特開2015-26011(P2015-26011A)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 株式会社フジシールの特許一覧

<>
  • 特開2015026011-POPラベル 図000003
  • 特開2015026011-POPラベル 図000004
  • 特開2015026011-POPラベル 図000005
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2015-26011(P2015-26011A)
(43)【公開日】2015年2月5日
(54)【発明の名称】POPラベル
(51)【国際特許分類】
   G09F 3/02 20060101AFI20150109BHJP
   G09F 3/00 20060101ALI20150109BHJP
   G09F 3/03 20060101ALI20150109BHJP
【FI】
   G09F3/02 A
   G09F3/00 D
   G09F3/03 D
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2013-156768(P2013-156768)
(22)【出願日】2013年7月29日
(71)【出願人】
【識別番号】313004403
【氏名又は名称】株式会社フジシール
(74)【代理人】
【識別番号】100117204
【弁理士】
【氏名又は名称】岩田 徳哉
(72)【発明者】
【氏名】青木 聡司
(57)【要約】
【課題】ベースラベルの要隠蔽表示部が、ラベルの裏側からは読み取られにくく、カバーラベルを剥離した際には表側から容易に視認でき、しかも、製造コストを抑制する。
【解決手段】透明なラベル基材10の表側に形成されたベースラベル4の要隠蔽表示部12を覆い隠すように、ベースラベル4の表側にカバーラベル5が剥離可能に貼着されている。カバーラベル5の裏側には、抜き表示部24と、要隠蔽表示部12と同系色の裏ベタ印刷層22とが形成され、ベースラベル4の裏側には、要隠蔽表示部12を表側から見たときの背景となる背景層15が形成されている。ベースラベル4の背景層15は、カバーラベル5の裏ベタ印刷層22が透視できる程度に薄い濃度で形成され、ベースラベル4を裏側から見たときに、透けて見えるカバーラベル5の裏ベタ印刷層22によって要隠蔽表示部12がカムフラージュされる。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
表示領域と透明な貼着領域とを有し、表示領域が被貼着体から外方に突出するように貼着領域が被貼着体に貼着されるPOPラベルにおいて、
透明なラベル基材を有し、該ラベル基材の裏側に被貼着体に貼着するための接着部が形成され且つラベル基材の表側に要隠蔽表示部が形成されたベースラベルと、
前記要隠蔽表示部を覆い隠すようにベースラベルの表側に剥離可能に貼着されたカバーラベルとを備え、
カバーラベルの裏側には、少なくとも前記要隠蔽表示部に対向する位置に前記要隠蔽表示部と同系色の保護色部が設けられ、
ベースラベルの裏側には、前記要隠蔽表示部を表側から見たときの背景となる背景部が形成され、
該ベースラベルの背景部は、カバーラベルの保護色部が透視できる程度に薄い濃度で形成され、
ベースラベルを裏側から見たときに、透けて見えるカバーラベルの保護色部によって要隠蔽表示部がカムフラージュされることを特徴とするPOPラベル。
【請求項2】
前記要隠蔽表示部は、カバーラベルの保護色部よりも薄い濃度で形成されている請求項1記載のPOPラベル。
【請求項3】
カバーラベルの裏側には、裏表示部と該裏表示部の背景になる前記保護色部としての裏背景部とが形成されている請求項1又は2記載のPOPラベル。
【請求項4】
カバーラベルは不透明なラベル基材を備え、該ラベル基材の裏側に裏ベタ印刷部が前記裏背景部として形成され、該裏ベタ印刷部にカバーラベルのラベル基材を見せるための抜き表示部が前記裏表示部として形成されている請求項3記載のPOPラベル。
【請求項5】
ベースラベルのラベル基材の表側には、背景用ベタ印刷部とその上に印刷された表示印刷部とが形成されると共に背景用ベタ印刷部が部分的に形成されずに残った窓部が形成され、該窓部に余白部を残すようにして前記要隠蔽表示部が形成されている請求項1乃至4の何れかに記載のPOPラベル。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えばキャンペーン用として使用されるPOPラベルに関する。
【背景技術】
【0002】
本出願人は、下記特許文献1のように、透明な貼着領域にて容器に貼着されて、容器から表示領域が外方に突出するPOPラベルについて既に提案している。該POPラベルは、透明なラベル基材を備えて容器に貼着される第一ラベル(ベースラベル)と、その表側に剥離可能に貼着されて第一ラベルの表示印刷層を隠す第二ラベル(カバーラベル)とを備えた多層構造となっている。
【0003】
かかるPOPラベルは、貼着領域が透明であるため、容器に装着されているシュリンクラベルの上に貼着してもシュリンクラベルの表示がPOPラベルによって隠れるということがない。そして、貼着領域を容器胴部の上端部に貼着すると、容器の胴部よりも小径の肩部あるいは首部から表示領域が離間して上方に起立した状態となるので、POPラベルが目立ちやすく、高い宣伝効果が得られるという利点がある。また、第二ラベルを剥離することによって第一ラベルの表示印刷層を視認することができるので、第一ラベルの表示印刷層(要隠蔽表示部)として当選番号やアタリ、ハズレ等の文字を印刷しておくということもできる。
【0004】
しかしながら、第一ラベルのラベル基材が透明であるので、POPラベルを裏側から見ると第一ラベルの表示印刷層が透けて見えることがあり、第二ラベルを剥離しなくても第一ラベルの表示印刷層の情報を裏側から読み取られることがあるという問題があった。
【0005】
そこで、かかる問題を解消すべく本出願人は更に改良したPOPラベルについても提案している(下記特許文献2)。即ち、表示印刷層に対応した第一ラベルの裏面の部分に着色層を遮蔽層として形成し、POPラベルを裏側から見たときに、表示印刷層が透けて見えることがないように着色層で遮蔽するというものである。
【0006】
しかしながら、着色層を灰色にすると高い遮蔽性が得られるものの、第二ラベルを剥離して表示印刷層を表側から見る際には、逆に灰色の着色層が背景となって黒色の表示印刷層が見えにくくなった。一方、着色層を反対色の白色にすると、第二ラベルを剥離して表示印刷層を表側から見る場合の視認性は高まるものの、ラベルの裏側から見た場合の遮蔽性が低下して表示印刷層が透けやすくなる。これに対して、着色層を白色層とその裏側の黒色層とからなる二層構造とすることも考えられるが、製造コストが嵩むことになる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2001−134190号公報
【特許文献2】特開2005−173304号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
それゆえに本発明は上記従来の問題点に鑑みてなされ、カバーラベルによって隠されているベースラベルの要隠蔽表示部が、ラベルの裏側からは読み取られにくく、カバーラベルを剥離した際には表側から容易に視認でき、しかも、製造コストを抑制することができるPOPラベルを提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明者は、上記課題を解決すべく鋭意研究を重ね、要隠蔽表示部を透視されないようにラベルの裏側から遮蔽するという上記従来の考え方から発想を転換して、遮蔽するのではなくカムフラージュすることによって要隠蔽表示部を判別不能にするという着想を得て本発明を完成するに至ったものである。即ち、本発明に係るPOPラベルは、表示領域と透明な貼着領域とを有し、表示領域が被貼着体から外方に突出するように貼着領域が被貼着体に貼着されるPOPラベルにおいて、透明なラベル基材を有し、該ラベル基材の裏側に被貼着体に貼着するための接着部が形成され且つラベル基材の表側に要隠蔽表示部が形成されたベースラベルと、前記要隠蔽表示部を覆い隠すようにベースラベルの表側に剥離可能に貼着されたカバーラベルとを備え、カバーラベルの裏側には、少なくとも前記要隠蔽表示部に対向する位置に前記要隠蔽表示部と同系色の保護色部が設けられ、ベースラベルの裏側には、前記要隠蔽表示部を表側から見たときの背景となる背景部が形成され、該ベースラベルの背景部は、カバーラベルの保護色部が透視できる程度に薄い濃度で形成され、ベースラベルを裏側から見たときに、透けて見えるカバーラベルの保護色部によって要隠蔽表示部がカムフラージュされることを特徴とする。
【0010】
該構成のPOPラベルにあっては、ベースラベルのラベル基材が透明であってその裏側に接着部が形成されて貼着領域が構成されているので、被貼着体に貼着しても被貼着体の表面のデザイン等が隠れることがなく、貼着領域を介して被貼着体のデザイン等を視認することができる。そして、ベースラベルの裏側には要隠蔽表示部の背景となる背景部が形成されているが、該背景部の濃度は濃いものではなく、逆に薄いものとしている。即ち、ベースラベルの背景部の濃度は、カバーラベルの保護色部が透けて見えることができる程度に薄いものとされている。従って、ベースラベルを裏側から見ると、カバーラベルの保護色部がベースラベルの背景部を通して透けて見えることになるが、カバーラベルの保護色部は要隠蔽表示部に対して同系色となっているので、要隠蔽表示部は保護色部と同化する。即ち、ベースラベルを裏側から見たときに、要隠蔽表示部がカバーラベルの保護色部によってカムフラージュされることになって読み取りにくくなるのである。そして、ベースラベルの背景部の遮蔽性を高めるのではなくその逆に透視できる程度に濃度を薄くしているので、ベースラベルの背景部の色を遮蔽性の高い色とする必要がない。例えば、要隠蔽表示部の色が黒色である場合、ベースラベルの背景部の色を灰色特には黒色に近い灰色とすれば遮蔽性が高くなり、逆に、ベースラベルの背景部の色を白色や白色に近い灰色とすれば遮蔽性は低下する。本発明においては、ベースラベルの背景部によって遮蔽するという考え方ではなく、逆に、透視できるようにするという考え方であるので、例えば要隠蔽表示部を黒色とした場合においてベースラベルの背景部を黒色に近い灰色とする必要がなく、黒色とは反対の白色とすることができる。このようにベースラベルの背景部の色を要隠蔽表示部の色に対して反対色とすることができるので、カバーラベルを剥離して要隠蔽表示部を見る際において、ベースラベルの背景部と要隠蔽表示部との間で高いコントラストを得ることができ、ベースラベルの背景部に対して要隠蔽表示部が際立って見えることになって、要隠蔽表示部を容易に視認することができる。
【0011】
特に、前記要隠蔽表示部は、カバーラベルの保護色部よりも薄い濃度で形成されていることが好ましい。この構成によれば、ベースラベルを裏側から見たときに、相対的に薄い濃度の要隠蔽表示部はベースラベルの背景部によって遮蔽されやすくなって透視されにくくなる一方、相対的に濃い濃度となるカバーラベルの保護色部は逆に遮蔽されにくくなって透視されやすくなる。従って、要隠蔽表示部はカバーラベルの保護色部によってより一層カムフラージュされやすくなる。
【0012】
また、カバーラベルの裏側には、裏表示部と該裏表示部の背景になる前記保護色部としての裏背景部とが形成されていることが好ましい。このように裏背景部を保護色部とし、それを背景とする裏表示部を設けることにより、裏表示部として要隠蔽表示部に関する情報を表示することができ、カバーラベルの裏側を有効に活用することができる。尚、要隠蔽表示部に対向する位置には裏背景部のみ存在することが好ましいが、要隠蔽表示部と裏表示部とが部分的に重なる態様であってもよい。
【0013】
また、カバーラベルは不透明なラベル基材を備え、該ラベル基材の裏側に裏ベタ印刷部が前記裏背景部として形成され、該裏ベタ印刷部にカバーラベルのラベル基材を見せるための抜き表示部が前記裏表示部として形成されていることが好ましい。この構成によれば、カバーラベルのラベル基材を透明としてその裏側に二層印刷して裏背景部と裏表示部を形成する構成に比して低コストで製造することができる。しかも、抜き表示部によって裏表示部を形成することにより、裏側への凹凸が小さくなってカバーラベルとベースラベルとの密着性が高まるので、裏背景部としての裏ベタ印刷部と裏表示部としての抜き表示部とがベースラベルの裏側からより一層透視されやすくなって、カムフラージュ効果が高まる。
【0014】
また更に、ベースラベルのラベル基材の表側には、背景用ベタ印刷部とその上に印刷された表示印刷部とが形成されると共に背景用ベタ印刷部が部分的に形成されずに残った窓部が形成され、該窓部に余白部を残すようにして前記要隠蔽表示部が形成されていることが好ましい。該構成によれば、ベースラベルの裏側から見たときには、窓部からカバーラベルの裏表示部や裏背景部が透視できて要隠蔽表示部がカムフラージュされることになる。しかも、窓部からカバーラベルの裏表示部や裏背景部が透視できるので、その窓部の存在が特に際立って見えて購入者の注目を惹くことができる。そして、カバーラベルを剥離すると、窓部の周囲に表示印刷部が形成されているので、例えば表示印刷部として要隠蔽表示部についての注意書きや応募方法、問い合わせ先等の情報を設けることができる。しかも、表示印刷部が透明なラベル基材に直接形成されているのではなく背景用ベタ印刷部を介してその上に形成されているので、表示印刷部の視認性が高まる。そして、視認性の高い表示印刷部及び背景用ベタ印刷部によって窓部が包囲されているので、窓部自体が発見されやすく、その窓部に余白部を有するようにして要隠蔽表示部が形成されているので、透明なラベル基材に形成された要隠蔽表示部であっても容易にそれを発見することができる。
【発明の効果】
【0015】
以上のように、本発明に係るPOPラベルにあっては、ベースラベルの背景部によって要隠蔽表示部を遮蔽するのではなく、逆にその背景部の濃度を薄くしてカバーラベルの保護色部を透視できるようにすると共にその保護色部に要隠蔽表示部を同化させることにより、ラベルの裏側から見た際に、要隠蔽表示部がカバーラベルの保護色部によってカムフラージュされて読み取られにくくなる。また、ベースラベルの背景部の色を要隠蔽表示部の色に対して反対色とすることができるので、カバーラベルを剥離した際に要隠蔽表示部を容易に表側から視認できる。更に、カバーラベルの背景部を二層印刷の構成とする必要がないので、低コストで製造できる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1】本発明の一実施形態におけるPOPラベルを示し、(a)は表側を示す正面図、(b)は裏側を示す背面図。
図2図1のA−A断面図であって、(a)はカバーラベル剥離前の状態を示し、(b)はカバーラベル剥離後の状態を示す。
図3】同実施形態におけるPOPラベルのカバーラベル剥離後の状態を示し、(a)はベースラベルの表側を示す正面図、(b)はカバーラベルの裏側を示す背面図。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本発明の一実施形態に係るPOPラベルについて図1図3を参酌しつつ説明する。図1に示すPOPラベルは、種々の被貼着体に貼着されて使用されるものであって、被貼着体に貼着される貼着領域1と、被貼着体から外方に突出する表示領域2とを備えている。
【0018】
まず全体構成について説明すると、POPラベルは貼着領域1と表示領域2という二つの領域に区画されている。貼着領域1と表示領域2との間の境界線3は直線であってもよいし、曲線であってもよく、特には限定されないが、本実施形態は直線である。また、貼着領域1と表示領域2の位置関係も任意であって、左右に区画されていてもよいが、本実施形態では上下に区画されており、貼着領域1が下側に位置し、表示領域2が上側に位置する態様となっている。従って、POPラベルが被貼着体に貼着されると、表示領域2が被貼着体から上方に突出した起立状態となる。
【0019】
また、表示領域2と貼着領域1の大きさや形状も任意であって、POPラベル全体の大きさや形状も任意であるが、本実施形態では略矩形のPOPラベルであって、表示領域2と貼着領域1の何れも略矩形となっており、貼着領域1に比して表示領域2の方が大きいものとなっている。表示領域2と貼着領域1の比率も任意であるが、このように貼着領域1の方を小さく、表示領域2の方を大きくすることが好ましい。
【0020】
更に、貼着領域1は透明である一方、表示領域2は不透明であり、また、貼着領域1は一枚ラベル構成である一方、表示領域2は二枚ラベル構成となっている。そして、POPラベルの裏面は二つの領域に区画されており、表示領域2の裏面の部分は非接着部として構成され、貼着領域1の裏面の部分は接着部として構成されている。
【0021】
以下、具体的構成について説明すると、上述したように本実施形態のPOPラベルは多重ラベル構造、特には二重ラベル構造であって、裏側(背面側)に位置する相対的に大きい面積を有するベースラベル4と、表側(正面側)に位置する相対的に小さい面積を有するカバーラベル5とから構成されている。カバーラベル5はベースラベル4の表面に剥離可能に貼着された状態にあり、カバーラベル5は表示領域2と同サイズであり、ベースラベル4は表示領域2と貼着領域1とを合計したサイズである。従って、ベースラベル4にカバーラベル5が貼着された通常状態において、表示領域2は、ベースラベル4にカバーラベル5が貼着された領域であってベースラベル4の上側部分とカバーラベル5とによって構成され、表示領域2の表面は即ちカバーラベル5の表面となる。また、貼着領域1は、ベースラベル4にカバーラベル5が貼着されていない領域であってベースラベル4の下側部分から構成され、貼着領域1の表面は即ちベースラベル4の下側部分の表面となる。従って、POPラベルの表側において貼着領域1と表示領域2との境界線3はカバーラベル5の下端縁となる。尚、POPラベルの裏面はその全体がベースラベル4の裏面となり、POPラベルの裏側において貼着領域1と表示領域2との境界線3は上述した非接着部と接着部との間の境界線と略一致している。
【0022】
ベースラベル4は、図2のように透明なラベル基材10を備えている。該ラベル基材10の表側には、表印刷層11及び要隠蔽表示部12と剥離層13とが順に形成され、ラベル基材10の裏側には、粘着剤層14と背景層15(背景部)とが順に形成されている。
【0023】
ラベル基材10には透明な各種のプラスチックシートを使用することができ、例えば、ポリエチレンテレフタレート等のポリエステル、ポリプロピレン等のポリオレフィン、ポリ塩化ビニル、ポリスチレン等からなるプラスチックシートを使用することができ、また、これらのシートを含む多層シートであってもよい。
【0024】
ベースラベル4の表印刷層11は、各種の公知の印刷手法によって形成されるものであり、二層刷りに形成されている。即ち、表印刷層11は、ラベル基材10の表面に印刷された背景用ベタ印刷層11a(背景用ベタ印刷部)と、該背景用ベタ印刷層11aの上(表側)に印刷された表示印刷層11b(表示印刷部)とから構成される。背景用ベタ印刷層11aは各種の色であってよいが、特に白色が好ましく、従って、背景用ベタ印刷層11aは白ベタ印刷層とすることが好ましい。背景用ベタ印刷層11aは表示領域2の全体を占めるように形成されてもよいが、表示領域2よりも小さくてもよく、本実施形態では表示領域2よりも小さく形成され、具体的には、表示領域2の周縁部に背景用ベタ印刷層11aが形成されない領域が全周に亘って残るようにして形成されている。また、背景用ベタ印刷層11aは、その外側のみならず内側にも背景用ベタ印刷層11aが形成されない領域が残るようにして形成されており、従って、背景用ベタ印刷層11aは枠状に形成されている。背景用ベタ印刷層11aの内側に残った残部領域が窓部16であり、該窓部16に要隠蔽表示部12が形成されている。本実施形態では略矩形の窓部16を背景用ベタ印刷層11aの中央部に形成しているが、その形状や大きさ、位置、個数は任意である。
【0025】
背景用ベタ印刷層11aの上に形成された表示印刷層11bは、各種の内容を表示する文字であってもよいし各種の図形であってもよいが、例えば、窓部16に形成された要隠蔽表示部12に関する情報を表示するものであることが好ましい。例えば、応募方法であったり、連絡先であったりすることができる。該表示印刷層11bは背景用ベタ印刷層11aに対して高いコントラストで形成されることが好ましく、従って、背景用ベタ印刷層11aの色とは反対色で形成されることが好ましい。背景用ベタ印刷層11aを白ベタ印刷層とした場合には、表示印刷層11bは黒色とすることが好ましいが、赤色や青色、緑色としてもよい。尚、背景用ベタ印刷層11aと表示印刷層11bは多色刷りの印刷機を使用することによって一つの印刷ライン上で連続して形成することができる。
【0026】
要隠蔽表示部12は、カバーラベル5が剥離されるまで見られずに秘密状態を維持しておく必要のある表示であり、例えば、アタリやハズレ等の文字、当選番号や応募番号を示す数字やアルファベット等、各種の記号等である。要隠蔽表示部12は窓部16に形成されるがその周囲には余白部17が残るようにして形成される。即ち、窓部16は要隠蔽表示部12と余白部17とから構成されることになり、余白部17はラベル基材10の表面となる。上述したように、要隠蔽表示部12は、POPラベル毎にその内容が異なっていたり、あるいは、何枚かに一枚の割合で当選しているものを設ける必要があったりするものであるため、表示印刷層11bのように一つの版を使用して多数枚を連続して形成する印刷手法を採用しにくい。従って、要隠蔽表示部12には、容易に内容を変更できる印刷手法を採用することが好ましく、トナーを使用する各種のプリンタによって形成することが好ましい。要隠蔽表示部12は各種の色とすることができ、特には黒色が好ましいが、薄い濃度とすることが好ましく、少なくとも後述するカバーラベル5の裏ベタ印刷層22(裏背景部、保護色部)よりも薄い濃度とすることが好ましい。
【0027】
剥離層13は、表示領域2の全体に形成されている。従って、剥離層13は、表印刷層11やその周縁の残部領域、内側の窓部16、これらを全て覆うようにして形成されている。該剥離層13にカバーラベル5が剥離可能に貼着されるので、剥離層13の表面は平滑面とされることが好ましく、それによりベースラベル4とカバーラベル5との密着性が高まる。尚、図2(a)においては層構成をわかりやすく表現するために要隠蔽表示部12の周囲における余白部17が剥離層13によって埋められていないように図示されているが、実際には余白部17は剥離層13によって埋められることになる。尚、剥離層13は、例えば、シリコーン系剥離剤等の公知の剥離剤を含むワニス等を使用し、各種コーティング法により塗工して形成できる。剥離層13は、要隠蔽表示部12や表印刷層11を視認できる程度に透明である。なお、ベースラベル4からカバーラベル5が完全に剥離しないように、剥離層13が部分的に設けられていない構成であってもよい。例えば、カバーラベル5を下方から剥離する場合には、ベースラベル4とカバーラベル5の上端部分同士を剥離不能に接着しておいてもよい。
【0028】
粘着剤層14は、透明な層であってラベル基材10の裏面の全体に形成されており、該粘着剤層14の裏面のうち表示領域2の部分に背景層15(背景部)が積層されている。背景層15はいわゆる糊殺しとも称されるマスキング層であって、従って、粘着剤層14の裏面のうち背景層15が形成されている領域が非接着部となり、粘着剤層14の裏面のうち背景層15が形成されずに残った領域が接着部となる。
【0029】
粘着剤層14は、透明なものであればよく、各種の接着剤(粘着剤を含む)を使用することができ、また、被貼着体から剥離可能な接着剤を使用してもよく、例えば、アクリル系接着剤、ゴム系接着剤等の各種の感圧接着剤が使用できる。
【0030】
背景層15は、要隠蔽表示部12の背景となる着色された層である。従って、背景層15には要隠蔽表示部12の背景として好適な色を使用することが好ましく、上述したように要隠蔽表示部12を黒色とした場合にはそれと反対色である白色とすることが好ましい。従って、背景層15は少なくとも窓部16の裏側の位置に形成する。背景層15はベタ印刷としてもよいし網点印刷としてもよいが、少なくともPOPラベルを裏側から見たときに、窓部16を介してカバーラベル5の裏ベタ印刷層22(保護色部、裏背景部)が透視できる程度に薄い濃度で形成する。尚、本発明において背景層15を裏ベタ印刷層22が透視できる程度に薄い濃度で形成することには、背景層15の厚さを薄く形成することによって裏ベタ印刷層22が透視可能となる構成も含まれる。
【0031】
上述したように背景層15はマスキング層であり、色料を含む着色マスキング層からなる単層構造としたり、透明マスキング層と着色インキ層との積層構造としたりする。着色マスキング層や透明マスキング層は、マスキング剤を用いて公知の印刷手法によって形成できる。マスキング剤としては、非粘着性であって紫外線により硬化する層を粘着剤層14の上に形成できるものが好ましく、紫外線硬化型インキ等が使用できる。なお、貼着領域1に対応するラベル基材10の裏面にのみ粘着剤層14を形成し、表示領域2に対応するラベル基材10の裏面に背景層15としての着色インキ層を形成してもよい。
【0032】
次に、カバーラベル5の構成について説明する。カバーラベル5は、図2のようにラベル基材20を備えている。該ラベル基材20の表側には表印刷層21が形成され、ラベル基材20の裏側には裏ベタ印刷層22(保護色部、裏背景部)と粘着剤層23が順に形成されている。
【0033】
カバーラベル5のラベル基材20には各種のシートを使用することができ、上述のベースラベル4のラベル基材10と同様のシートであってもよいが、後述するように抜き表示部24を形成できるように不透明なシートを使用することが好ましく、その中でも特に白色のラベル基材20とすることが好ましい。不透明のシートとしては、上述したような各種プラスチック材料からなる不透明のプラスチックシートや、合成紙、紙等を例示でき、これらのシートを適宜積層したものであってもよい。
【0034】
表印刷層21は、文字や各種のデザイン等をカバーラベル5の表面に形成するための層であって、従って、その形状や大きさ、配置等は任意である。ラベル基材20に白色のものを使用すると、それが背景となって表印刷層11が鮮明となるため好ましい。
【0035】
裏ベタ印刷層22は、裏表示部の背景となる層である。裏表示部は、カバーラベル5をベースラベル4から剥離することによって見られることを前提とした表示であって、例えば、ベースラベル4の表示印刷層11bと同様に要隠蔽表示部12に関する情報を示すものとすることが好ましい。本実施形態においては裏表示部は抜き表示部24により構成されている。即ち、裏ベタ印刷層22の一部を抜いてその向こう側にある不透明なラベル基材20が見えるようにした抜き表示部24により裏表示部を構成している。該抜き表示部24は例えば白抜き文字に代表されるものであるが、文字には限られず各種の図形等のデザインであってもよい。図1(b)及び図3(b)では容易に理解できるように抜き表示部24を白抜き図形として表している。裏ベタ印刷層22は各種の色であってよく、少なくとも要隠蔽表示部12と同系色とするが、特に要隠蔽表示部12よりも濃い濃度で形成することが好ましい。また、裏ベタ印刷層22は黒色とすることが好ましく、ラベル基材20を白色とすることによって高いコントラストを得ることができる。また、裏ベタ印刷層22の大きさや形状、配置は任意であるが、少なくともベースラベル4の窓部16に対応した部分をカバーできる大きさのものとする。本実施形態では、裏ベタ印刷層22は、ベースラベル4の背景用ベタ印刷層11aに合った形状、配置とされている。従って、図3(b)のように、ラベル基材20の周縁部には裏ベタ印刷層22が形成されていない領域が全周に亘って形成されている。尚、図3(b)においてベースラベル4の窓部16に対応した部分を二点鎖線で示している。
【0036】
粘着剤層23は、本実施形態においてはカバーラベル5の裏面全体を覆うようにして形成されているが、少なくともカバーラベル5の窓部16に対応した部分をカバーできる大きさに形成することが好ましい。尚、ラベル基材20の周縁部には裏ベタ印刷層22が形成されていない領域が全周に亘って形成されているので、その領域における粘着剤層23の厚さは裏ベタ印刷層22が形成された領域における粘着剤層23の厚さに比して厚くなる。従って、相対的に厚い粘着剤層23の部分がカバーラベル5の裏面の周縁部に全周に亘って形成されることになり、カバーラベル5の周縁部における接着力を相対的に高めることができる。また、図2(b)においても層構成をわかりやすく表現するために抜き表示部24の部分が粘着剤層14によって埋められていないように図示しているが、実際には抜き表示部24の部分は粘着剤層14によって埋められることになる。何れにしても、ベースラベル4とカバーラベル5との密着性が高まるように、粘着剤層23もまたベースラベル4の剥離層13と同様に平滑面とされることが好ましい。尚、この粘着剤層23には上述したベースラベルの粘着剤層14と同様に各種の接着剤(粘着剤を含む)を使用することができる。
【0037】
以上のように構成されたPOPラベルにあっては、例えば、被貼着体としてペットボトルの胴部の上端部に貼着される。ペットボトルの肩部あるいは首部は胴部に比して小径となる等、胴部よりも細く形成されているので、POPラベルの上側の領域である表示領域2は肩部あるいは首部から離れて上方に突出ないし起立した状態となる。従って、POPラベルが目立つことになって高い宣伝効果が得られる。また、ペットボトルの胴部には別途、胴部表示用ラベル(例えば、シュリンクラベル、ストレッチラベル、紙ラベル等)が装着されることが多いため、POPラベルの貼着領域1はその胴部表示用ラベルの表面に重ねられることになるが、貼着領域1が透明であるため、胴部表示用ラベルのデザインが損なわれることがない。
【0038】
そして、このように表示領域2がペットボトルの肩部あるいは首部から離れて起立した状態となっていることから表示領域2の裏面は購入者から見られやすい。POPラベルの表示領域2を裏側から見ると、表示領域2の裏面は背景層15となっているが、その背景層15は薄い濃度で形成されており、従って、図1(b)のように、窓部16を介してカバーラベル5の裏ベタ印刷層22と抜き表示部24が視認できる。尚、窓部16の外側周囲についてはベースラベル4の背景用ベタ印刷層11aが形成されていることからカバーラベル5の裏ベタ印刷層22や抜き表示部24は視認できないかあるいは視認できたとしても窓部16よりも透過レベルが低い状態で視認されることになる。従って、POPラベルの表示領域2を裏側から見たときに窓部16の存在が強調されて見えることになり、窓部16の存在によって購入者の興味を惹くことにもなり、POPラベルの裏側からもキャンペーンの存在を購入者にアピールすることができる。そして、かかる窓部16の表側には要隠蔽表示部12が形成されているが、この要隠蔽表示部12に重なって透けて見えているカバーラベル5の裏ベタ印刷層22と同系色であるのでそれと同化しており、しかも、カバーラベル5の抜き表示部24が判別できる程度に透視されることから、要隠蔽表示部12は裏ベタ印刷層22によって、あるいは、裏ベタ印刷層22と抜き表示部24によって、カムフラージュされて見えなくなり、少なくとも一見してそれを読み取って解読するということができない状態になる。
【0039】
特に、要隠蔽表示部12がカバーラベル5の裏ベタ印刷層22よりも薄い濃度で形成されていると、相対的に薄い濃度の要隠蔽表示部12はベースラベル4の背景層15によって遮蔽されやすくなって透視しにくくなる一方、相対的に濃い濃度のカバーラベル5の裏ベタ印刷層22と抜き表示部24は逆に遮蔽されにくくなって透視しやすくなる。従って、カムフラージュ効果がより一層高まって、要隠蔽表示部12が読み取りにくくなる。
【0040】
更に、カバーラベル5に裏背景部として裏ベタ印刷層22を形成すると共に裏表示部として抜き表示部24を形成しているので、カバーラベル5の粘着剤層23の凹凸が小さくなって平滑面とすることが容易であり、カバーラベル5とベースラベル4との間に空気層が形成されることなく両者を高い密着度合いで密着させることができる。カバーラベル5とベースラベル4との間に仮に空気層が形成されると、空気層が形成された部分は白く見え、裏ベタ印刷層22と抜き表示部24が空気層によって見えにくくなる一方、逆に要隠蔽表示部12は空気層によって見えやすくなる。従って、剥離層13と粘着剤層23を平滑面としてカバーラベル5とベースラベル4とを空気層が形成されることなく高い密着度で密着させることにより、裏ベタ印刷層22と抜き表示部24とが窓部16からより一層透視されやすくなり、カムフラージュ効果が高まる。
【0041】
一方、購入者がカバーラベル5を剥離すると、ベースラベル4の要隠蔽表示部12を表側から直視することができるが、裏側には背景層15が形成されていてそれが特には白色であるので、薄い濃度で形成された要隠蔽表示部12であっても背景層15との間に良好なコントラストが得られて要隠蔽表示部12を容易に視認することができる。また、窓部16が形成されているので、容易に要隠蔽表示部12を発見することができ、その窓部16には余白部17が存在しているので、透明なラベル基材10に形成された要隠蔽表示部12であってもそれを容易に発見できる。
【0042】
また、背景層15を白色とすれば、背景用ベタ印刷層11aを白色とした場合においてそれが混濁することがなく、背景用ベタ印刷層11aをより一層はっきりとした白色に形成でき、良好な見栄えが得られると共に、その上に形成された表示印刷層11bもはっきりと視認できることになる。
【0043】
更に、カバーラベルの背景層15は一層構造であって二層印刷の構成とする必要がないので、低コストで製造できる。
【0044】
尚、カバーラベル5のラベル基材20を透明なものとして、その裏側に例えば、白ベタ印刷層と黒ベタ印刷層を順に形成して、黒ベタ印刷層に白抜き文字等の抜き表示部を形成するようにしてもよい。この場合、黒ベタ印刷層が裏背景部となり、抜き表示部が裏表示部となる。また、カバーラベル5の裏側に裏表示部を設けずに、例えば要隠蔽表示部12に対応した箇所に単一色からなる保護色部を設けるようにしてもよい。保護色部は必ずしもカバーラベル5の裏側の全体に設けられている必要はなく、要隠蔽表示部12をカバーできる程度の範囲で設けられていればよい。
【符号の説明】
【0045】
1 貼着領域
2 表示領域
3 境界線
4 ベースラベル
5 カバーラベル
10 ラベル基材
11 表印刷層
11a 背景用ベタ印刷層(背景用ベタ印刷部)
11b 表示印刷層(表示印刷部)
12 要隠蔽表示部
13 剥離層
14 粘着剤層
15 背景層(背景部)
16 窓部
17 余白部
20 ラベル基材
21 表印刷層
22 裏ベタ印刷層(裏ベタ印刷部、裏背景部、保護色部)
23 粘着剤層
24 抜き表示部(裏表示部)
図1
図2
図3