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特開2015-232600電気泳動粒子の製造方法、電気泳動粒子、電気泳動分散液、電気泳動シート、電気泳動装置および電子機器
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2015-232600(P2015-232600A)
(43)【公開日】2015年12月24日
(54)【発明の名称】電気泳動粒子の製造方法、電気泳動粒子、電気泳動分散液、電気泳動シート、電気泳動装置および電子機器
(51)【国際特許分類】
   G02F 1/167 20060101AFI20151201BHJP
   C08J 3/12 20060101ALI20151201BHJP
【FI】
   G02F1/167
   C08J3/12CER
   C08J3/12CEZ
【審査請求】未請求
【請求項の数】11
【出願形態】OL
【全頁数】37
(21)【出願番号】特願2014-118635(P2014-118635)
(22)【出願日】2014年6月9日
(71)【出願人】
【識別番号】000002369
【氏名又は名称】セイコーエプソン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100091292
【弁理士】
【氏名又は名称】増田 達哉
(74)【代理人】
【識別番号】100091627
【弁理士】
【氏名又は名称】朝比 一夫
(72)【発明者】
【氏名】下神 耕造
(72)【発明者】
【氏名】横川 忍
【テーマコード(参考)】
2K101
4F070
【Fターム(参考)】
2K101AA04
2K101BA02
2K101BB05
2K101BB43
2K101BC02
2K101BC13
2K101BD21
2K101BE22
2K101BE26
2K101BE61
2K101BF01
2K101BF06
2K101EC08
2K101EE02
2K101EG27
2K101EJ11
2K101EK35
4F070AA18
4F070AA29
4F070AA32
4F070AA46
4F070AA47
4F070AA53
4F070AC92
4F070AE06
4F070AE27
4F070BA08
4F070BB02
4F070DA58
4F070DB03
4F070DC02
4F070DC05
4F070DC11
(57)【要約】
【課題】基材粒子として表面に水酸基を露出するものを用いたとしても、その表面にポリマーを結合させて、目的とする分散性および帯電性が付与された電気泳動粒子を製造することができる電気泳動粒子の製造方法、かかる特性が付与された電気泳動粒子、かかる電気泳動粒子を用いた信頼性の高い、電気泳動分散液、電気泳動シート、電気泳動装置および電子機器を提供すること。
【解決手段】本発明の電気泳動粒子1の製造方法は、粒子2と被覆層3とを含む電気泳動粒子1の製造方法であり、水酸基と反応性を有する官能基を備えるポリマー(水酸基と反応性を有する官能基とポリマーとを有する化合物)32を、複数の粒子2に加えて混合した混合物を得る際に、混合物中における複数の粒子2を除くポリマー32の含有量を75重量%以上として、混合物中において、粒子2の表面にポリマー32を連結させることで被覆層を形成する方法である。
【選択図】図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
表面に水酸基を露出する粒子と、前記粒子の少なくとも一部を覆う被覆層とを含む電気泳動粒子の製造方法であって、
前記水酸基と反応性を有する官能基とポリマーとを有する化合物を、複数の前記粒子に加えて混合した混合物を得る際に、前記混合物中における前記複数の粒子を除く前記化合物の含有量を75重量%以上として、前記混合物中において、前記粒子の表面に前記化合物を連結させることで被覆層を形成して電気泳動粒子を得ることを特徴とする電気泳動粒子の製造方法。
【請求項2】
前記複数の粒子は、前記複数の粒子が分散した水性分散液を乾燥して得られるものである請求項1に記載の電気泳動粒子の製造方法。
【請求項3】
前記官能基は、ハロゲン化されたカルボキシル基またはハロゲン化されたスルホン酸基である請求項1または2に記載の電気泳動粒子の製造方法。
【請求項4】
前記化合物は、前記官能基と、該官能基が一端で連結するポリオルガノシロキサンとを有する請求項1ないし3のいずれか1項に記載の電気泳動粒子の製造方法。
【請求項5】
前記混合物は、無極性溶媒を含み、前記混合物中における前記複数の粒子を除く前記化合物の含有量が75重量%以上、100重量%未満に設定される請求項1ないし4のいずれか1項に記載の電気泳動粒子の製造方法。
【請求項6】
前記混合物は、前記ポリマーを含み、前記混合物中における前記粒子を除く前記化合物の含有量が75重量%以上、100重量%未満に設定される請求項1ないし4のいずれか1項に記載の電気泳動粒子の製造方法。
【請求項7】
請求項1ないし6のいずれか1項に記載の電気泳動粒子の製造方法を用いて製造されたことを特徴とする電気泳動粒子。
【請求項8】
請求項7に記載の電気泳動粒子を含有することを特徴とする電気泳動分散液。
【請求項9】
基板と、
前記基板の上方に配置され、各々が請求項8に記載の電気泳動分散液を収納する複数の構造体とを含むことを特徴とする電気泳動シート。
【請求項10】
請求項9に記載の電気泳動シートを備えることを特徴とする電気泳動装置。
【請求項11】
請求項10に記載の電気泳動装置を備えることを特徴とする電子機器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電気泳動粒子の製造方法、電気泳動粒子、電気泳動分散液、電気泳動シート、電気泳動装置および電子機器に関するものである。
【背景技術】
【0002】
一般に、液体中に微粒子を分散させた分散系に電界を作用させると、微粒子は、クーロン力により液体中で移動(泳動)することが知られている。この現象を電気泳動といい、近年、この電気泳動を利用して、所望の情報(画像)を表示させるようにした電気泳動表示装置が新たな表示装置として注目を集めている。
【0003】
この電気泳動表示装置は、電圧の印加を停止した状態での表示メモリー性や広視野角性を有することや、低消費電力で高コントラストの表示が可能であること等の特徴を備えている。
【0004】
また、電気泳動表示装置は、非発光型デバイスであることから、ブラウン管のような発光型の表示デバイスに比べて、目に優しいという特徴も有している。
【0005】
このような電気泳動表示装置には、電気泳動粒子を溶媒中に分散させたものを、電極を有する一対の基板間に配置される電気泳動分散液として備えるものが知られている。
【0006】
かかる構成の電気泳動分散液では、電気泳動粒子として、正帯電性のものと、負帯電性のものとを含むものが用いられ、これにより、一対の基板(電極)間に電圧を印加することで、所望の情報(画像)を表示させることができるようになる。
【0007】
ここで、電気泳動粒子としては、例えば、基材粒子に対して高分子が連結された被覆層を備える粒子が用いられ、このような被覆層(高分子)を備える構成とすることで、電気泳動分散液中において、電気泳動粒子を分散および帯電させることが可能となる。
【0008】
また、かかる構成の電気泳粒子は、例えば、原子移動ラジカル重合反応(atom transfer radical polymerization :ATRP)を用いて、以下のようにして製造される。
【0009】
すなわち、基材粒子を用意し、この基材粒子の表面に、有機ポリマーで構成され基材粒子をセル状に包み込む殻体を備えるAMP粒子を形成し、かかる殻体に重合開始基を有する重合開始剤を結合させた後、この重合開始基を起点として、モノマーがリビングラジカル重合により重合した高分子(ポリマー)を設けることで、電気泳粒子が製造される(例えば、特許文献1参照。)。
【0010】
この際、殻体に対する重合開始剤の結合は、殻体がその表面に水酸基(−OH基)を露出するものである場合、水酸基に対して反応性を有する官能基を有する重合開始剤を用い、水酸基と官能基との間で連結させることにより行われる。
【0011】
しかしながら、殻体の表面から水酸基が露出していると、水酸基同士間で水素結合が生じることに起因して、AMP粒子同士の間で凝集が生じる場合がある。このように凝集したAMP粒子が備える殻体に重合開始剤を結合(化学修飾)させ、得られた電気泳動粒子の粒度分布を測定すると、複数のピークを示す場合があった。表示品位に優れた電気泳動表示装置とするためには、このような電気泳動粒子の粒径をある程度均一なものとするために、選別作業などを行う必要があった。
【0012】
また、このような問題は、殻体を備えるAMP粒子に限らず、殻体を有することなく、その表面で水酸基を露出する粒子についても、同様に生じている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0013】
【特許文献1】特開2013−218036号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0014】
本発明の目的の一つは、基材粒子として表面に水酸基を露出するものを用いたとしても、その表面にポリマーを結合させて、目的とする分散性および帯電性が付与された電気泳動粒子を製造することができる電気泳動粒子の製造方法、かかる特性が付与された電気泳動粒子、かかる電気泳動粒子を用いた信頼性の高い、電気泳動分散液、電気泳動シート、電気泳動装置および電子機器を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0015】
このような目的は、下記の本発明により達成される。
本発明の電気泳動粒子の製造方法は、表面に水酸基を露出する粒子と、前記粒子の少なくとも一部を覆う被覆層とを含む電気泳動粒子の製造方法であって、
前記水酸基と反応性を有する官能基とポリマーとを有する化合物を、複数の前記粒子に加えて混合した混合物を得る際に、前記混合物中における前記複数の粒子を除く前記化合物の含有量を75重量%以上として、前記混合物中において、前記粒子の表面に前記化合物を連結させることで被覆層を形成して電気泳動粒子を得ることを特徴とする。
【0016】
このように粒子として表面に水酸基を露出するものを用いたとしても、粒子同士の凝集を解き、その表面に前記化合物を結合させて、目的とする分散性および帯電性が付与された電気泳動粒子を製造することができる。
【0017】
本発明の電気泳動粒子の製造方法では、前記複数の粒子は、前記複数の粒子が分散した水性分散液を乾燥して得られるものであることが好ましい。
【0018】
本発明の電気泳動粒子の製造方法は、このようにして得られた複数の粒子に対して、特に好適に適用される。
【0019】
本発明の電気泳動粒子の製造方法では、前記官能基は、ハロゲン化されたカルボキシル基またはハロゲン化されたスルホン酸基であることが好ましい。
【0020】
これらのハロゲン化された酸性基は、水酸基に対して優れた反応性を有することから、前記化合物を確実に粒子の表面に連結させることができる。
【0021】
本発明の電気泳動粒子の製造方法では、前記化合物は、前記官能基と、該官能基が一端で連結するポリオルガノシロキサンとを有することが好ましい。
【0022】
これにより、電気泳動分散液中に含まれる分散媒としてシリコンオイルを主成分とするものを用いた際に、非イオン性モノマーが分散媒に対して優れた親和性を示すため、非イオン性モノマーが重合することで得られる前記化合物を備える電気泳動粒子を優れた分散性をもって分散媒中に分散させることができる。
【0023】
本発明の電気泳動粒子の製造方法では、前記混合物は、無極性溶媒を含み、前記混合物中における前記複数の粒子を除く前記化合物の含有量が75重量%以上、100重量%未満に設定されることが好ましい。
【0024】
これにより、前記化合物が、官能基において溶媒により分解されるのを抑制することができる。
【0025】
本発明の電気泳動粒子の製造方法では、前記混合物は、前記ポリマーを含み、前記混合物中における前記粒子を除く前記化合物の含有量が75重量%以上、100重量%未満に設定されることが好ましい。
【0026】
これにより、前記化合物が、官能基において溶媒により分解されるのを抑制することができる。
【0027】
本発明の電気泳動粒子は、本発明の電気泳動粒子の製造方法を用いて製造されたことを特徴とする。
この電気泳動粒子は、目的とする分散性および帯電性が付与されたものとなる。
【0028】
本発明の電気泳動分散液は、本発明の電気泳動粒子を含有することを特徴とする。
これにより、優れた分散能および移動能の双方を発揮する電気泳動粒子を備える電気泳動分散液とすることができる。
【0029】
本発明の電気泳動シートは、基板と、
前記基板の上方に配置され、各々が本発明の電気泳動分散液を収納する複数の構造体とを含むことを特徴とする。
これにより、信頼性の高い電気泳動シートが得られる。
【0030】
本発明の電気泳動装置は、本発明の電気泳動シートを備えることを特徴とする。
これにより、信頼性の高い電気泳動装置が得られる。
【0031】
本発明の電子機器は、本発明の電気泳動装置を備えることを特徴とする。
これにより、信頼性の高い電子機器が得られる。
【図面の簡単な説明】
【0032】
図1】本発明の電気泳動粒子の実施形態を示す縦断面図である。
図2図1に示す電気泳動粒子が有する粒子および被覆層の模式図である。
図3】本発明の電気泳動粒子の製造方法を説明するための模式図である。
図4図3(c)の水性分散液中で起こり得る母粒子の分散状態を示す部分拡大図、および、図3(d)の粒子の一形態を示す部分拡大図である。
図5図3(c)の水性分散液中で起こり得る母粒子の別の分散状態を示す部分拡大図、および、図3(d)の粒子の別の形態を示す部分拡大図である。
図6】粒子同士が凝集した凝集体が解かれて、表面に官能基とポリマーとを有する化合物が連結した粒子が混合物中に分散されるメカニズムを説明するための模式図である。
図7】電気泳動表示装置の実施形態の縦断面を模式的に示す図である。
図8図7に示す電気泳動表示装置の作動原理を示す模式図である。
図9】本発明の電子機器を電子ペーパーに適用した場合の実施形態を示す斜視図である。
図10】本発明の電子機器をディスプレイに適用した場合の実施形態を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0033】
以下、本発明の電気泳動粒子の製造方法、電気泳動粒子、電気泳動分散液、電気泳動シート、電気泳動装置および電子機器を添付図面に示す好適実施形態に基づいて詳細に説明する。
【0034】
まず、本発明の電気泳動粒子の製造方法を説明するのに先立って、本発明の電気泳動粒子の製造方法を適用して製造された電気泳動粒子(本発明の電気泳動粒子)について説明する。
【0035】
なお、この本発明の電気泳動粒子の製造方法を適用して製造された電気泳動粒子として、本実施形態では、粒子と、粒子の少なくとも一部を覆う被覆層とを有し、また、粒子は、母粒子と、有機ポリマーで構成され母粒子をセル状に包み込む殻体とを備え、被覆層は、殻体の表面に露出する水酸基と反応性を有する官能基とポリマーとを有する化合物を含むものを一例に説明する。
【0036】
<電気泳動粒子>
図1は、本発明の電気泳動粒子の実施形態を示す縦断面図、図2は、図1に示す電気泳動粒子が有する粒子および被覆層の模式図である。
【0037】
電気泳動粒子1は、表面で水酸基を露出する粒子2と、粒子2の表面に設けられた被覆層3とを有している。
【0038】
粒子2は、本実施形態では、母粒子21と、この母粒子21をセル状(カプセル状)に包み込む殻体22とを有する構成をなしている。
【0039】
母粒子(基材粒子)21は、粒子2を主として構成し、粒子2の芯材(母材)として機能する。
【0040】
この母粒子21は、図2に示すように、その断面形状が真円状をなしている。このように、母粒子21が真球状をなすことで、粒子2の断面形状も、図2に示す通り、真円状をなすものとすることができる。これにより、各電気泳動粒子1が備える電気泳動性能をより均一なものとすることができるため、母粒子21の形状として好ましく選択される。なお、各電気泳動粒子1が備える電気泳動性能を均一なものとし得るのであれば、母粒子21は、その断面形状が長円状や、四角形状、五角形状および六角形状等の多角形状をなしているものであっても良いし、かかる形状を有する粒状体が凝集した凝集体であっても良い。
【0041】
このような母粒子21には、例えば、顔料粒子、染料粒子、樹脂粒子またはこれらの複合粒子のうちの少なくとも1種が好適に用いられる。これらの粒子は、製造が容易である。
【0042】
顔料粒子を構成する顔料としては、例えば、カーボンブラック、アニリンブラック、チタンブラック等の黒色顔料、二酸化チタン、三酸化アンチモン、硫酸バリウム、硫化亜鉛、亜鉛華、二酸化珪素等の白色顔料、モノアゾ、ジスアゾ、ポリアゾ等のアゾ系顔料、イソインドリノン、黄鉛、黄色酸化鉄、カドミウムイエロー、チタンイエロー、アンチモン等の黄色顔料、キナクリドンレッド、クロムバーミリオン等の赤色顔料、フタロシアニンブルー、インダスレンブルー、紺青、群青、コバルトブルー等の青色顔料、フタロシアニングリーン等の緑色顔料等が挙げられ、これらのうち1種または2種以上を組み合わせて用いることができる。
【0043】
また、染料粒子を構成する染料材料としては、例えば、オイルイエロー3G(オリエント化学社製)などのアゾ化合物類、ファーストオレンジG(BASF社製)などのアゾ化合物類、マクロレックスブルーRR(バイエル社製)などのアントラキノン類、スミブラストグリーンG(住友化学社製)などのアントラキノン類、オイルブラウンGR(オリエント化学社製)などのアゾ化合物類、オイルレッド5303(有本化学社製)およびオイルレッド5B(オリエント化学社製)などのアゾ化合物類、オイルバイオレット#730(オリエント化学社製)などのアントラキノン類、スーダンブラックX60(BASF社製)などのアゾ化合物や、アントラキノン系のマクロレックスブルーFR(バイエル社製)とアゾ系のオイルレッドXO(カントー化学社製)との混合物が挙げられ、これらのうち1種または2種以上を組み合わせて用いることができる。
【0044】
さらに、樹脂粒子を構成する樹脂材料としては、例えば、アクリル系樹脂、ウレタン系樹脂、尿素系樹脂、エポキシ系樹脂、ポリスチレン、ポリエステル等が挙げられ、これらのうちの1種または2種以上を組み合わせて用いることができる。
【0045】
また、複合粒子としては、例えば、顔料粒子の表面を樹脂材料で被覆することでコート処理されたもの、樹脂粒子の表面を顔料で被覆することでコート処理されたもの、顔料と樹脂材料とを適当な組成比で混合した混合物で構成される粒子等が挙げられる。
【0046】
なお、母粒子21として用いる顔料粒子、樹脂粒子および複合粒子の種類を適宜選択することにより、電気泳動粒子1の色を所望のものに設定することができる。
【0047】
なお、母粒子21は、後述する電気泳動粒子の製造方法において、殻体22を形成する際に、第1の重合性界面活性剤61が母粒子21に配向し得るように、その表面に電荷を有している必要がある。しかしながら、顔料粒子、樹脂粒子および複合粒子の種類によっては電荷を有していなかったり、その電荷量が不十分な場合があるため、この場合、予め、カップリング剤、界面活性剤等の極性を有する化合物を吸着させる処理を施して、母粒子21の表面に電荷を付与しておくことが好ましい。
【0048】
殻体22は、母粒子21をセル状に包み込むものである。粒子2をかかる構成の殻体22を備えるものとすることで、母粒子(基材粒子)21が備える電荷による電気泳動粒子1に対する影響を的確に抑制することができる。そのため、殻体22に連結するポリマー32の種類および数等を設定することにより電気泳動粒子1に付与された分散性および帯電性等の特性が、粒子2の電荷に依存して変化してしまうのを、的確に抑制または防止することができる。すなわち、電気泳動粒子1は、母粒子21の種類に関係することなく、目的とする分散性および帯電性等の特性を発揮するものとなる。
【0049】
殻体22は、本実施形態では、有機ポリマーで構成され、この有機ポリマーにより、粒子2をセル状に包み込み得るものであれば、特に限定されるものではないが、特に、複数の有機ポリマー同士が架橋することにより形成されたネットワーク構造(連結構造)を形成しているのが好ましい。これにより、殻体22を優れた強度を有するものとすることができるため、粒子2からの殻体22の剥離を確実に抑制することができる。
【0050】
かかる構成の殻体22は、例えば、表面に電荷を有する粒子2が分散された水性分散液90に、粒子2の表面の電荷と反対の極性の第1の極性基611と疎水性基612と重合性基613とを有する第1の重合性界面活性剤61を加えて混合し、次いで、第2の極性基621である水酸基と疎水性基622と重合性基623とを有する第2の重合性界面活性剤62を加えて乳化し、その後、重合開始剤を加えて重合反応を生じさせることにより得ることができるが、この方法については、後述する電気泳動粒子の製造方法において詳述する。
【0051】
粒子2は、その表面の少なくとも一部(図示の構成では、ほぼ全体)が被覆層3により被覆されている。
【0052】
この被覆層3は、本実施形態では、粒子2が備える殻体22の表面に結合した複数のポリマー32を有する構成をなしている。
【0053】
ポリマー32は、官能基Zと、モノマーMが重合した繰り返し体(ポリマー)33とを備える化合物(水酸基と反応性を有する官能基とポリマーとを有する化合物)であり、後述する電気泳動分散液中における電気泳動粒子1の特性を発揮させるためのものである。
【0054】
官能基Zは、殻体22が備える第2の極性基(水酸基)621と反応性を有し、繰り返し体33の一端に連結しているものであるが、その詳細な説明は、後述する電気泳動粒子の製造方法において行うこととする。
【0055】
繰り返し体33は、複数のモノマーMが重合することで形成されたポリマーであり、電気泳動粒子1に付与する特性に基づいて、繰り返し体33に含まれるモノマーMの種類が選択され、モノマーMとしては、具体的には、非イオン性モノマー、陽イオン性モノマーおよび陰イオン性モノマーが挙げられる。
【0056】
モノマーMとして、非イオン性モノマーを含むものを用いて、繰り返し体33(ポリマー32)を形成することで、後述する電気泳動分散液に含まれる分散媒に対して、ポリマー32は、優れた親和性を示すこととなる。そのため、電気泳動分散液中において、かかるポリマー32を備える電気泳動粒子1を凝集させることなく分散させることができる。すなわち、電気泳動粒子1に分散性の特性を付与することができる。
【0057】
このような非イオン性モノマーとしては、例えば、エチレン、1−ヘキセン、1−ヘプテン、1−オクテン、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、プロピル(メタ)アクリレート、ステアリル(メタ)アクリレート、ラウリル(メタ)アクリレート、デシル(メタ)アクリレート、イソオクチル(メタ)アクリレート、イソボニル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、ペンタフルオロ(メタ)アクリレート等のアクリル系モノマー、スチレン、2−メチルスチレン、3−メチルスチレン、4−メチルスチレン、2−エチルスチレン、3−エチルスチレン、4−エチルスチレン、2−プロピルスチレン、3−プロピルスチレン、4−プロピルスチレン、2−イソプロピルスチレン、3−イソプロピルスチレン、4−イソプロピルスチレン、4−tert−ブチルスチレン等のスチレン系モノマー、下記一般式(I)で示されるシロキサン構造を形成し得るオルガノシロキサンモノマーが挙げられる。
【0058】
【化1】
[式中、各Rは、それぞれ独立して、置換または無置換の炭化水素基を表す。]
【0059】
これらの中でも、非イオン性モノマーとしては、上記一般式(I)で示されるシロキサン構造を形成し得るオルガノシロキサンモノマーを含むことが好ましい。すなわち、ポリマー32は、官能基Zと、この官能基Zが一端に連結するポリオルガノシロキサンとを有するものであることが好ましい。このような非イオン性モノマーとすることで、後述する電気泳動分散液中に含まれる分散媒としてシリコンオイルを主成分とするものを用いた際に、非イオン性モノマーが分散媒に対して優れた親和性を示すため、非イオン性モノマーが重合することで得られるポリマー32を備える電気泳動粒子1を優れた分散性をもって分散媒中に分散させることができる。
【0060】
また、モノマーとして、陽イオン性モノマーを含むものを用いて、リビングラジカル重合によりポリマー32を形成することで、後述する電気泳動分散液において、ポリマー32は、正(プラス)に帯電することとなる。そのため、電気泳動分散液中において、かかるポリマー32を備える電気泳動粒子1は、正帯電性の電気泳動粒子(正電気泳動粒子)となる。すなわち、電気泳動粒子1に正帯電性の特性を付与することができる。
【0061】
このような陽イオン性モノマーとしては、例えば、その構造中にアミノ基を備えるものが挙げられ、具体的には、ベンジル(メタ)アクリレート、2−(ジエチルアミノ)エチル(メタ)アクリレート、2−(トリメチルアンモニウムクロリド)エチル(メタ)アクリレート、1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジル(メタ)アクリレート、2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル(メタ)アクリレート、1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロイソプロピル(メタ)アクリレート、アミノメチル(メタ)アクリレート、アミノエチル(メタ)アクリレート、N,N−ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、N−エチル−N−フェニルアミノエチル(メタ)アクリレート、N,N−ジメチル(メタ)アクリルアミド、N,N−ジエチル(メタ)アクリルアミド、4−ビニルピリジン、メタクロリルコリンクロリド等が挙げられる。
【0062】
また、モノマーとして、陰イオン性モノマーを含むものを用いて、リビングラジカル重合によりポリマー32を形成することで、後述する電気泳動分散液において、ポリマー32は、負(マイナス)に帯電することとなる。そのため、電気泳動分散液中において、かかるポリマー32を備える電気泳動粒子1は、負帯電性の電気泳動粒子(負電気泳動粒子)となる。すなわち、電気泳動粒子1に負帯電性の特性を付与することができる。
【0063】
このような陰イオン性モノマーとしては、例えば、その構造中にカルボキシル基またはスルホニル基を備えるものが挙げられ、具体的には、(メタ)アクリル酸、カルボキシメチル(メタ)アクリレート、カルボキシエチル(メタ)アクリレート、ビニル安息香酸、ビニルフェニル酢酸、ビニルフェニルプロピオン酸、ビニルスルホン酸、スルホメチル(メタ)アクリレート、2−スルホエチル(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、2−メトキシエチル(メタ)アクリレート、1,2−エタンジオール、1,2−ブタンジオール、1,4−ブタンジオール等のジオール系モノマー、等が挙げられる。
【0064】
以上のように、各種モノマーが重合することによりポリマー32が形成されることから、これらモノマーに由来する構成単位の数を設定することにより、ポリマー32に、各種モノマーに由来する特性の程度を所望のものに設定することができる。
【0065】
なお、ポリマー32は、モノマーをM、官能基Zが水酸基と反応することで形成された連結基をZ’で表すと、図2のような模式図で表すことができる。
【0066】
このような電気泳動粒子1は、本発明の電気泳動粒子の製造方法を適用して、次のようにして製造される。
【0067】
<電気泳動粒子の製造方法>
以下、電気泳動粒子1の製造方法について説明する。
【0068】
なお、以下に説明する電気泳動粒子1の製造方法は、まず、母粒子21が殻体22によりカプセル状に包み込まれた粒子(AMP粒子)2を得た後、この粒子2の表面に複数のポリマー32を生成(連結)させることで被覆層3を形成して電気泳動粒子1を得る方法である。
【0069】
図3は、本発明の電気泳動粒子の製造方法を説明するための模式図、図4(a)は、図3(c)の水性分散液中で起こり得る母粒子の分散状態を示す部分拡大図、図4(b)は、図3(d)の粒子の一形態を示す部分拡大図である。また、図5(a)は、図3(c)の水性分散液中で起こり得る母粒子の別の分散状態を示す部分拡大図、図5(b)は、図3(d)の粒子の別の形態を示す部分拡大図である。さらに、図6は、粒子同士が凝集した凝集体が解かれて、表面に官能基とポリマーとを有する化合物が連結した粒子が混合物中に分散されるメカニズムを説明するための模式図である。
【0070】
電気泳動粒子1の製造方法は、本実施形態では、[1]表面に電荷を有する母粒子21を水性分散液90に分散させる工程と、[2]水性分散液90に、母粒子21の電荷64と反対の極性の第1の極性基611と疎水性基612と重合性基613とを有する第1の重合性界面活性剤61を加えて混合する工程と、[3]水性分散液90に、第2の極性基(水酸基)621と疎水性基622と重合性基623とを有する第2の重合性界面活性剤62を加えて乳化する工程と、[4]水性分散液90に、重合開始剤80を加えて重合反応を生じさせることにより、有機ポリマーで構成される殻体22により母粒子21をカプセル状に包み込んでなる粒子2を得る工程と、[5]粒子2を含有する水性分散液90を乾燥することで、粒子2の乾燥物(凝集体)86を得る工程と、[6]第2の極性基(水酸基)621と反応性を有する官能基Zを備えるポリマー(官能基Zと繰り返し体33(ポリマー)とを有する化合物物)32を粒子2の乾燥物に加えて混合した混合物85において、乾燥物86(粒子2)を除くポリマー32の含有量を75重量%以上として、ポリマー32を粒子2の表面に連結させることで電気泳動粒子1を得る工程と、[7]混合物85から電気泳動粒子1を回収する工程と、[8]電気泳動粒子1を乾燥する工程とを有している。
【0071】
前記工程[6]のように、ポリマー32を、粒子2の表面に連結させる際に、粒子2の乾燥物とポリマー32との混合物85における乾燥物86(粒子2)を除く、ポリマー32の含有量を75重量%以上とすることで、粒子2として表面に第2の極性基(水酸基)621を露出するものを用いたとしても、粒度分布においてピーク数の少ない、好適には単一のピークのみを有する電気泳動粒子1を製造することができる。なお、混合物85における、乾燥物86(粒子2)を除くポリマー32の含有量は、反応を開始する際に75重量%以上であればよく、反応が進行するにつれてポリマー32が消費され、75重量%を下回るようになってもよい。
【0072】
以下、前述の各工程について、順次、説明する。
[1]まず、表面に電荷64を有する母粒子21を水性分散液90に分散させる。
【0073】
水性分散液90には、例えば、蒸留水、イオン交換水、純水、超純水、RO水等の各種水を単独、または、水を主成分とし、メタノール、エタノール等の各種低級アルコールを混合した水性分散液90が好適に用いられる。
【0074】
[2]次に、図3(a)に示すように、水性分散液90に、母粒子21の電荷64と反対の極性の第1の極性基611と疎水性基612と重合性基613とを有する第1の重合性界面活性剤61を加えて混合する。
【0075】
このとき、第1の重合性界面活性剤61の添加量は、母粒子21の使用量から換算される電荷64を有する極性基の総モル数(=使用した母粒子21の重量[g]×母粒子21の電荷64を有する極性基の量[mol/g])の0.5〜2倍モルの範囲が好ましく、より好ましくは、0.8〜1.2倍モルの範囲である。0.5倍モル以上の添加量とすることによって、電荷64を有する母粒子21にイオン的に強く結合し、容易にカプセル化が可能となる。一方、2倍モル以下の添加量とすることで、母粒子21に未吸着の第1の重合性界面活性剤61の発生を少なくすることができ、母粒子21を芯物質として持たないポリマー粒子(ポリマーのみからなる粒子)の発生を防止することができる。
【0076】
また、必要に応じて、水性分散液90に超音波を所定時間照射してもよい。これにより、母粒子21の周囲に存在する第1の重合性界面活性剤61の配置形態が極めて高度に制御される。
【0077】
具体的には、母粒子21が負の電荷64を有する場合は、第1の重合性界面活性剤61として、カチオン性の重合性界面活性剤を用いることができる。これに対して、母粒子21が正の電荷64を有する場合は、第1の重合性界面活性剤61として、アニオン性の重合性界面活性剤を用いることができる。
【0078】
カチオン性の重合性界面活性剤が有するカチオン性基としては、例えば、第一級アミンカチオン基、第二級アミンカチオン基、第三級アミンカチオン基、第四級アンモニウムカチオン基、第四級ホスホニウムカチオン基、スルホニウムカチオン基、ピリジニウムカチオン基等が挙げられる。
【0079】
これらの中でも、カチオン性基としては、第一級アミンカチオン基、第二級アミンカチオン基、第三級アミンカチオン基および第四級アンモニウムカチオン基からなる群より選択される1種であるのが好ましい。
【0080】
カチオン性の重合性界面活性剤が有する疎水性基としては、アルキル基およびアリール基のうちの少なくとも一方を含むのが好ましい。
【0081】
カチオン性の重合性界面活性剤が有する重合性基としては、ラジカル重合可能な不飽和炭化水素基が好ましい。
【0082】
また、ラジカル重合可能な不飽和炭化水素基の中でも、ビニル基、アリル基、アクリロイル基、メタクリロイル基、プロペニル基、ビニリデン基、ビニレン基からなる群より選択される1種であることが好ましい。さらに、この中でも特に、アクリロイル基、メタクリロイル基がより好ましい例として例示できる。
【0083】
カチオン性の重合性界面活性剤の例としては、特公平4−65824号公報に記載されているようなカチオン性のアリル酸誘導体などを挙げることができる。カチオン性の重合性界面活性剤の具体例としては、メタクリル酸ジメチルアミノエチルメチルクロライド、メタクリル酸ジメチルアミノエチルベンジルクロライド、メタクリロイルオキシエチルトリメチルアンモニウムクロライド、ジアリルジメチルアンモニウムクロライド、2−ヒドロキシ−3−メタクリロキシプロピルトリメチルアンモニウムクロライド等を挙げることができる。
【0084】
また、カチオン性の重合性界面活性剤としては、市販品を用いることもできる。例えば、アクリエステルDMC(三菱レイヨン(株))、アクリエステルDML60(三菱レイヨン(株))、C−1615(第一工業製薬(株))などを挙げることができる。
【0085】
以上に例示したカチオン性の重合性界面活性剤は、単独で、または2種以上の混合物として使用することができる。
【0086】
一方、アニオン性の重合性界面活性剤が有するアニオン性基としては、例えば、スルホン酸アニオン基(−SO)、スルフィン酸アニオン基(−RSO:Rは炭素数1〜12のアルキル基またはフェニル基およびその変性体)、カルボン酸アニオン基(−COO)、リン酸アニオン基(−PO)、アルコキシドアニオン基(−O)等が挙げられるが、これらからなる群より選択される1種であるのが好ましい。
【0087】
アニオン性の重合性界面活性剤が有する疎水性基としては、前述のカチオン性の重合性界面活性剤が有する疎水性基と同様の疎水性基を用いることができる。
【0088】
アニオン性の重合性界面活性剤が有する重合性基としては、前述のカチオン性の重合性界面活性剤が有する重合性基と同様の重合性基を用いることができる。
【0089】
アニオン性の重合性界面活性剤の例としては、特公昭49−46291号公報、特公平1−24142号公報、または特開昭62−104802号公報に記載されているようなアニオン性のアリル誘導体、特開昭62−221431号公報に記載されているようなアニオン性のプロペニル誘導体、特開昭62−34947号公報または特開昭55−11525号公報に記載されているようなアニオン性のアクリル酸誘導体、特公昭46−34898号公報または特開昭51−30284号公報に記載されているようなアニオン性のイタコン酸誘導体などを挙げることができる。
このようなアニオン性の重合性界面活性剤の具体的な例としては、一般式(31):
【0090】
【化2】
[式中、R21およびR31は、それぞれ独立して、水素原子または炭素数1〜12の炭化水素基であり、Zは、炭素−炭素単結合または式−CH−O−CH−で表される基であり、mは2〜20の整数であり、Xは式−SOで表される基であり、Mはアルカリ金属、アンモニウム塩、またはアルカノールアミンである]
で表される化合物、または式(32):
【0091】
【化3】
[式中、R22およびR32は、それぞれ独立して、水素原子または炭素数1〜12の炭化水素基であり、Dは、炭素−炭素単結合または式−CH−O−CH−で表される基であり、nは2〜20の整数であり、Yは式−SOで表される基であり、Mはアルカリ金属、アンモニウム塩、またはアルカノールアミンである]
で表される化合物が好ましい。
【0092】
前記式(31)で表される重合性界面活性剤は、特開平5−320276号公報、または特開平10−316909号公報に記載されている。式(31)におけるR21の種類とXの値を適宜調整することによって、母粒子21が有する電荷64の電荷量の度合いに対応させることが可能である。式(31)で表される好ましい重合性界面活性剤としては、下記の式(310)で表される化合物を挙げることができ、具体的には、下記の式(31a)〜(31d)で表される化合物を挙げることができる。
【0093】
【化4】
[式中、R31,m,Mは式(31)で表される化合物と同様]
【0094】
【化5】
【0095】
【化6】
【0096】
【化7】
【0097】
【化8】
【0098】
旭電化工業株式会社のアデカリアソープSE−10Nは、式(310)で表される化合物において、MがNH、R31がC19、m=10とされた化合物である。旭電化工業株式会社のアデカリアソープSE−20Nは、式(310)で表される化合物において、MがNH、R31がC19、m=20とされた化合物である。
【0099】
また、アニオン性の重合性界面活性剤が有するアニオン性基としては、例えば、一般式(33):
【0100】
【化9】
[式中、pは9または11であり、qは2〜20の整数であり、Aは−SOで表わされる基であり、Mはアルカリ金属、アンモニウム塩またはアルカノールアミンである]
で表される化合物が好ましい。式(33)で表される好ましいアニオン性の重合性界面活性剤としては、以下の化合物を挙げることができる。
【0101】
【化10】
[式中、rは9または11、sは5または10である]
【0102】
前記のアニオン性の重合性界面活性剤としては、市販品を用いることもできる。例えば、第一工業製薬株式会社のアクアロンKHシリーズ(アクアロンKH−5、アクアロンKH−10)などを挙げることができる。アクアロンKH−5は、上記式で示される化合物において、rが9、sが5とされた化合物と、rが11、sが5とされた化合物との混合物である。アクアロンKH−10は、上記式で示される化合物において、rが9、sが10とされた化合物と、rが11、sが10とされた化合物との混合物である。
【0103】
また、アニオン性の重合性界面活性剤としては、下記の式(34)で表される化合物が好ましい。
【0104】
【化11】
[式中、Rは炭素数8〜15のアルキル基であり、nは2〜20の整数であり、Xは−SOBで表わされる基であり、Bはアルカリ金属、アンモニウム塩またはアルカノールアミンである。]
【0105】
上記アニオン性の重合性界面活性剤としては、市販品を用いることもできる。市販品としては、例えば、旭電化工業株式会社製のアデカリアソープSRシリーズ(アデカリアソープSR−10、SR−20、R−1025)(以上、商品名)などを挙げることができる。アデカリアソープSRシリーズは、上記一般式(34)において、BがNHで表される化合物であって、SR−10はn=10、SR−20はn=20である化合物である。
【0106】
また、アニオン性の重合性界面活性剤としては、下記の式(A)で表される化合物も好ましい。
【0107】
【化12】
[上記式中、Rは水素原子または炭素数1〜12の炭化水素基を表し、Iは2〜20の数を表し、Mはアルカリ金属、アンモニウム塩、またはアルカノールアミンを表す。]
【0108】
上記アニオン性の重合性界面活性剤としては市販品を用いることもできる。市販品としては、例えば、第一工業製薬株式会社製のアクアロンHSシリーズ(アクアロンHS−10、HS−20、及びHS−1025)(以上、商品名)が挙げられる。
【0109】
また、本発明において用いるアニオン性の重合性界面活性剤としては、例えば、一般式(35)で表されるアルキルアリルスルホコハク酸エナトリウム塩を挙げることができる。
【0110】
【化13】
【0111】
上記アニオン性の重合性界面活性剤としては市販品を用いることもできる。市販品としては、例えば、三洋化成工業株式会社のエレミノール JS−2を挙げることができ、上記一般式(35)において、m=12で表される化合物である。
【0112】
また、本発明において用いるアニオン性の重合性界面活性剤としては、例えば、一般式(36)で表されるメタクリロイルオキシポリオキシアルキレン硫酸エステルナトリウム塩を挙げることができる。下記式で、nは1〜20である。
【0113】
【化14】
【0114】
上記アニオン性の重合性界面活性剤としては市販品を用いることもできる。市販品としては、例えば、三洋化成工業株式会社のエレミノール RS−30を挙げることができ、上記一般式(36)において、n=9で表される化合物である。
【0115】
また、本発明において用いるアニオン性の重合性界面活性剤としては、例えば、一般式(37)で表される化合物を用いることができる。
【0116】
【化15】
【0117】
上記アニオン性の重合性界面活性剤としては市販品を用いることもでき、日本乳化剤株式会社のAntox MS−60がこれに当たる。
【0118】
以上に例示したアニオン性の重合性界面活性剤は、単独で、または2種以上の混合物として使用することができる。
【0119】
さらに、殻体22を構成する有機ポリマーは、疎水性モノマーから誘導された繰り返し構造単位を有するのが好ましい。
【0120】
この疎水性モノマーは、その分子構造中に、少なくとも疎水性基と重合性基とを有するものである。このような疎水性モノマーを含有することにより、殻体22の疎水性および重合性の向上を図ることができる。その結果、殻体22の機械的強度および耐久性の向上を図ることができる。
【0121】
このうち、疎水性基としては、脂肪族炭化水素基、脂環式炭化水素基および芳香族炭化水素基のうちの少なくとも1種を含むものを例示できる。
【0122】
脂肪族炭化水素基としてはメチル基、エチル基、プロピル基等を、脂環式炭化水素基としてはシクロヘキシル基、ジシクロペンテニル基、ジシクロペンタニル基、イソボルニル基等を、芳香族炭化水素基としてはベンジル基、フェニル基、ナフチル基等を挙げることができる。
【0123】
また、重合性基としては、ラジカル重合が可能な不飽和炭化水素基であって、ビニル基、アリル基、アクリロイル基、メタクリロイル基、プロペニル基、ビニリデン基およびビニレン基からなる群より選択される1種であるのが好ましい。
【0124】
疎水性モノマーの具体例としては、スチレンおよびメチルスチレン、ジメチルスチレン、クロルスチレン、ジクロルスチレン、ブロムスチレン、p−クロルメチルスチレン、ジビニルベンゼン等のスチレン誘導体;アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸n−ブチル、ブトキシエチルアクリレート、アクリル酸ベンジル、アクリル酸フェニル、フェノキシエチルアクリレート、アクリル酸シクロヘキシル、ジシクロペンタニルアクリレート、ジシクロペンテニルアクリレート、ジシクロペンテニルオキシエチルアクリレート、アクリル酸テトラヒドロフルフリル、イソボルニルアクリレート等の単官能アクリル酸エステル類;メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸n−ブチル、2−エチルヘキシルメタクリレート、ブトキシメチルメタクリレート、メタクリル酸ベンジル、メタクリル酸フェニル、フェノキシエチルメタクリレート、メタクリル酸シクロヘキシル、ジシクロペンタニルメタクリレート、ジシクロペンテニルメタクリレート、ジシクロペンテニルオキシエチルメタクリレート、メタクリル酸テトラヒドロフルフリル、イソボルニルメタクリレート等の単官能メタクリル酸エステル類;アリルベンゼン、アリル−3−シクロヘキサンプロピオネート、1−アリル−3,4−ジメトキシベンゼン、アリルフェノキシアセテート、アリルフェニルアセテート、アリルシクロヘキサン、多価カルボン酸アリル等のアリル化合物;フマル酸、マレイン酸、イタコン酸のエステル頬;N−置換マレイミド、環状オレフィンなどのラジカル重合性基を有するモノマーが挙げられる。疎水性モノマーは、上記の要求特性を満足させるものが適宜、選択され、その添加量は任意に決定される。
【0125】
さらに、殻体22を構成する有機ポリマーは、架橋性モノマーから誘導された繰り返し構造単位および/または下記一般式(B)で表されるモノマーから誘導された繰り返し構造単位を有するのが好ましい。
【0126】
【化16】
[ただし、Rは水素原子またはメチル基を表す。Rはt−ブチル基、脂環式炭化水素基、芳香族炭化水素基、またはヘテロ環基を表す。mは0〜3、nは0または1の整数を表す。]
【0127】
殻体22を構成する有機ポリマーが架橋性モノマーから誘導された繰り返し構造単位を有することにより、ポリマー中により緻密な架橋構造が形成されるため、殻体22ひいては電気泳動粒子1の機械的強度を向上させることができる。
【0128】
有機ポリマーが一般式(B)で表されるモノマーから誘導された繰り返し構造単位を有することにより、“嵩高い”基である前記R基によって、殻体22の分子のたわみやすさが減り、すなわち、分子の運動性が拘束されるため、殻体22の機械的強度が向上する。また、“嵩高い”基である前記R基が殻体22中に存在することによって、殻体22が耐溶剤性に優れたものとなる。一般式(B)において、Rが示す脂環式炭化水素基としては、例えば、シクロアルキル基、シクロアルケニル基、イソボルニル基、ジシクロペンタニル基、ジシクロペンテニル基、アダマンタン基、テトラヒドロフラン基等が挙げられる。
【0129】
架橋性モノマーの具体例としては、ビニル基、アリル基、アクリロイル基、メタクリロイル基、プロペニル基、ビニリデン基、ビニレン基から選ばれる1種以上の不飽和炭化水素基を2個以上有する化合物を有するもので、例えば、エチレングリコールジアクリレート、ジエチレングリコールジアクリレート、トリエチレングリコールジアクリレート、テトラエチレングリコールジアクリレート、ポリエチレングリコールジアクリレート、アリルアクリレート、ビス(アクリロキシエチル)ヒドロキシエチルイソシアヌレート、ビス(アクリロキシネオペンチルグリコール)アジペート、1,3−ブチレングリコールジアクリレート、1,6−ヘキサンジオールジアクリレート、ネオペンチルグリコールジアクリレート、プロピレングリコールジアクリレート、ポリプロピレングリコールジアクリレート、2−ヒドロキシ−1,3−ジアクリロキシプロパン、2,2−ビス〔4−(アクリロキシ)フェニル〕プロパン、2,2−ビス〔4−(アクリロキシエトキシ)フェニル〕プロパン、2,2−ビス〔4−(アクリロキシエトキシ・ジエトキシ)フェニル〕プロパン、2,2−ビス〔4−(アクリロキシエトキシ・ポリエトキシ)フェニル〕プロパン、ヒドロキシビバリン酸ネオペンチルグリコールジアクリレート、1,4−ブタンジオールジアクリレート、ジシクロペンタニルジアクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート、ジペンタエリスリトールモノヒドロキシペンタアクリレート、ジトリメチロールプロパンテトラアクリレート、ペンタエリスリトールトリアクリレート、テトラブロモビスフェノールAジアクリレート、トリグリセロールジアクリレート、トリメチロールプロパントリアクリレート、トリス(アクリロキシエチル)イソシアヌレート、エチレングリコールジメタクリレート、ジエチレングリコールジメタクリレート、トリエチレングリコールジメタクリレート、テトラエチレングリコールジメタクリレート、ポリエチレングリコールジメタクリレート、プロピレングリコールジメタクリレート、ポリプロピレングリコールジメタクリレート、1,3−ブチレングリコールジメタクリレート、1,4−ブタンジオールジメタクリレート、1,6−ヘキサンジオールジメタクリレート、ネオペンチルグリコールジメタクリレート、2−ヒドロキシ−1,3−ジメタクリロキシプロパン、2,2−ビス〔4一(メタクリロキシ)フェニル〕プロパン、2,2−ビス〔4−(メタクリロキシエトキシ)フェニル〕プロパン、2,2−ビス〔4−(メタクリロキシエトキシジエトキシ)フェニル〕プロパン、2,2−ビス〔4−(メタクリロキシエトキシポリエトキシ)フェニル〕プロパン、テトラブロモビスフェノールAジメタクリレート、ジシクロペンタニルジメタクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサメタクリレート、グリセロールジメタクリレート、ヒドロキシビバリン酸ネオペンチルグリコールジメタクリレート、ジペンタエリスリトールモノヒドロキシペンタメタクリレート、ジトリメチロールプロパンテトラメタクリレート、ペンタエリスリトールトリメタクリレート、ペンタエリスリトールテトラメタクリレート、トリグリセロールジメタクリレート、トリメチロールプロパントリメタクリレート、トリス(メタクリロキシエチル)イソシアヌレート、アリルメタクリレート、ジビニルベンゼン、ジアリルフタレート、ジアリルテレフタレート、ジアリルイソフタレート、ジエチレングリコールビスアリルカーボネート等が挙げられる。
【0130】
上記一般式(B)で表されるモノマーの具体例としては、例えば、以下のものが挙げられる。
【0131】
【化17】
【0132】
【化18】
【0133】
[3]次に、図3(b)に示すように、水性分散液90に、第2の極性基621としての水酸基と疎水性基622と重合性基623とを有する第2の重合性界面活性剤62を加えて、図3(c)に示すように乳化させる。
【0134】
なお、(A)第2の重合性界面活性剤62における第2の極性基(水酸基)621の数、(B)第2の重合性界面活性剤62の添加量から選択される条件の中で、少なくとも1つの条件を、本工程において設定することにより、殻体22の表面における帯電量を制御することができる。
【0135】
また、第2の重合性界面活性剤62の添加量は、前記工程[2]で添加した第1の重合性界面活性剤61の1〜10倍モル程度の範囲が好ましく、より好ましくは1〜5倍モル程度の範囲である。1倍モル以上の添加量とすることにより、殻体22の帯電量の制御をより精度よく行うことができる。一方、10倍モル以下の添加量とすることにより、殻体22の形成に寄与しない親水性モノマーの発生を抑制し、そして粒子2以外に芯物質が存在しないポリマー粒子が発生することを防止できる。
【0136】
さらに、必要に応じて、水性分散液90に超音波を所定時間照射してもよい。これにより、粒子2の周囲に存在する第2の重合性界面活性剤62の配置形態が極めて高度に制御される。
【0137】
第2の重合性界面活性剤62としては、前述の第1の重合性界面活性剤で挙げたもののうち、後工程[5]において、重合開始基を有する重合開始剤と反応し得るように、第2の極性基(水酸基)621を有する重合性界面活性剤、すなわち、アニオン性基としてアルコキシドアニオン基(−O)を有するアニオン性の重合性界面活性剤が用いられる。
【0138】
[4]次に、図3(c)に示すように、水性分散液90に、重合開始剤80を加えて重合反応を生じさせる。これにより、有機ポリマーで構成される殻体22により母粒子21をカプセル状に包み込んでなる粒子(カプセル化母粒子)2を得る。
【0139】
このとき、必要に応じて、水性分散液90の温度を所定の温度(重合開始剤80が活性化する温度)まで昇温する。これにより、重合開始剤80を確実に活性化させて、水性分散液90中での重合反応を好適に進行させることができる。
【0140】
重合開始剤80としては、水溶性の重合開始剤が好ましく、過硫酸カリウム、過硫酸アンモニウム、過硫酸ナトリウム、2,2−アゾビス−(2−メチルプロピオンアミジン)二塩酸塩、または4,4−アゾビス−(4−シアノ吉草酸)などが挙げられ、これらのうちの1種または2種以上を組み合わせて用いることができる。
【0141】
ここで、上記で説明した水性分散液90中での重合である乳化重合法によれば、第1の重合性界面活性剤61および各モノマーは次のような挙動を示すと推測される。なお、以下では、前記工程[2]において、さらに疎水性モノマーを添加した場合について説明する。
【0142】
まず、粒子2が有する電荷64に第1の重合性界面活性剤61を吸着させて超音波を照射し、次いで疎水性モノマーを加え、さらに第2の重合性界面活性剤62を加えて超音波を照射して処理することで、粒子2の周囲に存在する第1の重合性界面活性剤61やモノマーの配置形態が極めて高度に制御され、最内殻では粒子2に向かって第1の極性基611が配向し、かつ最外殻では水性分散液90に向かって第2の極性基621が配向した状態が形成される。そして、乳化重合によって、この高度に制御された形態のまま、モノマーが有機ポリマーに転化されて殻体22が形成されることにより、殻体22により母粒子21をカプセル状に包み込んでなる粒子2が形成される。
【0143】
上記の方法によれば、副生成物である水溶性のオリゴマーやポリマーの生成を減少させることができる。これによって、得られた粒子2が分散した水性分散液90の粘度を低下させることができ、限外濾過等の精製工程をより容易とすることができる。
【0144】
上記のような重合反応は、超音波発生器、攪拌機、還流冷却器、滴下漏斗および温度調節器を備えた反応容器内で行うのが好ましい。
【0145】
重合反応は、反応系(水性分散液90)内に添加された重合開始剤80の開裂温度まで温度を上げることで重合開始剤80を開裂させ、開始剤ラジカルを発生させる。この開始剤ラジカルが各重合性界面活性剤61、62の不飽和基やモノマーの不飽和基を攻撃することにより、重合反応が開始される。
【0146】
重合開始剤80の反応系内への添加は、例えば、水溶性の重合開始剤80を純水に溶解した水溶液を反応容器内に滴下することで容易に実施できる。このとき、重合開始剤80が活性化される温度に加熱した水性分散液90に重合開始剤80を含有した水溶液を一度にまたは分割して添加しても、または連続的に添加してもよい。
【0147】
また、重合開始剤80を添加した後に、重合開始剤80が活性化される温度に水性分散液90を加熱してもよい。
【0148】
なお、前述したように重合開始剤80として水溶性の重合開始剤を用い、これを純水に溶解して得られる水溶液を反応容器内の水性分散液90中に滴下して加えることが好ましい。これにより、添加した重合開始剤80が開裂して開始剤ラジカルが発生し、これが各重合性界面活性剤61、62の重合性基や重合性モノマーの重合性基を攻撃することによって重合反応が起こる。重合温度および重合反応時間は、用いる重合開始剤80の種類および重合性モノマーの種類によって変わるが、当業者であれば適宜好ましい重合条件を設定することは容易にできる。
【0149】
反応系内の重合開始剤80の活性化は、前述したように、水性分散液90を所定の重合温度まで昇温することにより好適に実施できる。重合温度は、60〜90℃の範囲とするのが好ましい。また、重合時間は3〜10時間とするのが好ましい。
【0150】
以上のようにして得られる粒子2は、母粒子21が殻体22で包み込まれたものとなる。
【0151】
ここで、こうして得られた粒子2の製造過程において、各重合性界面活性剤および各モノマーが示す挙動の一例を、図4に基づいて、さらに詳細に説明する。
【0152】
第1の重合性界面活性剤61を水性分散液90に加えると、母粒子21が有する電荷64と第1の重合性界面活性剤61の第1の極性基611とがイオン的に結合する。互いに反対の極性が結び付くことにより両者の極性は相殺されることになる。
【0153】
また、この第1の重合性界面活性剤61の第1の疎水性基612と、第2の重合性界面活性剤62の疎水性基622とが向き合い、第2の重合性界面活性剤62の第2の極性基(水酸基)621が水性分散液90側に向いて配向して図4(a)に示すようなミセル様構造を形成する。
【0154】
この状態で重合反応を行うと、母粒子21表面に前記の構造を維持した図4(b)に示すような有機ポリマーで構成される殻体22が第2の極性基(水酸基)621をその表面で露出した状態で形成される。すなわち、重合反応前での母粒子21の周囲に存在する各重合性界面活性剤61、62の配置形態が極めて高度に制御される。そして、乳化重合反応によって、この高度に制御された形態のまま、各重合性界面活性剤61、62および各モノマーが有機ポリマーに転化される。したがって、かかる方法で製造された粒子2は、第2の極性基(水酸基)621をその表面で露出して、その構造が極めて高精度に制御されたものとなる。
【0155】
また、各重合性界面活性剤および各モノマーが示す別の挙動の一例を、図5に基づいて説明する。
【0156】
第1の重合性界面活性剤61は、図5(a)に示すように、その第1の極性基611が、負の電荷64を有する母粒子21へ向かって配向し、イオン性の強い結合で吸着する。そして、この第1の重合性界面活性剤61の疎水性基612と重合性基613とに対しては、疎水性相互作用によって、第2の重合性界面活性剤62の疎水性基622と重合性基623とが向き合い、第2の極性基621は水性分散液90の存在する方向、すなわち母粒子21から離れる方向に向いている。
【0157】
また、母粒子21の表面は、特定密度で化学結合された負の電荷64を有するとともに、負の電荷64同士の間に疎水領域70を有しており、この疎水領域70には、別の第1の重合性界面活性剤61”の疎水性基612”と重合性基613”とが向いている。そして、この別の第1の重合性界面活性剤61”の第1の極性基611”には、第1の極性基611が向き合うように第1の重合性界面活性剤61が配置される。この第1の重合性界面活性剤61の各疎水性基612および各重合性基613には、疎水性相互作用によって、第2の重合性界面活性剤62の疎水性基622と重合性基623とが向き合い、第2の極性基(水酸基)621は水性分散液90の存在する方向、すなわち粒子2から離れる方向に向いている。
【0158】
このような分散状態の水性分散液90に、例えば重合開始剤80を添加すると、第1の重合性界面活性剤61、61”および第2の重合性界面活性剤62の各重合性基613、613”、623を重合させることによって、図5(b)に示すように、母粒子21が殻体22’で包み込まれた粒子2が作製される。
【0159】
このような各重合性界面活性剤61、62は、重合系内に、母粒子21が有する電荷64と第1の重合性界面活性剤61の第1の極性基611とがイオン的に結合してから最外殻に第2の重合性界面活性剤62の第2の極性基621が水性分散液90側に向いて配向したミセル様の構造を形成し、重合反応によって有機ポリマーが生成することで殻体22を形成することから、乳化重合前における母粒子21の周囲に存在するモノマーの配置形態が重合後の母粒子21付近の分極状態に影響を与え、よって極めて高精度で制御することができると言える。
【0160】
その結果、得られる粒子2は、その外側に第2の極性基(水酸基)621を配し、水酸基に依存する帯電極性を有するものとなる。さらに、第2の重合性界面活性剤62における第2の極性基621の数、第2の重合性界面活性剤62の分子量および第2の重合性界面活性剤62の添加量に依存する帯電量である電荷を、粒子2は有することとなる。
【0161】
なお、上記重合反応においては、上記各重合性界面活性剤、疎水性モノマー、架橋性モノマーおよびその他の公知の重合性モノマーは、それぞれ1種または2種以上を用いることができる。
【0162】
また、上記乳化重合反応は、イオン性の重合性界面活性剤を用いて行っているため、原料モノマーを含む混合液の乳化状態は乳化剤を用いなくても良好な場合が多い。したがって、必ずしも乳化剤を用いる必要はないが、必要に応じて公知のアニオン系、ノニオン系、およびカチオン系乳化剤からなる群から選ばれる少なくとも1種を用いることもできる。
【0163】
[5]次に、図3(d)に示すように、粒子2を含有する水性分散液90を乾燥することで、粒子2の乾燥物86を得る。
【0164】
このとき、殻体22の表面から水酸基(−OH基)が露出しているため、隣接する粒子2が備える殻体22が有する水酸基同士間で水素結合が生じることに起因して、乾燥物86中に複数の粒子2同士が凝集した凝集体が形成される。
【0165】
水性分散液90の乾燥は、例えば、凍結乾燥、通気乾燥、表面乾燥、流動乾燥、気流乾燥、噴霧乾燥、真空乾燥、赤外線乾燥、高周波乾燥、超音波乾燥、微粉砕乾燥等の各種乾燥方法により行うことができるが、凍結乾燥により行うのが好ましい。凍結乾燥によれば、水性分散液90を固体から気体へ昇華させることにより乾燥させるため、粒子2が有する殻体22中の本来の形状や機能等にほとんど影響を与えることなく、粒子2を乾燥させることができる。
【0166】
なお、この凍結乾燥させる方法としては、後工程[8]で説明する方法と同様の方法を用いることができる。
【0167】
また、水性分散液90を乾燥するのに先立って、水性分散液90中の粒子2を精製する限外濾過等の精製工程を行うのが好ましい。これにより、水性分散液90中に副生成物として含まれる水溶性のオリゴマーやポリマーを除去することができ、乾燥物86中における粒子2の含有率を高めることができる。
【0168】
本実施形態では、以上のような工程[1]〜[5]を経ることで、粒子2同士が水酸基に生じた水素結合に起因して凝集した凝集体が用意される。
【0169】
[6] 次に、図3(e)に示すように、乾燥物(凝集体)86に、第2の極性基(水酸基)621と反応性を有する官能基Zを備えるポリマー32を加えて混合した混合物85を得る(第1の工程)。なお、この工程は、アルゴン、窒素ガス等の不活性ガス雰囲気下によって行われることが好ましい。
【0170】
ここで、前記工程[5]で説明したように、乾燥物86中には、粒子2同士が凝集した凝集体が形成されているが、本実施形態では、混合物85中における乾燥物86(粒子2)を除く、ポリマー32の含有量を75重量%以上のように高含有量(高濃度)としている。混合物85中では、粒子2の表面にポリマー32が連結する。この際、上記の通り、ポリマー32が高含有量で存在することに起因して、表面にポリマー32が結合した粒子2の混合物85への親和性が高まり、混合物85中に分散しやすくなる。これにより、粒子2同士の凝集が解かれやすくなり、複数の粒子2が凝集していると考えられる、粒径の大きい粒子の割合を低減することができる。また、ポリマー32を、粒子2の表面のほぼ全面に連結させることができる。その結果、表面にポリマー32が連結した粒子2が混合物85中に分散されることとなる(図3(f)参照。)。
【0171】
なお、以下では、説明の便宜上、「混合物85中における乾燥物86(粒子2)を除く、ポリマー32の含有量」を、単に、「ポリマー32の含有量」と言うこともある。
【0172】
本実施形態において、ポリマー32を、上記の通り、粒子2の表面のほぼ全面に連結させることができるのは、以下のようなメカニズムよると推察される。なお、図6中では、混合物85中に含まれるポリマー32を「P」で表している。
【0173】
すなわち、表面から露出する水酸基同士間の水素結合によって凝集した粒子2の凝集体は、高濃度のポリマー32に取り囲まれる(図6(a)参照。)と、これにより、凝集体の最表面から露出する水酸基が、ポリマー32が有する官能基Zと反応した後にも、その周囲に十分な量の未反応のポリマー32が存在する。そのため、図6(b)に示すように、表面にポリマー32が結合した粒子2と他の粒子2との間に働く、水素結合等に起因した凝集力よりも、粒子2の表面に結合したポリマー32由来の部位と混合物85中のポリマー32との親和性の方が高くなり、粒子2が混合物85に分散する。この結果、露出した他の粒子2の表面の水酸基とポリマー32が有する官能基Zとの反応がさらに進行し、このような反応が繰り返されることで、最終的には、粒子2同士の凝集が解かれる。その結果、図6(c)に示すように、表面のほぼ全面にポリマー32が連結した粒子2が混合物85中で単分散するようになると推察される。
【0174】
以上のようにして、第2の極性基(水酸基)621と、官能基Zとが反応することで、ポリマー32が、殻体22(粒子2)の表面のほぼ全面に連結される。すなわち、粒子2の表面に、ポリマー32が導入される。
【0175】
ポリマー32は、前述の通り、第2の極性基(水酸基)621と反応性を有する官能基Zと、モノマーMが重合した繰り返し体33とを備える高分子化合物である。
【0176】
このポリマー32が備える官能基Zとしては、例えば、ハロゲン化されたカルボキシル基、および、ハロゲン化されたスルホン酸基が挙げられ、これらのうちのいずれかが選択される。これらのハロゲン化された酸性基は、水酸基に対して優れた反応性を有することから、ポリマー32を確実に殻体22の表面に連結させることができる。
【0177】
よって、具体的には、ポリマー32としては、例えば、下記一般式(2)または下記一般式(3)で表わされる酸ハロゲン化高分子化合物が挙げられる。なお、下記一般式(2)、(3)中、基Rは、官能基Zと繰り返し体33とを連結する連結基を表す。
【0178】
【化19】
[式(2)、(3)中、Mは、モノマーに由来する繰り返し単位、mは、1以上の整数、Rは、単結合、水素、炭素原子の数が1〜20であるアルキレン基またはアリーレン基、エーテル基、ケトン基およびエステル基のうちの少なくとも1種から選択される基を表し、Xは、塩素、臭素またはヨウ素を表す。]
【0179】
このようなポリマー32としては、例えば、下記一般式(4)〜下記一般式(7)で表わされる化合物が挙げられる。
【0180】
【化20】
[式(4)〜(7)中、Xは、それぞれ独立して、塩素、臭素またはヨウ素を表す。]
【0181】
また、ポリマー32の含有量は、75重量%以上であればよいが、85重量%以上であることが好ましく、95重量%以上であることがより好ましく、100重量%であることがさらに好ましい。これにより、表面にポリマー32が結合した粒子2と他の粒子2との間に働く、水素結合等に起因した凝集力よりも、粒子2の表面に結合したポリマー32由来の部位と混合物85中のポリマー32との親和性の方がより確実に高くなるため、粒子2の混合物85中への分散性をより向上させることができる。
【0182】
さらに、ポリマー32の含有量を75重量%以上、100重量%未満に設定する場合、かかる範囲内にポリマー32の含有量が設定されるように、混合物85中に溶媒が添加されるが、この溶媒としては、無極性溶媒または極性の小さい(低い)溶媒であることが好ましい。これにより、ポリマー32として用いられる前記一般式(2)または前記一般式(3)で表わされる酸ハロゲン化高分子化合物が、官能基Zにおいて溶媒により分解されるのを抑制することができる。
【0183】
このような無極性溶媒または極性の小さい溶媒としては、特に限定されないが、例えば、ヘキサン、シクロヘキサン、ベンゼン、トルエン、キシレン、ジエチルエーテル、クロロホルム、酢酸エチル、塩化メチレン、イソオクタン、デカン、ドデカン、テトラデカン、テトラヒドロフラン等が挙げられ、これらのうちの1種または2種以上を組み合わせて用いることができる他、官能基Zを有しないポリマー(例えば、モノマーMが重合した繰り返し体33)を含有するものを用いることができる。
以上のようにして、電気泳動粒子1が製造される。
【0184】
[7]次に、必要に応じて、混合物85から電気泳動粒子1を回収する。
回収の方法としては、限外濾過、ナノ濾過、精密濾過、ケーク濾過、逆浸透等の各種濾過方法が挙げられ、これらのうちの1種または2種以上を組み合わせて用いることができるが、特に限外濾過を用いるのが好ましい。
【0185】
限外濾過は、微細な粒子を濾過する方法であり、電気泳動粒子1を濾過する方法として好適に用いられる方法である。
【0186】
[8]次に、必要に応じて、電気泳動粒子1を乾燥させる。
電気泳動粒子1の乾燥は、例えば、凍結乾燥、通気乾燥、表面乾燥、流動乾燥、気流乾燥、噴霧乾燥、真空乾燥、赤外線乾燥、高周波乾燥、超音波乾燥、微粉砕乾燥等の各種乾燥方法により行うことができるが、凍結乾燥により行うのが好ましい。
【0187】
凍結乾燥では、混合物85を固体から気体へ昇華させることにより乾燥させるため、電気泳動粒子1が有する殻体22中の本来の形状や機能等にほとんど影響を与えることなく、殻体22を乾燥させることができる。
【0188】
以下、電気泳動粒子1を凍結乾燥させる方法を説明する。
まず、濾過により混合物85から取り出された電気泳動粒子1を冷却して凍結させる。これにより、電気泳動粒子1中に含有する溶媒等の液性成分が固体に変化する。
【0189】
冷却温度としては、前記液性成分が凍結する温度以下であればよく、特に限定されないが、−100〜−20℃程度であるのが好ましく、−80〜−40℃程度であるのがより好ましい。冷却温度が上記温度範囲より高いと、液性成分を十分に固体化させることができない場合がある。一方、冷却温度が上記温度範囲より低いと、液性成分の固体化はそれ以上期待できない。
【0190】
次に、凍結した電気泳動粒子1の周囲を減圧する。これにより、液性成分の沸点を低下させ、液性成分を昇華させることができる。
【0191】
減圧時の圧力としては、液性成分の組成によっても異なるが、100Pa程度以下であるのが好ましく、10Pa程度以下であるのがより好ましい。減圧時の圧力が前記範囲内であると、液性成分をより確実に昇華させることができる。
【0192】
また、液性成分の昇華に伴い、電気泳動粒子1の周囲の圧力が上昇するため、凍結乾燥中は、排気ポンプ等で継続的に排気を行い、圧力を一定に維持することが好ましい。これにより、圧力の上昇を抑制し、液性成分の昇華の効率が低下するのを防止することができる。
以上のようにして、電気泳動粒子1の凍結乾燥を行うことができる。
【0193】
なお、本実施形態では、粒子2として、母粒子21と殻体22とを有し、この殻体22の表面から水酸基が露出して親水性を示す(極性を有する)ことで、無極性溶媒または極性の小さい溶媒中において凝集して凝集体を形成するものについて説明したが、粒子2としてはかかる構成のものに限定されず、その表面から水酸基を露出することで凝集体を形成するものであればよく、例えば、母粒子21の表面が水酸基を含む低分子または高分子で表面修飾されたものであってもよい。なお、この低分子としては、例えば、モノオール、ジオール、トリオールのようなアルコール類、および、末端に水酸基を備えるノニオン性界面活性剤等が挙げられ、高分子としては、例えば、ポリビニルアルコール、カルボキシメチルセルロースのようなセルロース類、アラビアガム(アラビアゴム)、アルブミン、ゼラチンおよびポリエチレングリコール等が挙げられる。また、本発明の製造方法は、特に粒子表面の水酸基の密度が高く、親水性の高い粒子に好適である。ここで、親水性が高いとは、水の接触角が30°以下であることをいう。
【0194】
<電気泳動分散液>
次に、本発明の電気泳動分散液について説明する。
【0195】
電気泳動分散液は、少なくとも1種の電気泳動粒子(本発明の電気泳動粒子)を分散媒(液相分散媒;有機溶媒、疎水性溶媒)に分散(懸濁)してなるものである。
【0196】
分散媒としては、沸点が100℃以上に高く比較的高い絶縁性を有するものが好ましく用いられる。かかる分散媒としては、例えば、各種水(例えば、蒸留水、純水等)、ブタノールやグリセリン等のアルコール類、ブチルセロソルブ等のセロソルブ類、酢酸ブチル等のエステル類、ジブチルケトン等のケトン類、ペンタン等の脂肪族炭化水素類(流動パラフィン)、シクロヘキサン等の脂環式炭化水素類、キシレン等の芳香族炭化水素類、塩化メチレン等のハロゲン化炭化水素類、ピリジン等の芳香族複素環類、アセトニトリル等のニトリル類、N,N−ジメチルホルムアミド等のアミド類、カルボン酸塩、シリコンオイルまたはその他の各種油類等が挙げられ、これらを単独または混合物として用いることができる。
【0197】
中でも、分散媒としては、脂肪族炭化水素類(アイソパー等の流動パラフィン)またはシリコンオイルを主成分とするものが好ましい。流動パラフィンまたはシリコンオイルを主成分とする分散媒は、電気泳動粒子1の凝集抑制効果が高いことから、電気泳動表示装置920の表示性能が経時的に劣化するのを抑制することができる。また、流動パラフィンまたはシリコンオイルは、不飽和結合を有しないため耐候性に優れ、さらに安全性も高いという利点を有している。
【0198】
また、分散媒としては、比誘電率が1.5以上3以下であるものが好ましく用いられ、1.7以上2.8以下であるものがより好ましく用いられる。このような分散媒は、電気泳動粒子1の分散性に優れるとともに、電気絶縁性も良好である。このため、消費電力が小さく、コントラストの高い表示が可能な示す電気泳動表示装置920の実現に寄与する。なお、この誘電率の値は、50Hzにおいて測定された値であり、かつ、含有する水分量が50ppm以下、温度25℃である分散媒について測定された値である。
【0199】
また、分散媒中には、必要に応じて、例えば、電解質、界面活性剤(アニオン性またはカチオン性)、金属石鹸、樹脂材料、ゴム材料、油類、ワニス、コンパウンド等の粒子からなる荷電制御剤、潤滑剤、安定化剤、各種染料等の各種添加剤を添加するようにしてもよい。
【0200】
また、電気泳動粒子の分散媒への分散は、例えば、ペイントシェーカー法、ボールミル法、メディアミル法、超音波分散法、撹拌分散法等のうちの1種または2種以上を組み合わせて行うことができる。
【0201】
このような電気泳動分散液中において、被覆層3が有するポリマー32の作用により、電気泳動粒子1は、優れた分散能と移動能との双方を発揮するものとなる。
【0202】
<電気泳動表示装置>
次に、本発明の電気泳動シートが適用された電気泳動表示装置(本発明の電気泳動装置)について説明する。
【0203】
図7は、電気泳動表示装置の実施形態の縦断面を模式的に示す図、図8は、図7に示す電気泳動表示装置の作動原理を示す模式図である。なお、以下では、説明の都合上、図7および図8中の上側を「上」、下側を「下」として説明を行う。
【0204】
図7に示す電気泳動表示装置920は、電気泳動表示シート(フロントプレーン)921と、回路基板(バックプレーン)922と、電気泳動表示シート921と回路基板922とを接合する接着剤層98と、電気泳動表示シート921と回路基板922との間隙を気密的に封止する封止部97とを有している。
【0205】
電気泳動表示シート(本発明の電気泳動シート)921は、平板状の基部92と基部92の下面に設けられた第2の電極94とを備える基板912と、この基板912の下面(一方の面)側に設けられ、マトリクス状に形成された隔壁940と電気泳動分散液910とで構成された表示層9400とを有している。
【0206】
一方、回路基板922は、平板状の基部91と基部91の上面に設けられた複数の第1の電極93とを備える対向基板911と、この対向基板911(基部91)に設けられた、例えばTFT等のスイッチング素子を含む回路(図示せず)とを有している。
【0207】
以下、各部の構成について順次説明する。
基部91および基部92は、それぞれ、シート状(平板状)の部材で構成され、これらの間に配される各部材を支持および保護する機能を有する。
【0208】
各基部91、92は、それぞれ、可撓性を有するもの、硬質なもののいずれであってもよいが、可撓性を有するものであるのが好ましい。可撓性を有する基部91、92を用いることにより、可撓性を有する電気泳動表示装置920、すなわち、例えば電子ペーパーを構築する上で有用な電気泳動表示装置920を得ることができる。
【0209】
また、各基部(基材層)91、92を可撓性を有するものとする場合、これらは、それぞれ、樹脂材料で構成するのが好ましい。
【0210】
このような基部91、92の平均厚さは、それぞれ、構成材料、用途等により適宜設定され、特に限定されないが、20〜500μm程度であるのが好ましく、25〜250μm程度であるのがより好ましい。
【0211】
これらの基部91、92の隔壁940側の面、すなわち、基部91の上面および基部92の下面に、それぞれ、層状(膜状)をなす第1の電極93および第2の電極94が設けられている。
【0212】
第1の電極93と第2の電極94との間に電圧を印加すると、これらの間に電界が生じ、この電界が電気泳動粒子(本発明の電気泳動粒子)95に作用する。
【0213】
本実施形態では、第2の電極94が共通電極とされ、第1の電極93がマトリックス状(行列状)に分割された個別電極(スイッチング素子に接続された画素電極)とされており、第2の電極94と1つの第1の電極93とが重なる部分が1画素を構成する。
【0214】
各電極93、94の構成材料としては、それぞれ、実質的に導電性を有するものであれば特に限定されない。
【0215】
このような電極93、94の平均厚さは、それぞれ、構成材料、用途等により適宜設定され、特に限定されないが、0.05〜10μm程度であるのが好ましく、0.05〜5μm程度であるのがより好ましい。
【0216】
なお、各基部91、92および各電極93、94のうち、表示面側に配置される基部および電極(本実施形態では、基部92および第2の電極94)は、それぞれ、光透過性を有するもの、すなわち、実質的に透明(無色透明、有色透明または半透明)とされる。
【0217】
電気泳動表示シート921では、第2の電極94の下面に接触して、表示層9400が設けられている。
【0218】
この表示層9400は、電気泳動分散液(上述した本発明の電気泳動分散液)910が隔壁940により画成された複数の画素空間9401内に収納(封入)された構成となっている。
【0219】
隔壁940は、対向基板911と基板912との間に、マトリクス状に分割するように形成されている。
【0220】
隔壁940の構成材料としては、例えば、アクリル系樹脂、ウレタン系樹脂、オレフィン系樹脂のような熱可塑性樹脂、エポキシ系樹脂、メラミン系樹脂、フェノール系樹脂のような熱硬化性樹脂等の各種樹脂材料等が挙げられ、これらのうちの1種または2種以上を組み合わせて用いることができる。
【0221】
画素空間9401内に収納された電気泳動分散液910は、本実施形態では、着色粒子95bと白色粒子95aとの2種(少なくとも1種の電気泳動粒子1)を分散媒96に分散(懸濁)してなるものであり、前述した本発明の電気泳動分散液が適用される。
【0222】
このような電気泳動表示装置920では、第1の電極93と第2の電極94との間に電圧を印加すると、これらの間に生じる電界にしたがって、着色粒子95b、白色粒子95a(電気泳動粒子1)は、いずれかの電極に向かって電気泳動する。
【0223】
本実施形態では、白色粒子95aとして正荷電を有するものが用いられ、着色粒子(黒色粒子)95bとして負荷電のものが用いられている。すなわち、白色粒子95aとして、ポリマー32がプラスに帯電している電気泳動粒子1が用いられ、着色粒子95bとして、ポリマー32がマイナスに帯電している電気泳動粒子1が用いられる。
【0224】
このような電気泳動粒子1を用いた場合、第1の電極93を正電位とすると、図8(A)に示すように、白色粒子95aは、第2の電極94側に移動して、第2の電極94に集まる。一方、着色粒子95bは、第1の電極93側に移動して、第1の電極93に集まる。このため、電気泳動表示装置920を上方(表示面側)から見ると、白色粒子95aの色が見えること、すなわち、白色が見えることになる。
【0225】
これとは逆に、第1の電極93を負電位とすると、図8(B)に示すように、白色粒子95aは、第1の電極93側に移動して、第1の電極93に集まる。一方、着色粒子95bは、第2の電極94側に移動して、第2の電極94に集まる。このため、電気泳動表示装置920を上方(表示面側)から見ると、着色粒子95bの色が見えること、すなわち、黒色が見えることになる。
【0226】
このような構成において、白色粒子95a、着色粒子95b(電気泳動粒子1)の帯電量や、電極93または94の極性、電極93、94間の電位差等を適宜設定することにより、電気泳動表示装置920の表示面側には、白色粒子95aおよび着色粒子95bの色の組み合わせや、電極93、94に集合する粒子の数等に応じて、所望の情報(画像)が表示される。
【0227】
また、電気泳動粒子1の比重は、分散媒96の比重とほぼ等しくなるように設定されているのが好ましい。これにより、電気泳動粒子1は、電極93、94間への電圧の印加を停止した後においても、分散媒96中において一定の位置に長時間滞留することができる。すなわち、電気泳動表示装置920に表示された情報が長時間保持されることとなる。
【0228】
なお、電気泳動粒子1の平均粒径は、0.1〜10μm程度であるのが好ましく、0.1〜7.5μm程度であるのがより好ましい。電気泳動粒子1の平均粒径を前記範囲とすることにより、電気泳動粒子1同士の凝集や、分散媒96中における沈降を確実に防止することができ、その結果、電気泳動表示装置920の表示品質の劣化を好適に防止することができる。
【0229】
本実施形態では、電気泳動表示シート921と回路基板922とが、接着剤層98を介して接合されている。これにより、電気泳動表示シート921と回路基板922とをより確実に固定することができる。
【0230】
接着剤層98の平均厚さは、特に限定されないが、1〜30μm程度であるのが好ましく、5〜20μm程度であるのがより好ましい。
【0231】
基部91と基部92との間であって、それらの縁部に沿って、封止部97が設けられている。この封止部97により、各電極93、94、表示層9400および接着剤層98が気密的に封止されている。これにより、電気泳動表示装置920内への水分の浸入を防止して、電気泳動表示装置920の表示性能の劣化をより確実に防止することができる。
【0232】
封止部97の構成材料としては、上述した隔壁940の構成材料として挙げたものと同様のものを用いることができる。
【0233】
<電子機器>
次に、本発明の電子機器について説明する。
本発明の電子機器は、前述したような電気泳動表示装置920を備えるものである。
【0234】
<<電子ペーパー>>
まず、本発明の電子機器を電子ペーパーに適用した場合の実施形態について説明する。
【0235】
図9は、本発明の電子機器を電子ペーパーに適用した場合の実施形態を示す斜視図である。
【0236】
図9に示す電子ペーパー600は、紙と同様の質感および柔軟性を有するリライタブルシートで構成される本体601と、表示ユニット602とを備えている。
【0237】
このような電子ペーパー600では、表示ユニット602が、前述したような電気泳動表示装置920で構成されている。
【0238】
<<ディスプレイ>>
次に、本発明の電子機器をディスプレイに適用した場合の実施形態について説明する。
【0239】
図10は、本発明の電子機器をディスプレイに適用した場合の実施形態を示す図である。このうち、図10中(a)は断面図、(b)は平面図である。
【0240】
図10に示すディスプレイ(表示装置)800は、本体部801と、この本体部801に対して着脱自在に設けられた電子ペーパー600とを備えている。
【0241】
本体部801は、その側部(図10(a)中、右側)に電子ペーパー600を挿入可能な挿入口805が形成され、また、内部に二組の搬送ローラ対802a、802bが設けられている。電子ペーパー600を、挿入口805を介して本体部801内に挿入すると、電子ペーパー600は、搬送ローラ対802a、802bにより挟持された状態で本体部801に設置される。
【0242】
また、本体部801の表示面側(図10(b)中、紙面手前側)には、矩形状の孔部803が形成され、この孔部803には、透明ガラス板804が嵌め込まれている。これにより、本体部801の外部から、本体部801に設置された状態の電子ペーパー600を視認することができる。すなわち、このディスプレイ800では、本体部801に設置された状態の電子ペーパー600を、透明ガラス板804において視認させることで表示面を構成している。
【0243】
また、電子ペーパー600の挿入方向先端部(図10中、左側)には、端子部806が設けられており、本体部801の内部には、電子ペーパー600を本体部801に設置した状態で端子部806が接続されるソケット807が設けられている。このソケット807には、コントローラー808と操作部809とが電気的に接続されている。
【0244】
このようなディスプレイ800では、電子ペーパー600は、本体部801に着脱自在に設置されており、本体部801から取り外した状態で携帯して使用することもできる。
【0245】
また、このようなディスプレイ800では、電子ペーパー600が、前述したような電気泳動表示装置920で構成されている。
【0246】
なお、本発明の電子機器は、以上のようなものへの適用に限定されず、例えば、テレビ、ビューファインダ型、モニタ直視型のビデオテープレコーダ、カーナビゲーション装置、ページャ、電子手帳、電卓、電子新聞、ワードプロセッサ、パーソナルコンピュータ、ワークステーション、テレビ電話、POS端末、タッチパネルを備えた機器等を挙げることができ、これらの各種電子機器の表示部に、電気泳動表示装置920を適用することが可能である。
【0247】
以上、本発明の電気泳動粒子の製造方法、電気泳動粒子、電気泳動分散液、電気泳動シート、電気泳動装置および電子機器を、図示の実施形態に基づいて説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、各部の構成は、同様の機能を有する任意の構成のものに置換することができる。また、本発明に、他の任意の構成物が付加されていてもよい。
【0248】
また、本発明の電気泳動粒子の製造方法は、任意の目的の工程が1または2以上追加されていてもよい。
【0249】
なお、前記実施形態では、水酸基を有する粒子すなわち親水性を有する粒子に、分散媒に対する分散性に優れたポリマーすなわち疎水性を有するポリマーを連結する場合について説明したが、かかる構成に限定されず、本発明によれば、例えば、疎水性を有する粒子に、親水性を有するポリマーを連結することができる。
【符号の説明】
【0250】
1……電気泳動粒子
2……粒子
3……被覆層
21……母粒子
22、22’……殻体
32……ポリマー
33……繰り返し体
61、61”……第1の重合性界面活性剤
62……第2の重合性界面活性剤
611、611”……第1の極性基
612、612”、622……疎水性基
613、613”、623……重合性基
621……第2の極性基
64……電荷
70……疎水領域
80……重合開始剤
85……混合物
86……乾燥物
90……水性分散液
91……基部
92……基部
93……第1の電極
94……第2の電極
95……電気泳動粒子
95a……白色粒子
95b……着色粒子
96……分散媒
97……封止部
98……接着剤層
600……電子ペーパー
601……本体
602……表示ユニット
800……ディスプレイ
801……本体部
802a、802b……搬送ローラ対
803……孔部
804……透明ガラス板
805……挿入口
806……端子部
807……ソケット
808……コントローラー
809……操作部
910……電気泳動分散液
911……対向基板
912……基板
920……電気泳動表示装置
921……電気泳動表示シート
922……回路基板
940……隔壁
9400……表示層
9401……画素空間
M……モノマー
Z……官能基
Z’……連結基
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10