【解決手段】産業機械201〜203を無線通信により操作可能な携帯型の操作端末100であって、端末本体10を備え、端末本体10は、複数の産業機械201〜203との間で無線通信による信号の送受信を行う通信部30と、通信部30を制御する制御部70と、を備える。
前記制御部は、前記産業機械の1つとの間で送受信を行っている間に、他の前記産業機械から送信された前記接続許可信号を検出した場合、前記他の産業機械との送受信に切り替えるかを使用者に通知する請求項3記載の操作端末。
前記制御部は、前記接続許可信号を受信した後、所定時間送信を行っていない場合に、前記接続許可信号を送信した前記産業機械との無線通信を切断する請求項3記載の操作端末。
前記制御部は、前記複数の産業機械のうち2台以上の前記産業機械に対して同時に送信可能となるように前記通信部を制御する請求項1〜請求項5のいずれか1項に記載の操作端末。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明の実施形態について図面を参照しながら説明する。ただし、本発明はこれに限定されるものではない。また、図面においては実施形態を説明するため、一部分を大きくまたは強調して記載するなど適宜縮尺を変更して表現している。
【0014】
<操作端末>
図1は、本実施形態に係る操作端末100の一例を示す図である。
図2は、操作端末100の一例を示すブロック図である。
操作端末100は、複数の産業機械201、202、203(
図1参照)との間で無線通信が可能であり、この無線通信によって産業機械201〜203を操作可能な携帯型の操作端末である。産業機械201〜203としては、例えば所定のワークに対して加工を行う工作機械などが挙げられる。産業機械201〜203のそれぞれは、例えばワークを搬送するローダ装置や、ワークを切削する加工装置、各産業機械201〜203を直接操作する操作パネル、産業機械201〜203を統括的に制御する制御装置等を有している。
【0015】
操作端末100は、操作者が片手で持つことが可能な寸法及び形状に形成された端末本体10を有している。端末本体10には、操作部20と、通信部30と、外部接続部40と、表示部50と、照明部60と、制御部70と、記憶部80とが設けられている。また、端末本体10には、各部に電源を供給する不図示の電源部が設けられる。電源部は、内蔵型のものであってもよいし、外付け型のものであってもよい。
【0016】
操作部20は、操作対象となる端末本体10及び産業機械201〜203の動作部位を選択すると共に、選択した動作部位を動作させる。操作部20は、ボタン21及びダイヤル22を有している。ボタン21は、端末本体10の左右の側面に設けられている。ボタン21は、例えば操作者が端末本体10を持つ方の手で操作可能である。ボタン21は、操作対象となる端末本体10及び産業機械201〜203の動作部位を選択する操作モード(以下、第1モードと表記する。)と、選択した動作部位を動作させる操作モード(以下、第2モードと表記する。)とを切り替える。
【0017】
ダイヤル22は、端末本体10の正面10aに配置されている。ダイヤル22は、例えば操作者が端末本体10を持たない方の手で操作可能である。ダイヤル22には、つまみ22aが設けられている。操作者は、例えばつまみ22aを把持してダイヤル22を回転可能である。ダイヤル22の外周には、不図示の目盛が形成されている。また、端末本体10の正面10aには逆二等辺三角形状のマーク10mが形成されている。このマーク10mの頂点(
図1の下側)が指す位置に対応する目盛を読むことで、操作者がダイヤル22の操作量(回転量、回転角度)を確認できるようになっている。第1モードにおいてダイヤル22を回転させることにより、選択する端末本体10及び産業機械201〜203の動作部位を切り替え可能である。また、第2モードにおいてダイヤル22を回転させることにより、例えば選択した動作部位の動作量を調整可能である。
【0018】
なお、上記ボタン21及びダイヤル22に加えて、端末本体10の正面にロータリースイッチなどが設けられてもよい。この場合、例えばロータリースイッチを用いて操作対象を選択するように構成することができる。
【0019】
通信部30は、外部の無線通信部との間で無線通信を行う。通信部30は、例えば複数の産業機械201〜203に設けられるそれぞれの無線通信部(不図示)との間で各種情報の送受信が可能である。これにより、操作端末100は、複数の産業機械201〜203との間で無線通信を行うことが可能である。
【0020】
図1では、操作端末100が一例として産業機械201との間で個別に無線通信を行っている状態を模式的に示している。通信部30は、制御部70の制御により、産業機械201のみならず、産業機械202、203のそれぞれに対して個別に通信を行うことが可能である。産業機械201〜203に対して個別に通信を行う場合、通信部30は、産業機械201〜203との間で接続先を切り替えて通信を行うことが可能である。また、通信部30は、産業機械201〜203に対して同時に通信を行うことも可能である。通信部30としては、例えば公知の無線モジュールなどが用いられる。無線通信の方式としては、例えば無線LAN、光通信など、サイズの大きいデータを送信可能な方式が採用される。
【0021】
外部接続部40は、コネクタ41と、カードスロット42とを有している。コネクタ41は、撮像機器等の外部機器の接続端子を装着可能である。コネクタ41としては、例えばUSBコネクタなどが用いられる。また、カードスロット42は、例えばメモリーカード等のカード型の記憶媒体が装着される。外部接続部40は、設けられなくてもよい。
【0022】
表示部50は、例えば操作対象となる操作端末100及び産業機械201〜203の動作部位の名称を表示する。例えば第1モードでダイヤル22を回転させる場合には、選択する動作部位の名称を切り替えて表示可能である。また、表示部50には、後述するように、産業機械201〜203の接続先を切り替えるか否かを選択するための情報が表示される。表示部50としては、例えば液晶装置などの表示装置が用いられる。
【0023】
照明部60は、照明光を射出する。照明部60は、例えば端末本体10のうち長手方向の端面10cに配置されるが、これに限定されるものではなく、端末本体10他の位置に配置されてもよい。照明部60としては、例えば高輝度LEDなどの発光デバイスが用いられる。照明部60は、設けられなくてもよい。
【0024】
制御部70は、上記各部を統括的に制御する。制御部70は、例えばCPU(Central Processing Unit )などの演算装置を有しており、データバス71を介して上記各部に接続されている。
【0025】
また、制御部70からの指令や、制御部70の演算装置による演算結果、記憶部80から読み出された情報などは、データバス71を介して、上記各部に送信される。これにより、制御部70は、通信部30における情報の送受信動作や、後述するような産業機械201〜203との間で情報のやり取りを行う他、後述するような無線通信に関する制御を行う。また、制御部70は、無線通信の接続先を自動認識することが可能であってもよい。なお、制御部70は、外部接続部40を介して、この外部接続部40に接続される外部機器を制御可能である。また、制御部70は、表示部50の表示内容や照明部60の点灯及び消灯のタイミング等を制御可能である。
【0026】
記憶部80は、例えば制御部70の制御に用いられるプログラムやデータ等、各種情報を記憶する。記憶部80に記憶される情報として、例えば通信部30の通信先に関する情報などが含まれる。通信部30の通信先としては、上記産業機械201〜203が含まれるが、これらの他に、例えば産業機械201〜203を管理する管理センタのコンピュータ(不図示)などが含まれてもよい。また、記憶部80には、産業機械201〜203の動作部位の名称等に関する情報や、産業機械201〜203を用いてワークの加工を行わせるための加工プログラム等が記憶される。
【0027】
<産業機械システム>
次に、上記の産業機械201〜203と、操作端末100とを備える産業機械システムSYSの例を説明する。以下、XYZ座標系を用いて図中の方向を説明する。このXYZ座標系においては、水平面に平行な平面をXZ平面とする。このXZ平面に平行な主軸(後述する主軸121、122)の方向をZ方向と表記し、Z方向に直交する方向(ワークWに対する切削量を規定する方向)をX方向と表記する。また、XZ平面に垂直な方向はY方向と表記する。X方向、Y方向及びZ方向のそれぞれは、図中の矢印の方向が+方向であり、矢印の方向とは反対の方向が−方向であるものとして説明する。
【0028】
図3は、産業機械システムSYSの一例を示す図である。産業機械システムSYSは、産業機械201〜203と、この産業機械201〜203を操作する操作端末100とを備えている。なお、
図3では、産業機械201〜203のうち1つの産業機械を代表させて図示している。本実施形態では、このような産業機械201〜203として、工作機械を例に挙げて説明する。以下の工作機械は、平行2軸旋盤である。
【0029】
図3は、産業機械201〜203を+Z側から見たときの例を示している。
図3において、産業機械201〜203の+Z側が正面であり、−Z側が背面である。また、産業機械201〜203の±X側は側面であり、X方向は産業機械201〜203の左右方向である。
図3に示すように、産業機械201〜203は、ローダ装置110と、加工装置120と、制御装置130と、操作パネル140とを備えている。
【0030】
ローダ装置110は、ローダヘッド111と、ローダ駆動部113とを備えている。ローダ装置110は、例えば、後述する主軸121、122とワーク搬入部125との間でワークWを搬送する。ローダヘッド111は、ローダチャック112を有している。ローダチャック112は、複数の把持爪によってワークWを把持する。ローダチャック112は、例えば、ワークWを把持して−Y方向に向けた姿勢と、−Z方向に向けた姿勢(後述する主軸121、122にワークWを向けた姿勢)とに移動可能に形成される。なお、ローダ装置110には、複数のローダチャック112が形成されてもよい。
【0031】
ローダ駆動部113は、X駆動部114と、Z駆動部115と、Y駆動部116とを有している。X駆動部114は、X移動体114a及びガイドレール114bを有している。X移動体114aは、不図示の駆動源により、ガイドレール114bに沿ってX方向に移動可能に設けられている。Z駆動部115は、X移動体114aに形成されている。Z駆動部115は、Z移動体115aを有している。Z移動体115aは、不図示の駆動源により、不図示のガイド部に沿ってZ方向に移動可能に設けられている。Y駆動部116は、Z移動体115aに形成されている。Y駆動部116は、Y移動体116aを有している。Y移動体116aは、不図示の駆動源により、不図示のガイド部に沿ってY方向に移動可能に設けられている。
【0032】
ローダヘッド111は、Y移動体116aの下部に設けられている。ローダヘッド111のローダチャック112により把持したワークWは、X駆動部114、Z駆動部115、及びY駆動部116がそれぞれ駆動することにより、X方向、Y方向、Z方向、またはこれらを合成した方向に搬送される。以上のように構成されるローダ装置110の駆動は、後述する制御装置130によって制御される。
【0033】
加工装置120は、主軸121、122と、タレット123、124と、ワーク搬入部125とを有している。主軸121、122は、X方向に並んで配置され、それぞれ不図示の駆動装置によって中心軸AX1、AX2まわりに回転する。主軸121、122の+Z側の端部には、それぞれワークWを把持可能な複数の把握爪121a、122aが設けられている。タレット123は、主軸121の−X側に配置されている。タレット124は、主軸122の+X側に配置されている。
【0034】
タレット123、124は、それぞれ不図示の駆動装置によって、Z方向に平行な軸まわりに回転する。また、タレット123、124の周面には、不図示の複数の切削工具が保持されており、タレット123、124を回転させることにより、所望の切削工具が選択される。切削工具としては、ワークWに対して切削加工を施すバイト等の他、ドリルやエンドミル等の回転工具が用いられてもよい。また、タレット123、124は、不図示の駆動装置により、ワークWに対して例えばX方向及びZ方向に移動可能となっている。ただし、主軸121、122やタレット123、124は2つであることに限定されず、例えば主軸及びタレットのいずれか一方または双方が1つあってもよい。
【0035】
ワーク搬入部125には、加工対象であるワークWが載置される。ワーク搬入部125としては、例えば固定台が用いられるが、これに限定されるものではなく、コンベアやロータリー式の載置台などが用いられてもよい。なお、ワーク搬入部125は、ワークWの搬出部を兼ねてもよく、この搬出部をワーク搬入部125と異なる部分に配置してもよい。以上のように構成される加工装置120の駆動は、後述する制御装置130によって制御される。
【0036】
制御装置130は、所定の加工プログラムに基づいてローダ装置110や加工装置120の動作を統括的に制御する。例えば、制御装置130は、操作端末100に対して、無線通信による操作信号の送受信を許可する接続許可信号を生成して送信させる。なお、制御装置130は、有線または無線を介して不図示の上位制御装置等に接続されてもよい。この場合、制御装置130は、上位制御装置の記憶部に記憶されたプログラムに基づいてローダ装置110や加工装置120の動作を制御してもよい。
【0037】
操作パネル140は、オペレータにより操作される産業機械201〜203の操作装置である。操作パネル140は、制御装置130に有線または無線を介して接続されている。操作パネル140は、液晶ディスプレイ等の表示部141を備えると共に、各種スイッチ142を備えている。操作パネル140は、例えば作業者によるプログラムの切り替えや制御装置130の各種設定などの操作に用いられる。
【0038】
また、本実施形態では、産業機械201〜203の動作を操作する端末として、
図1及び
図2に示す操作端末100が用いられる。操作端末100の記憶部80には、操作端末100の操作対象となる産業機械201〜203の各部の情報が記憶され、例えばローダ装置110のローダチャック112、X駆動部114、Z駆動部115、Y駆動部116等の情報が記憶される。
【0039】
次に、上記のように構成された産業機械システムSYSの動作を説明する。まず、制御装置130は、
図3に示すローダ装置110のローダヘッド111をワーク搬入部125の上方(+Y側)に配置させ、ローダチャック112を下側(−Y方向)に向けた状態でY移動体116aを−Y方向に移動させる。そして、制御装置130は、予めワーク搬入部125に配置されたワークWを把握爪によって保持させる。
【0040】
次に、制御装置130は、ローダチャック112及びワークWを−Z方向に向けさせる。その後、制御部は、Y駆動部116によってローダヘッド111を+Y方向に移動させ、所定の高さ位置に配置させる。次に、制御装置130は、ローダヘッド111を+X方向に移動させることにより、ローダヘッド111及びワークWを例えば主軸121の上方(+Y側)に配置させる。以下、ワークWを主軸121に配置する場合を例に挙げて説明する。なお、ワークWを主軸122に配置する場合には、主軸122の上方にローダヘッド111及びワークWを配置させる。
【0041】
次に、制御装置130は、Y移動体116aを−Y方向に移動させ、ワークWを主軸121に対向させる。そして、制御装置130は、Z移動体115aを−Z方向に移動させ、ワークWを主軸121の把握爪121aに保持させる。その後、Z移動体115aを+Z方向及び+Y方向に移動させてローダヘッド111を戻す。そして、制御装置130は、タレット123に設けられる不図示の工具を用いて、所定の加工レシピに基づいてワークWを加工させる。
【0042】
加工後、制御装置130は、主軸121からローダチャック112にワークWの受け渡しを行わせる。具体的には、制御装置130は、まずY移動体116aを再び−Y方向に移動させ、ローダチャック112をワークWに対向させる。次に、ローダヘッド111を−Z方向に移動させ、ローダチャック112の把握爪によってワークWを保持させる。次に、制御装置130は、主軸121の把握爪121aを開かせてワークWをローダチャック112に渡す。
【0043】
ワークWの受け渡しを行った後、制御装置130は、X駆動部114、Z駆動部115及びY駆動部116により、X移動体114a、Z移動体115a及びY移動体116aをX方向、Z方向及びY方向のそれぞれに移動させて、例えば不図示のワーク搬出部など所定の搬送先にワークWを搬送する。
【0044】
このような産業機械システムSYSにおいて、例えばローダ装置110のティーチングを行う場合には、産業機械201〜203の動作を停止させ、ローダ装置110の操作を手動で行う。このような手動操作を行う場合、操作者は、操作端末100を持った状態で、ローダ装置110の動作部位を近くで確認しながら行う。
【0045】
この場合、まず操作者は、操作端末100を起動させた後、産業機械201〜203のうちティーチング動作を行う産業機械を選択し、当該産業機械の近くに移動する。以下、産業機械201のティーチング動作を行う場合を例に挙げて説明する。
【0046】
産業機械201のティーチング動作を行う場合、操作者は、産業機械201の近くに移動する。制御部70は、産業機械201との間で無線通信を行い、
図4(a)に示すように、産業機械201から接続許可信号が送信されるまで待機する。この接続許可信号は、産業機械201〜203側から操作端末100に対して送信されるものであり、1つの操作端末100と複数の産業機械201〜203との間で操作情報が同時に送受信されないようにするためのものである。したがって、制御部70は、産業機械201から送信された接続許可信号を受信した場合には、送信元である産業機械201との間で操作情報の送受信を行うようにし、それ以外の産業機械202、203とは操作情報の送受信を行わないようにする。これにより、複数の産業機械201〜203との間で同時に操作情報が送受信される状況をより確実に回避できる。
【0047】
なお、制御部70は、
図4(b)に示すように、産業機械201との間で送受信を行っている間に、他の産業機械202等から送信された接続許可信号を検出した場合、他の産業機械202等との間で操作情報を送受信するように切り替えるか否かを操作者に通知する。この通知は、例えば
図4(b)に示すように、表示部50に表示するようにしてもよいし、音声や光信号等によって操作者に通知してもよい。これにより、操作者がどの産業機械201〜203との間で送受信が行われかを把握することができる。なお、
図4(b)では、他の産業機械として産業機械202を例に挙げて示しているが、これに限定するものではなく、産業機械203であっても同様の説明が可能である。
【0048】
また、制御部70は、例えば
図4(c)に示すように、産業機械201から接続許可信号を受信した後、所定時間送信を行っていない場合には、接続許可信号を送信した産業機械201との無線通信を切断してもよい。これにより、産業機械201が誤動作するのを防ぐことができる。
【0049】
続いて、産業機械201との間で操作信号の送受信を行う場合、まず操作者は、操作端末100を起動させた後、操作部20の操作モードを第1モードとして操作することで操作対象を選択する。例えば、ローダチャック112がワークWを受け取る位置(第1位置)P1を教示する場合、操作者は、ローダ装置110のX駆動部114、Z駆動部115及びY駆動部116を順に選択し、ローダチャック112が第1位置P1に到達するように手動で操作を行う。
【0050】
この操作の中で、操作者が例えばX駆動部114を操作対象として選択した場合、制御部70は、操作部20の操作に応じてX駆動部114が動作するように、産業機械201〜203に対して指令を出す。この指令は、通信部30を介して無線通信によって産業機械201〜203に送信される。産業機械201〜203は、無線通信によってこの指令を受信し、X駆動部114を手動操作可能な状態とする。
【0051】
その後、操作者は、ボタン21の操作によって操作モードを第2モードに切り替えてダイヤル22を回転させる。制御部70は、ダイヤル22の回転量及び回転方向に応じてX駆動部114の移動量及び移動方向を調整するよう指令を出す。なお、X移動体114aを+X方向に移動させる場合には操作者がダイヤル22を時計回りに回転させ、X移動体114aを−X方向に移動させる場合には操作者がダイヤル22を反時計回りに回転させる、といった設定を予め行っておく。産業機械201〜203は、制御部70からの指令を受信すると、指令内容の動作が行われるようにX駆動部114を制御する。Z駆動部115やY駆動部116を制御する場合も同様に行い、ローダチャック112を第1位置P1に移動させる。
【0052】
その状態で、操作端末100の操作者又は産業機械201のオペレータは、操作パネル140を操作し制御装置130に設けられる記憶部などにローダチャック112のX座標、Z座標及びY座標を登録する。これにより、産業機械201に第1位置P1の座標が登録される。その後、上記同様に操作端末100によって手動操作を行うことにより、例えばローダチャック112が主軸121にワークWを渡す第2位置P2や、主軸122にワークWを渡す第3位置P3、ワークWを搬出するとき位置、また、不図示の反転装置によってワークWを反転して持ち替える場合の位置など、各動作に対するローダチャック112の位置を産業機械201に登録するようにする。登録された情報は、例えば
図5に示すように、産業機械201に設けられる不図示の記憶部にデータテーブルTBとして記憶される。
【0053】
このように、上記説明では、操作端末100を用いて産業機械201との間で無線通信を行うことでティーチング動作を行う場合を例に挙げたが、産業機械202、203のティーチング動作を行う場合にも同様の説明が可能である。したがって、操作者は、1台の操作端末100により、複数の産業機械201〜203について、上記のようなローダ装置110のティーチング動作が可能である。
【0054】
また、制御部70は、複数の産業機械201〜203に対して、操作情報とは直接関連しない情報の送受信を行う場合には、複数の産業機械201〜203のうち2台以上に対して同時に送受信を行わせる。このような情報としては、ワークWの加工プログラムやワークWのデータなどが挙げられる。このように、複数の産業機械201〜203に対して同時に情報の送受信を行うことにより、複数の産業機械201〜203に対して短時間でデータをアップロードすることができる。よって、産業機械201〜203の誤動作を防止しつつ、作業時間の短縮化を図ることができる。
【0055】
以上のように、本実施形態に係る操作端末100によれば、端末本体10に設けられる制御部70により、複数の産業機械201〜203との間で無線通信による信号の送受信が可能となる。これにより、1台で複数台の産業機械201〜203を操作可能な操作端末100を得ることができる。
【0056】
なお、端末本体10と産業機械201〜203とを接続する配線が不要となり、端末本体10をコードレス化することができるため、端末本体10を持って移動する場合には、配線による行動範囲の制約が無くなることになる。これにより、複数台の産業機械201〜203の間を自由に行き来することができるため、利便性の高いものとなる。
【0057】
また、本実施形態に係る産業機械システムSYSによれば、1台で複数台の産業機械201〜203を操作可能な操作端末100が用いられるため、産業機械201〜203の操作を行う上での利便性が向上することになる。
【0058】
本発明の技術範囲は上記実施形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更を加えることができる。
例えば、上記実施形態では、1台の操作端末100が複数台の産業機械201〜203との間で操作情報の送受信が可能な構成を例に挙げて説明したが、これに限定するものではない。
【0059】
図6は、変形例に係る産業機械システムSYS2の一例を示す図である。
図6に示すように、産業機械システムSYS2は、複数台の操作端末101〜103と、1台の産業機械200を備えている。操作端末101〜103は、上記実施形態の操作端末100と同一構成である。また、産業機械200は、上記実施形態の産業機械201〜203と同一構成である。この産業機械システムSYS2では、複数台の操作端末101〜103が1台の産業機械200との間で操作情報の送受信が可能な構成となっている。これにより、産業機械200の操作を行う上での利便性が向上することになる。
【0060】
また、例えば、上記説明では、産業機械として、ローダ装置110、加工装置120、制御装置130及び操作パネル140を有する産業機械201〜203を例に挙げて説明したが、これに限定するものではない。例えば、産業機械として、工作機械のローダ装置110が単独であってもよいし、加工装置120単独であってもよい。また、産業機械201〜203、ローダ装置110、加工装置120に限られず、ロボット等他の産業機械であってもよい。