特開2015-232813(P2015-232813A)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特開2015-232813物理マシン、金額算出方法及びコンピュータプログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2015-232813(P2015-232813A)
(43)【公開日】2015年12月24日
(54)【発明の名称】物理マシン、金額算出方法及びコンピュータプログラム
(51)【国際特許分類】
   G06Q 50/10 20120101AFI20151201BHJP
   G06F 9/46 20060101ALI20151201BHJP
   G06F 9/50 20060101ALI20151201BHJP
   G06Q 30/04 20120101ALI20151201BHJP
【FI】
   G06Q50/10 100
   G06F9/46 350
   G06F9/46 462Z
   G06Q30/04
【審査請求】有
【請求項の数】3
【出願形態】OL
【全頁数】7
(21)【出願番号】特願2014-119561(P2014-119561)
(22)【出願日】2014年6月10日
(71)【出願人】
【識別番号】399040405
【氏名又は名称】東日本電信電話株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001634
【氏名又は名称】特許業務法人 志賀国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】田代 淳一
(72)【発明者】
【氏名】山本 俊幸
(72)【発明者】
【氏名】松永 典子
(57)【要約】      (修正有)
【課題】ソフトウェアのプロセッサライセンスを利用するのに物理的なCPU数に応じて課金額が変動する場合において、実際に使用している仮想的なCPU数以上の課金の発生を抑制させる物理マシンを提供する。
【解決手段】ユーザが利用するCPUリソース102に応じて、ユーザ毎の課金額を算出する課金システムにおける物理マシン10であって、論理区画単位でユーザ毎にCPUリソース102を割り当てる割当部103、を備える。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ユーザが利用するCPUリソースに応じて、ユーザ毎の課金額を算出する課金システムにおける物理マシンであって、
論理区画単位でユーザ毎にCPUリソースを割り当てる割当部、
を備える物理マシン。
【請求項2】
ユーザが利用するCPUリソースに応じて、ユーザ毎の課金額を算出する課金システムにおける金額算出方法であって、
論理区画単位でユーザ毎にCPUリソースを割り当てる割当ステップ、
を有する金額算出方法。
【請求項3】
ユーザが利用するCPUリソースに応じて、ユーザ毎の課金額を算出する課金システムとしてコンピュータを機能させるためのコンピュータプログラムであって、
論理区画単位でユーザ毎にCPUリソースを割り当てる割当ステップ、
をコンピュータに実行させるためのコンピュータプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、リソース活用の技術に関する。
【背景技術】
【0002】
現在、クラウドサービスの進展に伴い、自社環境やデータセンタ環境に構築したシステムデータをクラウド環境に移行するケースが増えてきている(例えば、特許文献1及び2参照)。クラウド環境では、実際の物理的なマシン(以下、「物理マシン」という。)環境上に、いわゆる仮想的なマシン(以下、「仮想マシン」という。)環境が構築される。そして、クラウドサービス業者は、この仮想マシン環境上に顧客毎やアプリケーション毎にシステムを構築して、クラウドサービスを提供する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特表2013−518342号公報
【特許文献2】特表2013−513139号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、コスト削減を考慮してシステムデータをクラウド環境に移行したにも関わらず、クラウドサービス業者が提供するサーバ環境とそのサーバ環境で動作するソフトウェアとの課金形態によってはソフトウェアライセンス費用が低減しない場合がある。例えば、ユーザがソフトウェアのプロセッサライセンスを利用するのに物理的なCPU(Central Processing Unit)数に応じて課金額が変動する場合、現行環境のままクラウド環境の仮想マシン環境に移行して利用させると、実際に使用している仮想的なCPU数以上の課金が発生してしまう。そのため、クラウドサービスの利用者(以下、「ユーザ」という。)に生じる負担が大きくなってしまうという問題があった。
【0005】
上記事情に鑑み、本発明は、ソフトウェアのプロセッサライセンスを利用するのに物理的なCPU数に応じて課金額が変動する場合において、実際に使用している仮想的なCPU数以上の課金の発生を抑制させる技術の提供を目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一態様は、ユーザが利用するCPUリソースに応じて、ユーザ毎の課金額を算出する課金システムにおける物理マシンであって、論理区画単位でユーザ毎にCPUリソースを割り当てる割当部、を備える物理マシンである。
【0007】
本発明の一態様は、ユーザが利用するCPUリソースに応じて、ユーザ毎の課金額を算出する課金システムにおける金額算出方法であって、論理区画単位でユーザ毎にCPUリソースを割り当てる割当ステップ、を有する金額算出方法である。
【0008】
本発明の一態様は、ユーザが利用するCPUリソースに応じて、ユーザ毎の課金額を算出する課金システムとしてコンピュータを機能させるためのコンピュータプログラムであって、論理区画単位でユーザ毎にCPUリソースを割り当てる割当ステップ、をコンピュータに実行させるためのコンピュータプログラムである。
【発明の効果】
【0009】
本発明により、ソフトウェアのプロセッサライセンスを利用するのに物理的なCPU数に応じて課金額が変動する場合において、実際に使用している仮想的なCPU数以上の課金の発生を抑制させることが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】本発明における物理マシン10の機能構成を表す概略ブロック図である。
図2】ユーザ情報データベースの具体例を示す図である。
図3】従来技術と本発明との比較例を表す図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明の一実施形態を、図面を参照しながら説明する。
まず、本発明における物理マシンの概要について説明する。
本発明における物理マシンは、クラウド環境上に設けられる。物理マシンは、ユーザがクラウドシステム上で利用するサービスを実行する仮想マシンと、共有プロセッサ機能により当該仮想マシンに割当てているCPUリソースの数とをユーザ毎に対応付ける。共有プロセッサ機能とは、例えばLPAR(Logical PARtitioning:論理区画)の処理を行うことができる機能である。物理マシンは、共有プロセッサ機能を利用することにより、各仮想マシンにCPUリソースを割り当てることができる。そして、物理マシンは、割り当てられたCPUリソースの数に応じてユーザ毎に課金額を算出する。以上の処理によって、CPUリソースを有効活用し、ユーザが実際に使用している仮想的なCPUリソース数以上の課金の発生を抑制させることができる。
以下、物理マシンの詳細について説明する。
【0012】
図1は、本発明における課金システムのシステム構成を示すブロック図である。本発明の課金システムは、物理マシン10及び課金サーバ20を備える。課金システムには、複数の通信装置30が接続される。物理マシン10、課金サーバ20及び通信装置30のそれぞれは、ネットワーク40を介して通信可能に接続される。
【0013】
物理マシン10は、サーバ装置、パーソナルコンピュータ、ワークステーション等の情報処置装置を用いて構成される。物理マシン10は、通信装置30から送信されるコンピュータリソースの提供要求に応じて、ユーザにクラウドサービスを提供する。また、物理マシン10は、通信装置30に割当てたリソースに関する情報(以下、「割当情報」という。)を課金サーバ20に送信する。割当情報には、ユーザ、MACアドレス、利用仮想マシン、CPU割当数などの情報が含まれる。
【0014】
課金サーバ20は、通信装置30に割当てられたリソースに応じて通信装置30毎に課金額を算出する。例えば、課金サーバ20は、物理マシン10から送信された割当情報に含まれるCPU割当数に応じて、通信装置30の課金額を算出する。
【0015】
通信装置30は、例えばスマートフォン、タブレット端末、携帯電話、パーソナルコンピュータ、ノートパソコン、ゲーム機器等の情報処理装置を用いて構成される。通信装置30は、物理マシン10との間で通信を行う。また、通信装置30は、課金サーバ20との間で通信を行う。
ネットワーク40は、どのように構成されたネットワークでもよい。例えば、ネットワーク40はインターネットを用いて構成されてもよい。
【0016】
以下、物理マシン10及び課金サーバ20の具体的な構成について説明する。まず、物理マシン10の機能構成を説明する。物理マシン10は、バスで接続されたCPU(Central Processing Unit)やメモリや補助記憶装置などを備え、リソース割当プログラムを実行する。リソース割当プログラムの実行によって、物理マシン10は、通信部101、リソース102、割当部103を備える装置として機能する。なお、物理マシン10の各機能の全て又は一部は、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)やPLD(Programmable Logic Device)やFPGA(Field Programmable Gate Array)等のハードウェアを用いて実現されてもよい。また、リソース割当プログラムは、コンピュータ読み取り可能な記録媒体に記録されてもよい。コンピュータ読み取り可能な記録媒体とは、例えばフレキシブルディスク、光磁気ディスク、ROM、CD−ROM等の可搬媒体、コンピュータシステムに内蔵されるハードディスク等の記憶装置である。また、リソース割当プログラムは、電気通信回線を介して送受信されてもよい。
【0017】
通信部101は、課金サーバ20との間で通信を行う。例えば、通信部101は、割当情報を課金サーバ20に送信する。また、通信部101は、通信装置30との間で通信を行う。例えば、通信部101は、コンピュータリソースの提供要求を受信する。
リソース102は、物理マシン10が通信装置30に割当てるリソースである。例えば、リソース102は、物理マシン10が備えるCPUである。
【0018】
割当部103は、通信部101によって受信されたコンピュータリソースの提供要求に応じて、論理区画単位でユーザ毎にCPUリソースを割り当てる。具体的には、割当部103は、共有プロセッサ機能を利用することにより、各ユーザがクラウドシステム上で利用しているサービスを実行する仮想サーバ毎に、自装置(物理マシン10)が備えるCPUリソースを割り当てる。この処理により、仮想サーバとCPUリソースとが対応付けられる。割当部103は、CPUリソースを割り当てた仮想サーバの名称(利用仮想マシン)、割り当てたCPUリソースの数(CPU割当数)などの割当情報を通信部101に出力する。
【0019】
次に、課金サーバ20の機能構成を説明する。課金サーバ20は、バスで接続されたCPUやメモリや補助記憶装置などを備え、課金額算出プログラムを実行する。課金額算出プログラムの実行によって、課金サーバ20は、通信部201、割当情報制御202、ユーザ情報記憶部203、算出部204を備える装置として機能する。なお、課金サーバ20の各機能の全て又は一部は、ASICやPLDやFPGA等のハードウェアを用いて実現されてもよい。また、課金額算出プログラムは、コンピュータ読み取り可能な記録媒体に記録されてもよい。コンピュータ読み取り可能な記録媒体とは、例えばフレキシブルディスク、光磁気ディスク、ROM、CD−ROM等の可搬媒体、コンピュータシステムに内蔵されるハードディスク等の記憶装置である。また、課金額算出プログラムは、電気通信回線を介して送受信されてもよい。
【0020】
通信部201は、物理マシン10との間で通信を行う。例えば、通信部201は、物理マシン10から送信された割当情報を受信する。また、通信部201は、通信装置30との間で通信を行う。例えば、通信部201は、算出部204によって算出される、通信装置30の課金額に関する情報(以下、「課金情報」という。)を通信装置30に送信する。
割当情報制御202は、通信部201によって受信された割当情報をユーザ情報記憶部203に記録する。
【0021】
ユーザ情報記憶部203は、磁気ハードディスク装置や半導体記憶装置などの記憶装置を用いて構成される。ユーザ情報記憶部203は、ユーザ情報データベースを記憶している。ユーザ情報データベースは、ユーザに関する情報がユーザ毎に登録されたデータベースである。
算出部204は、ユーザ情報記憶部203に記憶されているユーザ情報データベースに基づいてユーザに生じる課金額をユーザ毎に算出する。具体的には、算出部204は、各ユーザに割当てられているCPUリソース数に応じてユーザ毎に課金額を算出する。
【0022】
図2は、ユーザ情報データベースの具体例を示す図である。
ユーザ情報データベースは、ユーザに関する情報を表すレコード11を複数有する。レコード11は、ユーザ、MACアドレス、利用仮想マシン及びCPU割当数の各値を有する。ユーザは、クラウドシステムを利用しているユーザを表す。例えば、ユーザの項目には、ユーザを識別するためのユーザIDが記録されてもよい。MACアドレスは、ユーザが使用している通信装置のMACアドレスを表す。利用仮想マシンは、通信装置のユーザに提供するクラウドサービスを実行する仮想マシンを表す。利用仮想マシンの値は、例えば仮想マシンを識別するための名称を表す。CPU割当数は、仮想マシンに割当てられているCPUの数を表す。
【0023】
図2に示される例では、ユーザ情報データベースには1つのユーザが登録されている。ユーザは、“AAA”である。図2において、ユーザ情報データベースの最上段の行は、ユーザの値が“AAA”、MACアドレスの値が“BBB”、利用仮想マシンの値が“CCC”、CPU割当数の値が“3”である。すなわち、ユーザ“AAA”が使用している通信装置のMACアドレスが“BBB”であり、利用している仮想マシンが“CCC”であり、仮想マシンに割当てられているCPUの数が“3”であることが表されている。
【0024】
図3は、従来技術と本発明との比較例を表す図である。
図3において、物理マシン10は、6つのCPU10−1〜10−6を備えている。また、物理マシン10上では、3台の仮想マシン50−1〜50−3が動作している。つまり、3人のユーザがクラウドサービスを利用している。
【0025】
従来の物理マシンでは、ソフトウェアのプロセッサライセンスを利用するのに物理的なCPUリソース数に応じて課金額が変動する場合、ユーザが使用しているCPUをユーザ毎に対応付けることができなかった(図3(A)参照)。そのため、従来では、各ユーザがCPU6つ分の費用を払う必要があった。
それに対して、本発明における物理マシン10では、共有プロセッサ機能によりユーザが使用している仮想サーバとCPUとを対応付けることができる。そのため、ユーザ毎の課金額を算出することができる。
【0026】
図3(B)に示される例では、仮想マシン50−1には1つのCPU10−1が割り当てられており、仮想マシン50−2には2つのCPU10−2及び10−3が割り当てられており、仮想マシン50−3には3つのCPU10−4、10−5及び10−6が割り当てられている。物理マシン10は、上述した割当情報を課金サーバ20に送信する。課金サーバ20は、物理マシン10から送信された割当情報を受信し、ユーザ毎に管理する。そのため、課金サーバ20の算出部204は、仮想マシンを利用しているユーザ毎に課金額を算出することができる。具体的には、算出部204は、仮想マシン50−1を利用しているユーザに対してはCPU1個分の課金額を算出する。また、算出部204は、仮想マシン50−2を利用しているユーザに対してはCPU2個分の課金額を算出する。算出部204は、仮想マシン50−3を利用しているユーザに対してはCPU3個分の課金額を算出する。
【0027】
以上のように構成された物理マシン10によれば、論理区画単位でCPUの割り当てが可能になる。これにより、使用したCPUリソース数に応じた課金額をユーザ毎に算出させることができる。そのため、ソフトウェアのプロセッサライセンスを利用するのに物理的なCPUリソース数に応じて課金額が変動する場合において、実際に使用している仮想的なCPU数以上の課金の発生を抑制させることが可能になる。
【0028】
また、共有プロセッサ機能を利用することによって、リソースを有効活用することが可能になる。また、同一ソフトウェアを複数のシステムに利用している場合には、ソフトウェアライセンス費用を低減することができる。
また、クラウド環境に移行することにより、従来では利用することができなかったソフトウェア類を使用することも可能になる。そのため、現行の環境をクラウド環境に移行した場合に、ユーザに提供できるサービスのバリエーションを増加することができる。
【0029】
以上、この発明の実施形態について図面を参照して詳述してきたが、具体的な構成はこの実施形態に限られるものではなく、この発明の要旨を逸脱しない範囲の設計等も含まれる。
【符号の説明】
【0030】
10…物理マシン, 20…課金サーバ, 30…通信装置, 40…ネットワーク, 101…通信部, 102…リソース, 103…割当部, 201…通信部, 202…割当情報制御部, 203…ユーザ情報記憶部, 204…算出部
図1
図2
図3