前記ストッパ領域の直上の位置となる前記フィールド絶縁膜の上面に、前記空乏層が広がる方向の電圧が印加される表面配線を更に備えることを特徴とする請求項3に記載の半導体装置。
前記ストライプ状の第2主電極領域用窓部の長手方向に直交する方向において、前記フィールド絶縁膜が、前記第2主電極領域用窓部から離間して、前記第2主電極領域用窓部を挟む位置に、ストライプ状の第1主電極領域用窓部を更に有することを特徴とする請求項2に記載の半導体装置。
前記長手方向に直交する方向において、前記第1主電極領域用窓部の内部の中央部において、前記チャネル形成領域の上部に、前記ドリフト領域から離間して、前記第1主電極領域が配置されていることを特徴とする請求項5に記載の半導体装置。
前記長手方向に沿って、前記フィールド絶縁膜の下方となる前記ドリフト領域の端部に、前記ストッパ領域が配置されていることを特徴とする請求項7に記載の半導体装置。
前記ストッパ領域の直上の位置となる前記フィールド絶縁膜の上面に、前記ゲート電極と同電位の電圧が印加される表面配線を更にそなえることを特徴とする請求項8に記載の半導体装置。
前記第1ストッパ領域は、前記第2主電極領域側の端が前記第1ゲート配線の前記第2主電極領域側の端よりも前記第2主電極領域側に位置していることを特徴とする請求項11に記載の半導体装置。
前記フィールド絶縁膜は、前記第1方向に沿って延在し、前記第2方向に周期的に配列された複数の窓部を有してはしご型に形成されていることを特徴とする請求項16に記載の半導体装置。
【発明を実施するための形態】
【0009】
パワートランジスタにおいても更なる小型化が要求されている。上述の横型パワーMOSFETにおいては、フィールド絶縁膜上を延在するゲート配線をドレイン領域に近づけることで小型化を図ることができる。
しかしながら、本発明者らは、ゲート配線とドレイン領域との距離が1μm以下になると、デバイス耐圧(チャネル形成領域/ドレイン領域間耐圧)が低下することを見出した。このデバイス耐圧の低下は、フィールド絶縁膜上のゲート配線によるフィールドプレート効果により、ゲート配線下においてチャネル形成領域とドレイン領域とのpn接合部界面で生じる空乏層がドレイン領域まで広がって(伸びて)しまい、ドレイン領域のゲート配線側のエッジ部で電界集中することで起こる。
そこで、本発明者らは、ゲート配線下のドリフト(オフセット)領域に着目し、本発明をなした。
【0010】
以下、本発明の一実施形態に係る半導体装置について、図面を参照しながら説明する。
本明細書において、「主電極領域」とは、電界効果トランジスタ(FET)においてソース領域又はドレイン領域の何れか一方となる低比抵抗の半導体領域を意味する。IGBTにおいてはエミッタ領域又はコレクタ領域の何れか一方となる半導体領域を意味するので「半導体装置」に依拠した名称となる。より具体的には、上記の「一方となる半導体領域」を「第1主電極領域」として定義すれば、「他方となる半導体領域」は、「第2主電極領域」となる。すなわち、「第2主電極領域」とは、FET,SITにおいては第1主電極領域とはならないソース領域又はドレイン領域の何れか一方となる半導体領域、IGBTにおいては第1主電極領域とはならないエミッタ領域又はコレクタ領域の何れか一方となる半導体領域を意味する。以下の一実施形態では、横型MOFETに着目して説明するので、ソース領域を「第1主電極領域」、ドレイン領域を「第2主電極領域」と呼ぶ。
【0011】
以下の一実施形態の説明では、第1導電型がp型、第2導電型がn型の場合について例示的に説明するが、導電型を逆の関係に選択して、第1導電型をn型、第2導電型をp型としても構わない。
また、本明細書及び添付図面においては、nまたはpを冠記した層や領域では、それぞれ電子又は正孔が多数キャリアであることを意味する。また、nやpに付す+及び−は、+及び−の付記されていない半導体領域に比してそれぞれ相対的に不純物濃度が高い又は低い半導体領域であることを意味する。
なお、以下の一実施形態の説明及び添付図面において、同様の構成には同一符号を付し、重複する説明を省略する。
【0012】
また、一実施形態で説明される添付図面は、見易く又は理解し易くするために正確なスケール、寸法比で描かれていない。本発明はその要旨を超えない限り、以下に説明する一実施形態に記載に限定されるものではない。
以下の一実施形態では、本発明の「半導体装置」の代表例として横型MOSFETに着目して例示的に説明する。また、以下の一実施形態では、同一平面内で互いに直交する第1及び第2方向をそれぞれX方向及びY方向と呼ぶ。
図1乃至
図3、
図12では、水平方向をX方向、垂直方向をY方向と定義している。また、
図4、
図8乃至
図11では、(a)において水平方向をX方向、(b)において水平方向をY方向と定義し、
図13では水平方向をY方向と定義している。
【0013】
図1乃至
図4((a),(b))に示すように、本発明の一実施形態に係る半導体装置は、例えば単結晶シリコンからなる第2導電型(n
−型)の半導体基板1を主体にした横型MOSFETである。また、本発明の一実施形態に係る半導体装置は、詳細に図示していないが、半導体基板1の主面に形成された微細な複数のトランジスタセルQ
p−2,Q
p−1,Q
p,Q
p+1を電気的に並列に接続して大電力を得る構成になっている。
図1及び
図2には、便宜上4つのトランジスタセルQ
p−2,Q
p−1,Q
p,Q
p+1が集積化された例を示すが、トランジスタセルQの数は4つに限定されるものではない。
【0014】
トランジスタセルQ
pは、主に、第1導電型(p型)のチャネル形成領域2と、ゲート絶縁膜7と、ゲート電極8
pと、ソース領域としての第2導電型(n型)の第1主電極領域10
jと、ドレイン領域としての第2導電型(n型)の第2主電極領域11
jと、第2導電型(n型)のドリフト領域3
j(オフセット領域)と、を有する構成になっている。
トランジスタセルQ
p+1は、主に、チャネル形成領域2と、ゲート絶縁膜7と、ゲート電極8
p+1と、ソース領域としての第2導電型(n型)の第1主電極領域10
j+1と、ドレイン領域としての第2主電極領域11
jと、ドリフト領域3
jと、を有する構成になっている。
【0015】
トランジスタセルQ
p−1は、主に、チャネル形成領域2と、ゲート絶縁膜7と、ゲート電極8
p−1と、ソース領域としての第1主電極領域10
jと、ドレイン領域としての第2導電型(n型)の第2主電極領域11
j−1(
図1〜
図3参照)と、第2導電型(n型)のドリフト領域3
j−1(オフセット領域)と、を有する構成になっている。
トランジスタセルQ
p−2は、主に、チャネル形成領域2と、ゲート絶縁膜7と、ゲート電極8
p−2と、ソース領域としての(n型)の第1主電極領域10
j−1と、ドレイン領域としての第2主電極領域11
j−1と、ドリフト領域3
j−1と、を有する構成になっている(
図1〜
図3参照)。
【0016】
すなわち、本発明の一実施形態に係る半導体装置は、
図1乃至
図4((a),(b))に示すように、第2主電極領域11
jおよびドリフト領域3
jをトランジスタセルQ
pとQ
p+1とで共用し、第1主電極領域10
jをトランジスタセルQ
p−1とQ
pとで共用した構成になっている。また、本発明の一実施形態に係る半導体装置は、
図1乃至
図3に示すように、第2主電極領域11
j−1及びドリフト領域3
j−1をトランジスタセルQ
p−2とQ
p−1とで共用した構成になっている。
【0017】
トランジスタセルQ
p,Q
p+1は、第1主電極領域10
j,10
j+1からのキャリアがドリフト領域3
jを走行し、第1主電極領域10
j,10
j+1からのキャリアを第2主電極領域11
jで受け入れる構成になっている。
同様に、トランジスタセルQ
p−2,Q
p−1においても、第1主電極領域10
j−1,10
jからのキャリアがドリフト領域3
j−1を走行し、第1主電極領域10
j−1,10
jからのキャリアを第2主電極領域11
j−1で受け入れる構成になっている。
【0018】
図1乃至
図4((a),(b))に示すように、半導体基板1の主面には、フィールド絶縁膜5が形成されている。このフィールド絶縁膜5は、例えば選択酸化法により半導体基板1の主面を酸化して作製された二酸化シリコン膜で形成されている。フィールド絶縁膜5は、主に、半導体基板1の主面において、素子間や主電極領域間を絶縁分離する。
フィールド絶縁膜5は、X方向に沿ってストライプ状に延在し、かつ同一平面内においてX方向と直交するY方向に沿って周期的に配列された複数の窓部6を有してはしご型に形成されている。複数の窓部6は、Y方向に沿って交互に周期的に配置された第1主電極領域用窓部6a
j−1,6a
j,6a
j+1及び第2主電極領域用窓部6b
j−1,6b
jを含んでいる。
【0019】
ストライプ状の第1主電極領域用窓部6a
j及び6a
j+1は、ストライプ状の第2主電極領域用窓部6b
jの長手方向(X方向)に直交する方向(Y方向)において、第2主電極領域用窓部6b
jから離間して、第2主電極領域用窓部6b
jを挟む位置に配置されている。また、第1主電極領域用窓部6a
j−1及び6a
jは、ストライプ状の第2主電極領域用窓部6b
j−1の長手方向に直交する方向において、第2主電極領域6b
j−1から離間して、第2主電極領域用窓部6b
j−1を挟む位置に配置されている。
【0020】
チャネル形成領域2は、半導体基板1の主面側の上部に配置されている。第1主電極領域10
j−1,10
j,10
j+1は、半導体基板1の主面側であってチャネル形成領域2の上部の一部に配置されている。ドリフト領域3
j−1,3
jは、チャネル形成領域2の上部に第1主電極領域10
j−1,10
j,10
j+1から離間して配置されている。第2主電極領域11
j−1,11
jは、ドリフト領域3
j−1,3
jの上部の一部に配置されている。
【0021】
ドリフト領域3
jは、第1主電極領域用窓部6a
jと6a
j+1との間においてチャネル形成領域2の上部に配置され、第2主電極領域用窓部6b
jの周辺に沿って第2主電極領域用窓部6b
j側からフィールド絶縁膜5下にまで延在する構成になっている。また、ドリフト領域3
j−1においても、第1主電極領域用窓部6a
j−1と6a
jとの間においてチャネル形成領域2の上部に配置され、第2主電極領域用窓部6b
j−1の周辺に沿って第2主電極領域用窓部6b
j−1側からフィールド絶縁膜5下にまで延在する構成になっている。ドリフト領域3
j−1,3
jは、X方向に沿ってストライプ状に形成され、チャネル形成領域2の上部において島状に設けられている。
【0022】
第1主電極領域10
jは、第1主電極領域用窓部6a
jの内部において、チャネル形成領域2の上部にドリフト領域3
j−1及び3
jから離間して配置されている。この第1主電極領域10
jは、第1主電極領域用窓部6a
jの長手方向に直交する方向(Y方向)において、第1主電極領域用窓部6a
jの中央部に配置されている。
また、第1主電極領域10
j+1は、第1主電極領域用窓部6a
j+1の内部において、チャネル形成領域2の上部にドリフト領域3
jから離間して配置されている。この第1主電極領域10
j+1は、第1主電極領域用窓部6a
j+1のY方向において、第1主電極領域用窓部6a
j+1の中心からドリフト領域3
j側とは反対側に位置を偏心させた状態で配置されている。
【0023】
また、第1主電極領域10
j−1は、第1主電極領域用窓部6a
j−1の内部において、チャネル形成領域2の上部にドリフト領域3j−1から離間して配置されている。この第1主電極領域10
j−1においても、第1主電極領域用窓部6a
j−1のY方向において、第1主電極領域用窓部6a
j−1の中心からドリフト領域3
j−1側とは反対側に位置を偏心させた状態で配置されている。第1主電極領域10
j−1,10
j,10
+1は、X方向に沿ってストライプ状に形成され、チャネル形成領域2の上部において島状に設けられている。
【0024】
第2主電極領域11
jは、第2主電極領域用窓部6b
jの内部において、ドリフト領域3
jの中央部に配置されている。この第2主電極領域11
jは、第2主電極領域用窓部6b
jの内部全域に形成され、周辺が第2主電極領域用窓部6b
j−1の周辺よりも外側に位置する平面サイズで形成されている。
また、第2主電極領域11
j−1は、第2主電極領域用窓部6b
j−1の内部において、ドリフト領域3
j−1の中央部に配置されている。この第2主電極領域11
j−1においても、第2主電極領域用窓部6b
j−1の内部全域に形成され、周辺が第2主電極領域用窓部6b
j−1の周辺よりも外側に位置する平面サイズで形成されている。第2主電極領域11
j−1,11
jは、X方向に沿ってストライプ状に形成され、ドリフト領域3
j−1,3
jの上部において島状に設けられている。
【0025】
ゲート絶縁膜7は、半導体基板1の主面に形成されている。ゲート絶縁膜7は、チャネル形成領域2の表面において、ドリフト領域3
jと第1主電極領域10
jとの間、及び、ドリフト領域3
jと第1主電極領域10
j+1との間にそれぞれ設けられている。また、ゲート絶縁膜7は、チャネル形成領域2の表面において、ドリフト領域3
j−1と第1主電極領域10
jとの間、及び、図示していないがドリフト領域3
j−1と第1主電極領域10
j−1との間にそれぞれ設けられている。すなわち、ゲート絶縁膜7は、Y方向に沿ってフィールド絶縁膜5の複数の窓部6の内部に1行おきに配置されている。また、第2主電極領域11
j−1,11
jは、ゲート絶縁膜7が設けられていない複数の窓部6の残余の行に配置されている。
【0026】
ゲート絶縁膜7は、例えば熱酸化法により半導体基板1の表面に作製された二酸化シリコン膜(SiO
2)で形成されている。ゲート絶縁膜7としては、熱酸化法の他に化学的気相堆積(CVD)法による酸化シリコン膜や窒化シリコン(Si
3N
4)膜、或いはこれらの積層膜を用いることができるが、高耐圧が要求されるパワーデバイス(電力用半導体装置)においては緻密性に有利な熱酸化法による酸化シリコン膜を用いることが好ましい。
【0027】
本発明の一実施形態では、ゲート絶縁膜が酸化膜からなるMOS型のFETでトランジスタセルQ(Q
p−1,Q
p−2,Q
p,Q
p+1)が構成された場合を説明しているが、トランジスタセルQとしては、ゲート絶縁膜が酸化シリコン膜や窒化シリコン膜、或いはこれらの積層膜などの絶縁膜からなるMIS型FETでも構わない。
ゲート電極8
p−2,8
p−1,8
p,8
p+1の平面パターンは、
図2に示すように、X方向に沿ってストライプ状に形成されている。ゲート電極8
p−2,8
p−1,8
p,8
p+1は、
図4(b)に示すように、チャネル形成領域2上にゲート絶縁膜7を介在して形成され、かつX方向(ゲート幅方向)に沿って延在するストライプ部分の直下にチャネルが形成可能なように構成されている。ゲート電極8
p−2,8
p−1,8
p,8
p+1は、例えば不純物が添加された低比抵抗のドープドポリシリコン層で形成されている。
【0028】
X方向のストライプ部分となるゲート電極8
p−2,8
p−1,8
p,8
p+1の直下のチャネル形成領域2の表面には、ゲート電極8
p−2,8
p−1,8
p,8
p+1に印加される電圧に制御されてチャネルが形成される。このゲート電極8
p,8
p+1下のチャネル及びドリフト領域3
jを通して第1主電極領域10
j,10
j+1から第2主電極領域11
jにキャリアが移動する。また、このゲート電極
p−2,
p−1下のチャネル及びドリフト領域3
j−1を通して第1主電極領域10
j−1,10
jから第2主電極領域11
j−1にキャリアが移動する。
【0029】
図1乃至
図4((a),(b))に示すように、ゲート電極8
pは、第1主電極領域10
jと第2主電極領域11
jとの間において、フィールド絶縁膜5上及びゲート絶縁膜7上に配置されている。ゲート電極8
p+1は、第1主電極領域10
j+1と第2主電極領域11
jとの間において、フィールド絶縁膜5上及びゲート絶縁膜7上に配置されている。ゲート電極
p−1は、第1主電極領域10
jと第2主電極領域11
j−1との間において、フィールド絶縁膜5上及びゲート絶縁膜7上に配置されている。ゲート電極8
p−2は、第1主電極領域10
j−1と第2主電極領域11
j−1との間において、フィールド絶縁膜5上及びゲート絶縁膜7上に配置されている。すなわち、ゲート電極8
p−2,8
p−1,8
p,8
p+1は、第2主電極領域11
j−1,11
j側がフィールド絶縁膜5上に乗り上がるようにして配置されている。
【0030】
第1主電極領域10
j−1,10
j,10
j+1及びドリフト領域3
j−1,3
jの各々は、ゲート電極8
p−2,8
p−1,8
p,8
p+1のゲート長方向(Y方向)の両側に互いに離間して配置されている。ドリフト領域3
j−1,3
jは、チャネル形成領域2の上部に第2主電極領域11
j−1,11
jを囲むようにして配置され、かつ第2主電極領域11
j−1,11
jよりも低不純物濃度で形成されている。
第1主電極領域10
j−1,10
j,10
j+1は、チャネル形成領域2の上部に周期的に配置されている。一方、第2主電極領域11
j−1,11
jは、第1主電極領域10
j−1,10
j,10
j+1とは異なり、チャネル形成領域2の上部に配置されたドリフト領域3
j−1,3
jの上部の中央部に配置されている。
【0031】
図2に示すように、本発明の一実施形態の半導体装置は、ゲート電極8
p−2,8
p−1,8
p,8
p+1のゲート長方向に沿って第1主電極領域(ソース領域)10
j−1,10
j,10
j+1と第2主電極領域(ドレイン領域)11
j−1,11
jとを交互に周期的に複数配置したレイアウトになっている。これは、オン抵抗を下げるためにチャネル幅を長くした場合に、第2主電極領域(ドレイン領域)11
j−1,11
jを共通化することでパワーデバイの面積を縮小して小型化を図ることを目的としている。そして、第1主電極領域10
j−1と第2主電極領域11
j−1との間,第1主電極領域10
jと第2主電極領域11
j−1との間、第1主電極領域10
jと第2主電極領域11
jとの間、第1主電極領域10
j+1と第2主電極領域11
jとの間にはケード電極8
p−2,8
p−1,8
p,8
p+1がそれぞれ配置されており、各ゲート電極8
p−2,8
p−1,8
p,8
p+1は後述する第1及び第2ゲート配線9a,9bと一体に連結され、はしご型形状を構成している。
【0032】
図2乃至
図4((a),(b))に示すように、ドリフト領域3
jは、複数のゲート電極8
p−2,8
p−1,8
p,8
p+1のうち、互いに隣り合う一対のゲート電極8
p,8
p+1で挟まれた領域を含めて一対のゲート電極8
p,8
p+1の下方に設けられている。また、ドリフト領域3
j−1は、複数のゲート電極8
p−2,8
p−1,8
p,8
p+1のうち、互いに隣り合う一対のゲート電極8
p−2,8
p−1で挟まれた領域を含めて一対のゲート電極8
p,8
p+1の下方に設けられている。
【0033】
図1、
図2及び
図4((a),(b))に示すように、各ゲート電極8
p−2,8
p−1,8
p,8
p+1の長手方向の一端側は、フィールド絶縁膜5上をY方向に沿って延在する表面配線としての第1ゲート配線9aと一体に連結されている。また、各ゲート電極8
p−2,8
p−1,8
p,8
p+1の長手方向の一端側とは反対側の他端側は、フィールド絶縁膜5上をY方向に沿って延在する表面配線としての第2ゲート配線9bと一体に連結されている。第1及び第2ゲート配線9a,9bの各々は、各ゲート電極8
p−2,8
p−1,8
p,8
p+1と同一層で形成されている。第1及び第2ゲート配線9a,9bの各々は、パワーデバイスの小型化を図るため、従来の横型MOSFETと比較して第2主電極領域11
j−1,11
jとの距離が短い位置に配置されている。第1ゲート配線9aにはゲート電極8
p−2,8
p−1,8
p,8
p+1に供給する電圧が印加され、第2ゲート配線9bにも第1ゲート配線9aと同電位の電圧が印加される。
【0034】
図4((a),(b))に示すように、半導体基板1の主面上には、ゲート電極8を覆うようにして例えば二酸化シリコン膜からなる層間絶縁膜12が形成されている。層間絶縁膜12上には、第1主電極領域10
j−1,10
j,10
j+1と電気的に接続される第1主電極領域用の第1金属配線15と、第2主電極領域11
j−1,11
jと電気的に接続される第2主電極領域用の第2金属配線16とが形成されている。第1及び第2金属配線15,16の各々は、同一配線層に形成され、例えばアルミニウム(Al)膜、又はAl−Si,Al−Cu,Al−Cu−Siなどのアルミ合金膜で形成されている。
【0035】
図1に示すように、第1金属配線15は、半導体基板1の主面に向かって平面視したとき、フィールド絶縁膜5上において、第1主電極領域10
j−1,10
j,10
j+1及び第2主電極領域11
j−1,11
jの各々の一端側の外側をY方向に沿って延在する第1配線部分15aと、この第1配線部分15aからX方向に沿って各々の第1主電極領域10
j−1,10
j,10
j+1上を延在する複数の第2配線部分15bとを有する構成になっている。第1金属配線15の各々の第2配線部分15bは、層間絶縁膜12に埋め込まれた導電性プラグ13aを介して、対応する第1主電極領域10
j−1,10
j,10
j+1と電気的に接続されている。
【0036】
第2金属配線16は、半導体基板1の主面に向かって平面視したとき、フィールド絶縁膜5上において、第1主電極領域10
j−1,10
j,10
j+1及び第2主電極領域11
j−1,11
jの各々の他端側の外側をY方向に沿って延在する第1配線部分16aと、この第1配線部分16aからX方向に沿って各々の第2主電極領域11
j−1,11
j上を延在する複数の第2配線部分16bとを有する構成になっている。第2金属配線16の各々の第2配線部分16bは、層間絶縁膜12に埋め込まれた導電性プラグ13bを介して、対応する第2主電極領域11
j−1,11
jと電気的に接続されている。
【0037】
図3及び
図4((a),(b))に示すように、半導体基板1の主面にはチャネル形成領域2に囲まれてドリフト領域3
j−1,3
jが島状に設けられ、このドリフト領域3
j−1,3
jの内部には第2主電極領域11
j−1,11
jが設けられている。また、ドリフト領域3
j−1,3
jの内部には、第2主電極領域11
j−1,11
jから離間してドリフト領域3
j−1,3
jの端部の第1ゲート配線9a下に選択的に、かつドリフト領域3
j−1,3
jよりも高不純物濃度の第1ストッパ領域4a
j−1,4a
jが配置されている。
そして、本発明の一実施形態に係る半導体装置では、
図2及び
図4((a),(b))に示すように、ゲート電極8
p−2,8
p−1,8
p,8
p+1の両端側に第1ゲート配線9a及び第2ゲート配線9bが設けられているので、第2ゲート配線9b下にも第1ストッパ領域4a
j−1,4a
jと同様の第2ストッパ領域4b
j−1,4b
jが設けられている。
【0038】
すなわち、ドリフト領域3
j−1,3
jの両端部には、ドリフト領域3
j−1,3
jよりも不純物濃度が高い第1ストッパ領域4a
j−1,4a
jと、第2ストッパ領域4b
j−1,4b
jと、が対向して配置されている。第1ストッパ領域4a
j−1,4a
j及び第2ストッパ領域4b
j−1,4b
jの各々は、後で詳細に説明するが、電圧が印加された第1及び第2ゲート配線9a,9bによるフィールドプレート効果が生じても、第1および第2ゲート配線9a,9b下においてチャネル形成領域2とドリフト領域3
j−1,3
jとが構成するpn接合部界面で生じる空乏層20a(
図6参照)の第2主電極領域11
j−1,11
j側への広がりを抑制する。
【0039】
ここで、別な表現をすると、第1ゲート配線9aは、第2主電極領域11
j−1,11
jの一端側の外側において、フィールド絶縁膜5の下方となるドリフト領域3
j−1,3
jの一端側の端部に配置されている。また、第2ゲート配線9bは、第2主電極領域11
j−1,11
jの一端側とは反対側の他端側の外側において、フィールド絶縁膜5の下方となるドリフト領域3
j−1,3
jの他端側の端部に配置されている。
【0040】
更に、別な表現をすると、第1ゲート配線9aは、第2主電極領域11
j−1,11
jの一端側の外側において、第1ストッパ領域4a
j−1,4a
jの直上の位置となるフィールド絶縁膜5の上面に配置されている。また、第2ゲート配線9bは、第2主電極領域11
j−1,11
jの他端側の外側において、第2ストッパ領域4a
j−1,4a
jの直上の位置となるフィールド絶縁膜5の上面に配置されている。
【0041】
第1ストッパ領域4a
jは、
図2及び
図4(a)に示すように、第2主電極領域11
j側の端4a1が第1ゲート配線9aの第2主電極領域11
j側の端9a1よりも第2主電極領域11
j側に位置している。また、第2ストッパ領域4b
jにおいても、1ストッパ領域4a
jと同様に、第2主電極領域11
j側の端4b1が第2ゲート配線9bの第2主電極領域11
j側の端9b1よりも第2主電極領域11
j側に位置している。
【0042】
また、詳細に図示していないが、第1ストッパ領域4a
j−1においても、第1ストッパ領域4a
jと同様に、
図2に示すように、第2主電極領域11
j−1側の端4a1が第1ゲート配線9aの第2主電極領域11
j−1側の端9a1よりも第2主電極領域11
j−1側に位置している。また、第2ストッパ領域4b
j−1においても、第2ストッパ領域4b
jと同様に、
図2に示すように、第2主電極領域11
j−1側の端4b1が第2ゲート配線9bの第2主電極領域11
j−1側の端9b1よりも第2主電極領域11
j−1側に位置している。
【0043】
第1ストッパ領域4a
j及び第2ストッパ領域4b
jの各々は、
図4(a)に示すように、互いに概ね同一の深さ(厚み)で形成され、第2主電極領域11
j側とは反対側の端4a2,4b2及び底部4a3,4b3がチャネル形成領域2と接するようにして形成されている。また、第1ストッパ領域4a
j及び第2ストッパ領域4b
jの各々は、
図3に示すように、長軸がY方向に沿って延在する楕円形状で形成され、長軸の長さは第2主電極領域11
jの幅よりも長くてドリフト領域3
jの幅と概ね同等の幅で形成されている。
【0044】
また、詳細に図示していないが、第1ストッパ領域4a
j−1及び第2ストッパ領域4b
j−1の各々においても、第1ストッパ領域4a
j及び第2ストッパ領域4b
jの各々と同様に、互いに概ね同一の深さ(厚み)で形成され、第2主電極領域11
j−1側とは反対側の端及び底部がチャネル形成領域2と接するようにして形成されている。また、第1ストッパ領域4a
j−1及び第2ストッパ領域4b
j−1の各々は、第1ストッパ領域4a
j及び第2ストッパ領域4b
jの各々と同様に、
図2及び
図3に示すように、長軸がY方向に沿って延在する楕円形状で形成され、長軸の長さは第2主電極領域11
j−1の幅よりも長くてドリフト領域3
j−1の幅と概ね同等の幅で形成されている。
【0045】
ここで、各半導体領域の不純物濃度の一例を示す。
第1導電型(p型)のチャネル形成領域2は、例えば1×10
16/cm
3から8×10
16/cm
3程度の不純物濃度で形成されている。第2導電型(n
+型)の第1主電極領域(ソース領域)10
j−1,10
j,10
j+1及び第2主電極領域(ドレイン領域)11
j−1,11
jは、例えば1×10
20/cm
3から4×10
20/cm
3程度の不純物濃度で形成されている。ドリフト領域3
j,3
j−1は、第2主電極領域11
j−1,11
jよりも低不純物濃度で形成されており、例えば1×10
16/cm
3から8×10
16/cm
3程度の不純物濃度で形成されている。ドリフト領域3
j,3
j−1の不純物濃度は、ゲート絶縁膜7下のドリフト領域3
j,3
j−1表面で電界集中が起こらないような濃度で、さらにオン抵抗などを考慮して決める。また、第1ストッパ領域4a
j,4a
j−1及び第2ストッパ領域4b
j,4b
j−1は、第2主電極領域11
j−1,11
jよりも低く、ドリフト領域3
j,3
j−1よりも高い不純物濃度で形成されており、例えば2×10
16/cm
3から2×10
17/cm
3程度の不純物濃度で形成されている。
【0046】
このように構成されたトランジスタセルQ
p−2,Q
p−1,Q
p,Q
p+1は、第1主電極領域10
j−1,10
j,10
j+1に第1基準電圧(例えば0V)、第2主電極領域11
j−1,11
jに第1基準電圧よりも高い第2基準電圧(例えば20V)をそれぞれ印加し、ゲート電極8
p−2,8
p−1,8
p,8
p+1に制御電圧(例えば5V)を印加することによりゲート電極8
p−2,8
p−1,8
p,8
p+1下のチャネル形成領域2にチャネルが形成され、このチャネル及びドリフト領域3
j−1,3
jを通して第1主電極領域10
j−1,10
j,10
j+1から第2主電極領域11
j−1,11
jにキャリアが移動する。このトランジスタセルQ
p−2,Q
p−1,Q
p,Q
p+1の動作時、第1及び第2ゲート配線9a,9bには、チャネル形成領域2とドリフト領域3
j−1,3
jとのpn接合界面に生じる空乏層20a(
図6参照)が広がる方向の電圧(制御電圧)が印加され、電位固定される。
【0047】
図5は、本発明の一実施形態に係る半導体装置(横型MOSFET)と従来の横型MOSFETとの耐圧シミュレーション結果の一例を示す図である。
図5において、本発明の一実施形態に係る半導体装置のデータは、第1ストッパ領域4a
j−1,4a
j及び第2ストッパ領域4b
j−1,4b
jの不純物濃度をドリフト領域3
j−1,3
jの不純物濃度の1.5倍にした場合のデータである。
図5に示すように、従来の横型MOSFETでは、ゲート配線109と第2主電極領域111との間の距離S2が1μm以下になると、チャネル形成領域102と第2主電極領域(ドレイン領域)111との間での耐圧低下が起こることがわかる。これに対して、本発明の一実施形態に係る半導体装置では、第1及び第2ゲート配線9a,9bと第2主電極領域11
jとの間の距離S1を0.3μmまで短くしても、チャネル形成領域2と第2主電極領域(ドレイン領域)11
jとの間での耐圧低下は起こらないことがわかる。
【0048】
次に、本発明の一実施形態に係る半導体装置(横型MOSFET)の製造方法について、
図8乃至
図11を用いて説明する。
まず、
図8(a)及び(b)に示す第2導電型(n
−型)の半導体基板1を準備する。
次に、
図8(a)及び(b)に示すように、半導体基板1の主面に第1導電型(p型)のチャネル形成領域2を形成する。チャネル形成領域2は、半導体基板1の主面に不純物イオンとして例えばボロン(B)イオンを選択的にイオン注入し、その後、イオン注入された不純物イオンを活性化させる熱処理を施すことによって形成される。
【0049】
次に、
図9(a)及び(b)に示すように、半導体基板1の主面の上部であってチャネル形成領域2の上部に第2導電型(n型)のドリフト領域3
jを形成すると共に、このドリフト領域3
jのX方向の両端側に第2導電型(n型)の第1及び第2ストッパ領域4a
j,4b
jを形成する。ドリフト領域3
j、第1及び第2ストッパ領域4a
j,4b
jは、チャネル形成領域2の上部にドリフト領域3
jを形成するための不純物イオンとして例えばリン(P)イオンを選択的にイオン注入し、その後、第1及び第2ストッパ領域4a
j,4b
jを形成するための不純物イオンとして例えばヒ素(As)イオンを選択的にイオン注入し、その後、これらの不純物イオンを活性化させる熱処理を施すことによって形成される。この工程において、詳細に図示していないが、チャネル形成領域2の上部に第2導電型(n型)のドリフト領域3
j−1、このドリフト領域3
j−1のX方向の両端側に第2導電型(n型)の第1及び第2ストッパ領域4a
j−1,4b
j−1も形成される。
【0050】
次に、
図10(a)及び(b)に示すように、半導体基板1の主面に、選択酸化法で酸化シリコン膜からなるフィールド絶縁膜5を形成する。フィールド絶縁膜5は、半導体基板1の主面において、トランジスタセルQ
p−2,Q
p−1,Q
p,Q
p+1が形成されない非活性領域に形成されると共に、トランジスタセルQ
p−2,Q
p−1,Q
p,Q
p+1が形成される活性領域においては、主に、ゲート絶縁膜7、第1主電極領域10
j−1,10
j,10
j+1及び第2主電極領域11
j−1,11
jが形成される領域を除いて選択的に形成される。また、フィールド絶縁膜5は、複数の窓部6(6a
j−1,6b
j−1,6a
j,6b
j,6a
j+1)を有するはしご形状で形成される。
次に、
図11(a)及び(b)に示すように、半導体基板1の主面において、フィール絶縁膜の窓部6(6a
j−1,6b
j−1,6a
j,6b
j,6a
j+1)の内部に、例えば熱酸化処理により二酸化シリコン膜からなるゲート絶縁膜7を形成する。
【0051】
次に、フィールド絶縁膜5上及びゲート絶縁膜7上を含む半導体基板1の主面上の全面に導電層として例えば不純物が添加された低比抵抗のドープドポリシリコン層を形成し、その後、ドープドポリシリコン層をパターンニングして、
図11(a)及び(b)に示すように、複数のゲート電極8
p−2,8
p−1,8
p,8
p+1と、この複数のゲート電極8
p−2,8
p−1,8
p,8
p+1の両端側に一体に連結された第1及び第2ゲート配線9a,9bとを形成する。複数のゲート電極8
p−2,8
p−1,8
p,8
p+1は、トランジスタセルQ
p−2,Q
p−1,Q
p,Q
p+1に対応してそれぞれ個別に形成される。複数のゲート電極8
p−2,8
p−1,8
p,8
p+1の各々は、主にゲート絶縁膜7上に形成され、第2主電極領域11
j−1,11
j側がフィールド絶縁膜5上に乗り上がるようにして形成される。第1ゲート配線9aは、Y方向に沿って第1主電極領域10
j−1,10
j,10
j+1及び第2主電極領域11
j−1,11
jの一端側の外側のフィールド絶縁膜5上を延在し、複数のゲート電極8
p−2,8
p−1,8
p,8
p+1の各々の一端側と一体に連結される。第2ゲート配線9bは,Y方向に沿って第1主電極領域10
j−1,10
j,10
j+1及び第2主電極領域11
j−1,11
jの他端側の外側のフィールド絶縁膜5上を延在し、複数のゲート電極8
p−2,8
p−1,8
p,8
p+1の各々の他端側と一体に連結される。この工程において、第2主電極領域用窓部6b
j−1,6b
jの内部のゲート絶縁膜7はオーバーエッチングによって除去される。
【0052】
次に、
図11(a)及び(b)に示すように、半導体基板1の主面側の上部であってチャネル形成領域2の上部に第1主電極領域10
j−1,10
j,10
j+1を形成すると共に、ドリフト領域3
j−1,3
jの上部に第2主電極領域11
j−1,11
jを形成する。第1主電極領域10
j−1,10
j,10
j+1及び第2主電極領域11
j−1,11
jの各々は、フィールド絶縁膜5及びゲート電極8
p−2,8
p−1,8
p,8
p+1をイオン注入用マスクとして使用して、チャネル形成領域2の上部及びドリフト領域3j−1,3jの上部に不純物イオンとして例えばヒ素(As)イオンを選択的にイオン注入し、その後、これらの不純物イオンを活性化させる熱処理を施すことによって形成される。第1主電極領域10
j−1,10
j,10
j+1及び第2主電極領域11
j−1,11
jは、複数のトランジスタセルQ
p−2,Q
p−1,Q
p,Q
p+1の各々に対応してそれぞれ個別に形成される。
【0053】
次に、ゲート電極8上、第1及び第2ゲート配線9a,9b上を含む半導体基板1の主面上の全面に、例えばCVD法で酸化シリコン膜からなる層間絶縁膜12を形成し、その後、層間絶縁膜12に第1主電極領域10
j−1,10
j,10
j+1と電気的に接続される導電性プラグ13aを各々の第1主電極領域10
j−1,10
j,10
j+1に対応して形成すると共に、第2主電極領域11
j−1,11
jと電気的に接続される導電性プラグ13bを各々の第2主電極領域11
j−1,11
jに対応して形成する。そして、導電性プラグ13a,13b上を含む層間絶縁膜12上の全面にスパッタ蒸着などにより例えばAl膜又はAl合金膜などの金属層を形成し、その後、この金属層をパターニングして、
図1及び
図4((a),(b))に示すように、第1及び第2金属配線15,16を形成する。
【0054】
この後、第1及び第2金属配線15,16を覆うようにして層間絶縁膜12上に例えばポリイミド系の樹脂からなるパッシベーション膜や半導体基板1の裏面に裏面電極などを形成することにより、
図1乃至
図4に示す本発明の一実施形態に係る半導体装置のウエハプロセスが完了する。
ここで、本発明の一実施形態に係る半導体装置(横型MOSFET)と、従来の横型MOSFETとを比較する。
図6は、本発明の一実施形態に係る半導体装置において、チャネル形成領域とドリフト領域とのpn接合部界面で生じる空乏層の広がりを示す断面図である。
図7は、従来の横型MOSFETにおいて、チャネル形成とドリフト領域とのpn接合部界面で生じる空乏層の広がりを示す断面図((a)はゲート配線を第2主電極領域から離した場合の断面図,(b)はゲート配線を第2主電極領域に近づけた場合の断面図)である。
【0055】
図7(a)に示すように、従来の横型MOSFETでは、第2導電型(n
−型)の半導体基板101の主面側の上部に形成された第1導電型(p型)のチャネル形成領域102と、このチャネル形成領域102の上部に形成された第2導電型(n型)のドリフト領域103とのpn接合部界面で空乏層20bが生じる。この空乏層20bは、ドリフト領域103の不純物濃度が高すぎると、ドリフト領域103の上部に形成された第2導電型(n
+型)の第2主電極領域(ドレイン領域)111側に十分に広がらなく(伸びなく)なるため、電界緩和効果が得られなくなる。また、この空乏層20bは、ドリフト領域103の不純物濃度が低すぎると、第2主電極領域111側に広がり(伸び)すぎてしまうため、第2主電極領域111で電界集中がおこり、チャネル形成領域102と第2主電極領域111との間での耐圧が低下する。したがって、第2主電極領域111とチャネル形成領域102との間のドリフト領域103の幅は、高電界が緩和されるように設定される。
【0056】
一方、横型MOSFETの小型化を図るためには、フィールド絶縁膜105上を延在するゲート配線109を第2主電極領域111に近づけることが有効である。しかしながら、
図7(b)に示すように、フィールド絶縁膜105上を延在するゲート配線109を第2主電極領域111側に近づけると、すなわちゲート配線109と第2主電極領域111との間の距離S2を短くすると、動作時に電圧が印加されたゲート配線109によるフィールドプレート効果により、ゲート配線109下においてチャネル形成領域102とドリフト領域103とのpn接合部界面で生じる空乏層20bが第2主電極領域111(ドレイン領域)まで広がってしまい、第2主電極領域111のゲート配線109側のエッジ部で電界集中が起こり、チャネル形成領域102と第2主電極領域111との間での耐圧(デバイス耐圧)が低下する。
【0057】
これに対し、本発明の一実施形態に係る半導体装置では、前述したように、ドリフト領域3
j−1,3
jの内部において、第2主電極領域11
j−1,11
jから離間してゲート配線9a下にドリフト領域3
j−1,3
jよりも高不純物濃度の第1ストッパ領域4a
j−1,4
jを配置しているので、
図6に示すように、フィールド絶縁膜5上をY方向に沿って延在するゲート配線9aと第2主電極領域11
jとの間の距離S1を短くすることで、動作時に電圧が印加されたゲート配線9aによるフィールドプレート効果が生じても、ゲート配線9a下においてチャネル形成領域2とドリフト領域3
jとのpn接合部界面で生じる空乏層20aの第2主電極領域(ドレイン領域)11
j側への広がり(伸び)を抑制することができ、第2主電極領域11
jで起こる電界集中を防ぐことができる。また、
図6には図示していないが、ドリフト領域3
jと同様に、ドリフト領域3
j−1でもゲート配線9a下においてチャネル形成領域2とドリフト領域3
j−1とのpn接合部界面で生じる空乏層20aの第2主電極領域(ドレイン領域)11
j−1側への広がりを抑制することができ、第2主電極領域11
j−1で起こる電界集中を防ぐことができる。この結果、本発明の一実施形態に係る半導体装置は、第2主電極領域11
j−1,11
jの一端側でのチャネル形成領域2と第2主電極領域11
j−1,11
jとの間での耐圧(デバイス耐圧)を確保しつつ、小型化を図ることができる。
【0058】
図6には図示していないが、
図1乃至
図4((a),(b))に示すように、ドリフト領域3
j−1,3
jの内部において、第2主電極領域11
j−1,11
jから離間して第2ゲート配線9b下にも、ドリフト領域3
j−1,3
jと比較して高不純物濃度の第2ストッパ領域4b
j−1,4b
jが設けられているので、フィールド絶縁膜5上をY方向に沿って延在するゲート配線9bと第2主電極領域11
j−1,11
jとの間の距離を短くすることで、動作時に電圧が印加されたゲート配線9bによるフィールドプレート効果が生じでも、ゲート配線9b下においてチャネル形成領域2とドリフト領域3
j−1,3
jとのpn接合部界面で生じる空乏層20aの第2主電極領域11
j−1,11
j側への広がりを抑制することができ、第2主電極領域11
j−1,11
jで起こる電界集中を防ぐことができる。この結果、第2主電極領域11
j−1,11
jの他端側でのチャネル形成領域2と第2主電極領域11
j−1,11
jとの間での耐圧(デバイス耐圧)を確保しつつ、半導体装置の小型化を図ることができる。
【0059】
なお、第1ストッパ領域4a
j−1,4a
j及び第2ストッパ領域4b
j−1,4b
jの第2主電極領域11
j−1,11
j側の端4a1,4b1は、第1及び第2ゲート配線9a,9bの第2主電極領域11
j−1,11
j側の各々の端9a1,9b1よりも第2主電極領域11
j−1,11
j側に位置していることが好ましい。これは、第1及び第2ゲート配線9a,9bの各々の端9a1,9b1が第1ストッパ領域4a
j−1,4a
j及び第2ストッパ領域4b
j−1,4b
jの各々の端4a1,4b1よりも第2主電極領域11
j−1,11
jに近いと、チャネル形成領域2とドリフト領域3
j−1,3
jとのpn接合部界面で生じる空乏層20aが第2主電極領域11
j−1,11
jまで広がり易くなるからである。
【0060】
また、第1及び第2ゲート配線9a,9b下における空乏層20aの第2主電極領域11
j−1,11
j側への広がりは、第1ストッパ領域4a
j−1,4a
j及び第2ストッパ領域4b
j−1,4b
jの不純物濃度を、ドリフト領域3
j−1,3
jの不純物濃度よりも高くし、第2主電極領域11
j−1,11
jの不純物濃度よりも低くすることにより抑制することができる。しかしながら、第1ストッパ領域4a
j−1,4a
j及び第2ストッパ領域4b
j−1,4b
jの不純物濃度が低すぎると第2主電極領域11
j−1,11
j側への空乏層20aの広がりを抑制する効果が低下し、逆に高すぎると高電界緩和効果が低下する。したがって、第1ストッパ領域4a
j−1,4a
j及び第2ストッパ領域4b
j−1,4b
jの不純物濃度は、ドリフト領域3
j−1,3
jの不純物濃度の1.5〜2倍程度が好ましい。
【0061】
(変形例)
以上説明した本発明の一実施形態に係る半導体装置では、第1ストッパ領域4a
j−1,4a
j及び第2ストッパ領域4b
j,4b
j−1をY方向に連続的に延在するストライプ形状で形成した場合について説明した。しかしながら、本発明はこれに限定されるものではなく、例えば、
図12に示すように、第1ストッパ領域4a
j−1,4a
j及び第2ストッパ領域4b
j−1,4b
jは、Y方向に沿って複数点在するように配置してもよい。
【0062】
また、本発明の一実施形態に係る半導体装置では、第1ストッパ領域4a
j−1,4a
j及び第2ストッパ領域4b
j−1,4b
jをドリフト領域3
jの深さと概ね同一の深さで形成した場合について説明した。しかしながら、本発明はこれに限定されるものではなく、例えば
図13に示すように、第1ストッパ領域4a
j−1(図示せず),4a
j及び第2ストッパ領域4b
j−1(図示せず),4b
jは、各々の底部4a3,4b3がドリフト領域3
j−1,3
jの底部よりもチャネル形成領域2の底部側に位置するように深さを深く(厚さを厚く)してもよい。
以上説明したように、本発明の一実施形態に係る半導体装置によれば、チャネル形成領域2と第2主電極領域(ドレイン領域)11との間での耐圧(デバイス耐圧)を確保しつつ、小型化を図ることができる。
【0063】
なお、本発明の一実施形態に係る半導体装置では、ゲート電極の短手方向(ゲート長方向)に沿って第1主電極領域(ソース領域)と第2主電極領域(ドレイン領域)とを交互にそれぞれ複数配置した場合について説明した。しかしながら、本発明はこれに限定されるものではなく、例えば第1主電極領域と第2主電極領域が一対の構造などからなる半導体装置にも適用することができる。また、本発明は、ゲート電極を連結するゲート配線以外の配線でも電位関係により高濃度の主電極領域の長手方向のエッジ部でフィールドプレート効果が生じる場合にも適用することができる。更に、横型MOSFET以外の半導体装置であっても、高濃度の主電極領域と、電界を緩和するための低濃度のドリフト領域(オフセット領域)との組み合わせにおいて、配線の電位関係で生じたフィールドプレート効果による耐圧低下を防ぐ場合にも本発明を適用することができる。
【0064】
また、本発明の一実施形態に係る半導体装置では、横型MOSFETについて説明した。しかしながら、本発明はこれに限定されるものではなく、例えば横型のIGBTにも適用することができる。
また、本発明の一実施形態に係る半導体装置では、半導体基板としてシリコン半導体基板を用いた場合について説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、例えば炭化ケイ素(SiC)や窒化ガリウム(GaN)などの半導体基板を用いた半導体装置に適用することができる。