(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2015-232381(P2015-232381A)
(43)【公開日】2015年12月24日
(54)【発明の名称】動力伝達装置
(51)【国際特許分類】
F16H 57/04 20100101AFI20151201BHJP
H02K 7/116 20060101ALI20151201BHJP
H02K 7/14 20060101ALI20151201BHJP
【FI】
F16H57/04 P
F16H57/04 J
H02K7/116
H02K7/14 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】3
【出願形態】OL
【全頁数】8
(21)【出願番号】特願2014-120132(P2014-120132)
(22)【出願日】2014年6月11日
(71)【出願人】
【識別番号】592058315
【氏名又は名称】アイシン・エーアイ株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】000003218
【氏名又は名称】株式会社豊田自動織機
(74)【代理人】
【識別番号】100081776
【弁理士】
【氏名又は名称】大川 宏
(72)【発明者】
【氏名】林 陽介
(72)【発明者】
【氏名】田中 博幸
(72)【発明者】
【氏名】林 裕人
【テーマコード(参考)】
3J063
5H607
【Fターム(参考)】
3J063AA01
3J063AB02
3J063AC01
3J063AC11
3J063BA11
3J063BB50
3J063CA01
3J063CB01
3J063CD45
3J063CD65
3J063XD03
3J063XD16
3J063XD32
3J063XD42
3J063XD62
3J063XD72
3J063XE22
3J063XE38
5H607AA02
5H607BB01
5H607BB02
5H607CC05
5H607DD02
5H607EE34
5H607FF04
5H607FF24
(57)【要約】
【課題】過剰分の潤滑油を速やかにキャッチタンクに回収できる動力伝達装置を提供することを解決すべき課題とする。
【解決手段】動力源20に接続され、複数の歯車31〜34の組み合わせで変速する歯車機構30と、歯車機構30を収納し、規定量OLの潤滑油を使用状態において内部に保持可能な歯車機構収納空間10Cをもつケーシング10と、静止状態において規定量の潤滑油を入れたときに潤滑油にて満たされる潤滑油連通路13と、空気の移動が可能な空気連通路11、10A、12とで連結されたオイルキャッチタンク10Bと、複数の歯車31〜34のうちの1又は2以上に連動して回転する羽根23をもち、空気連通路11、10A、12をキャッチタンク10Bから歯車収納空間10Cに向けて送風して歯車機構収納空間10Cの内圧をキャッチタンク10Bの内圧よりも高くする送風機とをもつ。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
動力源に接続され、前記動力源からの回転動力を複数の歯車の組み合わせで変速する歯車機構と、
前記歯車機構を収納し、規定した範囲の量である規定量の潤滑油を使用状態において内部に保持可能な歯車機構収納空間をもつケーシングと、
静止状態において前記規定量の潤滑油を入れたときに前記潤滑油にて満たされる潤滑油連通路と、空気の移動が可能な空気連通路とで連結されたオイルキャッチタンクと、
前記複数の歯車のうちの1又は2以上に連動して回転する羽根をもち、前記空気連通路を前記キャッチタンクから前記歯車収納空間に向けて送風して前記歯車機構収納空間の内圧を前記キャッチタンクの内圧よりも高くする送風機と、
をもつ動力伝達装置。
【請求項2】
前記潤滑油連通路が前記歯車収納空間にて開口する開口部の高さは前記静止状態における規定量の潤滑油の油面よりも下である請求項1に記載の動力伝達装置。
【請求項3】
前記動力源は前記ケーシング内に配設され、ロータとステータとを持つモータジェネレータで有り、
前記羽根は前記動力源の前記ロータのコイルエンドに固定されている請求項1又は2に記載の動力伝達装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両に搭載される動力伝達装置に関し、詳しくは潤滑が必要な歯車機構を有する動力伝達装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来の歯車機構をもつ動力伝達装置はケーシング内に潤滑油を保持している。潤滑油はケーシング内に過剰に入れられており動力伝達装置の運転時には過剰分の潤滑油をキャッチタンクに回収している。
【0003】
潤滑油のキャッチタンクへの回収は動力伝達機構が有する歯車機構がもつ歯車による掻き上げにより行っている(特許文献1など)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2009-257518号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
従来技術の動力伝達装置では過剰分の潤滑油を歯車の掻き上げで行っているため、速やかに過剰分の潤滑油をキャッチタンクに回収することができず、回収が完了するまでの運転初期段階においては過剰分の潤滑油が存在することにより歯車による潤滑油の撹拌損失が大きくなり効率が低下する。
【0006】
本発明は上記課題に鑑み完成したものであり、過剰分の潤滑油を速やかにキャッチタンクに回収できる動力伝達装置を提供することを解決すべき課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
(1)上記課題を解決する本発明の動力伝達装置は、動力源に接続され、前記動力源からの回転動力を複数の歯車の組み合わせで変速する歯車機構と、
前記歯車機構を収納し、規定した範囲の量である規定量の潤滑油を使用状態において内部に保持可能な歯車機構収納空間をもつケーシングと、
静止状態において前記規定量の潤滑油を入れたときに前記潤滑油にて満たされる潤滑油連通路と、空気の移動が可能な空気連通路とで連結されたオイルキャッチタンクと、
前記複数の歯車のうちの1又は2以上に連動して回転する羽根をもち、前記空気連通路を前記キャッチタンクから前記歯車収納空間に向けて送風して前記歯車機構収納空間の内圧を前記キャッチタンクの内圧よりも高くする送風機と、
をもつ。
【0008】
歯車の形状は必ずしも潤滑油の掻き上げに特化して形成できない。特に潤滑油は必要最小限の量を保持するものであるために潤滑油を掻き上げさせる歯車は潤滑油の油面から大きく露出しており掻き上げの効率も低下せざるを得ない。また、キャッチタンクへの潤滑油回収の進行や、動力伝達装置を搭載した車両の移動によっても油面の位置が大きく変動することになるから、潤滑油の掻き上げに特化することが困難な歯車では潤滑油を効果的にキャッチタンクに回収することは困難である。
【0009】
それに対して送風機による差圧発生を行うと、発生した差圧の大きさに応じた潤滑油の移動が速やかに行われる。送風機の羽根は常に空気中に存在させることが可能であり効果的に送風できる。潤滑油を直接的に移動させるために油ポンプを設けることも考えられるがもともと回転する歯車機構に連動する羽根や歯車に比べて構成要素が多くなってしまう。
【0010】
以上説明した通り歯車による潤滑油の掻き上げに比べて送風機による差圧発生の方が速やかに潤滑油をキャッチタンクに回収することが可能である。
上述の(1)に記載の動力伝達装置は以下の(2)及び(3)のうちの一方又は両方の構成を採用することができる。
【0011】
(2)前記潤滑油連通路が前記歯車収納空間にて開口する開口部の高さは前記静止状態における規定量の潤滑油の油面よりも下である。潤滑油連通路が歯車機構収納空間に開口する開口部の高さを静止状態における油面よりも下にすることにより潤滑油連通路に空気が侵入して潤滑油の回収効率が落ちることを防止できる。ここで潤滑油連通路に空気が入ると、それ以上の潤滑油の回収は進行し難くなる。従って開口部の高さが最終的に目的とする油面の高さと積極的に一致させることで動作中における油面の高さを安定させることができる。特に発生する差圧が大きくなり過ぎても潤滑油の回収はそれ以上進行しないため、潤滑油の回収のし過ぎを生起することなく送風機の容量を大きくして速やかに潤滑油を回収させることができる。
【0012】
(3)前記動力源は前記ケーシング内に配設され、ロータとステータとを持つモータジェネレータで有り、前記羽根は前記動力源の前記ロータのコイルエンドに固定されている。通常、モータジェネレータにおけるロータのコイルエンド近傍は死空間になっているため空間の有効利用を図ることができる。
【発明の効果】
【0013】
上述の(1)の発明によれば、キャッチタンクへの潤滑油の回収を速やかに行うことができる。上述の(2)の構成を採用すると、潤滑油の回収効率の低下を抑制できるほか、油面の位置が安定するという付随的な効果を発揮できる。上述の(3)の構成を採用すると、動力伝達装置の空間効率を高めることができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【
図1】実施例の動力伝達装置の概要を示すスケルトン図である。
【
図2】
図2に示す動力伝達装置における羽根23を示す一部拡大図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
本発明の動力伝達装置について以下、実施例に基づき説明する。本実施例の動力伝達装置は車両に搭載される動力源に接続され、その動力源からの回転出力を歯車機構により変速して車輪に伝達する装置である。動力源としてはモータジェネレータ、内燃機関、及びそれらの組み合わせなど特に限定しない。更に動力伝達装置と動力源とを一体化することもできる。
【0016】
(実施態様1)
・構成
本実施例の動力伝達装置は動力源としてのモータジェネレータを内蔵する装置である。本実施形態の動力伝達装置1は、
図1に示すように、ケーシング10とモータジェネレータ20と歯車機構30とをもつ。ケーシング10はオイルキャッチタンク10Bが一体化されている。更にケーシング10はモータジェネレータ20を収納するモータジェネレータ収納室10Aと歯車機構収納空間10Cとをもつ。
【0017】
モータジェネレータ収納室10Aはオイルキャッチタンク10Bの上方に配設され、歯車機構収納空間10Cはモータジェネレータ収納室10A及びオイルキャッチタンク10Bの側方に配置され、内部に潤滑油を保持可能である。モータジェネレータ収納室10A及びオイルキャッチタンク10Bの間には空気が流通可能な空気連通路12が、モータジェネレータ収納室10A及び歯車機構収納空間10Cの間には空気が流通可能な空気連通路11が、キャッチタンク10B及び歯車機構収納空間10Cの間には潤滑油が流通可能な潤滑油連通路13がそれぞれある。
【0018】
潤滑油は使用状態で歯車機構収納空間の内部に保持されている。潤滑油を入れる量は動力伝達装置1が動作していない静止状態で油面OL(規定量の潤滑油が入ったときの油面)になるように入れられている。潤滑油連通路13の歯車機構収納空間10Cでの開口部の上端位置は油面OLよりも下(油面OL1)になっており静止状態では、常に潤滑油が潤滑油連通路13内を満たしている。潤滑油の量は潤滑に必要な量の範囲で任意に決定できる(規定した範囲の量に相当)。
【0019】
モータジェネレータ20は、ロータ21とステータ22と羽根23とからなる。ロータ21は回転軸方向の一端部21aと他端部21bとの間で空気が流通可能な連通路21cを中心軸部分にもつ。ステータ22はロータ21の外側に配設される。羽根23はロータ21の回転軸方向の一端部21aに一体化され、ロータ21の順回転により他端部21bから一端部21aに向けて連通路21cを通じて送風する送風機として作用する。
【0020】
モータジェネレータ20は電力を回転動力に変換して出力軸211から歯車機構30に出力したり、反対に歯車機構30から逆の経路にて伝達されてきた回転動力を電力に変換したりできる。それら電力と回転動力との変換は図示しない制御装置により制御される。従って羽根23は出力軸211を通じて歯車31〜34と連動する。
【0021】
モータジェネレータ20はロータ21と一体回転する出力軸211が歯車機構収納空間10Cに突出するように配設される。出力軸211はロータ21の一端部21a、他端部21bのうち羽根23が一体化された側21aに設けられる。羽根23が設けられた側と反対側である、ロータ21の他端部21bの近傍には整流板15が設けられている。整流板15はモータジェネレータ収納室10Aの内壁に固定されている。整流板15は空気の流れが他端部21bと干渉することを抑制してロータ21の回転抵抗を減少させる働きも期待できるし、モータジェネレータ収納室10Aの内壁との間隔の大きさによって空気の流れを調節することも期待できる。
【0022】
モータジェネレータ20は、モータジェネレータ収納室10A内に収納されるが、一端部21a、他端部21b側以外は、ほぼ隙間がない。そのため、ロータ21の他端部21b側から空気を吸って、一端部21a側に空気を流通させる。モータジェネレータ収納室10Aはキャッチタンク10Bとの間の空気連通路12が他端部21b側に開口し、歯車機構収納空間10Cとの間の空気連通路11が一端部21a側に開口する。そのため、羽根23により生起された他端部21bから一端部21aへの空気の流れはキャッチタンク10Bから歯車機構収納空間10Cへの空気の流れになる。つまり、羽根23はロータ21とモータジェネレータ収納室10Aの内壁と相俟って送風機を形成する。
【0023】
歯車機構30はモータジェネレータ20の出力軸211に連結された第1歯車31,第1歯車31に噛合する第2歯車32、第2歯車32と同軸で回転する第3歯車33、第3歯車33に噛合する第4歯車とから構成される。第4歯車34はデファレンシャル装置35のリングギヤであり、その一部が潤滑油に浸漬されることで潤滑油を他の歯車31〜33に掻き上げて潤滑を行う。デファレンシャル装置35はそのまま図示しないドライブシャフトに連結されている。
【0024】
歯車収納空間10C内には潤滑油が保持されるが、その油面OL(動力伝達装置1が静止しているときの静止油面)はキャッチタンク10Bとの間の潤滑油連通路13の開口の上端よりも上で、モータジェネレータ収納室10Aとの間の空気連通路11の開口よりも下に設定される。潤滑油連通路13の開口の上端よりも上にすることにより潤滑油を速やかにキャッチタンク10Bに回収できる。空気連通路11の開口よりも下にすることによりモータジェネレータ収納室10Aへの潤滑油の浸入が防止できる。モータジェネレータ収納室10Aへの潤滑油の浸入を意図する場合には空気連通路11の開口よりも上に油面OLを設定することもできる。キャッチタンク10B内には潤滑油をろ過するストレーナ14をもつ。
【0025】
・作用効果
本実施形態の動力伝達装置1は上述の構成をもつことから以下の作用効果を発現する。
以下、動力伝達装置1内における潤滑油や空気の流れに着目して説明を行う。動力伝達装置1が静止しているときには潤滑油は歯車機構収納空間10C及びキャッチタンク10B内にて油面OLにて存在する。モータジェネレータ20が順方向に回転し始めるとロータ21の一端部21aに一体化された羽根23も回転する。
【0026】
羽根23をロータ21の一端部21a側から記載した
図2に示すように、羽根23が順方向(
図2における時計回り)に回転すると、空気が羽根23により外側f1に押しやられて、結果、連通路21c内から空気を吸い出すことになる。
【0027】
そうすると、動力伝達装置1内の全体としては空気の流れFが生じることになる。つまり、モータジェネレータ収納室10Aでは羽根23の周囲の圧力が高まるため、空気連通路11を通じてモータジェネレータ収納室10Aとから歯車機構収納空間10Cへの空気の流れと、他端部21b側の圧力が低下するためキャッチタンク10Bからモータジェネレータ収納室10Aへの空気の流れが生じる。
【0028】
従って、全体としてはキャッチタンク10Bから歯車機構収納空間10Cへの空気の流れFが生じる。つまり、空気連通路12からモータジェネレータ収納室10Aを通じ空気連通路11への流路は、本発明における空気連通路(キャッチタンク10Bと歯車機構収納空間10Cとの連通路)に相当する。
【0029】
空気の流れFが発生するとキャッチタンク10Bの内圧が低下し歯車機構収納空間10Cの内圧が上昇する。結果、キャッチタンク10Bの内圧が歯車機構収納空間10Cの内圧より低くなる。この内圧差によってキャッチタンク10B内の潤滑油の油面に加わる圧力が歯車機構収納空間10C内の潤滑油の油面に加わる圧力に比べて相対的に小さくなる。結果、圧力差により潤滑油は圧力差を解消できるまで潤滑油通路13を通じて歯車機構収納空間10Cからキャッチタンク10Bへと流れていき(流れB)、キャッチタンク10B内での油面は上昇(C方向)し、歯車機構収納空間10C内での油面は低下(方向A)する。
【0030】
送風機による差圧発生を行うと、発生した差圧の大きさに応じた潤滑油の移動が速やかに行われる。送風機の羽根23は常に空気中に存在させることが可能であり効果的に送風でき、結果、潤滑油のキャッチタンク10Bへの回収を速やかに行うことができる。
【0031】
ここで、モータジェネレータ20の回転数が高くなっていくと、キャッチタンク10B及び歯車機構収納空間10Cの間の内圧差も大きくなっていく。その時に歯車機構収納空間10Cからキャッチタンク10Bへと流れる潤滑油の量も大きくなるが歯車機構収納空間10C内の油面が潤滑油連通路13の開口部の上端OL1よりも低くなるとそれ以上の潤滑油の移動は進行しない。歯車機構収納空間10C内の油面がOL1よりも下回ると潤滑油連通路13内に空気が侵入するためである。空気は潤滑油よりも移動が容易であるため、潤滑油連通路13内に空気が侵入すると、それ以上の潤滑油の移動は進行し難くなる。このように、潤滑油連通路13の開口部の上端の位置OL1と、歯車機構収納空間10C内における潤滑油の油面の最低位置とは連動するため、潤滑油連通路13の開口部の上端の位置OL1を歯車機構収納空間10C内における適正な油面の高さに設定することにより油面を適正な位置に制御することができるという効果を生じる。ストレーナ14はこの潤滑油の移動に伴い潤滑油が流通し潤滑油に含まれる不純物をろ別できる。
【0032】
以上、モータジェネレータ20が順方向(前進方向)に回転するときの潤滑油の移動について説明を行った。モータジェネレータ20を逆方向(後進方向)に回転させるときには上述した作用と反対の作用が生じることになる。すなわち、羽根23の形状が逆回転時では効率的に送風できるものでは無いためにモータジェネレータ20を順方向に回転した場合に生じる圧力差よりも程度は小さいものの、キャッチタンク10Bと歯車機構収納空間10Cとの間で圧力差が生じる。この圧力差は順方向の場合とは反対にキャッチタンク10B内の圧力が歯車機構収納空間10C内の圧力よりも高くなる。結果、潤滑油はキャッチタンク10Bから歯車機構収納空間10Cに向けて流れることになる。通常、歯車機構30の潤滑は前進時を基準に最適化されており、後進時には必ずしも適正であるとは言えない場合も考えられる。その場合に歯車機構収納空間10C内での潤滑油の量が増加させることができるため、潤滑油の量が少ない場合よりも潤滑性を向上できることが期待できる。ここで、後進方向へ車両を進行させる時間は前進させる時間よりも短いために撹拌抵抗の増加の影響は短時間で済む。
【0033】
(変形態様)
上述の実施例では歯車機構収納空間10C、キャッチタンク10B、モータジェネレータ収納室10Aのそれぞれは一体的なケーシング10内に配設されていたが、それぞれを独立させることができる。その場合には空気連通路11、12や潤滑油連通路13を管などにより形成し各収納室の間を連通させる。また、モータジェネレータ収納室10Aと歯車機構収納空間10Cを一体化することもできる。
【0034】
羽根23を一体的に固定する位置としては、キャッチタンク10Bと歯車機構収納空間10Cとの間で圧力差を生じさせることができるならば、ロータ21の一端部21aの他の構成が採用できる。例えば、ロータ21の反対側の他端部21bにて一体化することができる。また、モータジェネレータ20に設ける以外にも歯車機構30を構成する歯車のうちの1つに羽根を設けることもできる。
【0035】
空気連通路11、12、潤滑油連通路13のそれぞれの開口部について開口の面積を大きくしたり小さくしたりすることにより潤滑油の回収の速度や回収に要するエネルギーの大きさを制御できる。
【符号の説明】
【0036】
1…動力伝達装置
10…ケーシング 10A…モータジェネレータ収納室 10B…キャッチタンク 10C…歯車機構収納空間 11、12…空気連通路 13…潤滑油連通路 14…ストレーナ 15…整流板
20…モータジェネレータ 21…ロータ 211…出力軸
21a…ロータの一端部 21b…ロータの他端部 22…ステータ
23…羽根(送風機の一部)
30…歯車機構 31〜34…第1〜第4歯車 35…デファレンシャル装置