特開2015-232503(P2015-232503A)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2015.5.11 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2015-232503(P2015-232503A)
(43)【公開日】2015年12月24日
(54)【発明の名称】放射線検出器及びその製造方法
(51)【国際特許分類】
   G01T 1/20 20060101AFI20151201BHJP
【FI】
   G01T1/20 L
   G01T1/20 D
   G01T1/20 E
   G01T1/20 G
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2014-119603(P2014-119603)
(22)【出願日】2014年6月10日
(71)【出願人】
【識別番号】000003078
【氏名又は名称】株式会社東芝
(71)【出願人】
【識別番号】503382542
【氏名又は名称】東芝電子管デバイス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100108062
【弁理士】
【氏名又は名称】日向寺 雅彦
(74)【代理人】
【識別番号】100168332
【弁理士】
【氏名又は名称】小崎 純一
(74)【代理人】
【識別番号】100146592
【弁理士】
【氏名又は名称】市川 浩
(72)【発明者】
【氏名】若松 俊輔
【テーマコード(参考)】
2G188
【Fターム(参考)】
2G188BB02
2G188BB04
2G188CC15
2G188CC17
2G188CC19
2G188CC22
2G188DD44
(57)【要約】
【課題】歩留まりの向上を図ることができる放射線検出器及びその製造方法を提供することである。
【解決手段】実施形態に係る放射線検出器は、基板と、前記基板の一方の面側に設けられた複数の光電変換素子と、を有するアレイ基板と、前記複数の光電変換素子の上に設けられ、放射線を蛍光に変換するシンチレータ層と、前記シンチレータ層を覆うように設けられた反射層と、前記反射層を囲むように設けられ、前記反射層の高さ以上の高さを有する壁体と、を備えている。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板と、前記基板の一方の面側に設けられた複数の光電変換素子と、を有するアレイ基板と、
前記複数の光電変換素子の上に設けられ、放射線を蛍光に変換するシンチレータ層と、
前記シンチレータ層を覆うように設けられた反射層と、
前記反射層を囲むように設けられ、前記反射層の高さ以上の高さを有する壁体と、
を備えた放射線検出器。
【請求項2】
周縁近傍が前記壁体の上面に接合された防湿体をさらに備えた請求項1記載の放射線検出器。
【請求項3】
複数の光電変換素子を有するアレイ基板の上に、枠状の壁体を設ける工程と、
前記枠状の壁体の内側に放射線を蛍光に変換するシンチレータ層を設ける工程と、
前記シンチレータ層を覆う反射層を設ける工程と、
を備え、
前記枠状の壁体を設ける工程において、前記反射層の高さ以上の高さを有する前記壁体が設けられる放射線検出器の製造方法。
【請求項4】
前記反射層を設ける工程において、光散乱性粒子を含む粘性液体が前記枠状の壁体の内側に流し込まれる請求項3記載の放射線検出器の製造方法。
【請求項5】
前記反射層を設ける工程において、脱泡された前記粘性液体が前記枠状の壁体の内側に流し込まれる請求項4記載の放射線検出器の製造方法。
【請求項6】
前記壁体の上面に防湿体の周縁近傍を接合する工程をさらに備えた請求項3〜5のいずれか1つに記載の放射線検出器の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、放射線検出器及びその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
放射線検出器の一例にX線検出器がある。X線検出器においては、X線をシンチレータ層により可視光すなわち蛍光に変換し、この蛍光をアモルファスシリコン(a−Si)フォトダイオード、あるいはCCD(Charge Coupled Device)などの光電変換素子を用いて信号電荷に変換することでX線画像を取得している。
シンチレータ層は、CsI(ヨウ化セシウム):Tl(タリウム)やCsI:Na(ナトリウム)などからなり、複数の光電変換素子が配列されたアレイ基板上に設けられている。
また、蛍光の利用効率を高めて感度特性を改善するために、シンチレータ層の上に反射層が設けられている。
また、シンチレータ層と反射層は、水蒸気などに起因する特性の劣化を抑制するために外部雰囲気から隔離する必要がある。特に、シンチレータ層が、CsI:TlやCsI:Naなどからなる場合には、湿度などによる特性劣化が大きくなるおそれがある。
そのため、例えば、シンチレータ層と反射層を覆うハット形状の防湿体が設けられている。
ここで、シンチレータ層は、例えば、真空蒸着法を用いて形成する。
反射層は、例えば、ディスペンサー装置を用いて、酸化チタン粒子とバインダー材料と有機溶剤とを混合した粘性液体をシンチレータ層上に塗布し、粘性液体中の有機溶剤を揮発させることで形成する。
この場合、シンチレータ層を蒸着する際に用いる金属製のマスクがアレイ基板の表面に直接触れると、例えば、アレイ基板にパターニングされている配線が断線するおそれがある。配線が断線すれば、正常なX線画像が取得できなくなるおそれがある。
また、ディスペンサー装置を用いて粘性液体を塗布する際に、気泡が含まれた粘性液体が吐出されたり、空気が巻き込まれたりして塗布された粘性液体中、ひいては反射層中に気泡が発生するおそれがある。反射層中に気泡が発生すれば、気泡がX線画像に写り、正常なX線画像が取得できなくなるおそれがある。
すなわち、アレイ基板に損傷が生じたり、反射層中に気泡が生じたりすると、その程度によっては製品不良となり、歩留まりが低下するおそれがある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2009−128023号公報
【特許文献2】特開2000−284053号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明が解決しようとする課題は、歩留まりの向上を図ることができる放射線検出器及びその製造方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
実施形態に係る放射線検出器は、基板と、前記基板の一方の面側に設けられた複数の光電変換素子と、を有するアレイ基板と、前記複数の光電変換素子の上に設けられ、放射線を蛍光に変換するシンチレータ層と、前記シンチレータ層を覆うように設けられた反射層と、前記反射層を囲むように設けられ、前記反射層の高さ以上の高さを有する壁体と、を備えている。
【図面の簡単な説明】
【0006】
図1】第1の実施形態に係るX線検出器1を例示するための模式斜視図である。
図2】X線検出器1の模式断面図である。
図3】(a)〜(c)は、X線検出器1の製造方法を例示するための模式工程断面図である。
図4】(a)〜(c)は、X線検出器1の製造方法を例示するための模式工程断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0007】
以下、図面を参照しつつ、実施の形態について例示をする。なお、各図面中、同様の構成要素には同一の符号を付して詳細な説明は適宜省略する。
また、本発明の実施形態に係る放射線検出器は、X線のほかにもγ線などの各種放射線に適用させることができる。ここでは、一例として、放射線の中の代表的なものとしてX線に係る場合を例にとり説明をする。したがって、以下の実施形態の「X線」を「他の放射線」に置き換えることにより、他の放射線にも適用させることができる。
【0008】
[第1の実施形態]
まず、第1の実施形態に係るX線検出器1について例示をする。
図1は、第1の実施形態に係るX線検出器1を例示するための模式斜視図である。
なお、煩雑となるのを避けるために、図1においては、反射層6、防湿体7、接合層8、壁体9などを省いて描いている。
図2は、X線検出器1の模式断面図である。
なお、煩雑となるのを避けるために、図2においては、制御ライン(又はゲートライン)2c1、データライン(又はシグナルライン)2c2、信号処理部3、画像伝送部4などを省いて描いている。
放射線検出器であるX線検出器1は、放射線画像であるX線画像を検出するX線平面センサである。X線検出器1は、例えば、一般医療用途などに用いることができる。ただし、X線検出器1の用途は、一般医療用途に限定されるわけではない。
【0009】
図1および図2に示すように、X線検出器1には、アレイ基板2、信号処理部3、画像伝送部4、シンチレータ層5、反射層6、防湿体7、接合層8、および壁体9が設けられている。
アレイ基板2は、基板2a、光電変換部2b、制御ライン2c1、データライン2c2、および保護層2fを有する。
【0010】
基板2aは、板状を呈し、無アルカリガラスなどの透光性材料から形成されている。
光電変換部2bは、基板2aの一方の表面に複数設けられている。
光電変換部2bは、矩形状を呈し、制御ライン2c1とデータライン2c2とで画された領域に設けられている。複数の光電変換部2bは、マトリクス状に並べられている。
なお、1つの光電変換部2bは、1つの画素(pixel)に対応する。
【0011】
複数の光電変換部2bのそれぞれには、光電変換素子2b1と、スイッチング素子である薄膜トランジスタ(TFT;Thin Film Transistor)2b2が設けられている。
また、光電変換素子2b1において変換した信号電荷を蓄積する図示しない蓄積キャパシタを設けることができる。図示しない蓄積キャパシタは、例えば、矩形平板状を呈し、各薄膜トランジスタ2b2の下に設けることができる。ただし、光電変換素子2b1の容量によっては、光電変換素子2b1が図示しない蓄積キャパシタを兼ねることができる。
【0012】
光電変換素子2b1は、例えば、フォトダイオードなどとすることができる。
薄膜トランジスタ2b2は、蛍光が光電変換素子2b1に入射することで生じた電荷の蓄積および放出のスイッチングを行う。薄膜トランジスタ2b2は、アモルファスシリコン(a−Si)やポリシリコン(P−Si)などの半導体材料を含むものとすることができる。薄膜トランジスタ2b2は、ゲート電極、ソース電極及びドレイン電極を有している。薄膜トランジスタ2b2のゲート電極は、対応する制御ライン2c1と電気的に接続される。薄膜トランジスタ2b2のソース電極は、対応するデータライン2c2と電気的に接続される。薄膜トランジスタ2b2のドレイン電極は、対応する光電変換素子2b1と図示しない蓄積キャパシタとに電気的に接続される。
【0013】
制御ライン2c1は、所定の間隔を開けて互いに平行に複数設けられている。制御ライン2c1は、第1の方向(例えば、行方向)に延びている。
複数の制御ライン2c1は、基板2aの周縁近傍に設けられた複数の配線パッド2d1とそれぞれ電気的に接続されている。複数の配線パッド2d1には、フレキシブルプリント基板2e1に設けられた複数の配線の一端がそれぞれ電気的に接続されている。フレキシブルプリント基板2e1に設けられた複数の配線の他端は、信号処理部3に設けられた図示しない制御回路とそれぞれ電気的に接続されている。
【0014】
データライン2c2は、所定の間隔を開けて互いに平行に複数設けられている。データライン2c2は、第1の方向に直交する第2の方向(例えば、列方向)に延びている。
複数のデータライン2c2は、基板2aの周縁近傍に設けられた複数の配線パッド2d2とそれぞれ電気的に接続されている。複数の配線パッド2d2には、フレキシブルプリント基板2e2に設けられた複数の配線の一端がそれぞれ電気的に接続されている。フレキシブルプリント基板2e2に設けられた複数の配線の他端は、信号処理部3に設けられた図示しない増幅・変換回路とそれぞれ電気的に接続されている。
保護層2fは、光電変換部2b、制御ライン2c1、およびデータライン2c2を覆うように設けられている。
保護層2fは、窒化ケイ素(SiN)やアクリル系樹脂などの絶縁性材料から形成することができる。
【0015】
信号処理部3は、基板2aの、光電変換部2bが設けられる側とは反対側に設けられている。
信号処理部3には、図示しない制御回路と、図示しない増幅・変換回路とが設けられている。
図示しない制御回路は、各薄膜トランジスタ2b2の動作、すなわちオン状態およびオフ状態を制御する。例えば、図示しない制御回路は、フレキシブルプリント基板2e1と配線パッド2d1と制御ライン2c1とを介して、制御信号S1を各制御ライン2c1毎に順次印加する。制御ライン2c1に印加された制御信号S1により薄膜トランジスタ2b2がオン状態となり、光電変換部2bからの画像データ信号S2が受信できるようになる。
【0016】
図示しない増幅・変換回路は、例えば、複数の電荷増幅器、並列/直列変換器、およびアナログ−デジタル変換器を有している。
複数の電荷増幅器は、各データライン2c2にそれぞれ電気的に接続されている。
複数の並列/直列変換器は、複数の電荷増幅器にそれぞれ電気的に接続されている。
複数のアナログ−デジタル変換器は、複数の並列/直列変換器にそれぞれ電気的に接続されている。
図示しない複数の電荷増幅器は、データライン2c2と配線パッド2d2とフレキシブルプリント基板2e2とを介して、各光電変換部2bからの画像データ信号S2を順次受信する。
【0017】
そして、図示しない複数の電荷増幅器は、受信した画像データ信号S2を順次増幅する。
図示しない複数の並列/直列変換器は、増幅された画像データ信号S2を順次直列信号に変換する。
図示しない複数のアナログ−デジタル変換器は、直列信号に変換された画像データ信号S2をデジタル信号に順次変換する。
【0018】
画像伝送部4は、配線4aを介して、信号処理部3の図示しない増幅・変換回路と電気的に接続されている。なお、画像伝送部4は、信号処理部3と一体化されていてもよい。 画像伝送部4は、図示しない複数のアナログ−デジタル変換器によりデジタル信号に変換された画像データ信号S2に基づいて、X線画像を構成する。構成されたX線画像のデータは、画像伝送部4から外部の機器に向けて出力される。
【0019】
シンチレータ層5は、複数の光電変換素子2b1の上に設けられ、入射するX線を可視光すなわち蛍光に変換する。
シンチレータ層5は、例えば、ヨウ化セシウム(CsI):タリウム(Tl)、あるいはヨウ化ナトリウム(NaI):タリウム(Tl)などを用いて形成することができる。
【0020】
シンチレータ層5は、柱状結晶の集合体となっている。
柱状結晶の集合体からなるシンチレータ層5は、例えば、真空蒸着法などを用いて形成することができる。
シンチレータ層5の厚み寸法は、例えば、600μm程度とすることができる。柱状結晶の柱(ピラー)の太さ寸法は、例えば、最表面で8μm〜12μm程度とすることができる。
なお、シンチレータ層5の形成に関する詳細は後述する。
【0021】
反射層6は、蛍光の利用効率を高めて感度特性を改善するために設けられている。すなわち、反射層6は、シンチレータ層5において生じた蛍光のうち、光電変換部2bが設けられた側とは反対側に向かう光を反射させて、光電変換部2bに向かうようにする。
反射層6は、枠状の壁体9の内側に設けられている。
【0022】
反射層6は、シンチレータ層5を覆っている。
反射層6は、例えば、酸化チタン(TiO)などからなる光散乱性粒子を含む樹脂から形成することができる。
また、反射層6を透湿係数の小さい樹脂などから形成すれば、防湿体7を省略することもできる。
なお、反射層6の形成に関する詳細は後述する。
【0023】
防湿体7は、空気中に含まれる水蒸気により、反射層6の特性やシンチレータ層5の特性が劣化するのを抑制するために設けられている。
防湿体7は、反射層6の上方を覆っている。この場合、防湿体7と反射層6の上面が接触するようにしてもよいし、防湿体7と反射層6の上面との間に隙間があってもよい。
例えば、大気圧よりも減圧された環境において、防湿体7と、壁体9の上面とを接合すれば、大気圧により防湿体7と反射層6の上面が接触するようにすることができる。
防湿体7の周縁近傍は、壁体9の上面に接合されている。
【0024】
防湿体7は、膜状または箔状または薄板状を呈している。
防湿体7は、透湿係数の小さい材料から形成することができる。
防湿体7は、例えば、アルミニウム、アルミニウム合金、あるいは、樹脂膜と無機材料(アルミニウムやアルミニウム合金などの金属、SiO、SiON、Alなどのセラミック系材料)からなる膜とが積層された低透湿防湿膜(水蒸気バリアフィルム)などから形成することができる。
この場合、実効的な透湿係数がほとんどゼロであるアルミニウムやアルミニウム合金などを用いて防湿体7を形成すれば、防湿体7を透過する水蒸気をほぼ完全になくすことができる。
【0025】
また、防湿体7の厚み寸法は、X線の吸収や剛性などを考慮して決定することができる。この場合、防湿体7の厚み寸法を大きくしすぎるとX線の吸収が大きくなりすぎる。防湿体7の厚み寸法を小さくしすぎると剛性が低下して破損しやすくなる。
防湿体7は、例えば、厚み寸法が0.1mmのアルミニウム箔を用いて形成することができる。
【0026】
接合層8は、防湿体7と、壁体9の上面との間に設けられ、防湿体7の周縁近傍と壁体9とを接合している。
接合層8は、例えば、エポキシ系接着剤などが硬化することで形成されたものとすることができる。
【0027】
壁体9は、枠状を呈している。壁体9は、反射層6を囲むように設けられている。
壁体9は、シンチレータ層5を覆う反射層6の高さ以上の高さを有する。
すなわち、「壁体9の高さH≧反射層6の高さh」となっている。
壁体9は、透湿係数の小さい材料から形成することができる。
壁体9は、例えば、フィラー材を含む樹脂から形成することもできる。
【0028】
この場合、フィラー材は、例えば、タルク(滑石:MgSi10(OH))などから形成されたものとすることができる。
タルクなどからなるフィラー材の添加量は、50重量%以上とすることができる。
壁体9は、例えば、アルミニウムやアルミニウム合金などの金属から形成することができる。
【0029】
後述するように、壁体9を設けるようにすれば、シンチレータ層5を蒸着する際に用いるマスク100(上部マスク100b)がアレイ基板2の表面に直接触れないようにすることができる。
また、壁体9を設けるようにすれば、十分に脱泡させた粘性液体を、空気が巻き込まれないように徐々に流し込むことができるので、反射層6中に気泡が発生するのを抑制することができる。
そのため、X線検出器1の歩留まりの向上を図ることができる。
また、壁体9を設けるようにすれば、壁体9の上面に防湿体7を接合することができるので、壁体9の外側に防湿体7を接合するためのスペースを設ける必要がなくなる。
そのため、X線検出器1の小型化や軽量化などを図ることもできる。
【0030】
[第2の実施形態]
次に、第2の実施形態に係るX線検出器の製造方法について例示をする。
図3(a)〜(c)、および図4(a)〜(c)は、X線検出器1の製造方法を例示するための模式工程断面図である。
まず、アレイ基板2を作成する。
アレイ基板2は、例えば、基板2aの上に光電変換部2b、制御ライン2c1、データライン2c2、配線パッド2d1、配線パッド2d2、および保護層2fなどを順次形成することで作成することができる。
アレイ基板2は、例えば、半導体製造プロセスを用いて作成することができる。
【0031】
次に、図3(a)に示すように、複数の光電変換素子2b1を有するアレイ基板2の上に、枠状の壁体9を設ける。
壁体9は、シンチレータ層5が形成される領域(例えば、有効画素エリア)の周囲を囲むように設ける。
壁体9は、例えば、フィラー材が添加された樹脂(例えば、タルクからなるフィラー材が添加されたエポキシ系樹脂など)をシンチレータ層5が形成される領域の周囲に塗布し、これを硬化させることで形成することができる。
なお、フィラー材が添加された樹脂の塗布は、例えば、ディスペンサー装置などを用いて行うことができる。
また、金属や樹脂などからなる枠状の壁体9をアレイ基板2の上に接着することもできる。
金属や樹脂などからなる板状の部材をアレイ基板2の上に接着することで壁体9を形成することもできる。
この場合、反射層6の高さ以上の高さを有する壁体9が設けられる。
【0032】
次に、図3(b)に示すように、壁体9が設けられたアレイ基板2にマスク100を取り付ける。
マスク100は、例えば、アレイ基板2の、壁体9が設けられた側とは反対側を覆う下部マスク100aと、アレイ基板2の壁体9が設けられた側を覆う上部マスク100bとを有するものとすることができる。
上部マスク100bの中央部分には、開口部100b1が設けられている。
開口部100b1は、壁体9の内側の領域を露出させる。
上部マスク100bは、壁体9の上面を覆っている。
マスク100を取り付ければ、シンチレータ層5が形成される領域を露出させるとともに、シンチレータ層5が形成される領域以外の領域を覆い隠すことができる。
下部マスク100aおよび上部マスク100bは、例えば、金属から形成することができる。
壁体9を設けるようにすれば、マスク100(上部マスク100b)がアレイ基板2の表面に直接触れないようにすることができる。
そのため、アレイ基板2上に形成されている要素が破損するのを防止することができるので、X線検出器1の歩留まりの向上を図ることができる。
【0033】
次に、図3(c)に示すように、枠状の壁体9の内側に放射線を蛍光に変換するシンチレータ層5を設ける。
例えば、ヨウ化セシウム:タリウムからなり、厚み寸法が600μm程度のシンチレータ層5を形成する。
シンチレータ層5は、例えば、真空蒸着法を用いて形成することができる。
この際、マスク100が取り付けられているため、壁体9の内側にシンチレータ層5を形成することができる。
【0034】
次に、図4(a)に示すように、マスク100を取り外す。
次に、図4(b)に示すように、枠状の壁体9の内側にシンチレータ層5を覆う反射層6を設ける。
例えば、反射層6は、酸化チタン(TiO)などからなる光散乱性粒子と、樹脂などのバインダー材料と、有機溶剤などの溶媒とを混合した粘性液体を作成し、粘性液体を枠状の壁体9の内側に流し込み、溶媒の揮発と硬化を行うことで形成することができる。
この際、粘性液体が壁体9の上面を超えて外部に漏れ出ないようにする。
また、粘性液体がシンチレータ層5を覆うようにする。
流し込む前の粘性液体は、十分に脱泡させた状態にする。また、粘性液体を流し込む際は、気泡が入らないように徐々に流し込む。この様にすれば、反射層6中に気泡が発生するのを抑制することができる。そのため、X線検出器1の歩留まりの向上を図ることができる。
【0035】
次に、図4(c)に示すように、壁体9の上面に防湿体7の周縁近傍を接合する。
例えば、壁体9の上面にエポキシ系接着剤を塗布し、エポキシ系接着剤の上に防湿体7を載せ、エポキシ系接着剤を硬化させて接合層8を形成するとともに、防湿体7と、壁体9の上面とを接合する。
この場合、大気圧よりも減圧された環境において、防湿体7と、壁体9の上面とを接合すれば、大気圧により防湿体7と反射層6の上面が接触するようにすることができる。
壁体9を設けるようにすれば、壁体9の上面に防湿体7を接合することができるので、壁体9の外側に防湿体7を接合するためのスペースを設ける必要がなくなる。
そのため、X線検出器1の小型化や軽量化などを図ることができる。
【0036】
次に、フレキシブルプリント基板2e1、2e2を介して、アレイ基板2と信号処理部3を電気的に接続する。
また、配線4aを介して、信号処理部3と画像伝送部4を電気的に接続する。
その他、回路部品などを適宜実装する。
【0037】
次に、図示しない筐体の内部にアレイ基板2、信号処理部3、画像伝送部4などを格納する。
そして、必要に応じて、光電変換素子2b1の異常や電気的な接続の異常の有無を確認する電気試験、X線画像試験、高温高湿試験、冷熱サイクル試験などを行う。
以上のようにして、X線検出器1を製造することができる。
【0038】
以上、本発明のいくつかの実施形態を例示したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更などを行うことができる。これら実施形態やその変形例は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。また、前述の各実施形態は、相互に組み合わせて実施することができる。
【符号の説明】
【0039】
1 X線検出器、2 アレイ基板、5 シンチレータ層、6 反射層、7 防湿体、8 接合層、9 壁体、100 マスク、100a 下部マスク、100b 上部マスク
図1
図2
図3
図4