【解決手段】半田噴流装置2においては、上端36aが区画板31の下面に接合されて、連通口33の下部全体を囲む戻り管36が設けられている。このため、半田貯留槽5に気体を供給した場合においても、戻り管36の内部には気体は侵入できず、戻り管36の内部は半田Sで満たされる。このため、連通口33の下部に気体が入り込まないことから、開閉弁24と連通口33との接触部分からの気体の漏れを防止できる。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、図面を参照しつつ本発明の実施の形態について説明する。
【0018】
<1.半田付け装置の構成>
図1は、本実施の形態に係る半田付け装置1の外観を示す斜視図である。
図1に示す、半田付け装置1は、対象物となるプリント基板9を搬送しながら、該プリント基板9に対して半田(はんだ)付けを行う機能を有している。
【0019】
プリント基板9には各種の電子部品が配置されており、電子部品のリードはプリント基板9のスルーホールに挿入されている。半田付け装置1は、プリント基板9の下面(電子部品のリードが突出した側の面)に、溶融された半田を接触させることで、これら電子部品をプリント基板9に固定する。半田付け装置1は、プリント基板9において電子部品が配置される一部の領域に対して選択的に半田付けを行うことができる選択半田付け装置である。以下、プリント基板9において半田付けの対象となる領域を「対象領域」という。
【0020】
図1に示すように、半田付け装置1は、略直方体のハウジング11と、ユーザに情報を報知する警告表示器13と、プリント基板9を搬送する基板搬送機構8とを備えている。警告表示器13は、上下方向に延びるようにハウジング11の側面に固定される。また、基板搬送機構8は、ハウジング11の上面となる上面板12に設けられている。
【0021】
以下の説明においては、図中に示す三次元直交座標系(XYZ)を用いて、適宜、方向や向きを示す。この直交座標系は、ハウジング11に対して相対的に固定される。X軸方向は左右方向、Y軸方向は前後方向、Z軸方向は上下方向(鉛直方向)に相当する。
【0022】
警告表示器13は、警告などの情報を作業員などのユーザに発光により知らせるものであり、互いに発光色が異なる複数の回転灯を備えている。これらの回転灯は、半田付け装置1の動作に不具合が生じた場合などに点灯される。
【0023】
基板搬送機構8は、搬送パレット82に載置されたプリント基板9を左右方向(X軸方向)に搬送する。基板搬送機構8は、左右方向(X軸方向)に沿った2つのコンベア81を備えている。これら2つのコンベア81は搬送パレット82の前後方向(Y軸方向)の両端部を支持しつつ、図中の矢印AR1,AR2の向きに移動する。これにより、プリント基板9は、半田付け装置1の上面を図中右から左に搬送される。
【0024】
2つのコンベア81の相互間は開口している。また、搬送パレット82の下面は、プリント基板9の対象領域に対応する部分が開口している。このため、プリント基板9の対象領域は、ハウジング11の内部に露出する。半田付け装置1は、このようにハウジング11の内部に露出したプリント基板9の対象領域に対して半田付けを行う。
【0025】
図2は、半田付け装置1の分解斜視図であり、ハウジング11の内部の構成を主に示している。
図2に示すように、半田付け装置1は、ハウジング11の内部に、溶融された半田を噴流する半田噴流装置2と、半田噴流装置2を移動する三軸移動機構6とを備えている。
【0026】
半田噴流装置2は、溶融された半田を噴流し、噴流した半田をプリント基板9の対象領域に接触させることで、プリント基板9に対して半田付けを行う。この半田噴流装置2の構成については、後に詳述する。
【0027】
また、三軸移動機構6は、半田噴流装置2を固定する固定部60と、固定部60を移動する3つのスライダ61,62,63とを備えている。3つのスライダ61,62,63はそれぞれ、左右方向(X軸方向)、前後方向(Y軸方向)及び上下方向(Z軸方向)に延びている。これにより、三軸移動機構6は、固定部60によって半田噴流装置2を固定した状態で、左右方向(X軸方向)、前後方向(Y軸方向)及び上下方向(Z軸方向)のいずれにも半田噴流装置2を移動できる。すなわち、三軸移動機構6は、半田噴流装置2の姿勢を保ちつつ、ハウジング11の内部の任意の位置に半田噴流装置2を移動できる。
【0028】
図3は、半田付け装置1の概略構成を示すブロック図である。半田付け装置1は、前述した半田噴流装置2、警告表示器13、基板搬送機構8及び三軸移動機構6とともに、全体制御部10及び気体供給部7を備えている。
【0029】
全体制御部10は、例えば、プログラマブルロジックコントローラ(PLC)である。全体制御部10は、プログラムに従って処理を行うことにより、半田噴流装置2、警告表示器13、基板搬送機構8、三軸移動機構6及び気体供給部7の動作を統括的に制御する。
【0030】
また、気体供給部7は、半田噴流装置2に対して、例えば、窒素などの不活性ガスである気体を供給する。気体供給部7から気体の供給を受けることで、半田噴流装置2は溶融された半田を噴流する。
【0031】
<2.半田噴流装置の構成>
次に、半田噴流装置2の構成について説明する。
図4は、半田噴流装置2の外観を示す斜視図である。図中の縦方向は、上下方向に相当する(以降の図においても同様。)。
【0032】
図4に示すように、半田噴流装置2は、溶融された半田を内部に収容する半田容器20と、半田容器20の上部を覆う蓋体21とを備えている。蓋体21は、半田容器20の上部を覆う略円形の部材である。
【0033】
蓋体21には、互いに径の異なる略円形の2つの開口部21a,21bが設けられている。相対的に大きな径の中央開口部21aは、蓋体21における円中心に相当する位置に設けられる。中央開口部21aには半田を噴流する噴流ノズル22が配置され、噴流ノズル22の一部は蓋体21よりも上部に突出している。噴流ノズル22は、そのように蓋体21よりも突出した部分の上端部となるノズル口から溶融された半田を噴流する。
【0034】
一方、相対的に小さな径の開口部21bは、半田容器20の内部に半田を供給するための半田供給口である。開口部21bは、蓋体21における中央開口部21aから離れた位置に設けられる。
【0035】
また、半田容器20の側面上部には、半田容器20の内部へ気体を導く気体導入管23が設けられている。気体導入管23は、気体供給部7(
図3参照。)から供給される窒素などの気体を、半田容器20の内部へ導入する。
【0036】
図5は、半田噴流装置2の内部構成を示す図である。
図5は、説明のため、半田噴流装置2の内部構成を簡略化して示している。
【0037】
半田噴流装置2の半田容器20は、ステンレスなどの金属製であり、互いに径の異なる円筒形の2つの容器20a,20bを上下に重ねた形状を有している(
図4も併せて参照。)。相対的に大きな径の上容器20aは、相対的に小さな径の下容器20bに対して上部に配置される。このような形状により、半田容器20は、径の異なる容器20a,20bを接続する略水平方向に沿った部位である段差部20cを備える。
【0038】
半田容器20の内部には、区画板31が略水平方向に沿って設けられる。区画板31は、ステンレスなどの金属製の略円形の板材である。区画板31は、半田容器20の段差部20cに上側から当接し、この段差部20cにネジなどの締結具39によって固定される。
【0039】
区画板31は、半田容器20の内部を区画し、その上部と下部とを異なる目的の半田槽として機能させる。半田容器20の内部の区画板31より上部(上容器20aの内部)は、噴流ノズル22から噴流した後に流れ出た半田を回収する半田回収槽4となる。一方、半田容器20の内部の区画板31より下部(下容器20bの内部)は、気体の供給を受けて噴流ノズル22に溶融された半田を供給する半田貯留槽5となる。このように半田回収槽4と半田貯留槽5とを上下に配置することで、半田噴流装置2の全体のサイズを比較的小さくすることができる。
【0040】
区画板31は、半田回収槽4の底面、かつ、半田貯留槽5の上面となる。この区画板31には、半田回収槽4の内部と半田貯留槽5の内部とを連通する連通口33が設けられている。連通口33は、断面が略円形の開口部である。
【0041】
また、連通口33の上部には、連通口33を開閉する開閉弁24が設けられている。開閉弁24は、ステンレスなどの金属製の円柱部材である。開閉弁24は、上下方向に延びるように配置され、その下端部は略半球状となっている。開閉弁24が連通口33を閉じる場合は、開閉弁24の下端部が連通口33の上部と接触する。
【0042】
また、開閉弁24の上部には、略水平方向に沿って連動板25が接続されている。この連動板25を上下に移動させることで、開閉弁24が連通口33を開閉する。半田回収槽4に回収された半田は、開閉弁24が連通口33を開くことで半田貯留槽5に戻ることになる。
【0043】
また、区画板31の円中心に相当する位置には、断面が略円形となる開口部である中央口32が設けられている。そして、この中央口32に、半田を噴流する噴流ノズル22の下端部が嵌めこまれている。噴流ノズル22は、ステンレスなどの金属製で断面が略円形の筒部材であり、上下方向に延びるように配置される。また、前述のように、噴流ノズル22の上部は、蓋体21の中央開口部21aを経由し、噴流ノズル22の上端部22aは蓋体21よりも上部に配置される。
【0044】
また、区画板31の中央口32の下部には、半田貯留槽5から噴流ノズル22への半田の供給経路となる筒状の供給管35が設けられている。供給管35は、ステンレスなどの金属製で断面が略円形となる筒部材であり、上下方向に延びるように配置される。
【0045】
供給管35の上端35aは、区画板31の下面に溶接などによって隙間なく接合され中央口32の下部全体を囲んでいる。これにより、供給管35の内部と噴流ノズル22の内部とは連通する。また、供給管35の下端35bは、半田貯留槽5の内部における半田貯留槽5の底面5aの近傍に位置している。供給管35の下端35bは、半田貯留槽5の底面5aに対し非接触で近接する。
【0046】
半田貯留槽5に収容された半田は、供給管35の下端35bから供給管35の内部に侵入し、供給管35の内部及び中央口32を経由して、噴流ノズル22の下端部に供給される。噴流ノズル22に供給された半田は、噴流ノズル22の内部を上昇し、噴流ノズル22の上端部22aから噴流する。そして、噴流ノズル22から流れ出た半田は、噴流ノズル22の外周を伝って下降し、中央開口部21aを通過して半田回収槽4まで移動する。
【0047】
噴流ノズル22の直径は、例えば14mmである。また、中央開口部21aの直径は、噴流ノズル22の直径よりも十分大きくされ、例えば50mmである。このため、噴流ノズル22の外周と中央開口部21aの壁面との間には、噴流ノズル22から流れ出た半田の移動に十分な空間が形成される。
【0048】
また、気体を導くための気体導入管23は、半田回収槽4の内部を経由するように配置される。気体導入管23の一端は半田容器20の外部に配置され、気体導入管23の他端は区画板31に設けられた気体導入口34に接続される。これにより、気体供給部7から供給される窒素などの気体は、気体導入管23及び気体導入口34を介して、半田貯留槽5の内部の上部に供給される。
【0049】
また、区画板31の連通口33の下部には、半田回収槽4から半田貯留槽5への半田の戻り経路となる筒状の戻り管36が設けられている。戻り管36は、ステンレスなどの金属製で断面が略円形となる筒部材であり、上下方向に延びるように配置される。
【0050】
戻り管36の上端36aは、区画板31の下面に溶接などによって隙間なく接合され連通口33の下部全体を囲んでいる。また、戻り管36の下端36bは、半田貯留槽5の内部における半田貯留槽5の底面5aの近傍に位置している。戻り管36の下端36bは、半田貯留槽5の底面5aに対し非接触で近接する。
【0051】
また、半田貯留槽5においては、半田容器20の内面(下容器20bの内面)を内側から覆うカバー部材37が設けられている。カバー部材37は、ステンレスなどの金属製で断面が略円形となる筒部材である。カバー部材37の径は供給管35及び戻り管36と比較して大きく、カバー部材37は断面が略円形の半田容器20の内面(下容器20bの内面)に沿って配置される。このため、供給管35及び戻り管36は、カバー部材37の内側に包含される。カバー部材37と半田容器20の内面とは接触することが望ましい。
【0052】
カバー部材37の上端37aは、区画板31の下面に溶接などによって隙間なく接合される。これにより、カバー部材37の上端37aは、区画板31と半田容器20との境界部分(区画板31と段差部20cとが当接する部分)の全体を内側から覆うことになる。また、カバー部材37の下端37bは、半田貯留槽5の内部における半田貯留槽5の底面5aの近傍に位置している。カバー部材37の下端37bは、半田貯留槽5の底面5aに対し非接触で近接する。
【0053】
このように、供給管35、戻り管36及びカバー部材37の下端はいずれも、半田貯留槽5の底面5aの近傍に位置している。ただし、これら供給管35、戻り管36及びカバー部材37のそれぞれの下端の高さは異なっており、供給管35の下端35bが最も高い位置となっている。すなわち、戻り管36の下端36b及びカバー部材37の下端37bの位置は、供給管35の下端35bの位置より低くなっている。
【0054】
また、このように区画板31には、供給管35、戻り管36及びカバー部材37が接合される。これにより、区画板31、供給管35、戻り管36及びカバー部材37は一体化され、図中においてハッチングで示す一つの内部容器30を形成する。
【0055】
図6に示すように、半田噴流装置2を組み立てる場合においては、この内部容器30が半田容器20の内部に嵌めこまれることになる。なお、このような区画板31、供給管35、戻り管36及びカバー部材37を一体化した内部容器30を、溶接とは異なる手法で形成してもよい。
【0056】
図7は、半田噴流装置2の詳細な構成を示す分解斜視図である。
図7は、
図4に示す半田容器20から蓋体21を外した状態に相当する。
【0057】
開閉弁24に接続された連動板25はT字型をしており、半田容器20の外部に配置された弁駆動部26と接続されている。弁駆動部26は、伸縮駆動するシリンダを備えており、連動板25を上下に移動させることができる。したがって、弁駆動部26が駆動することにより、連動板25に接続された開閉弁24が移動し、連通口33を開閉する。
【0058】
また、半田噴流装置2は、半田回収槽4の半田を加熱して溶融する4つのヒータ41と、半田貯留槽5の半田を加熱して溶融する4つのヒータ51とを備えている。これらのヒータ41,51は、それぞれ上下方向に沿って半田容器20に設置される。
【0059】
半田回収槽4用の4つのヒータ41は、半田回収槽4の外壁に相当する上容器20aに均等に配置される。一方、半田貯留槽5用の4つのヒータ51は、半田貯留槽5の外壁に相当する下容器20bに均等に配置される。容器20a,20bは円筒形であるため、このようにヒータ41,51を配置することで、容器20a,20bそれぞれの内部に収容した半田をムラなく均等に加熱できる。
【0060】
また、半田容器20の上部と下部とで独立したヒータ41,51を設けることで、半田容器20の上部と下部とを異なるタイミングで加熱することができる。半田付け装置1が電源オフの状態になると、半田噴流装置2の半田容器20に収容された半田が冷却されて固まった状態となる。仮に、このように固まった半田を下部から加熱したとすると、下部の半田から先に溶融する。その結果、溶融した下部の半田が膨張して上部の溶融していない半田を急激に押し上げ、半田容器20の外部に溢れる現象(半田爆発)が生じる可能性がある。
【0061】
本実施の形態の半田付け装置1では、電源オフの状態から始動した場合に、全体制御部10が上部のヒータ41を通電して一定期間が経過した後に、下部のヒータ51を通電する。したがって、半田容器20の上部にある半田が十分に加熱された後に、半田容器20の下部にある半田が加熱される。これにより、上部の半田から先に溶融するため、上述した現象(半田爆発)を防止できる。
【0062】
また、半田噴流装置2は、半田容器20の温度を検出することで、間接的に半田の温度を検出する2つの温度センサ42,52を備えている。これらの温度センサ42,52は、例えば、熱電対などである。一方の温度センサ42は半田回収槽4の外壁に相当する上容器20aの温度を検出し、他方の温度センサ52は半田貯留槽5の外壁に相当する下容器20bの温度を検出する。全体制御部10は、これらの温度センサ42,52の検出結果に基づいてヒータ41,51の動作を制御する。
【0063】
また、半田噴流装置2は、半田回収槽4における半田の液面の高さを検出する液位検出部43を備えている。液位検出部43は、互いに長さの異なる2本の電極43aを備えている。一方の電極43aは半田の不足を検出するために用いられ、他方の電極43aは半田のオーバーフローを検出するために用いられる。液位検出部43は、電極43aと半田容器20との間の通電状態によって、半田の液面の高さが電極43aの先端位置まであるか否かを検出する。液位検出部43が半田の不足を検出した場合は、半田供給口となる蓋体21の開口部21bを介して、半田回収槽4の内部に半田が供給される。
【0064】
また、半田噴流装置2は、気体を加熱する気体加熱部44を半田容器20の外部に備えている。気体加熱部44には、気体導入管23への経路とは異なる経路で、気体供給部7から窒素などの気体が供給される。気体加熱部44は、気体供給部7から供給された気体を例えば300°まで加熱し、加熱した気体を半田回収槽4に供給する。気体加熱部44から半田回収槽4に供給された加熱された気体は、中央開口部21aにおける噴流ノズル22を周囲を通過して、半田噴流装置2の上部に噴出する。したがって、気体加熱部44は、プリント基板9の対象領域の予備加熱ができるとともに、噴流ノズル22の外周の酸化を軽減できる。
【0065】
<3.半田付け装置の動作>
図8は、半田付け装置1の基本的な動作の流れを示す図である。
図8に示す動作は、一つのプリント基板9を処理するものである。したがって、
図8に示す動作は、一つのプリント基板9を処理するごとに繰り返される。また、
図8に示す動作の開始時点においては、半田噴流装置2は、予め定められた初期位置で待機しており、半田を噴流していない。
【0066】
図9は、
図8に示す動作の開始時点における半田噴流装置2の状態(以下、「初期状態」という。)を示す図である。
図9に示すように、半田回収槽4及び半田貯留槽5の内部には、溶融された液体状の半田Sが収容されている。半田噴流装置2の初期状態においては、開閉弁24が連通口33を開いている。このため、半田回収槽4の内部の半田Sと半田貯留槽5の内部の半田Sとは一体となっており、半田Sの液面の位置は半田回収槽4の下方となる。また、その液面の位置と同じ位置まで、噴流ノズル22の内部にも半田Sが侵入している。
【0067】
以下、
図8を参照しつつ、半田付け装置1の基本的な動作の流れについて説明する。まず、半田付け装置1に、対象物となる一つのプリント基板9が搬入される(ステップS11)。基板搬送機構8は、フラックスの塗布がなされたプリント基板9を隣接する装置などから受け取り、プリント基板9を所定位置まで搬送する(
図1の矢印AR1)。基板搬送機構8は、所定位置までプリント基板9を搬送すると、その所定位置でプリント基板9の移動を停止する。
【0068】
このように基板搬送機構8がプリント基板9を搬送している間に、並行して、三軸移動機構6が、初期位置から半田付けを行うための処理位置まで半田噴流装置2を移動する(ステップS12)。そして、このような三軸移動機構6による半田噴流装置2の処理位置までの移動中に、半田噴流装置2は半田Sの噴流を開始する(ステップS13)。
【0069】
図10は、半田Sの噴流を開始した半田噴流装置2の状態を示す図である。この状態においては、弁駆動部26が駆動して、開閉弁24が連通口33を閉じる。これにより、半田貯留槽5の内部は密封状態となる。
【0070】
また、気体供給部7(
図3参照。)が、半田噴流装置2の気体導入管23へ加圧した窒素などの気体を供給する。この気体は、気体導入管23を経由して、半田貯留槽5の上部の気体導入口34から半田貯留槽5の内部に供給される。これにより、加圧した気体が、半田貯留槽5の内部の半田Sの液面より上部に供給される。
【0071】
半田貯留槽5は、この気体の供給を受け、噴流ノズル22に半田Sを供給する。半田貯留槽5の内部は密封状態のため、気体の圧力により半田貯留槽5の内部の半田Sが下側に押圧される。これにより押し出された半田Sは、供給管35を経由して噴流ノズル22に侵入する。噴流ノズル22に侵入した半田Sは、噴流ノズル22の内部を上昇し、噴流ノズル22の上端部から噴流する。その結果、噴流ノズル22の上端部に、略半球状に盛り上がった状態の半田Sの流れが形成される。
【0072】
また、噴流ノズル22から流れ出た半田Sは、噴流ノズル22の外周の360°の全体を覆いながら、噴流ノズル22の外周を伝って下降し、中央開口部21aを通過して半田回収槽4まで移動する。これにより、噴流ノズル22から流れ出た半田Sは、半田回収槽4に回収される。
【0073】
このように半田Sを噴流した状態の半田噴流装置2を三軸移動機構6が処理位置まで移動すると、次に、プリント基板9の対象領域に選択的に半田付けを行う半田付け処理が実行される(ステップS14)。
【0074】
図11は、半田付け処理の動作を説明する図である。まず、プリント基板9の対象領域の下方から、三軸移動機構6が半田噴流装置2を上昇させる(矢印AR11)。これにより、噴流ノズル22の上端部から盛り上がった状態で流れる半田Sが、プリント基板9の対象領域にある電子部品91のリード92の一部に接触する。次に、三軸移動機構6が、プリント基板9の対象領域の範囲で、半田噴流装置2を略水平に移動させる(矢印AR12)。これにより、噴流ノズル22から噴流した半田Sが、プリント基板9の対象領域にある電子部品91のリード92の全体に付着する。そして、三軸移動機構6が、半田噴流装置2を下降させる(矢印AR13)。このような一連の動作により、プリント基板9の一つの対象領域に関して半田付けが行われる。
【0075】
一つのプリント基板9において、複数の対象領域が存在する場合は、対象領域ごとに同様の半田付け処理が繰り返される(ステップS15,S14)。半田噴流装置2は、所定の噴流期間(例えば、60秒間)において継続して半田Sを噴流できる。半田噴流装置2は、一つのプリント基板9に存在する対象領域の全てに対する半田付け処理をこの噴流期間中に完了する。噴流期間中においては、半田貯留槽5の内部の半田Sの液面の位置は徐々に低下していくことになる。
【0076】
全ての対象領域について半田付け処理が完了すると(ステップS15にてYes)、三軸移動機構6が、処理位置から初期位置まで半田噴流装置2を移動する(ステップS16)。そして、このような三軸移動機構6による半田噴流装置2の初期位置までの移動中に、半田噴流装置2は半田の噴流を停止する(ステップS17)。
【0077】
図12は、半田Sの噴流を停止した半田噴流装置2の状態を示す図である。この状態においては、気体供給部7が半田噴流装置2への気体の供給を停止するとともに、弁駆動部26が駆動して開閉弁24が連通口33を開ける。
【0078】
このため、半田回収槽4に回収されて蓄積された半田Sは、連通口33及び戻り管36を経由して半田貯留槽5に流れ込む。これにより、噴流ノズル22から噴流されてプリント基板9に接触せずに流れ出た半田Sが、半田貯留槽5に戻ることになる。半田貯留槽5を充満していた気体は、このような半田Sによって押し出され、気体導入口34を経由して気体導入管23を逆流して半田噴流装置2の外部に排出される。その後、半田Sが半田貯留槽5の内部全体を満たすと、半田噴流装置2は
図9に示す初期状態に戻ることになる。
【0079】
また、このように三軸移動機構6が半田噴流装置2を移動している間に、並行して、半田付け処理が完了したプリント基板9が搬出される(ステップS18)。基板搬送機構8は、所定位置から半田付け装置1の端部までプリント基板9を搬送し、プリント基板9を隣接する装置などに受け渡す(
図1の矢印AR2)。
【0080】
半田付け装置1は、以上のような一連の動作を行うことにより、一つのプリント基板9に対して半田付けを行う。このような一連の動作において、半田噴流装置2は、半田回収槽4で回収した半田Sを半田貯留槽5に戻す動作(
図12の動作)を行うことになる。すなわち、半田噴流装置2は、一定期間ごとに半田Sを噴流しない状態となり、間欠的に半田Sを噴流する。したがって、半田付け装置1は、間欠噴流式の半田付け装置であるともいえる。
【0081】
<4.半田貯留槽の密封>
次に、半田Sを噴流する状態(
図10に示す状態)において、半田貯留槽5の内部を密封状態に維持する手法について説明する。本実施の形態の半田噴流装置2においては、区画板31の下面に接合された戻り管36及びカバー部材37により、このような半田貯留槽5の内部が密封状態に維持されるようになっている。
【0082】
図13は、比較例となる半田噴流装置2aを示す図である。この半田噴流装置2aの構成は、戻り管36及びカバー部材37を備えていない点のみが、本実施の形態の半田噴流装置2の構成と異なっている。
【0083】
図13に示す半田噴流装置2aにおいて、噴流ノズル22から半田Sを噴流させるために、開閉弁24で連通口33を閉じ、気体導入管23へ気体を供給した場合を想定する。この場合においても、気体導入口34から半田貯留槽5の内部の半田Sの液面より上部に気体が供給され、押し出された半田Sが供給管35を経由して噴流ノズル22の上端部から噴流する。
【0084】
ただし、この半田噴流装置2aにおいてこのように半田貯留槽5に気体を供給すると、半田貯留槽5の上面に連通口33が位置するため、この連通口33の下部に気体が侵入する。また、区画板31と半田容器20との境界部分(区画板31と段差部20cとが当接する部分)にも気体が進入する。この気体の分子の大きさは、溶融された半田Sの分子の大きさと比較して小さい。
【0085】
開閉弁24は連通口33を閉じているため、開閉弁24と連通口33とは接触している。しかしながら、この開閉弁24と連通口33との接触部分(図中において破線A1で囲む部分)には、半田Sは侵入できないが気体は侵入できる程度の僅かな隙間が存在する。このため、このような開閉弁24と連通口33との接触部分にある僅かな隙間から、半田貯留槽5に供給された気体が半田回収槽4に漏れる可能性がある。
【0086】
また、区画板31と半田容器20との境界部分(図中において破線A2で囲む部分)においても、半田Sは侵入できないが気体は侵入できる程度の僅かな隙間が存在する。このため、このような区画板31と半田容器20との境界部分にある僅かな隙間から、半田貯留槽5に供給された気体が半田回収槽4に漏れる可能性がある。
【0087】
このように比較例となる半田噴流装置2aにおいては、半田貯留槽5から半田回収槽4に気体が漏れる可能性がある。このように気体が漏れると、半田貯留槽5の内部を密封状態に維持できないため、噴流ノズル22から安定的に半田Sを噴流できなくなる。その結果、プリント基板9の対象領域に正確に半田付けを行うことができなくなるおそれがある。
【0088】
これに対して、
図10に示すように、本実施の形態の半田噴流装置2においては、上端36aが区画板31の下面に接合されて、連通口33の下部全体を囲む戻り管36が設けられている。このため、半田貯留槽5に気体を供給した場合においても、戻り管36の内部には気体は侵入できず、戻り管36の内部は半田Sで満たされる。このため、連通口33の下部に気体が入り込まないことから、開閉弁24と連通口33との接触部分(図中において破線A1で囲む部分)からの気体の漏れを防止できる。また、半田Sは、その分子の大きさから、開閉弁24と連通口33との接触部分に侵入できないため、半田貯留槽5を密封状態に維持することができる。
【0089】
また、半田噴流装置2においては、上端37aが区画板31の下面に接合されて、区画板31と半田容器20との境界部分(図中において破線A2で囲む部分)の全体を内側から覆うカバー部材37が設けられている。カバー部材37と半田容器20の内面とは接触することが望ましいが、カバー部材37と半田容器20の内面との間に隙間がある場合においても、この隙間は半田Sで満たされる。
【0090】
このため、半田貯留槽5に気体を供給した場合においても、カバー部材37と半田容器20の内面との間には気体は侵入できない。このため、区画板31と半田容器20との境界部分に気体が入り込まないことから、区画板31と半田容器20との境界部分からの気体の漏れも防止できる。また、半田Sは、その分子の大きさから、区画板31と半田容器20との境界部分に侵入できないため、半田貯留槽5を密封状態に維持することができる。
【0091】
このように本実施の形態の半田噴流装置2においては、区画板31の下面に接合された戻り管36及びカバー部材37により、半田貯留槽5の内部を密封状態に維持できる。このため、噴流ノズル22から安定的に半田Sを噴流できることから、プリント基板9の対象領域に正確に半田付けを行うことができる。
【0092】
また、半田貯留槽5の内部の半田Sの量が減少するなどにより、半田貯留槽5への気体の供給中(噴流期間中)に、半田貯留槽5の内部の半田Sの液面の位置が想定よりも低くなる場合が考えられる。この場合においては、
図14に示すように、半田貯留槽5の内部の半田Sの液面の位置が供給管35の下端35bの位置まで低下した時点で、気体は、供給管35及び噴流ノズル22を経由して半田噴流装置2の外部に抜けていくことになる。
【0093】
したがって、この時点で、気体は半田Sの液面を押圧しなくなり、噴流ノズル22から半田Sが噴流しなくなる。このため、半田貯留槽5の内部の半田Sの液面の位置は、供給管35の下端35bの位置よりも大きく低下することはない。
【0094】
上述のように、戻り管36の下端36b及びカバー部材37の下端37bの位置は、供給管35の下端35bの位置より低くなっている。半田貯留槽5の内部の半田Sの液面の位置は供給管35の下端35bの位置よりも大きく低下することはないため、この構成により、戻り管36の内部、及び、カバー部材37と半田容器20の内面との間に気体が侵入することはない。
【0095】
<5.気体の供給>
次に、半田貯留槽5への気体の供給について説明する。前述のように、気体供給部7が窒素などの加圧した気体を半田噴流装置2の半田貯留槽5に供給することで、半田噴流装置2は噴流ノズル22から半田Sを噴流する。
【0096】
噴流ノズル22が噴流する半田Sの流量は、気体供給部7が半田貯留槽5に供給する気体の流量に比例する。噴流ノズル22が噴流する半田Sの流量Q1は、気体供給部7が半田貯留槽5に供給する気体の流量Q2と、所定の係数Kとにより次の式(1)で表される。係数Kは、気体の種類や半田噴流装置のサイズ等に応じて決定される値である。
【0097】
Q1=Q2・K …(1)
本実施の形態の半田噴流装置2では、係数Kは例えば0.7である。半田貯留槽5に供給された気体は半田貯留槽5の内部で圧縮されるため、この気体の流量Q2よりも噴流する半田Sの流量Q1は少なくなる。
【0098】
このように噴流ノズル22が噴流する半田Sの流量Q1は、気体供給部7が半田貯留槽5に供給する気体の流量Q2に比例するため、半田貯留槽5に供給する気体の流量Q2が把握できれば、噴流ノズル22が噴流する半田Sの流量Q1を間接的に把握できる。
【0099】
ここで仮に気体供給部7が、略一定の圧力の気体を半田貯留槽5に供給した場合を想定する。
図15は、この場合における、気体供給部7が半田貯留槽5に供給する気体の圧力P及び流量Q2の時間的な変化を示している。図中の実線が気体の圧力P、破線が気体の流量Q2をそれぞれ示している。気体供給部7は、時点T1で気体の供給を開始し、時点T2で気体の供給を停止する。
【0100】
図15に示すように、気体供給部7が略一定の圧力の気体を半田貯留槽5に供給した場合においては、気体供給部7が半田貯留槽5に供給する気体の流量Q2は、時間の経過とともに徐々に低下する。すなわち、噴流ノズル22が噴流する半田Sの流量Q1が、時間の経過とともに徐々に低下することになる。
【0101】
図16は、この原理を説明するための図である。図中左側は、気体供給部7が気体の供給を開始した直後の半田噴流装置2の状態を示している。一方、図中右側は、気体供給部7が気体の供給を開始してから、ある程度の時間が経過した後の半田噴流装置2の状態を示している。なお、この説明では、噴流ノズル22と供給管35とを合わせたものを一つのノズルとみなして、単に噴流ノズル22と称する。
【0102】
半田噴流装置2においては、半田貯留槽5の内部に供給された気体が半田Sの液面を下側に押圧することで、噴流ノズル22の内部において、半田Sの液面の位置Lから噴流ノズル22の上端部22aより上まで半田Sを押し上げる力が生じる。その結果、半田噴流装置2は、噴流ノズル22の上端部22aから半田Sを噴流させる。
【0103】
図16に示すように、気体供給部7が気体の供給を開始した後においては、半田貯留槽5の内部における半田Sの液面の位置Lは徐々に低下する。このような半田Sの液面の位置Lの低下に伴い、噴流ノズル22の内部において半田Sを押し上げる必要のある距離Hは徐々に長くなる。したがって、半田貯留槽5の内部の半田Sの液面に略一定の圧力をかけ続けたとすると、パスカルの原理により、噴流ノズル22の上端部22aより上に半田Sを押し上げる力は徐々に低下する。その結果、噴流ノズル22が噴流する半田Sの流量Q1(すなわち、気体供給部7が供給する気体の流量Q2)が、時間の経過とともに徐々に低下することになる。
【0104】
このように噴流ノズル22が噴流する半田Sの流量Q1が低下すると、噴流ノズル22の上端部22aに盛り上がる半田Sの高さが低下するため、プリント基板9の対象領域に正確に半田付けを行うことができなくなるおそれがある。
【0105】
これに対応するため、本実施の形態の半田付け装置1は、半田貯留槽5に供給する気体の流量Q2を略一定にする機能を有している。
図17は、半田付け装置1の気体の供給に関連する構成を示す図である。
【0106】
気体供給部7は、窒素などの気体の供給源となるボンベなどの気体供給源71を備えている。気体供給源71から半田噴流装置2へはホースなどの気体供給経路79を介して気体が供給される。また、気体供給部7は、この気体供給経路79に圧力調整部72と流量検出部73とを備えている。
【0107】
圧力調整部72は、気体供給経路79を流れる気体(すなわち、半田貯留槽5に供給する気体)の圧力を調整する。圧力調整部72は、内部にバルブを備えており、全体制御部10から与えられる電気信号に応じてバルブの開度を調整することで、気体供給経路79を流れる気体の圧力を調整する。
【0108】
流量検出部73は、気体供給経路79を流れる気体(すなわち、半田貯留槽5に供給する気体)の流量Q2を検出する。流量検出部73は、例えば、熱式質量流量計であり、気体によって奪われる熱量を検出することで、気体供給経路79を流れる気体の流量Q2を検出する。流量検出部73は、検出した気体の流量Q2を電気信号として全体制御部10に出力する。
【0109】
また、全体制御部10は、プログラムに従って処理を行うことで実現される機能の一部として、圧力指示部10a及び異常検出部10bを備えている。
【0110】
圧力指示部10aは、気体の流量Q2が略一定となるようにフィードバック制御を行う。すなわち、圧力指示部10aは、流量検出部73に検出された気体の流量Q2に基づいて、その気体の流量Q2が予め定められた基準量に近づくように圧力調整部72に気体の圧力を調整させる。
【0111】
圧力指示部10aは、流量検出部73に検出された気体の流量Q2が基準量より小さい場合は、圧力調整部72に気体の圧力を上げさせる。また逆に、圧力指示部10aは、流量検出部73に検出された気体の流量Q2が基準量より大きい場合は、圧力調整部72に気体の圧力を下げさせる。これにより、圧力指示部10a及び圧力調整部72は、気体供給経路79を流れる気体、すなわち、半田貯留槽5に供給する気体の流量Q2を略一定にする。
【0112】
図18は、本実施の形態の気体供給部7が半田貯留槽5に供給する気体の圧力P及び流量Q2の時間的な変化を示している。図中の実線が気体の圧力P、破線が気体の流量Q2をそれぞれ示している。気体供給部7は、時点T1で気体の供給を開始し、時点T2で気体の供給を停止する。
【0113】
図18に示すように、圧力指示部10a及び圧力調整部72が、半田貯留槽5に供給する気体の圧力Pを調整し、時間の経過とともに気体の圧力Pを徐々に上昇させている。これにより、気体供給部7が半田貯留槽5に供給する気体の流量Q2は略一定となっている。噴流ノズル22が噴流する半田Sの流量Q1はこの気体の流量Q2に比例するため、噴流ノズル22が噴流する半田Sの流量Q1も略一定となり安定化することになる。
【0114】
図17に戻り、異常検出部10bは、圧力指示部10a及び圧力調整部72が調整した気体の圧力Pに基づいて、半田付け装置1の異常を検出する。半田付け装置1が正常に動作している場合は、圧力指示部10a及び圧力調整部72により調整された気体の圧力Pは所定の基準範囲内の値となる。
【0115】
これに対して、調整された気体の圧力Pが基準範囲を外れる程度に高い場合は、半田噴流装置2の噴流ノズル22などにおいて噴流詰まりなどの異常が生じた可能性がある。このため、異常検出部10bは、調整された気体の圧力Pが所定の第1閾値よりも高い場合は、異常が生じたと判定する。また、調整された気体の圧力Pが基準範囲を外れる程度に低い場合は、気体供給経路79などにおいて気体の漏れなどの異常が生じた可能性がある。このため、異常検出部10bは、調整された気体の圧力Pが所定の第2閾値よりも低い場合も、異常が生じたと判定する。このように、異常検出部10bは、圧力指示部10a及び圧力調整部72により調整された気体の圧力Pに基づいて、半田付け装置1の異常を容易に検出することができる。
【0116】
図19は、気体の供給に関する半田付け装置1の動作の流れを示す図である。
図19の動作は、
図8における半田Sの噴流の開始から半田Sの噴流の停止までの動作(ステップS13〜S17)と並行して行われるものとなる。
【0117】
まず、気体供給部7が、半田噴流装置2への気体の供給を開始する(ステップS21)。これにより、半田噴流装置2は半田Sの噴流を開始する。このステップS21は、
図8のステップS13に相当する。
【0118】
次に、流量検出部73が、半田貯留槽5に供給する気体の流量Q2を検出する(ステップS22)。流量検出部73は、検出した気体の流量Q2を電気信号として全体制御部10に出力する。
【0119】
次に、全体制御部10の圧力指示部10aが、流量検出部73に検出された気体の流量Q2と予め定められた基準量とを比較する(ステップS23)。そして、気体の流量Q2が基準量より小さい場合は(ステップS24にてYes)、圧力指示部10aは、圧力調整部72に信号を送出して気体の圧力Pを上げさせる(ステップS25)。また逆に、気体の流量Q2が基準量より大きい場合は(ステップS24にてNo)、圧力指示部10aは、圧力調整部72に信号を送出して気体の圧力Pを下げさせる(ステップS26)。
【0120】
次に、全体制御部10の異常検出部10bが、圧力指示部10a及び圧力調整部72により調整された気体の圧力Pに基づいて、半田付け装置1の異常が生じたか否かを判定する(ステップS27)。そして、異常検出部10bが異常を検出しなければ(ステップS28にてNo)、再び処理はステップS22に戻り、上記と同様の動作が繰り返される。このような一連の動作が、所定の噴流期間(例えば、60秒間)が終了するまで(ステップS29にてNoの間)繰り返される。
【0121】
したがって、圧力指示部10a及び圧力調整部72は、半田貯留槽5に供給される気体の流量Q2の変化にリアルタイムに応じ、その気体の流量Q2が基準量に近づくように気体の圧力Pを調整することになる。その結果、噴流期間の開始から終了まで、半田貯留槽5に供給される気体の流量Q2が略一定に維持される。すなわち、噴流ノズル22が噴流する半田Sの流量Q1が略一定に維持される。
【0122】
噴流期間が終了すると(ステップS29にてYes)、気体供給部7が、半田噴流装置2への気体の供給を停止する(ステップS30)。これにより、半田噴流装置2は半田Sの噴流を停止する。このステップS30は、
図8のステップS17に相当する。
【0123】
また、噴流期間において異常検出部10bが異常を検出した場合は(ステップS28にてYes)、異常検出部10bは、半田付け装置1の動作を強制的に停止する(ステップS31)とともに、警告表示器13の回転灯を点灯させてユーザに異常を報知する(ステップS32)。
【0124】
このように本実施の形態の半田噴流装置2では、流量検出部73が半田貯留槽5に供給する気体の流量Q2を検出することで、噴流ノズル22が噴流する半田の流量Q1を間接的に検出する。このため、噴流する半田の流量Q1を直接的に検出することなく、その半田の流量Q1を把握できる。そして、圧力指示部10a及び圧力調整部72が、流量検出部73に検出された気体の流量Q2に基づいて半田貯留槽5に供給する気体の圧力を調整し、半田貯留槽5に供給する気体の流量Q2を略一定にする。したがって、噴流ノズル22が噴流する半田Sの流量Q1を安定化することができ、プリント基板9の対象領域に正確に半田付けを行うことができる。
【0125】
<6.変形例>
以上、本発明の実施の形態について説明してきたが、この発明は上記実施の形態に限定されるものではなく様々な変形が可能である。以下では、このような変形例について説明する。上記実施の形態及び以下で説明する形態を含む全ての形態は、適宜に組み合わせ可能である。
【0126】
上記実施の形態では、噴流ノズル22、供給管35及び戻り管36の断面は略円形であると説明したが、これらの断面は楕円形や矩形などの他の形状であってもよい。また、カバー部材37の断面も略円形であると説明したが、半田容器20の内面に沿って配置できるように半田容器20の内面の形状に合わせた形状とすればよい。
【0127】
また、上記実施の形態では、区画板31は、半田容器20の段差部20cに固定されていた。これに対し、区画板は、段差部の無い半田容器の壁面に固定されてもよい。この場合においても、カバー部材が区画板と半田容器との境界部分の全体を覆うようにすれば、区画板と半田容器との境界部分からの気体の漏れを防止できる。
【0128】
また、上記実施の形態では、区画板31と半田容器20とは締結具39によって固定されていた。これに対して、区画板と半田容器とを溶接などによって隙間なく接合してもよい。この場合は、区画板と半田容器との境界部分からの気体の漏れを防止するためのカバー部材はなくてもよい。
【0129】
また、上記実施の形態では、噴流ノズル22と供給管35とは別の部材として構成されていたが、一つの部材として構成されてもよい。
【0130】
また、上記実施の形態の半田付け装置1では、半田付け処理を行う際に、所定位置に配置されたプリント基板9に対して半田噴流装置2を移動するようにしていたが、逆に、所定位置に配置された半田噴流装置2に対してプリント基板9を移動してもよい。すなわち、半田付け装置は、対象物と半田噴流装置との相対位置を変更する移動機構を備えていればよい。
【0131】
また、上記実施の形態において一つのブロックとして説明した機能は必ずしも単一の物理的要素によって実現される必要はなく、分散した物理的要素によって実現されてよい。また、上記実施の形態で複数のブロックとして説明した機能は単一の物理的要素によって実現されてもよい。