(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2015-25286(P2015-25286A)
(43)【公開日】2015年2月5日
(54)【発明の名称】路面に敷設される消雪用ブロック用の鉄筋かご
(51)【国際特許分類】
E01H 5/10 20060101AFI20150109BHJP
E01H 3/04 20060101ALI20150109BHJP
【FI】
E01H5/10 B
E01H3/04 Z
【審査請求】有
【請求項の数】2
【出願形態】OL
【全頁数】9
(21)【出願番号】特願2013-155214(P2013-155214)
(22)【出願日】2013年7月26日
(11)【特許番号】特許第5390042号(P5390042)
(45)【特許公報発行日】2014年1月15日
(71)【出願人】
【識別番号】512179658
【氏名又は名称】松浦 実雄
(74)【代理人】
【識別番号】100147072
【弁理士】
【氏名又は名称】杉谷 裕通
(74)【代理人】
【識別番号】100097696
【弁理士】
【氏名又は名称】杉谷 嘉昭
(72)【発明者】
【氏名】松浦 実雄
【テーマコード(参考)】
2D026
【Fターム(参考)】
2D026BB00
(57)【要約】
【課題】
製造が容易でコストが小さい消雪用ブロックの製造用の鉄筋かごを提供する。
【解決手段】路面に敷設される消雪用ブロックを製造する鉄筋かご(1)として構成する。鉄筋かご(1)は、上部が開口したたかご体(2)と、この開口部を閉鎖して溶接する平板状の網体(3)とから構成する。かご体(2)の開口部近傍には、網体(3)を構成している1本の鉄筋(22)が入れられる所定の隙間(21)を形成する。これによってかご体(2)の隙間(21)に網体(23)の一本の鉄筋(22)を入れると、網体(3)が蝶番状にかご体(2)に対して開閉させることができる。網体(3)をかご体(3)の開口部に被せて固着すると鉄筋かご(1)が製造できる。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
細長い直方体状を呈し、路面に敷設されるとき露出する上面に複数個の散水ノズルが埋め込まれ、内部に設けられている通水管から供給される水が前記散水ノズルから散水されて前記路面上の雪を融雪するようになっている消雪用ブロックの、該ブロック製造用の鉄筋かごであって、
鉄筋かごは、底部と一対の壁部とから略直方体状を呈するようにかつ上部が開口するように形成されたかご体と、平板状に形成された網体とからなり、前記かご体に前記散水ノズルを備えた前記通水管を入れ、前記かご体の開口部を前記網体によって閉鎖し、前記かご体と前記網体とを溶接により固着し、あるいは結束線によって結束することによって一体化し、そしてコンクリートを打設すると消雪用ブロックが製造されるようになっており、
前記かご体は、直線状の複数本の棒状鉄筋と所定形状に折り曲げられた複数本の第1の鉄筋と同様に所定形状に折り曲げられた複数本の第2の鉄筋とからなり、前記棒状鉄筋が並行に配置され、そして前記棒状鉄筋に沿って所定の間隔を空けて前記第1、2の鉄筋が配置され、溶接によって前記棒状鉄筋に固着されるようにして形成されており、
前記第1、2の鉄筋は、少なくとも3箇所において折り曲げられ、それによって互いに接続されている第1〜4の直線部分を備え、前記第1の直線部分は前記かご体の前記開口部の一部に、前記第2の直線部分は一方の前記壁部に、前記第3の直線部分は前記底部に、前記第4の直線部分は他方の前記壁部にそれぞれ対応しており、
前記第2の鉄筋は前記第2の直線部分が前記第1の鉄筋の前記第2の直線部分より、鉄筋の略直径分だけ短くなっており、それによって前記かご体を長手方向に視たときに前記第1の鉄筋の前記第1の直線部分と前記第2の鉄筋の前記第1の直線部分との間に隙間が形成され、前記網体を構成している一本の鉄筋が前記隙間に入れられるようになっていることを特徴とする、消雪用ブロック製造用の鉄筋かご。
【請求項2】
請求項1に記載の鉄筋かごにおいて、前記第1、2の鉄筋は4箇所において折り曲げられ、それによって互いに接続されている前記第1〜4の直線部分と第5の直線部分とを備え、前記第5の直線部分は前記かご体の前記開口部の一部に対応しており、前記かご体において、前記第1、2の鉄筋を前記第4の直線部分と前記第5の直線部分の接続点において固着している棒状鉄筋を備えていることを特徴とする消雪用ブロック製造用の鉄筋かご。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、路面に敷設され、路面に積もった雪を散水によって融雪する消雪用ブロックの、該ブロック製造用の鉄筋かごに関するものであり、より詳しくは、細長い直方体状を呈し、路面に敷設されるとき露出する上面に複数個の散水ノズルが埋め込まれ、内部に設けられている通水管から供給される水が散水ノズルから散水されるようになっている消雪用ブロックの、製造用の鉄筋かごに関するものである。
【背景技術】
【0002】
豪雪地帯においては、散水ノズルを備えた消雪用ブロックが路面に埋設され、積雪時に散水ノズルから地下水等が散水されて路面の雪が融雪されるようになっている。消雪用ブロックは、特許文献1にも提案されているように、色々な文献において提案されているが、例えば
図5のように構成されている。消雪用ブロック50は、正確には断面形状が台形状を呈しているが、概略的には細長い略直方体状を呈するブロックからなる。消雪用ブロック50の2辺の短辺は30〜40cm、長辺の長さは例えば5〜10mのようになっている。そして、
図5において上面51が、該消雪用ブロック50が路面に敷設されたときに露出する面になっており、複数個の散水ノズル52、52、…が埋め込まれている。また消雪用ブロック50には、内部に長手方向に延びる通水管54が設けられており、この通水管54から分岐した管の先端に散水ノズル52、52、…が接続されている。従って消雪用ブロック50が路面に敷設され、通水管54に所定の水圧で地下水等が供給されると、散水ノズル52、52、…のそれぞれから散水されて路面に積もった雪が融けるようになっている。
【0003】
このような消雪用ブロック50は、鉄筋コンクリートから形成され、内部には消雪用ブロック50を補強する鉄筋かご、あるいは通水管54を保護する保護鉄筋が設けられている。鉄筋かご55は、
図6の(ア)に示されているように、略U字溝状を呈するかご体56と、平板状を呈する網体57とから構成されている。かご体56は、略コの字型を呈するように折り曲げられた複数本のコの字鉄筋59、59、…と、直線状の棒状鉄筋60とから溶接によって形成されており、上部が開口している。一方、網体57は、全て真っ直ぐな鉄筋62、63、…から溶接によって網状に形成されている。このようなかご体56と網体57とから、消雪用ブロック50は次のように製造される。かご体56を開口部が上を向くように設置する。この開口部から、散水ノズル52、52、…が設けられている通水管54を散水ノズル52、52、…が下向きになるように入れる。そしてかご体56の開口部を閉鎖するように網体57を設ける。
図6の(イ)には、この状態を長手方向から見た様子が示されている。符号64、64で示されている部分を溶接によって固着すると、かご体56と網体57が一体化して鉄筋かご55が形成される。このような鉄筋かご55は通水管54を囲って保護しているので保護鉄筋ということもできる。これを、図示されていない型枠内に入れ、コンクリートを打設し、固化を待って型枠から取り出すと消雪用ブロック50が得られる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平10−311013号公報
【特許文献2】特許第5116000号公報
【0005】
特許文献2は本出願人の出願に係る特許文献であるが、この文献にも消雪用ブロック用の鉄筋かごが記載されている。特許文献2に記載の鉄筋かご70は、
図7の(ア)に示されているように、一方の面が開口した略U字溝状を呈するかご体71と、平板状の網体72とから構成されている。そして
図7の(イ)に示されているように、かご体71にその開口部から散水ノズル74を備えた通水管75を入れ、そして網体72によって開口部を閉鎖し、かご体71と網体72とを溶接により固着する。そしてコンクリートを打設すると消雪用ブロックが製造されるようになっている。ところで特許文献2に御記載の鉄筋かご70においては、かご体71は、略コの字状を呈する第1、2の鉄筋77、78、…と、直線状の棒状鉄筋79、79、…とから構成されている。第1の鉄筋77、77、…は1本の鉄筋から2箇所が折り曲げられて略コの字形に形成され、第2の鉄筋78、78、…は1本の鉄筋から2箇所が折り曲げられて略コの字形に形成されていると共にさらに両先端部近傍において内側に折り曲げられて爪状80、80に形成されている。このような複数本の第1、2の鉄筋77、78、…が、並行に配置された2本以上の棒状鉄筋79、79、…に沿って、所定の間隔を空けて設けられ、溶接によって棒状鉄筋79、79、…に固着されている。従って、かご体71の開口部に網体72が入れられると、第2の鉄筋78、78、…の爪状の部分80、80によって網体72が支持されるようになっている。網体72が支持されるので、かご体71と網体72の溶接は容易になっている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
従来の鉄筋かご55によっても、消雪用ブロック50を製造できるので、消雪用ブロックとしては格別に問題はない。しかしながら解決すべき問題も見受けられる。従来の鉄筋かご55において、かご体56と網体57とを溶接によって一体化するとき、網体57を支持しないと網体57は落下してしまう。あるいは
図6の(ウ)に示されているように斜めになってしまう。従って溶接によって一体化するときには、網体57の一方と他方の端部を、アシスタント作業者によって支えてもらって網体57を固定した状態で実施している。そうすると溶接作業者以外にアシスタント作業者が格別に2名必要になり、製造コストが嵩んでしまう。あるいは網体57を支持する特別な治具を用意すれば、アシスタント作業者がいなくても溶接時に網体57を支持することはできそうである。しかしながら治具が格別に必要であるという問題もあるし、溶接前に治具を設置し、溶接後に治具を取り外すようにする必要があり、作業が繁雑である。
【0007】
一方、特許文献2に記載の鉄筋かご70の場合には、網体72はかご体71の開口部近傍において支持されるようになっているので、溶接は容易である。これによって格段に製造コストが小さくなっている。しかしながら、さらに工夫すべき点も見受けられる。すなわち特許文献2に記載の鉄筋かご70を製造する場合には、網体72にかご体71を載せて溶接するときに、
図7の(イ)の符号82、83で示されている箇所をいずれも溶接しなければならない。つまり作業員は一方の符号82、82、…で示されている箇所を溶接した後に、かご体71の反対側に回り込んで符号83、83、…で示されている箇所を溶接しなければならない。そうすると作業効率は十分に高いとは言えず、製造コストをさらに小さくする余地が見受けられる。
【0008】
本発明は、上記したような従来の問題を解決した、消雪用ブロックを製造する鉄筋かごを提供することを目的としており、具体的には、格別に治具を必要としないにも拘わらず、製造時の作業が容易で製造コストが小さい消雪用ブロックの製造用の鉄筋かごを提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明は、上記目的を達成するために、路面に敷設される消雪用ブロックを製造する鉄筋かごとして構成される。消雪用ブロックは直方体状を呈し、直方体状の鉄筋かごの内部に設通水管が設けられこの通水管に複数個の散水ノズルが接続されている。従って路面に敷設されると散水ノズルから散水された水によって路面を融雪することができる。この鉄筋かごは、上部が開口したたかご体と、平板状に形成された網体とから構成し、かご体の開口部を網体で閉鎖して溶接すると得られるようになっている。本発明においてはかご体の開口部近傍には、網体の一部、すなわち網体を構成している1本の鉄筋が入れられる所定の隙間を形成する。これによってかご体のこの隙間に網体の一本の鉄筋を入れると、網体の一方の端部が蝶番のように作用して網体がかご体の開口部に対して開閉させることができる。このようにして網体をかご体の開口部に被せると、網体の他方の端部をかご体に固着するだけで鉄筋かごが製造できる。
【0010】
すなわち請求項1に記載の発明は、細長い直方体状を呈し、路面に敷設されるとき露出する上面に複数個の散水ノズルが埋め込まれ、内部に設けられている通水管から供給される水が前記散水ノズルから散水されて前記路面上の雪を融雪するようになっている消雪用ブロックの、該ブロック製造用の鉄筋かごであって、鉄筋かごは、底部と一対の壁部とから略直方体状を呈するようにかつ上部が開口するように形成されたかご体と、平板状に形成された網体とからなり、前記かご体に前記散水ノズルを備えた前記通水管を入れ、前記かご体の開口部を前記網体によって閉鎖し、前記かご体と前記網体とを溶接により固着し、あるいは結束線によって結束することによって一体化し、そしてコンクリートを打設すると消雪用ブロックが製造されるようになっており、前記かご体は、直線状の複数本の棒状鉄筋と所定形状に折り曲げられた複数本の第1の鉄筋と同様に所定形状に折り曲げられた複数本の第2の鉄筋とからなり、前記棒状鉄筋が並行に配置され、そして前記棒状鉄筋に沿って所定の間隔を空けて前記第1、2の鉄筋が配置され、溶接によって前記棒状鉄筋に固着されるようにして形成されており、前記第1、2の鉄筋は、少なくとも3箇所において折り曲げられ、それによって互いに接続されている第1〜4の直線部分を備え、前記第1の直線部分は前記かご体の前記開口部の一部に、前記第2の直線部分は一方の前記壁部に、前記第3の直線部分は前記底部に、前記第4の直線部分は他方の前記壁部にそれぞれ対応しており、前記第2の鉄筋は前記第2の直線部分が前記第1の鉄筋の前記第2の直線部分より、鉄筋の略直径分だけ短くなっており、それによって前記かご体を長手方向に視たときに前記第1の鉄筋の前記第1の直線部分と前記第2の鉄筋の前記第1の直線部分との間に隙間が形成され、前記網体を構成している一本の鉄筋が前記隙間に入れられるようになっていることを特徴とする、消雪用ブロック製造用の鉄筋かごとして構成される。
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の鉄筋かごにおいて、前記第1、2の鉄筋は4箇所において折り曲げられ、それによって互いに接続されている前記第1〜4の直線部分と第5の直線部分とを備え、前記第5の直線部分は前記かご体の前記開口部の一部に対応しており、前記かご体において、前記第1、2の鉄筋を前記第4の直線部分と前記第5の直線部分の接続点において固着している棒状鉄筋を備えていることを特徴とする消雪用ブロック製造用の鉄筋かごとして構成される。
【発明の効果】
【0011】
以上のように、本発明によると、細長い直方体状を呈し、路面に敷設されるとき露出する上面に複数個の散水ノズルが埋め込まれ、内部に設けられている通水管から供給される水が散水ノズルから散水されて路面上の雪を融雪するようになっている消雪用ブロックの、該ブロック製造用の鉄筋かごとして構成されている。つまり本発明は、一般的な消雪用ブロックを対象として、その製造用の鉄鋼かごということができる。すなわち実質的にほとんどの消雪用ブロックに対応している。そして、鉄筋かごは、かご体と、平板状の網体とから構成され、かご体の開口部を閉鎖し、かご体と網体とを溶接により固着しれば得られる。そして本発明によると、かご体は、直線状の複数本の棒状鉄筋と所定形状に折り曲げられた複数本の第1の鉄筋と同様に所定形状に折り曲げられた複数本の第2の鉄筋とからなり、棒状鉄筋が並行に配置され、そして棒状鉄筋に沿って所定の間隔を空けて第1、2の鉄筋が配置され、溶接によって棒状鉄筋に固着されるようにして形成されている。かご体は、底部と一対の壁部とから略直方体状を呈し、上部は開口しているが、第1、2の鉄筋は、少なくとも3箇所において折り曲げられ、それによって互いに接続されている第1〜4の直線部分を備え、第1の直線部分はかご体の開口部の一部に、第2の直線部分は一方の壁部に、第3の直線部分は底部に、第4の直線部分は他方の壁部にそれぞれ対応している。そして第2の鉄筋は第2の直線部分が第1の鉄筋の第2の直線部分より、鉄筋の略直径分だけ短くなっており、それによってかご体を長手方向に視たときに第1の鉄筋の第1の直線部分と第2の鉄筋の第1の直線部分との間に隙間が形成され、網体を構成している一本の鉄筋が隙間に入れられるようになっている。つまり本発明に係るかご体には開口部近傍に隙間が形成され、網体の一部の鉄筋をこの隙間に入れられるようになっている。この隙間に網体の一部の鉄筋を入れる、網体は一方の端部を蝶番のようにしてかご体の開口部に対して開閉されることになる。そうすると開口部を閉鎖するように網体を閉じ、網体の他方の端部をかご体に対して溶接すると鉄筋かごが形成されることになる。そうするとアシスタント作業者がいなくても、あるいは特別な治具がなくても、溶接作業者一人だけでかご体と網体とを溶接によって固定して鉄筋かごを得ることができるし、かご体への網体の溶接は一方の端部だけ実施すればいいので作業効率が高い。従って、消雪用ブロックの製造コストが小さくなる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図1】本発明の実施の形態に係る消雪用ブロックの鉄筋かごを模式的に示す図で、その(ア)、(イ)は鉄筋かごを構成している第1、2の鉄筋を示す平面図、その(ウ)は鉄筋かごのかご体と網体とを示す斜視図、その(エ)は、かご体と網体を長手方向から視た側面図である。
【
図2】本発明の実施の形態に係る消雪用ブロックの鉄筋かごの製造方法を模式的に示す図で、その(ア)〜(エ)は各製造段階を示す側面図である。
【
図3】本発明の第2の実施の形態に係る消雪用ブロックの鉄筋かごを模式的に示す図で、その(ア)は鉄筋かごを構成している第1、2の鉄筋を示す平面図、その(イ)は、かご体を長手方向から視た側面図である。
【
図4】本発明の他の実施の形態に係る消雪用ブロックの一部を示す上面図である。
【
図6】従来の消雪用ブロックの製造方法を模式的に示す図で、その(ア)は鉄筋かごのかご体と網体と、通水管とを示す斜視図、その(イ)、(ウ)は、かご体に通水管を入れて網体を載せた状態を示す側面図である。
【
図7】従来の他の消雪用ブロックの製造方法を示す図で、その(ア)は鉄筋かごのかご体と網体とを示す斜視図、その(イ)はかご体に通水管を入れて網体を載せた状態を示す側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明の実施の形態に係る消雪用ブロックを製造するための鉄筋かご1について説明する。本実施の形態に係る鉄筋かご1も、従来の消雪用ブロック製造用の鉄筋かごと同様に、
図1の(ウ)に示されているように、かご体2と、網体3とから構成されている。図に示されているかご体2と網体3は長手方向に比較的短く形成されているが、製造する消雪用ブロックの長さに応じて、長手方向の長さは適宜設計される。
【0014】
本実施の形態においてかご体2は、
図1の(ウ)に示されているように、底部17と一方の壁部18と他方の壁部19とから上部が開口した直方体状を呈している。この開口部は、一方と他方の壁部18、19の上端から内側に伸びた鉄筋によって一部が閉鎖されたようになっている。従って開口部の幅は底部17よりも幅が狭い。このようなかご体2は、4箇所において略直角に折り曲げられた複数本の第1の鉄筋5、5、…と、同様に4箇所において略直角に折り曲げられた複数本の第2の鉄筋6、6、…と、複数本の直線状の棒状鉄筋8、8、…とから構成されている。具体的には、4本の並行に配置された棒状鉄筋8、8、…に対して、これらに沿って等間隔に、かつこれらと直角になるように第1、2の鉄筋5、6、…が設けられ、互いに溶接によって固着されている。なお、かご体2の他の壁部19の開口部近傍にも1本の棒状鉄筋8が固着されている。
【0015】
第1、2の鉄筋5、6を詳しく説明すると、これらは、
図1の(ア)、(イ)に示されているように、4箇所が折り曲げられることによって第1〜5の直線部分11、12、…を備えている。第1の直線部分11はかご体の開口部の一部に、第2の直線部分12は一方の壁部18に、第3の直線部分13は底部17に、第4の直線部分は他方の壁部19に、そして第5の直線部分15は開口部の一部に、にそれぞれ対応している。
【0016】
ところで本実施の形態においては、第1の鉄筋5と第2の鉄筋6は、一部が相違している。すなわち第1の鉄筋5においては第2、4の直線部分12、14は長さが等しいのに対して、第2の鉄筋6においては第2の直線部分12が第4の直線部分14より短い。第1、2の鉄筋5、6で比較すると、第2の鉄筋6の第2の直線部分14は、第1の鉄筋5の第2の直線部分14より鉄筋の略直径分だけ短い。このように鉄筋の略直径分だけ長さが相違しているので、
図1の(エ)に示されているように、かご体2において第1、2の鉄筋5、6のそれぞれの第1の直線部分11、11には段差が形成され、この段差によって隙間21が形成されることになる。この隙間21に、次に説明する網体13の棒状鉄筋が入れられることになり、そうすると網体13が隙間21に入れられた棒状鉄筋を中心として回動し、蝶番状に開閉させることができる。なお、かご体2を構成している5本の棒状鉄筋8、8、…のうち、1本の棒状鉄筋8は第2、3の直線部分12、13の接続点に、1本の棒状鉄筋8は第3、4の直線部分13、14の接続点に、1本の棒状鉄筋8は第4、5の直線部分14、15の接続点に固着されている。この第4、5の直線部分14、15の接続点に固着されている棒状鉄筋8は、蝶番状に開閉されるようになっている網体13を閉じたときに網体13を支持するようになっている。
【0017】
網体3は、本実施の形態においては3本の長い棒状鉄筋22、22、…と、短い短鉄筋23、23、…とからなり、溶接によって互いに固着されている。棒状鉄筋22、22、…は並行に配置され、これらに沿って等間隔に、かつこれらと直交するように短鉄筋23、23、…が設けられている。本実施の形態においては、短鉄筋23、23、…の一方の端部近傍には1本の棒状鉄筋22溶接され、この棒状鉄筋22が、かご体2に形成されている隙間21に入れられることになるが、短鉄筋23、23、…の他方の端部近傍には棒状鉄筋は設けられていない。
【0018】
本実施の形態に係る消雪用ブロックの製造方法を説明する。本実施の形態に係るかご体2を、
図2の(ア)に示されているようにその開口部を上にして設置し、開口部から散水ノズル26を備えた通水管27を入れる。次に、
図2の(イ)に示されているように、かご体2の隙間21に、網体3を構成している1本の棒状鉄筋22を入れるようにしてかご体2と網体3とを結合する。そうすると、
図2の(ウ)に示されているように、この棒状鉄筋22を中心に網体3は回動できるようになる。つまり棒状鉄筋22を中心にして蝶番状に網体3を開閉できるようになる。網体3を回動させてかご体2の開口部を閉鎖する。そうすると
図2の(エ)に示されているように、網体3の短鉄筋23、23、…がかご体3を構成している1本の棒状鉄筋8に当接する。あるいは網体3の端部が棒状鉄筋8に支持される。この部分が符号25で示されている。符号25で示されている部分を溶接により固着する。あるいは結束線によって結束する。鉄筋かご1が得られる。得られた鉄筋かご1に、次いでこれらを所定の型枠に入れてコンクリートを打設する。固化を待って型枠から取り出すと消雪用ブロックが得られる。本実施の形態に係る鉄筋かご1は、かご体2と網体3とから製造するとき、符号25の箇所の棒状鉄筋8と短鉄筋23、23、…を固着するだけでよく、隙間21に入れられた棒状鉄筋22は固着する必要がない。従って効率よく製造できる。
【0019】
本実施の形態に係る消雪用ブロックの鉄筋かごは、色々な変形が可能である。例えば、
図3に示されているように、第1、2の鉄筋5’、6’を変形することも可能である。この実施の形態においては第1、2の鉄筋5’、6’は3箇所だけ折り曲げられて第1〜4の直線部分11’、12’、…を備えているが、第5の直線部分はない。このような第1、2の鉄筋5’、6’、…からかご体2’を形成しても、隙間21’に網体3の棒状鉄筋を入れることができるので、同様に鉄筋かご1を製造することができる。また、第1、2の鉄筋5’、6’は略直角に折り曲げられているように説明しているが、例えば折り曲げ角度は80〜100度のようにしてもよい。そうすると、例えば側面形状が台形状の鉄筋かごが得られる。
【0020】
また本実施の形態に係る消雪用ブロックの鉄筋かごについては、かご体2を構成している第1、2の鉄筋5、6は等間隔に配置されているように説明したが、必ずしも等間隔に配置する必要はない。
図4には他の実施の形態に係る鉄筋かごの一部が上から見た状態で示されているが、第1、2の鉄筋5、5’、6、…は、所定の目的によって間隔が異なるように配置されている。詳しく説明すると、
図4において左から1番目の第1の鉄筋5と、その右の第1の鉄筋5’の間隔は短く、この第1の鉄筋5’とその右の第2の鉄筋6の間隔は長く、この第2の鉄筋6と右端の第1の鉄筋5の間隔は中くらいの間隔になるように配置されている。このようにすると、かご体の開口部を網体3で閉鎖するように閉じたときに、第1、2の鉄筋5、5’、6、…と網体3を構成している短鉄筋23、23、…との位置関係が場所によって変わることになる。具体的には、
図4において左から1番目の短鉄筋23は第1の鉄筋5の左隣に配置され、左から2番目の短鉄筋23は第1の鉄筋5’の右隣に配置され、左から3番目、4番目の短鉄筋23、23は、それぞれ第2の鉄筋6、第1の鉄筋5の左隣に配置される。このように配置されているので、かご体に対して網体3は左右方向にずれない。そうするとさらに溶接が容易になる。
【符号の説明】
【0021】
1 鉄筋かご 2 かご体
3 網体 5 第1の鉄筋
6 第2の鉄筋 8 棒状鉄筋
11〜15 第1〜第5の直線部分
17 底部 18 一方の壁部
19 他方の壁部 21 隙間
22 棒状鉄筋 23 短鉄筋
26 散水ノズル 27 通水管