特開2015-232804(P2015-232804A)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2015-232804(P2015-232804A)
(43)【公開日】2015年12月24日
(54)【発明の名称】操作部材及び産業機械システム
(51)【国際特許分類】
   G05B 19/409 20060101AFI20151201BHJP
   H01H 9/02 20060101ALI20151201BHJP
   H04Q 9/00 20060101ALI20151201BHJP
【FI】
   G05B19/409 B
   H01H9/02 F
   H04Q9/00 301Z
   H04Q9/00 321A
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2014-119439(P2014-119439)
(22)【出願日】2014年6月10日
(71)【出願人】
【識別番号】000006297
【氏名又は名称】村田機械株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100107836
【弁理士】
【氏名又は名称】西 和哉
(74)【代理人】
【識別番号】100105946
【弁理士】
【氏名又は名称】磯野 富彦
(72)【発明者】
【氏名】河合 秀貢
【テーマコード(参考)】
3C269
5G052
5K048
【Fターム(参考)】
3C269AB01
3C269BB07
3C269QC01
3C269QC02
3C269QC05
3C269QD02
3C269QE12
3C269SA04
3C269SA37
5G052AA35
5G052BB01
5G052BB02
5G052HA01
5G052HA24
5K048BA21
5K048DA01
5K048DC01
5K048HA04
5K048HA06
5K048HA07
5K048HA21
(57)【要約】
【課題】携帯通信機器を用いて産業機械の操作を行うことができ、大きな違和感を与えることなく互換的操作性を十分に実現可能な操作部材及び産業機械システムを提供する。
【解決手段】産業機械200との間で無線通信が可能な携帯通信機器MBを着脱可能に保持するカバー部10と、携帯通信機器MBに接続される接続部11と、産業機械200に対する操作指令を作成するための操作部20と、を備え、携帯通信機器MBを介して操作指令を産業機械200に送信するための携帯型の操作部材100である。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
産業機械との間で無線通信が可能な携帯通信機器を着脱可能に保持する保持部と、
前記携帯通信機器に接続される接続部と、
前記産業機械に対する操作指令を作成するための操作部と、を備え、
前記携帯通信機器を介して前記操作指令を前記産業機械に送信するための携帯型の操作部材。
【請求項2】
前記操作部は、回転可能なダイヤル部である請求項1記載の操作部材。
【請求項3】
前記保持部は、前記携帯通信機器を差し込んで収容するカバー部である請求項1または請求項2記載の操作部材。
【請求項4】
前記カバー部は、前記携帯通信機器を差し込んだ際にこの携帯通信機器と接続するように前記接続部が配置される請求項3記載の操作部材。
【請求項5】
前記カバー部は、前記携帯通信機器の表示部を露出するための開口部を備える請求項3または請求項4記載の操作部材。
【請求項6】
産業機械と、
請求項1〜請求項6のいずれか1項に記載の操作部材と、を備える産業機械システム。
【請求項7】
前記操作部材に接続された前記携帯通信機器に備えるタッチパネルにより前記産業機械を操作可能な請求項6に記載の産業機械システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、操作部材及び産業機械システムに関する。
【背景技術】
【0002】
ワークを搬送するローダ装置と、ワークを加工する加工装置と、ローダ装置及び加工装置を制御する制御装置とを備えた工作機械がある。このような工作機械では、通常は制御装置による自動制御で運転されるが、例えばローダ装置のティーチング等を行う場合には、手動で操作を行うことがある。このような手動操作を行う場合、ローダ装置の動作部位を近くで確認できるように、持ち運び可能な操作端末を用いて操作を行うものが知られている(例えば、特許文献1参照。)。特許文献1によれば、操作端末と工作機械との間では、工作機械(ローダ装置)を操作するための操作情報が通信されるようになっている。
【0003】
近年、タブレット型携帯電話など高い情報処理機能を有する携帯通信機器が広まっている。このような携帯通信機器では、各種アプリケーションをインストールすることにより、幅広く処理を行うことが可能である。そこで、例えば工作機械の操作を行うアプリケーションを携帯通信機器にインストールし、このような携帯通信機器を用いて工作機械の操作を行う態様が考えられている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2013−222381号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
携帯通信機器では、表示部にタッチパネルを設けた構成が一般的であり、タッチパネルに触れることで操作が行われる。しかしながら、タッチパネルによる操作では、従来の操作端末に設けられるダイヤル等の機械式の操作部を操作する場合に比べて、大きな違和感を与えると共に互換的操作性を実現する上で不十分な場合がある。
【0006】
以上のような事情に鑑み、本発明は、携帯通信機器を用いて産業機械の操作を行うことができ、大きな違和感を与えることなく互換的操作性を十分に実現可能な操作部材及び産業機械システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明に係る操作部材では、産業機械との間で無線通信が可能な携帯通信機器を着脱可能に保持する保持部と、携帯通信機器に接続される接続部と、産業機械に対する操作指令を作成するための操作部と、を備え、携帯通信機器を介して操作指令を産業機械に送信するための携帯型の操作部材である。
【0008】
また、操作部は、回転可能なダイヤル部であってもよい。また、保持部は、携帯通信機器を差し込んで収容するカバー部であってもよい。また、カバー部は、携帯通信機器を差し込んだ際にこの携帯通信機器と接続するように接続部が配置されてもよい。また、カバー部は、携帯通信機器の表示部を露出するための開口部を備えてもよい。
【0009】
本発明に係る産業機械システムは、産業機械と、上記の操作部材と、を備える。また、操作部材に接続された携帯通信機器に備えるタッチパネルにより産業機械を操作可能であってもよい。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、携帯通信機器を介して産業機械に送信される操作指令が操作部での操作に応じて作成可能となるため、慣習的な操作による互換操作が実現可能となる。したがって、携帯通信機器を直接操作する場合に比べて精度の安定した操作が可能となる。これにより、携帯通信機器を用いて産業機械の操作を行うことができ、大きな違和感を与えることなく互換的操作性を十分に実現可能となる。
【0011】
また、操作部として、回転可能なダイヤル部を含むものでは、ダイヤル部の操作などの慣習的な操作による互換操作が実現されるため、携帯通信機器を直接操作する場合に比べて、精度の高い操作が可能となる。また、携帯通信機器を差し込んで収容するカバー部を備えるものでは、携帯通信機器と一体性を高めることができる。また、カバー部が、携帯通信機器を差し込んだ際にこの携帯通信機器と接続するように接続部が配置されるものでは、携帯通信機器を差し込むことにより接続部と携帯通信機器との間の接続を確保できる。また、カバー部が、携帯通信機器の表示部を露出するための開口部を備えるものでは、携帯通信機器の表示部を利用することが可能となる。
【0012】
本発明に係る産業機械システムは、携帯通信機器を用いて産業機械の操作を行うことができ、大きな違和感を与えることなく互換的操作性を十分に実現可能な操作部材が用いられるため、携帯通信機器の高い機能を操作に活かすことが可能な産業機械システムを提供できる。また、操作部材に接続された携帯通信機器に備えるタッチパネルにより産業機械を操作可能なものでは、タッチパネルと操作部材の操作部とを併せて用いることでより幅広い操作が可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】本発明の実施形態に係る操作部材の一例を示す図である。
図2】本実施形態に係る操作端末の一例を示す図である。
図3】本実施形態に係る操作端末の一例を示すブロック図である。
図4】本実施形態に係る産業機械システムの一例を示す図である。
図5】ローダ装置の教示位置の座標を示すデータテーブルである。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明の実施形態について図面を参照しながら説明する。ただし、本発明はこれに限定されるものではない。また、図面においては実施形態を説明するため、一部分を大きくまたは強調して記載するなど適宜縮尺を変更して表現している。
【0015】
<操作部材>
図1は、本実施形態に係る操作部材JCの一例を示す図である。
操作部材JCは、例えばタブレット型携帯電話等の携帯通信機器MBに装着されて用いられる。操作部材JCは、後述の産業機械200(図2等参照)に対する操作指令を作成し、携帯通信機器MBを介して送信するためのものである。操作部材JCは、カバー部(保持部)10と、操作部20とを備えている。
【0016】
カバー部10は、携帯通信機器MBを着脱可能に保持する保持部である。カバー部10は、操作者が片手で持つことが可能な寸法及び形状に形成されると共に、携帯通信機器MBを差し込んで収容可能な形状に形成されている。カバー部10の上面には、挿入口10aが形成されている。挿入口10aを介して、携帯通信機器MBがカバー部10の内部に差し込まれる。カバー部10の正面10bには開口部10cが形成されている。この開口部10cは、携帯通信機器MBの表示部60(後述)を露出させるためのものである。開口部10cは、携帯通信機器MBをカバー部10に収容した状態において表示部に対応する位置に形成される。
【0017】
カバー部10の内側には、接続部11が形成されている。接続部11は、携帯通信機器MBとの間で電気的に接続される部分である。接続部11は、携帯通信機器MBとの間で接触して接続される構成であってもよいし、無線通信やICタグ等のような非接触方式で電気信号をやり取りする構成であってもよい。本実施形態では、携帯通信機器MBの底部にマイクロUSBのコネクタ(後述の外部接続部40:図2等参照)が配置され、接続部11がこれに対応するマイクロUSB端子である場合を例に挙げて説明する。この場合、接続部11は、カバー部10の内側の底部10dに配置される。接続部11が底部10dに配置されることにより、携帯通信機器MBを差し込んだ際、携帯通信機器MBの底部がカバー部10の内側の底部10dに到達するときに、外部接続部40に接続部11が装着される。なお、携帯通信機器MBの外部接続部40が底部以外の場所に配置される場合、接続部11の位置は、外部接続部40の位置に応じて設定することができる。なお、カバー部10には電源部が設けられてもよいし、接続部11を介して携帯通信機器側から電源が供給される構成であってもよい。
【0018】
操作部20は、後述の産業機械200に対する操作指令を作成するためのものである。操作部20は、ボタン21及びダイヤル(ダイヤル部)22を有している。なお、ボタン21及びダイヤル22は、操作に応じて電気信号を出力するように形成されている。出力された電気信号は、接続部11を介して携帯通信機器MB側に送信される。
【0019】
ボタン21は、カバー部10の左右の側面に設けられている。ボタン21は、例えば操作者がカバー部10を持つ方の手で操作可能である。ダイヤル22は、カバー部10の正面10bに配置されている。ダイヤル22は、例えば操作者がカバー部10を持たない方の手で操作可能である。ダイヤル22は、例えば円板状に形成されている。操作者は、ダイヤル22の外周を把持して回転可能である。
【0020】
ダイヤル22の外周には、不図示の目盛が形成されている。また、カバー部10の正面10bには逆二等辺三角形状のマーク10mが形成されている。このマーク10mの頂点(図1の下側)が指す位置に対応する目盛を読むことで、操作者がダイヤル22の操作量(回転量、回転角度)を確認できるようになっている。なお、上記ボタン21及びダイヤル22に加えて、カバー部10の正面にロータリースイッチなどが設けられてもよい。
【0021】
<操作端末>
図2は、本実施形態に係る操作端末100の一例を示す図である。図3は、操作端末100の一例を示すブロック図である。
操作端末100は、産業機械200との間で無線通信が可能であり、この無線通信によって産業機械200を操作可能な携帯型の操作端末である。ここで、産業機械200としては、例えば所定のワークに対して加工を行う工作機械などが挙げられる。産業機械200は、例えばワークを搬送するローダ装置や、ワークを切削する加工装置、産業機械200を直接操作する操作パネル、産業機械200を統括的に制御する制御装置等を有している。
【0022】
操作端末100は、産業機械200との間で無線通信が可能な上記の携帯通信機器MBを、上記の操作部材JCの内部に装着した状態で構成される。携帯通信機器MBは、通信部30と、外部接続部40と、表示部50と、タッチパネル60とを有している。
【0023】
通信部30は、外部の無線通信部との間で無線通信を行う。通信部30は、例えば産業機械200に設けられる無線通信部(不図示)との間で各種情報の送受信が可能である。通信部30としては、例えば公知の無線モジュールなどが用いられる。無線通信の方式としては、例えば携帯電話回線や無線LAN、光通信など、サイズの大きいデータを送信可能な方式が採用される。
【0024】
外部接続部40は、携帯通信機器MBの底部に配置され、外部機器の接続端子を装着可能である。外部接続部40としては、例えばマイクロUSBコネクタなどが用いられる。外部接続部40には、操作部材JCの接続部11が装着されている。携帯通信機器MBは、外部接続部40を介して操作部材JCに電気的に接続される。
【0025】
表示部50は、静止画や動画などの画像や文字等を表示可能である。例えば表示部50は、産業機械200の操作を行うアプリケーションの画面等を表示可能である。この画面には、例えば操作対象となる産業機械200の動作部位の名称や、操作する動作の内容などの項目が含まれる。表示部50としては、例えば液晶装置などの表示装置が用いられる。また、タッチパネル60は、表示部50上に設けられており、画面上の表示を押すことで携帯通信機器MBに入力操作を行う。
【0026】
制御部70は、上記各部を統括的に制御する。制御部70は、例えばCPU(Central Processing Unit )などの演算装置を有しており、データバス71を介して上記各部に接続されている。
【0027】
また、制御部70からの指令や、制御部70の演算装置による演算結果、記憶部80から読み出された情報などは、データバス71を介して、上記各部に送信される。これにより、制御部70は、操作部材JCからの電気信号に基づく操作指令を通信部30に送信する。また、制御部70は、通信部30における情報の送受信動作や無線通信の接続先等を制御する。また、制御部70は、無線通信の接続先を自動認識することが可能であってもよい。
【0028】
記憶部80は、例えば制御部70の制御に用いられるプログラムやデータ等、各種情報を記憶する。記憶部80に記憶される情報として、通信機器としての動作を行うためのプログラム及びデータの他、例えば産業機械200を操作するためのアプリケーションやデータなどの情報が含まれる。産業機械200を操作するためのデータとしては、具体的には、産業機械200の動作部位の名称等に関する情報や、産業機械200を用いてワークの加工を行わせるための加工プログラム等が挙げられる。
【0029】
また、産業機械200を操作するためのアプリケーションは、操作部20を操作することで生成される電気信号に応じて、操作対象となる産業機械200の動作部位を選択し、その選択した動作部位に所定の動作を行わせる操作指令を作成する。これらの操作指令をは、制御部70から出力され、通信部30を介して無線通信によって産業機械200に送信される。
【0030】
このアプリケーションでは、例えば操作部20のボタン21は、操作対象となる産業機械200の動作部位を選択する操作モード(以下、第1モードと表記する。)と、選択した動作部位を動作させる操作モード(以下、第2モードと表記する。)とを切り替える。また、例えば操作モードが第1モードである場合に操作部20のダイヤル22を回転させることにより、選択するカバー部10及び産業機械200の動作部位を切り替え可能である。また、操作モードが第2モードである場合にダイヤル22を回転させることにより、例えば選択した動作部位の動作量を調整可能である。なお、カバー部10の正面10bには、上記ボタン21及びダイヤル22に加えて、ロータリースイッチなどが設けられてもよい。この場合、例えばロータリースイッチを用いて操作対象を選択するように構成することができる。
【0031】
このように、本実施形態に係る操作部材JCでは、携帯通信機器MBを介して産業機械200に送信される操作指令が操作部20での操作に応じて作成可能となるため、慣習的な操作による互換操作が実現可能となる。したがって、携帯通信機器MBのタッチパネル60等を直接操作する場合に比べて精度の安定した操作が可能となる。これにより、携帯通信機器MBを用いて産業機械200の操作を行うことができ、かつ大きな違和感を与えることなく互換的操作性を十分に実現可能となる。
【0032】
<産業機械システム>
次に、産業機械システムSYSの例を説明する。以下、XYZ座標系を用いて図中の方向を説明する。このXYZ座標系においては、水平面に平行な平面をXZ平面とする。このXZ平面に平行な主軸(後述する主軸121、122)の方向をZ方向と表記し、Z方向に直交する方向(ワークWに対する切削量を規定する方向)をX方向と表記する。また、XZ平面に垂直な方向はY方向と表記する。X方向、Y方向及びZ方向のそれぞれは、図中の矢印の方向が+方向であり、矢印の方向とは反対の方向が−方向であるものとして説明する。
【0033】
図4は、産業機械システムSYSの一例を示す図である。産業機械システムSYSは、産業機械200と、この産業機械200を操作する操作端末100とを備えている。なお、産業機械200として、工作機械を例に挙げて説明する。以下の工作機械は、平行2軸旋盤である。図4は、産業機械200を+Z側から見たときの例を示している。図4において、産業機械200の+Z側が正面であり、−Z側が背面である。また、産業機械200の±X側は側面であり、X方向は産業機械200の左右方向である。図4に示すように、産業機械200は、ローダ装置110と、加工装置120と、制御装置130と、操作パネル140とを備えている。
【0034】
ローダ装置110は、ローダヘッド111と、ローダ駆動部113とを備えている。ローダ装置110は、例えば、後述する主軸121、122とワーク搬入部125との間でワークWを搬送する。ローダヘッド111は、ローダチャック112を有している。ローダチャック112は、複数の把持爪によってワークWを把持する。ローダチャック112は、例えば、ワークWを把持して−Y方向に向けた姿勢と、−Z方向に向けた姿勢(後述する主軸121、122にワークWを向けた姿勢)とに移動可能に形成される。なお、ローダ装置110には、複数のローダチャック112が形成されてもよい。
【0035】
ローダ駆動部113は、X駆動部114と、Z駆動部115と、Y駆動部116とを有している。X駆動部114は、X移動体114a及びガイドレール114bを有している。X移動体114aは、不図示の駆動源により、ガイドレール114bに沿ってX方向に移動可能に設けられている。Z駆動部115は、X移動体114aに形成されている。Z駆動部115は、Z移動体115aを有している。Z移動体115aは、不図示の駆動源により、不図示のガイド部に沿ってZ方向に移動可能に設けられている。Y駆動部116は、Z移動体115aに形成されている。Y駆動部116は、Y移動体116aを有している。Y移動体116aは、不図示の駆動源により、不図示のガイド部に沿ってY方向に移動可能に設けられている。
【0036】
ローダヘッド111は、Y移動体116aの下部に設けられている。ローダヘッド111のローダチャック112により把持したワークWは、X駆動部114、Z駆動部115、及びY駆動部116がそれぞれ駆動することにより、X方向、Y方向、Z方向、またはこれらを合成した方向に搬送される。以上のように構成されるローダ装置110の駆動は、後述する制御装置130によって制御される。
【0037】
加工装置120は、主軸121、122と、タレット123、124と、ワーク搬入部125とを有している。主軸121、122は、X方向に並んで配置され、それぞれ不図示の駆動装置によって中心軸AX1、AX2まわりに回転する。主軸121、122の+Z側の端部には、それぞれワークWを把持可能な複数の把握爪121a、122aが設けられている。タレット123は、主軸121の−X側に配置されている。タレット124は、主軸122の+X側に配置されている。
【0038】
タレット123、124は、それぞれ不図示の駆動装置によって、Z方向に平行な軸まわりに回転する。また、タレット123、124の周面には、不図示の複数の切削工具が保持されており、タレット123、124を回転させることにより、所望の切削工具が選択される。切削工具としては、ワークWに対して切削加工を施すバイト等の他、ドリルやエンドミル等の回転工具が用いられてもよい。また、タレット123、124は、不図示の駆動装置により、ワークWに対して例えばX方向及びZ方向に移動可能となっている。ただし、主軸121、122やタレット123、124は2つであることに限定されず、例えば主軸及びタレットのいずれか一方または双方が1つあってもよい。
【0039】
ワーク搬入部125には、加工対象であるワークWが載置される。ワーク搬入部125としては、例えば固定台が用いられるが、これに限定されるものではなく、コンベアやロータリー式の載置台などが用いられてもよい。なお、ワーク搬入部125は、ワークWの搬出部を兼ねてもよく、この搬出部をワーク搬入部125と異なる部分に配置してもよい。以上のように構成される加工装置120の駆動は、後述する制御装置130によって制御される。
【0040】
制御装置130は、所定の加工プログラムに基づいてローダ装置110や加工装置120の動作を統括的に制御する。なお、制御装置130は、有線または無線を介して不図示の上位制御装置等に接続されてもよい。この場合、制御装置130は、上位制御装置の記憶部に記憶されたプログラムに基づいてローダ装置110や加工装置120の動作を制御してもよい。
【0041】
操作パネル140は、オペレータにより操作される産業機械200の操作装置である。操作パネル140は、制御装置130に有線または無線を介して接続されている。操作パネル140は、液晶ディスプレイ等の表示部141を備えると共に、各種スイッチ142を備えている。操作パネル140は、例えば作業者によるプログラムの切り替えや制御装置130の各種設定などの操作に用いられる。
【0042】
また、本実施形態では、産業機械200の動作を操作する端末として、図2及び図3に示す操作端末100が用いられる。操作端末100(携帯通信機器MB)の記憶部80には、操作端末100の操作対象となる産業機械200の各部の情報が記憶され、例えばローダ装置110のローダチャック112、X駆動部114、Z駆動部115、Y駆動部116等の情報が記憶される。
【0043】
次に、上記のように構成された産業機械システムSYSの動作を説明する。まず、制御装置130は、図4に示すローダ装置110のローダヘッド111をワーク搬入部125の上方(+Y側)に配置させ、ローダチャック112を下側(−Y方向)に向けた状態でY移動体116aを−Y方向に移動させる。そして、制御装置130は、予めワーク搬入部125に配置されたワークWを把握爪によって保持させる。
【0044】
次に、制御装置130は、ローダチャック112及びワークWを−Z方向に向けさせる。その後、制御部は、Y駆動部116によってローダヘッド111を+Y方向に移動させ、所定の高さ位置に配置させる。次に、制御装置130は、ローダヘッド111を+X方向に移動させることにより、ローダヘッド111及びワークWを例えば主軸121の上方(+Y側)に配置させる。以下、ワークWを主軸121に配置する場合を例に挙げて説明する。なお、ワークWを主軸122に配置する場合には、主軸122の上方にローダヘッド111及びワークWを配置させる。
【0045】
次に、制御装置130は、Y移動体116aを−Y方向に移動させ、ワークWを主軸121に対向させる。そして、制御装置130は、Z移動体115aを−Z方向に移動させ、ワークWを主軸121の把握爪121aに保持させる。その後、Z移動体115aを+Z方向及び+Y方向に移動させてローダヘッド111を戻す。そして、制御装置130は、タレット123に設けられる不図示の工具を用いて、所定の加工レシピに基づいてワークWを加工させる。
【0046】
加工後、制御装置130は、主軸121からローダチャック112にワークWの受け渡しを行わせる。具体的には、制御装置130は、まずY移動体116aを再び−Y方向に移動させ、ローダチャック112をワークWに対向させる。次に、ローダヘッド111を−Z方向に移動させ、ローダチャック112の把握爪によってワークWを保持させる。次に、制御装置130は、主軸121の把握爪121aを開かせてワークWをローダチャック112に渡す。
【0047】
ワークWの受け渡しを行った後、制御装置130は、X駆動部114、Z駆動部115及びY駆動部116により、X移動体114a、Z移動体115a及びY移動体116aをX方向、Z方向及びY方向のそれぞれに移動させて、例えば不図示のワーク搬出部など所定の搬送先にワークWを搬送する。
【0048】
このような産業機械システムSYSにおいて、例えばローダ装置110のティーチングを行う場合には、産業機械200の動作を停止させ、ローダ装置110の操作を手動で行う。このような手動操作を行う場合、操作者は、操作端末100を持った状態で、ローダ装置110の動作部位を近くで確認しながら行う。
【0049】
この場合、まず操作者は、操作端末100を起動させた後、例えばタッチパネル60を操作することにより、産業機械200を操作するためのアプリケーションを起動させる。このアプリケーションが起動した後、操作者が操作部20のボタン21を操作することにより、制御部70は操作モードを第1モードとする。次に、操作者がダイヤル22を回転させることにより、制御部70は、ダイヤル22の操作に応じて操作対象を選択するように制御する。例えば、ローダチャック112がワークWを受け取る位置(第1位置)P1を教示する場合、操作者は、まずローダ装置110のX駆動部114、Z駆動部115又はY駆動部116を適宜選択する。
【0050】
例えば操作者がX駆動部114を操作対象として選択した場合、制御部70は、操作部20の操作に応じてX駆動部114が動作するように、産業機械200に対して操作指令を出す。この指令は、通信部30を介して無線通信によって産業機械200に送信される。産業機械200は、無線通信によってこの操作指令を受信し、X駆動部114を手動操作可能な状態とする。
【0051】
その後、操作者がボタン21を操作した場合、制御部70は、ボタン21の操作に応じて操作モードを第2モードに切り替える。また、操作モードが第2モードの状態で操作者がダイヤル22を回転させた場合、制御部70は、ダイヤル22の回転量及び回転方向に応じて、X駆動部114の移動量及び移動方向を調整するよう操作指令を出す。なお、X移動体114aを+X方向に移動させる場合には操作者がダイヤル22を時計回りに回転させ、X移動体114aを−X方向に移動させる場合には操作者がダイヤル22を反時計回りに回転させる、といった設定を予め行っておく。産業機械200は、制御部70からの指令を受信すると、指令内容の動作が行われるようにX駆動部114を制御する。Z駆動部115やY駆動部116を制御する場合も同様に行い、ローダチャック112を第1位置P1に移動させる。このように、操作部材JCと携帯通信機器MBとが連携して産業機械200を操作する。
【0052】
次に、ローダチャック112を第1位置P1に配置した状態で、操作端末100の操作者又は産業機械200のオペレータは、操作パネル140を操作し制御装置130に設けられる記憶部などにローダチャック112のX座標、Z座標及びY座標を登録する。これにより、産業機械200に第1位置P1の座標が登録される。その後、上記同様に操作端末100によって手動操作を行うことにより、例えばローダチャック112が主軸121にワークWを渡す第2位置P2や、主軸122にワークWを渡す第3位置P3、ワークWを搬出するとき位置、また、不図示の反転装置によってワークWを反転して持ち替える場合の位置など、各動作に対するローダチャック112の位置を産業機械200に登録するようにする。登録された情報は、例えば図5に示すように、産業機械200に設けられる不図示の記憶部にデータテーブルTBとして記憶される。
【0053】
以上のように、本実施形態に係る産業機械システムSYSによれば、携帯通信機器MBを用いて産業機械200の操作を行うことができ、大きな違和感を与えることなく互換的操作性を十分に実現可能な操作部材JCが用いられるため、携帯通信機器MBの高い機能を操作に活かすことが可能な産業機械システムSYSを提供できる。
【0054】
本発明の技術範囲は上記実施形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更を加えることができる。
例えば、上記説明では、操作モードが第1モードの場合にダイヤル22を回転させることで産業機械200の動作部位を選択する使用態様を例に挙げて説明したが、これに限定するものではない。例えば、表示部50に選択可能な動作部位を複数配列して表示させ、タッチパネル60によって該当する動作部位を入力することで動作部位を選択してもよい。また、第1モード及び第2モードをいずれの場合でも、タッチパネル60による入力を、ダイヤル22による操作に対して補助的に用いてもよい。
【0055】
例えば、上記説明では、産業機械として、ローダ装置110、加工装置120、制御装置130及び操作パネル140を有する産業機械200を例に挙げて説明したが、これに限定するものではない。例えば、産業機械として、工作機械のローダ装置110が単独であってもよいし、加工装置120単独であってもよい。また、産業機械200、ローダ装置110、加工装置120に限られず、ロボット等他の産業機械であってもよい。
【符号の説明】
【0056】
JC…操作部材 MB…携帯通信機器 SYS…産業機械システム W…ワーク 10…カバー部(保持部、カバー部) 10c…開口部 10d…底部 11…接続部 20…操作部 22…ダイヤル(ダイヤル部) 30…通信部 40…外部接続部 50…表示部 60…タッチパネル 70…制御部 80…記憶部 100…操作端末 200…産業機械
図1
図2
図3
図4
図5