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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2015-232643(P2015-232643A)
(43)【公開日】2015年12月24日
(54)【発明の名称】光受信モジュールの製造方法
(51)【国際特許分類】
   G02B 6/42 20060101AFI20151201BHJP
【FI】
   G02B6/42
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
【全頁数】12
(21)【出願番号】特願2014-119605(P2014-119605)
(22)【出願日】2014年6月10日
(71)【出願人】
【識別番号】000002130
【氏名又は名称】住友電気工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100153110
【弁理士】
【氏名又は名称】岡田 宏之
(74)【代理人】
【識別番号】100131037
【弁理士】
【氏名又は名称】坪井 健児
(74)【代理人】
【識別番号】100099069
【弁理士】
【氏名又は名称】佐野 健一郎
(72)【発明者】
【氏名】川村 正信
(72)【発明者】
【氏名】中島 史博
(72)【発明者】
【氏名】沖 和重
(72)【発明者】
【氏名】原 弘
(72)【発明者】
【氏名】藤村 康
(72)【発明者】
【氏名】田中 和典
【テーマコード(参考)】
2H137
【Fターム(参考)】
2H137AB05
2H137AC02
2H137AC05
2H137BA01
2H137BA12
2H137BB12
2H137BB17
2H137BB25
2H137BC02
2H137BC07
2H137BC32
2H137BC51
2H137BC71
2H137CA01
2H137CA15A
2H137CA15C
2H137CA18E
2H137CA34
2H137CA35
2H137CA45
2H137CA55
2H137CA78
2H137CC02
2H137CC03
2H137CC05
2H137CC10
2H137DA13
2H137DA18
2H137DA21
2H137DA39
2H137DB05
2H137DB10
2H137GA01
2H137HA05
(57)【要約】
【課題】複数の受光素子とプリアンプ回路とがパッケージの底壁上に実装され、該底壁から支持部材により離間させて配したキャリア上に実装された光分波器と反射器とが調芯されて収容された小型の光受信モジュールの製造方法の提供。
【解決手段】本製造方法は、パッケージの基準面23aを基準に、PDアレイ29及びレンズアレイ28をパッケージに実装するステップ、キャリア25上にその後端辺25aを基準に反射器27及び光分波器26を実装し、中間アセンブリMを作製するステップ、キャリア25の実装面をレンズアレイ28と対向させキャリア25の後端辺25aを基準面23aに突き当てた後、反射器27の反射光がレンズアレイ28を介しPDアレイ29で受光されるよう中間アセンブリMを所定位置に移動して反射器27とレンズアレイ28との間の光学調芯を行うステップを含む。
【選択図】図9
【特許請求の範囲】
【請求項1】
波長多重光を受信し、該波長多重光を光分波器により波長に基づいて複数の信号光に分波し、該複数の信号光を第1の方向に反射器により反射し、該反射光をレンズアレイを介してPDアレイで受光する光受信モジュールの製造方法であって、
前記光分波器及び前記反射器はキャリア上に搭載されており、前記光分波器、前記キャリア、前記反射器、前記レンズアレイ、前記PDアレイは実装基準面を有するパッケージに搭載されており、
前記製造方法は、
前記実装基準面を基準に、前記レンズアレイ及び前記PDアレイを前記パッケージに実装する工程と、
前記パッケージ外において、前記反射器を前記キャリアの一辺に対して平行に、前記光分波器を前記キャリアの前記一辺に対して所定の角度をもって前記キャリアの第1の面に実装する工程と、
前記キャリアの第1の面を前記パッケージに実装された前記レンズアレイに対向させた状態で前記キャリアの前記一辺を前記実装基準面に突き当てた後、前記キャリアを平行移動して前記反射器と前記PDアレイとの間の光学調芯を行う工程、を含む光受信モジュールの製造方法。
【請求項2】
前記レンズアレイ及び前記PDアレイを前記パッケージに実装する工程は、
前記PDアレイの一辺を前記実装基準面に突き当てた後、前記PDアレイを平行移動して前記パッケージに実装する工程と、
前記レンズアレイの一辺を前記実装基準面に突き当てた後、前記レンズアレイの中心と前記PDアレイの中心が一致するように前記レンズアレイを平行移動して前記パッケージに実装する工程を含む請求項1に記載の光受信モジュールの製造方法。
【請求項3】
前記反射器と前記PDアレイとの間の光学調芯を行う工程は、
前記レンズアレイの前記一辺と前記キャリアの前記一辺が一致するように前記キャリアを平行移動する工程を含む請求項2に記載の光受信モジュールの製造方法。
【請求項4】
前記反射器と前記PDアレイとの間の光学調芯を行う工程は、
前記PDアレイの前記一辺と前記キャリアの前記一辺が一致するように前記キャリアを平行移動する工程を含む請求項2に記載の光受信モジュールの製造方法。
【請求項5】
前記実装基準面は、前記パッケージの外面であって前記波長多重光を伝搬する光ファイバが接続される面である請求項1〜4のいずれか1項に記載の光受信モジュールの製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光受信モジュールの製造方法に関し、特に、波長多重化された信号光を受信する光受信モジュールの製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、通信速度の高速化が進んでおり、光トランシーバ等に用いられる光受信モジュールには40G
bpsや100Gbpsの伝送速度に対応することが求められる。このような高速伝送では、単一波長の信号光ではなく波長多重化された信号光が用いられることが多い。
【0003】
波長多重化された信号光を受信する場合、受光素子を1つのみ実装した光受信モジュールを光トランシーバに複数設ける構成では、光トランシーバが大型化してしまうので、小型の光トランシーバでは複数の受光素子を単一の光受信モジュールに実装して、該光受信モジュールにて波長多重化された信号光を受信することが行われている(例えば特許文献1及び2参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2010−186090号公報
【特許文献2】特開2013−125045号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献2の光受信モジュールでは、各受光素子から出力された電気信号を増幅するプリアンプ回路を、該モジュールを大型化させずに該モジュール内に収容するために、以下のような構成としている。
すなわち、特許文献2の光受信モジュールでは、波長多重化された信号光が入射され異なる波長の複数の信号光に分波する光分波器と、該光分波器により分波された分波信号光をそれぞれパッケージ底壁方向に向けて反射させる反射器とが、パッケージ底壁から支持部材により離間させて配置したキャリア上に実装された形態で収容されている。また、反射器で反射された分波信号光をそれぞれ集光する複数のレンズを介して該分波光信号をそれぞれ受光する複数の受光素子と、受光素子からの出力信号を増幅するプリアンプ回路とが互いに近接してパッケージ底壁上に実装されて収容されている。
しかし、特許文献2の光受信モジュールでは、光分波器及び反射器をパッケージ内に調芯して収容するのが難しいが、特許文献2ではその点について開示していない。また、特許文献1は異なる構造の光受信モジュールに関するものであり上述の点について開示していない。
【0006】
本発明は、上述のごとき実情に鑑みてなされたもので、複数の受光素子とプリアンプ回路とがパッケージ底壁上に実装され、該パッケージ底壁から支持部材により離間させて配したキャリア上に実装された光分波器と反射器とが調芯されて収容された小型の光受信モジュールの製造方法を提供することをその目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明に係わる光受信モジュールの製造方法は、波長多重光を受信し、この波長多重光を光分波器により波長に依存して複数の信号光に分波し、これら複数の信号光を反射器により第1の方向に反射し、該反射光を、レンズアレイを介してPDアレイで受光する光受信モジュールに係り、これら光分波器、反射器、これら光分波器と反射器を搭載するキャリア、レンズアレイ、及びPDアレイは実装基準面を有するパッケージ内に搭載されている。そして、この光受信モジュールの製造方法は、(A)パッケージの実装基準面を基準として、レンズアレイとPDアレイをパッケージに実装する工程と;(B)パッケージ外において、反射器をキャリアの一辺に対して平行に、光分波器をキャリアのこの一辺に対して所定の角度をもってキャリアの第1の面に実装する工程と;(C)このキャリアの第1の面を既にパッケージに実装されたレンズアレイに対向させた状態で、キャリアの一辺をパッケージの実装基準面に突き当てた後、キャリアを平行移動して反射器とPDアレイとの間の光学調芯を行う工程、を含む。
【0008】
レンズアレイとPDアレイをパッケージに実装する工程は、例えば、PDアレイの一辺を実装基準面に突き当てた後にこれをパッケージ内に実装する工程と、レンズアレイの一辺を実装基準面に突き当てた後、レンズアレイの中心とPDアレイの中心とが一致するように位置合わせする工程を含む。
【0009】
反射器とPDアレイとの光学調芯を行う工程は、レンズアレイの一辺とキャリアの一辺が一致するようにこのキャリアを平行移動する工程を含んでもよい。また、PDアレイの一辺とキャリアの一辺が一致するようにキャリアを平行移動する工程を含んでもよい。
【発明の効果】
【0010】
複数の受光素子とプリアンプ回路とがパッケージ底壁上に実装され、該パッケージ底壁から支持部材により離間させて配したキャリア上に光分波器と反射器とが実装された小型の光受信モジュール内に、光分波器と反射器とを調芯して収容することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】本発明に係る光受信モジュールの製造方法により製造される光受信モジュールの一例を示す図である。
図2】本発明に係る光受信モジュールの製造方法により製造される光受信モジュールの一例を示す図である。
図3】レンズアレイとPDアレイの第1の実装基板への実装形態を説明する図である。
図4】第1の実装基板及びIC部品が実装されていない状態の第2の実装基板がパッケージ内に実装された様子を示す図である。
図5】光分波器と反射器を説明するための図である。
図6】本発明に係わる光受信モジュールの製造方法における各工程を説明する図である。
図7】本発明に係わる光受信モジュールの製造方法における各工程を説明する図である。
図8】本発明に係わる光受信モジュールの製造方法における各工程を説明する図である。
図9】本発明に係わる光受信モジュールの製造方法における各工程を説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、図面を参照しながら、本発明の光受信モジュールの製造方法に係る好適な実施の形態について説明する。なお、本発明はこれらの例示に限定されるものではなく、特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内ですべての変更が含まれることを意図する。また、以下の説明において、異なる図面においても同じ符号を付した構成は同様のものであるとして、その説明を省略する場合がある。
【0013】
図1及び図2は、本発明に係る光受信モジュールの製造方法により製造される光受信モジュールの一例を示す図である。図1は説明を容易にするためにパッケージ蓋体を外し、パッケージフレームの一部を破断した状態で示す斜視図、図2(A)は図1(A)の光受信モジュールの断面図、図2(B)は光受信部分の構成を説明するための模式図である。
【0014】
図の光受信モジュール10は、光ファイバが接続されるレセプタクル部11と、受光素子や光学部品等が収容されるパッケージ部12と、外部回路との電気接続のための端子部13とを備えている。レセプタクル部11は、光コネクタのフェルールが挿入されるスリーブ14と、レセプタクル部11をパッケージ部12に接合させるためのホルダ16と、調芯可能にスリーブ14とホルダ16とを連結するジョイントスリーブ15とを有する。
以下では、光受信モジュール10のレセプタクル部11側を前側、反対側を後側として説明する。
【0015】
パッケージ部12は、略直方体形状であり、例えば、角筒状のパッケージフレーム20と、底壁を形成するパッケージ底壁21と、上部開口を塞ぐパッケージ蓋体22(図2(A)参照)とを有する。パッケージフレーム20の前壁には、円筒状のブッシュ23が設けられている。ブッシュ23の前面は後述するコレットでの調芯作業での基準面となるように平坦面とされている。パッケージ底壁21は、銅モリブデンや銅タングステン等の材料を用いることができ、また、熱伝導性のよい材料を用いることにより放熱性を高めることができる。パッケージ蓋体22は、素子や部品の収容と配線後に、これらを密封するようにパッケージフレーム20に対して固定される。
【0016】
端子部13は、例えば、複数のセラミック基板を積層して形成され、パッケージフレーム20の後壁に嵌め込むような形態で組み付けられ、さらに、パッケージ部12内の素子と外部系とを電気的に接続する、高周波ライン、電源ラインが形成されている。
これらパッケージ部12と端子部13が本発明の「パッケージ」を構成する。
【0017】
レセプタクル部11のホルダ16は、図2(A)に示すように、パッケージフレーム20の前面側に設けたブッシュ23を介してパッケージ部12に固定される。ホルダ16には、ジョイントスリーブ15を介してスリーブ14が結合され、ジョイントスリーブ15により軸方向と径方向に対する調芯が行われる。スリーブ14内には、光結合を形成するスタブ17が配され、ホルダ16にはスタブ17内の光ファイバから出射された信号光を集光し平行光にするレンズ18が配される。レンズ18からの信号光は、ブッシュ23内に密封形態で設けられた光学窓19を経て、パッケージ部12内に出射される。
【0018】
パッケージ部12内には、レンズ18から出射された波長多重化された信号光を異なる波長の複数の信号光に分波する光分波器(以下、O-DeMux)26と、この分波された信号光(以下、分波信号光という)を、それぞれパッケージ底壁21側に反射させるプリズム等で形成された反射器27とが収容される。これらO-DeMux26と反射器27は、支持部材24によりパッケージ底壁21から平行に離間して配置されたキャリア25上に実装させて、パッケージ底壁21に向き合うように収容される。
【0019】
また、パッケージ部12内には、反射器27で反射された分波信号光をそれぞれ集光する複数のレンズが形成されたレンズアレイ28と、このレンズアレイ28を介して分波信号光をそれぞれ受光する複数の受光素子として複数のフォトダイオード(PD)が形成されたPDアレイ29とが収容される。これらレンズアレイ28及びPDアレイ29は、第1の実装基板30及び第2の実装基板31を介してパッケージ底壁21上に実装される。
【0020】
上述のような部品から構成される光受信モジュール10は、図2(B)に示すように、O-DeMux26と反射器27は、パッケージ底壁21の平面から高さ方向に平行に離間したキャリア25の実装面に実装される。そして、レンズアレイ28とPDアレイ29は、パッケージ底壁21の平面から高さ方向に離間した空間を利用して、上下方向に配列して実装される。すなわち、反射器27とレンズアレイ28とPDアレイ29は、パッケージ部12内の上下方向に重なるように配列され、平面方向の配列スペースが軽減される。これにより空いたスペースに、PDアレイ29の信号を増幅するプリアンプ回路であるIC部品32が実装される。
【0021】
図3は、レンズアレイ28とPDアレイ29の第1の実装基板30への実装形態を説明する図である。
レンズアレイ28は、図3に示すように、複数のレンズ28aが透明なガラス基板28bと一体に形成されたものである。PDアレイ29は、複数のPD29aが一体に形成されたものである。
レンズアレイ28とPDアレイ29は、受光感度を高めるため、レンズ28aのピッチとPD29aのピッチ、言い換えると隣接PD間隔と隣接レンズ間隔が設計上一致しており、各レンズ28aと各PD29aの光軸が略一致するように固定される。
【0022】
第1の実装基板30は、その中央部分の一定箇所に共晶半田30aが塗布されている。共晶半田は金錫(AuSn)半田が好ましい。この共晶半田30aが塗布されている部分にPDアレイ29が固定される。また、第1の実装基板30の両端には、角柱状の支持ポスト33を固定するため、支持ポスト33の底面と略同じ形状のAuSnパターン(不図示)が形成されている。このAuSnパターン上に、底面に金属メッキが施された支持ポスト33が固定され、該支持ポスト33上にPDアレイ29が固定される。
【0023】
図4は、第1の実装基板30及びIC部品32が実装されていない状態の第2の実装基板31がパッケージ内に実装された様子を示す図である。
第2の実装基板31は、例えば銅タングステン基板から成るものであって、図4に示すように、パッケージ内の後端であって、端子13aからの高周波・電源ラインが敷設されたフィードスルー(feed-through)基板13bの直近に実装される。
第2の実装基板31の後方には、IC部品32(図1参照)が実装しやすいように当該部品32の形状に合わせたそのパターン31aが形成されている。また、図示は省略するが、第2の実装基板31の側方には、ダイキャパシタ等の電子部品用の実装パターンが形成されている。第2の実装基板31のIC部品32及びダイキャパシタが存在しない部分すなわち前方部分には、第1の実装基板30が実装される。
【0024】
図5は、O-DeMux26と反射器27を説明するための図であり、図5(A)はキャリア25上に実装されたO-DeMux26と反射器27の斜視図、図5(B)は同平面図である。
【0025】
O-DeMux26は、図5(A)に示すように、単一の反射部材26aと透過する波長が互いに異なる複数の波長フィルタ26bとを、透明光学部材26cにより一体化したものであり、例えば、誘電多層膜(フィルタ群)で構成され、キャリア25の中央付近に実装される。
反射器27は、O-DeMux26により分波された複数の信号光をPDアレイ29に向けてその光軸を曲げるものであり、例えば、プリズムで形成され、その反射面27aは45度の角度で、O-DeMux26の方向に向くようにして、キャリア25の後端部に実装される。
キャリア25は、O-DeMux26と反射器27を実装するものである。なお、戻り光対策等のため、O-DeMux26はブッシュ23の前端面の基準面23a(図8(A)参照)に対して所定の角度をつけて固定されている。
【0026】
図5(B)に示すように、互いに異なる波長(λ1、λ2、λ3、λ4)の信号光が多重化された多重化信号光がO-DeMux26に入射されると、まず1番目に配列された波長フィルタ26bに当てられて、波長λ1の信号光は透過するが、その他の波長の信号光(λ2、λ3、λ4)は反射される。この反射された信号光は、反射部材26aにより2番目の波長フィルタ26bに当てられて、波長λ2の信号光は透過し、その他の波長の信号光(λ3、λ4)は反射される。以下、同様に透過と反射を繰り返して、多重化信号光は、波長が異なる複数の信号光に分波される。分波された信号光は、反射器27の反射面27aにより直交する方向に反射されて、上述したようにレンズアレイ28を経てPDアレイ29で受光される。
【0027】
上述のO-DeMux26、反射器27及びキャリア25の一体物を中間アセンブリという。
【0028】
中間アセンブリの作製は例えば以下の手順で行う。
まず、矩形のキャリア25を不図示のステージ上に固定する。このステージには、基準辺となるキャリア25の反射器27側の辺すなわち後端辺25aが突き当てられる第1の面と、後端辺25aに対して水平、垂直以外の所定の角度を有する第2の面とが設けられている。ステージ上への固定の際、キャリア25の後端辺25aを上記第1の面に対して突き当ててから固定する。これにより、キャリア25の後端辺25と上記第1の面とを平行にする。
ステージ上への固定後、キャリア25の所定位置すなわちO-DeMux26及び反射器27の実装位置に紫外線硬化樹脂を一定量塗布する。
【0029】
そして、O-DeMux26を不図示のコレットで吸着した上で該O-DeMux26の反射部材26a側の辺を上記ステージの第2の面に突き当て、O-DeMux26の角度を調整した後、O-DeMux26を移動してキャリア25の所定位置に載置する。次いで、反射器27を同様にコレットで吸着した上で上記ステージの第1の面に突き当てその角度を調整した後、反射器27を移動してキャリア25の所定位置に裁置する。
【0030】
この例では、O-DeMux26、反射器27についてはその角度をキャリア25の基準辺すなわち後端辺25aに対して調整(alignment)した。O-DeMux26、反射器27の、キャリア25の実装面内(図5(A)のXY平面内)における位置及びあおり角(図5(A)のθ)については、前者はキャリア25上に設けられたアライメントマークの位置精度、後者はキャリア25を裁置するステージの水平度、吸着コレットの垂直度、吸着の確実性等でそれぞれ影響を受けるが、O-DeMux26、反射器27の搭載角度に比べ光結合に及ぼすその影響度は極めて小さい。
【0031】
O-DeMux26及び反射器27をキャリア25上に裁置した後、紫外線を照射しさらに熱を加えて両部品をキャリア25に固定することで中間アセンブリが得られる。
【0032】
次に、図1の光受信モジュール10の製造方法を説明する。図6乃至図9は、光受信モジュール10の製造方法における各工程を説明する図であり、図6図8及び図9は断面図、図7は後方斜視図である。
【0033】
(1)PDアレイ29の実装工程
第1の実装基板30の中央部分には共晶半田30a(図3参照)が塗布されているが、この塗布部分に図6(A)に示すようにPDアレイ29をダイボンディングする。同様に、第1の実装基板30のPDアレイ29が実装されていない両端部分に、裏面に金属メッキが施された支持ポスト33を2個固定する。
【0034】
(2)第2の実装基板31の実装工程
図6(B)に示すように、パッケージ内の予め決められた箇所に第2の実装基板31を固定する。固定に際しては、共晶合金ペレットを使用する。この第2の実装基板31は、IC部品やPDアレイを実装するため、フィードスルー基板13bの近傍で且つパッケージの中心と第2の実装基板31との中心が略一致するように実装される。
【0035】
(3)第2の実装基板31上への部品の実装工程
第2の実装基板31にはIC部品の形状に沿ったパターン31a(図4参照)が形成されており、そのパターン内部に、Agフィラーのエポキシ接着剤などの導電性接着剤を一定量塗布した後、パターン形状に沿って、図6(C)に示すように第2の実装基板31上にIC部品32を裁置し、導電性接着剤を熱硬化して固定する。
図示は省略するが、同様に、ダイキャパシタの外形に沿ったパターンが第2の実装基板31に形成されているので、そのパターン内部に一定量の導電性接着剤を塗布した後、このパターンに沿ってダイキャパシタを裁置し、導電性接着剤を熱硬化して固定する。
【0036】
(4)PDアレイ29のパッケージへの実装工程
上記(1)の工程で作製した、PDアレイ29を実装した第1の実装基板30を図6(D)に示すように第2の実装基板31上に裁置する。
より詳細には、まず、第2の実装基板31上の予め決められた箇所すなわち第1の実装基板30の実装箇所に導電性接着剤を一定量塗布する。次に、専用コレット及び該コレットの駆動装置を用いて、(1)の工程で作製した第1の実装基板30を吸着する。そして、コレットに吸着された第1の実装基板30とパッケージの中心とが略一致するような形態で、パッケージ前壁のブッシュ23の外面である実装基準面(以下、基準面)23aに、第1の実装基板30の後端を軽く突き当て、その基準面23aに対して第1の実装基板30すなわちPDアレイ29が平行になるように調整する。そして、コレットを一旦上方に移動した上で、基準面23aより予め決められた量だけ後方に移動した後、コレットごと第1の実装基板30を第2の実装基板31に押え付ける。その状態で第1の実装基板30の裏面の導電性接着剤を熱硬化する。熱硬化終了後、フィードスルー基板13b上の配線パターンとIC部品32との間、同配線パターンとダイキャパシタとの間、PDアレイ29とIC部品32との間、PDアレイ29とダイキャパシタとの間などをワイヤボンディングにより電気接続する。
【0037】
(5)レンズアレイ28の実装工程
まず、図7に示すように、パッケージフレーム20等から成るパッケージを専用のステージ40上に固定する。次に、第1の実装基板上に実装された支持ポスト33の頂部に紫外線硬化型接着剤を一定量塗布する。そして、レンズアレイ28を把持する専用のコレット50を用いてレンズアレイ28を把持し、当該コレットの駆動装置を用いて、(4)の工程と同様に、レンズアレイ28の中心とパッケージの中心とが略一致するような形態で、図8(A)に示すように、パッケージの基準面23aにレンズアレイ28を突き当てる。その後、レンズアレイ28を把持したコレットをPDアレイ29の直上に移動する。ここで、レンズアレイ28の中心とPDアレイ29の中心とが一致しているか否かを確認する。両者がオフセットしている場合には、パッケージの長軸に垂直方向にのみレンズアレイ28をスライドし両者の中心を一致させる。上記確認は目視で行う。その上で、コレットを降下し、レンズアレイ28の底面を支持ポスト33に押え付けつつ、紫外線を照射してレンズアレイ28を仮固定し、コレットによるレンズアレイ28の把持を解消した後、熱硬化を行ってレンズアレイ28をPDアレイ29の上方で固定する。この工程の特徴は、レンズアレイ28とPDアレイ29との調芯を全て目視により行っていることである。
【0038】
(6)支持部材24のパッケージ内への実装工程
まず、パッケージ内部の支持部材24が実装される箇所に紫外線硬化型接着剤を塗布する。次に、(5)の工程と同様に、所定のコレット及び当該コレットの駆動装置を用いて、支持部材24を、該支持部材24の中心とパッケージの中心とが略一致するような形態で、図8(B)に示すように、パッケージの基準面23aに支持部材24を突き当て、この基準面23aと平行となるように調整する。その後、支持部材24をパッケージ上の予め決められた箇所に移動し、一定荷重を付与しながらコレットごとパッケージ底壁21に当て付けた後、紫外線を照射して仮固定を行う。この段階では支持部材24の上には何も搭載されていない。支持部材24は上部に開いた断面U字形状の部品であり、当該工程では単に支持部材24をパッケージ内に実装したのみである。
【0039】
(7)中間アセンブリの支持部材24上への実装工程
まず、(6)の工程で仮固定した支持部材24の2辺の頂部に紫外線硬化型接着剤を塗布する。次に、キャリア25のO-DeMux26及び反射器27の実装面がパッケージ底壁21と対向するように中間アセンブリMの向きを変える。そして、(6)の工程と同様に、所定のコレット及び当該コレットの駆動装置を用いて、中間アセンブリMを、該アセンブリMの中心とパッケージの中心とが略一致するような形態で、図9に示すように、パッケージの基準面23aにアセンブリMのキャリア25の後端辺25aを突き当て、この基準面23aと平行となるようにパッケージ外で調整する。
その後、キャリア25のO-DeMux26及び反射器27の実装面がパッケージ底壁21と対向するように中間アセンブリMの向きを変えてから中間アセンブリMを、基準面23aに対する角度を維持したまま所定の位置まで移動する。この所定の位置とは、反射器27で反射した光がレンズアレイ28で集光されPDアレイ29で受光される位置であり、例えば、パッケージの基準面23aに突き当てた中間アセンブリMの後端辺25aが、レンズアレイ28の後端辺28cに一致する位置である。上述のように中間アセンブリMの位置を調整した後に、当該中間アセンブリMを支持部材24に一定荷重で押し付け、その状態で紫外線を照射し、仮固定を行う。そして、パッケージごと熱を付与し、仮固定状態の接着剤を熱硬化させる。
【0040】
(8)その他の実装工程
(7)までの実装が終了した後は、周知技術に倣い、パッケージフレーム20の上面にパッケージ蓋体を載置し、真空下でシーム溶接を行う。そして、ブッシュ23の前面にレセプタクル部を溶接により取り付けるともに、パッケージの高周波ライン及び電源ラインが形成されている部分にFPC(フレキシブルプリント回路基板)を取り付けることにより、集積ROSA(Receiving Optical Sub-Assembly)が完成する。
【0041】
(7)の工程における、反射器27で反射した光がレンズアレイ28で集光されPDアレイ29で受光される所定の位置として、上述では、中間アセンブリMの後端辺25aすなわちキャリア25の後端辺25aとレンズアレン28の後端辺28cとが一致する位置としていた。しかし、各部品のサイズ等を変更すること等により、キャリア25の後端辺25aとPDアレイ29の後端辺とが一致する位置を上記所定の位置とすることも可能である。
【0042】
また、各部品の固定に際し、上述の例以外の接着剤を用いてもよい。
【符号の説明】
【0043】
10…光受信モジュール、11…レセプタクル部、12…パッケージ部、13…端子部、13a…端子、13b…フィードスルー基板、14…スリーブ、15…ジョイントスリーブ、16…ホルダ、17…スタブ、18…レンズ、19…光学窓、20…パッケージフレーム、21…パッケージ底壁、22…パッケージ蓋体、23…ブッシュ、23a…実装基準面(基準面)、24…支持部材、25…キャリア、25a…後端辺、26…O-DeMux、26a…反射部材、26b…波長フィルタ、26c…透明光学部材、27…反射器、27a…反射面、28…レンズアレイ、28a…レンズ、28b…ガラス基板、28c…後端辺、29…PDアレイ、29a…PD、30…第1の実装基板、30a…共晶半田、31…第2の実装基板、31a…パターン、32…IC部品、33…支持ポスト、40…ステージ、50…コレット。
図1
図2
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図4
図5
図6
図7
図8
図9