【解決手段】黒鉛構造体20Aは、凹部15の内周面153と小径部28との間の離間寸法が接着層26の厚み寸法よりも大きくなるため、凹部15の内周面153と小径部28との間に接着層26の厚み寸法よりも大きな空間Sが形成される。この空間Sは、凹部15の内周面153に対して大径部27よりも小径部28が遠ざかるように形成されることになる。従って、本発明の黒鉛構造体20Aによれば、第1部材21および第2部材22の接合箇所に曲げ応力が加わっても、凹部15の内周面153の開放端部151が小径部28の外周面281に接触し難く、仮に凹部15の内周面153の開放端部151が小径部28の外周面に接触した場合には第2部材22を割るように作用するだけであり、第1部材21に悪影響を及ぼす虞れを少なくできる。
前記第1部材および前記第2部材のうちの少なくとも一方は、前記嵌入部の中心軸に沿って貫通孔を有することを特徴とする請求項1〜請求項5のうちのいずれか1項に記載の黒鉛構造体。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、前述した特許文献1に記載の接合構造においては、発熱部および先端部の接合箇所に曲げ応力が加わると、テーパ部の外周面が先端部に設けられた孔の内周面に対して局所的に圧接される応力集中が起こり、これにより発熱部が破断する虞れがあった。
【0006】
本発明は、従来の問題を解決するためになされたもので、接合箇所に曲げ応力が加わった際に、破断等の悪影響を最小限に抑えることができる黒鉛構造体を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の黒鉛構造体は、嵌入部と、前記嵌入部に隣り合う本体部とを有する第1部材と、前記嵌入部が嵌入される凹部を有する第2部材と、前記嵌入部と前記凹部とを接着する接着層と、からなる黒鉛構造体であって、前記嵌入部は、前記凹部の内周面に前記接着層を介して接着される外周面を有する大径部と、前記大径部と前記本体部との間に設けられ、前記大径部よりも直径寸法が小さい小径部とを有し、前記小径部は、前記凹部の前記内周面における開放端部側の周縁部に対応する位置に設けられている。
【0008】
本発明における小径部としては、例えば所定の直径寸法が軸方向に沿って連続する円柱形状、円筒形状や截頭円錐形状、あるいは周方向に連続する溝等を例示できる。截頭円錐とは、円錐台形ともいい、円錐の頭部を底面に平行な面で除去した残部を示す。
また、本発明における小径部として周方向に連続する溝を形成する場合、溝の断面形状としては半円形状、V字形状、矩形状等を例示できる。
【0009】
本発明の黒鉛構造体によれば、凹部の内周面と小径部とは離間し、凹部の内周面と小径部との間に接着層の厚み寸法よりも大きな空間が形成される。この空間は、凹部の内周面に対して大径部から小径部に向かって中心軸側に拡大されることになる。
従って、本発明の黒鉛構造体によれば、大径部と小径部との境界部分においては、この空間が形成するノッチが第2部材側に向かう外向きとなり、外向きに破壊を伸展させる。このため、本発明の黒鉛構造体によれば、第1部材および第2部材の接合箇所に応力が加わっても、第2部材の凹部の端部を割るように作用するだけであり、接合部に悪影響を及ぼす虞れを少なくでき、接合部のダメージを小さくすることができる。
【0010】
また、本発明の黒鉛構造体は、以下の態様であることが望ましい。
【0011】
(1)前記小径部の外周面は、前記大径部から前記本体部に向かって先細りとなる円錐面を有する。
本発明における小径部としては、大径部の外周面の端縁から本体部における外周面の端縁に向かって延びる直線状の母線が結ぶ円錐面を例示できるが、曲線の母線を有する円錐面でもよい。
曲線の母線を有する円錐面としては、大径部における外周面の端縁と本体部における外周面の端縁とを結ぶ直線よりも小径部の軸線に向かって凹状となる円弧線を母線とする円錐面が好ましい。このような円錐面はくびれを有する形状である。
また、大径部と小径部との接続箇所は明確な境界線をもっていなくてもよい。例えばR面取りされたR面、C面取りされたC面を有していてもよい。
【0012】
本発明の黒鉛構造体によれば、小径部の外周面が円錐面であるため、小径部にノッチを作ることなく第1部材と第2部材との間に空間を形成することができる。
従って、本発明の黒鉛構造体によれば、第1部材および第2部材の接合箇所に応力が加わっても、第1部材側を向いたノッチがないので第1部材の特定箇所に応力が集中することがなく、第1部材に悪影響を及ぼす虞れをさらに少なくできる。
【0013】
(2)前記小径部の直径寸法は前記本体部の直径寸法以上である。
本発明の黒鉛構造体によれば、小径部の直径が本体部の直径と同一もしくは大きいので、嵌入部における本体部側に過大なくびれが形成されないことになる。
従って、本発明によれば、第1部材および第2部材の接合箇所に応力が加わっても、応力が第1部材の全体に分散して作用し、嵌入部の近傍で折れ難くでき、破損しにくい黒鉛構造体が得られる。
【0014】
(3)前記第2部材の前記凹部の前記内周面における開放端側の周縁部に面取り部を有する。
面取り部としては、第1部材側の端面および凹部の内周面に対して傾斜するC面でもよく、あるいは第1部材側の端面および凹部の内周面に連続するR面でもよい。
なお、面取り部がC面である場合、凹部の内周面における端部とは、第1部材の本体部側の端面および凹部の内周面に対する二本の境界線のうち、凹部の内周面に対する境界線を示す。
【0015】
本発明の黒鉛構造体によれば、第1部材側の端面と、凹部の内周面との間に面取り部を有しているので、第1部材および第2部材を接合するにあたって、嵌入部における開放側端縁を面取り部が案内することにより凹部に対して嵌入部を容易に嵌入できる。また、本発明の黒鉛構造体によれば、第1部材の大径部と小径部との境界線は、第2部材の内周面における端部より奧まで挿入されているので前記空間が形成するノッチが第2部材側に向かう外向きとなり、外向きに破壊を伸展させる。このため、本発明の黒鉛構造体によれば、第1部材及び第2部材の接合箇所に応力が加わっても第2部材の凹部の端部を割るように作用するだけで、接合部に与える影響を小さくすることができる。
すなわち、本発明の黒鉛構造体によれば、凹部の内周面と小径部との間に形成される空間を大きくするために、小径部を過剰に小径化する必要が無いため、第1部材の強度不足を招く虞れがない。
【0016】
(4)前記接着層は、炭素質接着層である。
炭素系接着層とは、例えばフェノール樹脂、コプナ樹脂、フラン樹脂等が焼成することにより炭化して得られた接着層である。炭素系接着層は、第1部材および第2部材と同種の炭素系材料であるので、耐熱性、化学的安定性を備え、過酷な環境下でも使用できる。
【0017】
(5)前記第1部材および前記第2部材のうちの少なくとも一方は、前記嵌入部の中心軸に沿って貫通孔を有する。
本発明の黒鉛構造体によれば、第1部材および第2部材のうちの少なくとも一方が貫通孔を有しているため、第1部材および第2部材を接合するにあたって、接着層となる接着剤をあらかじめ凹部の内周面あるいは大径部の外周面に対して余剰となるように塗布しておき、第1部材および第2部材を接合することにより凹部の内周面と大径部の外周面との間に所望の厚み寸法の接着層を形成できるとともに、凹部の底面と大径部の端面との間を通じて余剰接着剤を貫通孔に排出できる。
すなわち、本発明の黒鉛構造体によれば、凹部の内周面と大径部の外周面との間に適正な厚み寸法の接着層を形成できる。また、本発明の黒鉛構造体によれば、接着材は炭素化の過程で収縮する。余剰な接着剤を除去しておくことにより収縮量を少なくすることができ、内部に亀裂ができにくくすることができ、高強度化することができる。
【発明の効果】
【0018】
本発明によれば、大径部と小径部との境界部分においては、この空間が形成するノッチが第2部材側に向かう外向きとなり、外向きに破壊を伸展させる。このため、本発明によれば、第1部材および第2部材の接合箇所に応力が加わっても、第2部材の凹部の端部を割るように作用するだけであり、接合部に悪影響を及ぼす虞れを少なくでき、接合部のダメージが小さい黒鉛構造体を提供できる。
【発明を実施するための形態】
【0020】
(第1実施形態)
以下、第1実施形態の黒鉛構造体について、図面を用いて説明する。
図1(A)および
図1(B)に示すように、第1実施形態の黒鉛構造体20Aは、第1黒鉛部材(第1部材)21Aと、第2黒鉛部材(第2部材)22Aとを有する。
【0021】
第1黒鉛部材21Aは、円柱形状をした嵌入部23と、嵌入部23に隣り合う本体部24とを有する。第2黒鉛部材22Aは、嵌入部23が嵌入される凹部15を有する。嵌入部23と凹部15とは、接着層26によって接着される。接着層26は、炭素質接着層である。ここで、炭素系接着層とは、例えばフェノール樹脂、コプナ樹脂、フラン樹脂等が焼成することにより炭化して得られた接着層である。
嵌入部23は、先端側の大径部27と本体部24側の小径部28とを有する。大径部27は、外周面271が凹部15の内周面153に対して接着層26を介して接着される。従って、大径部27の外径は、凹部15の内径よりも小さい。また、大径部27の直径寸法は本体部24の直径寸法よりも大きい。
【0022】
小径部28は、大径部27に対して本体部24側に設けられ、外径が大きな大径部27と、外径が小さな本体部24との間を連結する。小径部28は大径部27よりも直径寸法が小さく、大径部27から本体部24に向かって先細りとなる円錐面形状となっている。
ここでは、円錐面としては、大径部27と本体部24とを直線状に結ぶ円錐面を例示するが、曲線の母線を有する円錐面でもよい。なお、曲線の母線を有する円錐面としては、大径部27と本体部24とを結ぶ直線であっても、小径部28の軸線に向かって凹状となる円弧線を母線とする円錐面が好ましい。また、大径部27における外周面271の端縁あるいは本体部24における外周面241の端縁との接続箇所は、円弧線であってもよい。
【0023】
小径部28は、凹部15の内周面153における開放端部151側の周縁部に対応する位置に設けられている。
従って、凹部15の開放端部151位置においては、開放端部151と小径部28との間には、隙間Sが設けられている。
【0024】
次に、黒鉛構造体20Aの作用効果について説明する。
本実施形態の黒鉛構造体20Aによれば、凹部15の内周面153と小径部28との間の離間寸法が接着層26の厚み寸法よりも大きくなるようにしているため、凹部15の内周面153と小径部28との間に接着層26の厚み寸法よりも大きな空間Sが形成される。この空間Sは、凹部15の内周面153に対して大径部27から小径部28に向かって中心軸側に拡大されることになる。
従って、第1実施形態の黒鉛構造体20Aによれば、第1黒鉛部材21Aおよび第2黒鉛部材22Aの接合箇所に曲げ応力が加わっても、空間Sが外向きのノッチを形成するので、第2黒鉛部材22Aを割るように作用するだけであり、第1黒鉛部材21Aに悪影響を及ぼす虞れを少なくできる。
【0025】
第1実施形態の黒鉛構造体20Aによれば、小径部28の外周面281が円錐面であるため、大径部27における本体部24側の端縁と、本体部24における大径部27側の端縁とが急激に変化しないように、換言すれば破断の起点となる角部を小径部28の特定箇所に形成することなく第1黒鉛部材21Aを構成できる。
従って、第1実施形態の黒鉛構造体20Aによれば、第1黒鉛部材21Aおよび第2黒鉛部材22Aの接合箇所に曲げ応力が加わっても、第1黒鉛部材21Aの特定箇所に応力が集中することがないため、第1黒鉛部材21Aに悪影響を及ぼす虞れをさらに少なくできる。
【0026】
第1実施形態の黒鉛構造体20Aによれば、小径部28が本体部24よりも大径であるため、嵌入部23における本体部24側に過大なくびれが形成されないことになる。
従って、第1実施形態の黒鉛構造体20Aによれば、第1黒鉛部材21Aおよび第2黒鉛部材22Aの接合箇所に曲げ応力が加わっても、応力が第1黒鉛部材21Aの全体に分散して作用し、嵌入部23の近傍で折れ難くでき、破損しにくい黒鉛構造体20Aが得られる。
【0027】
第1実施形態の黒鉛構造体20Aによれば、接着層26は、炭素質接着層である。炭素系接着層とは、例えばフェノール樹脂、コプナ樹脂、フラン樹脂等が焼成することにより炭化して得られた接着層である。
従って、炭素系接着層は、第1黒鉛部材21Aおよび第2黒鉛部材22Aと同種の炭素系材料であるので、耐熱性、化学的安定性を備え、過酷な環境下でも使用できる。
【0028】
(第2実施形態)
以下、第2実施形態の黒鉛部材について、図面を用いて説明する。
なお、前述した第1実施形態の黒鉛構造体20Aと共通する部位には同じ符号を付して、重複する説明を省略することとする。
図2(A)および
図2(B)に示すように、第2実施形態の黒鉛構造体20Bは、第2黒鉛部材22Bにおける第1黒鉛部材21B側の端面29と、凹部15の内周面153との間に面取り部31を有する。
【0029】
面取り部31としては、第1黒鉛部材21B側の端面29および凹部15の内周面153に対して傾斜するC面でもよく、あるいは第1黒鉛部材21B側の端面29および凹部15の内周面153に連続するR面でもよい。
なお、面取り部31がC面である場合、凹部15の内周面153における端部とは、第1黒鉛部材21B側の端面29および凹部15の内周面153に対する二本の境界線のうち、凹部15の内周面153に対する境界線を示す。
【0030】
第2実施形態の黒鉛構造体20Bによれば、第1黒鉛部材21B側の端面29と、凹部15の内周面153との間に面取り部31を有している。このため、第1黒鉛部材21Bおよび第2黒鉛部材22Bを接合するにあたって、嵌入部23における開放側端縁を面取り部31が案内することにより凹部15に対して嵌入部23を容易に嵌入できるとともに、第1黒鉛部材21Bおよび第2黒鉛部材22Bを接合した後に凹部15の内周面153と小径部28との間に形成される空間Sをさらに面取り部31により大きくできる。
すなわち、第2実施形態の黒鉛構造体20Bによれば、凹部15の内周面153と小径部28との間に形成される空間Sを大きくするために、小径部28を過剰に小径化する必要が無いため、第1黒鉛部材21Bの強度不足を招く虞れがない。
【0031】
(第3実施形態)
以下、第3実施形態の黒鉛部材について、図面を用いて説明する。
なお、前述した第1実施形態の黒鉛構造体20Aおよび第2実施形態の黒鉛構造体20Bと共通する部位には同じ符号を付して、重複する説明を省略することとする。
図3(A)および
図3(B)に示すように、第3実施形態の黒鉛構造体20Cでは、第1黒鉛部材21Cおよび第2黒鉛部材22Cは、嵌入部23の中心軸L1に沿って貫通孔18を有する。
【0032】
第3実施形態の黒鉛構造体20Cによれば、第1黒鉛部材21Cおよび第2黒鉛部材22Cのうちの少なくとも一方(ここでは両方)が貫通孔18を有しているため、第1黒鉛部材21Cおよび第2黒鉛部材22Cを接合するにあたって、接着層26となる接着剤をあらかじめ凹部15の内周面153あるいは大径部27の外周面271に対して余剰となるように塗布しておき、第1黒鉛部材21および第2黒鉛部材22を接合することにより凹部15の内周面153と大径部27の外周面との間に所望の厚み寸法の接着層26を形成できるとともに、凹部15の底面152と大径部27の端面272との間を通じて余剰接着剤261を貫通孔18に排出できる。
すなわち、第3実施形態の黒鉛構造体20Cによれば、凹部15の内周面153と大径部27の外周面271との間に適正な厚み寸法の接着層26を形成できる。
【0033】
(第4実施形態)
以下、第4実施形態の黒鉛部材および黒鉛構造体について、図面を用いて説明する。
なお、前述した第1実施形態の黒鉛構造体20A乃至第3実施形態の黒鉛構造体20Cと共通する部位には同じ符号を付して、重複する説明を省略することとする。
図4に示すように、第4実施形態の黒鉛部材10Aは、円柱形状をした被嵌入部11Aと、被嵌入部11Aの一端面12から突設され被嵌入部11Aの外径よりも小さな外径を有する円柱形状の接続部13Aとを有する。被嵌入部11Aの他端面14には、部接続部13Aの外径寸法に対応した内径寸法を有する凹部15が設けられている。
【0034】
被嵌入部11Aと接続部13Aとは、被嵌入部11Aの軸線(中心軸)CLに沿って同一線上に配列されている。
接続部13Aは、前述した第1黒鉛部材21Aに該当する。また、被嵌入部11Aは、前述した第2黒鉛部材22Aに該当する。
接続部13Aは、嵌入部23および本体部24を有する。嵌入部23は、大径部27と小径部28を有する。ここでは、前述した小径部28として例えば半円形状の断面を有する溝部17Aが、接続部13Aの外周面に沿って全周に設けられている。溝部17Aは、被嵌入部11Aの一端面12と平行に設けられている。なお、溝部17Aを設ける位置については、詳細を後述する。
【0035】
図5および
図6に示すように、黒鉛構造体20Dは、前述した黒鉛部材10Aを用いて構成される。すなわち、黒鉛構造体20Dは、凹部15に嵌入可能な接続部13Aを有する第1黒鉛部材21Dと、被嵌入部11Aおよび被嵌入部11Aの他端面14から軸線CLに沿って設けられた凹部15を有する第2黒鉛部材22Dを有する。
なお、第1黒鉛部材21Dは、接続部13Aに連続する被嵌入部11Aを有するものであってもよい。また、第2黒鉛部材22Dは、一端面12から突出する接続部13Aを有するものであってもよい。
【0036】
この場合には、第1黒鉛部材21Dおよび第2黒鉛部材22Dは、ともに前述した黒鉛部材10Aに該当する。
そして、第1黒鉛部材21Aと第2黒鉛部材22Aとを接合することにより、複数の黒鉛部材10Aを連結することができる。
【0037】
接続部13Aに設けられている溝部17Aは、凹部15に連結する他の接続部13Aが嵌入された際に、凹部15の内周面153の開放端部151と対面する位置に形成されている。
すなわち、接続部13Aの先端面131から溝部17Aの先端面側端部171までの距離H1は、凹部15の底面152から開放端部151までの距離H2よりも小さい。さらに、先端面131から溝部17Aの反対側端部172までの距離H3は、凹部15の底面152から開放端部151までの距離H2よりも大きい。
これにより、黒鉛構造体20Dに曲げが作用しても、被嵌入部11Aの開放端部151が接続部13Aの本体部24に当接しない。
【0038】
なお、
図5および
図6に示した黒鉛構造体20Dでは、接合された2個の黒鉛部材10Aにおける一端面12と他端面14とが離れたものを例示しているが、一端面12と他端面14との距離は調整可能である。
例えば、第2黒鉛部材221D(22D)の他端面14と、接合される第1黒鉛部材212D(21D)の一端面12とを密着させることもできる。すなわち、凹部15の深さを、接続部13Aの長さよりも大きくすることにより、接続部13A全体を凹部15の内部に収容する。このとき、溝部17Aは、接続部13Aの基端部に設ける。
【0039】
次に、黒鉛部材10Aの作用効果について説明する。
同一線に沿って配列された被嵌入部11Aと接続部13Aは、被嵌入部11Aの他端面14に設けられ接続部13Aの外径寸法に対応する内径寸法を有する凹部15に、接続部13Aを差し込んで接合される。
そして、凹部15に他の黒鉛部材10Aの接続部13Aが嵌入された際に、接続部13Aにおいて凹部15の開放端部151と対面する位置に、本体部24の周方向に連続する溝部17Aを設けた。
このため、黒鉛部材10Aに曲げが作用した際に、凹部15の開放端部151が溝部17Aに位置することにより、開放端部151が接続部13Aの本体部24に当接して集中応力が発生するのを防止でき、破断等の悪影響を最小限に抑えることができる。
【0040】
次に、黒鉛構造体20Dの作用効果について説明する。
黒鉛構造体20Dは、被嵌入部11Aおよび被嵌入部11Aの端面(他端面14)から軸線CLに沿って設けられた凹部15を有する第2黒鉛部材22Dと、凹部15に嵌入可能な接続部13Aを有する第1黒鉛部材21Dとを有する。
そして、接続部13Aにおいて凹部15に接続部13Aが嵌入された際に、凹部15の内周面153における開放端部151に対応する位置に、周方向に沿って連続して形成された溝部17Aを設けた。
このため、黒鉛構造体20Dに曲げが作用した際に、凹部15の開放端部151が溝部17Aに位置することにより、開放端部151が接続部13Aの本体部24に当接して集中応力が発生するのを防止でき、破断等の悪影響を最小限に抑えることができる。
【0041】
(第5実施形態)
次に、第5実施形態の黒鉛部材および黒鉛構造体について、図面を用いて説明する。
なお、前述した第1実施形態の黒鉛構造体20A乃至第4実施形態の黒鉛構造体20Dおよび第4実施形態の黒鉛部材10Aと共通する部位には同じ符号を付して、重複する説明を省略することとする。
【0042】
図7に示すように、第5実施形態の黒鉛部材10Bでは、小径部28として周方向に連続する溝部17Aを設けた。そして、接続部13Bにおける溝部17Aより被嵌入部11B側の基端側部132が、溝部17Aの底部173から被嵌入部11B側に延長して形成されている。従って、基端側部132は、溝部17Aの底部173の外径と同じ外径の円柱状に形成されている。換言すれば、溝部17Aは半分が形成されており、反対側端部172(
図5参照)は存在しない。
図8および
図9に示すように、前述した黒鉛部材10Bを用いた第5実施形態の黒鉛構造体20Eでは、第1黒鉛部材21Eの接続部13Bを第2黒鉛部材22Eの凹部15に嵌入させることにより、第1黒鉛部材21Eと第2黒鉛部材22Eを接合する。
【0043】
従って、第1黒鉛部材21Eの接続部13Bは、溝部17Aの底部173から、軸線CLと平行に被嵌入部11Bの一端面12に延びる。
これにより、黒鉛構造体20Eに曲げが作用した際に、凹部15の開放端部151が接続部13Bの基端側部132に当接しないので、開放端部151が当接して集中応力が発生するのを防止でき、破断等の悪影響を最小限に抑えることができる。
【0044】
(第6実施形態)
次に、第6実施形態の黒鉛部材および黒鉛構造体について、図面を用いて説明する。
なお、前述した第1実施形態の黒鉛構造体20A乃至第5実施形態の黒鉛構造体20E、第4実施形態の黒鉛部材10Aおよび第5実施形態の黒鉛部材10Bと共通する部位には同じ符号を付して、重複する説明を省略することとする。
【0045】
図10に示すように、第6実施形態の黒鉛部材10Cは、前述した第4実施形態の黒鉛部材10A(
図4参照)において、被嵌入部11Aおよび接続部13Aを軸線CLに沿って貫通する貫通孔18を設けたものである。
すなわち、貫通孔18は、接続部13Cの先端面131から被嵌入部11Cの凹部15の底面152まで形成されている。貫通孔18は、被嵌入部11Cおよび接続部13Cにおいて同じ内径を有している。貫通孔18の内径は、溝部17Aの底部173においても十分な肉厚を確保できる大きさとなっている。
これにより、黒鉛部材10Cは、軸線CLに沿って形成された貫通孔18を有するので、円筒形状を構成する。
【0046】
図11および
図12に示すように、前述した黒鉛部材10Cを用いた第6実施形態の黒鉛構造体20Fは、前述した第4実施形態の黒鉛構造体20D(
図5および
図6参照)に、軸線CLに沿って貫通孔18を設けたものである。
従って、黒鉛部材10Cを軸線CL方向に複数個接合した場合に、黒鉛構造体20Fを貫通する貫通孔18が形成される。
【0047】
以上、説明した黒鉛構造体20Fでは、第1黒鉛部材21Fおよび第2黒鉛部材22Fは、軸線CLに沿って形成された貫通孔18を有するので、黒鉛構造体20Fは円筒形状を構成する。
このため、黒鉛構造体20Fの曲げに対する強度を増すことができる。
【0048】
(第7実施形態)
次に、第7実施形態の黒鉛部材および黒鉛構造体について、図面を用いて説明する。
なお、前述した第1実施形態の黒鉛構造体20A乃至第6実施形態の黒鉛構造体20F、第4実施形態の黒鉛部材10A乃至第6実施形態の黒鉛部材10Cと共通する部位には同じ符号を付して、重複する説明を省略することとする。
【0049】
図13に示すように、第7実施形態の黒鉛部材10Dは、前述した第5実施形態の黒鉛部材10B(
図7参照)において、被嵌入部11Bおよび接続部13Bを軸線CLに沿って貫通する貫通孔18を設けたものである。
貫通孔18は、接続部13Dの先端面131から被嵌入部11Dの凹部15の底面152まで形成されている。貫通孔18は、被嵌入部11Dおよび接続部13Dにおいて同じ内径を有している。貫通孔18の内径は、溝部17Aの底部173および基端側部132においても十分な肉厚を確保できる大きさとなっている。
【0050】
これにより、黒鉛部材10Dは、軸線CLに沿って形成された貫通孔18を有するので、円筒形状を構成する。
【0051】
図14および
図15に示すように、前述した黒鉛部材10Dを用いた第7実施形態の黒鉛構造体20Gは、前述した第5実施形態の黒鉛構造体20E(
図8および
図9参照)を軸線CLに沿って貫通する貫通孔18を設けたものである。
従って、黒鉛部材10Dを軸線CL方向に複数個接合した場合に、黒鉛構造体20Gを貫通する貫通孔18が形成される。
【0052】
これにより、第1黒鉛部材21Gおよび第2黒鉛部材22Gは、軸線CLに沿って形成された貫通孔18を有するので、黒鉛構造体20Gは円筒形状を構成する。
【0053】
なお、本発明の黒鉛部材および黒鉛構造体は、前述した各実施形態に限定されるものでなく、適宜な変形、改良等が可能である。
例えば、前述した各実施形態においては、小径部28として、円錐形状あるいは周方向に連続する溝部17等を例示したが、大径部27の外径よりも小さな所定の外径が軸方向に沿って連続する円柱形状や円筒形状とすることもできる。
【0054】
また、前述した各実施形態においては、溝部17Aとして断面形状が半円の場合を例示したが(
図16(A)参照)、本発明はそのほかの断面形状の溝部にも適用可能である。
例えば、
図16(B)に示すように、溝部17Bと接続部13Aの外周面との境界部分にR部174を設けることができる。また、
図16(C)に示すように、溝部17CをV字形状とし、境界部分にR部174を設けることができる。さらに、
図16(D)に示すように、溝部17Dを角の丸まった矩形断面とすることも可能である。