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特開2015-23269基板内蔵用積層セラミックキャパシタ、その製造方法及び埋め込み基板の製造方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2015-23269(P2015-23269A)
(43)【公開日】2015年2月2日
(54)【発明の名称】基板内蔵用積層セラミックキャパシタ、その製造方法及び埋め込み基板の製造方法
(51)【国際特許分類】
   H01G 4/30 20060101AFI20150106BHJP
   H01G 4/252 20060101ALI20150106BHJP
   H01G 4/232 20060101ALI20150106BHJP
   H01G 4/12 20060101ALI20150106BHJP
【FI】
   H01G4/30 301B
   H01G1/14 V
   H01G4/12 352
   H01G4/12 364
   H01G4/30 311E
【審査請求】有
【請求項の数】10
【出願形態】OL
【全頁数】15
(21)【出願番号】特願2013-220991(P2013-220991)
(22)【出願日】2013年10月24日
(31)【優先権主張番号】10-2013-0084170
(32)【優先日】2013年7月17日
(33)【優先権主張国】KR
(71)【出願人】
【識別番号】594023722
【氏名又は名称】サムソン エレクトロ−メカニックス カンパニーリミテッド.
(74)【代理人】
【識別番号】110000877
【氏名又は名称】龍華国際特許業務法人
(72)【発明者】
【氏名】チャエ、ユン ヒュク
(72)【発明者】
【氏名】ジュン、ジン マン
(72)【発明者】
【氏名】リー、ビョウン ファ
(72)【発明者】
【氏名】リー、ジン ウー
(72)【発明者】
【氏名】キム、キュ リー
【テーマコード(参考)】
5E001
5E082
【Fターム(参考)】
5E001AB03
5E001AF06
5E001AH01
5E001AJ03
5E082AB03
5E082BC31
5E082EE04
5E082EE23
5E082EE35
5E082FF05
5E082FG26
5E082GG10
5E082GG28
5E082PP09
(57)【要約】      (修正有)
【課題】信頼性不良がなく、セラミック本体のクラック発生を減少させた、基板内蔵用積層セラミックキャパシタ、その製造方法及び埋め込み基板の製造方法を提供する。
【解決手段】基板内蔵用積層セラミックキャパシタにおいて、セラミック本体110の両端面に形成された第1及び第2外部電極132と、前記第1及び第2外部電極132の周りを包むように形成された第1及び第2めっき層142を含み、前記第1及び第2外部電極132のバンドの一端から他端までの距離をA、バンドの一端から1/2×Aの地点での前記第1及び第2めっき層142の表面から前記セラミック本体110の内側に垂直に3μm離隔された地点で前記セラミック本体110の長さ方向に仮想線を引いたとき、前記仮想線が前記第1及び第2めっき層142の表面と接する地点間の距離をBと規定すると、B/A≧0.6となるように第1及び第2外部電極132の形状を制御する。
【選択図】図5
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の誘電体層が積層されたセラミック本体と、
前記誘電体層を介して形成され、前記セラミック本体の両端面に交互に露出するように形成された複数の第1及び第2内部電極と、
前記セラミック本体の前記両端面に形成され、前記第1及び第2内部電極と夫々電気的に連結された第1及び第2外部電極と、
前記第1及び第2外部電極の周りを包むように形成された第1及び第2めっき層と、を含み、
前記第1外部電極のバンドの一端から他端までの距離をA、前記バンドの一端から1/2×Aの地点での前記第1めっき層の表面から前記セラミック本体に向かって積層方向に3μm離隔された地点で前記セラミック本体の長さ方向に仮想線を引いたとき、前記仮想線が前記第1めっき層の表面と交わる地点間の距離をBと規定すると、B/A≧0.6である基板内蔵用積層セラミックキャパシタ。
【請求項2】
前記第1外部電極のバンドの一端をP、前記Pから1/10×A分だけ前記セラミック本体の長さ方向に離隔された地点をQ、前記Qからセラミック本体の厚さ方向に垂直に仮想線を引いたとき、前記垂直な仮想線が前記第1めっき層の表面と交わる地点をRと規定すると、線分PQと線分PRが成す角度(θ)は、θ≦35°であることを特徴とする、請求項1に記載の基板内蔵用積層セラミックキャパシタ。
【請求項3】
前記セラミック本体の厚さは80μm以下であることを特徴とする、請求項1または2に記載の基板内蔵用積層セラミックキャパシタ。
【請求項4】
複数のセラミックグリーンシートを設ける段階と、
前記それぞれのセラミックグリーンシート上に導電性ペーストを利用して複数の第1及び第2内部電極を対向する方向に露出するようにそれぞれ形成する段階と、
前記第1及び第2内部電極が厚さ方向に交互に配置されるように複数のセラミックグリーンシートを積層して積層体を形成する段階と、
前記積層体を焼成してセラミック本体を形成する段階と、
前記セラミック本体の両端面に前記第1及び第2内部電極の露出した部分と接触して電気的に連結されるように第1及び第2外部電極を形成する段階と、
前記第1及び第2外部電極の周りを包むように第1及び第2めっき層を形成する段階と、を含み、
前記第1外部電極のバンドの一端から他端までの距離をA、前記バンドの一端から1/2×Aの地点での前記第1めっき層の表面から前記セラミック本体に向かって積層方向に3μm離隔された地点で前記セラミック本体の長さ方向に仮想線を引いたとき、前記仮想線が前記第1めっき層の表面と交わる地点間の距離をBと規定すると、B/A≧0.6である基板内蔵用積層セラミックキャパシタの製造方法。
【請求項5】
前記第1外部電極のバンドの一端をP、前記Pから1/10×A分だけ前記セラミック本体の長さ方向に離隔された地点をQ、前記Qからセラミック本体の厚さ方向に垂直に仮想線を引いたとき、前記垂直な仮想線が前記第1めっき層の表面と交わる地点をRと規定すると、線分PQと線分PRが成す角度(θ)は、θ≦35°であることを特徴とする、請求項4に記載の基板内蔵用積層セラミックキャパシタの製造方法。
【請求項6】
前記積層体を形成する段階において、前記積層体の厚さが80μm以下になるよう積層することを特徴とする、請求項4または5に記載の基板内蔵用積層セラミックキャパシタの製造方法。
【請求項7】
前記第1及び第2外部電極を形成する段階は、前記セラミック本体の両端をペーストにディッピングして第1及び第2外部電極を形成する段階及び前記第1及び第2外部電極のバンド側にエアーブローイング(air blowing)をする段階を含むことを特徴とする、請求項4から6のいずれか1項に記載の基板内蔵用積層セラミックキャパシタの製造方法。
【請求項8】
前記エアーブローイング段階は、エアーブローイングの流速と方向を調節して、前記第1及び第2外部電極のバンドの表面平坦度及び前記セラミック本体と前記第1及び第2外部電極間の角度を制御することを特徴とする、請求項7に記載の基板内蔵用積層セラミックキャパシタの製造方法。
【請求項9】
積層セラミックキャパシタを設ける段階と、
基板にキャビティを形成する段階と、
前記キャビティに前記積層セラミックキャパシタを実装する段階と、
埋め込まれた基板にエポキシ材質のビルドアップフィルム(built−up film)を付着し、高温及び高圧で圧着する段階と、
前記基板に前記積層セラミックキャパシタの外部電極が露出するようにビアホールを形成する段階と、
前記ビアホールを導電性物質で充填させて積層セラミックキャパシタが埋め込まれた基板を製造する段階と、を含み、
前記積層セラミックキャパシタは、第1外部電極のバンドの一端から他端までの距離をA、バンドの一端から1/2×Aの地点での第1めっき層の表面からセラミック本体に向かって積層方向に3μm離隔された地点でセラミック本体の長さ方向に仮想線を引いたとき、前記仮想線が前記第1めっき層の表面と交わる地点間の距離をBと規定すると、B/A≧0.6である埋め込み基板の製造方法。
【請求項10】
前記第1外部電極のバンドの一端をP、前記Pから1/10×A分だけ前記セラミック本体の長さ方向に離隔された地点をQ、前記Qからセラミック本体の厚さ方向に垂直に仮想線を引いたとき、前記垂直な仮想線が前記第1めっき層の表面と交わる地点をRと規定すると、線分PQと線分PRが成す角度(θ)は、θ≦35°であることを特徴とする、請求項9に記載の埋め込み基板の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は基板内蔵用積層セラミックキャパシタ、その製造方法及び埋め込み基板の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
積層チップ電子部品の一つである積層セラミックキャパシタは、液晶表示装置(LCD:Liquid Crystal Display)及びプラズマ表示装置パネル(PDP:Plasma Display Panel)等の映像機器、コンピュータ、個人携帯用端末機(PDA:Personal Digital Assistants)及び携帯電話などの様々な電子製品の印刷回路基板に装着されて、電気を充電または放電させる役割をするチップ形態のコンデンサである。
【0003】
このような積層セラミックキャパシタ(MLCC:Multi−Layered Ceramic Capacitor)は小型でありながら、高容量が保障され、実装が容易であるという長所により多様な電子装置の部品として用いることができる。
【0004】
最近では、スマートフォン、タブレットPC等の携帯用スマート機器の性能がよくなるにつれ、演算を担当するAP(application processor)の駆動速度も増加している。このようにAPの駆動速度が増加すると、さらに高い周波数の電流がAPに迅速に供給されなければならない。
【0005】
上記積層セラミックキャパシタは、このようなAPに電流を供給する役割を担うため、上記のように高周波電流を迅速に供給するためには低いESLの積層セラミックキャパシタを使用するか、積層セラミックキャパシタを基板に埋め込んでAPとの距離を最大限減少させなければならない。
【0006】
前者である低いESLの積層セラミックキャパシタを製造する場合には、構造上、更なる問題点が発生し得るため、最近では、基板に埋め込まれる積層セラミックキャパシタに対する研究が活発に行われている。
【0007】
上記基板内蔵用積層セラミックキャパシタは、外部電極の表面に銅(Cu)を主成分とする金属層が形成される。
【0008】
上記金属層は基板に埋め込まれた後、レーザーを利用したビアホール加工及び上記ビアホールを銅で充填するめっき過程を通じて、基板の回路と電子部品を電気的に接続させる機能をする。
【0009】
上記基板内蔵用積層セラミックキャパシタは基板に埋め込んだ後、レーザーを利用し、樹脂を貫通して積層セラミックキャパシタの外部電極が露出するようにビアホールを形成し、上記ビアホールを銅めっきにより充填して外部の配線と積層セラミックキャパシタの外部電極が互いに電気的に連結されるようにする。
【0010】
このとき、レーザーが積層セラミックキャパシタのめっき層を貫通する間、外部電極のガラス成分により、レーザーが吸収されてセラミック本体に直接害を与える恐れがあるため、めっき層は厚くなければならず、外部電極の厚さは均一で、表面が平坦な必要がある。
【0011】
外部電極の厚さが均一でなく、表面が平坦でなければ、レーザーがめっき層の表面で乱反射して周りの樹脂部分にダメージを与えるため、加工面が平坦に形成されない。それによって、めっき時、ビアホールの内部が不均一にめっきされてビア電極にクラックなどが発生する原因となる。
【0012】
一方、ビルドアップフィルムを付着し圧着した後、チップとエポキシ層の間に空間が生じると、デラミネーション(delamination)が発生し得るため、ビルドアップフィルムを付着する過程で、チップとフィルム間の空間をうまく密着させることが重要である。
【0013】
また、積層セラミックキャパシタのセラミック本体と外部電極は、外部電極の厚さ分だけ段差が発生することができる。該段差が大きすぎると、積層セラミックキャパシタとフィルム間の空間が大きくなるため、デラミネーションの発生確率がさらに増加する。
【0014】
従って、このようなデラミネーションを減少させるために、外部電極の厚さを減少させたり、めっき層の厚さを減少させるが、レーザー加工時にセラミック本体にダメージを与える恐れがあるため、厚さを減少させるには限界があった。
【0015】
従って、外部電極とセラミック本体間の段差によるデラミネーションを減少させるためには、外部電極の端部で急激な段差が発生することより徐々に厚さが減少する形状を有することがよい。
【0016】
基板内蔵用積層セラミックキャパシタは非内蔵型積層セラミックキャパシタに比べてチップの厚さが薄くてセラミック本体が非常に薄くなる。従って、内部電極の露出面にペーストが薄く塗布されて外部電極が形成されるため、めっき液浸透による高温信頼性が劣化する問題が発生する。
【0017】
また、内部電極の露出面の厚さを上げるために外部電極の粘度を上げると、バンド面が厚く形成されてバンド面の平坦度が低くなり、端部の角度が増加して上述したビア電極のクラックやデラミネーションが発生するという問題点があった。
【0018】
下記特許文献1は、セラミック本体と外部電極及びめっき層を含み、めっき層の平坦度を具体的に数値限定していない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0019】
【特許文献1】韓国公開特許第10−2011−0122008号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0020】
当技術分野では、基板内蔵用積層セラミックキャパシタにおいて、レーザーを利用したビアホール加工時にセラミック本体の破損を防止し、基板と上記基板に内蔵された積層セラミックキャパシタ間のデラミネーションを防止するための新たな方案が求められてきた。
【課題を解決するための手段】
【0021】
本発明の一側面は、複数の誘電体層が積層されたセラミック本体と、上記誘電体層を介して上記セラミック本体の両端面を通じて交互に露出するように形成された複数の第1及び第2内部電極と、上記セラミック本体の両端面に形成され、上記第1及び第2内部電極と夫々電気的に連結された第1及び第2外部電極と、上記第1及び第2外部電極の周りを包むように形成された第1及び第2めっき層と、を含み、上記第1及び第2外部電極のバンドの一端から他端までの距離をA、バンドの一端から1/2×Aの地点での上記第1及び第2めっき層の表面から上記セラミック本体の内側に垂直に3μm離隔された地点で上記セラミック本体の長さ方向に仮想線を引いたとき、上記仮想線が上記第1及び第2めっき層の表面と接する地点間の距離をBと規定すると、B/A≧0.6である基板内蔵用積層セラミックキャパシタを提供する。
【0022】
本発明の一実施形態において、上記第1及び第2外部電極のバンドの一端をP、上記Pから1/10×A分だけ離隔された地点をQ、上記Qからセラミック本体の厚さ方向に垂直に仮想線を引いたとき、上記仮想線が上記第1及び第2めっき層の表面と接する地点をRと規定すると、線分PQと線分PRが成す角度(θ)は、θ≦35°であってもよい。
【0023】
本発明の一実施形態における上記セラミック本体の厚さは、80μm以下であってもよい。
【0024】
本発明の他の側面は、複数のセラミックグリーンシートを設ける段階と、上記それぞれのセラミックグリーンシート上に導電性ペーストを利用して対向する方向に露出した複数の第1及び第2内部電極をそれぞれ形成する段階と、上記第1及び第2内部電極が厚さ方向に沿って交互に配置されるように複数のセラミックグリーンシートを積層して積層体を形成する段階と、上記積層体を焼成してセラミック本体を形成する段階と、上記セラミック本体の両端面に上記第1及び第2内部電極の露出した部分と接触して電気的に連結されるように第1及び第2外部電極を形成する段階と、上記第1及び第2外部電極の周りを包むように第1及び第2めっき層を形成する段階と、を含み、上記第1及び第2外部電極のバンドの一端から他端までの距離をA、バンドの一端から1/2×Aの地点での上記第1及び第2めっき層の表面から上記セラミック本体の内側に垂直に3μm離隔された地点で上記セラミック本体の長さ方向に仮想線を引いたとき、上記仮想線が上記第1及び第2めっき層の表面と接する地点間の距離をBと規定すると、B/A≧0.6である基板内蔵用積層セラミックキャパシタの製造方法を提供する。
【0025】
本発明の一実施形態において、上記第1及び第2外部電極を形成する段階は、上記セラミック本体の両端をペーストにディッピングして第1及び第2外部電極を形成する段階及び上記第1及び第2外部電極のバンド側にエアーブローイング(air blowing)をする段階を含んでもよい。
【0026】
本発明の一実施形態において、上記エアーブローイング段階は、エアーブローイングの流速と方向を調節して、上記第1及び第2外部電極のバンドの表面平坦度及び上記セラミック本体と上記第1及び第2外部電極間の角度を制御してもよい。
【0027】
本発明のさらに他の側面は、積層セラミックキャパシタを設ける段階と、基板にキャビティを形成する段階と、上記キャビティに上記積層セラミックキャパシタを実装する段階と、埋め込まれた基板にエポキシ材質のビルドアップフィルム(built−up film)を付着し、高温及び高圧で圧着する段階と、上記基板に上記積層セラミックキャパシタの外部電極が露出するようにビアホールを形成する段階と、上記ビアホールを導電性物質で充填させて積層セラミックキャパシタが埋め込まれた基板を製造する段階と、を含み、上記積層セラミックキャパシタは、第1及び第2外部電極のバンドの一端から他端までの距離をA、バンドの一端から1/2×Aの地点での第1及び第2めっき層の表面からセラミック本体の内側に垂直に3μm離隔された地点でセラミック本体の長さ方向に仮想線を引いたとき、上記仮想線が上記第1及び第2めっき層の表面と接する地点間の距離をBと規定すると、B/A≧0.6である埋め込み基板の製造方法を提供する。
【発明の効果】
【0028】
本発明の一実施形態によると、積層セラミックキャパシタのセラミック本体、外部電極及びめっき層の厚さ比率を調節することで、信頼性不良がなく、セラミック本体のクラック発生を減少させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0029】
図1】本発明の一実施形態による積層セラミックキャパシタを金属層を除いて概略的に示した斜視図である。
図2図1の側面図である。
図3】本発明の一実施形態による積層セラミックキャパシタの側断面図である。
図4】本発明の一実施形態によりセラミック本体の一端面に外部電極を形成する工程を概略的に示した模式図である。
図5図3の積層セラミックキャパシタに含まれる構成要素の寸法関係を説明するためにセラミック本体の一側部分とその周りに形成された一つの外部電極及びめっき層を示した側断面図である。
図6図3の積層セラミックキャパシタに含まれる構成要素の寸法関係を説明するためにセラミック本体の一側部分とその周りに形成された一つの外部電極及びめっき層を示した側断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0030】
以下では、添付の図面を参照し、本発明の好ましい実施形態について説明する。しかし、本発明の実施形態は様々な他の形態に変形されることができ、本発明の範囲は以下で説明する実施形態に限定されない。また、本発明の実施形態は、当該技術分野で平均的な知識を有する者に本発明をより完全に説明するために提供されるものである。図面における要素の形状及び大きさなどはより明確な説明のために誇張されることがある。
【0031】
本発明の実施形態を明確に説明するために六面体の方向を定義すると、図面上に表示されたL、W及びTは夫々長さ方向、幅方向及び厚さ方向である。ここで、厚さ方向は誘電体層が積層される積層方向と同じ概念で使用してもよい。
【0032】
また、本実施形態では、説明の便宜のために、セラミック本体の長さ方向に第1及び第2外部電極が形成される面を両端面と設定し、それと垂直に交差する面を左右側面と設定して併せて説明する。
【0033】
図1は本発明の一実施形態による積層セラミックキャパシタを金属層を除いて概略的に示した斜視図であり、図2図1の側面図であり、図3は本発明の一実施形態による積層セラミックキャパシタの側断面図である。
【0034】
図1図3を参照すると、本発明の一実施形態による積層セラミックキャパシタ100は、セラミック本体110と、第1及び第2内部電極121、122と、第1及び第2外部電極131、132と、第1及び第2めっき層141、142と、を含む。
【0035】
セラミック本体110は、第1及び第2主面110a、110bと、第1及び第2側面110c、110dを有する六面体に形成されてもよい。第1及び第2主面110a、110bは長さ方向L及び幅方向Wに沿って延長されてもよい。第1及び第2側面110c、110dは厚さ方向T及び長さ方向Lに沿って延長されてもよい。
【0036】
このようなセラミック本体110は、複数の誘電体層111を厚さ方向Tに積層してから焼成して形成されたもので、セラミック本体110の形状、寸法及び誘電体層111の積層数は、本実施形態に図示されたものに限定されない。
【0037】
また、セラミック本体110を形成する複数の誘電体層111は、焼結された状態であって、隣接する誘電体層111同士の境界は走査電子顕微鏡(SEM:Scanning Electron Microscope)を用いずには確認できないほどに一体化されていてもよい。
【0038】
該セラミック本体110は、キャパシタの容量形成に寄与する部分であるアクティブ領域と、上記アクティブ領域の上下部に夫々形成されて物理的または化学的ストレスによる第1及び第2内部電極121、122の損傷を防止する上部及び下部マージン部と、を含んでもよい。
【0039】
誘電体層111の厚さは、積層セラミックキャパシタ100の容量設計に合わせて任意に変更することができ、高誘電率を有するセラミック粉末、例えば、チタン酸バリウム(BaTiO)系またはチタン酸ストロンチウム(SrTiO)系粉末を含んでもよく、本発明はこれに限定されない。
【0040】
第1及び第2内部電極121、122は異なる極性を有する一対の電極であって、厚さ方向Tに積層される複数の誘電体層111上に導電性金属を含む導電性ペーストを所定の厚さに印刷し、誘電体層111の積層方向に沿ってセラミック本体110の両端面を通じて交互に露出するように形成されてもよく、中間に配置された誘電体層111により電気的に絶縁されてもよい。
【0041】
即ち、第1及び第2内部電極121、122は、セラミック本体110の両端面を通じて交互に露出する部分によってセラミック本体110の両端面に形成された第1及び第2外部電極131、132と夫々電気的に連結されてもよい。
【0042】
従って、第1及び第2外部電極131、132に電圧を印加すると、対向する第1及び第2内部電極121、122の間に電荷が蓄積され、このとき、積層セラミックキャパシタ100の静電容量は、第1及び第2内部電極121、122が重なる領域の面積に比例する。
【0043】
このような第1及び第2内部電極121、122の幅は、用途に応じて決定されるが、例えば、セラミック本体110のサイズを考慮して、0.2〜1.0μmの範囲内とすることができ、本発明はこれに限定されない。
【0044】
また、第1及び第2内部電極121、122を形成する導電性ペーストに含まれる導電性金属は、ニッケル(Ni)、銅(Cu)、パラジウム(Pd)またはこれらの合金であってもよく、本発明はこれに限定されない。
【0045】
また、上記導電性ペーストの印刷方法はスクリーン印刷法またはグラビア印刷法などを用いてもよく、本発明はこれに限定されない。
【0046】
第1及び第2外部電極131、132は、セラミック本体110の両端面にセラミック本体110の上下部を一部覆うように形成されてもよい。第1及び第2外部電極131、132は、セラミック本体110の第1及び第2主面110a、110bの一部を覆うバンド131a、131b、132a、132bと、セラミック本体110の長さ方向Lの両端面を覆う頭部131c、132cと、を含んでもよい。
【0047】
従来の外部電極の形成には、セラミック本体110を金属成分が含まれたペーストにディッピングする方法が主に用いられた。
【0048】
しかし、従来のディッピング方法は、ペーストの界面張力によって第1及び第2内部電極121、122が露出する下部側の頭部131c、132cより左右両側のバンド131a、131b、132a、132bがさらに厚く塗布されることがある。従って、第1及び第2外部電極131、132のバンド131a、131b、132a、132bの平坦度が低くなり、バンド131a、131b、132a、132bの端部の角度は高くなる。
【0049】
図4を参照すると、本実施形態では、上側に一対の空気供給孔を有するエアーブローイング装置200を備え、第2外部電極132をディッピングした後、ディッピングした第2外部電極132の両バンド132a、132b側に、空気供給孔を通じて空気を供給(air blowing)してもよい。
【0050】
このように空気が供給されると、第2外部電極132のバンド132a、132bに塗布されたペーストが下側の頭部132cに移動して高粘度のペーストを使用しなくてもバンド132a、132bの平坦度を上げることができ、バンド132a、132bの端部の角度を下げることができる。
【0051】
このとき、供給される空気の流速と方向を調節すると、第2外部電極132のバンド132a、132bの表面平坦度、及びセラミック本体110に対する第2外部電極132の角度を調節することができる。
【0052】
図4の説明していない図面符号ABは、エアーブローイング装置200により下側に供給される空気の方向を示す。また、図6には第2外部電極132だけが示されているが、第1外部電極131もこれと同様の方法でバンド131a、131bの表面平坦度と角度を制御することができる。
【0053】
第1及び第2めっき層141、142は、銅(Cu)を主成分とすることができ、セラミック本体110の両端面に第1及び第2外部電極131、132の頭部131c、132cとバンド131a、131b、132a、132bを全て覆うように形成されてもよい。
【0054】
図5及び図6は、図3の積層セラミックキャパシタに含まれる構成要素の寸法関係を説明するためにセラミック本体の一側部分とその周りに形成された一つの外部電極及びめっき層を示した側断面図である。
【0055】
以下、図5及び図6を参照して、本実施形態による積層セラミックキャパシタ100において、外部電極のバンドの平坦度及び角度とビアクラック及びデラミネーションの発生頻度の関係を説明する。
【0056】
本実施形態の積層セラミックキャパシタ100を基板に埋め込む過程について説明すると、まず、基板に積層セラミックキャパシタを埋め込むためのキャビティ(cavity)を形成する。その後、基板の片面に接着テープを付着し、上記積層セラミックキャパシタをキャビティに実装する。次いで、エポキシ材質のビルドアップフィルム(built−up film)を積層セラミックキャパシタが埋め込まれた基板の他面に付着して高温及び高圧で圧着する。それから、基板の片面に付着されたテープを除去し、該テープが除去された面にエポキシ材質のビルドアップフィルムを付着して高温及び高圧で圧着する過程からなる。
【0057】
本実施形態により製造された積層セラミックキャパシタ100を基板に埋め込んだ後、レーザーでビアホールを加工し、上記ビアホールをめっき処理してから、リフロー(reflow)過酷試験を行った。その後、外部電極の曲率による平坦度を計算し、それぞれの平坦度において、リフロー後に発生するクラックの頻度数を確認した。
【0058】
このとき、第1及び第2外部電極131、132のバンド131a、131b、132a、132bの一端から他端までの距離をA、バンド131a、131b、132a、132bの一端から1/2×Aの地点での第1及び第2めっき層141、142の表面からセラミック本体110に向かって積層方向に3μm離隔された地点でセラミック本体110の長さ方向に仮想線を引いたとき、上記仮想線が第1及び第2めっき層141、142の表面と交わる地点間の距離をBと規定する。
【0059】
下記表1は、めっきが完了した基板を260℃及び10分の条件で5回連続リフローした後、ビア電極のクラック頻度数を確認した結果を示したものである。
【0060】
【表1】
【0061】
上記表1を参照すると、外部電極のバンドの平坦度が55%以下では、ビア電極にクラックが発生することが分かる。また、平坦度が低くなるほど、ビア電極のクラック発生率が増加することが分かる。従って、ビア電極にクラックが発生しない好ましい外部電極のバンドの平坦度は、60%以上であることが分かる。
【0062】
一方、エアーブローイング(air blowing)工法を利用してセラミック本体100と第2外部電極132がなす角度を多様に調節した後、めっきして第2めっき層142を形成し積層セラミックキャパシタ100を作製した。それから、基板に埋め込み、リフロー(reflow)過酷試験を行った。
【0063】
このとき、上記第1及び第2外部電極のバンドの一端をP、Pから1/10×A分だけセラミック本体の長さ方向に離隔された地点をQ、Qからセラミック本体の厚さ方向に垂直に仮想線を引いたとき、上記仮想線が第1及び第2めっき層の表面と交わる地点をRと規定する。線分PQと線分PRが成す角度(θ)を計算した後、それぞれの角度において、リフロー後に発生するセラミック本体と外部電極のデラミネーションの頻度数を確認した。
【0064】
下表2は、めっきが完了した基板を260℃及び10分の条件で、5回連続リフローした後、基板の断面を観察してデラミネーションの頻度数を確認した結果を示したものである。
【0065】
【表2】
【0066】
上記表2を参照すると、外部電極のバンドの端部の角度が35度まではデラミネーションが発生しなかった。しかし、外部電極のバンドの端部の角度が40度以上の場合は、デラミネーションが発生し、外部電極のバンドの端部の角度が大きくなるほど、デラミネーションの発生頻度数が増加した。従って、デラミネーションが発生しないためには、外部電極の端部の角度(θ)が35度以下でなければならないことが分かる。
【0067】
以上、本発明の実施形態について詳細に説明したが、本発明の権利範囲はこれに限定されず、特許請求の範囲に記載された本発明の技術的思想から外れない範囲内で多様な修正及び変形が可能であるということは、当技術分野の通常の知識を有する者には明らかである。
「項目1」
複数の誘電体層が積層されたセラミック本体と、
前記誘電体層を介して前記セラミック本体の両端面を通じて交互に露出するように形成された複数の第1及び第2内部電極と、
前記セラミック本体の両端面に形成され、前記第1及び第2内部電極と夫々電気的に連結された第1及び第2外部電極と、
前記第1及び第2外部電極の周りを包むように形成された第1及び第2めっき層と、を含み、
前記第1及び第2外部電極のバンドの一端から他端までの距離をA、バンドの一端から1/2×Aの地点での前記第1及び第2めっき層の表面から前記セラミック本体の内側に垂直に3μm離隔された地点で前記セラミック本体の長さ方向に仮想線を引いたとき、前記仮想線が前記第1及び第2めっき層の表面と接する地点間の距離をBと規定すると、B/A≧0.6である基板内蔵用積層セラミックキャパシタ。
「項目2」
前記第1及び第2外部電極のバンドの一端をP、前記Pから1/10×A分だけ離隔された地点をQ、前記Qからセラミック本体の厚さ方向に垂直に仮想線を引いたとき、前記仮想線が前記第1及び第2めっき層の表面と接する地点をRと規定すると、線分PQと線分PRが成す角度(θ)は、θ≦35°であることを特徴とする、項目1に記載の基板内蔵用積層セラミックキャパシタ。
「項目3」
前記セラミック本体の厚さは80μm以下であることを特徴とする、項目1に記載の基板内蔵用積層セラミックキャパシタ。
「項目4」
複数のセラミックグリーンシートを設ける段階と、
前記それぞれのセラミックグリーンシート上に導電性ペーストを利用して対向する方向に露出した複数の第1及び第2内部電極をそれぞれ形成する段階と、
前記第1及び第2内部電極が厚さ方向に沿って交互に配置されるように複数のセラミックグリーンシートを積層して積層体を形成する段階と、
前記積層体を焼成してセラミック本体を形成する段階と、
前記セラミック本体の両端面に前記第1及び第2内部電極の露出した部分と接触して電気的に連結されるように第1及び第2外部電極を形成する段階と、
前記第1及び第2外部電極の周りを包むように第1及び第2めっき層を形成する段階と、を含み、
前記第1及び第2外部電極のバンドの一端から他端までの距離をA、バンドの一端から1/2×Aの地点での前記第1及び第2めっき層の表面から前記セラミック本体の内側に垂直に3μm離隔された地点で前記セラミック本体の長さ方向に仮想線を引いたとき、前記仮想線が前記第1及び第2めっき層の表面と接する地点間の距離をBと規定すると、B/A≧0.6である基板内蔵用積層セラミックキャパシタの製造方法。
「項目5」
前記第1及び第2外部電極のバンドの一端をP、前記Pから1/10×A分だけ離隔された地点をQ、前記Qからセラミック本体の厚さ方向に垂直に仮想線を引いたとき、前記仮想線が前記第1及び第2めっき層の表面と接する地点をRと規定すると、線分PQと線分PRが成す角度(θ)は、θ≦35°であることを特徴とする、項目4に記載の基板内蔵用積層セラミックキャパシタの製造方法。
「項目6」
前記積層体を形成する段階において、前記積層体の厚さが80μm以下になるよう積層することを特徴とする、項目4に記載の基板内蔵用積層セラミックキャパシタの製造方法。
「項目7」
前記第1及び第2外部電極を形成する段階は、前記セラミック本体の両端をペーストにディッピングして第1及び第2外部電極を形成する段階及び前記第1及び第2外部電極のバンド側にエアーブローイング(air blowing)をする段階を含むことを特徴とする、項目4に記載の基板内蔵用積層セラミックキャパシタの製造方法。
「項目8」
前記エアーブローイング段階は、エアーブローイングの流速と方向を調節して、前記第1及び第2外部電極のバンドの表面平坦度及び前記セラミック本体と前記第1及び第2外部電極間の角度を制御することを特徴とする、項目7に記載の基板内蔵用積層セラミックキャパシタの製造方法。
「項目9」
積層セラミックキャパシタを設ける段階と、
基板にキャビティを形成する段階と、
前記キャビティに前記積層セラミックキャパシタを実装する段階と、
埋め込まれた基板にエポキシ材質のビルドアップフィルム(built−up film)を付着し、高温及び高圧で圧着する段階と、
前記基板に前記積層セラミックキャパシタの外部電極が露出するようにビアホールを形成する段階と、
前記ビアホールを導電性物質で充填させて積層セラミックキャパシタが埋め込まれた基板を製造する段階と、を含み、
前記積層セラミックキャパシタは、第1及び第2外部電極のバンドの一端から他端までの距離をA、バンドの一端から1/2×Aの地点での第1及び第2めっき層の表面からセラミック本体の内側に垂直に3μm離隔された地点でセラミック本体の長さ方向に仮想線を引いたとき、前記仮想線が前記第1及び第2めっき層の表面と接する地点間の距離をBと規定すると、B/A≧0.6である埋め込み基板の製造方法。
「項目10」
前記第1及び第2外部電極のバンドの一端をP、前記Pから1/10×A分だけ離隔された地点をQ、前記Qからセラミック本体の厚さ方向に垂直に仮想線を引いたとき、前記仮想線が前記第1及び第2めっき層の表面と接する地点をRと規定すると、線分PQと線分PRが成す角度(θ)は、θ≦35°であることを特徴とする、項目9に記載の埋め込み基板の製造方法。
【符号の説明】
【0068】
100 積層セラミックキャパシタ
110 セラミック本体
111 誘電体層
121、122 第1及び第2内部電極
131、132 第1及び第2外部電極
131a、131b、132a、132b バンド
131c、132c 頭部
200 エアーブローイング装置
図1
図2
図3
図4
図5
図6