である。したがって、半径方向のチャネル100は、矢印162によって示されているように、キャビティー30から内側面124に隣接するスペース130への燃焼ガスの流れを促進させることが可能である。上記に議論されているように、スペース130へのガスの移送は、テーパー付きの環状の外側面90とトップリング44の内側面124との間の圧力差を制御することが可能であり、したがって、テーパー付きのまたは部分的にテーパー付きの環状の外側面90を有するトップリング44が、シリンダー26の内側壁部28との接触を維持することを可能にする。
【0029】
そのうえ、軸線方向のチャネル160が、ピストン20の上部表面161からトップランド40を通ってスペース130へ軸線方向34に延在するように示されている。したがって、軸線方向のチャネル160は、矢印166によって示されているように、燃焼室12から内側面124に隣接するスペース130への燃焼ガスの流れを促進させることが可能である。上記に議論されているように、スペース130へのガスの移送は、トップリング44の外側面90と内側面124との間の圧力差を制御することが可能であり、したがって、テーパー付きのまたは部分的にテーパー付きの環状の外側面90を有するトップリング44が、シリンダー26の内側壁部28との接触を維持することを可能にする。
【0030】
上記に述べられているように、半径方向のチャネル100および/または軸線方向のチャネル160は、圧力を等しくすること、または、トップリング44の内側面124とトップリング44の外側面90との間に圧力差を生成させることを助けることが可能であり、それによって、トップリング44をシリンダー26に対して半径方向外向きに付勢し、ブロックたとえば、半径方向のリング崩壊および/または吹き抜けを阻止することを助ける。追加的に、トップリング44、半径方向のチャネル100、および/または軸線方向のチャネル160は、エンジン10の様々なコンポーネント同士の間の摩擦も制限しながら、半径方向のリング崩壊および吹き抜けを阻止するように構築させることが可能である。半径方向のチャネル100および/または軸線方向のチャネル160は、エンジン10の中の様々な位置に図示されるが、半径方向のチャネル100および/または軸線方向のチャネル160は、トップリング44の内側面124に隣接するスペース130への燃焼ガスの移送を促進させる任意の適切な場所に位置付けさせることが可能であるということが理解されるべきである。追加的に、任意の適切な数の半径方向のチャネル100および/または軸線方向のチャネル160を設けることが可能である。たとえば、1個、2個、3個、4個、5個、6個、7個、8個、9個、10個、もしくはそれ以上の半径方向のチャネル100を設けることが可能であり、および/または、1個、2個、3個、4個、5個、6個、7個、8個、9個、10個、もしくはそれ以上の軸線方向のチャネル160を設けることが可能である。トップリング44の中の半径方向のチャネル100、トップ溝部42の上側表面101の中の半径方向のチャネル100、および/または、軸線方向のチャネル160は、ピストン20の周囲部の周りの離散的な場所に間隔を離して配置させることが可能であり、場合によっては、互いから均一な距離に間隔を離して配置させることが可能である。そのうえ、本明細書で開示されている半径方向のチャネル100および/または軸線方向のチャネル160に加えて、様々な低摩擦コーティングを利用することが可能である。
【0031】
開示されている実施形態の技術的効果は、半径方向のチャネル100および/または軸線方向のチャネル160などのようなチャネルを介して、エンジン10の中での燃焼ガスの分配を制御するためのシステムを提供することを含む。たとえば、燃焼ガスは、ピストンアッセンブリのトップリング44のテーパー付きのまたは部分的にテーパー付きの環状の外側面90に対して圧力を加えることが可能である。トップランド40の中にまたはトップリング44の中に形成される半径方向のチャネル100は、トップリング44の内側表面124に隣接するスペース130へ燃焼ガスを移送することが可能であり、したがって、テーパー付きの外側面90と内側面124との間の圧力勾配を制御し、テーパー付きのまたは部分的にテーパー付きの環状の外側面90を有するトップリング44が、シリンダー26の内側壁部28との接触を維持することを可能にする。また、そのような構成は、有利には、油消費、排出ガス、吹き抜け、半径方向のリング崩壊、および/または、エンジン10の中の摩擦を低減させることが可能である。
【0032】
この書面による説明は、本発明を開示するために、また、任意の当業者が本発明を実施(任意のデバイスまたはシステムを製造および使用すること、ならびに任意の組み込まれた方法を実行することを含む)することができるように、例(最良の形態を含む)を使用している。本発明の特許の範囲は、特許請求の範囲によって画定され、当業者が考え付く他の例を含むことが可能である。そのような他の例が、特許請求の範囲の文言と異ならない構造的要素を含んでいる場合には、または、特許請求の範囲の文言とわずかに異なる、均等な構造的要素を含んでいる場合には、そのような他の例は、特許請求の範囲内に含まれるということが意図されている。
【符号の説明】
【0033】
8 発電システム
10 往復動エンジン
12 燃焼室
14 空気供給部
16 空気、酸化剤
18 燃料
19 燃料供給部
20 ピストン
22 シャフト
24 負荷
25 ピストンアッセンブリ
26 シリンダー
28 内側壁部
30 キャビティー
34 軸線方向、軸線方向軸線
36 半径方向、半径方向軸線
38 円周方向、円周方向軸線
40 トップランド、上部部分
42 第1の環状の溝部、トップ溝部
44 第1のリング、トップリング
46 追加的な溝部
48 追加的なピストンリング
50 クランクシャフト
52 コネクティングロッド
54 ピン
56 燃料噴射器
58 弁
60 排気弁
78 クリアランス
80 外側表面
82 燃料−空気混合物
90 外側面
99 湾曲した壁部
100 半径方向のチャネル
101 上側表面
102 第1の軸線方向の距離
103 第2の軸線方向の距離
104 半径
105 半径方向の線
110 上部面
112 底部面
114 シーリング点
115 角度
116 矢印
118 高さ
119 半径方向内向きの力
120 ギャップ
124 内側面
130 スペース
131 内側表面
132 矢印
134 半径方向外向きの力
138 半径方向の線
140 中間部分
142 中間点
143 切り欠き部
144 半径方向内向きの力
146 半径方向外向きの力
150 上側部分
152 下側部分、底部部分
158 軸線方向の距離
160 軸線方向のチャネル
161 上部表面
162 矢印
166 矢印
図1
図2
図3
図4
図5
図6
【外国語明細書】
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