【解決手段】通信システムは、移動体の各々に搭載される移動体通信端末と、規定条件を満たす1つの移動体通信端末(接続先端末)にデータを無線通信により送信する無線通信装置とを備える。無線通信装置は、情報信号(ビーコン)を受信するとS210、その受信した情報信号に含まれる接続識別情報である判定対象情報に一致する接続IDを含む接続履歴が記憶部に記憶されていなければ(S230:NO)、当該判定対象情報に対応する移動体通信端末を接続先端末として決定するS260。その決定した接続先端末に対して、データを送信し、データの送信を完了すると、当該接続先端末に対応する接続識別情報を含む接続履歴を記憶部に記憶する。
移動体の各々に搭載される移動体通信端末(5)の中から決定した1つの移動体通信端末である接続先端末に、データを無線通信により送信する無線通信装置(20)であって、
前記移動体通信端末の各々から繰り返し送信され、かつ、各移動体通信端末と対応付けられ当該無線通信装置の接続対象を識別する接続識別情報を含む情報信号を受信する受信手段(S210)と、
前記受信手段で受信した情報信号に含まれる接続識別情報である判定対象情報が、前記データを過去に送信した移動体通信端末に対応する接続識別情報を記憶する履歴記憶部に記憶されていなければ、当該判定対象情報に対応する移動体通信端末を前記接続先端末として決定する決定制御を実行する接続先決定手段(S220〜S260,S263,S267,S270,S272)と、
前記接続先決定手段で決定した接続先端末に対して、前記データを送信する送信手段(S410〜S460)と、
前記送信手段にて前記接続先端末へのデータの送信を完了すると、当該接続先端末に対応する接続識別情報を含む接続履歴を履歴記憶部(24)に記憶する送信先記憶手段(S510〜S540)と
を備えることを特徴とする無線通信装置。
移動体の各々に搭載される移動体通信端末(5)の中から決定した1つの移動体通信端末である接続先端末に、データを無線通信により送信する無線通信装置(20)におけるデータ送信方法であって、
前記移動体通信端末の各々から規定された時間間隔で送信され、かつ、各移動体通信端末と対応付けられ当該無線通信装置の接続対象を識別する接続識別情報を含む情報信号を受信する受信手順(S210)と、
前記受信手順で受信した情報信号に含まれる接続識別情報である判定対象情報が、前記データを過去に送信した移動体通信端末に対応する接続識別情報を記憶する履歴記憶部に記憶されていなければ、当該判定対象情報に対応する移動体通信端末を前記接続先端末として決定する接続先決定手順(S220〜S260,S263,S267,S270,S272)と、
前記接続先決定手順で決定した接続先端末に対して、前記データを送信する送信手順(S410〜S460)と、
前記送信手順にて前記接続先端末へのデータの送信を完了すると、当該接続先端末に対応する接続識別情報を含む接続履歴を履歴記憶部(24)に記憶する送信先記憶手順(S510〜S540)と
を備えることを特徴とするデータ送信方法。
移動体の各々に搭載される移動体通信端末(5)の中から決定した1つの移動体通信端末である接続先端末に、データを無線通信により送信する無線通信装置(20)が備えるコンピュータが実行するプログラムであって、
前記移動体通信端末の各々から規定された時間間隔で送信され、かつ、各移動体通信端末と対応付けられ当該無線通信装置の接続対象を識別する接続識別情報を含む情報信号を受信する受信手順(S210)と、
前記受信手順で受信した情報信号に含まれる接続識別情報である判定対象情報が、前記データを過去に送信した移動体通信端末に対応する接続識別情報を記憶する履歴記憶部に記憶されていなければ、当該判定対象情報に対応する移動体通信端末を前記接続先端末として決定する接続先決定手順(S220〜S260,S263,S267,S270,S272)と、
前記接続先決定手順で決定した接続先端末に対して、前記データを送信する送信手順(S410〜S460)と、
前記送信手順にて前記接続先端末へのデータの送信を完了すると、当該接続先端末に対応する接続識別情報を含む接続履歴を履歴記憶部(24)に記憶する送信先記憶手順(S510〜S540)とを
前記コンピュータに実行させることを特徴とするプログラム。
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下に本発明の実施形態を図面と共に説明する。
[第1実施形態]
<通信システム>
図1に示す通信システム1は、自動車AMの各々に搭載される移動体通信端末5
1〜5
Nと、路上に設置される複数の無線通信装置20
1〜20
Mとを備えている。
【0025】
この通信システム1では、各無線通信装置20が、各無線通信装置20の通信範囲内に存在する移動体通信端末5の中から、規定条件を満たす1つの移動体通信端末5に対してデータを送信する。したがって、移動体通信端末5は、自身が搭載された自動車AMが移動している場合には、無線ネットワークを介して接続される無線通信装置20を時間の経過に沿って切り替えながら、その接続された無線通信装置20からデータを受信する。
【0026】
本実施形態におけるデータは、予め規定された規定情報を含む。本実施形態における規定情報は、時間の経過と共にその内容が変化する情報である。すなわち、規定情報は、例えば、センサが計測した時間に沿って順次変化する結果を含む。
【0027】
なお、移動体通信端末5と無線通信装置20との間の通信方式は、周知の方式を用いれば良い。本実施形態においては、移動体通信端末5と無線通信装置20との間の通信方式として、周知の近距離無線規格であるIEEE802.15.4によって規格化されたジグビー(ZigBee(登録商標))を用いる。
【0028】
図1に示す符号「M」は、無線通信装置20を識別する識別子であり、1以上の自然数である。また、符号「N」は、移動体通信端末5を識別する識別子であり、1以上の自然数である。
【0029】
図2に示すように、移動体通信端末5は、無線通信回路7と、制御部9とを備えている。
このうち、無線通信回路7は、制御部9からのデータを通信データへと変換し、アンテナ11を介して送信する。さらに、無線通信回路7は、アンテナ11を介して通信データを受信すると共に、その受信した通信データを制御部9にて処理可能なデータへと変換する。
【0030】
制御部9は、ROM,RAM,CPUを有した周知のマイクロコンピュータを中心に構成された周知の制御装置である。この制御部9は、無線通信回路7を含む移動体通信端末5を構成する各部を制御する。さらに、制御部9は、無線通信装置20からのデータに含まれる規定情報に基づく処理を実行したり、他の車載装置に規定情報を出力したりする。
【0031】
また、移動体通信端末5は、予め規定された時間間隔で繰り返しビーコンを送信する。移動体通信端末5が送信するビーコンには、移動体通信端末5を中心に構成されるパーソナルエリアネットワーク(PAN)を識別する識別情報(以下、「接続ID」と称す)を少なくとも含む。なお、本実施形態におけるビーコンは、特許請求の範囲に記載された情報信号の一例であり、本実施形態における接続IDは、特許請求の範囲に記載された接続識別情報の一例である。
【0032】
つまり、移動体通信端末5の各々は、無線ネットワークを介して接続された無線通信装置20との間で情報通信を実行する。その情報通信において、移動体通信端末5は、少なくとも、無線通信装置20からのデータを取得する。
【0033】
さらに、移動体通信端末5の各々は、無線通信装置20からの各種要求に従って返答(応答)する。
<無線通信装置>
次に、無線通信装置20は、
図3に示すように、センシング部22と、記憶部24と、無線通信回路26と、制御部28と、計時部30とを備えている。
【0034】
このうち、センシング部22は、無線通信装置20が設置された道路の状況を繰り返しセンシングするセンサである。本実施形態におけるセンサとして、例えば、路面の温度を計測する温度センサや、無線通信装置20が設置された橋の歪みを計測する歪みゲージなどが含まれる。なお、センシング部22にてセンシングした結果のそれぞれが、規定情報として生成される。
【0035】
記憶部24は、周知の記憶装置である。この記憶装置として、例えば、書換可能な不揮発性の記憶装置(例えば、ハードディスクドライブやフラッシュメモリ等)が考えられる。計時部30は、時刻を計測する周知の構造である。
【0036】
無線通信回路26は、制御部28からのデータを通信データへと変換し、アンテナ29を介して送信する。さらに、無線通信回路26は、アンテナ29を介して通信データを受信すると共に、その受信した通信データを制御部28にて処理可能なデータへと変換する。
【0037】
制御部28は、ROM,RAM,CPUを有した周知のマイクロコンピュータを中心に構成された周知の制御装置である。この制御部28は、無線通信回路26を含む無線通信装置20を構成する各部を制御する。
【0038】
制御部28のROMには、無線ネットワークを介して接続する移動体通信端末5(以下、「接続先端末」と称す)を決定し、その決定した接続先端末にデータを送信するデータ送信処理を、制御部28が実行するためのプログラムが格納されている。
【0039】
つまり、無線通信装置20は、移動体通信端末5の各々からのビーコンに基づいて、規定条件を満たす移動体通信端末5を接続先端末5として決定する。さらに、無線通信装置20は、その決定した接続先端末5に対してデータを送信する。
【0040】
なお、本実施形態の無線通信装置20は、電力の消費を抑制するように無線通信装置20を構成する各部への電力供給を低減するスリープモードが用意されていても良い。そして、このようなスリープモードが用意された無線通信装置20においては、データ送信処理を起動するタイミングごとに、無線通信装置20を構成する各部が動作するように電力を供給する通常モードへと切り替えられるように構成されていても良い。また、スリープモードが用意された無線通信装置20においては、無線通信回路26のうちのデータを受信する機能を実現する機構には、電力を常時供給し、無線通信装置20を構成するその他の各部には、データ送信処理を起動するタイミングごとに電力を供給するように構成されていても良い。
<データ送信処理>
次に、無線通信装置20の制御部28が実行するデータ送信処理について説明する。データ送信処理は、予め規定された時間間隔ごとに起動される。
【0041】
このデータ送信処理では、
図4に示すように、起動されると、制御部28は、移動体通信端末5の中から、規定条件を満たす移動体通信端末5を接続先端末5として決定する接続先決定処理を実行する(S110)。なお、制御部28は、規定条件を満たす移動体通信端末5が存在しなければ、接続先決定処理において、接続先端末5を決定することなく、データ送信処理へと戻る。
【0042】
続いて、制御部28は、今サイクルの接続先決定処理にて接続先端末5を決定したか否かを判定する(S120)。このS120での判定の結果、今サイクルの接続先決定処理にて接続先端末5を未決定であれば(S120:NO)、制御部28は、詳しくは後述するS160へとデータ送信処理を移行させる。
【0043】
一方、S120での判定の結果、今サイクルの接続先決定処理にて接続先端末5を決定済みであれば(S120:YES)、データ送信処理をS130へと移行させる。
そのS130では、制御部28は、詳しくは後述する回数閾値を設定する閾値設定処理を実行する(S130)。さらに、制御部28は、今サイクルの接続先決定処理にて決定した接続先端末5に無線ネットワークを介して接続し、データを送信する送信処理を実行する(S140)。
【0044】
そして、制御部28は、接続先端末5との無線ネットワークを介した接続を切断する切断処理を実行する(S150)。続いて、制御部28は、データの送信を完了した移動体通信端末5に関する情報(以下、「接続履歴」と称す)を管理する履歴管理処理を実行する(S160)。なお、S160へは、S120での判定の結果、今サイクルの接続先決定処理にて接続先端末5を未決定である場合にも移行する。
【0045】
ここで言う接続履歴とは、データの送信を完了した移動体通信端末5を特定する情報であり、記憶部24に記憶される。本実施形態における接続履歴は、
図5に示すように、データを送信した移動体通信端末5(即ち、接続先端末5)に対応する接続ID(
図5中、単に「ID」と記載)と、その接続先端末5に対してデータを送信した時刻(以下、「接続時刻」と称す)とを、データ番号ごとに対応付けたものである。なお、ここで言うデータ番号とは、時間の経過と共に生成され、無線通信装置20から送信されるデータを識別する識別子である。すなわち、接続履歴は、無線通信装置20が送信するデータごとに生成される。本実施形態において、接続履歴が記憶された記憶部24が、特許請求の範囲に記載された履歴記憶部として機能する。
【0046】
その後、制御部28は、データ送信処理を終了し、次の起動タイミングまで待機する。この次の起動タイミングまでは、スリープモードとしても良い。
なお、接続先決定処理、閾値設定処理、送信処理、切断処理、及び履歴管理処理の詳細については、後述する。
<接続先決定処理>
次に、データ送信処理のS110にて実行される接続先決定処理について説明する。
【0047】
この接続先決定処理は、起動されると、
図6に示すように、制御部28は、まず、移動体通信端末5からのビーコンを受信したか否かを判定する(S210)。このS210での判定の結果、移動体通信端末5からのビーコンを受信していなければ(S210:NO)、制御部28は、詳しくは後述するS250へと接続先決定処理を移行させる。
【0048】
一方、S210での判定の結果、移動体通信端末5からのビーコンを受信していれば(S210:YES)、制御部28は、現サイクルのS210にて受信したビーコン(以下、「受信ビーコン」と称す)の受信レベルが、予め規定された規定閾値以上であるか否かを判定する(S220)。この規定閾値は、無線通信装置20自身と受信ビーコンを送信した移動体通信端末5との間の通信品質の最低水準を保証するビーコンの受信レベルとして予め実験などにより規定されたものである。
【0049】
このS220での判定の結果、受信ビーコンの受信レベルが規定閾値未満であれば(S220:NO)、制御部28は、接続先決定処理をS250へと処理を移行させる。一方、S220での判定の結果、受信ビーコンの受信レベルが規定閾値以上であれば(S220:YES)、制御部28は、接続先決定処理をS230へと移行させる。
【0050】
そのS230では、制御部28は、記憶部24に記憶されている接続履歴の中に、受信ビーコンに含まれる接続ID(以下、「判定対象情報」と称す)に一致する接続IDを含む接続履歴が存在するか否かを判定する。すなわち、S230では、受信ビーコンに含まれる判定対象情報を、記憶部24に記憶されている各接続履歴に含まれる接続IDに照合し、一致する接続IDの有無を判定する。
【0051】
このS230での判定の結果、判定対象情報に一致する接続IDを含む接続履歴が記憶部24に記憶されていれば(S230:YES)、制御部28は、接続先決定処理をS250へと処理を移行させる。一方、S230での判定の結果、判定対象情報に一致する接続IDを含む接続履歴が記憶部24に記憶されていなければ(S230:NO)、制御部28は、本接続先決定処理をS240へと移行させる。そのS240では、制御部28は、受信ビーコンの受信レベルを、その受信ビーコンに含まれる接続IDと対応付けた移動体情報を記憶部24に格納する。この移動体情報が記憶された記憶部24が、特許請求の範囲に記載された識別情報記憶部として機能する。
【0052】
続いて、接続先決定処理では、制御部28は、接続先決定処理が起動されてから、予め規定された時間長である第1期間が経過したか否かを判定する(S250)。ここで言う第1期間は、接続先端末5の決定に要する最小限度の時間長として、実験などにより予め規定されたものであり、例えば、数十ミリ秒であっても良いし、数百ミリ秒であっても良い。
【0053】
そして、S250での判定の結果、接続先決定処理が起動されてから第1期間が経過していなければ(S250:NO)、制御部28は、接続先決定処理をS210へと戻す。一方、S250での判定の結果、接続先決定処理が起動されてから第1期間が経過していれば(S250:YES)、制御部28は、接続先決定処理をS260へと移行させる。
【0054】
そのS260では、制御部28は、今サイクルの接続先決定処理にて記憶部24に記憶された移動体情報に基づいて、規定条件を満たす移動体通信端末5を接続先端末5として決定する。本実施形態における規定条件は、今サイクルの接続先決定処理にて記憶部24に記憶された移動体情報に含まれる受信ビーコンの中で受信レベルが最大である受信ビーコンを送信していることである。すなわち、本実施形態のS260では、今サイクルの接続先決定処理にて記憶部24に記憶された移動体情報に含まれる受信ビーコンの中で、受信レベルが最大である受信ビーコンに含まれる接続IDに対応する移動体通信端末5を、接続先端末5として決定する。
【0055】
さらに、接続先決定処理では、制御部28は、今サイクルの接続先決定処理にて記憶部24に記憶された移動体情報を全て削除する(S270)。
さらに、接続先決定処理では、制御部28は、今サイクルのデータ送信処理において、接続先端末5に送信するデータのデータ番号を特定する(S280)。
【0056】
その後、本接続先決定処理を終了し、データ送信処理のS120へと移行する。
つまり、判定対象情報に一致する接続IDを含む接続履歴が記憶部24に記憶されている場合には、無線通信装置20は、その接続IDに対応する移動体通信端末5に対して、データを既に送信済みである。このため、今サイクルの接続先決定処理では、その移動体通信端末5を接続先端末として決定することなく、本接続先決定処理を終了する。
【0057】
一方、判定対象情報に一致する接続IDを含む接続履歴が記憶部24に記憶されていなければ、無線通信装置20は、その接続IDに対応する移動体通信端末5に対して、データを未送信である。このような移動体通信端末5は、無線通信装置20の通信範囲に新たに入った可能性が高いため、当該移動体通信端末5を接続先端末5として決定する。
【0058】
さらに、本実施形態の接続先決定処理では、接続履歴が記憶部24に記憶されていない接続IDの中で、ビーコンの受信レベルが最大である移動体通信端末5を接続先端末5として決定している。
【0059】
なお、本実施形態の接続先決定処理におけるS230,S260が、特許請求の範囲に記載された決定制御の一例である。
<送信処理>
次に、データ送信処理のS140にて実行される送信処理について説明する。
【0060】
この送信処理は、
図7に示すように、起動されると、制御部28は、まず、先の接続先決定処理で決定された接続先端末5に対して、先のS280にて特定されたデータ番号のデータを送信する(S410)。本実施形態のS410では、無線通信装置20は、まず、接続先端末5の無線ネットワークに接続することを要求する接続要求を、接続先端末5に送信する。そして、接続先端末5の無線ネットワークに接続することを許可する接続許可を、接続先端末5から無線通信装置20が受信した後に、即ち、無線ネットワークを介して接続先端末5と接続された後に、データを接続先端末5に送信する。
【0061】
続いて、制御部28は、送信回数を1つインクリメントする(S420)。ここで言う送信回数は、先のS280にて特定されたデータ番号のデータを送信した回数を表すものである。本実施形態においては、送信回数を、データ番号かつ接続IDごとに計数する。
【0062】
さらに、制御部28は、接続先端末5から受信確認を受信したか否かを判定する(S430)。ここで言う受信確認とは、データを受信した旨を表す通知である。
このS430での判定の結果、接続先端末5から受信確認を受信していれば(S430:YES)、制御部28は、送信処理を終了して、データ送信処理のS150へと処理を移行させる。
【0063】
一方、S430での判定の結果、接続先端末5から受信確認を受信していなければ(S430:NO)、制御部28は、S440へと処理を移行させる。そのS440では、S410にて送信したデータのデータ番号かつ接続先端末5に対応する接続IDの送信回数が、閾値設定処理にて設定された回数閾値未満であるか否かを判定する。
【0064】
このS440での判定の結果、送信回数が回数閾値以上であれば(S440:YES)、制御部28は、送信処理を終了して、データ送信処理のS150へと処理を移行させる。一方、S440での判定の結果、送信回数が回数閾値未満であれば(S440:NO)、制御部28は、接続先端末5からのビーコンの受信レベルが、予め規定された受信閾値よりも大きいか否かを判定する(S450)。ここで言う受信閾値とは、無線通信装置20自身との間の通信品質の最低水準を保証するビーコンの受信レベルとして予め実験などにより規定されたものである。
【0065】
このS450での判定の結果、接続先端末5からのビーコンの受信レベルが受信閾値以下であれば(S450:NO)、制御部28は、送信処理を終了して、データ送信処理のS150へと処理を移行させる。一方、接続先端末5からのビーコンの受信レベルが受信閾値よりも大きければ(S450:YES)、制御部28は、S410においてデータを送信してから、予め規定された第1所定時間が経過したか否かを判定する(S460)。
【0066】
このS460での判定の結果、第1所定時間が経過していなければ(S460:NO)、制御部28は、第1所定時間が経過するまで待機し、第1所定時間が経過すると(S460:YES)、送信処理をS410へと戻す。そのS410では、先の接続先決定処理で決定された接続先端末5に対して、先のS280にて特定されたデータ番号のデータを再度送信する。
【0067】
つまり、送信処理では、先の接続先決定処理で決定された接続先端末5に対して、先のS280にて特定されたデータ番号のデータを送信する。そして、送信処理では、データの送信に成功した場合には、当該送信処理を終了する。
【0068】
一方、本実施形態の送信処理においては、データの送信に失敗した場合、先の接続先決定処理で決定された接続先端末5に対して、先のS280にて特定されたデータ番号のデータを改めて送信する。そして、回数閾値回連続してデータの送信に失敗した場合には、その接続先端末5と無線通信装置20との間で通信障害が生じている可能性が高いため、送信処理では、データの送信を打ち切る。また、接続先端末5からのビーコンの受信レベルが受信閾値以下であれば、接続先端末5を搭載した移動体が無線通信装置20の通信範囲外へと移動した可能性が高いため、送信処理では、データの送信を打ち切る。
<閾値設定処理>
次に、データ送信処理のS130にて実行される閾値設定処理について説明する。
【0069】
この閾値設定処理は、起動されると、
図8に示すように、制御部28は、まず、データ送信処理を実行した回数(以下、「サイクル回数」と称す)が、予め設定された設定回数以上であるか否かを判定する(S310)。このS310での判定の結果、サイクル回数が設定回数未満であれば(S310:NO)、制御部28は、予め定められた固定値を回数閾値として設定する(S320)。その後、制御部28は、本閾値設定処理を終了し、データ送信処理のS140へと処理を移行させる。
【0070】
一方、S310での判定の結果、サイクル回数が設定回数以上であれば(S310:YES)、制御部28は、送信処理のS420にてカウントされ、データ番号かつ接続IDごとに管理されている送信回数の全てを読み出す(S330)。続いて、制御部28は、S330にて読み出した送信回数の代表値を算出する(S340)。ここで言う代表値とは、相加平均の結果であっても良いし、最頻値であっても良いし、中央値であっても良い。
【0071】
さらに、制御部28は、S340にて算出した送信回数の代表値を回数閾値として設定する(S350)。
制御部28は、その後、データ送信処理のS140へと処理を移行させる。
【0072】
つまり、閾値設定処理では、データ番号かつ接続IDごとに管理されている送信回数の代表値を算出し、その算出した送信回数の代表値を回数閾値として設定する。そして、閾値設定処理にて設定された回数閾値が、送信処理のS440での判定に用いられる。
<切断処理>
次に、データ送信処理のS150にて実行される切断処理について説明する。
【0073】
この切断処理は、起動されると、
図9に示すように、制御部28は、まず、接続先端末5に対して、無線ネットワークを介した接続の切断を要求する切断要求を送信する(S510)。続いて、制御部28は、S510にて送信した切断要求に対する接続先端末5からの切断応答を受信したか否かを判定する(S520)。ここで言う切断応答とは、無線ネットワークを介した接続の切断を許可する旨の応答である。
【0074】
そして、S520での判定の結果、切断応答を受信していれば(S520:YES)、制御部28は、詳しくは後述するS540へと切断処理を移行させる。一方、S520での判定の結果、切断応答を未受信であれば(S520:NO)、制御部28は、S510にて切断要求を送信してから、予め規定された第2所定時間が経過したか否かを判定する(S530)。このS530での判定の結果、切断要求を送信してから第2所定時間が経過していなければ(S530:NO)、制御部28は、切断処理をS520へと戻す。
【0075】
一方、切断処理を送信してから第2所定時間が経過していれば(S530:YES)、制御部28は、切断処理をS540へと移行させる。S540へは、切断応答を受信した場合(S520:YES)にも移行する。
【0076】
そのS540では、制御部28は、接続履歴を生成して記憶部24に記憶する。本実施形態における接続履歴は、接続先端末5に対応する接続IDと、先の410にて接続先端末5にデータを送信した時刻である接続時刻とを対応付けることで生成される。
【0077】
制御部28は、その後、データ送信処理のS160へと処理を移行させる。
<履歴管理処理>
次に、データ送信処理のS160にて実行される履歴管理処理について説明する。
【0078】
この履歴管理処理は、起動されると、
図10に示すように、制御部28は、まず、記憶部24に記憶された接続履歴の中から、1つの接続履歴を取得する(S610)。続いて、制御部28は、計時部30から現在の時刻(以下、「現時刻」と称す)を取得する(S620)。
【0079】
さらに、制御部28は、S610にて取得した接続履歴に含まれる接続時刻からS620にて取得した現時刻までの接続経過時間が、予め規定された規定値以上であるか否かを判定する(S630)。このS630での判定の結果、接続経過時間が規定値未満であれば(S630:NO)、詳しくは後述するS650へと履歴管理処理を移行させる。
【0080】
一方、S630での判定の結果、接続経過時間が規定値以上であれば(S630:YES)、制御部28は、S610にて取得した接続履歴を記憶部24から消去する(S640)。その後、制御部28は、履歴管理処理をS650へと移行させる。
【0081】
そのS650では、制御部28は、記憶部24に記憶されている全ての接続履歴に対して、S610からS640までの処理を実行したか否かを判定する。このS650での判定の結果、全ての接続履歴に対して処理を実行していなければ(S650:NO)、制御部28は、履歴管理処理をS610へと戻す。そのS610では、S610からS650までの処理を実行していない接続履歴の中から1つの接続履歴を取得して、S620へと移行する。
【0082】
一方、S650での判定の結果、全ての接続履歴に対して、S610からS650までの処理を実行済みであれば(S650:YES)、本履歴管理処理を終了する。その後、今サイクルにおけるデータ送信処理を終了して、次の起動タイミングまで待機する。
<通信システムの動作例>
次に、通信システム1の動作について説明する。
【0083】
図11に示すように、通信システム1においては、移動体通信端末5の各々がビーコン(SS10)を定期的に送信する(S10)。
一方、無線通信装置20は、接続先決定処理(S110)を実行する。その接続先決定処理では、各移動体通信端末5からのビーコンに基づいて、データを未送信である移動体通信端末5を接続先端末5として決定する。さらに、無線通信装置20は、閾値設定処理(S130)、送信処理(S140)を実行する。
【0084】
この送信処理では、無線通信装置20は、接続先端末5に接続要求(SS20)を送信する。その接続要求を受信した接続先端末5は、接続許可(SS30)を無線通信装置20に返答する(S30)。
【0085】
そして、接続許可(SS30)を受信した無線通信装置20は、接続先端末5にデータ(SS40)を送信する。そして、データを受信した接続先端末5は、受信確認(SS50)を送信する(S40)。
【0086】
受信確認(SS50)を受信した無線通信装置20は、切断処理(S150)を実行する。その切断処理では、無線通信装置20は、接続先端末5に切断要求(SS60)送信する。その切断要求を受信した接続先端末5は、切断応答(SS70)を無線通信装置20に返答する(S50)。
【0087】
切断応答(SS70)を受信した無線通信装置20は、履歴管理処理(S160)を実行した後、データ送信処理を終了する。そして、無線通信装置20は、次の起動タイミングまで待機し、次の起動タイミングにて起動されると、規定条件を満たす移動体通信端末5を新たな接続先端末5として検出する。さらに、無線通信装置20は、その新たに検出した接続先端末5に対してデータを送信する。
【0088】
無線通信装置20は、この一連の処理を繰り返し実行する。
[第1実施形態の効果]
以上説明したように、通信システム1においては、1つの無線通信装置20の通信範囲に存在する自動車AMが時間の経過と共に切り替わる。そして、当該無線通信装置20の通信範囲に新たに進入した自動車AMに搭載される移動体通信端末5へは、当該無線通信装置20は、データを未送信である。この場合、無線通信装置20は、通信範囲に新たに進入した移動体通信端末5を接続先端末として、早期にデータを送信することが好ましい。
【0089】
このため、本実施形態の接続先決定処理においては、移動体通信端末5からのビーコンに含まれる各接続ID、即ち、判定対象情報が記憶部24に含まれていなければ、当該判定対象情報に対応する移動体通信端末5を接続先端末として決定している。
【0090】
すなわち、接続先決定処理によれば、データを過去に送信したことがない移動体通信端末5を接続先端末としているため、その時点においてデータを必要とする移動体通信端末5を接続先端末として決定することができる。しかも、接続先決定処理によれば、接続先端末5を決定するまでの処理ステップを低減でき、接続先端末5を決定するまでに要する時間長を短縮できる。
【0091】
換言すれば、無線通信装置20によれば、適切なタイミングに必要なデータを受信すべき移動体通信端末5を接続先として決定することができる。
しかも、接続先決定処理では、記憶部24に接続IDが記憶されていない移動体通信端末5であって、第1期間の間に無線通信装置20自身が受信したビーコンの受信レベルが最も高いビーコンを送信した移動体通信端末5を接続先端末として決定している。
【0092】
このようにビーコンの受信レベルが高ければ、無線通信装置20自身との間の通信品質が良好である可能性が高い。したがって、無線通信装置20によれば、無線通信装置20自身との間の通信品質が良好な移動体通信端末5を接続先端末5として決定できる。
【0093】
さらに、接続先決定処理では、ビーコンの受信レベルが規定閾値未満であれば、そのビーコンを送信した移動体通信端末5との間の通信品質が低いものとして、判定対象情報から除外している。
【0094】
このため、無線通信装置20によれば、通信品質を担保できない状況下にある移動体通信端末5が接続先端末として決定されることを防止できる。
また、通信システム1においては、無線通信装置20から接続先端末5へのデータの送信に回数閾値以上失敗した場合、その接続先端末5との間で通信障害が生じている可能性が高い。
【0095】
このため、送信処理においては、接続先端末5へのデータの送信に回数閾値以上失敗した場合には、現時点でのデータの受信に接続先端末5が成功していなくとも、当該データの送信を打ち切っている。
【0096】
このような無線通信装置20によれば、接続先端末5がデータを受信できる可能性は低い場合、他の移動体通信端末5へのデータの送信へと早期に移行することができる。この結果、無線通信装置20によれば、適切なタイミングに必要なデータを受信すべき移動体通信端末5を接続先として決定することができる。
【0097】
さらに、閾値設定処理においては、送信回数の代表値を回数閾値(特許請求の範囲における規定回数の一例)として設定している。この結果、無線通信装置20によれば、通信環境に応じた適切な回数閾値を設定できる。
【0098】
また、送信処理においては、データを送信した移動体通信端末5からの受信確認を受信した場合、その移動体通信端末5へのデータの送信を完了したものとしている。
この結果、無線通信装置20によれば、接続先端末5からの受信確認を受信した場合には、他の移動体通信端末5へのデータの送信へと早期に移行することができる。この結果、無線通信装置20によれば、適切なタイミングに必要なデータを受信すべき移動体通信端末5を接続先として決定することができる。
【0099】
ところで、通信システム1においては、接続先端末5を搭載した移動体が無線通信装置20の通信範囲外へと移動した場合には、その接続先端末5がデータを受信できる可能性は低い。
【0100】
このため、送信処理では、接続先端末5からのビーコンの受信レベルが規定閾値未満となると、その接続先端末5が、現時点でのデータの受信に成功していなくとも、当該データの送信を打ち切っている。
【0101】
このような無線通信装置20によれば、接続先端末5がデータを受信できる可能性が低い場合には、他の移動体通信端末5へのデータの送信へと移行することができる。この結果、無線通信装置20によれば、適切なタイミングに必要なデータを受信すべき移動体通信端末5を接続先として決定することができる。
【0102】
また、通信システム1においては、無線通信装置20からデータを1度送信した移動体通信端末5であっても、そのデータを送信してから規定時間以上が経過した場合には、その移動体通信端末5は、その時点でのデータを改めて必要としている可能性が高い。
【0103】
このため、履歴管理処理では、送信時刻から規定時間以上が経過した接続履歴を削除している。この結果、無線通信装置20によれば、データを1度送信した移動体通信端末5であっても、当該移動体通信端末5に対して、必要とするデータを改めて送信することができる。
【0104】
また、無線通信装置20では、データごとに接続履歴を記憶部24に記憶している。この結果、無線通信装置20によれば、ビーコンを受信した移動体通信端末5を接続先端末5とすべきか否かについて、データごとに判定することができる。よって、無線通信装置20によれば、各データについて、適切な接続先端末5を決定できる。
【0105】
なお、切断処理では、接続先端末5に対するデータの送信を終了すると、その接続先端末5に対して、接続の解除を要求する解除要求を出力する。そして、その解除要求を受信した接続先端末5から、接続の解除を許可する解除許可を受信すると、接続履歴を記憶部24に記憶する。
【0106】
したがって、無線通信装置20によれば、無線通信装置20と接続先端末5との間が、無線ネットワークによって一度接続されると、その接続が解除されるまで維持されるような通信システムにおいても、データの送信先を早期に切り替えることができる。
[第2実施形態]
第2実施形態の通信システムは、第1実施形態の通信システム1とは、主として、接続先決定処理の処理内容が異なる。このため、本実施形態においては、第1実施形態と同様の構成及び処理には、同一の符号を付して説明を省略し、第1実施形態とは異なる接続先決定処理を中心に説明する。
<接続先決定処理>
本実施形態の接続先決定処理は、起動されると、
図12に示すように、制御部28は、まず、移動体通信端末5からのビーコンを受信したか否かを判定する(S210)。このS210での判定の結果、移動体通信端末5からのビーコンを受信していなければ(S210:NO)、制御部28は、接続先決定処理を終了し、データ送信処理のS120へと処理を移行させる。
【0107】
一方、S210での判定の結果、移動体通信端末5からのビーコンを受信していれば(S210:YES)、制御部28は、受信ビーコンの受信レベルが、予め規定された規定閾値以上であるか否かを判定する(S220)。このS220での判定の結果、受信ビーコンの受信レベルが規定閾値未満であれば(S220:NO)、制御部28は、接続先決定処理を終了し、データ送信処理のS120へと処理を移行させる。一方、S220での判定の結果、受信ビーコンの受信レベルが規定閾値以上であれば(S220:YES)、制御部28は、接続先決定処理をS230へと移行させる。
【0108】
そのS230では、制御部28は、記憶部24に記憶されている接続履歴の中に、判定対象情報に一致する接続IDを含む接続履歴が存在するか否かを判定する。すなわち、S230では、受信ビーコンに含まれる判定対象情報を、記憶部24に記憶されている各接続履歴に含まれる接続IDに照合し、一致する接続IDの有無を判定する。
【0109】
このS230での判定の結果、判定対象情報に一致する接続IDを含む接続履歴が記憶部24に記憶されていれば(S230:YES)、制御部28は、接続先決定処理を終了し、データ送信処理のS120へと処理を移行させる。
【0110】
一方、S230での判定の結果、判定対象情報に一致する接続IDを含む接続履歴が記憶部24に記憶されていなければ(S230:NO)、制御部28は、本接続先決定処理をS263へと移行させる。そのS263では、規定条件を満たす移動体通信端末5を接続先端末5として決定する。本実施形態における規定条件は、今サイクルにて受信したビーコン(即ち、受信ビーコン)に含まれる接続IDが対応付けられた移動体通信端末5であることである。すなわち、本実施形態のS263では、判定対象情報に対応する移動体通信端末5を接続先端末5として決定する。
【0111】
さらに、接続先決定処理では、制御部28は、今サイクルのデータ送信処理において、接続先端末5に送信するデータのデータ番号を特定する(S280)。
その後、本接続先決定処理を終了し、データ送信処理のS120へと移行する。
【0112】
つまり、判定対象情報に一致する接続IDを含む接続履歴が記憶部24に記憶されている場合には、無線通信装置20は、その接続IDに対応する移動体通信端末5に対して、データを既に送信済みである。このため、今サイクルの接続先決定処理では、その移動体通信端末5を接続先端末として決定することなく、本接続先決定処理を終了する。
【0113】
一方、判定対象情報に一致する接続IDを含む接続履歴が記憶部24に記憶されていなければ、無線通信装置20は、その接続IDに対応する移動体通信端末5に対して、データを未送信である。このような移動体通信端末5は、無線通信装置20の通信範囲に新たに入った可能性が高いため、当該移動体通信端末5を接続先端末5として決定する。
[第2実施形態の効果]
以上説明したように、本実施形態の接続先決定処理によれば、第1実施形態の接続先決定処理と同様、適切なタイミングに必要なデータを受信すべき移動体通信端末5を接続先端末として決定することができる。
[第3実施形態]
第3実施形態の通信システムは、第1実施形態及び第2実施形態の通信システム1とは、主として、接続先決定処理の処理内容が異なる。このため、本実施形態においては、第1実施形態及び第2実施形態と同様の構成及び処理には、同一の符号を付して説明を省略し、第1実施形態及び第2実施形態とは異なる接続先決定処理を中心に説明する。
<接続先決定処理>
本実施形態の接続先決定処理は、起動されると、
図13に示すように、制御部28は、まず、移動体通信端末5からのビーコンを受信したか否かを判定する(S210)。このS210での判定の結果、移動体通信端末5からのビーコンを受信していなければ(S210:NO)、制御部28は、詳しくは後述するS250へと接続先決定処理を移行させる。
【0114】
一方、S210での判定の結果、移動体通信端末5からのビーコンを受信していれば(S210:YES)、制御部28は、受信ビーコンの受信レベルが規定閾値以上であるか否かを判定する(S220)。
【0115】
このS220での判定の結果、受信ビーコンの受信レベルが規定閾値未満であれば(S220:NO)、制御部28は、接続先決定処理をS250へと処理を移行させる。一方、S220での判定の結果、受信ビーコンの受信レベルが規定閾値以上であれば(S220:YES)、制御部28は、接続先決定処理をS230へと移行させる。
【0116】
そのS230では、制御部28は、記憶部24に記憶されている接続履歴の中に、判定対象情報に一致する接続IDを含む接続履歴が存在するか否かを判定する。すなわち、S230では、受信ビーコンに含まれる判定対象情報を、記憶部24に記憶されている各接続履歴に含まれる接続IDに照合し、一致する接続IDの有無を判定する。
【0117】
このS230での判定の結果、判定対象情報に一致する接続IDを含む接続履歴が記憶部24に記憶されていれば(S230:YES)、制御部28は、接続先決定処理をS250へと処理を移行させる。一方、S230での判定の結果、判定対象情報に一致する接続IDを含む接続履歴が記憶部24に記憶されていなければ(S230:NO)、制御部28は、本接続先決定処理をS243へと移行させる。そのS243では、制御部28は、受信ビーコンの受信レベルを、その受信ビーコンに含まれる接続IDと対応付けた移動体情報を、記憶部24に格納する。さらに、本実施形態のS243では、
図14に示すように、移動体情報に、ビーコンを受信した回数(即ち、受信回数)を対応付けて記憶部24に記憶する。
【0118】
続いて、接続先決定処理では、制御部28は、接続先決定処理が起動されてから、予め規定された時間長である第1期間が経過したか否かを判定する(S250)。ここで言う第1期間は、接続先端末5の決定に要する最小限度の時間長として、実験などにより予め規定されたものであり、例えば、数十ミリ秒であっても良いし、数百ミリ秒であっても良い。本実施形態における第1期間は、特許請求の範囲に記載された第2期間の一例であり、第1実施形態における第1期間と異なる期間であっても良い。
【0119】
そして、S250での判定の結果、接続先決定処理が起動されてから第1期間が経過していなければ(S250:NO)、制御部28は、接続先決定処理をS210へと戻す。一方、S250での判定の結果、接続先決定処理が起動されてから第1期間が経過していれば(S250:YES)、制御部28は、接続先決定処理をS267へと移行させる。
【0120】
そのS267では、制御部28は、今サイクルの接続先決定処理にて記憶部に記憶された移動体情報に基づいて、規定条件を満たす移動体通信端末5を接続先端末5として決定する。本実施形態における規定条件は、今サイクルの接続先決定処理にて記憶部24に記憶された移動体情報に含まれる受信ビーコンの中で受信回数が最多である受信ビーコンを送信していることである。すなわち、本実施形態のS267では、今サイクルの接続先決定処理にて記憶部24に記憶された移動体情報に含まれる受信ビーコンの中で、受信回数が最多である受信ビーコンに含まれる接続IDに対応する移動体通信端末5を、接続先端末5として決定する。
【0121】
さらに、接続先決定処理では、制御部28は、今サイクルの接続先決定処理にて記憶部に記憶された移動体情報のうち、接続先端末5として決定した移動体通信端末5の移動体情報を削除する(S272)。
【0122】
さらに、接続先決定処理では、制御部28は、今サイクルのデータ送信処理において、接続先端末5に送信するデータのデータ番号を特定する(S280)。
その後、本接続先決定処理を終了し、データ送信処理のS120へと移行する。
【0123】
つまり、判定対象情報に一致する接続IDを含む接続履歴が記憶部24に記憶されている場合には、無線通信装置20は、その接続IDに対応する移動体通信端末5に対して、データを既に送信済みである。このため、今サイクルの接続先決定処理では、その移動体通信端末5を接続先端末として決定することなく、本接続先決定処理を終了する。
【0124】
一方、判定対象情報に一致する接続IDを含む接続履歴が記憶部24に記憶されていなければ、無線通信装置20は、その接続IDに対応する移動体通信端末5に対して、データを未送信である。このような移動体通信端末5は、無線通信装置20の通信範囲に新たに入った可能性が高いため、当該移動体通信端末5を接続先端末5として決定する。
【0125】
しかも、本実施形態の接続先決定処理では、接続履歴が記憶部24に記憶されていない接続IDの中で、ビーコンの受信回数が最多である移動体通信端末5を接続先端末5として決定する。
[第3実施形態の効果]
以上説明したように、本実施形態の接続先決定処理によれば、第1実施形態の接続先決定処理と同様、適切なタイミングに必要なデータを受信すべき移動体通信端末5を接続先として決定することができる。
【0126】
しかも、本実施形態の接続先決定処理によれば、記憶部24に接続IDが格納されていない移動体通信端末5であって、ビーコンを受信可能な移動体通信端末5の中で、無線通信装置20自身がビーコンを受信した回数が最も多い移動体通信端末5を接続先端末5として決定している。
【0127】
このような無線通信装置20によれば、無線通信装置20との間の通信品質が良好な移動体通信端末5を接続先端末5として決定できる。
[その他の実施形態]
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲において、様々な態様にて実施することが可能である。
【0128】
例えば、上記第1実施形態から第3実施形態の通信システム1においては、無線通信装置20が接続先端末5を検出する方式として、いわゆるパッシブ方式を用いていたが、接続先端末5を検出する方式は、パッシブ方式に限るものではなく、アクティブ方式であっても良い。すなわち、アクティブ方式の無線通信装置20では、通信範囲内の移動体通信端末5に対して、接続IDを少なくとも含む返答を要求する要求信号を送信する。そして、要求信号を受信した各移動体通信端末5からの返答の受信レベルが規定閾値以上であり、かつ、その返答に含まれる接続IDが記憶部24に接続履歴として記憶されていない接続IDに対応する移動体通信端末5を、接続先端末5として決定すれば良い。
【0129】
また、上記第1実施形態から第3実施形態の通信システム1においては、移動体通信端末5と無線通信装置20との間の通信方式として、周知の近距離無線規格であるIEEE802.15.4によって規格化されたジグビー(ZigBee(登録商標))を用いていたが、通信方式は、これに限るものではない。すなわち、無線ネットワークを介して接続された無線通信装置20と移動体通信端末5との間の通信であれば、どのような方式であっても良い。さらに、本発明においては、無線通信装置20の接続対象を移動体通信端末5そのものとしても良い。この場合、接続IDは、移動体通信端末5そのものを識別する識別情報であっても良い。
【0130】
さらには、移動体通信端末5と無線通信装置20との間の通信は、電波を用いた通信に限らず、光波を用いた通信でも良い。
また、上記第1実施形態から第3実施形態の無線通信装置20における送信処理では、S430からS450までの全てのステップを実行していたが、本発明における送信処理では、S430が省略されていても良いし、S440が省略されていても良いし、S450が省略されていても良いし、これらのS430からS450までのステップのうち2つのステップが省略されていても良い。すなわち、本発明における送信処理においては、S430からS450までのステップのうち、少なくとも1つのステップが実行されていれば良い。さらに、本発明における送信処理においては、S460が省略されていても良い。
【0131】
また、上記第1実施形態から第3実施形態においては、無線通信装置20が送信するデータに、規定情報を含んでいたが、無線通信装置20が送信するデータには、規定情報が含まれていなくとも良い。つまり、無線通信装置20が送信するデータは、どのようなものであっても良い。
【0132】
ところで、上記実施形態においては、移動体通信端末5は、自動車AMに搭載されていたが、本発明における移動体通信端末5が搭載される対象は、自動車AMに限るものではない。すなわち、本発明の移動体通信端末5が搭載される対象は、船舶や航空機、自動二輪車、自転車などの移動体であればどのようなものであっても良い。
【0133】
なお、上記実施形態の構成の一部を、課題を解決できる限りにおいて省略した態様も本発明の実施形態である。また、上記実施形態と変形例とを適宜組み合わせて構成される態様も本発明の実施形態である。また、特許請求の範囲に記載した文言によって特定される発明の本質を逸脱しない限度において考え得るあらゆる態様も本発明の実施形態である。