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特開2015-232431本体円筒部に脆弱部を、かつ、蓋体にロックスパイダを有する弾薬用容器
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2015-232431(P2015-232431A)
(43)【公開日】2015年12月24日
(54)【発明の名称】本体円筒部に脆弱部を、かつ、蓋体にロックスパイダを有する弾薬用容器
(51)【国際特許分類】
   F42B 39/20 20060101AFI20151201BHJP
【FI】
   F42B39/20
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
【全頁数】20
(21)【出願番号】特願2014-119919(P2014-119919)
(22)【出願日】2014年6月10日
(71)【出願人】
【識別番号】303046314
【氏名又は名称】旭化成ケミカルズ株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】593056082
【氏名又は名称】大川工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100099759
【弁理士】
【氏名又は名称】青木 篤
(74)【代理人】
【識別番号】100077517
【弁理士】
【氏名又は名称】石田 敬
(74)【代理人】
【識別番号】100087413
【弁理士】
【氏名又は名称】古賀 哲次
(74)【代理人】
【識別番号】100108903
【弁理士】
【氏名又は名称】中村 和広
(74)【代理人】
【識別番号】100142387
【弁理士】
【氏名又は名称】齋藤 都子
(74)【代理人】
【識別番号】100135895
【弁理士】
【氏名又は名称】三間 俊介
(72)【発明者】
【氏名】後藤 勇
(72)【発明者】
【氏名】鹿野 恭一
(72)【発明者】
【氏名】野田 英宏
(72)【発明者】
【氏名】塚原 祐介
(57)【要約】
【課題】通常時における落下強度及び気密性を保持しながらも、容器内部において火薬類が発火した非常時には容器の爆発及び蓋体の飛翔を避けられる弾薬用容器の提供。
【解決手段】発射装薬又は弾薬の梱包容器として使用する円筒状の弾薬用容器であって、有底円筒状の容器本体と該容器本体の開口を塞ぐ蓋体とを有し、容器本体の円筒部には円筒の軸方向に延びる略直線状の脆弱部が設けられ、蓋体は、ロック保持開口を有するロック環;ロック環と適合するスプライン加工されたガードカバー;及びロック保持開口内に入れられるように設計され、かつ、ロック保持面に対して押さえつけられる脚を有するロックスパイダ;を具備し、少なくとも2つのロック保持開口を有する円筒の円周方向における角度において、円筒の軸方向に延びる脆弱部が所定の角度、所定の長さ離れた位置に穿設されたことを特徴とする前記弾薬用容器。
【選択図】図12
【特許請求の範囲】
【請求項1】
発射装薬又は弾薬の梱包容器として使用する円筒状の弾薬用容器であって、
該容器は、有底円筒状の容器本体と、該容器本体の開口を塞ぐ蓋体とを有し、
該容器本体の円筒部には、所定形状及び所定長さの脆弱部が設けられており、さらに、該脆弱部は、該容器の開口部に固定された下記ロック環から300mmより近い円周上に掛かる位置に1つ、又は該一の脆弱部の対角にもう1つ、設けられており、かつ、該脆弱部に、封止手段を設けることで、該容器が封止されており、
該蓋体は、前記装薬又は弾薬を取り出すために開放でき、かつ、ロック機構を有し、
該ロック機構は、
(a)該容器の開口部に固定されたロック環、ここで、該ロック環は、ロック保持面とともに、ロック保持開口、及びそれに続く支持部を有し;
(b)前記ロック環と適合し、かつ、前記支持部の内端を走る環の直径よりも僅かに小さい外径を有するセグメント部をもつスプライン加工されたガードカバー;
(c)それを回す又は折り曲げることにより締め付けるための機構を有するロックスパイダ、ここで、該スパイダは、前記ロック保持開口内に入れられるように設計され、かつ、前記ロック保持面に対して押さえつけられる脚を有する;
を具備し、
前記円筒の円周方向における角度において、前記円筒に1つの脆弱部から45°以上135°以下離れた位置に、少なくとも2つの前記ロック保持開口を有する、

ことを特徴とする前記弾薬用容器。
【請求項2】
前記容器本体の筒部の長さが600〜1500mmであり、前記ロック環の直径が50〜300mmであり、前記脆弱部の長さ合計が150〜1000mmであり、前記脆弱部の長孔は2〜100mm、該長孔の隙間は0.1〜1mm、接合部は1〜5mmであり、該筒部の肉厚が1〜2mmであり、そして該蓋体の肉厚は2〜4mmである、請求項1に記載の弾薬用容器。
【請求項3】
前記脆弱部は、内外貫通孔又は、内外貫通孔と接合部が線状に連続するスティッチ状、又は、周辺部より肉厚が薄い切込み状で、破断強度が周辺よりも低くなる様加工された部分である、請求項1又は2に記載に記載の弾薬用容器。
【請求項4】
前記ロックスパイダの脚が入れられるロック保持開口が、前記ロック環の支持部を内側にプレス変形させたL字形の引っ掛かりである、請求項1〜3のいずれか1項に記載の弾薬容器。
【請求項5】
前記封止手段が熱により分解燃焼する接着剤又は塗装剤の前記隙間への充填である、請求項1〜4のいずれか1項に記載の弾薬用容器。
【請求項6】
3つのロック保持開口が略120°ずつ離れた位置にあり、前記円筒の円周方向における角度において、前記円筒に1つの脆弱部から略10°の位置、又は50°以上70°以下離れた位置に少なくとも1つのロック保持開口を有する、請求項1〜5のいずれか1項に記載の弾薬用容器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば、りゅう弾砲用発射装薬や火砲用弾薬の梱包容器として使用する円筒状の弾薬用容器に関する。より詳しくは、本発明は、通常時における落下強度及び気密性を保持しながらも、容器内部において火薬類が発火した非常時には、容器の爆発及び容器蓋体の飛散を避けられる前記弾薬用容器に関する。
【背景技術】
【0002】
以下の特許文献1に記載されるように、りゅう弾砲用発射装薬等に使用される弾薬用容器とは、細かい粒状の発射薬を装填した複数個の発射装薬を梱包し、運搬し、弾薬庫に保管したりする際に一時的に使用する金属容器のことである。発射装薬をりゅう弾砲等の薬室に挿入する際には、弾薬用容器は発射装薬から取り除かれる。一般に、りゅう弾砲用発射装薬や火砲用弾薬等に使用される梱包容器としての弾薬用容器は、運用面を配慮して一定以上の落下強度と気密性を有する構造となっている。
【0003】
近年、りゅう弾砲用発射薬やその他火砲用の弾薬は、その貯蔵、運搬及び使用中における火災、被弾等を受けた際に、我の被害を最小限にする目的で、弾薬の不感化・低感度化(以下、IM(Insensitive Munition)化という)の開発、装備化が進められている。また、これらの弾薬のIM性や取り扱い評価方法として、米国のITOP(International Test Operations Procedure)やSTANAG(Standardization Agreement、NATO規格)などで試験方法が規格化されている。これらの規格の中で運用面での取り扱い性を評価する試験項目としては、落下試験、クックオフ試験、殉爆試験及び銃撃感度試験が規定されている。このような規定は、弾薬単体だけではなく弾薬用容器を含めた状態でも満足する必要があるため、りゅう弾砲用発射装薬や火砲用弾薬用の弾薬用容器にも高いIM性や強固な落下強度、高い気密性が要求されている。
【0004】
以下の特許文献2には、強度を保持しつつ、弾薬の燃焼反応を緩和することができる円筒状の弾薬用容器を提供することを目的に、螺旋状の接合部を有する金属製の円筒状弾薬用容器において、円筒部の外周面と内周面の少なくとも一方の面に接合部と干渉しない位置に切り込み部が設けられ、円筒部の肉厚に対する切り込み部の深さの比率が0.10〜0.95であることを特徴とする円筒状弾薬用容器が開示されている。
【0005】
また、以下の特許文献3にも、強度を保持しつつ、弾薬の燃焼反応を緩和することができる円筒状の弾薬用容器を提供することを目的に、有底円筒状をなす容器本体の開口部には蓋体が接合され、容器本体の円筒部には螺旋状の接合部を有する金属製の円筒状弾薬用容器において、前記円筒部には接合部と干渉しない位置に複数の開口孔が設けられ、その開口孔を封止する封口板を有し、該封口板は円筒部の強度より低く設定されるとともに、円筒部の外周面の表面積に対する開口部の総面積の比率が0.02〜0.25であることを特徴とする円筒状弾薬用容器が開示されている。また、前記開口孔が設けられていない円筒状弾薬用容器の破壊強度に対する前記封口板の破壊強度の比率が0.1〜0.9である態様も開示されている。
【0006】
また、以下の特許文献4にも、強度を保持しつつ、弾薬の燃焼反応を緩和することができる円筒状の弾薬用容器を提供することを目的に、円筒状をなす胴部に、筒部を有する円板状の底部と筒部を有する円板状の蓋部とが接合された円筒状爆薬用容器であって、前記底部と蓋部のうちいずれか低い方の破壊強度に対する胴部の破壊強度の比率が0.09〜0.50であることを特徴とする円筒状弾薬用容器が開示されている。また、前記蓋部と底部の各筒部間が補強部材で連結される態様も開示されている。
【0007】
また、以下の特許文献5には、衝撃や熱等を受けて収納された発射装薬が爆発したときにおいて、収納容器を所定の脆弱部において破壊させることにより、破壊による開口面積をできるだけ大きなものにして圧力を効果的に開放し、それ以上激しい反応が起きにくくするとともに、破片の飛散をできるだけ防止できる発射装薬の収納容器を提供することを目的として、螺旋状に巻かれた帯状金属板が溶接一体化されたものであるか又は予め筒状に形成されたものである筒体、筒体の両端部を閉塞する底部材と蓋部材を備えた発射装薬の収納容器であり、前記筒体が、内周面及び外周面の少なくとも一面において長さ方向に形成された螺旋状の脆弱部(前記溶接部であるか又は該溶接部を除く)を有している発射装薬の収納容器が開示されている。
【0008】
また、以下の特許文献6には、強度を保持しつつ、弾薬の燃焼反応を緩和でき、周囲の被害を抑制できる円筒状弾薬用容器を提供することを目的として、有底円筒状をなす容器本体の開口部には蓋体が接合され、容器本体の円筒部には螺旋状の接合部を有する金属製の円筒状弾薬用容器において、前記円筒部には接合部と干渉する位置に少なくとも1個の貫通した開口孔が設けられ、その開口孔を封止する封口板を有し、前記円筒部の長さに対する開口孔の長さの和の比率が0.25〜3.0であることを特徴とする円筒状容器が開示されている。また、特許文献5には、前記円筒部の外径に対する開口孔の幅の比率が0.0001〜0.005である態様も開示されている。
【0009】
また、以下の特許文献7には、弾薬が燃焼する不所望の刺激を受けたときに、開放する弾薬収納容器であって、頂部、底部、及びその間の少なくとも1の側面を有する容器、ここで、該容器は、その内に爆薬を収納し、該爆薬はエネルギ材料を含み、その側面に接合部分と非接合部分を有する少なくとも1つの繋ぎ目を有し;並びに該繋ぎ目の非接合部分をシールするための接着剤等からなるシール、ここで該シールは、該容器の残部が破壊される前に、内圧が外圧よりも少なくとも3psi高いとき、破壊されるよう作用する;を含み、それにより該容器を開放し、収納されたエネルギ材料の燃焼速度を制御して、激しい反応を回避する前記弾薬収納容器が開示されている。
【0010】
さらに、以下の特許文献8には、通常時における落下強度及び気密性を保持しながらも、容器内部において火薬類が発火した非常時には容器の爆発及び容器蓋体の飛散を避けられ、周囲の被害を抑制できる弾薬用容器を提供することを目的として、有底円筒状の容器本体と、該容器本体の開口を塞ぐ蓋体とを有する弾薬用容器であって、前記容器本体の筒部は、金属長板が螺旋状に巻回されてその両側縁同士を接合することで、螺旋状に延在する接合部を有する円筒状に形成されており、前記筒部には、軸方向に延びる長孔が内外貫通状に穿設されており、前記長孔は、封止材によって封止され、該長孔及び該封止材の外面は金属製のカバー部材によって覆われていることを特徴とする弾薬用容器が開示されている。
【0011】
以上、従来技術として、爆薬用容器の円筒体に種々の形状の脆弱部や開口部を設けることが提案されているが、特許文献6〜8のみが、円筒体の軸方向に延びる直線状の長孔を内外貫通状に穿設することを教示している。
しかしながら、特許文献6〜8のいずれにも、内外貫通状の直線状の長孔、すなわち、脆弱部と、蓋体のロック保持開口との位置関係については教示も示唆もされていない。
【0012】
尚、本明細書中、脆弱部とは、内外貫通加工や切込み溝状加工、スティッチ状加工がされ、引張強度(破断強度)が低い箇所をいう。また、スティッチ状脆弱部とは、上記脆弱部の内、スティッチ加工(内外貫通孔が長孔穿設されと内外貫通孔が穿設されていない接合部が線状に交互に穿設)されており、引張強度(破断強度)が低い箇所をいう。さらにY字部とは、円筒体の軸方向に延びたスティッチ状脆弱部の両端に、二股に分岐した線状の脆弱部がY字状に穿設された箇所をいう。
【0013】
また、以下の特許文献9には、りゅう弾砲用発射装薬又は火砲用弾薬の梱包容器として使用する円筒状の弾薬用容器の一端に設けられる蓋体であって、前記装薬又は爆薬を取り出すために開放されることができ、かつ、(a)該容器の開口部に固定されたロック環、ここで、該ロック環は、ロック保持面とともに、ロック保持開口、及びそれに続く支持部を有し;(b)前記ロック環と適合し、かつ、前記支持部の内端を走る環の直径よりも僅かに小さい外径を有するセグメント部をもつスプライン加工されたガードカバー;及び(c)それを回すことにより締め付けるためのスクリューを有するロックスパイダ、ここで、該スパイダは、前記ロック保持開口内に入れられるように設計され、かつ、前記ロック保持面に対して押さえつけられる脚を有する;を具備するロック機構を有する蓋体が記載されている(図3、4参照)。かかる蓋体では、ハンドルを回すことにより、ロックスパイダをロック位置に左又は右に動かして、適宜、ガードカバーを容器本体開口部に締め付け又は緩めることができる。
【0014】
しかしながら、特許文献9に記載された蓋体は、合成樹脂包装容器用のロック機構を有する蓋体であり、金属製の容器に適用した場合、さらには、容器円筒体の軸方向に延びる直線状の内外貫通孔やスティッチ部の位置に対して、前記ロックスパイダが入れられるロック保持開口の位置を、どのように配置すれば、「容器内部に収容された弾薬や発射装薬を構成する火薬類が発火し、高い気密性を有する弾薬用容器内において火薬類の燃焼反応が生じて圧力上昇し、最終的に容器が爆発する際に、蓋体が飛散してしまい、その結果、周囲の人員や機材などに被害や損失を与える事態」を防止することができるかということについては、何ら検討されていない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0015】
【特許文献1】特開2004−226031号公報
【特許文献2】特開2011−145007号公報
【特許文献3】特開2011−252645号公報
【特許文献4】特開2012−2381号公報
【特許文献5】特開2012−17935号公報
【特許文献6】特開2012−117741号公報
【特許文献7】米国特許第7624888号明細書
【特許文献8】特開2013−44454号公報
【特許文献9】米国特許第4356931号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0016】
前記したように、従来技術の弾薬用容器では、容器内部に収容された弾薬や発射装薬を構成する火薬類が発火した場合、高い気密性を有する弾薬用容器内において火薬類の燃焼反応が生じて圧力上昇するため、最終的には容器が爆発してしまい、周囲の人員や機材などに多大な被害や損失を与える事態が発生する。問題を解決するための手段として、弾薬用容器の円筒体に種々の形状の脆弱部や開口部を設けて、通常時における落下強度及び気密性を保持しながらも、容器内部において火薬類が発火した非常時には容器の爆発及び容器蓋体の飛散を避けられ、周囲の被害を抑制できる弾薬用容器を提供することを目的とするものである。
また、前記したように、引用文献6と7は、かかる脆弱部又は開口部として、円筒体の軸方向に延びる直線状の内外貫通孔を穿設することを教示しているものの、内装する火薬の種類や形状よっては、相当量の内外貫通孔が必要であり、落下強度及び気密性を両立するものではない。
さらに、前記したように、容器円筒体の軸方向に延びる直線状の内外貫通孔やスティッチ状脆弱部の位置に対して、前記ロックスパイダが入れられるロック保持開口の位置を、どのように配置すれば、「容器内部に収容された弾薬や発射装薬を構成する火薬類が発火し、高い気密性を有する弾薬用容器内において火薬類の燃焼反応が生じて圧力上昇し、最終的には容器が爆発する際に、蓋体が飛散して、周囲の人員や機材などに被害や損失を与える事態」を防止することができるかということについては教示も示唆もされていない。
かかる状況下、本発明が解決しようとする課題は、通常時における落下強度及び気密性を保持しながらも、容器内部において火薬類が発火した非常時には容器の爆発及び容器蓋体の飛散を確実に避けて周囲の被害を抑制することができる弾薬用容器を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0017】
本発明者らは、前記課題を解決すべく鋭意検討し実験を重ねた結果、円筒体の軸方向に延びる線状の脆弱部を穿設することに代えて、封止剤により封止手段を設け、該円筒状容器に、前記ロックスパイダを有する蓋体を用いる場合に、所定形状、所定長さ、及び所定隙間の脆弱部を単独で設ける場合、脆弱部の位置に対して、該ロックスパイダの脚が入れられるロック保持開口の位置を、該円筒体の円周方向において所定範囲に規定することにより、前記課題を解決しうることを見出し、本発明を完成するに至ったものである。
【0018】
すなわち、本発明は以下のとおりのものである。
[1]発射装薬又は弾薬の梱包容器として使用する円筒状の弾薬用容器であって、
該容器は、有底円筒状の容器本体と、該容器本体の開口を塞ぐ蓋体とを有し、
該容器本体の円筒部には、所定形状及び所定長さの脆弱部が設けられており、さらに、該脆弱部は、該容器の開口部に固定された下記ロック環から300mmより近い円周上に掛かる位置に1つ、又は該一の脆弱部の対角にもう1つ、設けられており、かつ、該脆弱部に、封止手段を設けることで、該容器が封止されており、
該蓋体は、前記装薬又は弾薬を取り出すために開放でき、かつ、ロック機構を有し、
該ロック機構は、
(a)該容器の開口部に固定されたロック環、ここで、該ロック環は、ロック保持面とともに、ロック保持開口、及びそれに続く支持部を有し;
(b)前記ロック環と適合し、かつ、前記支持部の内端を走る環の直径よりも僅かに小さい外径を有するセグメント部をもつスプライン加工されたガードカバー;
(c)それを回す又は折り曲げることにより締め付けるための機構を有するロックスパイダ、ここで、該スパイダは、前記ロック保持開口内に入れられるように設計され、かつ、前記ロック保持面に対して押さえつけられる脚を有する;
を具備し、
前記円筒の円周方向における角度において、前記円筒に1つの脆弱部から45°以上135°以下離れた位置に、少なくとも2つの前記ロック保持開口を有する、
ことを特徴とする前記弾薬用容器。
【0019】
[2]前記容器本体の筒部の長さが600〜1500mmであり、前記ロック環の直径が50〜300mmであり、前記脆弱部の長さ合計が150〜1000mmであり、前記脆弱部の長孔は2〜100mm、該長孔の隙間は0.1〜1mm、接合部は1〜5mmであり、該筒部の肉厚が1〜2mmであり、そして該蓋体の肉厚は2〜4mmである、前記[1]に記載の弾薬用容器。
【0020】
[3]前記脆弱部は、内外貫通孔又は、内外貫通孔と接合部が線状に連続するスティッチ状、又は、周辺部より肉厚が薄い切込み状で、破断強度が周辺よりも低くなる様加工された部分である、前記[1]又は[2]に記載に記載の弾薬用容器。
【0021】
[4]前記ロックスパイダの脚が入れられるロック保持開口が、前記ロック環の支持部を内側にプレス変形させたL字形の引っ掛かりである、前記[1]〜[3]のいずれかに記載の弾薬容器。
【0022】
[5]前記封止手段が熱により分解燃焼する接着剤又は塗装剤の前記隙間への充填である、前記[1]〜[4]のいずれかに記載の弾薬用容器。
【0023】
[6]3つのロック保持開口が略120°ずつ離れた位置にあり、前記円筒の円周方向における角度において、前記円筒に1つの脆弱部から略10°の位置、又は50°以上70°以下離れた位置に少なくとも1つのロック保持開口を有する、前記[1]〜[5]のいずれかに記載の弾薬用容器。
【発明の効果】
【0024】
本発明に係る弾薬用容器を用いれば、通常時における落下強度及び気密性を保持しながらも、容器内部において火薬類が発火した非常時には容器の爆発及び容器蓋体の飛散を確実に避けて周囲の被害を抑制することができる。すなわち、本発明に係る円筒状容器本体に脆弱部を有する弾薬用容器においては、該脆弱部の位置と、ロックスパイダの脚が入れられるロック保持開口の位置を、所定範囲に規定することにより、該蓋体の飛散を防止して周囲の人員や機材などへの被害や損失を回避することができる。
【図面の簡単な説明】
【0025】
図1】従来技術の弾薬用容器の斜視図である。図中、容器本体の長孔貫通部の隙間を示す。
図2】本実施形態に係る脆弱部(内外貫通孔と接合部からなるスティッチ状脆弱部)を有し、かつ、ロックスパイダを有する蓋体を有する弾薬用容器の斜視図である。
図3】特許文献9に開示された蓋体の断面図である。
図4】特許文献9に開示された蓋体の平面図である。
図5】爆発による脆弱部における開口に伴う円筒状容器本体の円形端部の変形(脆弱部方向における長径化(上段)、及び脆弱部方向と直交するロックスパイダの脚の方向における短径化(中段)、及び脆弱部の位置をロック環から300mm以上離れたところに設けた場合の短径化(下段)を説明する図である。ロックスパイダの脚が2個の場合。
図6】ロックスパイダの脚の個数と脆弱部位置のバリエーションを例示する図である。
図7】ロックスパイダの脚が入れられるロック保持開口が、ロック環の支持部を内側にプレス変形させたL字形の引っ掛かりである場合の構造を説明する図である。
図8】各種安全性評価とそれらを説明する概略図である。
図9】安全性試験のセットアップ状況を示す図である。
図10】爆発による各種脆弱部の開口状態を例示する図である。
図11】実施例の結果を元に事象を解析した例を示す図である。
図12】本実施形態の容器の脆弱部とロックスパイダの脚部との位置関係を説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0026】
以下、本発明の実施形態を詳細に説明する。
前記したように、本実施形態に係る弾薬用容器は、発射装薬又は弾薬の梱包容器として使用する円筒状の弾薬用容器であって、
該容器は、有底円筒状の容器本体と、該容器本体の開口を塞ぐ蓋体とを有し、
該容器本体の円筒部には、所定形状及び所定長さの脆弱部が設けられており、さらに、該脆弱部は、該容器の開口部に固定された下記ロック環から300mmより近い円周上に掛かる位置に1つ、又は該一の脆弱部の対角にもう1つ、設けられており、かつ、該脆弱部に、封止手段を設けることで、該容器が封止されており、
該蓋体は、前記装薬又は弾薬を取り出すために開放でき、かつ、ロック機構を有し、
該ロック機構は、
(a)該容器の開口部に固定されたロック環、ここで、該ロック環は、ロック保持面とともに、ロック保持開口、及びそれに続く支持部を有し;
(b)前記ロック環と適合し、かつ、前記支持部の内端を走る環の直径よりも僅かに小さい外径を有するセグメント部をもつスプライン加工されたガードカバー;
(c)それを回す又は折り曲げることにより締め付けるための機構を有するロックスパイダ、ここで、該スパイダは、前記ロック保持開口内に入れられるように設計され、かつ、前記ロック保持面に対して押さえつけられる脚を有する;
を具備し、
前記円筒の円周方向における角度において、前記円筒に1つの脆弱部から45°以上135°以下離れた位置に、少なくとも2つの前記ロック保持開口を有する、
ことを特徴とする前記弾薬用容器である。
【0027】
本発明者は、容器に内装する火薬の燃焼速度、容器の内部圧力の上昇、容器素材の破断強度、容器の開口面積等をシミュレーションし、さらに実際に検証した結果、従来技術の圧力開放機能では、脆弱部の位置により、蓋体を飛翔させる危険があることが判明した。そこで、従来技術の前記ロックスパイダを有する蓋体を、従来技術の脆弱部を有する容器本体に適用した場合、該蓋体が飛翔することのないように、該脆弱部の位置と、該ロックスパイダの脚部の位置とを所定範囲に規定した。
【0028】
図1に、従来技術の弾薬用容器を示す。蓋体はネジ式の非開放型であり、脆弱部は、直線状の内外貫通孔であり、所定の隙間を有している。本実施形態におけるスティッチ状脆弱部の内外貫通孔の隙間も図示されるものと同様に規定される。弾薬用容器(単に容器ともいう。)は、有底円筒状の容器本体と、該容器本体の開口を塞ぐ蓋体とを有し、内部に複数個の弾薬(図示せず)が直列に並べて装填されるようになっている。弾薬(発射薬)としては、シングルベース発射薬、ダブルベース発射薬、トリプルベース発射薬、マルチベース発射薬等が用いられる。通常、円筒状容器本体の軸方向の端部には容器本体の外面を囲むように設けられた、補強用のリムが設置され、図10に示すように、かかる補強用のリムは容器本体の中央部に追加的に設置されることもある。
【0029】
本発明においては、容器本体は金属製であり、その筒部は長尺状の金属長板が螺旋状に巻回されてその両側縁同士が突き合わされ、シーム溶接などにより接合されることで円筒状に形成されているものであることができる。したがって、容器本体の円筒部には、軸方向に延びる螺旋状の接合部を有する。接合部は、容器本体の底面に対して20〜40°程度の角度で螺旋状に延びている。金属板の材質は特に限定されず、従来からこの種の弾薬用容器に使用されている金属の全てが使用できるが、中でも剛性の高い鉄板が好ましい。
【0030】
図1に示すように、従来技術の容器本体の筒部には、軸方向に延びる内外貫通孔が穿設されている。当該内外貫通孔を有することにより、弾薬用容器内において弾薬が発火したときに内外貫通孔を介して燃焼ガスを弾薬用容器外へ放出することで内圧上昇を抑制でき、弾薬用容器の爆発を回避することができるとされてきた。
しかしながら、前記したように、本発明者は、内装する火薬の燃焼反応後、容器の開口状態やロック環の変形状態、脆弱部とロックスパイダの脚部の位置とを詳しく解析した結果、従来技術の脆弱部を円筒体に穿設した構造では、蓋体が飛翔する場合があり、周囲への安全性が担保できない場合があることを見出した。かかる従来技術の脆弱部構造に代えて、脆弱部を円筒缶の円周上、所定の位置にさらに有する構造を新たに提供するものである。
【0031】
図2に、本実施形態に係る脆弱部と、以下に説明する脚が3個のロックスパイダを有する蓋体とを有する弾薬用容器を示す。図2において、スティッチ状脆弱部の内外貫通孔の形状は直線状である。
従来技術の脆弱部は、ロックスパイダの脚部の位置とは無関係な位置に穿設されているため、内部火薬の燃焼反応後の本体及びロック環に変形が生じた場合、蓋部が飛翔する場合があるのに対し、安全をより確実に担保するため、脆弱部とロックスパイダの脚部の位置とを規定する点で相違する。
【0032】
本実施形態に係る弾薬用容器では、脆弱部の本数は蓋部を固定するロック環から300mmより近い胴体部の円周上に掛かる1本又はその対角にさらにもう1本と規定するが、300mmより離れた本体部分には容器強度が維持される限り、複数本(例えば、2〜4本、又はそれ以上)設けてもよい(図6参照)。上記ロック環から300mm以内に脆弱部が3本以上ある場合は、外部衝撃の方向や威力により、脆弱部の破断が不均等となるため、ロック環の変形が安定せず、蓋部が飛翔する可能性が高まる。また、脆弱部の形態は、内装する火薬の燃焼速度及び封止手段に応じて適宜設定すればよい。また、脆弱部は基本的には線状、好ましくは直線状であるが、湾曲状や螺旋状に形成することもできる。また、脆弱部は容器本体の軸方向(中心軸)と平行に設けてもよいし、容器本体の軸方向(中心軸)に対し、斜めに設けることもできる。前記少なくとも1つの脆弱部の長さが150mm以上であれば、燃焼ガスを効率良く外部へ放出できることができる。
本実施形態に係る弾薬用容器では、スティッチ状脆弱部の内外貫通孔の形状は、直線状、曲線状、L字状又は斜め状であることができる(図示せず)。
【0033】
従来技術の弾薬用容器の筒部外周面には、内外貫通孔を外面から封止するように板状の封止材が接合される場合がある。封止材は、内外貫通孔の開口面積より大寸であり、内外貫通孔の外周部において容器本体へ接着ないし溶接等によって接合されている。封止材は、容器本体よりも強度が低い素材からなる。弾薬用容器内において弾薬が発火した際に、内圧上昇に伴って他の部位よりも優先的に破損されなければならないためである。すなわち、内外貫通孔及び封止材は、脆弱部と称すこともできる。例えば、鉄鋼製の容器本体に対して、封止材はアルミニウムや銅などの軟質金属製、又はポリエチレンやポリプロピレンなどの合成樹脂製とする。封止材は、(アルミニウム)テープ状でもよいし、板状でもよい。
これに対し、本実施形態に係る弾薬用容器では、スティッチ状脆弱部の内外貫通孔及び場合により追加的に設けたY字部の内外貫通孔の隙間を、好ましくは略0.1mmと狭くし封止剤を充填することで、容器を封止してもよい。内外貫通孔の隙間を細くした上で所定の封止剤を用いれば、所望の容器気密性と容器強度を達成することができ、また、上記アルミニウムテープ等の封止剤を傷つける運搬上のリスクを低減することができる。
【0034】
従来技術の蓋体は、一般にカップ状であり、弾薬用容器内を密閉できるものであれば、その材料は特に制限されず、例えば、容器本体と同様の金属製とするほか、プラスチック製、繊維強化プラスチック製、樹脂含浸紙製、又はゴム製とすることも可能である。従来技術の蓋体は、容器本体の開口へ圧入又は螺合により嵌合されたものであろうことができる。
前記したように、本発明の1実施形態においては、蓋体は、前記装薬又は爆薬を取り出すために開放されることができ、かつ、(a)該容器の開口部に固定されたロック環、ここで、該ロック環は、ロック保持面とともに、ロック保持開口、及びそれに続く支持部を有し;(b)前記ロック環と適合し、かつ、前記支持部の内端を走る環の直径よりも僅かに小さい外径を有するセグメント部をもつスプライン加工されたガードカバー;及び(c)それを回すことにより締め付けるためのスクリューを有するロックスパイダ、又は、ガードカバーを曲げることにより締め付けるガードバーを有するロックスパイダ、ここで、該スパイダは、前記ロック保持開口内に入れられるように設計され、かつ、前記ロック保持面に対して押さえつけられる脚を有する;を具備するロック機構を有するものであることができる。
【0035】
かかるロック構造を有する蓋体は、例えば、図3、4に示す特許文献9に記載された構造を有するものであることができるが、同様の機能を有する類似の構造を有する限り、これに限定されない。
【0036】
本実施形態においては、前記円筒状容器の円周方向における角度において、
前記円筒の軸方向に延びる1つの脆弱部は、前記ロックスパイダの脚が2個である場合、該1の脚部から30°〜150°又は-30°〜-150°の円周上の胴体部に形成され、前記ロックスパイダの脚が3個である場合、該1の脚部から-10°〜10°、50°〜70°、-50°〜-70°、110°〜130°、-110°〜-130°又は-170°〜170°の円周上の胴体部に形成されることが好ましい。
【0037】
図5に示すように、脆弱部は、容器内部に収容された火薬等の燃焼や爆発により開口するが(図10も参照)。その際、円筒状容器本体の円状の端部は、真円から楕円状に変形する。これは、図5の上段と中段で同様であるが、脆弱部の方向における長径化、該方向と直交する(90°)方向における短径化が起こる。ここで、該短径化は、90°の位置において最大となる。その際、図5上段におけるように、蓋体のロックスパイダの脚が脆弱部方向と同じであると、該脚が、ロック保持開口から外れてしまうので、脆弱部の開口とともに、該蓋体を容器本体に繋ぎ止める手段が機能しなくなり、該蓋体が飛翔することになる。これに反し、図5中段におけるように、蓋体のロックスパイダの脚が脆弱部方向と直交すると、該直交方向における短径化により、該脚が、ロック保持開口に、より確実に固定されるので、脆弱部が開口しても、該蓋体は容器本体に繋ぎ止められたままであるため、該蓋体は飛翔することはない。図5の下段のように、ロック環と脆弱部の距離を高めると反応後ロック環の変形が小さくなり、蓋体は飛翔することもない。図11では、ロックスパイダの脚が2個の場合は、2個の内1個が外れると蓋部が飛翔しやすくなるため、蓋部が飛翔しにくくなり、脆弱部の位置は、ロックスパイダの脚が3個の場合と異なる。このように、円筒状容器の円周方向における角度において、円筒状容器の軸方向に延びる脆弱部の位置と、ロックスパイダの脚の位置とを、所定範囲にすることにより、脆弱部開口に伴う蓋体の飛翔を防止し、安全性を確保することができることになる。
図6に、蓋体のロックスパイダの脚が2個と3個の場合に、脆弱部位置関係のバリエーションを例示する。
【0038】
図7に、図3と4に示す特許文献9に記載されたロック保持開口の変形として、ロックスパイダの脚が入れられるロック保持開口がロック環の支持部を内側に8mmプレス変形させたL字形の引っ掛かりである場合の構造を示す。
【0039】
リムも容器本体と同様の金属製であり、容器本体の外面へ溶接されたものであることができる。リムの外周面形状は円形であり、直径は同一である。弾薬用容器を横倒し状態にしたとき、リムが地面に接して支点となり容器本体は直接地面に接しないことで、容器本体の破損防止に有利となっている。
【0040】
本実施形態においては、容器本体の筒部の長さは600〜1500mmであり、ロック環の直径は50〜300mmであり、スティッチ状脆弱部の長さ合計は150〜1000mmであり、スティッチ状脆弱部の内外貫通孔は2〜100mmであり、内外貫通孔の隙間は0.1〜1mmであり、接合部は略1〜5mmであり、筒部の肉厚は1〜2mmあり、そして蓋体の肉厚は2〜4mmであることができる。
【0041】
以下、本発明に係る弾薬用容器の作用について説明する。
弾薬用容器の運搬時や一時保管時等の取扱時において、衝撃や温度上昇等の原因により弾薬用容器内の弾薬が燃焼反応を引き起こした場合、発生する燃焼ガスによって弾薬用容器内の圧力が上昇する。すると、燃焼ガスにより脆弱部の内外貫通孔及び場合により追加的に設けたY字部の内外貫通孔の隙間に充填されたシリコン(接着剤)、塗装剤等の封止剤又はアルミテープ等の封止手段が破壊され、さらに、内外貫通孔が所望の脆弱性を有することで、開口し、燃焼ガスが、容器安全内圧以下で外部に放出される。これにより、弾薬用容器の内圧上昇が抑制されるので、弾薬用容器の蓋体の飛散が回避され、安全性が高まる。
また、スティッチ状脆弱部では、隙間が容器本体筒部の軸方向の全体に亘って均質に維持することができるので、これまで通常の取扱いで剥離していた封止剤による封止が確実になると同時に、接合部の存在により容器強度の低下を防止することができる。
さらに、本実施形態に係る弾薬用容器では、蓋体が、ロックスパイダを有する蓋体である。かかる蓋体は、ハンドルを回すことにより、ロックスパイダをロック位置に左右又は上下に動かして、適宜、ガードカバーを容器本体開口部に締め付け又は緩めることができるため、容器内の弾薬や発射装薬の出し入れが簡単にでき、また気密性を維持できる。
【0042】
本実施形態では、前記したように、円筒状容器の円周方向における角度において、円筒状容器の軸方向に延びる脆弱部の位置と、ロックスパイダの脚の位置とを、所定範囲にすることにより、脆弱部開口に伴う蓋体の飛翔を防止し、安全性を確保するものである。すなわち、本実施形態では、容器内に収容している火薬が一気に燃焼した場合、容器本体に設けた線状内外貫通孔等の圧力開放機構のみでは、圧力開放速度が追いつかず、蓋体が飛翔して、近くにいる人に怪我をさせる危険を低減することができる。
【実施例】
【0043】
以下の実施例等により本発明を具体的に説明する。
実施例で使用した評価方法を以下に説明する。
【0044】
[安全性の評価]
(応答の型)
応答の型は以下に分類される。
I型の応答(爆轟):火薬事象の最も烈しい型。超音速分解反応(爆轟)がエネルギ物質中を伝播して周囲の媒体(例えば、空気、水)には強い衝撃を発生し、金属容器には超高速塑性変形とそれに伴う多くの破片生成を生じる。また、砲弾のあった地面または近くの地面には大きいクレータが見られ、隣接金属プレートの貫通孔、塑性変形、破片生成、近隣構造物の爆風過圧損傷、等の効果もある。
II型の応答(部分爆轟):火薬事象の2番目に烈しい型。エネルギ物質の全部ではないがその一部がI型の応答を起す。強い衝撃が起きて、容器の一部が壊れて小さい破片になり、地面にクレータができ得、隣接金属プレートにI型の応答と同じ損傷を生じ得、近隣構造物に爆風過圧損傷を生じる。II型の応答は、烈しい圧力破裂(脆性破壊)に似る、大きい容器破片を生じ得る。I型の応答と比較しての損傷の程度は、物質の爆轟した比律に依存する。
III型の応答(爆発):火薬事象の3番目に烈しい型。密閉されたエネルギ物質の発火と迅速燃焼が高い局部圧力上昇を発生して密閉構造に烈しい圧力破裂を誘起する。金属容器は大きい破片になり(脆性破壊)、遠くに飛ぶこともある。未反応エネルギ物質も飛散し、中には燃えながら飛ぶものもある。空気衝撃(air shock)が発生するので、これが近隣構造物を損傷することもある。火災と発煙の危害がある。爆風と高速破片が地面に小さいクレータを、隣接金属プレートに損傷(分割、裂け、溝状キズ)をつくり得る。爆風圧はI型やII型の応答よりも低い。
IV型の応答(爆燃):火薬事象の4番目に烈しい型。密閉されたエネルギ物質の発火と燃焼が、低強度容器や容器壁の通気口(差し込み口の隙間、点火カプセル、等々)に、弱い圧力放出を誘起する。容器は破裂するが、破片にはならない、オリフィス付き蓋が外れて未燃焼エネルギ物質が飛散して、中には燃えながら飛ぶものもある、火が広がる。圧力開放が固定されていない試験アイテムを推進させて二次危害を生じることもある。周囲に爆風効果や著しい破片損傷を生じることはなく、被害はエネルギ物質燃焼による熱と煙の被害だけである。
V型の応答(燃焼):火薬事象の最下位の烈しい型。エネルギ物質が発火して推進することなく燃える。容器は穏やかに裂けるが、熔融または弱化して燃焼ガスがゆっくり開放できるようになり、容器の蓋は内圧によって開く。殆どの残骸は火災現場に残る。残骸が兵員に致死的負傷を負わせることも、有害な破片が15m(49フィート)を超えて飛ぶことも考えられない。
反応なし。
【0045】
(スロークックオフ試験)
図8に示すように、実施例の安全性評価としては、装薬が高温状態で保持された場合の反応性評価であるスロークックオフ試験を使用した。かかるスロークックオフ試験は、STANAGに準拠したものとした。
【0046】
(安全性評価の試験手順)
図9に示すように、金属容器は、胴体部の全長1100mm、直径160mmで、蓋部ロック環の直径が190mmの金属製の円筒缶を用意した。円筒缶の胴体部には、最大で900mmの脆弱部が設置してあり、該脆弱部は、50mm毎に2mmの接合部とその両端にY字状脆弱部を設けられている。該脆弱部の長さは、蓋部ロック環と脆弱部の端部の長さが長くなる分短くなる。胴体部は、約1mmの肉厚で、蓋部ロック環の肉厚は約3mmで上記胴体部と同じ素材を使用した。蓋部ロック環を内側に8mmプレス変形させ、蓋に付いているロックスパイダの脚を支持するセグメント部を設けた。蓋も上記同様鉄製カップ状蓋体で胴体部分の開口を覆う様にしてある。蓋体上部にあるガードバーを回すと、蓋体とロックスパイダの脚の間隔が広がり、セグメント部により指示され、蓋部が胴体部に押さえつけられる構造になっており、ロックスパイダの脚が3個の蓋部を有する金属容器を用意した。該金属容器に発射装薬を入れ、金属容器の側面に電熱線を取付け、金属容器の内部に熱電対を設置し、内部の温度上昇速度を3.3℃/hrに維持するように、電熱線に流す電流値を変化させた。
【0047】
(安全性の評価)
図10に示すように、最終反応後の破片数に応じて、以下の評価基準で安全性を評価した:
(安全性の評価)
最終反応後の蓋の飛翔の有無を評価した:
○:蓋部飛翔なし(蓋体がロック環にめり込み、強固に固定されている場合)
△:蓋部飛翔の恐れあり(簡単な手動操作で、蓋部が外せる場合)
×:蓋部飛翔あり
図10に、試験結果の一例を示す。
【0048】
[比較例1]
ロックスパイダの脚の数を2個にし、脆弱部の長さを900mmとり、ロック環からの長さを50mmにし、脆弱部からのロック保持開口の設置角度を0度と180度し試験した。結果を以下の表1に示す。ロック環が楕円に変形し、ロックスパイダの脚が外れ、蓋体が飛翔したため安全性は×であった。
【0049】
[比較例2]
ロックスパイダの脚の数を3個にし、脆弱部からのロック保持開口の設置角度を30度、90度、150度にしたことを除き、比較例1同様に試験した。結果を以下の表1に示す。ロック環が楕円に変形し、ロックスパイダの脚が外れ、蓋体が飛翔したため安全性は×であった。
【0050】
[比較例3]
2本の脆弱部を90度の間隔を空けて設け、その内1つの脆弱部からのロック保持開口の設置角度を0度、120度(2点)にしたことを除き、比較例2同様に試験した。結果を以下の表1に示す。ロック環が三角楕円状に変形し、3個あるロックスパイダの脚が外れていたが、蓋体が飛翔したため安全性は×であった。
【0051】
[比較例4]
ロック環からの長さ400mmにし、脆弱部をずらし、650mmに短くしたことを除き、比較例1同様に試験した。結果を以下の表1に示す。ロック環はほぼ変形しなったがロックスパイダの脚が変形しており、蓋体が簡単な手動操作で取れたため蓋体が飛翔しなかったが安全性は△であった。
【0052】
[実施例1]
ロックスパイダの脚の数を2個にし、脆弱部の長さを750mmとり、ロック環からの長さを300mmにし、脆弱部からのロック保持開口の設置角度を90度(2点)としたことを除き、比較例1と同様に試験した。結果を以下の表1に示す。ロック環が少し楕円状に変形しロックスパイダの脚がロック環に固定され、蓋体が飛翔しなかったため安全性は○であった。
【0053】
[実施例2]
脆弱部からのロック保持開口の設置角度を45度、75度、165度にしたことを除き、比較例1同様に試験した。結果を以下表1に示す。ロック環が楕円に変形し、ロックスパイダの脚がロック環にめり込み、蓋体が飛翔しなかったため安全性は○であった。
【0054】
[実施例3]
脆弱部からのロック保持開口の設置角度を90度(2点)にしたことを除き、比較例4同様に試験した。結果を以下表1に示す。ロック環が楕円に変形し、3個あるロックスパイダの脚の内1つが外れ、他の2個がロック環にめり込み、蓋体が飛翔しなかったため安全性は○であった。
【0055】
[実施例4]
ロックスパイダの脚を3個に対して、脆弱部からのロック保持開口の設置角度を60度(2点)と180度にしたことを除き、上記比較例2と同様に試験した。結果を以下表1に示す。ロック環が楕円に変形し、3個あるロックスパイダの脚の内1つが外れ、他の2個がロック環にめり込み、蓋体が飛翔しなかったため安全性は○であった。
【0056】
[実施例5]
2本の脆弱部を対角に設け、その内1つの脆弱部からのロック保持開口の設置角度を0度、120度(2点)にしたことを除き、脆弱部からのロック保持開口の設置角度を0度と120度(2点)にしたことを除き、比較例3同様に試験した。結果を以下表1に示す。ロック環が楕円に変形し、3個あるロックスパイダの脚の内1つが外れ他の2個がロック環にめり込み、蓋体が飛翔しなかったため安全性は○であった。
【0057】
【表1】
【産業上の利用可能性】
【0058】
本発明に係る脆弱部を有する弾薬用容器を用いれば、ロックスパイダを有する蓋体を用いる場合であっても、通常時における落下強度及び気密性を保持しながらも、容器内部において火薬類が発火した非常時には容器の爆発及び容器蓋体の飛散を確実に避けて周囲の被害を抑制することができる。すなわち、本発明に係る脆弱部を有する弾薬用容器においては、内装する火薬の燃焼速度に応じて、適当な脆弱部を規定の箇所に設けることで、蓋体を飛散させることなく圧力開放を実現できる。よって、本発明は、弾薬用容器として好適に利用可能である。
【符号の説明】
【0059】
A 脆弱部長さ
B ロック環からの長さ
C 脆弱部からのロック保持開口の設置角度
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図11
図12
図8
図9
図10