【解決手段】本発明は、誘電体層を含み、対向する第1及び第2主面、対向する第1側面及び第2側面、及び対向する第1及び第2端面を有するセラミック本体と、上記誘電体層を介して上記セラミック本体の両端面を通じて交互に露出するように形成された複数の第1及び第2内部電極を含んで容量が形成されるアクティブ層と、上記アクティブ層の上部及び下部に形成された上部及び下部カバー層と、上記セラミック本体の両側端部に形成された第1及び第2外部電極と、を含み、上記第1外部電極は第1ベース電極及び上記第1ベース電極上に形成された第1端子電極を含み、上記第2外部電極は第2ベース電極及び上記第2ベース電極上に形成された第2端子電極を含み、上記上部及び下部カバー層の厚さをtcとすると、4μm≦tc≦20μmを満たす、基板内蔵用積層セラミック電子部品を提供する。
前記第1及び第2内部電極のうちの最上部の内部電極の位置で前記セラミック本体の長さ方向に仮想線を引いたときに対応する前記第1及び第2ベース電極の領域の厚さをtaとすると、10μm≦ta≦50μmを満たす、請求項1に記載の基板内蔵用積層セラミック電子部品。
前記第1及び第2端子電極の表面粗度をRa及び前記第1及び第2端子電極の厚さをtpとすると、200nm≦Ra≦tpを満たす、請求項1から4のいずれか1項に記載の基板内蔵用積層セラミック電子部品。
前記第1及び第2内部電極のうちの最上部の内部電極の位置で前記セラミック本体の長さ方向に仮想線を引いたときに対応する前記第1及び第2ベース電極の領域の厚さをtaとすると、10μm≦ta≦50μmを満たす、請求項8に記載の積層セラミック電子部品内蔵型印刷回路基板。
前記第1及び第2端子電極の表面粗度をRa及び前記第1及び第2端子電極の厚さをtpとすると、200nm≦Ra≦tpを満たす、請求項8から11のいずれか1項に記載の積層セラミック電子部品内蔵型印刷回路基板。
【背景技術】
【0002】
電子回路が高密度化及び高集積化するにつれ、印刷回路基板に実装される受動素子の実装空間が足りなくなる問題を解決すべく、基板中に内蔵される部品、即ち、埋め込み素子(embedded device)を具現するための努力が続けられている。特に、容量性部品として用いられる積層セラミック電子部品を基板の内部に内蔵する様々な方案が提示されている。
【0003】
基板内に積層セラミック電子部品を内蔵する方法としては、基板材料そのものを積層セラミック電子部品用誘電体材料として使用し、銅配線などを積層セラミック電子部品用電極として使用する方法がある。また、基板内蔵用積層セラミック電子部品を具現するための他の方案としては、高誘電率の高分子シートや薄膜の誘電体を基板の内部に形成して基板内蔵用積層セラミック電子部品を形成する方法、及び積層セラミック電子部品を基板内に内蔵する方法などがある。
【0004】
通常、積層セラミック電子部品は、セラミック材質からなる複数個の誘電体層と、該複数個の誘電体層の間に挿入された内部電極と、を備える。このような積層セラミック電子部品を基板の内部に配置させることで、高い静電容量を有する基板内蔵用積層セラミック電子部品を具現することができる。
【0005】
基板内蔵用積層セラミック電子部品を備える印刷回路基板を製造するためには、積層セラミック電子部品をコア基板の内部に挿入した後、基板配線と積層セラミック電子部品の外部電極を連結するためにレーザーを利用して上部積層板及び下部積層板にビアホール(via hole)を穿孔しなければならない。このようなレーザー加工は、印刷回路基板の製造費用をかなり増加させる要因となる。
【0006】
一方、基板内蔵用積層セラミック電子部品は、基板内のコア部分に内蔵しなければならないため、基板の表面に実装する通常の積層セラミック電子部品とは違って外部電極上にニッケル/すず(Ni/Sn)めっき層を必要としない。
【0007】
即ち、基板内蔵用積層セラミック電子部品の外部電極は、基板内の回路と銅(Cu)材質のビア(via)を通じて電気的に連結されるため、ニッケル/すず(Ni/Sn)層の代わりに銅(Cu)層が上記外部電極上に必要である。
【0008】
通常の上記外部電極も銅(Cu)を主成分とするが、ガラス(glass)が含まれており、基板内のビア(via)の形成に用いられるレーザー加工時に、上記ガラスに含まれる成分が上記レーザーを吸収するため、ビアの加工深さが調節できなくなるという問題がある。
【0009】
該理由で、基板内蔵用積層セラミック電子部品の外部電極上には銅(Cu)めっき層を別に形成している。
【0010】
一方、基板内蔵用積層セラミック電子部品は、メモリーカード、PCメインボード及び各種RFモジュールに用いられる印刷回路基板に内蔵されることで、実装型積層セラミック電子部品に比べて、製品のサイズを画期的に減少させることができる。
【0011】
また、MPUのような能動素子の入力端子と非常に近接距離に配置されることができるため、導線長さによる相互連結インダクタンス(interconnect inductance)を低減させることができる。
【0012】
このような基板内蔵用積層セラミック電子部品におけるインダクタンス低減効果は、内蔵方式という固有の配置関係により得られる相互連結インダクタンスの低減による効果に過ぎず、未だに基板内蔵用積層セラミック電子部品自体のESL特性の改善には至っていない。
【0013】
一般的に、基板内蔵用積層セラミック電子部品において、ESLを低くするためには、積層セラミック電子部品内部の電流経路を短くする必要がある。
【0014】
しかし、基板内蔵用積層セラミック電子部品の外部電極上に銅(Cu)めっき層を別に形成するため、外部電極の内部にめっき液が浸透する問題があり、内部の電流経路を短縮することが容易でない。
【発明を実施するための形態】
【0034】
以下では、添付の図面を参照し、本発明の好ましい実施形態について説明する。しかし、本発明の実施形態は様々な他の形態に変形されることができ、本発明の範囲は以下で説明する実施形態に限定されない。また、本発明の実施形態は、当該技術分野で平均的な知識を有する者に本発明をより完全に説明するために提供されるものである。図面における要素の形状及び大きさなどはより明確な説明のために誇張されることがある。
【0035】
基板内蔵用積層セラミック電子部品
図1は本発明の一実施形態による基板内蔵用積層セラミック電子部品を示す斜視図であり、
図2は
図1のX−X'断面図であり、
図3は
図2のA領域の拡大図である。
【0036】
図1〜
図3を参照すると、本発明の一実施形態による基板内蔵用積層セラミック電子部品は誘電体層11を含み、対向する第1及び第2主面、対向する第1側面及び第2側面、及び対向する第1及び第2端面を有するセラミック本体10と、上記誘電体層11を介して上記セラミック本体10の両端面に交互に露出するように形成された複数の第1及び第2内部電極21、22を含んで容量が形成されるアクティブ層と、上記アクティブ層の上部及び下部に形成された上部及び下部カバー層と、上記セラミック本体10の両側端部に形成された第1及び第2外部電極31、32と、を含み、上記第1外部電極31は第1ベース電極31a及び上記第1ベース電極31a上に形成された第1端子電極31bを含み、上記第2外部電極32は第2ベース電極32a及び上記第2ベース電極32a上に形成された第2端子電極32bを含み、上記上部及び下部カバー層の厚さをtcとすると、4μm≦tc≦20μmを満たすことができる。
【0037】
以下では、本発明の一実施形態による積層セラミック電子部品を、特に積層セラミックキャパシタで説明するが、これに制限されない。
【0038】
本発明の一実施形態による積層セラミックキャパシタでは、
図1を参照して、「長さ方向」は「L」方向、「幅方向」は「W」方向、「厚さ方向」は「T」方向と定義する。ここで、「厚さ方向」は、誘電体層を積み上げる方向、即ち、「積層方向」と同じ概念で使用してもよい。
【0039】
本発明の一実施形態において、セラミック本体10の形状は、特に制限されないが、図示されたように六面体状であってもよい。
【0040】
本発明の一実施形態におけるセラミック本体10は、対向する第1及び第2主面、対向する第1側面及び第2側面、及び対向する第1及び第2端面を有することができ、上記第1及び第2主面は、上記セラミック本体10の上面及び下面と表現されてもよい。
【0041】
上記セラミック本体10の厚さtsは250μm以下であってもよい。
【0042】
上記のようにセラミック本体10の厚さtsを250μm以下に製作することで、基板内蔵用積層セラミックキャパシタに相応しくなる。
【0043】
また、上記セラミック本体10の厚さtsは、上記第1主面及び第2主面間の距離であってもよい。
【0044】
本発明の一実施形態によると、上記誘電体層11を形成する原料は、十分な静電容量が得られれば、特に制限されず、例えば、チタン酸バリウム(BaTiO
3)粉末であってもよい。
【0045】
上記誘電体層11を形成する材料は、チタン酸バリウム(BaTiO
3)などの粉末に、本発明の目的に合わせて多様なセラミック添加剤、有機溶剤、可塑剤、結合剤、分散剤などを添加してもよい。
【0046】
上記誘電体層11の形成に用いられるセラミック粉末の平均粒径は、特に制限されず、本発明の目的を達成するために調節してもよいが、例えば、400nm以下に調節されることができる。
【0047】
このようなセラミック本体10は、キャパシタの容量形成に寄与する部分としてのアクティブ層と、上下マージン部としてアクティブ層の上下部にそれぞれ形成される上部及び下部カバー層と、で構成されてもよい。
【0048】
上記アクティブ層は、誘電体層11を介して複数の第1及び第2内部電極21、22を繰り返し積層して形成されてもよい。
【0049】
上記上部及び下部カバー層は内部電極を含まないことを除き、誘電体層11と同じ材質及び構成を有することができる。
【0050】
上記上部及び下部カバー層は、単一誘電体層または2個以上の誘電体層をアクティブ層の上下面にそれぞれ上下方向に積層して形成することができ、基本的に物理的または化学的ストレスによる内部電極の損傷を防止する役割をすることができる。
【0051】
特に、基板内蔵用積層セラミック電子部品の場合には、外部電極上に銅(Cu)めっき層を別に形成するため、めっき液の浸透による内部電極の損傷が発生する恐れがある。
【0052】
そのため、一般的な基板内蔵用積層セラミック電子部品は、上部及び下部カバー層を厚く形成し、上記めっき液の浸透による内部電極の損傷を防止している。
【0053】
しかし、上記のように上部及び下部カバー層を厚く形成すると、基板内蔵用積層セラミック電子部品内部の電流経路が長くなり、等価直列インダクタンス(ESL)を低減させることが容易でないという問題があった。
【0054】
本発明の一実施形態によると、上記上部及び下部カバー層の厚さをtcとすると、4μm≦tc≦20μmを満たすことができる。
【0055】
上記上部及び下部カバー層の厚さtcが4μm≦tc≦20μmを満たすように調節することで、基板内蔵用積層セラミック電子部品内部の電流経路(Current Path)を短縮して、等価直列インダクタンス(ESL)を減少させることができる。
【0056】
上記上部及び下部カバー層の厚さtcが4μm未満では、カバー層が薄すぎて耐湿特性が悪くなり、信頼性が問題となることがある。
【0057】
一方、上記上部及び下部カバー層の厚さtcが20μmを超えると、基板内蔵用積層セラミック電子部品内部の電流経路が長くなり、等価直列インダクタンス(ESL)を低減させることができず、容量具現が困難であるという問題がある。
【0058】
一方、上記第1及び第2内部電極21、22は異なる極性を有する一対の電極であって、誘電体層11上に導電性金属を含む導電性ペーストを所定の厚さに印刷して形成してもよい。
【0059】
また、上記第1及び第2内部電極21、22は、誘電体層11の積層方向に沿って両端面に交互に露出するように形成されてもよく、中間に配置された誘電体層11により電気的に絶縁されてもよい。
【0060】
即ち、第1及び第2内部電極21、22は、セラミック本体10の両端面に交互に露出する部分を通じて第1及び第2外部電極31、32とそれぞれ電気的に連結されることができる。
【0061】
従って、第1及び第2外部電極31、32に電圧を印加すると、対向する第1及び第2内部電極21、22の間に電荷が蓄積され、このとき、積層セラミックキャパシタ1の静電容量は、第1及び第2内部電極21、22が互いに重なる領域の面積に比例する。
【0062】
また、上記第1及び第2内部電極21、22を形成する導電性ペーストに含まれる導電性金属は、ニッケル(Ni)、銅(Cu)、パラジウム(Pd)、またはこれらの合金であってもよく、本発明はこれに限定されない。
【0063】
また、上記導電性ペーストの印刷方法は、スクリーン印刷法またはグラビア印刷法などを用いてもよく、本発明はこれに限定されない。
【0064】
本発明の一実施形態によると、上記セラミック本体10の両側端部には第1及び第2外部電極31、32が形成されてもよい。
【0065】
上記第1外部電極31は、上記第1内部電極21と電気的に連結される第1ベース電極31aと、上記第1ベース電極31a上に形成される第1端子電極31bと、を含んでもよい。
【0066】
また、上記第2外部電極32は、上記第2内部電極22と電気的に連結される第2ベース電極32aと、上記第2ベース電極32a上に形成される第2端子電極32bと、を含んでもよい。
【0067】
以下では、上記第1及び第2外部電極31、32の構造について詳しく説明する。
【0068】
上記第1及び第2ベース電極31a、32aは、第1導電性金属及びガラスを含んでもよい。
【0069】
静電容量の形成のために、上記第1及び第2外部電極31、32が上記セラミック本体10の両端面に形成されてもよく、上記第1及び第2外部電極31、32に含まれる上記第1及び第2ベース電極31a、32aが上記第1及び第2内部電極21、22と電気的に連結されてもよい。
【0070】
上記第1及び第2ベース電極31a、32aは、上記第1及び第2内部電極21、22と同じ材質の導電性物質で形成されてもよいが、これに制限されず、例えば、銅(Cu)、銀(Ag)、ニッケル(Ni)及びこれらの合金からなる群より選択された少なくとも一つの第1導電性金属で形成されてもよい。
【0071】
上記第1及び第2ベース電極31a、32aは、上記第1導電性金属粉末にガラスフリットを添加して用意した導電性ペーストを塗布してから焼成することで、形成されることができる。
【0072】
本発明の一実施形態によると、上記第1及び第2外部電極31、32は、上記第1及び第2ベース電極31a、32a上に形成される第1及び第2端子電極31b、32bを含んでもよい。
【0073】
上記第1及び第2端子電極31b、32bは、第2導電性金属からなってもよい。
【0074】
上記第2導電性金属は特に制限されないが、例えば、銅(Cu)であってもよい。
【0075】
一般的に、積層セラミックキャパシタは印刷回路基板上に実装されるため、通常、外部電極上にニッケル/すずめっき層を形成する。
【0076】
しかし、本発明の一実施形態による積層セラミックキャパシタは、印刷回路基板内蔵用であって、基板上に実装せず、上記積層セラミックキャパシタの上記第1外部電極31及び第2外部電極32と基板の回路とが銅(Cu)材質であるビア(via)を通じて電気的に連結される。
【0077】
従って、本発明の一実施形態によると、上記第1及び第2端子電極31b、32bは、上記基板内のビアの材質である銅(Cu)と電気的連結性のよい銅(Cu)からなってもよい。
【0078】
一方、上記第1ベース電極31a及び第2ベース電極32aも銅(Cu)を主成分としているが、ガラス(glass)が含まれており、基板内のビア(via)の形成に用いられるレーザー加工時、上記ガラスに含まれる成分が上記レーザーを吸収するため、ビアの加工深さを調節することができないという問題がある。
【0079】
そのような理由から、基板内蔵用積層セラミック電子部品の上記第1及び第2端子電極31b、32bは銅(Cu)からなる。
【0080】
上記第1及び第2端子電極31b、32bを形成する方法は特に制限されず、例えば、めっきにより形成してもよい。
【0081】
焼成後の上記第1及び第2端子電極31b、32bは、銅(Cu)のみからなっており、ガラスフリットを含まないため、基板内のビア(via)形成に用いられるレーザー加工時、上記ガラスに含まれる成分が上記レーザーを吸収することによって、ビアの加工深さを調節することができないという問題が生じない。
【0082】
一方、本発明の一実施形態によると、上記第1及び第2内部電極21、22のうちの最上部の内部電極の位置で上記セラミック本体10の長さ方向に仮想線を引いたときに対応する上記第1及び第2ベース電極31a、32aの領域の厚さをtaとすると、10μm≦ta≦50μmを満たすことができる。
【0083】
上述したように、基板内蔵用積層セラミック電子部品内部の電流経路(Current Path)を短縮して等価直列インダクタンス(ESL)を減少させるために、上記上部及び下部カバー層の厚さtcが4μm≦tc≦20μmを満たすように調節すると、外部電極の内部にめっき液が浸透する恐れがある。
【0084】
即ち、上記上部及び下部カバー層の厚さが減少するにつれ、第1及び第2内部電極の最上部の内部電極で上記セラミック本体の長さ方向に仮想線を引いたときに対応する第1及び第2ベース電極領域の厚さが薄くなるため、めっき液の浸透が容易になる。
【0085】
しかし、本発明の一実施形態によると、上記第1及び第2内部電極21、22の最上部の内部電極で上記セラミック本体10の長さ方向に仮想線を引いたときに対応する上記第1及び第2ベース電極31a、32aの領域の厚さをtaとすると、10μm≦ta≦50μmを満たすように調節することで、めっき液の浸透を防ぐことができる。
【0086】
即ち、上記上部及び下部カバー層の厚さtcを減少させて等価直列インダクタンス(ESL)を減少させるとともに、上記第1及び第2ベース電極31a、32aの領域の厚さを調節することで、めっき液の浸透を防ぎ、信頼性に優れた基板内蔵用積層セラミック電子部品を具現することができる。
【0087】
上記第1及び第2内部電極21、22の最上部の内部電極で上記セラミック本体10の長さ方向に仮想線を引いたときに対応する上記第1及び第2ベース電極31a、32aの領域の厚さtaが10μm未満では、めっき液が浸透して信頼性に問題が生じる恐れがある。
【0088】
上記第1及び第2内部電極21、22の最上部の内部電極で上記セラミック本体10の長さ方向に仮想線を引いたときに対応する上記第1及び第2ベース電極31a、32a領域の厚さtaが50μmを超えると、容量を具現する空間が減少して高容量電子部品を具現することが困難である。
【0089】
また、高容量電子部品を具現するために誘電体層を薄くすると、信頼性が低下する恐れがある。
【0090】
一方、上記第1及び第2端子電極31b、32bの厚さをtpとすると、tp≧5μmを満たすことができる。
【0091】
上記第1及び第2端子電極31b、32bの厚さtpはtp≧5μmを満たすことができるが、これに制限されず、上記第1及び第2端子電極31b、32bの厚さtpは15μm以下であってもよい。また、厚さtpは、セラミック本体10の端面上の第1及び第2端子電極31b、32bの厚さであってもよい。
【0092】
上記のように第1及び第2端子電極31b、32bの厚さtpがtp≧5μmを満たし、15μm以下になるように調節することで、基板内のビア加工に優れ、信頼性に優れた積層セラミックキャパシタを具現することができる。
【0093】
第1及び第2端子電極31b、32bの厚さtpが5μm未満では、後述するように積層セラミック電子部品を印刷回路基板に内蔵するために導電性ビアホールを加工するとき、セラミック本体10まで導電性ビアホールが連結される不良が発生するという問題点がある。
【0094】
第1及び第2端子電極31b、32bの厚さtpが15μmを超えると、第1及び第2端子電極31b、32bの応力によってセラミック本体10にクラックが発生する可能性がある。
【0095】
一方、
図2及び
図3を参照すると、本発明の一実施形態による積層セラミック電子部品は、上記第1及び第2端子電極31b、32bの表面粗度をRa及び上記第1及び第2端子電極31b、32bの厚さをtpとすると、200nm≦Ra≦tpを満たすことができる。
【0096】
上記第1及び第2端子電極31b、32bの表面粗度Raが200nm≦Ra≦tpを満たすように調節することで、積層セラミック電子部品と基板との剥離現象を改善しクラックを防止することができる。
【0097】
表面粗度とは、金属表面を加工する時に表面に生じる微細な凹凸の程度を指すもので、表面粗さともいう。
【0098】
表面粗度は、加工に用いられる工具、加工法の適否、表面のスクラッチ、錆などにより生じるもので、粗さの程度を表すために表面を切断してその断面を見ると、ある曲線を成しているが、その曲線の低点と高点の平均を中心線平均粗さとし、Raと表示する。
【0099】
本発明では、上記第1及び第2端子電極31b、32bの中心線平均粗さをRaと規定する。
【0100】
具体的には、上記第1及び第2端子電極31b、32bの中心線平均粗さRaを算出する方法は、上記第1及び第2端子電極31b、32bの一表面に形成されている粗度に対して仮想の中心線を引くことができる。
【0101】
次に、上記粗度の仮想の中心線を基準にそれぞれの距離(例えば、r
1、r
2、r
3・・・r
13)を測定した後、下式のように、各距離の平均値を求めて算出した値により第1及び第2端子電極31b、32bの中心線平均粗さRaを算出することができる。
【0103】
上記第1及び第2端子電極31b、32bの中心線平均粗さRaを200nm≦Ra≦tpの範囲に調節することで、耐電圧特性に優れ、積層セラミック電子部品と基板との接着力が向上した信頼性に優れた積層セラミック電子部品を具現することができる。
【0104】
上記第1及び第2端子電極31b、32bの表面粗度が200nm未満では、積層セラミック電子部品と基板との剥離現象が問題となる恐れがある。
【0105】
一方、上記第1及び第2端子電極31b、32bの表面粗度が第1及び第2端子電極31b、32bの厚さtpを超えると、クラックが発生する恐れがある。
【0106】
以下では、本発明の一実施形態による基板内蔵用積層セラミック電子部品の製造方法について説明するが、これに制限されない。
【0107】
本発明の一実施形態による基板内蔵用積層セラミック電子部品の製造方法は、まず、チタン酸バリウム(BaTiO
3)などの粉末を含んで形成されたスラリーをキャリアフィルム(carrier film)上に塗布及び乾燥して複数個のセラミックグリーンシートを用意する。これを用いて誘電体層を形成することができる。
【0108】
上記セラミックグリーンシートはセラミック粉末、バインダー、溶剤を混合してスラリーを製造し、上記スラリーをドクターブレード法で数μm厚さのシート(sheet)状に製作することができる。
【0109】
次に、ニッケル粒子の平均サイズが0.1〜0.2μmで、40〜50重量部のニッケル粉末を含む内部電極用導電性ペーストを用意することができる
【0110】
上記セラミックグリーンシート上に上記内部電極用導電性ペーストをスクリーン印刷工法で塗布して内部電極を形成した後、400〜500層積層してセラミック本体10を製作することができる。
【0111】
本発明の一実施形態による積層セラミックキャパシタにおいて、上記第1及び第2内部電極21、22は上記セラミック本体10の両端面にそれぞれ露出するように形成されてもよい。
【0112】
次に、上記セラミック本体10の端部に第1導電性金属及びガラスを含む第1ベース電極及び第2ベース電極を形成することができる。
【0113】
上記第1導電性金属は特に制限されないが、例えば、銅(Cu)、銀(Ag)、ニッケル(Ni)及びこれらの合金からなる群より選択された少なくとも一つであってもよい。
【0114】
上記ガラスは特に制限されず、一般的な積層セラミックキャパシタの外部電極の製作に用いられるガラスと同じ組成の物質を使用してもよい。
【0115】
上記第1及び第2ベース電極は上記セラミック本体の端部に形成され、上記第1及び第2内部電極とそれぞれ電気的に連結されることができる。
【0116】
次に、上記第1ベース電極及び第2ベース電極上に第2導電性金属からなるめっき層を形成することができる。
【0117】
上記第2導電性金属は特に制限されないが、例えば、銅(Cu)であってもよい。
【0118】
上記めっき層は、第1及び第2端子電極であってもよい。
【0119】
その他、上述した本発明の一実施形態による基板内蔵用積層セラミック電子部品の特徴と同じ部分に対してはその説明を省略する。
【0120】
以下、実施例を挙げて本発明をさらに詳しく説明するが、本発明はこれに制限されない。
【0121】
(実施例1)
本発明の実施形態による基板内蔵用積層セラミック電子部品の上部及び下部カバー層の厚さ及び第1及び第2ベース電極の厚さによる耐湿負荷信頼性及び等価直列インダクタンス(ESL)を調べた。
【0122】
また、第1及び第2端子電極31b、32bの厚さによるビア加工不良の発生有無と第1及び第2端子電極31b、32bの表面粗度による接着面の剥離発生頻度を確認するために、モバイルフォンマザーボード用チップ部品の通常条件である85℃、相対湿度85%で積層セラミック電子部品が内蔵された基板を、30分間放置した後、それぞれの実験を行って調査した。
【0123】
下表1には、上部及び下部カバー層の厚さ及び第1及び第2ベース電極の厚さによる耐湿負荷信頼性及び等価直列インダクタンス(ESL)を示した。
【0124】
【表1】
×:不良率50%以上
△:不良率10%〜50%
○:不良率0.01%〜10%
◎:不良率0.01%未満
【0125】
上記表1を参照すると、上部及び下部カバー層の厚さtcが4μm≦tc≦20μmを満たし、且つ第1及び第2内部電極のうちの最上部の内部電極の位置で上記セラミック本体10の長さ方向に仮想線を引いたときに対応する第1及び第2ベース電極の領域の厚さtaが10μm以上の場合、耐湿負荷信頼性に優れ、等価直列インダクタンス(ESL)が低減することが分かる。
【0126】
一方、上部及び下部カバー層の厚さtcが4μm未満、且つ第1及び第2ベース電極領域の厚さtaが10μm未満では、耐湿負荷信頼性に問題がある。
【0127】
一方、上部及び下部カバー層の厚さtcが20μmを超えると、等価直列インダクタンス(ESL)の低減効果がないことが分かる。
【0128】
下表2には、第1及び第2端子電極31b、32bの厚さによるビア加工不良の発生有無を示した。
【0129】
【表2】
×:不良率50%以上
△:不良率10%〜50%
○:不良率0.01%〜10%
◎:不良率0.01%未満
【0130】
上記表2を参照すると、上記第1及び第2端子電極31b、32bの厚さが5μm以上の場合に基板内のビア加工に優れ、信頼性に優れた積層セラミックキャパシタを具現することができることが分かる。
【0131】
一方、上記第1及び第2端子電極31b、32bの厚さが5μm未満では、基板内のビア加工時に不良が発生し得ることが分かる。
【0132】
下表3には、第1及び第2端子電極31b、32bの表面粗度による接着面の剥離不良の発生頻度を示した。
【0133】
【表3】
×:不良率50%以上
△:不良率10%〜50%
○:不良率0.01%〜10%
◎:不良率0.01%未満
【0134】
上記表3を参照すると、上記第1及び第2端子電極31b、32bの表面粗度が200nm以上の場合に接着面の剥離不良の発生頻度が少なくて、信頼性に優れた積層セラミックキャパシタを具現することができることが分かる。
【0135】
一方、上記第1及び第2端子電極31b、32bの表面粗度が200nm未満では、接着面の剥離不良の発生頻度が増加して信頼性に問題がある。
【0136】
積層セラミック電子部品内蔵型印刷回路基板
図4は本発明の一実施形態による積層セラミック電子部品の内蔵型印刷回路基板を示す断面図である。
【0137】
図4を参照すると、本発明の一実施形態による積層セラミック電子部品の内蔵型印刷回路基板100は、絶縁基板110と、誘電体層11を含み、対向する第1及び第2主面、対向する第1側面、及び第2側面及び対向する第1及び第2端面を有するセラミック本体10、上記誘電体層11を介して上記セラミック本体10の両端面に交互に露出するように形成された複数の第1及び第2内部電極21、22を含んで容量が形成されるアクティブ層、上記アクティブ層の上部及び下部に形成された上部及び下部カバー層、及び上記セラミック本体10の両側端部に形成された第1及び第2外部電極31、32を含み、上記第1外部電極31は第1ベース電極31a及び上記第1ベース電極31a上に形成された第1端子電極31bを含み、上記第2外部電極32は第2ベース電極32a及び上記第2ベース電極32a上に形成された第2端子電極32bを含み、上記上部及び下部カバー層の厚さをtcとすると、4μm≦tc≦20μmを満たす基板内蔵用積層セラミック電子部品と、を含んでもよい。
【0138】
上記絶縁基板110は絶縁層120が含まれた構造からなり、必要に応じて、
図4に示されたように多様な形態の層間回路を構成する導電性パターン130及び導電性ビアホール140を含んでもよい。このような絶縁基板110は、内部に積層セラミック電子部品を含む印刷回路基板100であってもよい。
【0139】
上記積層セラミック電子部品は、印刷回路基板100に挿入された後、印刷回路基板100の熱処理などのような後工程中の様々な苛酷な環境を同様に経験する。
【0140】
特に、熱処理工程における印刷回路基板100の収縮及び膨脹は、印刷回路基板100の内部に挿入された積層セラミック電子部品に直接伝達されて、積層セラミック電子部品と印刷回路基板100の接着面にストレスを与える。
【0141】
積層セラミック電子部品と印刷回路基板100の接着面に印加されたストレスが接着強度より高いと、接着面が剥がれる剥離不良を発生させる。
【0142】
積層セラミック電子部品と印刷回路基板100との接着強度は、積層セラミック電子部品と印刷回路基板100の電気化学的結合力と接着面の有効表面積に比例し、積層セラミック電子部品と印刷回路基板100との接着面の有効表面積を向上させるためには、積層セラミック電子部品の表面粗度を制御しなければならない。そして、積層セラミック電子部品の表面粗度を制御すると、積層セラミック電子部品と印刷回路基板100間の剥離不良を改善することができる。
【0143】
また、上記基板内蔵用積層セラミック電子部品は、上部及び下部カバー層の厚さtcが4μm≦tc≦20μmを満たすように調節することで、内部の電流経路(Current Path)を短縮して等価直列インダクタンス(ESL)を減少させることができる。
【0144】
その他の特徴は、上述した本発明の一実施形態による積層セラミック電子部品の内蔵型印刷回路基板の特徴と同様であるため、ここではその説明を省略する。
【0145】
以上、本発明の実施形態について詳細に説明したが、本発明の権利範囲はこれに限定されず、特許請求の範囲に記載された本発明の技術的思想から外れない範囲内で多様な修正及び変形が可能であるということは、当技術分野の通常の知識を有する者には明らかである。