特開2015-26086(P2015-26086A)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2015-26086(P2015-26086A)
(43)【公開日】2015年2月5日
(54)【発明の名称】液晶配向剤ワニス
(51)【国際特許分類】
   G02F 1/1337 20060101AFI20150109BHJP
   C08G 73/10 20060101ALI20150109BHJP
【FI】
   G02F1/1337 525
   C08G73/10
【審査請求】有
【請求項の数】6
【出願形態】OL
【全頁数】33
(21)【出願番号】特願2014-217554(P2014-217554)
(22)【出願日】2014年10月24日
(62)【分割の表示】特願2013-189368(P2013-189368)の分割
【原出願日】2009年10月23日
(71)【出願人】
【識別番号】502356528
【氏名又は名称】株式会社ジャパンディスプレイ
(71)【出願人】
【識別番号】506087819
【氏名又は名称】パナソニック液晶ディスプレイ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000154
【氏名又は名称】特許業務法人はるか国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】内野 正市
(72)【発明者】
【氏名】國松 登
(72)【発明者】
【氏名】園田 英博
(72)【発明者】
【氏名】松井 慶枝
(72)【発明者】
【氏名】松本 優子
(72)【発明者】
【氏名】松森 正樹
(72)【発明者】
【氏名】冨岡 安
(72)【発明者】
【氏名】田中 順
【テーマコード(参考)】
2H290
4J043
【Fターム(参考)】
2H290AA73
2H290BD01
2H290BF24
2H290DA03
4J043PA02
4J043QB26
4J043RA35
4J043SA06
4J043SB01
4J043TA22
4J043TB01
4J043UA022
4J043UA032
4J043UA042
4J043UB012
4J043UB282
4J043XA16
4J043ZB23
(57)【要約】
【課題】液晶表示装置に備えられる液晶配向膜用の、露光に対する感度の高い液晶配向剤ワニスを提供することを目的とする。
【解決手段】液晶表示装置に備えられる液晶配向膜用の液晶配向剤ワニスであって、溶剤と、テトラカルボン酸二無水物と下記化学式(18)で示されるジアミンとを少なくとも用いて形成したポリアミック酸及び/又はポリアミック酸エステルと、を含むことを特徴とする液晶配向剤ワニス。

(R4はそれぞれ独立して水素、炭素数3以下のアルキル基、炭素数3以下のアルコキシ基、ジアルキルアミノ基、又はアルキルアミノ基であり、R5はそれぞれ独立してメチル基、炭素数3以下のアルコキシ基、ジアルキルアミノ基、又はアルキルアミノ基である。)
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
液晶表示装置に備えられる液晶配向膜用の液晶配向剤ワニスであって、
溶剤と、
テトラカルボン酸二無水物と下記化学式(18)で示されるジアミンとを少なくとも用いて形成したポリアミック酸及び/又はポリアミック酸エステルと、を含む
ことを特徴とする液晶配向剤ワニス。
【化1】
(R4はそれぞれ独立して水素、炭素数3以下のアルキル基、炭素数3以下のアルコキシ基、ジアルキルアミノ基、又はアルキルアミノ基であり、R5はそれぞれ独立してメチル基、炭素数3以下のアルコキシ基、ジアルキルアミノ基、又はアルキルアミノ基である。)
【請求項2】
前記R5はそれぞれ独立してメチル基、炭素数2以下のアルコキシ基、ジアルキルアミノ基、又はアルキルアミノ基である
ことを特徴とする請求項1に記載の液晶配向剤ワニス。
【請求項3】
前記テトラカルボン酸二無水物は、下記化学式(11)乃至(17)で示される化合物群Cより選ばれる一種以上のテトラカルボン酸二無水物を含む
ことを特徴とする請求項1又は2に記載の液晶配向剤ワニス。
【化2】
(R3はそれぞれ独立して水素、炭素数3以下のアルキル基、炭素数3以下のアルコキシ基であり、Sは−(CH2)n−を表し、nは1以上10以下の整数を表す。)
【請求項4】
前記R3はそれぞれ独立して水素、メチル基、炭素数3以下のアルコキシ基である
ことを特徴とする請求項3に記載の液晶配向剤ワニス。
【請求項5】
前記液晶配向膜は、光を照射する配向処理を経て配向能が付与される
ことを特徴とする請求項1乃至4の何れか1項に記載の液晶配向剤ワニス。
【請求項6】
前記液晶表示装置は、IPS方式の液晶表示装置である
ことを特徴とする請求項1乃至5の何れか1項に記載の液晶配向剤ワニス。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、液晶配向剤ワニスに関する。更に詳しくは、液晶表示装置に備えられる液晶配向膜用の液晶配向剤ワニスに関する。
【背景技術】
【0002】
通常、液晶表示装置の表示は、一対の基板間に挟まれた液晶層の液晶分子に電界を印加することにより液晶分子の配向を変化させ、それによって生じる液晶層の光学特性の変化によって実現される。
【0003】
一対の基板において、液晶層と基板との界面にはポリイミド、ポリアミック酸等に代表される液晶配向膜が備えられており、液晶配向膜は液晶層の液晶分子を一定方向に配向させる役割を果たしている。
【0004】
ポリイミド等によって形成された有機被膜に液晶分子を配向させる機能(以下、配向能という)を付与させる工業的な方法としてラビング配向処理が広く知られている。
【0005】
ラビング配向処理とは、基板表面に形成された有機被膜の表面をナイロン、ポリエステル等の布で一定方向に擦る方法である。これによって、有機被膜の表面にはその擦られた方向に配向能が付与される。
【0006】
ラビング配向処理は、比較的容易に均一な配向能を有機被膜の表面に付与することができ、加えて生産性も優れているため工業的に有効な方法である。しかしながら、近年の液晶表示装置の大型化に伴ってラビング配向処理の問題点が指摘されるようになっている。
【0007】
上述のようにラビング配向処理は有機被膜と布とを物理的に擦りあわせる工程を含む。このため形成された液晶配向膜の表面に不要な削りカスが発生してしまうことがある。削りカスは液晶表示装置の表示不良を発生させる原因となる。液晶表示装置が大型になるに伴い削りカスの量も増加するため不良発生率の増加が懸念される。このため、ラビング配向処理に変わり得る処理方法の確立が求められている。
【0008】
ラビング配向処理に変わる配向処理方法として光配向処理が知られている。光配向処理は、基板表面に形成された有機被膜の表面にほぼ直線に偏光したUV光を照射することによって配向能を有機被膜の表面に付与する方法である。(例えば特許文献1参照。)
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】特許第3937432号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
光配向処理は工程を通じて削りカスが発生しないクリーンな配向処理方法である。
【0011】
しかしながら、光配向処理の工程における偏光したUV光の照射は、前記有機被膜が塗布される基板に対しても影響を及ぼす。例えば、UV光を前記基板に照射をすることによって、前記基板を構成する部材に損傷を及ぼすといった新たな問題が生じる。このような問題を回避するためには低露光量にて光配向処理を行う事が必要である。低露光量にて光配向処理を実現するためには、有機被膜の露光に対する感度を高める必要がある。
【0012】
本発明の目的は、液晶表示装置に備えられる液晶配向膜用の、露光に対する感度の高い液晶配向剤ワニスを提供することを目的とする。また、本発明の前記ならびにその他の目的と新規な特徴は、本明細書の記述および添付図面によって明らかにする。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本発明による液晶配向剤ワニスは、液晶表示装置に備えられる液晶配向膜用の液晶配向剤ワニスであって、溶剤と、テトラカルボン酸二無水物と下記化学式(18)で示されるジアミンとを少なくとも用いて形成したポリアミック酸及び/又はポリアミック酸エステルと、を含むことを一つの特徴とする液晶配向剤ワニスである。
【化1】
【0014】
R4はそれぞれ独立して水素、炭素数3以下のアルキル基、炭素数3以下のアルコキシ基、ジアルキルアミノ基、又はアルキルアミノ基であり、R5はそれぞれ独立してメチル基、炭素数3以下のアルコキシ基、ジアルキルアミノ基、又はアルキルアミノ基である。
【0015】
これによって、液晶表示装置に備えられる液晶配向膜用の、露光に対する感度の高い液晶配向剤ワニスを提供することができる。
【発明の効果】
【0016】
本発明によって、液晶表示装置に備えられる液晶配向膜用の、露光に対する感度の高い液晶配向剤ワニスを提供することが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1】本発明の実施形態に係る液晶表示装置の画素構成を説明する画素部分の断面図である。
図2A】本発明の実施形態に係る液晶表示装置の画素構成を説明する画素部分の平面図である。
図2B】本発明の実施形態に係る液晶表示装置の画素構成を説明する画素部分の断面図であり、図2Aの切断線2B−2Bにおける断面を示す図である。
図2C】本発明の実施形態に係る液晶表示装置の画素構成を説明する画素部分の断面図であり、図2Aの切断線2C−2Cにおける断面を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
本発明による液晶表示装置は例えば、少なくとも一方が透明な一対の基板と、前記一対の基板間に配置された液晶層と、前記一対の基板の少なくとも一方の基板に形成され、前記液晶層に電界を印加するための電極群と、前記電極群に接続された複数のアクティブ素子と、前記一対の基板の少なくとも一方の基板に配置された液晶配向膜とを含む液晶表示装置であって、前記液晶配向膜は、下記化学式(1)乃至(7)で示される化合物群Aより選ばれる一種以上のテトラカルボン酸二無水物を用いて形成されるポリイミドを含み、光配向処理によって形成されていることを一つの特徴としている。
【0019】
【化2】
【0020】
はそれぞれ独立して水素、炭素数3以下のアルキル基、又はジアルキルアミノ基を表し、少なくとも一つのRはジアルキルアミノ基である。
【0021】
また、Sは−(CH2)n−を表し、nは1以上10以下の整数を表す。
【0022】
上記によって、露光感度が良好な液晶配向膜を備えた液晶表示装置を得る事ができる。
【0023】
なお、本発明において露光感度は、光配向処理が完了するまでに必要となる露光量(照射エネルギー)をもとに評価される。また、露光量とは照度と照射時間の積によって求められる。
【0024】
基板に形成された有機被膜の露光感度が良好な場合、当該有機被膜は、低い露光量での光配向処理を経て、液晶配向膜となる。
【0025】
本発明における液晶配向膜は、光配向処理を経て配向能が付与されていることを特徴としている。
【0026】
光配向処理は、形成された有機被膜の表面にほぼ直線に偏光されたUV光を照射する方法である。これによって、有機被膜には配向能が付与され液晶配向膜となる。
【0027】
光配向処理は、UV光を有機被膜に照射することにより、有機被膜を構成する化合物の分子構造の一部に構造変化を生じさせ、配向能を付与している。
【0028】
例えばポリイミド及びその前駆体の分子構造においては、UV光が照射されることによって、ポリイミド及びその前駆体の分子構造の一部が開裂するプロセスを経て、配向能の付与が行われる。
【0029】
すなわち、光配向を実現するために必要な露光量とは、上記構造変化を起こし得るエネルギーの量である。光配向処理によって液晶配向膜を形成し得る有機被膜のそれぞれは、有機被膜を構成する化合物の組成によって光配向処理を実現するために必要な露光量が異なる。
【0030】
同一の光源を用いて光配向処理を行う場合、露光感度が改善された有機被膜は、光配向処理の照射時間を短縮できる。又、照度の高いランプを用いると照射時間は更に短縮される。
【0031】
光配向処理においてUV光が照射されると、露光量の増加に伴いオゾンの発生も増加する。発生したオゾンは基板上に配設された他の部材に損傷を与え、ひいては液晶表示装置の性能低下等を引き起こす問題が発生し得る。低い露光量で光配向処理を行うという事は、上記の問題を回避することができることを意味する。
【0032】
本発明によって得られる液晶表示装置に備えられる液晶配向膜は、高透過率(可視光の吸収が少ない)、耐熱性、高被膜強度、液晶分子を配向させる機能(以下、配向能という)といった特性を備えつつ、露光に対する高い感度を有するものである。
【0033】
化学式(1)乃至(7)で示される化合物は、ジアミンと反応してポリイミドの前駆体であるポリアミック酸及び/又はポリアミック酸エステルを形成する。また、ポリアミック酸及び/又はポリアミック酸エステルはイミド化反応によってポリイミドを形成する。
【0034】
ポリイミド及びその前駆体によって形成される液晶配向膜は、高透過率(可視光の吸収が少ない)、耐熱性、高被膜強度、液晶分子を配向させる機能(以下、配向能という)といった特性を有していることから液晶表示装置に広く用いられている。
【0035】
化学式(1)乃至(7)で示される化合物と反応するジアミンとしては、例えば、p−フェニレンジアミン、4,4´−ジアミノジフェニルメタン、4,4´−ジアミノジフェニルスルフィド、1,5−ジアミノナフタレンなどをあげることができる。これらのジアミンは、単独でまたは2種以上組み合わせて化学式(1)乃至(7)で示される化合物との反応に用いることが可能である。
【0036】
また、ポリアミック酸エステルは、化学式(1)乃至(7)で示されるテトラカルボン酸二無水物にアルコールを反応させて得られるジエステルジカルボン酸に塩化チオニルなどの塩素化試薬を反応させ、ジエステルジカルボン酸クロリドを得た後、これにジアミンを反応、重縮合させることによって得ることが出来る。
【0037】
このとき、ジアミンおよびテトラカルボン酸二無水物の原料を複数種混合させた場合、一つの高分子鎖に複数の化学種が重合された共重合高分子を得ることができる。
【0038】
液晶配向膜を構成するポリイミドは、その前駆体であるポリアミック酸及び/又はポリアミック酸エステルを加熱し、イミド化反応(分子内縮合反応)を進行させることによって形成される。
【0039】
また、分子量の高いポリイミドが液晶配向膜を構成することは、液晶配向膜に配向能を付与する上で好ましい。ポリアミック酸エステルはポリアミック酸と比較して加熱時の分解反応を起こしにくい。すなわちポリアミック酸エステルは後述の加熱工程において低分子量化を起こしにくいため、液晶配向膜中にポリアミック酸エステルが導入されることは、ポリイミドの低分子量化を防ぐという意味で効果的である。
【0040】
次にポリイミドを含む液晶配向膜を形成する工程に関して説明を行う。
【0041】
ポリイミドは多くの石油溶剤に難溶である。ゆえにポリイミドを主成分とする液晶配向膜を形成する場合、ポリイミドの前駆体であるポリアミック酸及び/又はポリアミック酸エステルを溶剤に溶かし液晶配向剤ワニスを調製し、一対の基板の少なくとも一方の前記液晶配向膜が形成されるべき基板上に塗布し、加熱及びイミド化し、配向処理を行う工程を経てポリイミドの液晶配向膜は形成される。
【0042】
上記加熱工程の際に、液晶配向剤ワニス中に含まれる溶剤は揮散し、ポリアミック酸及び/又はポリアミック酸エステルの有機被膜が形成される。前記有機被膜の形成と同じタイミングで、ポリアミック酸及び/又はポリアミック酸エステルのイミド化反応が進行する。
【0043】
イミド化反応は必ずしも100%進行している必要は無く、全体の40%から100%進行していることが好ましく、より好ましくは50%から95%であり、さらに好ましくは60%から90%である。
【0044】
前記化学式(1)乃至(7)で示される化合物を用いて形成されたポリイミド及びその前駆体は、光配向処理にて配向能を付与するのに好適である。
【0045】
化学式(1)乃至(7)で示される化合物を用いて形成されたポリイミド及びその前駆体にUV光が照射されると、ポリイミド及びその前駆体の分子構造中に中間体が形成される。
【0046】
この形成された中間体は光配向に有効に作用すると考えられている。光配向処理を効率的に行うためには、この中間体の形成をいかに容易に行うかが重要である。
【0047】
上述のポリイミド及びその前駆体の分子構造中の中間体の形成は、照射されたUV光によってポリイミド及びその前駆体の分子構造の一部が開裂することに起因する。
【0048】
従って、光配向処理を効率的に行うためには、照射されるUV光によって高感度にポリイミド及びその前駆体の分子構造の一部が、開裂される必要がある。
【0049】
化学式(1)乃至(7)で示される化合物は、その分子構造中に電子供与基であるジアルキルアミノ基を有していることを特徴としている。
【0050】
化学式(1)乃至(7)で示される化合物を用いて形成されたポリイミド及びその前駆体は、その分子構造中に化学式(1)乃至(7)で示される化合物に由来するジアルキルアミノ基を有する。
【0051】
本発明者は、分子構造中にジアルキルアミノ基を有するポリイミド及びその前駆体に、光配向処理の際に照射されるUV光が照射された場合、低い露光量でポリイミド及びその前駆体の分子構造中に中間体が形成されることを見出した。
【0052】
本発明の液晶表示装置に備えられた液晶配向膜は、液晶配向膜を構成するポリイミド及びその前駆体の分子構造中に電子供与基であるジアルキルアミノ基が含まれることによって、光配向処理の際に照射されるUV光に対する高感度化を実現している。
【0053】
これによって、光配向処理におけるUV照射量が低減できる。
【0054】
化学式(1)乃至(7)で示される化合物における、分子構造中のRの全てが電子供与基であるメチル基である場合と、Rの一つがジアルキルアミノ基である場合とを比較すると、Rの一つがジアルキルアミノ基である場合の方が露光感度の良好な液晶配向膜を得る事ができる。しかしながら化学式(1)乃至(7)で示される化合物の分子構造中にメチル基が付加されることは露光感度を高める上で有効である。
【0055】
よって、化学式(1)乃至(7)に示される化合物の構造中に含まれるRは、それぞれ独立して水素、メチル基、又はジアルキルアミノ基であり、少なくとも一つのRはジアルキルアミノ基であることはより好ましい。
【0056】
加えて上記ジアルキルアミノ基は、いずれのアルキル基も炭素数3以下のジアルキルアミノ基であることは好適である。また、上記ジアルキルアミノ基の有する二つのアルキル基のうちの一つのアルキル基がメチル基であるジアルキルアミノ基はより好適である。また、ジアルキルアミノ基のうちの一つのアルキル基は炭素数3以下のアルキル基であり、もう一つのアルキル基がメチル基であることは露光感度を更に高めることができる。また、上記ジアルキルアミノ基がジメチルアミノ基である場合は、特に好適である。
【0057】
よって、化学式(1)乃至(7)に示される化合物の構造中に含まれるRは、それぞれ独立して水素、メチル基、又はいずれのアルキル基も炭素数3以下のジアルキルアミノ基であり、少なくとも一つのRはジアルキルアミノ基であることは好ましい。
【0058】
また、化学式(1)乃至(7)に示される化合物の構造中に含まれるRは、それぞれ独立して水素、メチル基、又は一つのアルキル基がメチル基であるジアルキルアミノ基であり、少なくとも一つのRはジアルキルアミノ基であることはより好ましい。
【0059】
また、化学式(1)乃至(7)に示される化合物の構造中に含まれるRは、それぞれ独立して水素、メチル基、又は一つのアルキル基は炭素数3以下のアルキル基であり、もう一つのアルキル基がメチル基であるジアルキルアミノ基であり、少なくとも一つのRはジアルキルアミノ基であることは更に好ましい。
【0060】
また、化学式(1)乃至(7)に示される化合物の構造中に含まれるRは、それぞれ独立して水素、メチル基、又はジメチルアミノ基であり、少なくとも一つのRはジメチルアミノ基であることは特に好ましい。
【0061】
上記ジアルキルアミノ基が含まれる場合、化学式(1)乃至(7)に示される化合物の構造中に含まれるRは、それぞれ独立して水素、又はいずれのアルキル基も炭素数3以下のジアルキルアミノ基であり、少なくとも一つのRはジアルキルアミノ基であることとしてもよい。
【0062】
また、化学式(1)乃至(7)に示される化合物の構造中に含まれるRは、それぞれ独立して水素、又は一つのアルキル基がメチル基であるジアルキルアミノ基であり、少なくとも一つのRはジアルキルアミノ基であることとしてもよい。
【0063】
また、化学式(1)乃至(7)に示される化合物の構造中に含まれるRは、それぞれ独立して水素、又は一つのアルキル基は炭素数3以下のアルキル基であり、もう一つのアルキル基がメチル基であるジアルキルアミノ基であり、少なくとも一つのRはジアルキルアミノ基であることとしてもよい。
【0064】
また、化学式(1)乃至(7)に示される化合物の構造中に含まれるRは、それぞれ独立して水素、又はジメチルアミノ基であり、少なくとも一つのRはジメチルアミノ基であることとしてもよい。
【0065】
また、化学式(1)乃至(7)で示される化合物の分子構造にジアルキルアミノ基以外の電子供与基や他の官能基が付加された場合について説明を行う。
【0066】
例えば、電子供与基である水酸基が付加された場合は、形成された液晶配向膜の表面に親水性を付与することとなる。液晶配向膜の物性の点から、水酸基を含まないのも好適な一つの様態である。
【0067】
また、ハロゲン基、フェニル基、ニトロ基等は電子求引基であるために化学式(1)乃至(7)で示される化合物の分子構造中に含まれていないことが好ましいが、本発明の効果を損なわない範囲で使用してもよい。
【0068】
また、ジアルキルアミノ基同様、アルキルアミノ基も露光感度を高める上で有効な効果を有する。
【0069】
化学式(1)乃至(7)で示される化合物を原料として形成された化合物における光配向処理は、光源として低圧水銀ランプを用い257nmのUV光を取り出し、石英基板を積層したパイル偏光子を用いて直線偏光とした照射光を、所定の照射エネルギーで基板上に形成された有機被膜に照射することによって行われた。
【0070】
また、本発明の液晶表示装置は例えば、少なくとも一方が透明な一対の基板と、前記一対の基板間に配置された液晶層と、前記一対の基板の少なくとも一方の基板に形成され、前記液晶層に電界を印加するための電極群と、前記電極群に接続された複数のアクティブ素子と、前記一対の基板の少なくとも一方の基板に配置された液晶配向膜とを含む液晶表示装置であって、前記液晶配向膜は、下記化学式(8)乃至(10)で示される化合物群Bより選ばれた一種以上のジアミンを用いて形成されるポリイミドを含み、光配向処理によって形成されていることを一つの特徴としている。
【0071】
【化3】
【0072】
化合物中に含まれるRのうち、少なくとも2つのRはそれぞれ独立してメチル基、炭素数3以下のアルコキシ基、ジアルキルアミノ基、又はアルキルアミノ基であり、他のRはそれぞれ独立して水素又は炭素数3以下のアルキル基である。
【0073】
上記によって、露光感度が良好な液晶配向膜を備えた液晶表示装置を得る事ができる。本発明によって得られる液晶表示装置に備えられる液晶配向膜は、高透過率(可視光の吸収が少ない)、耐熱性、高被膜強度、液晶分子を配向させる機能(以下、配向能という)といった特性を備えつつ、露光に対する高い感度を有するものである。
【0074】
化学式(8)乃至(10)で示されるジアミンはテトラカルボン酸二無水物と反応してポリイミドの前駆体であるポリアミック酸及び/又はポリアミック酸エステルを形成する。また、ポリアミック酸及び/又はポリアミック酸エステルはイミド化反応によってポリイミドを形成する。
【0075】
ポリイミド及びその前駆体によって形成される液晶配向膜は、高透過率(可視光の吸収が少ない)、耐熱性、高被膜強度、液晶分子を配向させる機能(以下、配向能という)といった特性を有することから、液晶表示装置に広く用いられている。
【0076】
下記に化学式(8)乃至(10)で示される化合物と反応して、ポリイミドの前駆体を形成するテトラカルボン酸二無水物を例示する。
【0077】
例えば、1,2,3,4−シクロブタンテトラカルボン酸二無水物、1,2−ジメチル−1,2,3,4−シクロブタンテトラカルボン酸二無水物、1,3−ジメチル−1,2,3,4−シクロブタンテトラカルボン酸二無水物、1,2,3,4−テトラメチル−1,2,3,4−シクロブタンテトラカルボン酸二無水物、1,2,3−トリメチル−1,2,3,4−シクロブタンテトラカルボン酸二無水物、1,2,3,4−シクロペンタンテトラカルボン酸二無水物、1,2,4,5−シクロヘキサンテトラカルボン酸二無水物などをあげることができる。これらは1種単独でまたは2種以上組み合わせて用いることが可能である。
【0078】
また、ポリアミック酸エステルは、例えば上記で示されるテトラカルボン酸二無水物にアルコールを反応させて得られるジエステルジカルボン酸に塩化チオニルなどの塩素化試薬を反応させ、ジエステルジカルボン酸クロリドを得た後、これにジアミンを反応、重縮合させることによって得ることが出来る。
【0079】
このとき、ジアミンおよびテトラカルボン酸二無水物の原料を複数種混合させた場合、一つの高分子鎖に複数の化学種が重合された共重合高分子を得ることができる。
【0080】
液晶配向膜を構成するポリイミドはその前駆体であるポリアミック酸及び/又はポリアミック酸エステルを加熱し、イミド化反応を進行させることによって形成される。
【0081】
また、分子量の高いポリイミドが液晶配向膜を構成することは、液晶配向膜に配向能を付与する上で好ましい。ポリアミック酸エステルはポリアミック酸と比較して加熱時の分解反応を起こしにくい。すなわちポリアミック酸エステルは後述の加熱工程において低分子量化を起こしにくいため、液晶配向膜中にポリアミック酸エステルが導入されることは、ポリイミドの低分子量化を防ぐという意味で効果的である。
【0082】
次にポリイミドを含む液晶配向膜を形成する工程に関して説明を行う。ポリイミドは多くの石油溶剤に難溶性である。ゆえにポリイミドを主成分とする液晶配向膜を形成する場合、ポリイミドの前駆体であるポリアミック酸及び/又はポリアミック酸エステルを溶剤に溶かし液晶配向剤ワニスを調製し、一対の基板の少なくとも一方の前記液晶配向膜が形成されるべき基板上に塗布し、加熱及びイミド化し、配向処理を行う工程を経てポリイミドの液晶配向膜は形成される。
【0083】
また、上記加熱工程の際に、液晶配向剤ワニス中に含まれる溶剤は揮散し、ポリアミック酸及び/又はポリアミック酸エステルの有機被膜が形成される。前記有機被膜の形成と同じタイミングで、ポリアミック酸及び/又はポリアミック酸エステルのイミド化反応が進行する。
【0084】
イミド化反応は必ずしも100%進行している必要は無く、全体の40%から100%進行していることが好ましく、より好ましくは50%から95%であり、さらに好ましくは60%から90%である。
【0085】
化学式(8)乃至(10)で示されるジアミンを用いて形成されたポリイミド及びその前駆体は、光配向処理において配向能を付与するのに好適である。
【0086】
ポリイミド及びその前駆体にUV光が照射されると、ポリイミド及びその前駆体の分子構造中に中間体が形成される。
【0087】
この形成された中間体は光配向に有効に作用すると考えられている。光配向処理を効率的に行うためには、この中間体の形成をいかに容易に行うかが重要である。
【0088】
上述のポリイミド及びその前駆体の分子構造中の中間体の形成は、照射されるUV光によってポリイミド及びその前駆体の分子構造の一部が開裂することに起因する。
【0089】
従って、光配向処理を効率的に行うためには、照射されるUV光によって感度良くポリイミド及びその前駆体の分子構造の一部が、開裂される必要がある。
【0090】
化学式(8)乃至(10)で示される化合物は、その分子構造中に電子供与基であるメチル基、炭素数3以下のアルコキシ基、ジアルキルアミノ基、又はアルキルアミノ基を有していることを特徴としている。
【0091】
化学式(8)乃至(10)で示される化合物を用いて形成されたポリアミック酸及び/又はポリアミック酸エステルは、その分子構造中に化学式(8)乃至(10)で示される化合物の分子構造に由来するメチル基、炭素数3以下のアルコキシ基、ジアルキルアミノ基、又はアルキルアミノ基を有する。
【0092】
本発明者は、化学式(8)乃至(10)で示される化合物を用いて形成されたポリイミド及びその前駆体に、光配向処理の際に照射されるUV光が照射された場合、低い露光量でポリイミド及びその前駆体の分子構造中に中間体が形成されることを見出した。
【0093】
これによって、光配向処理におけるUV照射量が低減できる。
【0094】
また、化学式(8)乃至(10)で示される化合物にアルコキシ基が含まれる場合は、炭素数2以下のアルコキシ基がより好適であり、更にメトキシ基が好適である。
【0095】
すなわち、化学式(8)乃至(10)で示される化合物中に含まれるRのうち、少なくとも2つのRはそれぞれ独立してメチル基、炭素数2以下のアルコキシ基、ジアルキルアミノ基、又はアルキルアミノ基であり、他のRはそれぞれ独立して水素又は炭素数3以下のアルキル基であることはより好適である。
【0096】
また、化学式(8)乃至(10)で示される化合物中に含まれるRのうち、少なくとも2つのRはそれぞれ独立してメチル基、メトキシ基、ジアルキルアミノ基、又はアルキルアミノ基であり、他のRはそれぞれ独立して水素又は炭素数3以下のアルキル基であることは更に好適である。
【0097】
化学式(8)乃至(10)で示される化合物にジアルキルアミノ基が含まれる場合は、炭素数3以下のアルキル基を二つ有するジアルキルアミノ基であることが好まく、より好ましくは一つのアルキル基はメチル基である。更に好ましくは一つのアルキル基はメチル基であり、もう一方のアルキル基は炭素数3以下のジアルキルアミノ基である。また特に好ましくはジメチルアミノ基である。
【0098】
化学式(8)乃至(10)で示される化合物にアルキルアミノ基が含まれる場合は、炭素数3以下のアルキル基を有することが好ましい。より好ましくは炭素数2以下のアルキル基である。また更に好ましくはメチルアミノ基である。
【0099】
メチル基、ジアルキルアミノ基及び、アルキルアミノ基が、化学式(8)乃至(10)で示される化合物の分子構造中に付加されることは、他の電子供与基であるメトキシ基が付加された場合と比較して露光感度を高める上で有効である。
【0100】
従って、化学式(8)乃至(10)で示される化合物中に含まれるRのうち、少なくとも2つのRはそれぞれ独立してメチル基、ジアルキルアミノ基、又はアルキルアミノ基であり、他のRはそれぞれ独立して水素又は炭素数3以下のアルキル基であることは、より好適である。
【0101】
また、化学式(8)乃至(10)で示される化合物中に含まれるRのうち、少なくとも2つのRはそれぞれ独立してメチル基、ジメチルアミノ基、又はメチルアミノ基であり、他のRはそれぞれ独立して水素又は炭素数3以下のアルキル基であることは、更に好適である。
【0102】
また、ジメチルアミノ基は、メチルアミノ基と比較して化学式(8)乃至(10)で示される化合物中に含まれた場合、露光感度を高める上で有効である。
【0103】
よって、化学式(8)乃至(10)で示される化合物中に含まれるRのうち、少なくとも2つのRはそれぞれ独立してメチル基又は、ジメチルアミノ基であり、他のRはそれぞれ独立して水素又は炭素数3以下のアルキル基であることは、より好適である。
【0104】
また、化学式(8)乃至(10)で示される化合物中に含まれるRのうち、少なくとも2つのRはメチル基であり、他のRはそれぞれ独立して水素又はメチル基であってもよい。
【0105】
また、化学式(8)乃至(10)で示される化合物中に含まれるRのうち、少なくとも2つのRはメチル基であり、他のRはそれぞれ独立して水素であってもよい。
【0106】
また電子供与基である水酸基が付加された場合は、形成された液晶配向膜の表面に親水性を付与することとなる。液晶配向膜の物性の点から、水酸基を含まないのも好適な一つの様態である。
【0107】
また、ハロゲン基、フェニル基、ニトロ基等は電子求引基であるために化学式(8)乃至(10)で示される化合物の分子構造中に含まれていないことが好ましいが、本発明の効果を損なわない範囲で使用してもよい。
【0108】
また、化学式(8)乃至(10)で示される化合物はナフタレン骨格を有するため、化学式(8)乃至(10)で示される化合物を用いて形成されたポリイミド及びその前駆体に光配向処理を行う場合は、光源としてロングアークランプを用い300nm以上のUV光を取り出し、石英基板を積層したパイル偏光子を用いて直線偏光とした照射光を、所定の照射エネルギーで基板上に形成された有機被膜に照射することによって行われる。
【0109】
ナフタレン骨格は300nm以上のUV波長領域に吸収帯をもつため、低圧水銀ランプよりも強いUV光を照射するロングアークランプの使用が可能である。
【0110】
前述のように、露光量は照度と照射時間の積によって算出される。
【0111】
高感度化が実現された化学式(8)乃至(10)で示される化合物によって形成されたポリイミド及びその前駆体と、ロングアークランプという照度の高いランプを用いることによって、光配向の時間を更に短縮することが可能である。
【0112】
また、化学式(8)乃至(10)で示されるジアミンが、下記化学式(11)乃至(17)で示される化合物群Cからなる群より選ばれる一種以上のテトラカルボン酸二無水物と反応して、前記ポリイミドを形成することは好適である。
【0113】
【化4】
【0114】
はそれぞれ独立して水素、炭素数3以下のアルキル基、炭素数3以下のアルコキシ基である。
【0115】
また、Sは−(CH2)n−を表し、nは1以上10以下の整数を表す。
【0116】
化合物(8)乃至(10)で示されるジアミンと上記化学式(11)乃至(17)で示される化合物群Cから選ばれたテトラカルボン酸二無水物とが反応して形成されるポリイミド及びその前駆体は、露光感度のみならず、透過率、耐熱性、膜強度においても、優れた特性を有している。
【0117】
また、Rはそれぞれ独立して水素、メチル基、炭素数3以下のアルコキシ基であることはより好適である。
【0118】
加えて、Rの少なくとも一つが、メチル基又は炭素数2以下のアルコキシ基であることは、光配向処理におけるUV光に対する感度を高めるという観点よりより好適である。
【0119】
よって、Rはそれぞれ独立して水素、メチル基、炭素数2以下のアルコキシ基であることはより好適である。
【0120】
また、Rはそれぞれ独立して水素、メチル基、メトキシ基であることはより好適である。
【0121】
また、化学式(11)乃至(17)で示される化合物の分子構造に上記以外の電子供与基や他の官能基が付加された場合について説明を行う。
【0122】
電子供与基である水酸基が付加された場合は、形成された液晶配向膜の表面に親水性を付与することとなる。液晶配向膜の物性の点から、水酸基を含まないのも好適な一つの様態である。
【0123】
また、ハロゲン基、フェニル基、ニトロ基等は電子求引基であるために化学式(11)乃至(17)で示される化合物の分子構造中に含まれていないことが好ましいが、本発明の効果を損なわない範囲で使用してもよい。
【0124】
また、前記化学式(8)乃至(10)で示される化合物群Bより選ばれるジアミンは、下記化学式(18)に示されるジアミンであることは好ましい。
【0125】
【化5】
【0126】
はそれぞれ独立して水素、炭素数3以下のアルキル基、炭素数3以下のアルコキシ基、ジアルキルアミノ基、又はアルキルアミノ基であり、Rはそれぞれ独立してメチル基、炭素数3以下のアルコキシ基、ジアルキルアミノ基、又はアルキルアミノ基である。
【0127】
に電子供与基が付加される場合、化学式(18)で示される化合物を用いて形成されたポリイミド及びその前駆体の露光感度はより優れている。
【0128】
化学式(18)で示される化合物のRにアルコキシ基が含まれる場合は、炭素数2以下のアルコキシ基がより好適であり、更にメトキシ基が好適である。
【0129】
よって、Rはそれぞれ独立してメチル基、炭素数2以下のアルコキシ基、ジアルキルアミノ基、又はアルキルアミノ基であることは好適である。
【0130】
また、Rはそれぞれ独立してメチル基、メトキシ基、ジアルキルアミノ基、又はアルキルアミノ基であることは更に好適である。
【0131】
化学式(18)で示される化合物のRにジアルキルアミノ基が含まれる場合は、炭素数3以下のアルキル基を二つ有することが好ましく、より好ましくは一つのアルキル基はメチル基である。また更に好ましくはジメチルアミノ基である。
【0132】
化学式(18)で示される化合物のRにアルキルアミノ基が含まれる場合は、炭素数3以下のアルキル基を有することが好ましく、より好ましくは炭素数2以下のアルキル基である。また更に好ましくはメチルアミノ基である。
【0133】
また、化学式(18)で示される化合物のRにおいてメチル基、ジアルキルアミノ基、又はアルキルアミノ基が含まれることは、メトキシ基が含まれる場合より好適である。
【0134】
よって、Rはそれぞれ独立してメチル基、ジアルキルアミノ基、又はアルキルアミノ基であることがより好適である。
【0135】
また、Rはそれぞれ独立してメチル基又はアルキルアミノ基であってもよい。
【0136】
また、Rはそれぞれ独立してメチル基又はジアルキルアミノ基であってもよい。
【0137】
加えて化学式(18)で示される化合物においてRの二つともメチル基であってもよい。
【0138】
化学式(18)で示される化合物のRにアルコキシ基が含まれる場合は、炭素数2以下のアルコキシ基がより好適であり、更にメトキシ基が好適である。
【0139】
よって、Rはそれぞれ独立して水素、炭素数3以下のアルキル基、炭素数2以下のアルコキシ基、ジアルキルアミノ基、又はアルキルアミノ基であることがより好適である。
【0140】
よって、Rはそれぞれ独立して水素、炭素数3以下のアルキル基、メトキシ基、ジアルキルアミノ基、又はアルキルアミノ基であることが更に好適である。
【0141】
化学式(18)で示される化合物のRにアルキル基が含まれる場合は、炭素数2以下のアルキル基がより好適であり、更にメチル基が好適である。
【0142】
よって、Rはそれぞれ独立して水素、炭素数2以下のアルキル基、メトキシ基、ジアルキルアミノ基、又はアルキルアミノ基であることがより好適である。
【0143】
よって、Rはそれぞれ独立して水素、メチル基、メトキシ基、ジアルキルアミノ基、又はアルキルアミノ基であることが更に好適である。
【0144】
化学式(18)で示される化合物のRにジアルキルアミノ基が含まれる場合は、炭素数3以下のアルキル基を二つ有することが好ましく、より好ましくは一つのアルキル基はメチル基である。また更に好ましくはジメチルアミノ基である。
【0145】
化学式(18)で示される化合物のRにアルキルアミノ基が含まれる場合は、炭素数3以下のアルキル基を有することが好ましく、より好ましくは炭素数2以下のアルキル基である。また更に好ましくはメチルアミノ基である。
【0146】
よって、Rはそれぞれ独立して水素、メチル基、メトキシ基、ジメチルアミノ基、又はメチルアミノ基であることがより好適である。
【0147】
また、Rはそれぞれ独立して水素、又はメチル基であってもよい。
【0148】
また、Rはそれぞれ独立して水素、又はメトキシ基であってもよい。
【0149】
また、Rはそれぞれ独立して水素、又はジメチルアミノ基であってもよい。
【0150】
また、Rはそれぞれ独立して水素、又はアルキルアミノ基であってもよい。
【0151】
また、Rはそれぞれ独立して水素、ジメチルアミノ基又はアルキルアミノ基であってもよい。
【0152】
加えて化学式(18)で示される化合物においてRの二つとも水素であってもよい。また、Rの二つともメチル基であってもよい。
【0153】
上記説明を行った、化学式(18)で示される化合物のR及びRは適宜組み合わせてもよい。
【0154】
例えば、Rはそれぞれ独立して水素、又はメチル基であり、Rはそれぞれ独立してメチル基、ジアルキルアミノ基、又はアルキルアミノ基であることとしてもよい。
【0155】
また、Rはそれぞれ独立して水素、又はメチル基であり、Rはそれぞれ独立してメチル基又はアルキルアミノ基であることとしてもよい。
【0156】
また、Rはそれぞれ独立して水素、又はメトキシ基であり、Rはそれぞれ独立してメチル基、ジアルキルアミノ基、又はアルキルアミノ基であることとしてもよい。
【0157】
また、Rはそれぞれ独立して水素、又はジメチルアミノ基であり、Rはそれぞれ独立してメチル基、ジアルキルアミノ基、又はアルキルアミノ基であることとしてもよい。
【0158】
また、Rはそれぞれ独立して水素、又はアルキルアミノ基であり、Rはそれぞれ独立してメチル基、ジアルキルアミノ基、又はアルキルアミノ基であることとしてもよい。
【0159】
また、Rはそれぞれ独立して水素、ジメチルアミノ基又はアルキルアミノ基であり、Rはそれぞれ独立してメチル基、ジアルキルアミノ基、又はアルキルアミノ基であることとしてもよい。
【0160】
また、Rはそれぞれ独立して水素、又はメチル基であり、Rはそれぞれ独立してメチル基又はアルキルアミノ基であることとしてもよい。
【0161】
また、Rはそれぞれ独立して水素、又はメチル基であり、Rはそれぞれ独立してメチル基又はアルキルアミノ基であることとしてもよい。
【0162】
また、Rはそれぞれ独立して水素、又はメトキシ基であり、Rはそれぞれ独立してメチル基又はアルキルアミノ基であることとしてもよい。
【0163】
また、Rはそれぞれ独立して水素、又はジメチルアミノ基であり、Rはそれぞれ独立してメチル基又はアルキルアミノ基であることとしてもよい。
【0164】
また、Rはそれぞれ独立して水素、又はアルキルアミノ基であり、Rはそれぞれ独立してメチル基又はアルキルアミノ基であることとしてもよい。
【0165】
また、Rはそれぞれ独立して水素、ジメチルアミノ基又はアルキルアミノ基であり、Rはそれぞれ独立してメチル基又はアルキルアミノ基であることとしてもよい。
【0166】
また、Rはそれぞれ独立して水素、又はメチル基であり、Rはそれぞれ独立してメチル基又はジアルキルアミノ基であることとしてもよい。
【0167】
また、Rはそれぞれ独立して水素、又はメチル基であり、Rはそれぞれ独立してメチル基又はジアルキルアミノ基であることとしてもよい。
【0168】
また、Rはそれぞれ独立して水素、又はメトキシ基であり、Rはそれぞれ独立してメチル基又はジアルキルアミノ基であることとしてもよい。
【0169】
また、Rはそれぞれ独立して水素、又はジメチルアミノ基であり、Rはそれぞれ独立してメチル基又はジアルキルアミノ基であることとしてもよい。
【0170】
また、Rはそれぞれ独立して水素、又はアルキルアミノ基であり、Rはそれぞれ独立してメチル基又はジアルキルアミノ基であることとしてもよい。
【0171】
また、Rはそれぞれ独立して水素、ジメチルアミノ基又はアルキルアミノ基であり、Rはそれぞれ独立してメチル基又はジアルキルアミノ基であることとしてもよい。
【0172】
また、化学式(18)で示される化合物の分子構造に上記以外の電子供与基や他の官能基が付加された場合について説明を行う。
【0173】
例えば、電子供与基である水酸基が付加された場合は、形成された液晶配向膜の表面に親水性を付与することとなる。液晶配向膜の物性の点から、水酸基を含まないのも好適な一つの様態である。
【0174】
また、ハロゲン基、フェニル基、ニトロ基等は電子求引基であるために化学式(18)で示される化合物の分子構造中に含まれていないことが好ましいが、本発明の効果を損なわない範囲で使用してもよい。
【0175】
前記化学式(18)で示されるジアミンが、下記化学式(11)乃至(17)で示される化合物群Cより選ばれる一種以上のテトラカルボン酸二無水物と反応して、ポリイミド及びその前駆体を形成することはより好ましい。
【0176】
【化6】
【0177】
はそれぞれ独立して水素、炭素数3以下のアルキル基、炭素数3以下のアルコキシ基である。
【0178】
また、Sは−(CH2)n−を表し、nは1以上10以下の整数を表す。
【0179】
化合物(18)で示されるジアミンと上記化学式(11)乃至(17)で示される化合物群Cから選ばれたテトラカルボン酸二無水物とが反応して形成されるポリイミド及びその前駆体は、露光感度のみならず、透過率、耐熱性、膜強度においても、優れた特性を有している。
【0180】
また、Rはそれぞれ独立して水素、メチル基、炭素数3以下のアルコキシ基であることはより好適である。
【0181】
加えて、Rの少なくとも一つが、メチル基又は炭素数2以下のアルコキシ基であることは、光配向処理におけるUV光に対する感度を高めるという観点よりより好適である。
【0182】
よって、Rはそれぞれ独立して水素、メチル基、炭素数2以下のアルコキシ基であることはより好適である。
【0183】
また、Rはそれぞれ独立して水素、メチル基、メトキシ基であることはより好適である。
【0184】
また、化学式(11)乃至(17)で示される化合物の分子構造に上記以外の電子供与基や他の官能基が付加された場合について説明を行う。
【0185】
電子供与基である水酸基が付加された場合は、形成された液晶配向膜の表面に親水性を付与することとなる。液晶配向膜の物性の点から、水酸基を含まないのも好適な一つの様態である。
【0186】
また、ハロゲン基、フェニル基、ニトロ基等は電子求引基であるために化学式(11)乃至(17)で示される化合物の分子構造中に含まれていないことが好ましいが、本発明の効果を損なわない範囲で使用してもよい。
【0187】
[実施例1]
本発明の実施形態に係る、液晶表示装置について図1図2A図2B図2Cを用いて説明を行う。
【0188】
図1は、本実施例による液晶表示装置の1画素付近の模式断面図である。また、図2は本実施例による液晶表示装置の1画素付近の構成を説明するアクティブマトリクス基板の模式図であり、図2Aは平面図、図2B図2Aに示す2B−2B線に沿った断面図、図2C図2Aに示す2C−2C線に沿った断面図を示す。また、図1は、図2Aに示す2B−2B線に沿った断面の一部に対応する。
【0189】
なお、図2B図2Cは、要部構成を強調して模式的に示すもので、図2Aの2B−2B線と2C−2C線の切断部に1対1で対応しない。例えば、図2Bでは半導体膜116は図示せず、図2Cでは共通電極(コモン電極)103と共通電極配線(コモン配線)120を接続するスルーホール118は1箇所のみを代表して示してある。
【0190】
本実施形態では、アクティブマトリクス基板としてのガラス基板101上には、Cr(クロム)からなる走査配線(ゲート配線)104及び共通電極配線120が配置され、この走査配線104及び共通電極配線120を覆うように窒化シリコンからなるゲート絶縁膜107が形成されている。
【0191】
また、走査配線104上には、ゲート絶縁膜107を介してアモルファスシリコン又はポリシリコンからなる半導体膜116が配置され、アクティブ素子としてTFT(Thin film transistor、薄膜トランジスタ)115の能動層として機能するようにされている。
【0192】
また、半導体膜116のパターンの一部に重畳するようにCr・Mo(クロム・モリブデン)からなる信号配線(ドレイン電極)106とITO(Indium tin oxide)膜からなる画素電極(ソース電極)105が配置され、これら全てを被覆するように窒化シリコンからなる保護絶縁膜108が形成されている。
【0193】
また、図2Cに示すように、ゲート絶縁膜107と保護絶縁膜108を貫通して形成されたスルーホール118を介して共通電極配線120に接続する共通電極103が有機保護膜(オーバーコート層)112上に配置されている。
【0194】
また、図2Aに示すように、平面的には1画素の領域において、その画素電極105に対向するように、共通電極配線120からスルーホール118を介して引き出されている共通電極103が形成されている。
【0195】
本実施形態においては、画素電極105は、有機保護膜112の下層の保護絶縁膜108のさらに下層に配置され、有機保護膜112上に共通電極103が配置された構成となっている。
【0196】
これらの複数の画素電極105と共通電極103とに挟まれた領域で、1画素が構成される構造となっている。
【0197】
また、以上のように構成した単位画素をマトリクス状に配置したアクティブマトリクス基板の表面、すなわち、共通電極103が形成された有機保護膜112上には液晶配向膜109が形成されている。
【0198】
一方、図1に示すように、対向基板を構成するガラス基板102には、カラーフィルタ層111が遮光膜(ブラックマトリクス)113で画素毎に区切られて配置され、また、カラーフィルタ層111及び遮光膜113上は、透明な絶縁性材料からなる有機保護膜112で覆われている。さらに、その有機保護膜112上にも液晶配向膜109が形成されてカラーフィルタ基板を構成している。
【0199】
これらの液晶配向膜109は、低圧水銀キセノンランプを光源とし、石英板を積層したパイル偏光子を用いて取り出される紫外線の直線偏光照射により液晶配向能が付与されている。
【0200】
アクティブマトリクス基板を構成するガラス基板101と、カラーフィルタ基板を構成するガラス基板102とが、液晶配向膜109の面で対向配置され、これらの間に液晶分子110aで構成される液晶組成物層(液晶層)110bが配置される。
【0201】
また、アクティブマトリクス基板を構成するガラス基板101及びカラーフィルタ基板を構成するガラス基板102の外側の面のそれぞれには、偏光板114が形成されている。
【0202】
以上のようにして、TFT115を用いたアクティブマトリクス型液晶表示装置(TFT液晶表示装置)が構成される。このTFT液晶表示装置では、液晶組成物層110bを構成する液晶分子110aは、電界無印加時には対向配置されているガラス基板101,102面にほぼ平行に配向された状態となり、光配向処理で規定された初期配向方向に向いた状態でホモジニアス配向している。
【0203】
ここで、走査配線104に電圧を印加してTFT115をオンにすると、画素電極105と共通電極103の間の電位差により液晶組成物層110bに電界117が印加され、液晶組成物層110bが持つ誘電異方性と電界との相互作用により液晶組成物層110bを構成する液晶分子110aは電界方向にその向きを変える。このとき液晶組成物層110bの屈折異方性と偏光板114の作用により液晶表示装置の光透過率を変化させ表示を行うことができる。
【0204】
また、有機保護膜112は、絶縁性、透明性に優れるアクリル系樹脂、エポキシアクリル系樹脂又はポリイミド系樹脂などの熱硬化性樹脂を用いればよい。また、有機保護膜112として光硬化性の透明な樹脂を用いてもよいし、ポリシロキサン系の樹脂など無機系の材料を用いてもよい。さらには、有機保護膜112が液晶配向膜109を兼ねるものであってもよい。
【0205】
以上のように、本実施例によれば、液晶配向膜109の液晶配向能をバフ布で直接摩擦するラビング配向処理ではなく、非接触の光配向法を用いることにより、電極近傍に局所的な配向の乱れがなく、表示領域全面に渡り均一な配向を付与することが可能となる。
【0206】
一般的に、IPS方式においては、従来のTN方式に代表される縦電界方式と異なり基板面との界面チルトが原理的に必要なく、界面チルト角が小さいほど視角特性が良いことが知られており、光配向された液晶配向膜においても小さい界面チルト角が望ましく、特に、1度以下にすることにより、液晶表示装置の視角による色変化、明度変化を大幅に抑制することが出来るため、効果的である。
【0207】
次に、本実施例の液晶表示装置の製造方法として、液晶配向膜のラビングレス配向法を用いた液晶配向膜の形成について詳細に説明する。本実施例による液晶配向膜の形成工程のフローは、以下工程(1)から工程(4)のようになる。
【0208】
工程(1):液晶配向膜を構成する成分を含むワニスの塗膜・形成(表示領域全面にわたり均一な塗膜を形成する)
【0209】
工程(2):有機被膜のイミド化焼成(ワニス溶剤の除去と耐熱性の高いポリイミド化を促進する)
【0210】
工程(3):偏光照射による液晶配向能付与(表示領域に均一な配向能を付与する)
【0211】
工程(4):(加熱、赤外線照射、遠赤外線照射、電子線照射、放射線照射)による配向能の促進・安定化
【0212】
以上の4段階のプロセスを介して液晶配向膜を形成するが、上記工程(1)から工程(4)のプロセスの順番に限定されるものではなく、以下(a)(b)のような場合には更なる効果が期待される。
【0213】
(a)上記工程(3)、工程(4)を時間的に重なるように処理することにより液晶配向能付与を加速し架橋反応などを誘起することで、更に効果的に液晶配向膜を形成することが可能となる。
【0214】
(b)上記工程(4)の加熱、赤外線照射、遠赤外線照射などを用いる場合には、上記工程(2)、工程(3)、工程(4)を時間的にオーバーラップさせることにより、上記工程(4)のプロセスが上記工程(2)のイミド化プロセスを兼ねることも可能となり、短時間に液晶配向膜の形成が可能となる。
【0215】
次に、本実施例の具体的な製造方法について説明する。アクティブマトリクス基板を構成するガラス基板101及びカラーフィルタ基板を構成するガラス基板102として、厚みが0.7mmで表面を研磨したガラス基板を用いる。
【0216】
ガラス基板101に形成するTFT115は、画素電極105、信号配線106、走査配線104及び半導体膜(アモルファスシリコン)116から構成される。
【0217】
走査配線104、共通電極配線120、及び信号配線106は、全てクロム膜をパターニングして形成し、画素電極105と共通電極103との間隔は7μmとした。なお、本実施形態においては共通電極103と画素電極105とは、透明電極を構成してより高い輝度特性を達成するためにITO膜によって形成されているが、ITO膜の替わりに、低抵抗でパターニングの容易なクロム膜にて共通電極103と画素電極105とを形成することも可能である。
【0218】
ゲート絶縁膜107と保護絶縁膜108は窒化珪素からなり、膜厚はそれぞれ0.3μmとした。その上にはアクリル系樹脂を塗布し、220℃、1時間の加熱処理により透明で絶縁性のある有機保護膜112を形成した。
【0219】
次に、フォトリソグラフィ、エッチング処理により、図2Cに示すように、共通電極配線120までスルーホール118を形成し、共通電極配線120と接続する共通電極103をパターニングして形成した。
【0220】
その結果、単位画素(1画素)内では、図2Aに示すように、画素電極105が3本の共通電極103の間に配置されている構成となり、画素数は1024×3(R、G、Bに対応)本の信号配線106と、768本の走査配線104とから構成される1024×3×768個とするアクティブマトリクス基板を形成した。
【0221】
本実施例1では、液晶配向膜109として下記のものを用いた。
【0222】
初めに下記化学式(201)で示されるテトラカルボン酸二無水物と、p−フェニレンジアミンとを1:1のモル比で重縮合させ、ポリアミック酸を得た。
【0223】
【化7】
【0224】
その後、前記ポリアミック酸5重量部と、前記ポリアミック酸を溶解し得る溶剤95重量部とを混合し、液晶配向剤ワニスを調製した。
【0225】
前記溶剤は、例えばジメチルアセトアミド、γ―ブチロラクトン、ブチルセロソルブ等より適宜選択して用いる事が可能である。
【0226】
前記液晶配向剤ワニスを基板上にスピン塗布し、230℃、10分間加熱し有機被膜を形成した。その後、前記有機被膜に波長257nmの偏光紫外線を、露光量2.0J/cmとなるように照度と照射時間とを調整して光配向配向処理を施し、実施例1の液晶表示装置を得た。
【0227】
[参考例1]
参考例1では、液晶配向膜109として下記のものを用いた。液晶配向膜109の組成以外は前記実施例1と同様の方法で液晶表示装置を作成した。
【0228】
初めに、下記化学式(202)で示されるテトラカルボン酸二無水物と、p−フェニレンジアミンとを1:1のモル比で重縮合させ、ポリアミック酸を得た。
【0229】
【化8】
【0230】
次に、前記ポリアミック酸5重量部、前記ポリアミック酸を溶解し得る溶剤95重量部を混合し、液晶配向剤ワニスを調製した。
【0231】
前記溶剤は、例えばジメチルアセトアミド、γ―ブチロラクトン、ブチルセロソルブ等より適宜選択して用いる事が可能である。
【0232】
実施例1と同様に前記液晶配向剤ワニスを基板上にスピン塗布し、230℃、10分間加熱し有機被膜を形成し、その後ラビング配向配向処理を施し、参考例1の液晶表示装置を得た。
【0233】
[比較例1]
比較例1では、液晶配向膜109として下記のものを用いた。液晶配向膜109の組成以外は前記実施例1と同様の方法で液晶表示装置を作成した。
【0234】
初めに、下記化学式(202)で示されるテトラカルボン酸二無水物と、p−フェニレンジアミンとを1:1のモル比で重縮合させ、ポリアミック酸を合成した。
【0235】
【化9】
【0236】
その後、前記ポリアミック酸5重量部、前記ポリアミック酸を溶解し得る溶剤95重量部を混合し、液晶配向剤ワニスを調製した。
【0237】
前記溶剤は、例えばジメチルアセトアミド、γ―ブチロラクトン、ブチルセロソルブ等より適宜選択して用いる事が可能である。
【0238】
前記液晶配向剤ワニスを基板上にスピン塗布し、230℃、10分間加熱し有機被膜を形成した。その後、前記有機被膜に波長257nmの偏光紫外線を、露光量2.0J/cmとなるように照度と照射時間とを調整して光配向処理を施し、比較例1の液晶表示装置を得た。
【0239】
実施例1、参考例1及び比較例1で作成された液晶表示装置に電圧を印加して透過光強度と電圧との関係を測定し、液晶表示装置に備えられた液晶配向膜の感度に対する考察を行った。
【0240】
測定の結果、実施例1、及び参考例1を比較した結果、透過光強度と、電圧との関係は同等の物であった。よって実施例1によって作成された液晶表示装置は、ラビング配向処理が施された参考例1と同等の配向処理が行われていると解される。
【0241】
比較例1の液晶表示装置が実施例1液晶表示装置と同等の性能を得るためには、有機被膜に波長257nmの偏光紫外線を、露光量10.0J/cmとなるように照射時間を調整する必要があった。
【0242】
すなわち、テトラカルボン酸二無水物にジメチルアミノ基を付加することによって、約1/5の露光量で光配向処理が行えることが可能であることがわかった。
【0243】
露光量は照度と照射時間の積によって求められるため、同一照度の光源から光配向処理を行った場合、有機被膜中にテトラカルボン酸二無水物にジメチルアミノ基の構造を持つことによって、照射時間は約1/5に短縮された。
【0244】
[実施例2]
実施例2では、液晶配向膜109として下記のものを用いた。液晶配向膜109の組成以外は前記実施例1と同様の方法で液晶表示装置を作成した。
【0245】
初めに、下記化学式(204)で示されるジアミンと、下記化学式(205)で示されるテトラカルボン酸二無水物とを1:1のモル比で重縮合させ、ポリアミック酸を得た。
【0246】
【化10】
【0247】
【化11】
【0248】
次に、前記ポリアミック酸5重量部、前記ポリアミック酸を溶解し得る溶剤95重量部を混合し、液晶配向剤ワニスを調製した。
【0249】
前記溶剤は、例えばジメチルアセトアミド、γ―ブチロラクトン、ブチルセロソルブ等より適宜選択して用いる事が可能である。
【0250】
前記液晶配向剤ワニスを基板上にスピン塗布し、230℃、10分間加熱し有機被膜を形成した。その後、前記有機被膜にロングアークランプを用いて偏光紫外線を、露光量1.0J/cmとなるように照度と照射時間とを調整して光配向処理を施し、実施例2の液晶表示装置を得た。
【0251】
[参考例2]
参考例2では、液晶配向膜109として下記のものを用いた。液晶配向膜109の組成以外は前記実施例1と同様の方法で液晶表示装置を作成した。
【0252】
初めに、下記化学式(204)で示されるジアミンと、下記化学式(205)で示されるテトラカルボン酸二無水物とを1:1のモル比で重縮合させ、ポリアミック酸を合成した。
【0253】
【化12】
【0254】
【化13】
【0255】
次に、ポリアミック酸5重量部と、前記ポリアミック酸を溶解し得る溶剤95重量部を混合し、液晶配向剤ワニスを調製した。
【0256】
前記溶剤は、例えばジメチルアセトアミド、γ―ブチロラクトン、ブチルセロソルブ等より適宜選択して用いる事が可能である。
【0257】
前記液晶配向剤ワニスを基板上にスピン塗布し、230℃、10分間加熱し有機被膜を形成した。その後、ラビング処理を施し、参考例2の液晶表示装置を得た。
【0258】
[比較例2]
比較例2では、液晶配向膜109として下記のものを用いた。液晶配向膜109の組成以外は前記実施例1と同様の方法で液晶表示装置を作成した。
【0259】
初めに、p−フェニルジアミンと、下記化学式(205)で示されるテトラカルボン酸二無水物とを1:1のモル比で重縮合させ、ポリアミック酸を得た。
【0260】
【化14】
【0261】
次に、前記ポリアミック酸5重量部、前記ポリアミック酸を溶解し得る溶剤95重量部を混合し、液晶配向剤ワニスを調製した。
【0262】
前記溶剤は、例えばジメチルアセトアミド、γ―ブチロラクトン、ブチルセロソルブ等より適宜選択して用いる事が可能である。
【0263】
前記液晶配向剤ワニスを基板上にスピン塗布し、230℃、10分間加熱し有機被膜を形成した。その後、前記有機被膜に波長257nmの偏光紫外線を、実施例2と同等の性能が得られるまで照射時間を調整して光配向処理を施し比較例2の液晶表示装置を得た。
【0264】
実施例2、参考例2及び比較例2で作成された液晶表示装置に電圧を印加して透過光強度と電圧との関係を測定し、液晶表示装置に備えられた液晶配向膜の感度に対する考察を行った。
【0265】
測定の結果、実施例2、及び参考例2を比較した結果、透過光強度と、電圧との関係は同等の物であった。よって実施例2によって作成された液晶表示装置は、ラビング配向処理が施された参考例2と同等の配向処理が行われていると解される。
【0266】
比較例2は実施例2と同等の結果を得るためには、有機被膜に波長257nmの偏光紫外線をもちいて、実施例2の照射時間に対して約3倍の時間を照射する必要があった。
【0267】
よって、ナフタレン骨格をもち更に2,6−位にメチル基を付加することによって、従来の約1/3の照射時間で光配向処理が行えることが可能であることがわかった。
【符号の説明】
【0268】
101,102 ガラス基板、103 共通電極、104 走査配線、105 画素電極、106 信号配線、107 ゲート絶縁膜、108 保護絶縁膜、109 液晶配向膜、110a 液晶分子、110b 液晶層、111 カラーフィルタ層、112 有機保護膜、113 遮光膜、114 偏光板、115 TFT、116 半導体膜、117 電界、118 スルーホール、120 共通電極配線。
図1
図2A
図2B
図2C