特開2015-233057(P2015-233057A)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2015-233057(P2015-233057A)
(43)【公開日】2015年12月24日
(54)【発明の名称】発光デバイス
(51)【国際特許分類】
   H01L 33/50 20100101AFI20151201BHJP
【FI】
   H01L33/00 410
【審査請求】未請求
【請求項の数】14
【出願形態】OL
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2014-118732(P2014-118732)
(22)【出願日】2014年6月9日
(71)【出願人】
【識別番号】000232243
【氏名又は名称】日本電気硝子株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100134566
【弁理士】
【氏名又は名称】中山 和俊
(72)【発明者】
【氏名】角見 昌昭
(72)【発明者】
【氏名】浅野 秀樹
(72)【発明者】
【氏名】西宮 隆史
【テーマコード(参考)】
5F142
【Fターム(参考)】
5F142AA13
5F142DA01
5F142DA15
5F142DA55
5F142DA64
5F142DA80
5F142DB36
5F142DB42
5F142FA28
(57)【要約】      (修正有)
【課題】量子ドットを備える発光デバイスであって、発光強度の面内ばらつきが小さい発光デバイスを提供する。
【解決手段】発光デバイス1は、発光部11と、セル10と、光源12と、入射光散乱部とを備える。発光部11は、量子ドットを含む。セル10は、発光部11を封止している。光源12は、発光部11に対して量子ドットの励起波長の光を出射する。入射光散乱部は、光源12と、発光部11との間に配されている。入射光散乱部は、発光部11への入射光を散乱させる。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
量子ドットを含む発光部と、
前記発光部を封止しているセルと、
前記発光部に対して前記量子ドットの励起波長の光を出射する光源と、
前記光源と、前記発光部との間に配されており、前記発光部への入射光を散乱させる入射光散乱部と、
を備える、発光デバイス。
【請求項2】
前記入射光散乱部は、光散乱材を含む、請求項1に記載の発光デバイス。
【請求項3】
前記入射光散乱部は、粒界を有する焼結体からなる、請求項1又は2に記載の発光デバイス。
【請求項4】
前記入射光散乱部は、前記発光部への入射光を散乱させる凹凸面を有する、請求項1〜3のいずれか一項に記載の発光デバイス。
【請求項5】
前記入射光散乱部は、前記セルと前記光源との間に配されている、請求項1〜4のいずれか一項に記載の発光デバイス。
【請求項6】
前記セルは、
第1の主壁部と、
前記第1の主壁部に対して前記光源とは反対側に位置している第2の主壁部と、
前記第1の主壁部と前記第2の主壁部とを接続している側壁部と、
を有し、
前記第1の主壁部が前記入射光散乱部を構成している、請求項1〜4のいずれか一項に記載の発光デバイス。
【請求項7】
前記第2の主壁部は、光散乱材を含む、請求項6に記載の発光デバイス。
【請求項8】
前記第2の主壁部は、粒界を有する焼結体からなる、請求項6又は7に記載の発光デバイス。
【請求項9】
前記第2の主壁部は、前記発光部からの出射光を散乱させる凹凸面を有する、請求項6〜8のいずれか一項に記載の発光デバイス。
【請求項10】
前記側壁部が金属により構成されている、請求項6〜9のいずれか一項に記載の発光デバイス。
【請求項11】
前記第1及び第2の主壁部のそれぞれの厚みが、1.0mm以下である、請求項6〜10のいずれか一項に記載の発光デバイス。
【請求項12】
前記第1及び第2の主壁部の屈折率が、1.70以下である、請求項6〜11のいずれか一項に記載の発光デバイス。
【請求項13】
前記発光部の側方に位置している反射部材を備える、請求項1〜12のいずれか一項に記載の発光デバイス。
【請求項14】
前記発光部は、光散乱材を含む、請求項1〜13のいずれか一項に記載の発光デバイス。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、発光デバイスに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、発光ダイオードを用いた発光デバイスの進歩が目覚しく、液晶のバックライト、大型ディスプレイ等に採用されている。特に、短波長光の発光素子の半導体材料の発展により、短波長の光を得られるようになってきたため、これを用いて蛍光体を励起してより多様な波長の光を得ることができるようになった。
【0003】
従来より、量子ドットを用いた発光デバイスが知られている。例えば、特許文献1には、青色LEDと、青色LEDを封止する封止部を備え、封止部が量子ドットを含む樹脂組成物からなる発光デバイスが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2010−126596号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
青色LED等の光源の出射光強度は、光軸において最も高くなり、光軸から離れるに従って低くなる。このため、量子ドットを含む発光部の光軸上に位置する部分への入射光の強度が高くなり、光軸から離れた部分への入射光の強度が低くなる。よって、発光デバイスの中央部における発光強度が高くなり、周辺部にいくに従って発光強度が低くなるという問題がある。すなわち、発光強度の面内ばらつきがあるという問題がある。
【0006】
本発明の主な目的は、量子ドットを備える発光デバイスであって、発光強度の面内ばらつきが小さい発光デバイスを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明に係る発光デバイスは、発光部と、セルと、光源と、入射光散乱部とを備える。発光部は、量子ドットを含む。セルは、発光部を封止している。光源は、発光部に対して量子ドットの励起波長の光を出射する。入射光散乱部は、光源と、発光部との間に配されている。入射光散乱部は、発光部への入射光を散乱させる。
【0008】
本発明に係る発光デバイスでは、入射光散乱部が、光散乱材を含んでいてもよい。
【0009】
本発明に係る発光デバイスでは、入射光散乱部が、粒界を有する焼結体であってもよい。
【0010】
本発明に係る発光デバイスでは、入射光散乱部が、発光部への入射光を散乱させる凹凸面を有していてもよい。
【0011】
本発明に係る発光デバイスでは、入射光散乱部が、セルと光源との間に配されていてもよい。
【0012】
本発明に係る発光デバイスでは、セルは、第1の主壁部と、第1の主壁部に対して光源とは反対側に位置している第2の主壁部と、第1の主壁部の第2の主壁部とを接続している側壁部とを有していてもよい。その場合、第1の主壁部が入射光散乱部を構成していてもよい。
【0013】
本発明に係る発光デバイスでは、第2の主壁部が、光散乱材を含んでいてもよい。
【0014】
本発明に係る発光デバイスでは、第2の主壁部が、粒界を有する焼結体であってもよい。
【0015】
本発明に係る発光デバイスでは、第2の主壁部が、発光部からの出射光を散乱させる凹凸面を有していてもよい。
【0016】
本発明に係る発光デバイスでは、側壁部が金属により構成されていてもよい。
【0017】
本発明に係る発光デバイスでは、第1及び第2の主壁部のそれぞれの厚みが、1mm以下であることが好ましい。
【0018】
本発明に係る発光デバイスでは、第1及び第2の主壁部の屈折率が、1.70以下であることが好ましい。
【0019】
本発明に係る発光デバイスは、発光部の側方に位置している反射部材を備えていてもよい。
【0020】
本発明に係る発光デバイスでは、発光部が、光散乱材を含んでいてもよい。
【発明の効果】
【0021】
本発明によれば、量子ドットを備える発光デバイスであって、発光強度の面内ばらつきが小さい発光デバイスを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
図1】第1の実施形態に係る発光デバイスの模式的断面図である。
図2】第2の実施形態に係る発光デバイスの模式的断面図である。
図3】第3の実施形態に係る発光デバイスの模式的断面図である。
図4】第4の実施形態に係る発光デバイスの模式的断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下、本発明を実施した好ましい形態について説明する。但し、下記の実施形態は、単なる例示である。本発明は、下記の実施形態に何ら限定されない。
【0024】
また、実施形態等において参照する各図面において、実質的に同一の機能を有する部材は同一の符号で参照することとする。また、実施形態等において参照する図面は、模式的に記載されたものである。図面に描画された物体の寸法の比率などは、現実の物体の寸法の比率などとは異なる場合がある。図面相互間においても、物体の寸法比率等が異なる場合がある。具体的な物体の寸法比率等は、以下の説明を参酌して判断されるべきである。
【0025】
(第1の実施形態)
図1は、第1の実施形態に係る発光デバイス1の模式的断面図である。
【0026】
発光デバイス1は、励起光が入射したときに励起光とは異なる波長の光を出射するデバイスである。発光デバイス1は、励起光と、励起光の照射により生じた光との混合光を出射するものであってもよい。
【0027】
発光デバイス1は、セル10を有する。セル10は、第1の主壁部10aと、第2の主壁部10bと、側壁部10cとを有する。第1の主壁部10aと第2の主壁部10bとは、相互に間隔をおいて対向している。
【0028】
本実施形態では、第1及び第2の主壁部10a、10bは、それぞれ、平板状である。第1及び第2の主壁部10a、10bのそれぞれの平面形状は、例えば、矩形であってもよいし、多角形、円形、多円形、長円形等であってもよい。
【0029】
第1及び第2の主壁部10a、10bのそれぞれの厚みは、1.0mm以下であることが好ましく、0.5mm以下であることがより好ましい。第1及び第2の主壁部10a、10bの厚みを薄くすることで、光の取り出し効率を向上させることができる。
【0030】
第1及び第2の主壁部10a、10bは、それぞれ、例えば、ガラス、セラミックス、樹脂等により構成することができる。なお、本発明において、ガラスには、結晶化ガラスが含まれるものとする。第1及び第2の主壁部10a、10bのそれぞれの屈折率は、1.70以下であることが好ましく、1.60以下であることがより好ましい。第1及び第2の主壁部10a、10bの屈折率を小さくすることで、光の取り出し効率を向上させることができる。
【0031】
側壁部10cは、第1の主壁部10aと、第2の主壁部10bとの間に設けられている。側壁部10cは、第1の主壁部10aと第2の主壁部10bとのそれぞれと接合されている。具体的には、側壁部10cは、第1及び第2の主壁部10a、10bのそれぞれの周縁部と接合されている。これら側壁部10c並びに第1及び第2の主壁部10a、10bにより、内部空間10dが構成されている。内部空間10dの厚みは、例えば、0.1mm〜5mm程度とすることができる。
【0032】
側壁部10cは、例えば、額縁状又は管状のひとつの部材により構成されていてもよいし、複数の帯状部材で構成されていてもよい。
【0033】
側壁部10cは、例えば、ガラス、セラミックス、または、アルミニウム、銅、鉄及びこれらの合金等の少なくとも一種の金属等により構成されていてもよい。
【0034】
側壁部10cと、第1及び第2の主壁部10a、10bとの接合方法は、特に限定されない。側壁部10cと、第1及び第2の主壁部10a、10bとは、例えば、レーザー溶接等の溶接、陽極接合、半田等の無機接合材を用いた接合等により接合することができる。
【0035】
内部空間10d内には、発光部11が設けられている。発光部11は、セル10によって封止されている。発光部11は、内部空間10dの全体に設けられていてもよいし、内部空間10dの一部に設けられていてもよい。発光部11は、量子ドットを含む。発光部11は、1種類の量子ドットを含んでいてもよいし、複数種類の量子ドットを含んでいてもよい。
【0036】
なお、量子ドットは、量子ドットの励起光が入射したときに、励起光とは異なる波長の光を出射する。量子ドットから出射される光の波長は、量子ドットの粒子径に依存する。すなわち、量子ドットの粒子径を変化させることにより得られる光の波長を調整することができる。このため、量子ドットの粒子径は、得ようとする光の波長に応じた粒子径とされている。量子ドットの粒子径は、通常、2nm〜10nm程度である。
【0037】
例えば、波長300nm〜440nmの紫外〜近紫外の励起光を照射すると青色の可視光(波長440nm〜480nmの蛍光)を発する量子ドットの具体例としては、粒子径が2.0nm〜3.0nm程度のCdSe/ZnSの微結晶などが挙げられる。波長300nm〜440nmの紫外〜近紫外の励起光や波長440nm〜480nmの青色の励起光を照射すると緑色の可視光(波長が500nm〜540nmの蛍光)を発する量子ドットの具体例としては、粒子径が3.0nm〜3.3nm程度のCdSe/ZnSの微結晶などが挙げられる。波長300nm〜440nmの紫外〜近紫外の励起光や波長440nm〜480nmの青色の励起光を照射すると黄色の可視光(波長が540nm〜595nmの蛍光)を発する量子ドットの具体例としては、粒子径が3.3nm〜4.5nm程度のCdSe/ZnSの微結晶などが挙げられる。波長300nm〜440nmの紫外〜近紫外の励起光や波長440nm〜480nmの青色の励起光を照射すると赤色の可視光(波長が600nm〜700nmの蛍光)を発する量子ドットの具体例としては、粒子径が4.5nm〜10nm程度のCdSe/ZnSの微結晶などが挙げられる。
【0038】
発光部11は、量子ドットと、量子ドットの分散媒とを含む。分散媒は、例えば、液体であってもよいし、樹脂等の固体であってもよい。発光部11は、量子ドット及び分散媒に加え、例えば、光散乱材をさらに含んでいてもよい。好ましく用いられる光散乱材の具体例としては、例えば、アルミナ粒子、チタニア粒子、シリカ粒子などの高反射無機化合物粒子及び高反射白色樹脂粒子等が挙げられる。なお、発光部11に光散乱材を含有させることで、発光部11における発光強度の面内ばらつきを小さくすることができる。
【0039】
発光部11が固体により構成されている場合、発光部11は、例えば、複数の発光層の積層体により構成されていてもよい。その場合、複数の発光部で、含まれる量子ドットの種類は同じであってもよいし、異なっていてもよい。
【0040】
発光デバイス1は、光源12を有する。光源12は、セル10の第1の主壁部10a側に配されている。第2の主壁部10bは、第1の主壁部10aに対して光源12とは反対側に位置している。本実施形態では、光源12は、セル10とは離間して配されている。但し、本発明は、この構成に限定されない。光源は、セルと接触して配されていてもよい。すなわち、光源の直上にセルの第1の主壁部が配されていてもよい。尚、光源の直上にセルの第1の主壁部を配することにより、光源からの出射光の強度むらを小さくすることができ、発光部11における発光強度の面内ばらつきを小さくすることができる。
【0041】
光源12は、セル10によって封止された発光部11に対して、量子ドットの励起波長の光を出射する。光源12は、例えば、LED(Light Emitting Diode)素子、LD(Laser Diode)素子等により構成することができる。本実施形態では、光源12がLEDにより構成されている例について説明する。
【0042】
本実施形態において、光源12は、発光部11よりも小さい。光源12は、発光部11に対して発散光を出射する。
【0043】
一般的に、光源の種類に関わらず、光源からの出射光には強度分布が存在する。出射光の強度は、光源の光軸上において最も強くなり、光軸から離れるに従って弱くなる。このため、発光部のうち、光源の光軸上に位置する部分に入射する光の強度は相対的に高く、光源の光軸から離れた部分に入射する光の強度は相対的に低くなる。よって、発光部のうち、光源の光軸上に位置する部分からの出射光の強度が相対的に高くなり、光源の光軸から離れた部分からの出射光の強度は相対的に低くなる。従って、発光強度の面内ばらつきが生じ得る。
【0044】
発光デバイス1では、光源12と発光部11との間に位置している第1の主壁部10aが光散乱材を含んでおり、入射光散乱部としての機能を兼ね備えている。このため、発光部11への入射光の強度の面内ばらつきを抑制することができる。換言すれば、発光部11に対して入射光(励起光)を均一な強度で供給することができる。従って、発光デバイス1の発光強度の面内ばらつきを小さくすることができる。
【0045】
なお、本実施形態では、光散乱材を含有させることにより入射光散乱部を構成する例について説明した。但し、本発明は、この構成に限定されない。例えば、第1の主壁部10aとして、粒界を有する焼結体や、光散乱材を含有させた粒界を有する焼結体を用いて入射光散乱部を構成してもよい。
【0046】
また、発光部11への入射光の強度むらをより小さくするために、第1の主壁部10aの表面に、発光部11への入射光を散乱させる凹凸面を設け、その凹凸面により入射光散乱部を構成してもよい。その場合、入射光散乱部を構成する凹凸面の表面粗さは、平均二乗粗さ(RMS)で、5nm〜100nmであることが好ましく、10nm〜50nmであることがさらに好ましい。尚、入射光散乱部を構成する凹凸面の表面粗さが小さすぎると、発光部11への入射光を散乱させる効果が得にくくなる。一方、入射光散乱部を構成する凹凸面の表面粗さが大きすぎると、光源12から出射した光が入射光散乱部表面で反射し、発光部11へ入射する光の量が少なくなり、変換効率が低下しやすくなる。
【0047】
発光デバイス1では、発光部11が光散乱材を含む。このため、発光部11内においても、光の散乱が生じる。従って、発光強度の面内ばらつきをより小さくすることができる。
【0048】
発光デバイス1では、第1の主壁部10aに加え、第2の主壁部10bも光散乱材を含んでいる。第2の主壁部10bは、出射光を散乱させる出射光散乱部としての機能を兼ね備えている。このため、発光部11からの出射光が第2の主壁部10bにおいて散乱する。よって、発光デバイス1の発光強度の面内ばらつきをより小さくすることができる。
【0049】
第2の主壁部10bに光散乱材を含有させる代わりに、粒界を有する焼結体を用いたり、光散乱材を含有させた粒界を有する焼結体を用いてもよい。さらに、第2の主壁部10bの表面に、発光部11からの出射光を散乱させる凹凸面を設けてもよい。第2の主壁部10bの表面に、凹凸面を設ける場合、第2の主壁部10bの表面の凹凸面の表面粗さは、平均二乗粗さ(RMS)で5nm〜100nmであることが好ましく、10nm〜50nmであることがより好ましい。尚、第2の主壁部10bの表面粗さが小さすぎると、発光部11からの出射光を散乱させて発光デバイス1の発光強度の面内ばらつきを小さくする効果が得にくくなる。一方、第2の主壁部10bの表面粗さが大きすぎると、発光部11で変換された光が第2の主壁部10b表面で反射して、光源12側に戻りやすくなり、光の取り出し効率が低下しやすくなる。
【0050】
発光デバイス1の発光強度の面内ばらつきをより小さくすると共に、発光デバイス1の発光強度を高める観点からは、側壁部10cを金属により構成することが好ましい。側壁部10cが金属により構成されている場合、発光部11から側壁部10cに向かう光が側壁部10cにおいて反射する。反射光は、主として発光デバイス1の周縁部から出射する。このため、発光デバイス1の周縁部における発光強度が向上する。従って、発光デバイス1の発光強度の面内ばらつきをより小さくすることができる。また、発光部11からの光の第2の主壁部10bからの取り出し効率を向上することができる。
【0051】
なお、側壁部10cの全体を金属により構成する必要は必ずしもない。例えば、側壁部10cを、ガラス材と、ガラス材の表面の少なくとも一部を覆う金属層や白色塗膜等の反射膜とにより構成してもよい。
【0052】
発光デバイス1においては、発光部11からの光、若しくは、発光部11からの光と光源12からの光の混合光の取り出し効率が高いことが望まれている。この観点から、第1及び第2の主壁部10a、10bのそれぞれの厚みは、1.0mm以下であることが好ましく、0.5mm以下であることがより好ましい。但し、第1及び第2の主壁部10a、10bのそれぞれの厚みが小さすぎると、第1及び第2の主壁部10a、10bの機械的強度が低くなりすぎる場合がある。従って、第1及び第2の主壁部10a、10bのそれぞれの厚みは、0.005mm以上であることが好ましい。また、第1及び第2の主壁部10a、10bのそれぞれの屈折率は、1.70以下であることが好ましく、1.60以下であることがより好ましい。第1及び第2の主壁部10a、10bのそれぞれの屈折率は、通常、1.46以上である。 以下、本発明の好ましい実施形態の他の例について説明する。以下の説明において、上記第1の実施形態と実質的に共通の機能を有する部材を共通の符号で参照し、説明を省略する。
【0053】
(第2の実施形態)
図2は、第2の実施形態に係る発光デバイス1aの模式的断面図である。
【0054】
第1の実施形態に係る発光デバイス1では、第1の主壁部10aが入射光散乱部を構成している例について説明した。但し、本発明は、この構成に限定されない。
【0055】
図2に示すように、第2の実施形態に係る発光デバイス1aでは、セル10とは別に、入射光散乱部13が配されている。入射光散乱部13は、例えば、光散乱材を含有するガラス板、樹脂板、セラミック板等により構成することができる。また、入射光散乱部13は、例えば、表面に光を散乱させる凹凸面を有するガラス板、樹脂板、セラミック板等により構成することができる。入射光散乱部13は、例えば、表面に凹凸面を有すると共に、光散乱材を含有していてもよい。
【0056】
入射光散乱部13は、発光部11が封止されたセル10と光源12との間に配されている。入射光散乱部13は、例えば、光源12の直上に設けられていてもよいし、セル10の第1の主壁部10aの直下に設けられていてもよいし、光源12とセル10との両方から離間して設けられていてもよい。例えば、光源12からの出射光の強度むらをより小さくする観点からは、入射光散乱部13が光源12に近接して配されていることが好ましい。また、入射光散乱部13を光源12に近接して配することにより、入射光散乱部13の面積を小さくし得る。光源12と、入射光散乱部13との間の距離をL1とし、入射光散乱部13とセル10との間の距離をL2とすると、L1/L2は、10以下であることが好ましく、8以下であることがより好ましい。尚、L1/L2が大きすぎると、入射光散乱部13を大きくしなければならず、発光デバイスの小型化が難しくなる。
【0057】
(第3の実施形態)
図3は、第3の実施形態に係る発光デバイス1bの模式的断面図である。
【0058】
第1及び第2の実施形態では、側壁部10cが、第1の主壁部10aの第2の主壁部10b側の表面と、第2の主壁部10bの第1の主壁部10a側の表面とを接続している例について説明した。但し、本発明は、この構成に限定されない。
【0059】
図3に示すように、発光デバイス1bでは、側壁部10cは、セル10の厚み方向における一方側端部から他方側端部に跨がって設けられている。側壁部10cは、セル10の側面の全体を構成している。側壁部10cは、第1及び第2の主壁部10a、10bの端面に接続されている。
【0060】
発光デバイス1bにおいても、側壁部10cが金属材等の反射部材により構成されていることが好ましい。セル10の厚み方向における一方側端部から他方側端部に跨がって設けられた側壁部10cを反射部材により構成することにより、発光部11から側方に向けて出射された光の第2の主壁部10bの周縁部からの取り出し効率をさらに高めることができる。従って、発光デバイス1bの発光強度の面内ばらつきをさらに小さくできると共に、発光デバイス1bの発光強度をさらに向上することができる。
【0061】
(第4の実施形態)
図4は、第4の実施形態に係る発光デバイス1cの模式的断面図である。
【0062】
第4の実施形態に係る発光デバイス1cでは、側壁部10cが、ガラス材等の透光性部材により構成されている。セル10の側面10eの上には、反射部材14が配されている。本実施形態では、反射部材14は、側面10eの実質的に全体を覆うように設けられている。反射部材14を設けることにより、発光部11から側方に向けて出射された光の第2の主壁部10bの周縁部からの取り出し効率をさらに高めることができる。従って、発光デバイス1cの発光強度の面内ばらつきをさらに小さくできると共に、発光デバイス1cの発光強度をさらに向上することができる。
【符号の説明】
【0063】
1,1a,1b,1c, 発光デバイス
10 セル
10a 第1の主壁部
10b 第2の主壁部
10c 側壁部
10d 内部空間
10e 側面
11 発光部
12 光源
13 入射光散乱部
14 反射部材
図1
図2
図3
図4