(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2015-23843(P2015-23843A)
(43)【公開日】2015年2月5日
(54)【発明の名称】乳化組成物
(51)【国際特許分類】
A23L 1/03 20060101AFI20150109BHJP
A23L 2/70 20060101ALI20150109BHJP
B01F 17/56 20060101ALI20150109BHJP
B01F 17/52 20060101ALI20150109BHJP
【FI】
A23L1/03
A23L2/00 K
B01F17/56
B01F17/52
【審査請求】有
【請求項の数】5
【出願形態】OL
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2013-156239(P2013-156239)
(22)【出願日】2013年7月29日
(11)【特許番号】特許第5576539号(P5576539)
(45)【特許公報発行日】2014年8月20日
(71)【出願人】
【識別番号】596072586
【氏名又は名称】高田香料株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000590
【氏名又は名称】特許業務法人 小野国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】大本 秀郎
【テーマコード(参考)】
4B017
4B035
4D077
【Fターム(参考)】
4B017LC08
4B017LE10
4B017LK07
4B017LK08
4B017LK12
4B017LK13
4B017LL01
4B035LC04
4B035LC16
4B035LE20
4B035LG06
4B035LG20
4B035LG21
4B035LK02
4B035LP21
4D077AA02
4D077AB08
4D077AC01
4D077BA07
4D077DD64Y
4D077DD70Y
4D077DE09Y
(57)【要約】 (修正有)
【課題】乳化が十分であり、適応糖度が広く、種々の飲料等に配合する場合であっても一つの組成でよい乳化組成物を提供する。
【解決手段】脱塩アラビアガム、オクテニルコハク酸澱粉、油性成分および水を含有し、脱塩アラビアガムとオクテニルコハク酸澱粉の質量比が3:1:〜15:1であることを特徴とする乳化組成物。更に、有機酸の金属塩および非脱塩アラビアガムからなる群から選ばれる1種または2種を含有し、更に、多価アルコールを含有する乳化組成物。前記乳化組成物を含有する飲料および食品。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
脱塩アラビアガム、オクテニルコハク酸澱粉、油性成分および水を含有し、脱塩アラビアガムとオクテニルコハク酸澱粉の質量比が3:1:〜15:1であることを特徴とする乳化組成物。
【請求項2】
更に、有機酸の金属塩および非脱塩アラビアガムからなる群から選ばれる1種または2種を含有する請求項1記載の乳化組成物。
【請求項3】
更に、多価アルコールを含有する請求項1または2記載の乳化組成物。
【請求項4】
油性成分が、少なくとも香料を含有するものである請求項1〜3の何れかに記載の乳化組成物。
【請求項5】
請求項1〜4の何れかに記載の乳化組成物を含有する飲料。
【請求項6】
請求項1〜4の何れかに記載の乳化組成物を含有する食品。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、乳化組成物に関し、更に詳細には、乳化が十分であり、適応糖度が広い乳化組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、飲料等に着香、着色、着濁等をするため乳化組成物が配合されている。この乳化組成物には、無味無臭のアラビアガムがよく利用されていて、例えば、油性成分、アラビアガムおよび水を質量比が20:30:50で含む組成物を乳化させたもの等が知られている(非特許文献1)。
【0003】
しかしながら、アラビアガムを用いた乳化組成物は、乳化が十分でない場合が多く、また、飲料等へ配合する際には、一つの組成では適応糖度の幅が狭いため、近年の種々の糖度の飲料に対応するためには、複数の組成を構築する必要があった。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0004】
【非特許文献1】國崎直道ら、「食品多糖類−乳化・増粘・ゲル化の知識」、81頁、株式会社幸書房発行、2001年11月25日発行
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
従って、本発明は、乳化が十分であり、適応糖度が広く、種々の飲料等に配合する場合であっても一つの組成でよい乳化組成物を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明者らは、上記課題を解決するために鋭意研究した結果、水や油性成分を含有する乳化組成物にアラビアガムとして脱塩アラビアガムを用い、これとオクテニルコハク酸澱粉を特定の比率で含有させることにより乳化が十分であり、適応糖度が広く、しかも、低温保存時の安定性も高いものとなることを見出し、本発明を完成させた。
【0007】
すなわち、本発明は脱塩アラビアガム、オクテニルコハク酸澱粉、油性成分および水を含有し、脱塩アラビアガムとオクテニルコハク酸澱粉の質量比が3:1:〜15:1であることを特徴とする乳化組成物である。
【0008】
また、本発明は、上記乳化組成物を含有する飲料または食品である。
【発明の効果】
【0009】
本発明の乳化組成物は、乳化が十分であり、安定性も高いため種々の温度で保存可能である。
【0010】
また、本発明の乳化組成物は適応糖度が広いため、種々の糖度の飲料や食品に配合することができ、その際にリングや沈殿の形成等の問題も生じない。そして本発明の乳化組成物が配合された飲料や食品の安定性も高いため種々の温度で保存可能である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
本発明の乳化組成物に用いられる脱塩アラビアガムは、例えば、アラビアガムから電気透析膜、イオン交換樹脂等を用いた脱塩処理により金属塩が除去されたものである。このような脱塩アラビアガムは、例えば、サンアラビック(三栄薬品貿易製)、EFISTAB AA(ネキシラ社製)等の商品名で販売されているので、これらを利用してもよい。本発明の乳化組成物における脱塩アラビアガムの含有量は特に限定されないが、例えば、1〜20質量%(以下、単に「%」という)、好ましくは6〜15%である。
【0012】
また、本発明の乳化組成物に用いられるオクテニルコハク酸澱粉は、加工澱粉の一種であり、例えば、澱粉に無水オクテニルコハク酸を3質量%を越えない量でエステル化させたものやその塩である。具体的なオクテニルコハク酸澱粉としては、オクテニルコハク酸澱粉ナトリウム、オクテニルコハク酸澱粉カルシウム、オクテニルコハク酸澱粉アンモニウム、オクテニルコハク酸澱粉アルミニウム等が挙げられ、これらの中でもオクテニルコハク酸澱粉ナトリウムが好ましい。このようなオクテニルコハク酸澱粉としては、例えば、ピュリティーガムBE、ピュリティーガム1773、ピュリティーガム2000(何れもイングレディオン・ジャパン製)等の商品名で販売されているので、これらを利用してもよい。本発明の乳化組成物におけるオクテニルコハク酸澱粉の含有量は特に限定されないが、例えば、1〜10%、好ましくは1〜3%である。
【0013】
なお、本発明の乳化組成物において、脱塩アラビアガムとオクテニルコハク酸澱粉の質量比は3:1〜15:1、好ましくは3:1〜8:1、より好ましくは4:1〜7:1である。この比率の範囲から外れると安定性が悪くなる。
【0014】
更に、本発明の乳化組成物に用いられる油性成分としては、例えば、香料、比重調整剤、油溶性ビタミン類、油性の着色料等が挙げられる。具体的な香料としては、オレンジ、レモン、ライム、グレープフルーツ等の柑橘油、ローズオイル等の花精油、ペパーミント油、スペアミント油、スパイス油等の植物油、コーヒーエキストラクト、バニラエキストラクト、ココアエキストラクト、紅茶エキストラクト、スパイス類エキストラクト等の油性のエキストラクトおよびこれらのオレオレジン類、合成香料化合物、油性調合組成物等が挙げられ、比重調整剤としては、炭素数6〜12の中鎖飽和脂肪酸トリグリセライド(ODO)、シュークロース・ジアセテート・ヘキサイソブチレート(SAIB)等が挙げられ、油溶性ビタミン類としては、ビタミンA、ビタミンE等が挙げられ、油性の着色料としては、β−カロテン、ウコン色素、トマト色素、パプリカ色素等が挙げられる。これらの油性成分は1種または2種以上を用いることができるが、好ましくは少なくとも香料を含有するものである。本発明の乳化組成物における油性成分の含有量は特に限定されないが、例えば、1〜20%、好ましくは1〜14%である。
【0015】
本発明の乳化組成物には、上記した脱塩アラビアガム、オクテニルコハク酸澱粉、油性成分および水の他に、有機酸の金属塩や非脱塩アラビアガムを含有させてもよい。これらは1種または2種を組み合わせて含有させてもよく、好ましくは有機酸の金属塩である。これら有機酸の金属塩や非脱塩アラビアガムを、本発明の乳化組成物に含有させると乳化組成物のpHが2.5〜3.5程度となり、安定性、特に低温保存時の安定性が向上する。
【0016】
上記有機酸の金属塩としては、例えば、クエン酸、リンゴ酸、酒石酸等の有機酸とナトリウム、カリウム等の金属の塩が挙げられ、これらの中でもクエン酸ナトリウムが好ましい。本発明の乳化組成物における有機酸の金属塩の含有量は特に限定されないが、例えば、0.1〜1%、好ましくは0.1〜0.5%である。
【0017】
また、上記非脱塩アラビアガムとは、特に脱塩処理が行われていない、通常入手可能なアラビアガムである。本発明の乳化組成物における非脱塩アラビアガムの含有量は特に限定されないが、例えば、1〜20%、好ましくは3〜8%である。
【0018】
本発明の乳化組成物には、更に、多価アルコールを含有させてもよい。本発明の乳化組成物に多価アルコールを含有させることにより抗菌性が向上する。
【0019】
上記多価アルコールとしては、例えば、グリセリン、プロピレングリコール、ブチレングリコール、ソルビトール、マンニトール、キシリトール等の1分子中にヒドロキシル基を2個以上有するものが挙げられ、これらの中でもグリセリンが好ましい。本発明の乳化組成物における多価アルコールの含有量は特に限定されないが、例えば、20〜70%、好ましくは30〜60%である。
【0020】
また、本発明の乳化組成物には、上記成分以外にも、本発明の効果を損なわない範囲で、従来公知の乳化組成物に添加される、水飴、スクロース、マルトース、異性化糖等の糖類、ペクチン、カゼイン、カラギーナン、キサンタンガム等の保護コロイド物質、ポリグリセリン脂肪酸エステル、ショ糖脂肪酸エステル、ポリソルベート等の乳化剤等を含有させてもよい。
【0021】
以下に本発明の乳化組成物の好ましい組成を記載する。
<組成1>
香料 1〜20%、好ましくは1〜6%
ODO 1〜20%、好ましくは1〜10%
SAIB 1〜20%、好ましくは1〜10%
オクテニルコハク酸澱粉 1〜10%、好ましくは1〜3%
脱塩アラビアガム 1〜20%、好ましくは10〜15%
クエン酸ナトリウム 0.1〜1%、好ましくは0.1〜0.5%
水 20〜50%、好ましくは20〜30%
グリセリン 20〜70%、好ましくは30〜60%
<組成2>
香料 1〜20%、好ましくは1〜6%
ODO 1〜20%、好ましくは1〜10%
SAIB 1〜20%、好ましくは1〜10%
オクテニルコハク酸澱粉 1〜10%、好ましくは1〜3%
脱塩アラビアガム 1〜20%、好ましくは6〜10%
非脱塩アラビアガム 1〜20%、好ましくは3〜8%
水 20〜50%、好ましくは20〜30%
グリセリン 20〜70%、好ましくは30〜60%
水飴 1〜10%、好ましくは3〜6%
【0022】
以上説明した本発明の乳化組成物の製造方法は特に限定されず、例えば、油性成分以外の成分を混合、溶解させた後、油性成分を添加し、必要により加温して、ホモミキサー、コロイドミル、高圧ホモジナイザー等で乳化させる方法等が挙げられる。また、乳化の際の条件も特に限定されないが、例えば、ホモミキサーを用いて8,000〜12,000rpmで20〜40分間攪拌する方法等が挙げられる。
【0023】
斯くして得られる本発明の乳化組成物は、0.5μm以下の平均粒子径と1.35以下の幾何標準偏差を持ち、40℃で2ヵ月以上保存しても平均粒子径増大率が120%以内であり、5℃で4ヶ月以上保存しても流動性を失わないという性質を有している。
【0024】
そして、上記性質を有する本発明の乳化組成物は、従来公知の乳化組成物と同様に、飲料、食品、化粧品等に、着香、着色、着濁等のために用いることができる。本発明の乳化組成物を飲料や食品に配合する場合には、例えば、0.01〜2%、好ましくは0.03〜0.1%で含有させる。
【0025】
また、本発明の乳化組成物は、適応糖度が広いため特に飲料用として好ましい。本発明の乳化組成物を含有させることのできる飲料としては、特に限定されないが、例えば、スポーツ飲料、炭酸飲料、栄養飲料、果汁飲料、アルコール飲料等が挙げられる。
【0026】
そして、本発明の乳化組成物を含有させた飲料は、Brix1°〜15°の幅広い糖度に対して、6ヶ月以上保存してもリングと沈殿を生じない。
【実施例】
【0027】
以下、本発明を実施例を挙げて詳細に説明するが、本発明はこれら実施例に何ら限定されるものではない。なお、以下の実施例において乳化組成物の平均粒子径は、レーザー回折/散乱式粒子径分布測定法で求めた値である。
【0028】
参 考 例 1
乳化組成物の調製:
以下の表1に示した組成の乳化組成物を調製した。なお、乳化組成物の調製は、香料、ODO、SAIBおよびグリセリン以外の成分を混合、溶解させてから、グリセリンを添加した後、香料、ODO、SAIBの混合溶解物を添加し、45℃に加温しながらホモミキサー(TKホモミクサー:プライミクス製)を用いて10,000rpmで30分間撹拌させることにより得た。
【0029】
【表1】
【0030】
参考例1で調製した乳化組成物を種々のBrix(1°〜15°)の飲料に配合し、室温で所定の期間保存後にリングや沈殿が発生したかどうかを目視で確認したところ、何れのBrixの飲料であっても6ヶ月までリングや沈殿が発生しなかった。しかしながら、参考例1で調製した乳化組成物は、40℃で保存することはできるものの、5℃で保存すると4ヶ月までに固化してしまうものであり、商品価値が全くなかった。
【0031】
実 施 例 1
乳化組成物の調製:
以下の表2に示した組成の乳化組成物を調製した。なお、乳化組成物の調製は、ODO、SAIBおよびグリセリン以外の成分を混合、溶解させてから、グリセリンを添加した後、ODO、SAIBの混合溶解物を添加し、45℃に加温しながらホモミキサー(TKホモミクサー:プライミクス製)を用いて10,000rpmで30分間撹拌させることにより得た。
【0032】
これらの乳化組成物について、乳化性と安定性を判断した。なお、乳化性は、平均粒子径に基づいて以下の評価基準で判断した。また、安定性は、(1)40℃で2ヶ月保存後の平均粒子径の増大率((保存後の平均粒子径/保存前の平均粒子径)×100(%))に基づいて以下の評価基準で判断、(2)40℃で2ヶ月保存後の性状を自由評価、(3)5℃で4ヶ月保存後の性状を自由評価、でそれぞれ判断した。これらについても表2に示した。
【0033】
<乳化性評価基準>
(評価) (内容)
○ : 平均粒子径が0.45μm未満であり、幾何標準偏差1.30未満である
△ : 平均粒子径が0.45μm以上〜0.50μm未満であり、幾何標準偏差1.3
0以上〜1.35未満である
× : 平均粒子径が0.50μm以上であり、幾何標準偏差1.35以上である
【0034】
<安定性評価基準>
[平均粒子径の増大率]
(評価) (内容)
○ : 平均粒子径の増大率が120%以下
△ : 平均粒子径の増大率が120%より多く130%未満
× : 平均粒子径の増大率が130%以上
【0035】
【表2】
【0036】
組成1については、脱塩アラビアガムよりもオクテニルコハク酸澱粉の比率が大きいため、乳化性は十分にあり、高温での保存性も有しているが、低温で4ヶ月のうちに固化してしまった。組成2については、脱塩アラビアガムとオクテニルコハク酸澱粉の比率が1:1のため、乳化性は十分であるが、組成物自体がすぐに分離してしまった。組成3については、脱塩アラビアガムとオクテニルコハク酸澱粉の比率が14:1のため、乳化性に若干の不満が残るが、各温度における保存性は十分であった。組成4については、脱塩アラビアガムとオクテニルコハク酸澱粉の比率が7:1のため、乳化性、保存安定性供に満足のいくものであった。組成5については、脱塩アラビアガムとオクテニルコハク酸澱粉の比率が12:5のため、乳化性は十分であったが、低温で4ヶ月のうちに固化してしまった。
【0037】
実 施 例 2
乳化組成物の調製:
以下の表3に示した組成の乳化組成物を調製した。なお、乳化組成物の調製は、ODO、SAIB、グリセリン、香料以外の成分を混合、溶解させてから、グリセリンを添加した後、香料、ODO、SAIBの混合溶解物を添加し、45℃に加温しながらホモミキサー(TKホモミクサー:プライミクス製)を用いて10,000rpmで30分間撹拌させることにより得た。なお、乳化組成物の平均粒径は0.40μmであり、また、幾何標準偏差は1.29であった。また、この乳化組成物を40℃または5℃で保存し、どの程度の期間安定であるかを調べた。
【0038】
【表3】
【0039】
本発明の乳化組成物は、40℃で2ヶ月以上(平均粒子径増大率112%)、5℃で6ヶ月以上安定であった。
【0040】
実 施 例 3
飲料の調製:
まず、クエン酸2g、クエン酸ナトリウム0.45gを用いてpH3.0に調製し、液体香料を1.0g添加した後、果糖ぶどう糖液糖にて各Brix(1°〜15°)に調整した飲料を調製した。これらの飲料に、実施例2で調製した乳化組成物を1.0g配合し、全体を1リットルとした。これを200mlビンに充填し、室温で所定期間保存後、目視でリングおよび沈殿について以下の判断基準で判断した。その結果を表4に示した。
【0041】
<リングの発生判断基準>
(評価) (内容)
− : リングなし
± : 僅かにリングあり(商品として問題なし)
+ : リングあり
【0042】
<沈殿の発生判断基準>
(評価) (内容)
− : 沈殿なし
± : 僅かに沈殿あり(商品として問題なし)
+ : 沈殿あり
【0043】
【表4】
【0044】
本発明の乳化組成物をBrix1°〜15°の飲料に含有させても6ヶ月間以上、リングや沈殿が生じなかった。従って、本発明の乳化組成物はBrix1°〜15°に適応したものであることがわかった。
【0045】
実 施 例 4
乳化組成物の調製:
以下の表5に示した組成の乳化組成物を調製した。なお、乳化組成物の調製は、ODO、SAIB、グリセリン、香料以外の成分を混合、溶解させてから、グリセリンを添加した後、香料、ODO、SAIBの混合溶解物を添加し、45℃に加温しながらホモミキサー(TKホモミクサー:プライミクス製)を用いて10,000rpmで30分間撹拌させることにより得た。なお、乳化組成物の平均粒径は0.39μmであり、また、幾何標準偏差は1.30であった。また、この乳化組成物を40℃または5℃で保存し、どの程度の期間安定であるかを調べた。
【0046】
【表5】
【0047】
本発明の乳化組成物は、40℃で2ヶ月以上(平均粒子径増大率112%)、5℃で12ヶ月以上安定であった。
【0048】
実 施 例 5
飲料の調製:
実施例3で用いたのと同様の種々のBrix(1°〜15°)の飲料に、実施例4で調製した乳化組成物を1.0g配合し、全体を1リットルとした。これを200mlビンに充填し、室温で所定期間保存後、目視でリングおよび沈殿について実施例3と同様の判断基準で判断した。その結果を表6に示した。
【0049】
【表6】
【0050】
本発明の乳化組成物をBrix1°〜15°の飲料に含有させても6ヶ月間以上、リングや沈殿が生じなかった。従って、本発明の乳化組成物はBrix1°〜15°に適応したものであることがわかった。
【0051】
実 施 例 6
乳化組成物の調製:
以下の表7に示した組成の乳化組成物を調製した。なお、乳化組成物の調製は、ODO、SAIB、グリセリン、香料以外の成分を混合、溶解させてから、グリセリンを添加した後、香料、ODO、SAIBの混合溶解物を添加し、45℃に加温しながらホモミキサー(TKホモミクサー:プライミクス製)を用いて10,000rpmで30分間撹拌させることにより得た。なお、乳化組成物の平均粒径は0.40μmであり、また、幾何標準偏差は1.28であった。また、この乳化組成物を40℃または5℃保存し、どの程度の期間安定であるかを調べた。
【0052】
【表7】
【0053】
本発明の乳化組成物は、40℃で2ヶ月以上(平均粒子径増大率107%)、5℃で12ヶ月以上安定であった。
【0054】
実 施 例 7
飲料の調製:
実施例3で用いたのと同様の種々のBrix(1°〜15°)の飲料に、実施例6で調製した乳化組成物を1.0g配合し、全体を1リットルとした。これを200mlビンに充填し、室温で所定期間保存後、目視でリングおよび沈殿について実施例3と同様の判断基準で判断した。その結果を表8に示した。
【0055】
【表8】
【0056】
本発明の乳化組成物をBrix1°〜15°の飲料に含有させても6ヶ月間以上、リングや沈殿が生じなかった。従って、本発明の乳化組成物はBrix1°〜15°に適応したものであることがわかった。
【産業上の利用可能性】
【0057】
本発明の乳化組成物は、従来公知の乳化組成物と同様に、飲料や食品に、着香、着色、着濁等のために用いることができる。
以 上
【手続補正書】
【提出日】2013年11月20日
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
脱塩アラビアガム、オクテニルコハク酸澱粉、油性成分および水を含有し、脱塩アラビアガムが1〜20質量%であり、脱塩アラビアガムとオクテニルコハク酸澱粉の質量比が3:1:〜15:1であることを特徴とする乳化組成物。
【請求項2】
更に、有機酸の金属塩および非脱塩アラビアガムからなる群から選ばれる1種または2種を含有する請求項1記載の乳化組成物。
【請求項3】
更に、多価アルコールを含有する請求項1または2記載の乳化組成物。
【請求項4】
油性成分が、少なくとも香料を含有するものである請求項1〜3の何れかに記載の乳化組成物。
【請求項5】
請求項1〜4の何れかに記載の乳化組成物を含有する飲料。
【請求項6】
請求項1〜4の何れかに記載の乳化組成物を含有する食品。
【手続補正書】
【提出日】2014年3月11日
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
脱塩アラビアガム6〜15質量%、オクテニルコハク酸澱粉1〜3質量%、多価アルコール30〜60質量%、油性成分1〜14質量%および水20〜30質量%を含有し、
脱塩アラビアガムとオクテニルコハク酸澱粉の質量比が4:1:〜7:1、
多価アルコールが、グリセリン、プロピレングリコール、ブチレングリコール、ソルビトール、マンニトールおよびキシリトールから選ばれる1種以上、
であることを特徴とする乳化組成物。
【請求項2】
更に、有機酸の金属塩および非脱塩アラビアガムからなる群から選ばれる1種または2種を含有する請求項1記載の乳化組成物。
【請求項3】
油性成分が、少なくとも香料を含有するものである請求項1または2に記載の乳化組成物。
【請求項4】
請求項1〜3の何れかに記載の乳化組成物を含有する飲料。
【請求項5】
請求項1〜3の何れかに記載の乳化組成物を含有する食品。