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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2015-232342(P2015-232342A)
(43)【公開日】2015年12月24日
(54)【発明の名称】トロイダル型無段変速機
(51)【国際特許分類】
   F16H 15/38 20060101AFI20151201BHJP
【FI】
   F16H15/38
【審査請求】未請求
【請求項の数】2
【出願形態】OL
【全頁数】13
(21)【出願番号】特願2014-118716(P2014-118716)
(22)【出願日】2014年6月9日
(71)【出願人】
【識別番号】000004204
【氏名又は名称】日本精工株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100104547
【弁理士】
【氏名又は名称】栗林 三男
(72)【発明者】
【氏名】板垣 浩文
(72)【発明者】
【氏名】土肥 永生
【テーマコード(参考)】
3J051
【Fターム(参考)】
3J051AA03
3J051BA03
3J051BB07
3J051BD02
3J051BE09
3J051CA05
3J051CB07
3J051EC03
3J051EC10
3J051FA02
(57)【要約】
【課題】取付け部材のサイズを大きくすることなく、取付け部材の破損を防止できるトロイダル型無段変速機を提供する。
【解決手段】シリンダボディ100に取付けフランジ120がシリンダボディ100とは別体に設けられているので、取付けフランジ120をシリンダボディ100とは異なる材料で形成できる。したがって、取付けフランジ120をシリンダボディ100より高強度材料である鉄等で形成することによって、取付けフランジ120の強度を向上させることができる。したがって、取付けフランジ120のサイズを大きくすることなく、取付けフランジ120の破損を防止できる。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ケーシングに、それぞれの内側面どうしを互いに対向させた状態で互いに同心的に、かつ回転自在に支持された入力側ディスクおよび出力側ディスクと、前記入力側ディスクと前記出力側ディスクとの間に挟持されたパワーローラと、前記入力側ディスクおよび前記出力側ディスクの中心軸に対して捻れの位置にある枢軸を中心に揺動するとともに前記枢軸の軸方向に変位し、かつ、前記パワーローラを回転自在に支持するトラニオンと、このトラニオンを前記枢軸の軸方向に変位させる駆動ピストンが設けられたシリンダボディとを備えたバリエータモジュールが設けられたトロイダル型無段変速機において、
前記シリンダボディに、当該シリンダボディを前記ケーシングに取り付けるための取付け部材が前記シリンダボディとは別体に設けられていることを特徴とするトロイダル型無段変速機。
【請求項2】
前記バリエータモジュールは、一対の前記トラニオンの前記各枢軸をそれぞれ傾転自在かつ軸方向に変位自在に支持するとともに、一対の前記トラニオンの変位により揺動するヨークを備え、
前記取付け部材の一部が、前記トラニオンの軸方向変位に伴う前記ヨークの揺動を規制するストッパを兼ねていることを特徴とする請求項1に記載のトロイダル型無段変速機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、自動車や各種産業機械の変速機などに利用可能なトロイダル型無段変速機に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば自動車用変速機として用いるダブルキャビティ式トロイダル型無段変速機は、図6および図7に示すように構成されている。図6に示すように、ケーシング50の内側には入力軸1が回転自在に支持されており、この入力軸1の外周には、2つの入力側ディスク2,2と2つの出力側ディスク3,3とが取り付けられている。また、入力軸1の中間部の外周には出力歯車(伝達歯車)4が回転自在に支持されている。この出力歯車4の中心部に設けられた円筒状のフランジ部4a,4aには、出力側ディスク3,3がスプライン結合によって連結されている。
入力軸1は、図6中左側に位置する入力側ディスク2とカム板(ローディングカム)7との間に設けられたローディングカム式の押圧装置12を介して、駆動軸22により回転駆動されるようになっている。また、出力歯車4は、2つの部材の結合によって構成された仕切壁13を介してケーシング50内に支持されており、これにより、入力軸1の軸線Oを中心に回転できる一方で、軸線O方向の変位が阻止されている。
【0003】
出力側ディスク3,3は、入力軸1との間に介在されたニードル軸受5,5によって入力軸1の軸線Oを中心に回転自在に支持されている。また、図6中左側の入力側ディスク2は、入力軸1にボールスプライン6を介して支持され、図6中右側の入力側ディスク2は、入力軸1にスプライン結合されており、これら入力側ディスク2は入力軸1とともに回転するようになっている。また、入力側ディスク2,2の内側面(凹面;トラクション面とも言う)2a,2aと出力ディスク3,3の内側面(凹面;トラクション面とも言う)3a,3aとの間には、パワーローラ11(図7参照)が回転自在に挟持されている。
【0004】
図6中右側に位置する入力側ディスク2の内周面2cには、段差部2bが設けられ、この段差部2bに、入力軸1の外周面1aに設けられた段差部1bが突き当てられるとともに、入力側ディスク2の背面(図6の右面)は、入力軸1の外周面に形成されたネジ部に螺合されたローディングナット9に突き当てられている。これによって、入力側ディスク2の入力軸1に対する軸線O方向の変位が実質的に阻止されている。また、カム板7と入力軸1の鍔部1dとの間には、皿ばね8が設けられており、この皿ばね8は、各ディスク2,2,3,3の凹面2a,2a,3a,3aとパワーローラ11,11の周面11a,11aとの当接部に押圧力(予圧)を付与する。
【0005】
図7は、図6のA−A線に沿う断面図である。図7に示すように、ケーシング50の内側には、入力軸1に対し捻れの位置にある一対の枢軸14,14を中心として揺動する一対のトラニオン15,15が設けられている。なお、図7においては、入力軸1の図示は省略している。各トラニオン15,15は、支持板部16の長手方向(図7の上下方向)の両端部に、この支持板部16の内側面側に折れ曲がる状態で形成された一対の折れ曲がり壁部20,20を有している。そして、この折れ曲がり壁部20,20によって、各トラニオン15,15には、パワーローラ11を収容するための凹状のポケット部Pが形成される。また、各折れ曲がり壁部20,20の外側面には、各枢軸14,14が互いに同心的に設けられている。
【0006】
支持板部16の中央部には円孔21が形成され、この円孔21には変位軸23の基端部23aが支持されている。そして、各枢軸14,14を中心として各トラニオン15,15を揺動させることにより、これら各トラニオン15,15の中央部に支持された変位軸23の傾斜角度を調節できるようになっている。また、各トラニオン15,15の内側面から突出する変位軸23の先端部23bの周囲には、各パワーローラ11が回転自在に支持されており、各パワーローラ11,11は、各入力側ディスク2,2および各出力側ディスク3,3の間に挟持されている。なお、各変位軸23,23の基端部23aと先端部23bとは、互いに偏心している。
【0007】
また、各トラニオン15,15の枢軸14,14はそれぞれ、一対のヨーク23A,23Bに対して揺動自在および軸方向(図7の上下方向)に変位自在に支持されており、各ヨーク23A,23Bにより、トラニオン15,15はその水平方向の移動を規制されている。各ヨーク23A,23Bは鋼等の金属のプレス加工あるいは鍛造加工により矩形状に形成されている。各ヨーク23A,23Bの四隅には円形の支持孔18が4つ設けられており、これら支持孔18にはそれぞれ、トラニオン15の両端部に設けた枢軸14がラジアルニードル軸受30を介して揺動自在に支持されている。また、ヨーク23A,23Bの幅方向(図7の左右方向)の中央部には、円形の係止孔19が設けられており、この係止孔19の内周面は円筒面として、球面ポスト64,68を内嵌している。すなわち、上側のヨーク23Aは、ケーシング50に固定部材52を介して支持されている球面ポスト64によって揺動自在に支持されており、下側のヨーク23Bは、球面ポスト68およびこれを支持する駆動シリンダ31の上側シリンダボディ61によって揺動自在に支持されている。
【0008】
なお、各トラニオン15,15に設けられた各変位軸23,23は、入力軸1に対し、互いに180度反対側の位置に設けられている。また、これらの各変位軸23,23の先端部23bが基端部23aに対して偏心している方向は、両ディスク2,2,3,3の回転方向に対して同方向(図7で上下逆方向)となっている。また、偏心方向は、入力軸1の配設方向に対して略直交する方向となっている。したがって、各パワーローラ11,11は、入力軸1の長手方向に若干変位できるように支持される。その結果、押圧装置12が発生するスラスト荷重に基づく各構成部材の弾性変形等に起因して、各パワーローラ11,11が入力軸1の軸方向に変位する傾向となった場合でも、各構成部材に無理な力が加わらず、この変位が吸収される。
【0009】
また、パワーローラ11の外側面とトラニオン15の支持板部16の内側面との間には、パワーローラ11の外側面の側から順に、スラスト転がり軸受であるスラスト玉軸受(スラスト軸受)24と、スラストニードル軸受25とが設けられている。このうち、スラスト玉軸受24は、各パワーローラ11に加わるスラスト方向の荷重を支承しつつ、これら各パワーローラ11の回転を許容するものである。このようなスラスト玉軸受24はそれぞれ、複数個ずつの玉(以下、転動体という)26,26と、これら各転動体26,26を転動自在に保持する円環状の保持器27と、円環状の外輪28とから構成されている。また、各スラスト玉軸受24の内輪軌道は各パワーローラ11の外側面(大端面)に、外輪軌道は各外輪28の内側面にそれぞれ形成されている。
【0010】
また、スラストニードル軸受25は、トラニオン15の支持板部16の内側面と外輪28の外側面との間に挟持されている。このようなスラストニードル軸受25は、パワーローラ11から各外輪28に加わるスラスト荷重を支承しつつ、これらパワーローラ11および外輪28が各変位軸23の基端部23aを中心として揺動することを許容する。
【0011】
さらに、各トラニオン15,15の一端部(図7の下端部)にはそれぞれ駆動ロッド(トラニオン軸)29,29が設けられており、各駆動ロッド29,29の中間部外周面に駆動ピストン(油圧ピストン)33,33が固設されている。そして、これら各駆動ピストン33,33はそれぞれ、上側シリンダボディ61と下側シリンダボディ62とによって構成された駆動シリンダ31内に油密に嵌装されている。これら各駆動ピストン33,33と駆動シリンダ31とで、各トラニオン15,15を、これらトラニオン15,15の枢軸14,14の軸方向に変位させる駆動装置32を構成している。
【0012】
このように構成されたトロイダル型無段変速機の場合、入力軸1の回転は、押圧装置12を介して、各入力側ディスク2,2に伝えられる。そして、これら入力側ディスク2,2の回転が、一対のパワーローラ11,11を介して各出力側ディスク3,3に伝えられ、さらにこれら各出力側ディスク3,3の回転が、出力歯車4より取り出される。
【0013】
入力軸1と出力歯車4との間の回転速度比を変える場合には、一対の駆動ピストン33,33を互いに逆方向に変位させる。これら各駆動ピストン33,33の変位に伴って、一対のトラニオン15,15が互いに逆方向に変位する。例えば、図7の左側のパワーローラ11が同図の下側に、同図の右側のパワーローラ11が同図の上側にそれぞれ変位する。
その結果、これら各パワーローラ11,11の周面11a,11aと各入力側ディスク2,2および各出力側ディスク3,3の内側面2a,2a,3a,3aとの当接部に作用する接線方向の力の向きが変化する。そして、この力の向きの変化に伴って、各トラニオン15,15が、ヨーク23A,23Bに枢支された枢軸14,14を中心として、互いに逆方向に揺動(傾転)する。
【0014】
その結果、各パワーローラ11,11の周面11a,11aと各内側面2a,3aとの当接位置が変化し、入力軸1と出力歯車4との間の回転速度比が変化する。また、これら入力軸1と出力歯車4との間で伝達するトルクが変動し、各構成部材の弾性変形量が変化すると、各パワーローラ11,11およびこれら各パワーローラ11,11に付属の外輪28,28が、各変位軸23,23の基端部23a、23aを中心として僅かに回動する。これら各外輪28,28の外側面と各トラニオン15,15を構成する支持板部16の内側面との間には、それぞれスラストニードル軸受25,25が存在するため、前記回動は円滑に行われる。したがって、前述のように各変位軸23,23の傾斜角度を変化させるための力が小さくて済む。
【0015】
近年、このようなトロイダル型無段変速機は、特許文献1に示すように、ケーシングに収容する前の段階で、入力軸、入力側ディスク、出力側ディスク、上下のヨーク、トラニオン、パワーローラ、駆動装置、シリンダボディ、油圧式の押圧装置、固定部材(アッパープレート)等が一体に組み立てられてバリエータモジュールとされ、このバリエータモジュールをケーシング内に収容して取り付けるようになっている。
【0016】
バリエータモジュールのシリンダボディをケーシングに取り付ける場合、一般的に、シリンダボディに、その厚さ方向に貫通する取付孔を形成し、ケーシングからボルトを取付孔に通して所定のねじ孔に螺合して締め付けることによって、シリンダボディを入力軸の軸方向に拘束するようにしてケーシングに取り付けている。
しかしながら、取付けスペースの制約の問題等から、図8に示すように、シリンダボディ63に取付けフランジ部63Aを一体的に設け、この取付けフランジ部63Aをケーシングに固定することで、シリンダボディ63を入力軸方向に拘束することも検討されている。
一方、車体の軽量化・省燃費化が市場要求としてあり、トロイダル無段変速機も軽量化が進められている。軽量化の方法としては、シリンダボディを従来の鉄製からアルミ製にすることが検討されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0017】
【特許文献1】特開2004−84712号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0018】
ところが、シリンダボディをアルミ製にする場合、以下のような問題が生じる。
すなわちまず、アルミ製のシリンダボディは、鉄製のシリンダボディに比して材料強度が低い。
【0019】
また、バリエータモジュールでは、一対の入力側ディスクの間に配置される一対の出力側ディスクの背面どうしを接合した状態に、一対の出力側ディスクを一体にするとともに、この一体になった出力側ディスクの外周面に外周歯を設けて出力歯車とした一体型出力側ディスクが用いられ、この出力歯車をはすば歯車とする場合がある。この場合、はすば歯車は軸方向にも力を伝達する。
一方、バリエータモジュールにおいては、下側の球面ポストと、上側の球面ポストとが上下に一体に接合された柱状ポストとされ、バリエータモジュールにおいて一対の柱状ポストがアッパープレートと、シリンダボディを接続した状態となっている。そして、この柱状ポストの上下の中央部分を入力軸が貫通した状態となっており、この入力軸に一対の入力側ディスク、出力側ディスク等が支持されている。
【0020】
したがって、(一体型)出力側ディスクの外周部に設けられたはすば歯車が軸方向に力を伝達すると、図9に示すように、(柱状)ポスト69が入力軸の軸方向に荷重を受けて、二点鎖線で示す柱状ポスト69のように変位し、これに伴って、当該(柱状)ポスト69を拘束するシリンダボディ固定部、つまり(柱状)ポスト69の下端部を固定しているシリンダボディ63の部位にも荷重が加わる。この荷重は、取付けフランジ部63Aを用いた場合、取付けフランジ部63Aの根元63bへの応力集中を招き、取付けフランジ部63Aの破損へつながる虞があり、問題となる。特に、軽量化を図るために、アルミ製のシリンダボディ63とした場合、取付けフランジ部63Aも一体型のためアルミ製となり、鉄製のものに比して強度が低くなるため、前記のような応力集中による破損の虞が大きくなる。
【0021】
以上のような問題を解決する方法として、図10に示すように、取付けフランジ部63Aの根元の曲率Rを大きくする方法が考えられる。しかしながら、この場合、取付けフランジ部63Aの固定用の孔63cと、R部63Rの干渉を避ける必要があり、結果として、取付けフランジ部63Aのサイズを大きくすることになる。これはスペースの制約がある多くの場合において、好ましくない。
【0022】
本発明は、前記事情に鑑みてなされたもので、取付けフランジ等の取付け部材のサイズを大きくすることなく、取付け部材の破損を防止できるトロイダル型無段変速機を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0023】
前記目的を達成するために、本発明のトロイダル型無段変速機は、ケーシングに、それぞれの内側面どうしを互いに対向させた状態で互いに同心的に、かつ回転自在に支持された入力側ディスクおよび出力側ディスクと、前記入力側ディスクと前記出力側ディスクとの間に挟持されたパワーローラと、前記入力側ディスクおよび前記出力側ディスクの中心軸に対して捻れの位置にある枢軸を中心に揺動するとともに前記枢軸の軸方向に変位し、かつ、前記パワーローラを回転自在に支持するトラニオンと、このトラニオンを前記枢軸の軸方向に変位させる駆動ピストンが設けられたシリンダボディとを備えたバリエータモジュールが設けられたトロイダル型無段変速機において、
前記シリンダボディに、当該シリンダボディを前記ケーシングに取り付けるための取付け部材が前記シリンダボディとは別体に設けられていることを特徴とする。
【0024】
この場合、シリンダボディより取付け部材が高強度の材料によって形成されているのが好ましい。
【0025】
本発明においては、シリンダボディに取付け部材がシリンダボディとは別体に設けられているので、取付け部材をシリンダボディとは異なる材料で形成できる。したがって、取付け部材をシリンダボディより高強度材料で形成することによって、取付け部材の強度を向上させることができる。したがって、取付け部材のサイズを大きくすることなく、取付け部材の破損を防止できる。
【0026】
また、本発明の前記構成において、前記バリエータモジュールは、一対の前記トラニオンの前記各枢軸をそれぞれ傾転自在かつ軸方向に変位自在に支持するとともに、一対の前記トラニオンの変位により揺動するヨークを備え、
前記取付け部材の一部が、前記トラニオンの軸方向変位に伴う前記ヨークの揺動を規制するストッパを兼ねていてもよい。
【0027】
このような構成によれば、ストッパがシリンダボディとは別体の取付け部材の一部によって兼ねられているので、ストッパの形成材料をシリンダボディの形成材料と異ならせることができる。したがって、ストッパの形成材料を、シリンダボディの形成材料よりも硬質にするとともに、シリンダボディを軽量素材で形成することができる。したがって、シリンダボディの軽量化を図りつつヨークの傾転変位(揺動)を確実に規制できる。
【発明の効果】
【0028】
本発明によれば、取付けフランジ等の取付け部材のサイズを大きくすることなく、取付け部材の破損を防止できる。
【図面の簡単な説明】
【0029】
図1】本発明の第1の実施形態に係るトロイダル型無段変速機を示すもので、シリンダボディの概略構成を示す斜視図である。
図2】本発明の第2の実施形態に係るトロイダル型無段変速機を示すもので、シリンダボディの概略構成を示す斜視図である。
図3】本発明の第3の実施形態に係るトロイダル型無段変速機を示すもので、シリンダボディの概略構成を示す斜視図である。
図4】本発明の第4の実施形態に係るトロイダル型無段変速機を示すもので、シリンダボディの概略構成を示す斜視図である。
図5】本発明の第5の実施形態に係るトロイダル型無段変速機を示すもので、シリンダボディの概略構成を示す側面図である。
図6】従来のトロイダル型無段変速機の一例を示す断面図である。
図7図6におけるA−A線に沿う断面図である。
図8】従来のトロイダル型無段変速機のシリンダボディの概略構成を示す斜視図である。
図9】従来のトロイダル型無段変速機のシリンダボディにおいて、取付けフランジに応力集中が生じる理由を説明するための図である。
図10】従来のトロイダル型無段変速機のシリンダボディの概略構成を示す断面図である
【発明を実施するための形態】
【0030】
以下、図面を参照しながら、本発明の実施形態について説明する。
なお、本発明の特徴は、バリエータモジュールを構成するシリンダボディの構成にあり、その他の構成および作用は前述した従来の構成および作用と同様であるため、以下においては、本発明の特徴部分についてのみ言及し、それ以外の部分については、図6および図7と同一の符号を付して、その説明を省略ないし簡略化する。
【0031】
(第1の実施の形態)
図1は、第1の実施の形態に係るトロイダル型無段変速機のシリンダボディ100の概略構成を示す斜視図である。なお、このシリンダボディ100は、実際は上側シリンダボディおよび下側シリンダボディで構成されているが、図1では上側シリンダボディおよび下側シリンダボディの区別やその他の詳細な構成は省略し、1つのシリンダボディ100として図示している。また、後述するシリンダボディ101〜102においても同様である。
【0032】
シリンダボディ100には、当該シリンダボディ100を図示しないケーシングに取り付けるための一対の取付けフランジ(取付け部材)120,120がシリンダボディ100とは別体に設けられている。
シリンダボディ100は、アルミ製であり矩形板状に形成されている。シリンダボディ100の長手方向の両端部には、それぞれ段差面100aが形成されており、この段差面100aに取付けフランジ120が設置されている。
【0033】
取付けフランジ120は、シリンダボディ100より高強度の材料である鉄製であり、矩形板状に形成された本体部120aと、この本体部120aに一体的に立設されたブラケット部120bとを有している。ブラケット部120bは本体部120aの長手方向中央部に設けられており、このブラケット部120bにはボルト等を挿通するための取付孔120cが形成されている。
なお、取付けフランジ120の材料は鉄に限らず、シリンダボディ100の材料より高強度の材料であればよい。
【0034】
シリンダボディ100の段差面100aの縦横の長さは、取付けフランジ120の本体部120aの平面視における縦横の長さとほぼ一致しており、シリンダボディ100の上面と段差面100aとの段差は取付けフランジ120の本体部120a厚さとほぼ一致している。
したがって、段差面100aに取付けフランジ120の本体部120aを設置するとともに、この本体部120aの長手方向の一方の側面を、段差面100aとシリンダボディの上面との間の壁面に当接した状態において、シリンダボディ100の上面と取付けフランジ120の本体部120aの上面とはほぼ面一となっており、本体部120aの長手方向に沿う側面と、短手方向に沿う側面とは、それぞれシリンダボディ100の短手方向に沿う側面と、長手方向に沿う側面とは面一となっている。
本体部120aの長手方向両端部には貫通孔120dが形成されており、この貫通孔120dにねじを挿入して段差面100aに形成されたねじ孔にねじ込むことによって、段差面100aに取付けフランジ120が固定されている。
【0035】
このような構成のシリンダボディ100には、その短手方向に入力軸の軸線方向を一致させて、入力軸、入力側ディスクおよび出力側ディスク、パワーローラ、トラニオン、このトラニオンを枢軸の軸方向に変位させる駆動ピストン等が取り付けられてバリエータモジュールが構成される。
そして、このバリエータモジュールのシリンダボディ100がケーシングに取り付けられる。この場合、取付けフランジ120のブラケット部120bの取付孔120cにボルト等の止着部材を挿通して、このボルトをケーシングに設けられたボルト孔に螺合して締め付けることによって、シリンダボディ100がケーシングに取り付けられる。
【0036】
本実施の形態によれば、シリンダボディ100に、取付けフランジ120がシリンダボディ100とは別体に設けられているので、取付けフランジ120をシリンダボディ100とは異なる材料で形成できる。つまり、取付けフランジ120をシリンダボディ100の形成材料であるアルミより高強度の鉄で形成できる。したがって、取付けフランジ120の強度を、これをシリンダボディ100と一体的に形成した場合に比して、向上させることができるので、取付けフランジ120のサイズを大きくすることなく、取付けフランジ120の破損を防止できる。
また、取付けフランジ120の本体部120aの長手方向の一方の側面を、段差面100aとシリンダボディの上面との間の壁面に当接した状態で、取付けフランジ120を段差面100aに固定しているので、取付けフランジ120のシリンダボディ100の長手方向における位置決めを容易に行うことができる。
【0037】
(第2の実施の形態)
図2は、第2の実施の形態に係るトロイダル型無段変速機のシリンダボディ101の概略構成を示す斜視図である。
シリンダボディ101には、当該シリンダボディ101を図示しないケーシングに取り付けるための一対の取付けフランジ(取付け部材)121,121がシリンダボディ100とは別体に設けられている。
シリンダボディ101は、アルミ製であり矩形板状に形成されている。シリンダボディ100の長手方向の両端部には、それぞれ矩形状の凹部101aが形成されており、この凹部101aに取付けフランジ121が設置されている。
【0038】
取付けフランジ121は、シリンダボディ101より高強度の材料である鉄製であり、矩形板状に形成された本体部121aと、この本体部121aに一体的に立設されたブラケット部121bとを有している。ブラケット部121bは本体部120aの長手方向中央部に設けられており、このブラケット部121bにはボルト等を挿通するための取付孔121cが形成されている。
【0039】
シリンダボディ101の凹部101aは、シリンダボディ101の上面および短手方向に沿う側面に開口している。また、凹部101aの底面の縦横の長さは、取付けフランジ121の本体部121aの平面視における縦横の長さとほぼ一致しており、シリンダボディ101の上面と凹部101aの底面との段差は取付けフランジ121の本体部121a厚さとほぼ一致している。
したがって、凹部101aに取付けフランジ121の本体部121aを嵌め込んだ状態において、シリンダボディ101の上面と取付けフランジ121の本体部121aの上面とはほぼ面一となっており、本体部121aの長手方向に沿う一方の側面と、短手方向に沿う両側面とは、それぞれシリンダボディ101の凹部101aの長手方向に沿う壁面と、短手方向に沿う両壁面とに当接し、本体部121aの長手方向に沿う他方の側面とシリンダボディ101の短手方向に沿う側面とは面一となっている。
本体部121aの長手方向両端部には貫通孔121dが形成されており、この貫通孔121dにねじを挿入して凹部101aの底面に形成されたねじ孔にねじ込むことによって、凹部101aに取付けフランジ121が固定されている。
【0040】
このような構成のシリンダボディ101は、第1の実施の形態と同様にして、バリエータモジュールを構成し、このバリエータモジュールのシリンダボディ101が第1の実施の形態と同様にしてケーシングに取り付けられる。
【0041】
本実施の形態によれば、第1の実施の形態と同様に、取付けフランジ121をシリンダボディ101の形成材料であるアルミより高強度の鉄で形成できる。したがって、取付けフランジ121の強度を向上させることができるので、取付けフランジ121のサイズを大きくすることなく、取付けフランジ121の破損を防止できる。
また、取付けフランジ121の本体部121aをシリンダボディ101の凹部101aに嵌め込んで固定しているので、取付けフランジ121のシリンダボディ101の長手方向および短手方向における位置決めを容易に行うことができる。
【0042】
(第3の実施の形態)
図3は、第3の実施の形態に係るトロイダル型無段変速機のシリンダボディ102の概略構成を示す斜視図である。
シリンダボディ102には、当該シリンダボディ102を図示しないケーシングに取り付けるための一対の取付けフランジ(取付け部材)120,120がシリンダボディ102とは別体に設けられている。
シリンダボディ102は、アルミ製であり矩形板状に形成されており、第1および第2の実施の形態のような段差面100aや凹部101aは形成されていない。
また、取付けフランジ120,120は第1実施の形態と同一のものであり、シリンダボディ102より高強度の材料である鉄製である。したがって、取付けフランジ120の構成については、第1の実施の形態の取付けフランジ120と同一の符号を付して、その説明を省略する。
【0043】
この取付けフランジ120は、その本体部120aをシリンダボディ102の長手方向両端部の上面に設置し、貫通孔120dにねじを挿入してシリンダボディ102の上面に形成されたねじ孔にねじ込むことによって、シリンダボディ102の上面に固定されている。この状態において、取付けフランジ120の本体部120aの長手方向の一方の側面と短手方向に沿う両側面とがそれぞれ、シリンダボディ102の短手方向に沿う側面と長手方向に沿う側面と面一になっている。
【0044】
このような構成のシリンダボディ102は、第1の実施の形態と同様にして、バリエータモジュールを構成し、このバリエータモジュールのシリンダボディ102が第1の実施の形態と同様にしてケーシングに取り付けられる。
【0045】
本実施の形態では、第1の実施の形態と同様に、取付けフランジ120をシリンダボディ102の形成材料であるアルミより高強度の鉄で形成できる。したがって、取付けフランジ120の強度を向上させることができるので、取付けフランジ120のサイズを大きくすることなく、取付けフランジ120の破損を防止できる。
また、シリンダボディ102に第1および第2の実施の形態のような段差面100aや凹部101aが形成されていないので、その分、シリンダボディ102の製造が容易であるという利点がある。
【0046】
(第4の実施の形態)
図4は、第4の実施の形態に係るトロイダル型無段変速機のシリンダボディ102の概略構成を示す斜視図である。
シリンダボディ102には、当該シリンダボディ102を図示しないケーシングに取り付けるための一対の取付けフランジ(取付け部材)120,120がシリンダボディ102とは別体に設けられている。
シリンダボディ102は、第3の実施の形態と同様に、アルミ製であり矩形板状に形成されており、第1および第2の実施の形態のような段差面100aや凹部101aは形成されていない。
また、取付けフランジ120,120の構成は第1実施の形態および第2の実施の形態の取付けフランジ120,120と同一のものであり、シリンダボディ102より高強度の材料である鉄製である。なお、取付けフランジ120の構成については、第1および第2の実施の形態の取付けフランジ120と同一の符号を付して、その説明を省略する。
【0047】
本実施の形態では、第3の実施の形態に比して、取付けフランジ120の取り付ける位置が異なる。
すなわち、取付けフランジ120の本体部120aはシリンダボディ102の短手方向に沿う側面に当接されたうえで、本体部120aに形成されている貫通孔120dにねじを挿入してシリンダボディ102の側面に形成されたねじ孔にねじ込むことによって、当該側面に取付けフランジ120が固定されている。
【0048】
本実施の形態では、第3の実施の形態と同様の効果を得ることができる他、取付けフランジ120の位置が第3の実施の形態と異なり、シリンダボディ102を異なる態様でケーシングに固定できる。つまり、ケーシングに設ける取付け用のボルト孔の位置に応じて本実施の形態におけるシリンダボディ102をケーシングに取り付けることができる。
【0049】
図5は、第5の実施の形態に係るトロイダル型無段変速機のシリンダボディ100の概略構成を示す斜視図である。なお、本実施の形態では、シリンダボディ100の構成は、第1の実施の形態のシリンダボディ100と同一であるので、同一符号を付して、その説明を省略する。
本実施の形態では、バリエータモジュールは、図示しない一対のトラニオンの各枢軸をそれぞれ傾転自在かつ軸方向に変位自在に支持するとともに、一対のトラニオンの変位により揺動する上下一対のヨーク23A,23Bを備えている(図7参照)。
図5には、下側のヨーク23Bが記載されており、このヨーク23Bは柱状ポストの球面ポスト68を支点として上下に揺動するようになっている。
【0050】
また、本実施の形態では、第1の実施の形態におけるシリンダボディ100と取付けフランジ120を備えており、この取付けフランジ120は、シリンダボディ100の中央側に向けて突出するストッパ125を有している。このストッパ125は取付けフランジ120と一体的に形成されたものであり、取付けフランジ120を前記段差面100aに設置した状態において、シリンダボディ100の上面から所定高さだけ突出している。つまり、取付けフランジ120の一部が、トラニオンの軸方向変位に伴うヨーク23Bの揺動を規制するストッパ125を兼ねている。
そして、トラニオンの軸方向変位に伴って、ヨーク23Bが揺動した場合、図5(b)に示すように、ヨーク23Bの両端部がそれぞれストッパ125に当接して、当該ヨーク23Bの揺動を規制するようになっている。
【0051】
本実施の形態によれば、第1の実施の形態と同様の効果を得ることができる他、ストッパ125がシリンダボディ100とは別体の取付けフランジ120の一部によって兼ねられているので、ストッパ125の形成材料をシリンダボディ100の形成材料と異ならせることができる。したがって、ストッパ125の形成材料を、シリンダボディ100の形成材料よりも硬質な鉄にし、シリンダボディ100を軽量素材であるアルミで形成することができる。したがって、シリンダボディ100の軽量化を図りつつヨーク23Bの傾転変位(揺動)を確実に規制できる。
【0052】
なお、本実施の形態では、取付けフランジ120,121をボルトによってシリンダボディ100〜102に固定したが、この固定は必ずしもボルトによるものでなくてもよい。例えば、リベットによって固定してもよいし、圧入によって固定してもよい。
また、ダブルキャビティ式ハーフトロイダル型無段変速機に本発明を適用する場合を例にとって説明したが、これに限ることなく、本発明はシングルキャビティ式ハーフトロイダル型無段変速機や、フルトロイダル型無段変速機にも適用することができる。
【符号の説明】
【0053】
2 入力側ディスク
3A 出力側ディスク
23B ヨーク
11 パワーローラ
15 トラニオン
33 駆動ピストン
50 ケーシング
100〜102 シリンダボディ
120,121 取付けフランジ(取付け部材)
125 ストッパ
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10