【課題】複数のユーザが共有する編集画像において、オブジェクトの編集量が増大した時間帯を検出し、検出された時間帯に基づいて、所望の状態の編集画像を抽出する情報表示処理システムを提供する。
【解決手段】ネットワークを介して複数のユーザが共通の編集画像で情報を共有する情報表示処理システムであって、複数のユーザのうち少なくとも一人によって指定された所定の要求に対して取得された情報を表示する表示手段と、ユーザを特定するユーザデータと、編集画像を特定する編集画像データと、オブジェクトを特定するオブジェクトデータとを含むデータを格納するデータ格納手段と、所定の要求に応じて、データ格納手段に格納されたデータを用いて、オブジェクトの編集量が所定の閾値を超える時間帯を編集量増大時間帯として特定し、特定した編集量増大時間帯において編集されたオブジェクトを抽出する処理手段とを備える情報表示処理システムとする。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下に、本発明を実施するための形態について図面を用いて説明する。ただし、以下に述べる実施形態には、本発明を実施するために技術的に好ましい限定がされているが、発明の範囲を以下に限定するものではない。
【0016】
(第1の実施形態)
(構成)
まず、本発明の第1の実施形態に係る情報表示処理システム1の構成について、図面を参照して説明する。なお、本実施形態に係る情報表示処理システム1においては、オンラインホワイトボードを想定して説明する。オンラインホワイトボードとは、ネットワークを介して複数のユーザが共通の編集画像で情報を共有するものである。以下の説明においては、オンラインホワイトボードを、単にホワイトボードと記載する。
【0017】
編集画像とは、広くは、ホワイトボードそのものを意味する。また、編集画像は、ホワイトボード上に配置されたオブジェクトの集合であるとみなしてもよい。また、編集画像とは、特定の時点におけるホワイトボード上のオブジェクトの配置を示す画像情報と換言することもできる。ただし、本実施形態に係る情報表示処理システム1は、特定の時点のみならず、特定の時間を含む任意の時点におけるホワイトボード上のオブジェクトの配置を編集画像として表示処理するものである。
【0018】
本発明の実施形態に係る情報表示処理システム1は、
図1のように、データ格納手段20と、処理手段40と、表示手段60とを備える。また、
図2のように、処理手段40およびデータ格納手段20は管理装置2に含まれ、表示手段60は表示装置3に含まれる。
【0019】
(管理装置)
管理装置2は、ホワイトボードのデータを管理する。また、管理装置2は、表示装置3からの要求に応じた処理を実施し、必要に応じて処理結果を表示装置3に送信する。
【0020】
管理装置2は、
図2のように、処理手段40と、データ送受信手段30と、データ格納手段20とを有する。管理装置2は、例えば、サーバやコンピュータなどの情報処理装置によって実現できる。ただし、管理装置2を実現するためのハードウェアはここで挙げたものに限らない。
【0021】
処理手段40は、ホワイトボードにおいてオブジェクトが追加・変更された際の編集量を処理し、編集量が所定の閾値を超えた時間帯を編集量増大時間帯として特定する。そして、処理手段40は、異なる編集量増大時間帯の間に追加・更新されたオブジェクトの差分を抽出する。なお、これ以降、オブジェクトの「追加・変更」を、オブジェクトの「編集」とも表記する。また、オブジェクトの「変更」は、オブジェクトの「更新」と同様の意味となる。
【0022】
処理手段40は、
図3のように、ユーザ処理手段41と、ホワイトボード処理手段42と、編集量処理手段43と、差分処理手段44とを有する。
【0023】
ユーザ処理手段41は、ユーザIDが管理装置2に格納されているか否かを確認する手段である(ID:Identifier)。なお、ユーザIDのことを、ユーザ識別子とも呼ぶ。ユーザ処理手段の処理の詳細については、後述する。
【0024】
ホワイトボード処理手段42は、ホワイトボードやオブジェクトのIDの採番・管理をする。ホワイトボード処理手段42の処理の詳細については後述する。
【0025】
編集量処理手段43は、ホワイトボード上におけるオブジェクトの編集量が所定の閾値を超える時間帯である編集量増大時間帯を検出する。
【0026】
編集量処理手段43は、
図4のように、編集量計算手段431と、編集量記憶手段432とを有する。
【0027】
編集量計算手段431は、ホワイトボードIDごとのオブジェクト群に基づいて、指定された時間範囲における平均編集量の算出、編集量増大時間帯を判別するための閾値Smaxの算出、単位時間当たりの編集量の算出などを行う。例えば、オブジェクトIDのバージョンを編集回数とすれば、指定された時間に含まれるオブジェクトIDの数と、それぞれのオブジェクトIDのバージョンとを乗じた数値を、単位時間当たりの編集量として算出することができる。さらに、編集量計算手段431は、単位時間当たりの編集量の時間推移をヒストグラムで表した編集量のグラフの作成を作成し、算出した閾値Smaxを超える時間帯を編集量増大時間帯として特定する。
【0028】
編集量記憶手段432は、編集量増大時間帯が特定されたホワイトボードIDごとに、関連するデータを保持する。編集量計算手段431および編集量記憶手段432を含む編集量処理手段431の詳細については後述する。
【0029】
差分処理手段44は、編集量処理手段43によって検出された編集量増大時間帯に関して編集されたオブジェクトを検出し、表示装置3からの要求に応じた処理を実行する。
【0030】
差分処理手段44は、
図5のように、差分抽出手段441と、矩形算出手段442と、オブジェクトタグ情報計算手段443とを有する。
【0031】
差分抽出手段441は、
図6のように、編集量増大時間帯差分抽出手段4431、編集量増大時間帯間差分抽出手段4432、編集量増大時間帯前差分抽出手段4433を含む。
【0032】
編集量増大時間帯差分抽出手段4431は、対象とする編集量増大時間帯における差分を抽出する。
【0033】
編集量増大時間帯間差分抽出手段4432は、異なる編集量時間帯間に編集されたオブジェクトの差分を抽出する。
【0034】
編集量増大時間帯前差分抽出手段4433は、対象とする編集量増大時間帯の前に編集されたオブジェクトの差分を抽出する。
【0035】
矩形算出手段442は、オブジェクトの位置やサイズを算出するとともに、異なるオブジェクト同士の重なる部分の面積を算出する。また、矩形算出手段442は、特定の編集量増大時間帯において編集されたオブジェクトを集合として扱う場合、そのオブジェクトの集合を矩形として定義する手段としても機能する。
【0036】
オブジェクトタグ情報計算手段443は、編集量増大時間帯において編集されたオブジェクトのタグ情報の計算を行う。具体的には、オブジェクトタグ情報計算手段443は、オブジェクトに付与されているタグ情報を取り出し、同一種別のタグの数をカウントし、それぞれのタグに対してTPという数値を求める。なお、TPとは、オブジェクト群において、特定のタグが付されたオブジェクトの数を意味する。
【0037】
データ送受信手段30は、表示装置3からの要求やデータの受信、各処理手段における処理結果の送信を行う手段である。データ送受信手段30は、管理装置2の通信インターフェースとして機能する。
【0038】
データ格納手段20は、
図7のように、ユーザデータ格納部21、ホワイトボードデータ格納部22、オブジェクトデータ格納部23を含む。
【0039】
ユーザデータ格納部21は、ユーザを特定するユーザデータを格納する。ユユーザデータには、ユーザを一意に識別するためのユーザID、ユーザ名が含まれる。
【0040】
ホワイトボードデータ格納部22は、ホワイトボードを特定するホワイトボードデータを格納する。ホワイトボードデータには、ホワイトボードを一意に識別するためのホワイトボードID、ホワイトボードのタイトル、ホワイトボードのテーマを表すタグ、ホワイトボードの内容を表すタグが含まれる。
【0041】
ホワイトボードのテーマおよび内容を表すタグ情報としては、ホワイトボード上において、どのようなテーマおよび内容について議論されているのかが、ホワイトボードデータ格納部22に文字列として格納される。通常、一つのテーマについての議論は、複数のホワイトボードにまたがって行われるため、複数のホワイトボードに同一のタグが付くこととなる。
【0042】
オブジェクトデータ格納部23は、オブジェクトを特定するオブジェクトデータを格納する。オブジェクトデータには、オブジェクトを一意に識別するためのオブジェクトID、オブジェクトのバージョン、オブジェクトの種別、オブジェクトの内容、オブジェクトの内容を示すタグ情報が含まれる。また、オブジェクトデータには、オブジェクトが存在しているホワイトボードID、位置情報、サイズ情報、追加日時、更新日時、追加・変更したユーザIDが含まれる。
【0043】
オブジェクトの内容を示すタグ情報としては、オブジェクトの内容を表す文字列がオブジェクトデータ格納部23に格納される。なお、同じ内容を表すオブジェクトには、同じ内容を表すタグが設定される。
【0044】
オブジェクトの位置情報は、ホワイトボード上におけるオブジェクトの位置を示し、ホワイトボード上の横軸(X軸)および縦軸(Y軸)が形成する座標によって規定される。また、オブジェクトのサイズ情報は、オブジェクトの矩形のサイズを意味しており、ホワイトボード上の横軸および縦軸方向のオブジェクトの幅として規定される。なお、オブジェクトの矩形とは、オブジェクトを内含するように囲う矩形である。オブジェクトの矩形は、オブジェクトの外周に接するように定義してもよいし、オブジェクトの外周とある程度の距離を空けるように定義してもよい。
【0045】
(表示装置)
表示装置3は、ネットワークを介して管理装置2と接続されており、ホワイトボードに関する情報を表示する装置である。表示装置3は、少なくとも一つのハードウェアによって構成される。また、表示装置3は、管理装置2に対して、ホワイトボードへのログイン要求、ホワイトボードの表示・作成・更新要求、オブジェクトの追加・変更要求、編集量表示要求、差分表示要求などを行う。なお、表示装置3から発せられる各要求については後述する。
【0046】
表示装置3は、データ送受信手段50と、表示手段60とを有する。表示装置3は、例えば、ノートPCやタブレットPC、スマートフォン、携帯電話などの表示装置を有する端末装置によって実現できる(PC:Personal Computer)。ただし、表示装置3を実現するためのハードウェアはここで挙げたものに限らない。
【0047】
データ送受信手段50は、管理装置2への要求を送信したり、管理装置2との間でデータを授受したりするための手段である。データ送受信手段50は、表示装置3の通信インターフェースとして機能する。
【0048】
表示手段60は、ホワイトボードや必要な情報を表示するための手段である。ユーザは、表示手段60によって、ログイン、ホワイトボードの表示・作成・更新、ホワイトボード上のオブジェクトの追加・変更、編集量表示、差分表示の要求を行うことができる。表示手段60は、上述の要求をデータ送受信手段50経由で管理装置2に要求する。また、表示装置3は、管理装置2に出した要求の応答を表示手段60に表示することが可能である。ただし、表示装置3から発せられる要求を、表示手段60とは別の入力手段(図示しない)によって入力する構成としてもよい。
【0049】
差分表示を行う際には、まず、編集量表示要求が必要となる。表示装置3から編集量表示要求が発せられると、編集量表示要求の結果として、議論・作業が行われた時間帯が表示手段60に表示されることになる。
【0050】
次に、差分を見たい議論・作業が行われた時間帯が選択されると、表示装置3から管理装置2に差分表示要求が発せられる。管理装置2は、要求された議論・作業が行われた時間帯間での差分を算出すると、表示装置3に処理結果を返す。その結果、表示装置3の表示手段60において、要求された差分表示がなされることになる。なお、差分表示要求が発せられるタイミングは、事前に設定しておいた特定の時刻や、特定の処理の開始・終了などに併せてもよい。
【0051】
表示装置3を端末装置として実現する場合、表示手段60は、端末装置に備えられたモニターに情報を表示するためのデバイスとして機能する。すなわち、表示手段60は、ホワイトボードや関連情報を表示するためのモニターと、情報を入力・処理するデバイスとを一体とした手段となる。表示手段60は、情報を表示するモニターと、モニターに情報を表示するための処理を行うデバイスとを含む一般的な装置で構成される。例えば、デスクトップPCやノートPC、タブレットPC、スマートフォン、携帯電話などの端末を表示装置3として用いることができる。また、例えば、単一の表示装置3に、複数の表示手段60を設けるように構成することができる。これは、ユーザが共有できるスクリーンやモニターなどにホワイトボードを表示させ、複数の端末によってホワイトボードを操作する例となる。ただし、表示装置3の形態は、利用シーンに応じて適宜構成を変更することができるため、上述の例に限定されるわけではない。
【0052】
以上が、本発明の実施形態に係る情報表示処理システム1の機能構成についての説明である。
【0053】
次に、本発明の実施形態に係る情報表示処理システム1における処理において、表示装置3が管理装置2に発する要求について説明する。管理装置2が受信する要求は、ホワイトボードを利用する複数のユーザのうち少なくとも一人によって指定されるものである。ホワイトボードを利用するユーザの中には、ホワイトボードを編集するユーザもいれば、ただホワイトボードを閲覧するユーザもいる。そのため、必ずしも全てのユーザが、要求を指示するわけではない。
【0054】
また、ホワイトボードの利用シーンを想定すると、表示装置3を含む端末に入力された要求が管理装置3に送信されることが多い。ただし、スタジアムや映画館のスクリーンをホワイトボードとする利用シーンを考慮すると、ユーザの端末に表示手段が含まれない場合も想定される。そのため、管理装置2への要求は、表示装置3ではない端末から発せられる場合もある。
【0055】
管理装置2が表示装置3から受信する要求には、「ユーザログイン要求」、「ホワイトボード表示要求」、「ホワイトボード作成要求」、「オブジェクト追加・変更要求」、「編集量表示要求」、「差分表示要求」が含まれる。なお、管理装置2は、それぞれの要求とともに対応するデータを受信して所定の処理を実施し、処理結果を表示装置3に送信する。
【0056】
〔ユーザログイン要求〕
ユーザログイン要求は、ユーザがオンライホワイトボードを利用するシステムにログインする際に、表示装置3から発せられる要求である。
【0057】
ユーザログイン要求において、管理装置2は、データ送受信手段30によってユーザIDを受信する。
【0058】
データ送受信手段30は、ユーザIDを受信すると、受信したユーザIDを処理手段40のユーザ処理手段41に渡す。ユーザ処理手段41は、ユーザIDを受け取ると、受け取ったユーザIDがユーザデータ格納部21に存在するか否かを確認する。ユーザデータ格納部21にユーザIDが存在する場合、ユーザ処理手段41は、ログイン可能という結果をデータ送受信手段30に返す。一方、ユーザデータ格納部21にユーザIDが存在しない場合、ユーザ処理手段41は、ログイン不可能という結果をデータ送受信手段30に返すことになる。
【0059】
さらに、データ送受信手段30は、ホワイトボード一覧(ホワイトボードIDとタイトル)の情報をホワイトボード処理手段42に要求する。ホワイトボード処理手段42は、データ送受信手段30からの要求に応じて、ホワイトボード一覧の情報をデータ送受信手段30に返す。
【0060】
データ送受信手段30は、ホワイトボード一覧を取得すると、取得したホワイトボード一覧を表示装置3に送信する。
【0061】
表示装置3のデータ送受信手段50は、管理装置2からホワイトボード一覧を受信すると、受信したホワイトボード一覧を表示手段60に渡す。表示手段60は、受け取ったホワイトボード一覧を表示する。
【0062】
以上のように、ユーザログイン要求に応じて、管理装置2の処理手段40は、ユーザがログイン可能か否かをユーザ処理手段41によって確認処理し、処理結果を表示装置3に返す。
【0063】
〔ホワイトボード表示要求〕
ホワイトボード表示要求は、ユーザが利用するホワイトボードIDをもつホワイトボードを表示装置3の表示手段60に表示する際に、表示装置3から発せられる要求である。
【0064】
ホワイトボード表示要求において、管理装置2は、データ送受信手段30によってホワイトボードIDを受信する。
【0065】
データ送受信手段30は、ホワイトボードIDを受信すると、受信したホワイトボードIDを処理手段40のホワイトボード処理手段42に渡して、データの取得を要求する。ホワイトボード処理手段42は、ホワイトボードIDをキーにして、オブジェクトデータ格納部23から最新のオブジェクトの一覧(以下、オブジェクト群と呼ぶ)を取り出し、取り出したオブジェクト群をデータ送受信手段30に返却する。データ送受信手段30は、最新のオブジェクト群を取得すると、取得したオブジェクト群を表示装置3に送信する。
【0066】
表示装置3のデータ送受信手段50は、オブジェクト群を受信すると、受信したオブジェクト群を表示手段60に渡す。表示手段60は、受け取ったオブジェクト群を表示する。
【0067】
以上のように、ホワイトボード表示要求に応じて、管理装置2の処理手段40は、ホワイトボード処理手段42によって、ホワイトボートデータ格納部22からデータを取得し、取得したデータを表示装置3に返す。
【0068】
〔ホワイトボード作成要求〕
ホワイトボード作成要求は、新たにホワイトボードを作成する際に、表示装置3から発せられる要求である。
【0069】
ホワイトボード作成要求において、管理装置2は、データ送受信手段30によってホワイトボードに関するデータを受信する。なお、ホワイトボードに関するデータには、ホワイトボードのタイトル、ホワイトボードのテーマを表すタグ、ホワイトボードの内容を表すタグを含む。
【0070】
データ送受信手段30は、受信したホワイトボードに関するデータを処理手段40のホワイトボード処理手段42に渡す。
【0071】
ホワイトボード処理手段42は、受信したホワイトボードに関するデータに基づいてホワイトボードIDを採番し、ホワイトボードデータ格納部22に作成されるホワイトボードに関するデータを格納する。
【0072】
以上のように、ホワイトボード作成要求に応じて、管理装置2の処理手段40は、ホワイトボード処理手段42によって、作成されるホワイトボードデータに関するデータをデータ格納部20のホワイトボートデータ格納部22に格納する。
【0073】
〔オブジェクト追加・変更要求〕
オブジェクト追加・変更要求は、ホワイトボードにおいてオブジェクトを追加・変更する際に、表示装置3によって発せられる要求である。なお、オブジェクトに関するデータには、オブジェクトID、オブジェクトの種別、オブジェクトの内容、オブジェクトの内容を示すタグ情報、オブジェクトが存在しているホワイトボードID、位置情報、サイズ情報、追加・変更したユーザIDを含む。ただし、サイズ情報とは、オブジェクトの矩形のサイズを意味する。
【0074】
オブジェクト追加・変更要求において、管理装置2は、オブジェクトの追加と変更とで異なる情報をデータ送受信手段30によって受け取る。オブジェクトの追加の場合、データ送受信手段30は、追加するオブジェクトに関するデータを受け取る。また、オブジェクトの変更の場合、データ送受信手段30は、変更するオブジェクトに関するデータを受け取る。
【0075】
オブジェクトの追加・変更のいずれの場合であっても、データ送受信手段30は、受け取ったデータを処理手段40のホワイトボード処理手段42に渡す。オブジェクトの追加の場合、ホワイトボード処理手段42は、新しくオブジェクトIDを採番して、オブジェクトデータ格納部23にデータを格納する。オブジェクトの変更の場合、ホワイトボード処理手段42は、対象オブジェクトのバージョンを一つ上げて、オブジェクトデータ格納部23にデータを格納する。なお、データを格納する際には、ホワイトボード処理手段42データを格納した日時を追加・更新日時として格納し、オブジェクトIDは変更しないものとする。
【0076】
以上のように、オブジェクト追加・変更要求に応じて、管理装置2の処理手段40は、ホワイトボード処理手段によって、オブジェクトの追加・変更されたデータをデータ格納部20のオブジェクトデータ格納部23に格納する。
【0077】
〔編集量表示要求〕
編集量表示要求は、指定された期間における編集量を表示する際に、表示手段60によって発せられる要求である。
【0078】
編集量表示要求において、管理装置2のデータ送受信手段30は、編集量を表示する時間の範囲情報(特定期間とも呼ぶ)とホワイトボードのテーマを受け取る。
【0079】
データ送受信手段30は、受信したデータを処理手段40の編集量処理手段43に渡す。編集量処理手段43は、編集量計算手段431によって編集量の計算を行い、計算結果をデータ送受信手段30に渡す。データ送受信手段30は、受け取った編集量計算手段431の計算結果を表示装置3に返す。
【0080】
表示装置3は、受信した計算結果を必要に応じて表示手段60によって表示する。
【0081】
以上のように、編集量表示要求に応じて、管理装置2の処理手段40は、編集量処理手段43によってデータ格納部20からデータを取り出し、編集量の多い時間帯を解析し、解析結果を表示装置3に返す。
【0082】
〔差分表示要求〕
差分表示要求は、特定の編集量増大時間帯に関する差分表示をする際に、表示装置3によって発せられる要求である。
【0083】
差分表示要求において、管理装置2は、データ送受信手段30により、「編集量増大時間帯に追加・変更されたオブジェクトの強調表示」、「編集量増大時間帯までのホワイトボードの状況の表示」、「編集量増大時間帯間の差分の強調表示」等の要求を受信する。なお、「編集量増大時間帯に追加・変更されたオブジェクトの強調表示」を、編集量増大時間帯差分表示要求とも呼ぶ。また、「編集量増大時間帯までのホワイトボードの状況の表示」を、編集量増大時間帯前差分表示要求とも呼ぶ。また、「編集量増大時間帯間の差分の強調表示」を、編集量増大時間帯間差分表示要求とも呼ぶ。
【0084】
編集量増大時間帯差分表示要求、編集量増大時間帯前差分表示要求の場合、データ送受信手段30は、編集量増大時間帯を一つ受信することになる。それに対し、編集量増大時間帯間差分表示要求の場合、データ送受信手段30は、編集量増大時間帯を二つ受信することになる。
【0085】
編集量増大時間帯差分要求の場合、データ送受信手段30は、受け取った編集量増大時間帯のデータを処理手段40の差分処理手段44に含まれる編集量増大時間帯差分抽出手段4431に渡す。編集量増大時間帯間差分要求の場合、データ送受信手段30は、受け取った編集量増大時間帯のデータを処理手段40の差分処理手段44に含まれる編集量増大時間帯間差分抽出手段4432に渡す。編集量増大時間帯前差分要求の場合、データ送受信手段30は、受け取った編集量増大時間帯のデータを処理手段40の差分処理手段44に含まれる編集量増大時間帯前差分抽出手段4433に渡す。
【0086】
編集量増大時間帯差分抽出手段4431、編集量増大時間帯間差分抽出手段4432および編集量増大時間帯前差分抽出手段4433のそれぞれは、受信したデータを処理すると、処理結果をデータ送受信手段30に渡す。データ送受信手段30は、受け取った処理結果を表示装置3に返却する。
【0087】
そして、表示装置3は、受け取ったデータを表示手段60によって表示する。
【0088】
以上のように、差分表示要求において、管理装置2の処理手段40は、差分表示する時間帯に関する情報を表示装置3から受け取り、差分処理手段44によって、データ格納部20から差分表示に必要なデータを抽出し、抽出したデータを表示装置3に返す。
【0089】
また、編集量増大時間帯間差分要求の場合、編集量増大時間帯間のオブジェクトの追加・変更をどちらの時間帯の更新にした方がよいかを判断する必要がある。その際、管理装置2は、矩形算出手段442やオブジェクトタグ情報計算手段443を利用する。
【0090】
矩形算出手段442は、編集量増大時間帯において編集されたオブジェクトの範囲を表す矩形領域(以下、編集量増大時間帯の矩形とも呼ぶ)を定義し、編集量増大時間帯の矩形と単体オブジェクトとの重なりの程度を算出する。また、オブジェクトタグ情報計算手段443は、編集量増大時間帯において編集されたオブジェクトのタグの情報の計算を行う。
【0091】
そして、編集量増大時間帯間差分抽出手段4432は、矩形算出手段442またはオブジェクトタグ情報計算手段443の計算結果を用いて処理を行う。
【0092】
図8は、編集量増大時間帯の矩形の一例である。
図8のように、編集量増大時間帯の矩形(矩形10)は、ある編集量増大時間帯において編集された少なくとも一つのオブジェクトを含むように囲うように定義される。なお、編集量増大時間帯の矩形は、各オブジェクトの外周と接するように定義してもよいし、ある程度の距離を空けて定義してもよい。また、複数のオブジェクトをオブジェクト群として管理する場合、
図8のように、オブジェクト群を構成する複数のオブジェクトの周囲を囲うように矩形を定義する。
【0093】
以上が、本発明の実施形態に係る情報表示処理システム1における処理において、表示装置3から管理装置2に発せられる要求についての説明である。
【0094】
(動作)
次に、本実施形態に係る情報表示システム1の動作について、図面を参照しながら説明する。
【0095】
まず、比較のために、一般的なオンラインホワイトボード(以下、ホワイトボードとも記載)について説明する。一般的なホワイトボードでは、表示装置によってホワイトボードを作成し、ホワイトボードに対するテーマのタグ、内容のタグを設定する。さらに、一般的なホワイトボードは、ホワイトボードへのオブジェクトの追加・変更を行う手段を持つ。一般的なホワイトボードの管理装置内には、複数のホワイトボードのデータ、ホワイトボード上に存在するオブジェクトのデータ、過去のオブジェクトのデータ(履歴データ)が、更新日時と更新ユーザの情報が分かる形で蓄積されている状態となる。
【0096】
次に、本実施形態に係る情報表示処理システム1に関して、ホワイトボード上で議論が行われたポイント、履歴を取るべきポイントを、編集量を利用して抽出する動作について説明する。本実施形態に係る情報表示処理システム1で扱うオンラインホワイトボードも、上述の一般的なオンラインホワイトボードの特徴を持つことを前提とする。
【0097】
本実施形態に係る情報表示処理システム1においては、まず、対象となるホワイトボードのテーマに関して、表示装置3が管理装置2に対して編集量表示要求を発する。なお、編集量表示要求においては、編集量表示を行いたい期間が特定期間として指定される。そして、管理装置2は、表示装置3からの編集量表示要求に応じて、対象となるホワイトボードのテーマに関して、編集量が多かった時間帯を編集量増大時間帯として特定する。そして、管理装置2は、特定した編集量増大時間帯を示す編集量のグラフを表示装置3に返す。
【0098】
対象となるホワイトボードの編集量のグラフが表示装置3に表示されると、差分表示等の表示を行うために、編集量増大時間帯のうち少なくとも一つが指定される。編集量増大時間帯が指定されることによって、表示装置3から管理装置2に差分表示要求が発せられることになる。管理装置2は、差分表示要求に応じて、対象となる編集量増大時間帯に基づいて所望の時間帯に編集されたオブジェクトデータを抽出し、抽出したオブジェクトデータを表示装置3に返す。そして、表示装置3は、所望の時間帯に編集されたオブジェクトの差分表示をする。
【0099】
以下において、編集量表示要求および差分表示要求についての詳細な説明を行う。
【0100】
(編集量表示要求)
まず、管理装置2が表示装置3から編集量表示要求を受けた際の初期動作について説明する。
【0101】
編集量表示要求がなされる際には、表示装置3の表示手段60に対して、ホワイトボードのテーマを表すタグ、特定期間が指定される。
【0102】
図9において、表示手段60は、データ送受信手段50を介して、編集量表示要求を発し、指定されたデータ(ホワイトボードのテーマを表すタグ、特定期間)を管理装置2に渡す(ステップS101)。
【0103】
管理装置2は、データ送受信手段30によって、編集量表示要求とデータとを受け取る。管理装置2は、データ送受信手段30によって、受け取った編集量表示要求とデータとを編集量処理手段43に渡す(ステップS102)。
【0104】
編集量処理手段43は、編集量を定義する手段を持っており、様々な編集量を利用した処理をする機能を有する。例えば、編集量処理手段43は、オブジェクトの編集量を以下のように、オブジェクトを追加・変更した回数(式1)や、追加・変更したオブジェクトのサイズ(式2)によって定義することが可能である。ただし、オブジェクトのサイズとは、ホワイトボード上におけるオブジェクトの面積を意味する。
(編集量)=(追加・変更した回数)・・・(1)
(編集量)=(追加・変更したサイズ)・・・(2)
なお、オブジェクトの編集量は、オブジェクトを追加・変更した回数やオブジェクトのサイズのみならず、追加・変更したデータの容量や追加・変更に要した処理時間の長さ、処理の重要度によって定義してもよい。
【0105】
以上が、管理装置2が表示装置3から編集量表示要求を受けた際の初期動作に関する説明である。
【0106】
ここで、編集量表示要求がなされた際に、オブジェクトの編集量がオブジェクトの編集回数として定義されたときの編集量処理手段43の動作について、
図10のフローチャートを用いて説明する。
【0107】
図10において、まず、編集量処理手段43は、ホワイトボードのテーマと、特定期間とを含むデータを編集量計算手段431に渡す(ステップS201)。
【0108】
次に、編集量計算手段431は、ホワイトボードのテーマをキーにして、指定されたタグを持つホワイトボードに関するホワイトボードIDの一覧をホワイトボードデータ格納部22から取り出す(ステップS202)。
【0109】
編集量計算手段431は、ホワイトボードIDの一覧を取り出すと、ホワイトボードIDごとに以下の処理を行う。
【0110】
まず、編集量計算手段431は、特定期間に含まれる追加日時および更新日時を参照し、ホワイトボードIDごとに存在するオブジェクト群をオブジェクトデータ格納部23から取り出す(ステップS203)。このとき、編集量計算手段431は、全てのホワイトボード一覧に対してステップS203の処理を行う。
【0111】
そして、編集量計算手段431は、オブジェクトデータ格納部23から取り出したオブジェクト群に関してオブジェクト数の総和を算出する。そして、編集量計算手段431は、算出したオブジェクト数の総和を特定期間分の時間で割ることによって平均編集量を算出する(ステップS204)。
【0112】
編集量計算手段431は、平均編集量を算出すると、編集量が大きくなっている時間帯を特定する処理を行う。ここで、編集量計算手段431は、編集量が大きくなっている時間帯の特定のために、平均編集量から閾値Smaxを算出する(ステップS205)。例えば、平均編集量の2倍の数値を閾値Smaxとして定義することができる。また、例えば、平均編集量の任意の倍数の数値を閾値Smaxとして定義してもよい。なお、閾値Smaxの数値は、任意に設定することができ、平均編集量以外の要素に基づいて設定してもよい。
【0113】
次に、編集量計算手段431は、編集量が大きくなっている時間帯を特定するために、ステップS202で取り出したホワイトボードごとのオブジェクト群から、単位時間当たりの編集量を算出する(ステップS206)。例えば、単位時間を1日とした場合、編集量計算手段431は、オブジェクト群に関する追加日時および更新日時を参照し、オブジェクト数の集計を1日単位で行えばよい。なお、単位時間に関しては、例えば、数分、数時間、数日などといった時間を単位としてもよく、任意の時間範囲に設定することができる。
【0114】
次に、編集量計算手段431は、単位時間あたりの編集量の時間推移をあらわす編集量グラフを作成する(ステップS207)。なお、編集量をオブジェクトの追加・変更回数と定義した場合、ステップS206に示した例で集計したオブジェクト数が単位時間あたりの編集量になる。そのため、編集量計算手段431は、集計したオブジェクト数を編集量として時間に対してプロットすることで得られるヒストグラムを編集量のグラフとして得ることができる。
【0115】
次に、編集量計算手段431は、編集量が閾値を超えている時間帯を検知し、検知した時間帯を編集量増大時間帯として特定する(ステップS208)。なお、編集量が閾値を超えている時間帯が複数の連続した時間帯に渡っていれば、連続した時間帯を一つの編集量増大時間帯とする。
【0116】
ここで、単位時間当たりの編集量のグラフの一例を
図11に示す。
図11は、横軸が時間、縦軸が単位時間あたりの編集量を示す。
図11には、単位時間当たりの編集量の閾値も示している。
図11では、時間帯1および時間帯2において、単位時間当たりの編集量が閾値を超えている。すなわち、時間帯1および時間帯2が、それぞれ編集量増大時間帯として特定されることになる。なお、時間帯2は、編集量が閾値を超えている時間帯が複数の連続した時間帯に渡っている例である。また、特に断りが無い限り、時間帯1と時間帯2との間、すなわち編集量増大時間帯間とは、
図11の時刻t1と時刻t2との間の時間帯を意味する。時刻t1および時刻t2は、それぞれ時間帯1および時間帯2のうち最新の時刻を指す。
【0117】
編集量増大時間帯が特定されると、編集量処理手段43は、編集量増大時間帯ごとにIDを振る。そして、編集量処理手段43は、編集量増大時間帯のID、ホワイトボードID、特定期間、編集量のグラフのデータを編集量記憶手段432に保持する(ステップS209)。
【0118】
次に、編集量処理手段43は、データ送受信手段30経由で、編集量増大時間帯のID、ホワイトボードID、編集量に関するグラフのデータを表示装置3に送信する(ステップS210)。なお、編集量に関するグラフのデータとは、ホワイトボードごとに、時間軸に対して編集量増大時間帯を示すグラフである。編集量に関するグラフは、編集量記憶手段432に保持される編集量のグラフのデータに基づいて、管理装置2側で作成するようにしてもよいし、表示装置3側で作成するようにしてもよい。
【0119】
そして、表示装置3は、管理装置2からデータを受け取ると、ホワイトボードごとの編集量に関するグラフを表示する。
【0120】
図12には、
図10に沿った処理の結果、表示装置3に表示される編集量に関するグラフの一例を示す。
図12の例では、横軸に時間を取った6つのグラフが表示されている。
図12の6つのグラフには、各ホワイトボード上において編集量が閾値を超えた時間帯が帯状に表示されている。編集量増大時間帯とは、オブジェクトの追加・変更が多かった時間帯、すなわち、議論や作業が行われた時間帯を意味する。そのため、
図12のように表示することによって、ユーザは、編集量増大時間帯を選択することによって、オブジェクトの追加・変更が多かった時間帯を指定することが可能となる。
【0121】
一方、追加・編集したオブジェクトのサイズ(面積)を編集量とした場合、
図10を用いて説明した追加・編集回数を編集量と定義した場合とは、ステップS204およびステップS206が異なる。追加・編集したオブジェクトの面積を編集量とした場合、
図10のステップS204において、オブジェクト数の総和を算出する替わりに、追加・変更したオブジェクトの面積の総和を計算する。そして、
図10のステップS206においては、追加・変更したオブジェクトの面積の総和を用いて、単位時間当たりの編集量を算出する。
【0122】
以上が、編集量表示要求がなされたときの動作における管理装置2の動作についての説明である。
【0123】
(差分表示)
ここで、表示手段60による各表示(差分表示)について説明する。
【0124】
表示装置3の表示手段60は、
図12のように、ホワイトボードごとに、編集量増大時間帯を表示することが可能である。
図12の表示から、「選択した編集量増大時間帯までに更新されたホワイトボードのデータの表示」、「選択した編集量増大時間帯内で更新されたオブジェクトの強調表示」、「選択した二つの編集量増大時間帯間の差分の表示」を指定することができる。以下において、各差分表示について説明する。
【0125】
〔編集量増大時間帯前差分表示〕
第1の差分表示は、選択した編集量増大時間帯までに更新されたホワイトボードのデータを表示する編集量増大時間帯前差分表示である。編集量増大時間帯前差分表示では、選択された編集量増大時間帯のIDを表示装置3から管理装置2へと渡す。
【0126】
管理装置2は、データ送受信手段30を用いてデータ(編集量増大時間帯のID)を受け取り、差分処理手段44に要求を出す。なお、差分処理手段44に要求が出される際には、要求とともにデータ(編集量増大時間帯のID)が渡されることになる。
【0127】
差分処理手段44は、要求を受け付けると、差分抽出手段441の編集量増大時間帯前差分抽出手段4433に受信したデータ(編集量増大時間帯のID)を渡す。そして、編集量増大時間帯前差分抽出手段4433は、受信したデータ(編集量増大時間帯のID)を編集量処理手段43に渡す。
【0128】
編集量処理手段43は、受け取った編集量増大時間帯のIDをキーにして、編集量記憶手段432に保持されたデータ(ホワイトボードID、特定期間)を取り出す。そして、編集量処理手段43は、取り出したデータを編集量増大時間帯前差分抽出手段4433に返す。
【0129】
編集量増大時間帯前差分抽出手段4433は、編集量増大時間帯の最新時間(例えば、
図11の時刻t1やt2)までに追加・変更されたオブジェクトの最新バージョンのオブジェクトデータをオブジェクトデータ格納部23から取り出す。なお、編集量増大時間帯前差分抽出部4433は、追加日時と更新日時とをキーにして、オブジェクトデータ格納部23から対象となるデータを取り出す。
【0130】
差分処理手段44は、取り出したオブジェクトデータをデータ送受信手段30に渡す。なお、データ格納手段20からデータ送受信手段30へのデータ送信は、差分処理手段44によらず、データ格納手段20によって直接行われてもよい。
【0131】
データ送受信手段30は、受け取ったオブジェクトデータを表示装置3に返す。表示装置3は、受け取ったオブジェクトデータを表示する。このとき、表示装置3には、編集量増大時間帯の最新時間の部分までのオブジェクトデータが表示されることになる。
【0132】
以上が、編集量増大時間帯前差分表示についての説明である。
【0133】
〔編集量増大時間帯差分表示〕
第2の差分表示は、選択した編集量増大時間帯内に更新されたオブジェクトの強調表示する編集量増大時間帯差分表示である。編集量増大時間帯差分表示では、選択された編集量増大時間帯のIDを表示装置3から管理装置2へと渡す。
【0134】
管理装置2は、データ送受信手段30によってデータ(編集量増大時間帯のID)を受け取り、差分処理手段44に要求を出す。なお、差分処理手段44に要求が出される際には、要求とともにデータ(編集量増大時間帯のID)が渡されることになる。
【0135】
差分処理手段44は、要求を受け付けると、差分抽出手段441の編集量増大時間帯差分抽出手段4431に受信したデータを渡す。そして、編集量増大時間帯差分抽出手段4431は、受信したデータ(編集量増大時間帯のID)を編集量処理手段43にデータを渡す。
【0136】
編集量処理手段43は、受け取った編集量増大時間帯のIDをキーにして、編集量記憶手段432に保持されたデータ(ホワイトボードID、特定期間)を取り出す。そして、編集量処理手段43は、取り出したデータを編集量増大時間帯差分抽出手段4431に返す。
【0137】
編集量増大時間帯差分抽出手段4431は、編集量増大時間帯の最新時間までに追加・変更されたオブジェクトの最新バージョンのオブジェクトデータをオブジェクトデータ格納部23から取り出す。
【0138】
さらに、編集量増大時間帯差分抽出手段4431は、取り出したデータの中から、編集量増大時間帯において追加・変更されたオブジェクトデータに対して強調表示をするようにマーカーを付ける。マーカーは、強調表示するオブジェクトを他のオブジェクトから区別するための識別子やフラグ情報として設定すればよい。
【0139】
次に、差分処理手段44は、マーカーを付けたデータをデータ送受信手段30に渡す。
【0140】
データ送受信手段30は、受け取ったデータを表示装置3に返却する。表示装置3は、受け取ったオブジェクトのデータのうち、マーカーが付けられているものを強調表示する。このとき、表示装置3には、編集量増大時間帯において編集されたオブジェクトデータが表示されることになる。
【0141】
図13には、差分表示するオブジェクトの周囲に影を付けることによって強調表示する例を示している。
図13には、図形オブジェクト63および図形オブジェクト64、テキストオブジェクト65を強調表示し、図形オブジェクト61とテキストオブジェクト62を強調表示しない例を示している。なお、テキストオブジェクトの周囲を破線で示しているが、実際のホワイトボードにおいてはテキスト(文字情報)のみが表示されることになる。
【0142】
例えば、差分表示するオブジェクトの強調表示としては、対象のオブジェクトの周縁や周囲を、通常よりも太い線や影などで強調表示すればよい。また、カラー表示が可能な場合、表示装置3は、強調表示するオブジェクトを、周囲よりも目立つ色で強調するようにしてもよい。
【0143】
以上が、編集量増大時間差分表示についての説明である。
【0144】
〔編集量増大時間帯間差分表示〕
第3の差分表示は、選択した二つの編集量増大時間帯間の差分を表示する編集量増大時間帯間差分表示である。編集量増大時間帯間差分表示では、選択された二つの編集量増大時間帯のIDを表示装置3から管理装置2へと渡す。
【0145】
管理装置2は、データ送受信手段30によってデータ(二つの編集量増大時間帯のID)を受け取り、差分処理手段44に要求を出す。なお、差分処理手段44に要求が出される際には、要求とともにデータ(二つの編集量増大時間帯のID)が渡されることになる。
【0146】
差分処理手段44は、要求を受け付けると、編集量増大時間帯間差分抽出手段4432にデータ(二つの編集量増大時間帯のID)を渡す。さらに、差分処理手段44は、データ(二つの編集量増大時間帯のID)を編集量処理手段43に渡す。
【0147】
編集量処理手段43は、二つの編集量増大時間帯のIDをキーにして、編集量記憶手段432に保持されたデータ(ホワイトボードID、特定期間)を取り出す。そして、編集量処理手段43は、取り出したデータを編集量増大時間帯間差分抽出手段4432に返す。
【0148】
編集量増大時間帯間差分抽出手段4432は、時間的に新しい方の編集量増大時間帯までに追加・変更されたオブジェクトの最新バージョンのオブジェクトデータをオブジェクトデータ格納部23から取り出す。なお、編集量増大時間帯間差分抽出手段4432は、ホワイトボードID、追加日時および更新日時をキーにして、オブジェクトデータをオブジェクトデータ格納部23から取り出す。編集量増大時間帯間差分抽出手段4432は、取り出したオブジェクト群から、二つの編集量増大時間帯の最新時間の間において追加・変更されたオブジェクトに対して、強調表示をするようにマーカーをつける。
【0149】
次に、差分処理手段44は、マーカーを付けたデータをデータ送受信手段30に渡す。データ送受信手段30は、受け取ったデータを表示装置3に返却する。
【0150】
表示装置3は、受け取ったオブジェクトデータのうち、マーカーが付けられているものを強調表示して表示する。このとき、表示装置3には、二つの編集量増大時間帯において編集されたオブジェクトデータが差分表示されることになる。
【0151】
以上が、編集量増大時間帯間差分表示についての説明である。
【0152】
(編集量増大時間帯間にあるオブジェクトの扱い)
編集量増大時間帯間において差分の表示を行う動作に関しては、上記に示した通りである。ところで、上記の動作では、差分表示する際に、二つの編集量増大時間帯間にあるオブジェクトは時間的に新しい方の編集量増大時間帯に更新されたものとして強調表示を行っている。ただし、二つの編集量増大時間帯間に編集されたオブジェクトを、いずれの時間帯における更新とするのがよいのかを考慮した方が、差分としてより効果を得ることができる。そこで、二つの編集量増大時間帯間における更新を、二つの時間帯のうちいずれの時間帯における更新に含めるのがよいのかを判断する例について、
図14および
図15のフローチャートを用いて説明する。
【0153】
編集量増大時間帯は、時間的にある一定以上の範囲(以下、時間範囲)をもっている。そのため、まず、編集量増大時間帯間差分抽出手段4432は、対象とする編集量増大時間帯において更新が行われたオブジェクトのデータをオブジェクトデータ格納部23から取り出す処理をする。このとき、二つの編集量増大時間帯に関するデータが取り出されることになる。
【0154】
そして、
図14において、編集量増大時間帯間差分抽出手段4432は、受け取った二つの編集量増大時間帯のIDを、編集量処理手段43に渡す(ステップS301)。
【0155】
編集量処理手段43は、編集量記憶手段432に保持されたデータ(ホワイトボードID、特定期間)を取り出す。そして、編集量処理手段43は、取り出したデータを編集量増大時間帯間差分抽出手段4432に返す(ステップS302)。
【0156】
ここで、取り出したデータから、ホワイトボードIDとそれぞれの編集量増大時間帯の範囲(時間範囲)が判明することになる。そのため、編集量増大時間帯間差分抽出手段4432は、ホワイトボードID、追加時間、更新日時をキーにして、対象となる編集量増大時間帯にある最新バージョンのオブジェクト群をオブジェクトデータ格納部23から抽出する(ステップS303)。そして、編集量増大時間帯間差分抽出手段4432は、抽出したオブジェクト群を矩形算出手段442に渡す。
【0157】
矩形算出手段442は、編集量増大時間帯に編集されたオブジェクトのデータからオブジェクトの位置とサイズを確認し、オブジェクト群が占めているホワイトボード上における最小の矩形領域(編集量増大時間帯の矩形)を導出する(ステップS304)。なお、最小の矩形領域は、ホワイトボード上の横軸・縦軸ごとに、オブジェクト群に含まれるオブジェクトの座標が最大・最小となる点によって定義される。
【0158】
次に、編集量増大時間帯間差分抽出手段4432は、二つの編集量増大時間帯間において追加・変更されたオブジェクトを時系列順に取り出す。そのために、編集量増大時間帯間差分抽出手段4432は、ホワイトボードID、追加時間、更新時間をキーにして、オブジェクトを時系列順にオブジェクトデータ格納部23から抽出する(ステップS305)。
図14のステップS305の後は、
図15のステップS311に続く。
【0159】
図15において、編集量増大時間帯間差分抽出手段4432は、時系列順に取り出したオブジェクトと二つの編集量増大時間帯の矩形とが、ホワイトボード上において重なるか否かを判定する(ステップS311)。
【0160】
まずは、時系列順に取り出したオブジェクトと二つの編集量増大時間帯の矩形との重なりがない場合(ステップS311でNo)について説明する。この場合(ステップS311でNo)、編集量増大時間帯間差分抽出手段4432は、取り出したオブジェクトおよび編集量増大時間帯の矩形の中心位置の最短距離を、二つの編集量増大時間帯に関して測定する(ステップS312)。
【0161】
取り出したオブジェクトおよび編集量増大時間帯の矩形の中心位置の最短距離(以下、オブジェクト−矩形間距離と記載)は、それぞれに定義された中心位置を結んだ線分間の距離とすればよい。例えば、中心位置を図形の重心として定義した場合は、それぞれの図形の重心間の距離を最短距離とすればよい。なお、最短距離の測定方法は、ここで挙げた方法に限定されるものではない。
【0162】
編集量増大時間帯間差分抽出手段4432は、オブジェクト−矩形間距離の最短距離が、二つの編集量増大時間帯において異なるか否かを判定する(ステップS313)。
【0163】
オブジェクト−矩形間距離が二つの編集量増大時間帯で異なる場合(ステップS313でYes)、編集量増大時間帯間差分抽出手段4432は、距離が小さい方の矩形の編集量増大時間帯にオブジェクトが含まれているものと判断する。すなわち、編集量増大時間帯間差分抽出手段4432は、オブジェクト−矩形間距離が小さい方の時間帯において対象となるオブジェクトが更新されたものと判断する(ステップS314)。
【0164】
また、オブジェクト−矩形間距離が二つの編集量増大時間帯で等しい場合(ステップS313でNo)、編集量増大時間帯間差分抽出手段4432は、より過去の時間帯においてオブジェクトが更新されたものと判断する(ステップS315)。
【0165】
一方、取り出したオブジェクトと二つの時間帯で抽出された矩形との重なりがある場合(ステップS311でYes)、編集量増大時間帯間差分抽出手段4432は、取り出したオブジェクトが両方の時間帯の矩形と重なるか否かを判定する(ステップS316)。
【0166】
取り出したオブジェクトが両方の時間帯で出した矩形と重なる場合(ステップS316でYes)、編集量増大時間帯間差分抽出手段4432は、取り出したオブジェクトと二つの時間帯の矩形との重なりが異なるか否かを判定する(ステップS317)。
【0167】
取り出したオブジェクトと二つの編集量増大時間帯の矩形との重なりが異なる場合(ステップS317でYes)、編集量増大時間帯間差分抽出手段4432は、重なりが大きい方の時間帯にオブジェクトが含まれると判断する。すなわち、編集量増大時間帯間差分抽出手段4432は、重なりの大きい方の時間帯においてオブジェクトが更新されたものと判断する(ステップS318)。
【0168】
二つの編集量増大時間帯の矩形とオブジェクトとの重なりが同じ場合(ステップS317でNo)、編集量増大時間帯間差分抽出手段4432は、より過去の時間帯においてオブジェクトが更新されたものと判断する(ステップS315)。
【0169】
ところで、取り出したオブジェクトがどちらか一方の編集量増大時間帯の矩形のみと重なりがある場合(ステップS316でNo)、編集量増大時間帯間差分抽出手段4432は、重なりがある方の時間帯にオブジェクトが含まれると判断する。すなわち、編集量増大時間帯間差分抽出手段4432は、重なりがある方の時間帯においてオブジェクトが更新されたものと判断する(ステップS319)。
【0170】
そして、差分処理手段44は、上述の判断結果を踏まえ、編集量増大時間帯間に編集されたオブジェクト群を表示装置3に対して送信する。表示装置3が受信したオブジェクト群を表示することによって、二つの編集量増大時間帯間に編集されたオブジェクトがホワイトボードに表示されることになる。
【0171】
以上の
図14および
図15に示したような手法によれば、二つの編集量増大時間帯間にあるオブジェクトの追加・変更を、どちらの編集量増大時間帯に含めた方がよいかを適切に判断でき、編集量増大時間帯間の差分を表示しやすくなる。
【0172】
また、
図16には、時間帯1と時間帯2との間に更新されたオブジェクトがある場合において、時間帯1と時間帯2との間に更新されたオブジェクトがいずれの編集量増大時間帯に含まれると判断されるかを示す一例を示す。
図16の例では、時間帯1と時間帯2との間に更新されたオブジェクトのうち、時刻t3よりも前の時刻で更新されたものを時間帯1に含め、時刻t3よりも後の時刻で更新されたものを時間帯2に含めるように判断している。なお、時刻t3は、任意に設定できるものである。
【0173】
ここで、
図17および
図18を用いて、二つの編集量増大時間帯間における更新を、二つの時間帯のうちいずれの時間帯における更新に含めるのがよいのかを判断する方法について、具体的な例を挙げて説明する。
【0174】
図17には、1〜9のオブジェクトIDが付与された複数のオブジェクトに関して、ホワイトボード上の位置、サイズおよび更新日時が記録されているテーブル100の一例を示す。
図17の例では、更新日時12/01が編集量増大時間帯1、更新日時12/09が編集流増大時間帯2と判断されているものとする。
図18には、
図17に記録されたオブジェクトの矩形がホワイトボード上に表示されている例を示す。なお、
図18のオブジェクト中に付与された数字は、
図17のオブジェクトIDに対応する。以下の説明では、オブジェクトIDが1のオブジェクトはオブジェクト1、オブジェクトIDが2のオブジェクトはオブジェクト2、・・・、オブジェクトIDがnのオブジェクトはオブジェクトnというように表記する(nは自然数)。
【0175】
図18において、時間帯1のオブジェクトはオブジェクト1〜3となり、時間帯1の矩形は図中左上の破線で示す部分(矩形101)となる。また、
図18において、時間帯2のオブジェクトはオブジェクト7〜9となり、時間帯2の矩形は図中右下の破線で示す部分(矩形102)となる。
【0176】
なお、
図18においては、各時間帯の矩形(破線)と、各時間帯の矩形(破線)に含まれるオブジェクトの矩形(実線)との間に隙間があるように図示している。実際には、各時間帯の矩形(破線)に含まれる複数のオブジェクトの矩形(実線)の辺のうち、最も外側に位置する辺をなぞるようにオブジェクトの矩形(破線)を定義してもよい。また、各時間帯の矩形(破線)に含まれる複数のオブジェクトの矩形(実線)の辺のうち、最も外側に位置する辺から所定の距離を空けて、各時間帯の矩形(破線)に含まれるオブジェクトの矩形(実線)を囲うように各時間帯の矩形(破線)を描いてもよい。
【0177】
二つの時間帯間の更新であるオブジェクト4〜6に関しては、各オブジェクトがいずれの時間帯に含まれるかを時系列順に確認する。
【0178】
オブジェクト4は、時間帯1の矩形のみと重なっているため、時間帯1における更新と判断される。また、オブジェクト5は、どちらの矩形にも含まれていないが、時間帯2よりも時間帯1の矩形との距離が近いため、時間帯1における更新と判断される。また、オブジェクト6は、時間帯2の矩形のみと重なっているため、時間帯2における更新と判断される。
【0179】
以上が、二つの編集量増大時間帯間における更新を、二つの時間帯のうちいずれの時間帯における更新に含めるのがよいのかを判断する方法についての説明である。
【0180】
以上のように、本実施形態に係る情報表示処理システムによれば、オンラインホワイトボードにおいて、オブジェクトの編集量が増大した時間帯である編集量増大時間帯を検出することが可能となる。その結果、検出された編集量増大時間帯に基づいて、所望の状態のホワイトボードを表示することを可能となる。特に、編集量増大時間帯間において編集されたオブジェクトの差分表示を効率化できる。
【0181】
一般的なオンラインホワイトボードでは、議論・作業が行われた時間帯までの更新状態でホワイトボードを閲覧する場合や、議論・作業間での差分を表示する場合において、どの時間帯において議論・作業が行われたのかを特定することが困難であった。そのため、ユーザは、差分を表示するとよい時間を特定することが難しかった。また、議論・作業が行われた時間帯を特定できたとしても、議論・作業が行われた時間帯の間にあるオブジェクトの更新を、いずれの時間帯の更新に含めて差分表示すると効果的なのかを判断することは困難であった。それに対し、本実施形態に係る情報表示処理システムによれば、上述の一般的なオンラインホワイトボードにおける課題が解決されることになる。
【0182】
ここで、本実施形態に係る情報表示処理システムの処理について簡単にまとめる。
【0183】
オンラインホワイトボードでは、議論や作業が行われた場合、ホワイトボードのオブジェクトの追加や更新が単位時間あたりに多く行われる傾向にある。そのため、本実施形態に係る情報表示処理システムでは、まず、議論・作業が行われた時間帯を検出するために、編集量が大きくなっている時間帯である編集量増大時間帯を検出する。
【0184】
編集量増大時間帯とは、単位時間当たりの編集量が大きくなっている時間帯である。編集量増大時間帯を抽出するためには、編集量が大きい時間帯を見つけ出す必要がある。そこで、管理装置の編集量処理手段は、特定のテーマのホワイトボード一覧をホワイトボードデータ格納部から取り出す。
【0185】
次に、編集量処理手段は、編集量増大時間帯を特定するための閾値を算出する。
【0186】
閾値を算出するために、編集量処理手段は、オブジェクトデータ格納部に格納されたデータを用いて、特定のテーマのホワイトボード一覧における単位時間当たりの平均編集量を算出する。なお、オブジェクトデータ格納部には、オブジェクトの追加・変更に関する情報が全て格納されている。編集量処理手段は、算出した平均編集量をもとに閾値を決定する。
【0187】
編集量処理手段は、閾値を決定すると、ホワイトボードごとに時間経過につれて単位時間当たりの編集量がどのように変化しているかを示す編集量のグラフを導出する。そして、編集量処理手段は、導出した編集量のグラフ中において編集量が閾値を超えている時間帯を編集量増大時間帯として特定する。
【0188】
特定された編集量増大時間帯は、時間軸上である程度の時間範囲を持つことになり、一つのホワイトボードの時間軸上で複数回出現する可能性がある。
【0189】
編集量増大時間帯が特定されると、管理装置の差分処理手段は、どのオブジェクトが編集量増大時間帯間において追加・変更された差分であるのかを検出することができる。
【0190】
差分表示要求を受けたときに二つの編集量増大時間帯が指定されると、差分処理手段は、ホワイトボードごとの追加・変更日時をキーとして、指定された編集量増大時間帯間に追加・編集されたオブジェクト群をオブジェクトデータ格納部から取り出す。ここで取り出されたオブジェクト群は、編集量増大時間帯間における差分ということになる。
【0191】
差分抽出手段は、差分表示するオブジェクトを強調表示することができるように処理し、処理したデータを表示装置に返す。表示装置は、返されたデータのうち差分表示すべきオブジェクトを強調表示する。
【0192】
また、差分処理手段は、一つの編集量増大時間帯中において更新されたオブジェクトの強調表示を行うこともできる。差分処理手段は、一つの編集量増大時間帯中の更新オブジェクトの表示要求を受け付けると、編集量増大時間帯範囲の時間で追加・変更されたオブジェクトをオブジェクトデータ格納部から取り出す。そして、差分処理手段は、オブジェクト群を強調表示することができるように処理し、処理したデータを表示装置に返す。表示装置は、返されたデータのうち差分表示すべきオブジェクトを強調表示する。
【0193】
以上のように、本実施形態によれば、オンラインホワイトボードにおいて、単位時間当たりの編集量の数値を利用することによって、議論や作業が行われた時間を検出することができる。その結果、検出された議論・作業間における差分を表示することによって、議論・作業間の効果的な差分の表示を行うことができる。その結果、検出された議論・作業間における差分を表示することによって、議論・作業を行ったところまでのホワイトボードを閲覧することもできる。
【0194】
(第2の実施形態)
第2の実施形態として、テキストオブジェクトの文字数を利用して、図形オブジェクトおよびテキストオブジェクトの編集量を統一的に扱えるように定義する例について、
図19を参照しながら説明する。なお、図形オブジェクトおよびテキストオブジェクトの編集量を統一的に扱う処理は、編集量表示要求が発せられた際に行われることになる。
【0195】
テキストオブジェクトおよび図形オブジェクトの編集量を統一的に扱う場合、図形オブジェクトの編集量を以下の式3のように定義すればよい。なお、式3中において、追加回数・変更回数は、それぞれ図形オブジェクトの追加回数・変更回数を示す。ただし、式3の図形オブジェクトの編集量の定義は一例であって、他の定義を用いてもよい。例えば、式3において追加回数と変更回数とに異なる重み付けを行い、追加回数および変更回数のいずれかを強調するようにしてもよい。
(図形オブジェクトの編集量)=(追加回数)+(変更回数)・・・(3)
一方、テキストオブジェクトに関しては、テキストの分量により編集量を定義して、図形の編集量と統一して扱えるようにする必要がある。
【0196】
図19において、まず、編集量計算手段431は、同一のテーマのタグがつけられたホワイトボードIDの一覧を、タグをキーにしてホワイトボードデータ格納部22から取得する(ステップS401)。
【0197】
編集量計算手段431は、ホワイトボードIDの一覧を取り出したら、ホワイトボードIDごとに、以下の処理を行う。まず、編集量計算手段431は、特定期間に含まれる追加日時および更新日時を参照し、ホワイトボードIDごとに存在するオブジェクト群をオブジェクトデータ格納部23から取り出す(ステップS402)。
【0198】
編集量計算手段431は、ステップS402で取り出したオブジェクト群から図形オブジェクトのみを取り出す(ステップS403)。
【0199】
編集量計算手段431は、取り出した図形オブジェクトをオブジェクトIDごとに参照し、最新バージョンのオブジェクトデータを取り出す(ステップS404)。なお、オブジェクトデータのバージョンについては、バージョン番号が最も大きいものを最新バージョンとみなす。
【0200】
編集量計算手段431は、最新バージョンの図形オブジェクトのサイズ(面積)の総和を算出し、算出した図形オブジェクトのサイズの総和を図形オブジェクトの数で割り、図形オブジェクトの平均サイズを算出する(ステップS405)。
【0201】
編集量計算手段431は、図形オブジェクトの平均サイズを算出すると、平均サイズのテキストオブジェクトを想定し、平均サイズのテキストオブジェクトに格納可能な文字数を求める(ステップS406)。なお、平均サイズのテキストオブジェクトに格納可能な文字数は、テキストの大きさやフォント、文字間距離、字体などのパラメータを設定しておき、図形オブジェクトの平均サイズの中に納まるテキストの文字数を計算することによって求められる。ただし、平均サイズのテキストオブジェクトの算出方法はここで挙げた限りではなく、任意の方法を用いることができる。
【0202】
ここで、平均サイズのテキストオブジェクトの数値をCとした場合、例えば、テキストオブジェクトの編集量は以下の式4のように定義できる。なお、平均サイズのテキストオブジェクトの数値とは、平均サイズの図形オブジェクトに収まる文字数を意味する。また、式4において、追加回数は、テキストオブジェクトの追加回数を示す。また、式4において、変更テキスト量とは、取り出したテキストオブジェクトと、前バージョンのテキストオブジェクトとの文字数の差である。
(テキストオブジェクトの編集量)=(追加回数)+(変更テキスト量/C)・・・(4)
式4のようにテキストオブジェクトの編集量を定義すると、図形オブジェクトおよびテキストオブジェクトの面積当たりの編集量を一致させることができ、編集量を統一的に扱えることが可能となる。
【0203】
また、図形オブジェクトおよびテキストオブジェクトのそれぞれの単位時間当たりの編集量は、例えば、以下の式5および式6のように定義すればよい。なお、式5中の追加回数・変更回数は、図形オブジェクトの追加回数・変更回数を示す。また、式6中の追加回数は、テキストオブジェクトの追加回数を示す。
(図形オブジェクトの単位時間当たり編集量)={(追加回数+変更回数)}/時間・・・(5)
(テキストオブジェクトの単位時間当たり編集量)={(追加回数+変更テキスト量/C)}/時間・・・(6)
また、編集量計算手段431は、ステップS402で取り出したオブジェクト群から図形オブジェクトのみを取り出し、取り出した図形オブジェクトのオブジェクト数を、図形オブジェクトの編集量の総和とする(ステップS407)。
【0204】
そして、編集量計算手段431は、ステップS402で取り出したオブジェクト群から、テキストオブジェクトのみを取り出す。編集量計算手段431は、取り出したテキストオブジェクトと、前バージョンのテキストオブジェクトとの文字数の差(変更テキスト量)を取り、テキストオブジェクトの編集量の総和を取る(ステップS408)。ところで、取り出したオブジェクト群の中に前バージョンのデータがない場合は、オブジェクトIDとバージョンをキーにして、オブジェクトデータ格納部23から前バージョンのデータを取得する。なお、テキストオブジェクトの追加の場合は、オブジェクトの内容がそのまま変更テキスト量となる。
【0205】
編集量計算手段431は、ステップS407で算出した図形オブジェクトの編集量の総和と、ステップS408で算出したテキストオブジェクトの編集量の総和との和を取り、オブジェクトの編集量の総和を算出する。編集量計算手段431は、算出したオブジェクトの編集量の総和を特定期間分の時間で割ることによって、単位時間当たりの平均編集量を算出し、算出した平均編集量に基づいて閾値Smaxを算出する(ステップS409)。
【0206】
そして、編集量計算手段431は、ステップS402で取り出したオブジェクト群から、ホワイトボードごとに単位時間当たりの編集量を定義の通りに計算し、編集量増大時間帯を特定する(ステップS410)。
【0207】
以上が、第2の実施形態についての説明である。第2の実施形態によれば、テキストオブジェクトおよび図形オブジェクトの編集量を統一的に扱うことが可能となる。
【0208】
(第3の実施形態)
第1の実施形態においては、差分を表示する際に、二つの編集量増大時間帯間に編集されたオブジェクト一つずつを、いずれの編集量増大時間帯(議論ポイント)の更新として扱うかを判断する方法を示した。ところで、ホワイトボードでは、一つのオブジェクトだけではなく、複数のオブジェクトがまとめて追加・変更されることも多い。そのため、オブジェクト一つだけではなく、ある程度のオブジェクトのまとまり(以下、オブジェクト集合)ごとに、オブジェクトの追加・変更がどちらの編集量増大時間帯における更新に含まれるかを判断した方がよい場合がある。
【0209】
第3の実施形態においては、オブジェクト集合ごとに、オブジェクトの追加・変更がどちらの編集量増大時間帯における更新に含まれるかを判断する方法について、
図20を参照しながら説明する。オブジェクトの追加・変更がどちらの編集量増大時間帯における更新に含まれるかをオブジェクト集合ごとに判断する場合も、オブジェクト一つずつ判断する場合と同様に、編集量のグラフを用いて判断する。
【0210】
図20において、編集量増大時間帯間差分抽出手段4432は、編集量処理手段43に編集量増大時間帯のIDを渡す(ステップS601)。
【0211】
編集量処理手段43は、編集量増大時間帯のIDをキーとして、編集量記憶手段432からデータ(ホワイトボードID、特定期間、編集量のグラフ)を取り出して、編集量増大時間帯間差分抽出手段4432に渡す(ステップS602)。
【0212】
編集量増大時間帯間差分抽出手段4432は、編集量増大時間帯間のオブジェクト追加・変更に関する編集量のグラフを折れ線グラフとして処理し、グラフが山となっている部分を一つのオブジェクト集合と判断する(ステップS603)。
【0213】
なお、編集量のグラフを折れ線グラフとして処理する場合、編集量のグラフ(ヒストグラム)が形成する長方形の上辺の中点を線分で結んだ折れ線を度数折れ線とみなす。グラフが山となっている部分は、度数折れ線の傾きが0〜+〜0〜−〜0となっている間で定義される。すなわち、グラフが山となっている部分は、度数折れ線が上に凸の山を形成する部分と換言できる。ただし、度数折れ線としての検証は、編集量増大時間帯を除いた範囲を考慮し、範囲の両端の度数は0であるとみなす。
【0214】
図21に、
図11と同様の編集量のヒストグラムであり、編集量のグラフ(ヒストグラム)に度数折れ線グラフを重ねた例となる。
図21においては、時間帯1と時間帯2との間の編集量のヒストグラムに関して、オブジェクト集合1〜3という3つの山(度数折れ線)が存在する。
【0215】
次に、編集量増大時間帯間差分抽出手段4432は、各オブジェクト集合に関して、オブジェクト群に付与されているタグ情報を取り出すために、度数折れ線が山を形成する時間範囲で、オブジェクト集合ごとにオブジェクト群を取り出す(ステップS604)。このとき、編集量増大時間帯間差分抽出手段4432は、ホワイトボードID、追加日時および更新日時をキーとして、オブジェクトデータ格納部23からオブジェクト群を取り出す。
【0216】
そして、編集量増大時間帯間差分抽出手段4432は、タグごとに、そのタグが付与されたオブジェクトの数をカウントする(ステップS605)。
【0217】
取り出したオブジェクト群から、オブジェクト集合ごとに、オブジェクトの位置とサイズがわかる。そこで、編集量増大時間帯間差分抽出手段4432は、オブジェクトの位置とサイズから、ホワイトボード上において対象のオブジェクト群が占めている最小の矩形領域(オブジェクト集合の矩形)を導出する(ステップS606)。なお、オブジェクト集合の矩形は、
図8と同様に定義される。
【0218】
次に、編集量増大時間帯に編集されたオブジェクトによって形成される矩形(以下、編集量増大時間帯の矩形)を導出する(ステップS607)。なお、編集量増大時間帯の矩形の同出方法については、
図14および
図15を用いた説明で示した通りであるため、詳細な説明は省略する。
【0219】
ここで、オブジェクト集合の矩形と編集量最大時間帯の矩形とを用いて、オブジェクト集合がいずれの編集量最大時間帯に含まれるかを判断する(ステップS608)。なお、矩形に重なりがない場合には、オブジェクト集合の矩形と編集量最大時間帯の矩形との中心位置の距離で判断すればよい。
【0220】
そして、差分処理手段44は、上述の判断結果を踏まえ、編集量増大時間帯間に編集されたオブジェクト群を表示装置3に対して送信する。表示装置3が、受信したオブジェクト群を表示することによって、二つの編集量増大時間帯間に編集されたオブジェクトがホワイトボードに表示されることになる。
【0221】
図20に示す方法によって、
図21のように、オブジェクト集合ごとに、オブジェクトの更新をどちらの時間帯の更新に含めた方がよいかを判断できる。
【0222】
以上が、二つの編集量増大時間帯間におけるオブジェクトの追加・変更がいずれの時間帯に含まれるかを、オブジェクト集合ごとに判断する方法についての説明である。
【0223】
ここで、
図22および
図23に示す具体的な例によって、二つの編集量増大時間帯間におけるオブジェクトの追加・変更がいずれの時間帯に含まれるかを、オブジェクト集合ごとに判断する方法について説明する。
【0224】
図22は、1〜10のオブジェクトIDが付与されたオブジェクトに関して、ホワイトボード上の位置およびサイズ、更新日時が記録されているテーブル300を示す。
図22の例では、更新日時12/01が編集量増大時間帯1、更新日時12/09が編集量増大時間帯2と判断されているものとする。
図23には、
図22に記録されたオブジェクトがホワイトボード上に表示されている例を示す。なお、
図23のオブジェクトに付与された数字は、
図22のオブジェクトIDに対応する。
【0225】
図23において、時間帯1のオブジェクトはオブジェクト1〜3となり、時間帯1の矩形は図面左上の破線で示す部分(矩形201)となる。また、
図23において、時間帯2のオブジェクトはオブジェクト8〜10となり、時間帯2の矩形は図面右下の破線で示す部分(矩形202)となる。
【0226】
また、
図23において、二つの時間帯間にあるオブジェクトは、オブジェクト4とオブジェクト5とを含むグループ1と、オブジェクト6とオブジェクト7とを含むグループ2とにまとめられている。オブジェクト4とオブジェクト5とを囲む点線がグループ1の矩形(矩形211)となる。また、オブジェクト6とオブジェクト7とを囲む破線部分がグループ2の矩形(矩形212)となる。
【0227】
図23において、グループ1の矩形211は、時間帯1の矩形201のみに重なっているため、時間帯1において更新されたものと判断される。また、
図23において、グループ2の矩形212は、時間帯2の矩形202のみに重なっているため、時間帯2において更新されたものと判断される。
【0228】
以上が、第3の実施形態についての説明である。第3の実施形態によれば、編集量増大時間帯間に編集されたオブジェクトをオブジェクト集合としてまとめて処理することが可能となる。その結果、単位時間当たりの編集量が閾値を超えない時間帯に編集されたオブジェクトに関して処理を簡略化できるため、より効率的に差分表示等の処理を行うことができる。
【0229】
(第4の実施形態)
第1の実施形態においては、ホワイトボード内全体における編集量を考慮した。しかしながら、ユーザごとの編集量を考慮したほうが効果的な場合がある。例えば、ホワイトボード内での議論がチーム全体での資料レビューであれば、チーム全体(複数ユーザ)での資料レビューの後に、ユーザ1人がレビュー結果に基づいて資料をまとめることが多い。このとき、チーム全体での資料レビューにおいては編集量が多くなるために編集量増大時間帯が抽出されるものの、その後の個人の資料修正に関しては編集量増大時間帯が抽出されないこととなる。なぜならば、ユーザ1人の場合は、単位時間当たりの編集量も小さくなる傾向にあるからである。このようなケースを見逃さずに抽出するためには、ユーザごとの編集量にも着目する必要が出てくる。
【0230】
そのため、第4の実施形態においては、第1の実施形態で示した閾値の算出において、ユーザごとの編集量を利用する。その結果、ユーザ単位での時間帯を抽出することが可能となる。
【0231】
第4の実施形態に係る情報表示処理システムの構成や動作は、第1の実施形態と同様である。異なる点は、各ユーザによる編集を個別に管理・処理することである。
【0232】
図24には、ユーザごとに編集量を管理する例として、ユーザIDとオブジェクトIDとを対応させるテーブル400を用いる例を示す。
図24の例では、ユーザIDが1および2のユーザがホワイトボードを用いて議論している。そのため、近い時刻に更新がなされている。また、ユーザIDが3のユーザは、議論がなされた資料をまとめる作業をしており、ユーザIDが1および2のユーザが更新した時間から遅れて更新している。実際には、処理手段40が、
図24のテーブル400を参照して編集量を計算することになる。処理手段40は、
図24のテーブル400のユーザIDを参照して、編集量に関する処理をユーザごとに実行する。第4の実施形態においては、ユーザIDを用いる以外は、これまでの実施形態で示してきた方法と同様の方法によって処理を実行する。なお、
図24のテーブル400は一例であって、本実施形態に係る処理を限定するものではない。
【0233】
図25には、ユーザ1〜3の3人でホワイトボードを共有して作業する場合において、ユーザごとの編集量と、チーム全体の編集量を表示手段60に表示する例を示す。なお、23の例では、ユーザ3がホワイトボード上の情報をまとめる作業を行うものとする。
図25においては、各ユーザおよびチームに関して、横軸が時間、縦軸が単位時間当たりの編集量を示す。ただし、縦軸の目盛は各グラフに関して異なり、閾値の値も異なるものとする。横軸に関しては、時間帯をA〜Eと5つに区切り、各ユーザに関しては各時間帯をさらに短い時間で3分割するものとする。
【0234】
図25によると、ユーザ1およびユーザ2に関しては、時間帯B〜Dにかけて編集量が大きい。そして、ユーザ3に関しては、時間帯Eに編集量が大きい。そして、全てのユーザの編集量の総和をとると、図面右下のチームのグラフが得られる。チームのグラフのみを参照すると、時間帯Bと時間帯Cとを合わせた時間帯が編集量増大時間帯と特定され、ユーザ3によるまとめの作業は編集量増大時間帯に含まれなくなってしまう。それに対し、ユーザ3の個別のグラフを見ると、時間帯Eにおいて編集量が大きいことが検出されるため、ユーザ3による編集量が大きい時間帯が特定されることになる。なお、
図25は、第4の実施形態を説明するための概念図であって、第4の実施形態に係る処理を限定するものではない。
【0235】
以上のように、第4の実施形態によれば、個人による作業を集計したチームによる作業と、ユーザ単位での個人による作業とを個別に抽出することが可能となる。そのため、チームによる作業と、個人による作業との双方を合わせた形で、過去のホワイトボードの表示や差分表示を行うことが可能となる。
【0236】
(第5の実施形態)
第1の実施形態では、編集量増大時間帯の矩形やオブジェクトを参照し、対象となるオブジェクトが二つの時間帯のうちのいずれの更新に含まれるのかを判断する際に、矩形同士に重なりがなければ、矩形−オブジェクト間の距離で判断した。しかしながら、距離ではなく、オブジェクトの内容で矩形間の関係を判断することも可能である。
【0237】
第5の実施形態としては、対象となるオブジェクトが二つの時間帯のうちいずれの更新に含まれるのかを判断する際に、オブジェクトの内容で判断する方法を示す。
【0238】
ホワイトボードやオブジェクトには、ユーザが目的のホワイトボードを検索しやすくするために、それぞれのホワイトボードやオブジェクトの意味を表すタグをつけることができる。通常、ホワイトボード上のオブジェクトは、複数のまとまりで一つの内容を表す場合が多い。その場合、複数のオブジェクトに同一のタグを付けることになる。オブジェクトデータ格納部23のタグの例としては、「製品設計図」や「機能アイデア」などといったものが挙げられ、オブジェクト集合の内容を表すものをタグとして付けることになる。
【0239】
オブジェクトのタグが正しく設定されている状況である場合、編集量増大時間帯における矩形間の距離ではなく、オブジェクトの内容を参照して判断した方が、より内容を反映した差分を表示することが可能となる。以下に、二つの編集増大時間帯間のオブジェクトをいずれの時間帯に含めるのかを、オブジェクトの内容を参照して判断する例について説明する。
【0240】
〔オブジェクト単位での判断〕
第1に、オブジェクト単位でどちらの時間帯で更新されるかを判断する場合において、二つの編集量増大時間帯間のオブジェクトがどちらの時間帯の矩形とも重ならないものが出現した場合について、
図26および
図27を参照しながら説明する。
【0241】
図26において、ステップS701〜S704およびステップS706の処理は、それぞれ
図14のステップS301〜S304およびステップS305の処理と同様であるため、説明は省略する。すなわち、
図26の処理は、
図14のステップS304とS305との間に、以下のステップS705の処理を挿入した処理となる。
【0242】
図26において、差分処理手段44は、ステップS704で編集量増大時間帯ごとにオブジェクトを取り出すと、オブジェクトタグ情報計算手段443に取り出したオブジェクトを渡す。そして、オブジェクトタグ情報計算手段443は、オブジェクトにつけられているタグ情報を取り出し、同一種別のタグ数をカウントし、それぞれのタグに対して以下の式7によって、数値TPを求める(ステップS705)。ただし、特定のタグが存在していないときは、TPの値を0と定義する。ここでは、TP(特定のタグ)というように、種別するためのタグを括弧内に記載することによってTPを表現する。なお、式7において、全オブジェクト数とは、タグを有する全てのオブジェクトの総和となる。
TP(特定のタグ)=(特定のタグのオブジェクト数)/(全オブジェクト数)・・・(7)
特定のタグをタグA〜Dとした場合のTPの例を、式8〜11として以下に示す。
TP(タグA)=5/10・・・(8)
TP(タグB)=3/10・・・(9)
TP(タグC)=1/10・・・(10)
TP(タグD)=1/10・・・(11)
次に、
図27のステップS711〜S719の処理を行う。なお、
図27のステップS711およびステップS716〜S719の処理は、それぞれ
図15のステップS311およびステップS316〜ステップ319の処理と同様であるため、説明は省略する。すなわち、
図27の処理は、
図15の処理において、ステップS312〜S315の処理を、
図27のステップS712〜S715の処理に置換した処理となる。以下においては、ステップS711以降について説明する。
【0243】
ここで、二つの編集量増大時間帯の矩形と、対象のオブジェクトとの間に重なりがない場合(ステップS711でNo)、タグの内容に基づいて、対象のオブジェクトがいずれの時間帯に含まれるのかを判断することになる。オブジェクトタグ情報計算手段443は、対象となるオブジェクトのタグの情報(TP(特定のタグ))を取り出し、双方の時間帯におけるTP(特定のタグ)の数値を検証し、対象のオブジェクトが含まれる時間帯を判断する(ステップS712)。
【0244】
すなわち、
図27において、オブジェクトタグ情報計算手段443は、検証するTP(特定のタグ)の数値の大きさに違いがあるか否かを判断する(ステップS713)。
【0245】
検証するTP(特定のタグ)の数値の大きさに違いがある場合(ステップS713でYes)、オブジェクトタグ情報計算手段443は、検証するTP(特定のタグ)の値が、どちらの時間帯で大きくなるかを確認する。このとき、オブジェクトタグ情報計算手段443は、検証するTP(特定のタグ)の値が大きい方の時間帯において、対象となるオブジェクトが更新されたものと判断する(ステップS714)。
【0246】
検証するTP(特定のタグ)の数値に違いがない場合(ステップS713でNo)、すなわち、検証するTP(特定のタグ)の数値が同じ場合、オブジェクトタグ情報計算手段443は、より過去の時間帯において更新されたものとする(ステップS715)。
【0247】
そして、差分処理手段44は、上述の判断結果を踏まえ、編集量増大時間帯間に編集されたオブジェクト群を表示装置3に対して送信する。表示装置3は、受信したオブジェクト群を表示することによって、二つの編集量増大時間帯間に編集されたオブジェクトがホワイトボードに表示されることになる。
【0248】
ここで、オブジェクト単位でどちらの時間帯で更新されるかを判断する場合において、時間帯間のオブジェクトがどちらの時間帯の矩形とも重ならないものが出現した場合について、
図28および
図29に具体的な例を示す。
【0249】
図28のテーブル510においては、更新日時12/01が編集量増大時間帯1、更新日時12/09が編集流増大時間帯2と判断されているものとする。このとき、
図29に示すように、時間帯1のオブジェクトはオブジェクト1〜3となり、矩形は左側の破線の部分(矩形301)となる。また、
図29において、時間帯2のオブジェクトはオブジェクト7〜9となり、矩形は右側の破線の部分(矩形302)となる。
【0250】
TPは、タグの内容ごとに
図28のテーブル510に示した通りとなる。すなわち、編集量増大時間帯1に含まれるオブジェクト1〜3(矩形301)に関しては、タグが設計図となるオブジェクトが多いため、TP(設計図)の値が大きいことになる。同様に、編集量増大時間帯2に含まれるオブジェクト7〜9(矩形302)に関しては、タグが機能となるオブジェクトが多いため、TP(機能)の値が大きいことになる。
【0251】
二つの編集量増大時間帯間の更新であるオブジェクト4〜6に関しては、時系列順に検証される。
【0252】
オブジェクト4は時間帯1の矩形301のみに重なっている。そのため、オブジェクトタグ情報計算手段443は、オブジェクト4は時間帯1において更新されたものと判断する。
【0253】
次に、オブジェクト5は、どちらの矩形にも含まれていないため、TPで判断されることになる。
図28のテーブル510によると、オブジェクト5に関しては、タグが設計図であることがわかる。そのため、オブジェクトタグ情報計算手段443は、TP(設計図)の値が大きい時間帯1においてオブジェクト5が更新されたものと判断する。
【0254】
同様に、オブジェクト6も、いずれの編集量増大時間帯の矩形に含まれていないため、TPで判断する。
図28のテーブル510によると、オブジェクト6は、タグが機能であることがわかる。そのため、オブジェクトタグ情報計算手段443は、オブジェクト6はTP(機能)の値が大きい時間帯2において更新されたものと判断する。
【0255】
以上が、オブジェクト単位でどちらの時間帯で更新されるかを判断する場合において、時間帯間のオブジェクトがどちらの時間帯の矩形とも重ならないものが出現した場合における処理の説明である。
【0256】
〔オブジェクト集合単位での判断〕
第2に、オブジェクトのまとまり(オブジェクト集合)単位で更新される時間帯を判断する場合において、時間帯間のオブジェクト集合の矩形がどちらの時間帯の矩形とも重ならないものが出現した場合について、
図26および
図30を参照しながら説明する。
なお、
図26の処理に関しては、オブジェクト集合単位で判断する場合も、オブジェクト単位で判断する場合と同様であるため、説明は省略する。
【0257】
ここで、二つの編集量増大時間帯の矩形と、オブジェクト集合の矩形との間に重なりがない場合(ステップS721でNo)、タグの内容に基づいて、対象のオブジェクト集合がいずれの時間帯に含まれるのかを判断することになる。すなわち、オブジェクトタグ情報計算手段443は、オブジェクト集合で同一種別のタグ数を考慮し、TP(特定のタグ)の総和を取ったものを比較して判断する(ステップS722)。以下に、TPの総和の算出方法について説明する。
【0258】
オブジェクトタグ情報計算手段443は、以下の式12を用いてTP(特定のタグ)の総和を算出する。
(TP(特定のタグ)の総和)=Σ{TP(特定のタグ)×(オブジェクト集合で出した特定のタグの数)}・・・(12)
すなわち、
図30において、オブジェクトタグ情報計算手段443は、検証するTP(特定のタグ)の総和の大きさに違いがあるか否かを判断する(ステップS723)。
【0259】
TP(特定のタグ)の総和に違いがある場合(ステップS723でYes)、オブジェクトタグ情報計算手段443は、対象となるオブジェクト集合は、TP(特定のタグ)の総和が大きい方の時間帯に含まれているものと判断する(ステップS724)。
【0260】
TP(特定のタグ)の数値に違いがない場合(ステップS723でNo)、すなわちTP(特定のタグ)の総和が同じ場合、オブジェクトタグ情報計算手段443は、オブジェクト集合はより過去の時間帯において更新されたものと判断する(ステップS725)。
【0261】
そして、差分処理手段44は、上述の判断結果を踏まえ、編集量増大時間帯間に編集されたオブジェクト群を表示装置3に対して送信する。表示装置3は、受信したオブジェクト群を表示することによって、二つの編集量増大時間帯間に編集されたオブジェクトがホワイトボードに表示されることになる。
【0262】
ここで、オブジェクト集合単位でどちらの時間帯で更新されたのかを判断する場合において、時間帯間のオブジェクトがどちらの時間帯の矩形とも重ならないものが出現した場合について、
図31および
図32に具体的な例を示す。
【0263】
図31のテーブル520においては、更新日時12/01が編集量増大時間帯1、更新日時12/09が編集流増大時間帯2と判断されているものとする。このとき、
図32に示すように、時間帯1のオブジェクトはオブジェクト1〜3となり、矩形は左側の破線の部分(矩形401)となる。また、時間帯2のオブジェクトはオブジェクト8〜10となり、矩形は右側の破線の部分(矩形402)となる。
【0264】
また、対象のオブジェクト集合は二つの時間帯間にある。オブジェクト集合1は、オブジェクト4およびオブジェクト5を含み、オブジェクト4およびオブジェクト5が囲まれた破線部分(矩形411)がオブジェクト集合1の矩形となる。オブジェクト集合2は、オブジェクト6およびオブジェクト7を含み、オブジェクト6およびオブジェクト7が囲まれた破線部分(矩形412)がオブジェクト集合2の矩形となる。
【0265】
二つの時間帯のTP(特定のタグ)は、タグの内容ごとに、それぞれ
図31のテーブル520に図示した通りとなる。すなわち、編集量増大時間帯1に含まれるオブジェクト1〜3(矩形401)に関しては、タグが設計図となるオブジェクトが多いため、TP(設計図)の値が大きいことになる。同様に、編集量増大時間帯2に含まれるオブジェクト7〜9(矩形402)に関しては、タグが機能となるオブジェクトが多いため、TP(機能)の値が大きいことになる。
【0266】
二つの編集量増大時間帯間の更新であるオブジェクト4〜6に関しては、時系列順に検証される。
【0267】
オブジェクト集合1の矩形411は、時間帯1の矩形にのみ重なっている。そのため、オブジェクトタグ情報計算手段443は、オブジェクト集合1は、時間帯1において更新されたものと判断される。
【0268】
次に、オブジェクト集合2の矩形412は、二つの時間帯のうちいずれの矩形にも含まれていないため、TPの総和によって判断されることになる。オブジェクト集合2に含まれるオブジェクトのタグに関しては、機能タグ一つ、テストタグ一つである。
【0269】
時間帯1には、オブジェクト4を含めて機能タグが二つ含まれるためにTP(機能)=2/3、テストタグは含まれないためにTP(テスト)=0となる。その結果、式12より、時間帯1のTPの総和は2/3となる。
TP(機能)×1+TP(テスト)×1=2/3・・・(12)
時間帯2には、機能タグが3つ含まれるためにTP(機能)=3/3=1、テストタグは含まれないためにTP(テスト)=0となる。その結果、式13より、時間帯2のTPの総和は1となる。
TP(機能)×1+TP(テスト)×1=1・・・(13)
よって、オブジェクトタグ情報計算手段443は、オブジェクト集合2に関しては、時間帯2においてTPの総和が大きいため、オブジェクト集合2は時間帯2において更新されたものと判断する。
【0270】
以上が、オブジェクト集合単位でどちらの時間帯で更新されるかを判断する場合において、時間帯間のオブジェクト集合の矩形がどちらの時間帯の矩形とも重ならないものが出現した場合における処理の説明である。
【0271】
以上が、第5の実施形態についての説明である。第5の実施形態によれば、対象となるオブジェクトの追加・変更が二つの時間帯のうちのいずれに含まれるのかを判断する際に、オブジェクトの内容(タグ)で判断することが可能となる。その結果、オブジェクトの内容によって差分表示することが可能となり、オブジェクトの内容ごとに編集された内容を振り返りやすくなる。
【0272】
ここで、本発明の実施形態に係る情報表示処理システムによる効果を箇条書きにする。
【0273】
第一の効果は、単位時間当たりの編集量に着目することにより、どの時間範囲で編集量が多くなったのかを抽出でき、ホワイトボード上で議論や作業を行った時間帯がいつであるのかをユーザが知ることができることにある。
【0274】
第二の効果は、編集量が多くなった時間帯を抽出することによって、抽出された時間帯におけるホワイトボードの状況や、編集量が多くなった時間帯間における差分表示を行うことができることにある
第三の効果は、編集量が多くなった時間帯を抽出することによって、どの時間帯との差分を表示すればよいかをユーザに示すことができることにある。
【0275】
第四の効果は、編集量を定義することにより、図形オブジェクトおよびテキストオブジェクトの編集量を統一的に扱うことができることにある。
【0276】
第五の効果は、編集量が多くなった時間帯間のオブジェクトの更新に対して、編集量が多くなった時間帯では、どの時間範囲でオブジェクトが追加・変更されているのかを見てオブジェクトの位置関係を考慮し、差分を表示することができることにある。その結果、どの時間範囲でオブジェクトが追加・変更されているのかを見てオブジェクトの位置関係を考慮しない場合に比べて、意味のある効果的な差分を表示することができる。
【0277】
本発明の実施形態に係る情報表示処理システムにおける各処理は、上述の処理を実行する情報表示処理プログラムを含むソフトウェアによって実現することも可能である。また、本発明の実施形態に係る情報表示処理プログラムを格納したプログラム記録媒体も本発明の範囲に含まれる。プログラム記録媒体としては、ROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)、フラッシュメモリ等の半導体記憶装置、光ディスク、磁気ディスク、光磁気ディスクなどを挙げることができる。
【0278】
以上、実施形態を参照して本発明を説明してきたが、本発明は上記実施形態に限定されるものではない。本発明の構成や詳細には、本発明のスコープ内で当業者が理解し得る様々な変更をすることができる。