【解決手段】ピンホール検出装置Pは、開口部34を有する箱形の二次成形品14(被測定物)を検出対象とし、二次成形品14におけるピンホールの有無を検出するものであり、開口部34を閉塞することで少なくとも二次成形品14の内部空間36を含む暗室43を構成する閉塞部材40と、閉塞部材40に形成され、二次成形品14の外面のうち開口部34を包囲する開口縁領域(フランジ部32の底面33)に対し当接又は接近して対向する第1遮光面24と、開口部34の内周面領域35に対し当接又は接近して対向する第2遮光面25と、暗室43内に臨むように設けられ、二次成形品14のピンホールを通過した光を検出する光検出素子41とを備えている。
複数の支持台間で順次に移送される被加工部材に加工を施すようになっており、前記複数の支持台には前記被加工部材に加工を施さないアイドル工程用支持台が含まれている加工装置に設けられたものであって、
前記閉塞部材が前記アイドル工程用支持台によって構成され、
前記光検出素子が前記アイドル用に支持台に設けられていることを特徴とする請求項1ないし請求項3のいずれか1項に記載のピンホール検出装置。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記のピンホール検出装置は、光検出素子に向かうノイズ光の進行方向が、ピンホールを通過して光検出素子に向かう透過光の進行方向に対して斜め方向であることを利用して、ノイズ光を遮断するものである。この方法では、被測定物における検出領域は、被測定物と略直交方向に光検出素子と対向する狭い範囲に限られるため、ピンホール検出は、被測定物をその面と平行に移動させながら行うことになる。したがって、上記のピンホール検出装置は、その検出対象が二次元平面に沿って移動可能なフィルム状の被測定物に限られ、被測定領域が三次元方向に面している立体的な箱状の物体におけるピンホールの有無を検出することはできない。
【0005】
本発明は上記のような事情に基づいて完成されたものであって、立体的な箱状の被測定物におけるピンホールの有無を、高い精度で検出できるようにすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明のピンホール検出装置は、
開口部を有する箱形の被測定物を検出対象とし、前記被測定物におけるピンホールの有無を検出するピンホール検出装置であって、
前記開口部を閉塞することで、少なくとも前記被測定物の内部空間を含む暗室を構成する閉塞部材と、
前記閉塞部材に形成され、前記被測定物の外面のうち前記開口部を包囲する開口縁領域に対し、当接又は接近して対向するように配される第1遮光面と、
前記開口部の内周面領域に対し、当接又は接近して対向するように配される第2遮光面と、
前記暗室内に臨むように設けられ、前記被測定物のピンホールを通過した光を検出する光検出素子とを備えているところに特徴を有する。
【発明の効果】
【0007】
被測定物の開口部を閉塞部材で閉塞して暗室を構成した状態では、開口部に対し、閉塞部材の第1遮光面と第2遮光面が当接又は接近して対向する。第1遮光面と第2遮光面は、互いに異なる方向に面しているので、開口部と閉塞部材との隙間から暗室内へのノイズ光の侵入が規制される。本発明によれば、箱形の被測定物におけるピンホールの有無を高い精度で検出することができる。
【発明を実施するための形態】
【0009】
(1)本発明のピンホール検出装置は、前記第1遮光面がほぼ水平をなし、前記第2遮光面が前記第1遮光面から上方へ立ち上がる形態であってもよい。
この構成によれば、被測定物を上から閉塞部材に被せるようにすれば暗室が構成されるので、被測定物を位置決めしたり固定したりするための手段が不要である。
【0010】
(2)本発明のピンホール検出装置は、前記開口部の開口縁から前記内周面領域と略直交するように外向きに張り出すフランジ部が形成されている前記被測定物を検出対象とするものであって、前記第1遮光面が、前記フランジ部に対し面当たり状に当接するようになっていてもよい。
この構成によれば、被測定物と閉塞部材との隙間から暗室内へのノイズ光の侵入を、確実に防止することができる。
【0011】
(3)本発明のピンホール検出装置は、複数の支持台間で順次に移送される被加工部材に加工を施すようになっており、前記複数の支持台には前記被加工部材に加工を施さないアイドル工程用支持台が含まれている加工装置に設けられたものであって、前記閉塞部材が前記アイドル工程用支持台によって構成され、前記光検出素子が前記アイドル工程用支持台に設けられていてもよい。
この構成によれば、被加工部材が加工される過程においてピンホール検出を行うことができるので、加工装置とは別に専用のピンホール検出装置を設ける場合に比べると、設備が簡素化される。
【0012】
<実施例1>
以下、本発明を具体化した実施例1を
図1〜
図2を参照して説明する。本実施例1のピンホール検出装置Pは、金属製の板状をなす成形素材12(請求項に記載の被加工部材)に各種の加工を施して成形品13,14,15を得るための加工装置Mに設けられている。加工装置Mは、第1〜第5の5つの支持台10A〜10Eと、成形機構11と、トランスファ機構(図示省略)とを備えている。第1〜第5支持台10A〜10Eは、一定ピッチで一列に並べて配置されている。成形機構11は、第1支持台10A、第2支持台10B、第4支持台10D及び第5支持台10Eにおいて、成形素材12又は成形品13,14,15に対し、一斉に所定の加工を施すものである。
【0013】
トランスファ機構は、第1支持台10Aへの新たな成形素材12の供給と、第1〜第4支持台10A〜10Dから第2〜第5支持台10B〜10Eへの成形品13,14,15の移送と、第5支持台10Eの三次成形品15の取り出しを、一斉に行う。成形機構11とトランスファ機構が交互に作動することにより、成形素材12が第1〜第5支持台10A〜10Eに順次に移送させながら加工を施されて成形品13,14,15となる。
【0014】
移送順に並べられた第1〜第5支持台10A〜10Eのうち第1支持台10Aでは、第1支持台10Aの上面に載置された成形素材12が、成形機構11によって絞り加工等の一次加工を施されることにより、下面が開放された箱状の一次成形品13(請求項に記載の被加工部材)となる。第2支持台10Bでは、第1支持台10Aから移送されて第2支持台10Bの上面に載置された一次成形品13が、成形機構11によってプレス加工等の二次加工を施されることにより、所定の箱形形状をなすとともに下面が全領域に亘って開口部34として開放された箱形の二次成形品14(請求項に記載の被測定物、被加工部材)となる。
【0015】
第3支持台10Cでは、第2支持台10Bから移送された箱形の二次成形品14に対して加工は施されず、第4支持台10Dへ移送される。つまり、第3支持台10Cは、二次成形品14に対して加工を施さないアイドル工程用支持台である。第4支持台10Dでは、第3支持台10Cから移送されて第4支持台10Dの上面に載置された箱形の二次成形品14が、穴空け加工等の三次加工を施されることにより三次成形品15(請求項に記載の被加工部材)となる。第5支持台10Eでは、第4支持台10Dから移送されて第5支持台10Eの上面に載置された三次成形品15が、更なる穴空け加工等の四次加工を施されて四次成形品(図示省略)となる。
【0016】
上記のように第3支持台10Cは、二次成形品14に加工を施さないアイドル工程用支持台となっている。第3支持台10Cは、平面視が略方形をなす基台20と、基台20で囲まれて上面が開放された収容空間21と、基台20の上面のうち収容空間21の開口縁部から全周に亘って立ち上がる周壁部22とを備えて構成されている。収容空間21内には、略水平な板状をなす支持部材23が設けられている。支持部材23の外周縁は、基台20の内周面に対して隙間なく(つまり、光を漏らさないように)繋がっている。
【0017】
基台20の上面のうち周壁部22を全周に亘って包囲する略方形の領域は、上方に面する水平な第1遮光面24となっている。周壁部22の外周面は、その全周に亘り、鉛直方向に対して内側(収容空間21側)へ少し傾いた第2遮光面25となっている。第2遮光面25の下端部は、全周に亘り、第1遮光面24の内周縁部に対して鈍角をなして連なっている。
【0018】
この成形機能を有しない第3支持台10Cにはピンホール検出装置Pが設けられており、第3支持台10Cに移送された二次成形品14が、ピンホール検出装置Pの検出対象(被測定物)となっている。二次成形品14は、平面視が略方形をなす略水平な上板部30と、上板部30の外周縁から全周に亘って下方へ延出した側板部31と、側板部31の下端の開口縁から全周に亘って外面側へ水平に張り出したフランジ部32とが一体に形成された形態である。二次成形品14の下面は、その全領域が略方形の開口部34となっている。二次成形品14は、開口部34を境として内部と外部とに区画される。側板部31の内周面における下端部は、全周に亘り、開口部34の内周面領域35と定義される。フランジ部32は、その全体が二次成形品14の外部に位置している。そして、フランジ部32の底面33は、二次成形品14の外面のうち開口部34を包囲する開口縁領域となっている。
【0019】
ピンホール検出装置Pは、二次成形品14の開口部34を閉塞する閉塞部材40と、光検出素子41と、検出回路42とを備えている。閉塞部材40は、第3支持台10Cの基台20の上端部と周壁部22と支持部材23によって構成されている。光検出素子41は、支持部材23(閉塞部材40)の上面における略中央部に配置されている。光検出素子41は検出回路42に接続されてする。光検出素子41において光が検出されると、検出信号が検出回路42に入力されるようになっている。
【0020】
次に、本実施例1の作用を説明する。第3支持台10Cに二次成形品14が移送されると、フランジ部32が、第1遮光面24(基台20の上面)に載置される。また、側板部31の下端部が周壁部22に外嵌されることにより、二次成形品14が第3支持台10C(閉塞部材40)に対して水平方向に位置決めされる。そして、二次成形品14の下面の開口部34が閉塞部材40によって閉塞され、これより、二次成形品14の内部空間36と、閉塞部材40の上面のうち周壁部22の内周面と支持部材23の上面とで区画された皿状の上面空間26とにより、暗室43が構成される。
【0021】
そして、暗室43内には光検出素子41が配置される。したがって、二次成形品14の上板部30や側板部31に図示しないピンホール(小径の貫通孔に限らず、スリット状の亀裂等も含む)が存在していた場合には、二次成形品14の外部の光が、ピンホールを通過することによって暗室43内に進入し、光検出素子41で検出される。すると、光検出素子41から検出回路42へ検出信号が入力される。尚、二次成形品14(ピンホール検出装置P)の周囲が暗い場合には、二次成形品14の外面に向けて光を照射する光源44を設けてもよい。
【0022】
また、二次成形品14の上板部30と側板部31のいずれにもピンホールが存在していない場合には、二次成形品14の外部の光が暗室43内に進入しないので、光検出素子41は光を検出しない。そのため、光検出素子41から検出回路42への検出信号の入力は行われない。したがって、ピンホール検出装置Pは、光検出素子41から検出回路42への検出信号の入力の有無に基づいて、二次成形品14にピンホールが存在しているか否かを判断する。
【0023】
この光検出素子41によるピンホール検出工程において、暗室43内にピンホール以外の経路でノイズ光が侵入すると、光検出素子41がそのノイズ光を検出し、誤った検出信号が検出回路42に入力されてしまう。ここで、二次成形品14は、そのフランジ部32の底面33を閉塞部材40の上面(第1遮光面24)に被せるように載置されているだけである。そのため、フランジ部32の底面33(つまり、二次成形品14の下端部)と第1遮光面24(つまり、閉塞部材40の上面)との隙間が、暗室43内へのノイズ光の侵入経路になることが懸念される。
【0024】
しかし、第1遮光面24の内周縁部からは、第2遮光面25が直角に近い角度で立ち上がるように連なっている。したがって、二次成形品14の外部の光が、第1遮光面24とフランジ部32の底面33との隙間に侵入したとしても、その侵入した光は、周壁部22の第2遮光面25の下端部に対してほぼ直角に突き当たる。第2遮光面25には、開口部34の内周面領域35(二次成形品14の側板部31の下端部における内周面)が、面当たり状態で当接又は接近して対向している。つまり、第2遮光面25と開口部34の内周面領域35との隙間は、第1遮光面24とフランジ部32の底面33との隙間に対して略直角を向いている。
【0025】
したがって、二次成形品14の外部の光が、第1遮光面24とフランジ部32との隙間に侵入して第2遮光面25に到達したとしても、その光は、第2遮光面25と開口部34の内周面領域35との隙間を通って上方(暗室43に向かう方向)へ侵入することはない。このように、本実施例1のピンホール検出装置Pは、閉塞部材40のうち二次成形品14の下端部(開口部34の開口縁部)と対向する領域に、第1遮光面24と第2遮光面25を設けることにより、二次成形品14の外部から暗室43内へのノイズ光の侵入を規制している。
【0026】
本実施例1のピンホール検出装置Pは、開口部34を有する立体的な箱状の被測定物(二次成形品14)を検出対象とし、その被測定物におけるピンホールの有無を、高い精度で検出できるようにすることを目的とする。そのための手段として、ピンホール検出装置Pは、開口部34を閉塞することで少なくとも二次成形品14の内部空間36を含む暗室43を構成する閉塞部材40を有する。
【0027】
閉塞部材40には、二次成形品14の外面のうち開口部34を包囲する開口縁領域(フランジ部32の底面33)に対し当接又は接近して対向するように配される第1遮光面24が形成されている。特に、本実施例1では、二次成形品14は、開口部34の開口縁から内周面領域35と略直交するように外向きに張り出すフランジ部32を有しており、第1遮光面24が、フランジ部32の底面33に対し面当たり状に当接するようになっている。同じく、閉塞部材40には、開口部34の内周面領域35に対し当接又は接近して対向するように配される第2遮光面25が形成されている。そして、ピンホール検出装置Pは、暗室43内に臨むように設けられ、二次成形品14のピンホールを通過した光を検出する光検出素子41を備えている。
【0028】
このピンホール検出装置Pによれば、二次成形品14の開口部34を閉塞部材40で閉塞して暗室43を構成した状態では、開口部34に対し、閉塞部材40の第1遮光面24と第2遮光面25が当接又は接近して対向する。この第1遮光面24と第2遮光面25は、互いに異なる方向に面しているので、開口部34と閉塞部材40との隙間から暗室43内へのノイズ光の侵入が規制される。したがって、本実施例1のピンホール検出装置Pによれば、箱形の二次成形品14におけるピンホールの有無を高い精度で検出することができる。
【0029】
また、第1遮光面24がほぼ水平をなし、第2遮光面25が第1遮光面24から上方へ立ち上がる形態である。この構成によれば、二次成形品14を上から閉塞部材40に被せるようにすれば暗室43が構成されるので、二次成形品14を位置決めしたり固定したりするための手段が不要となっている。
【0030】
また、本実施例1のピンホール検出装置Pは、5つの支持台10A〜10E間で順次に移送される被加工部材(成形素材12、成形品13,14,15)に加工を施すようになっていて、被加工部材(第2成形品14)に加工を施さない第3支持台10C(アイドル工程用支持台)を含む加工装置Mに設けられている。そして、閉塞部材40が第3支持台10Cによって構成され、光検出素子41が第3支持台10Cに設けられている。この構成によれば、被加工部材(成形素材12、成形品13,14,15)が加工される過程においてピンホール検出を行うことができるので、加工装置とは別に専用のピンホール検出装置を設ける場合に比べると、設備が簡素化されている。
【0031】
<他の実施例>
本発明は上記記述及び図面によって説明した実施例に限定されるものではなく、例えば次のような実施例も本発明の技術的範囲に含まれる。
(1)上記実施例1では、第1遮光面を水平上向きとしてフランジ部の下面と対向させるようにしたが、フランジ部が水平に対して斜めに形成されている場合は、フランジ部の向きに合わせて第1遮光面も水平に対して傾斜した向きに設ければよく、フランジ部が形成されていない場合には、第1遮光面を鉛直又は鉛直に近い向きに設ければよい。
(2)上記実施例1では、被加工部材に加工を施して成形品を得るための加工装置にピンホール検出装置を設けたが、ピンホール検出装置は、このような加工装置とは別に設けてもよい。
(3)上記実施例1では、ピンホール検出装置を加工装置の加工ラインの途中に配置したが、ピンホール検出装置は、加工ラインの最終工程位置に配置してもよい。
(4)上記実施例1では、被測定物(二次成形品)に、開口部の開口縁から外向きに張り出すフランジ部が形成されているが、フランジ部が形成されていない被測定物に対しても、ピンホールの有無を検出することができる。
(5)上記実施例1では、加工装置が5つの支持台を並べて構成されているが、加工装置を構成する支持台は、4つ以下でも、6つ以上でもよい。