(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2015-232935(P2015-232935A)
(43)【公開日】2015年12月24日
(54)【発明の名称】蓄電装置
(51)【国際特許分類】
H01M 2/12 20060101AFI20151201BHJP
H01M 2/36 20060101ALI20151201BHJP
H01G 11/78 20130101ALI20151201BHJP
【FI】
H01M2/12 A
H01M2/36 101A
H01G11/78
【審査請求】未請求
【請求項の数】3
【出願形態】OL
【全頁数】9
(21)【出願番号】特願2014-118535(P2014-118535)
(22)【出願日】2014年6月9日
(71)【出願人】
【識別番号】000003218
【氏名又は名称】株式会社豊田自動織機
(74)【代理人】
【識別番号】100088155
【弁理士】
【氏名又は名称】長谷川 芳樹
(74)【代理人】
【識別番号】100113435
【弁理士】
【氏名又は名称】黒木 義樹
(72)【発明者】
【氏名】山下 裕介
(72)【発明者】
【氏名】奥田 元章
(72)【発明者】
【氏名】秋山 泰有
【テーマコード(参考)】
5E078
5H012
5H023
【Fターム(参考)】
5E078AA11
5E078AA14
5E078AB02
5E078CA03
5E078EA03
5E078EA16
5E078FA02
5E078FA12
5E078HA05
5E078HA12
5E078HA24
5E078HA27
5E078LA07
5H012AA07
5H012BB02
5H012DD01
5H012GG01
5H012JJ10
5H023AA03
5H023AS02
(57)【要約】
【課題】仮封止に関する作業性を向上できる蓄電装置を提供することを課題とする。
【解決手段】ケース2に電極組立体3と電解液を収容した蓄電装置1であって、ケース2の上面部2bに形成され、ケース2の内部に電解液を注入するための注液口4と、ケース2の上面部2bに形成され、ケース2の内部に発生したガスを抜くためのガス抜き口5と、本封止される前にガス抜き口5を仮封止するために設けられる仮封止部材6とを備え、仮封止部材6は、下面で受けるケース2の内圧に対する耐圧性が側面で受ける圧力に対する耐圧性より高くなるようにケース2の上面部2bに取り付けられている。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ケースに電極組立体と電解液を収容した蓄電装置であって、
前記ケースの上面部に形成され、前記ケースの内部に前記電解液を注入するための注液口と、
前記ケースの上面部に形成され、前記ケースの内部に発生したガスを抜くためのガス抜き口と、
本封止される前に前記ガス抜き口を仮封止するために設けられる仮封止部材と、
を備える、蓄電装置。
【請求項2】
前記仮封止部材は、下面で受ける前記ケースの内圧に対する耐圧性が側面で受ける圧力に対する耐圧性より高くなるように前記ケースの上面部に取り付けられている、請求項1に記載の蓄電装置。
【請求項3】
前記仮封止部材は、前記ガス抜き口を覆う仮封止用蓋部と、前記ガス抜き口の外側に配置され、前記仮封止用蓋部及び前記ケースの上面部に接合される接合部とを有し、
前記接合部と前記仮封止用蓋部及び前記上面部との接合方向は、前記ケースの内圧方向と略垂直の方向である、請求項2に記載の蓄電装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ケースに電極組立体と電解液を収容した蓄電装置に関する。
【背景技術】
【0002】
リチウムイオン二次電池等の蓄電装置は、正極と負極とがセパレータを介して積層された電極組立体及び電解液等が金属製のケースに収容されて構成される。蓄電装置の製造過程では、ケースに電極組立体を収容後に、ケースの上面部(蓋部)に形成されている注液口から電解液が注入され、注液口が仮封止される。そして、初期充電やエージング等が行われた後に、注液口の仮封止が解除され、ケース内に発生したガスが抜かれ、注液口が本封止される。例えば、特許文献1には、外装缶の封口蓋の封止座に設けられた注液孔から電解液が注入された後に注液孔が樹脂シートによって仮封止され、初期充電等の後に樹脂シートに通気孔が空けられてガス抜きされ、樹脂シートを覆う大きさを有する本封止蓋が封止座に封着されて本封止されることが開示されている。
【0003】
仮封止中、エージング等によってケース内に多量のガス(例えば、メタンガス、一酸化炭素ガス、水素ガス)が発生し、ケースの内圧が非常に高くなる場合がある。ケース内の内圧が高くなると、上記のような樹脂シートの封着ではその内圧に耐えられない虞がある。このような高い内圧にも耐えられるように、注液口を仮封止栓(例えば、ゴム栓)で塞ぎ、内圧で仮封止栓が外れないように仮封止栓を治具を用いて固定している場合がある。この治具は、例えば、ケースの上面部の仮封止栓で塞がれた注液口を覆うようにケースを挟み込む部材であり、仮封止中はこの部材がケースの側面に対してボルト等を用いて固定される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2007−323882号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
仮封止栓と治具を用いて仮封止する場合、注液口に仮封止栓を取り付け、ケースに治具を装着し、治具をケースに対して固定するためのボルト締め等の作業が必要となる。さらに、仮封止を解除する場合、治具のケースに対する固定を解除し、ケースから治具を取り外し、注液口から仮封止栓を抜く等の作業が必要となる。また、ケースの上面部を覆うような治具が取り付けられた蓄電装置に対して初期充電やエージングの作業を行うので、作業し難い。
【0006】
そこで、本技術分野においては、仮封止に関する作業性を向上できる蓄電装置が要請されている。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の一側面に係る蓄電装置は、ケースに電極組立体と電解液を収容した蓄電装置であって、ケースの上面部に形成され、ケースの内部に電解液を注入するための注液口と、ケースの上面部に形成され、ケースの内部に発生したガスを抜くためのガス抜き口と、本封止される前にガス抜き口を仮封止するために設けられる仮封止部材とを備える。
【0008】
この蓄電装置は、ケースの上面部に注液口とガス抜き口の2つの貫通孔が形成されている。特に、この上面部のガス抜き口に対しては、仮封止用の仮封止部材が設けられている。この仮封止部材は、仮封止中に行われるエージング等で発生するガスによるケースの内圧に十分に耐えられるようにケースの上面部に設けられている。このような構成の蓄電装置の場合、注液口とは別にガス抜き口があるので、注液口からケース内に電解液が注入されると、注液口を仮封止することなく本封止できる。そして、エージング等が行われた後に、ガス抜き口に対して設けられている仮封止部材が取り外されることによって、ケース内のガスをガス抜き口から抜くことができる。そして、ガス抜き口を本封止すればよい。したがって、従来のような注液口を仮封止するための作業を行う必要がなく、仮封止を解除するときもガス抜き口の仮封止部材を外すだけの作業である。また、仮封止中に、エージング等における作業性を低下させるような治具が蓄電装置に取り付けられていない。このように、この蓄電装置は、注液口とは別にガス抜き口があり、このガス抜き口に対して仮封止部材が設けられているので、仮封止に関する作業性を向上できる。
【0009】
一実施形態の蓄電装置では、仮封止部材は、下面で受けるケースの内圧に対する耐圧性が側面で受ける圧力に対する耐圧性より高くなるようにケースの上面部に取り付けられている。
【0010】
仮封止中はエージング等で発生するガスによってケースの内圧が高くなるので、その内圧に耐えられるように、仮封止部材の下面でその内圧を受けているときに仮封止部材が上面部から取れないようにする必要がある。一方、仮封止が終了すると仮封止部材を取り外すので、仮封止部材の側面で受ける圧力(横方向から受ける力)によって仮封止部材が簡単に上面部から取れるようにする必要がある。そこで、仮封止部材の下面で受けるケースの内圧に対しては強く、側面で受ける圧力に対しては弱くなるように、仮封止部材がケースの上面部に取り付けられている。
【0011】
一実施形態の蓄電装置では、仮封止部材は、ガス抜き口を覆う仮封止用蓋部と、ガス抜き口の外側に配置され、仮封止用蓋部及びケースの上面部に接合される接合部とを有し、接合部と仮封止用蓋部及び上面部との接合方向は、ケースの内圧方向と略垂直の方向である。
【0012】
内圧方向と略垂直の方向に接合部と仮封止用蓋部及び上面部とが接合されることにより、仮封止部材の下面で受ける内圧に対する耐圧性が高くなり、側面で受ける圧力に対する耐圧性が低くなる。したがって、仮封止用蓋部の下面にケースの内圧を受けても、接合部と仮封止用蓋部及び上面部との各接合が剥がれないので、仮封止部材でガス抜き口を確実に封止できる。また、仮封止用蓋部の側面に横方向からの力を受けると、接合部のいずれかの接合が剥がれるので、仮封止部材を取り外すことができる。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、仮封止に関する作業性を向上できる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【
図1】一実施形態に係る蓄電装置を模式的に示す斜視図であり、(a)が注液口及びガス抜き口が本封止された状態であり、(b)が注液口が本封止される前かつガス抜き口が仮封止されている状態である。
【
図2】
図1の蓄電装置におけるガス抜き口が仮封止部材で仮封止されている状態を示す拡大断面図である。
【
図3】
図1の蓄電装置における電解液注入前から本封止終了後までの注液口及びガス抜き口の各状態を示す拡大断面図であり、(a)が電解液注入前の状態であり、(b)が仮封止中(エージング等の工程中)の状態であり、(c)がガス抜き口から仮封止部材を取り外すときの状態であり、(d)が本封止終了後の状態である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、図面を参照して、本発明の実施形態に係る蓄電装置を説明する。なお、各図において同一又は相当する要素については同一の符号を付し、重複する説明を省略する。
【0016】
一実施形態に係る蓄電装置は、ケースに電極組立体及び電解液等が収容された角型の蓄電装置である。この蓄電装置は、二次電池又は電気二重層キャパシタ等の蓄電装置である。二次電池としては、例えば、リチウムイオン二次電池等の非水電解質二次電池である。この実施形態では、蓄電装置としてリチウムイオン二次電池に適用した場合とする。
【0017】
図1及び
図2を参照し、一実施形態に係る蓄電装置1について説明する。
図1は、一実施形態に係る蓄電装置1を模式的に示す斜視図である。
図2は、蓄電装置1におけるガス抜き口が仮封止部材で仮封止されている状態を示す拡大断面図である。
【0018】
蓄電装置1は、ケース2及びそのケース2内に収容される電極組立体3を備えており、ケース2内に電解液が注入される。特に、蓄電装置1は、製造過程における仮封止に関する作業性を向上させるために、ケース2の上面部(蓋部)に注液口4とは別にガス抜き口5が形成されており、ガス抜き口5が仮封止部材6で予め仮封止されている。
【0019】
ケース2は、有底の角筒状の本体部2aとその本体部2aの上部の開口部を覆う蓋部2bとからなる。ケース2は、アルミニウムやステンレス鋼等の金属によって形成されている。本体部2aは、矩形平板状の底板と、底板の4辺から鉛直方向上方に延びる矩形平板状の4つの側板とから構成される。蓋部2bは、矩形平板状である。ケース2は、この本体部2aと蓋部2bによって内部に直方体形状の密閉空間が形成される。蓋部2bには、ケース2の外部及び内部に突出する正極端子2cと負極端子2dが取り付けられている。
【0020】
電極組立体3は、正極、負極及び正極と負極とを絶縁するセパレータを備えており、正極と負極及びセパレータが積層されて構成されている。正極は、金属箔と、金属箔の少なくとも一面に形成された正極活物質層からなる。正極は、金属箔の端部に正極活物質層が形成されていないタブを有する。タブは、正極の上縁部(正極端子2c側の縁部)に設けられており、導電部材を介して正極端子2cに電気的に接続される。負極は、金属箔と、金属箔の少なくとも一面に形成された負極活物質層からなる。負極は、金属箔の端部に負極活物質層が形成されていないタブを有する。タブは、負極の上縁部(負極端子2d側の縁部)に設けられており、導電部材を介して負極端子2dに電気的に接続される。セパレータは、正極と負極とを隔離し、両極の接触による電流の短絡を防止しつつ、リチウムイオンを通過させるものである。
【0021】
正極、負極は、薄いシート状であり、長方形状とその長方形状の上縁部にタブの部分を有する形状である。セパレータは、薄いシート状又は袋状であり、長方形状である。電極組立体3は、この形状の多数の正極と負極とがセパレータを挟んだ状態で積層されて、上縁部に各電極のタブを有する直方体形状の積層構造体を形成している。この電極組立体3の直方体形状は、ケース2の内部の直方体形状と略同形状であり、大きさが少し小さい。なお、
図1では、電極組立体3の上縁部のタブを省略して描いている。
【0022】
注液口4は、ケース2内に電解液を注入するためのものであり、蓋部2bの所定の位置に形成された貫通孔である。この貫通孔は、所定の径を有する円形状である。注液口4は、ケース2内に電解液が注入された後に、本封止部材7によって封止される。
【0023】
ガス抜き口5は、ケース2内に発生したガスを抜くためのものであり、蓋部2bの所定の位置に形成される貫通孔である。この貫通孔は、所定の径を有する円形状である。ガス抜き口5は、蓋部2bに一体で設けられている仮封止部材6によって予め仮封止された状態である。ガス抜き口5は、仮封止部材6が取り外され、ケース2内に発生したガスが抜かれた後に、本封止部材8によって封止される。
【0024】
なお、注液口4とガス抜き口5とは、同じ大きさでもよいし、あるいは、異なる大きさでもよい。この各大きさは、適宜設定してよい。また、注液口4、ガス抜き口5は、円形状としたが、円形状でなくてもよい。注液口4、ガス抜き口5が同じ大きさの円形状とすると、同じ本封止部材を用いて本封止できるので、作業性が良い。本封止部材7,8は、従来の周知の本封止するための部材と同様の部材を適用でき、例えば、ブラインドリベットである。本封止部材7,8は、注液口4、ガス抜き口5を封止できれば、他の部材でもよい。
【0025】
仮封止部材6は、ガス抜き口5を仮封止するためのものであり、蓋部2bに予め設けられている。仮封止部材6は、
図2に示すように、仮封止用蓋部6aと接合部6bからなり、蓋部2bと一体で成形される。したがって、仮封止部材6は、蓋部2b(ケース2)と同じ材料である。
【0026】
仮封止用蓋部6aは、ガス抜き口5の径より大きい径を有する円柱形状である。したがって、仮封止用蓋部6aの中心をガス抜き口5の中心に略一致させて、仮封止用蓋部6aをガス抜き口5の上方に配置させると、仮封止用蓋部6aによってガス抜き口5を完全に覆うことができる。この配置において仮封止用蓋部6aが蓋部2bにオーバーラップしている部分の間に設けられる接合部6bが仮封止用蓋部6a及び蓋部2bにそれぞれ接合される。仮封止用蓋部6aの厚さは、蓋部2bと同程度の厚さでもよいし、蓋部2bより少し厚くてもあるいは薄くてもよい。
【0027】
接合部6bは、円環形状であり、内径がガス抜き口5の径よりも僅かに大きい径であり、外径が仮封止用蓋部6aの径よりの僅かに小さい径である。接合部6bの厚さは、蓋部2bや仮封止用蓋部6aに比べて薄い。接合部6bは、その上面が仮封止用蓋部6aに接合され、その下面が蓋部2bにおけるガス抜き口5の外周部に接合される。
【0028】
このように接合部6bが配置されて接合されることにより、接合部6bと仮封止用蓋部6a及び蓋部2bとがそれぞれ接合される方向がケース2のガスによる内圧方向D1と略垂直の方向となる(但し、このガスによる内圧方向D1は蓋部2bに対して垂直な方向としているが、ガスによる内圧方向は蓋部2bに対して垂直な方向以外の方向もある)。これによって、仮封止用蓋部6a(仮封止部材6)の下面で受けるケース2の内圧に対する耐圧性が高くなり、かつ、仮封止用蓋部6aの側面で受ける圧力に対する耐圧性が低くなる。そのため、仮封止中はエージング等でケース2内に発生するガスによってケース2の内圧が非常に高くなるが、仮封止用蓋部6aの下面でその内圧を受けているときに、仮封止部材6が蓋部2bから取れるようなことはない(接合部6bと仮封止用蓋部6a及び蓋部2bとの接合が剥がれるようなことはない)。一方、仮封止用蓋部6aの側面に圧力を受けると(横方向D2からの力が付加されると)、仮封止部材6が簡単に蓋部2bから取れる(接合部6bと仮封止用蓋部6a又は蓋部2bとの接合が剥がれる)。
【0029】
なお、仮封止部材6が蓋部2bから取れた後に、蓋部2bには接合部6bの一部が残らないほうがよい。そこで、接合部6bと仮封止用蓋部6aとの接合の強度が、接合部6bと蓋部2bとの接合の強度よりも強いほうがよい。
【0030】
図3を参照して、この蓄電装置1を製造する過程における電解液注入前から本封止終了後までの各工程について説明する。
図3は、蓄電装置1における電解液注入前から本封止終了後までの注液口4及びガス抜き口5の各状態を示す拡大断面図であり、(a)が電解液注入前の状態であり、(b)が仮封止中(エージング等の工程中)の状態であり、(c)がガス抜き口5から仮封止部材6を取り外すときの状態であり、(d)が本封止終了後の状態である。
【0031】
収容工程では、ケース2の本体部2aに電極組立体3を挿入する。そして、各導電部材を介した各端子2c,2dと電極組立体3の各電極のタブとの接続等を行った後に、本体部2aに蓋部2bを取り付け、電極組立体3がケース2内に収容される。このとき、
図3(a)に示すように、蓋部2bの注液口4は開口された状態であり、ガス抜き口5は仮封止部材6によって予め仮封止された状態である。
【0032】
収容工程が終了すると、電解液注入工程では、開口されている注液口4から電解液をケース2内に注入する。電解液注入工程が終了すると、注液口本封止工程では、注液口4を本封止部材7によって本封止する。このとき、
図3(b)に示すように、注液口4は本封止部材7によって本封止された状態となり、ガス抜き口5は仮封止部材6によって仮封止された状態のままである。
【0033】
注液口本封止工程が終了すると、初期充電・エージング工程では、注液口4が本封止されかつガス抜き口5が仮封止された蓄電装置1に対して、初期充電を行い、更に、エージングを行う。この初期充電・エージング工程については、従来と周知の工程と同様に実施される。この初期充電及びエージング(特に、エージング)では、ケース2内にガス(例えば、メタンガス、一酸化炭素ガス、水素ガス)が発生する。この発生したガスによって、ケース2の内圧が高くなる。この内圧が仮封止部材6(仮封止用蓋部6a)の下面にかかるが、接合部6bと仮封止用蓋部6aとの接合や接合部6bと蓋部2bとの接合が剥がれるようなことない。なお、初期充電・エージング工程中、蓄電装置1に対して仮封止するための治具等が装着されていないので、初期充電やエージングの作業性を低下させるようなことない。
【0034】
初期充電・エージング工程が終了すると、ガス抜き工程(仮封止解除工程)では、仮封止用蓋部6aの側面に横方向から押し上げるような力を付加する。すると、
図3(c)に示すように、注液口4は本封止部材7によって本封止された状態のままであるが、接合部6bと蓋部2bとの接合が剥がれ(仮封止用蓋部6aとの接合が剥がれる場合もある)、仮封止部材6が蓋部2bから取れた状態になる。これによって、ガス抜き口5が開口されるので、ガス抜き口5からケース2内のガスが外部に出る。
【0035】
ガス抜き工程が終了すると、ガス抜き口本封止工程では、ガス抜き口5を本封止部材8で本封止する。これで、
図3(d)に示すように、注液口4は本封止部材7によって本封止されかつガス抜き口5も本封止部材8によって本封止された状態となる。
【0036】
なお、本封止部材(例えば、ブラインドリベット)7,8による本封止作業は従来と同様の作業であり、簡単な作業である。また、仮封止部材6を蓋部2bから取り外す作業は横方向から力を付加するだけの作業なので、簡単な作業である。
【0037】
この蓄電装置1によれば、ケース2の蓋部2bには注液口4とは別にガス抜き口5が形成され、このガス抜き口5に対して仮封止部材6が予め設けられているので、仮封止に関する作業性を向上できる。つまり、従来のような1つの貫通孔である注液口を仮封止するための作業を行う必要がなく、仮封止を解除するときもガス抜き口5の仮封止部材6を取り外すだけの作業である。また、仮封止中に、初期充電やエージングにおける作業性を低下させるような仮封止用の治具が蓄電装置1に取り付けられていない。
【0038】
また、蓄電装置1によれば、仮封止部材6の接合部6bと仮封止用蓋部6a及びケース2の蓋部2bとの接合方向をケース2の内圧方向と略垂直の方向とすることにより、仮封止用蓋部6a(仮封止部材6)の下面で受ける内圧に対する耐圧性が高くなり、側面で受ける圧力に対する耐圧性が低くなる。したがって、仮封止用蓋部6aの下面でケース2の内圧を受けても、接合部6bと仮封止用蓋部6a及び蓋部2bとの各接合が剥がれないので、仮封止部材6によってガス抜き口5を確実に封止できる。また、仮封止用蓋部6aの側面に横方向からの力を受けると、接合部6bのいずれかの接合が剥がれるので、仮封止部材6を蓋部2bから簡単に取り外すことができる。
【0039】
以上、本発明の一実施形態について説明したが、上記実施形態に限定されることなく様々な形態で実施される。
【0040】
例えば、上記実施形態では角型の蓄電装置(リチウムイオン二次電池)に適用したが、円筒型(捲回体)等の他の形状の蓄電装置にも適用可能である。また、リチウムイオン二次電池以外の蓄電装置にも適用可能である。
【0041】
また、上記実施形態ではガス抜き口を仮封止する仮封止部材の構造や接合の一例を示したが、仮封止部材がケースの内圧によって蓋部から取れないが、横方向からの力によって取れるものであれば、他の仮封止部材の構造や接合としてよい。
【符号の説明】
【0042】
1…蓄電装置、2…ケース、2a…本体部、2b…蓋部、2c…正極端子、2d…負極端子、3…電極組立体、4…注液口、5…ガス抜き口、6…仮封止部材、6a…仮封止用蓋部、6b…接合部、7,8…本封止部材。