(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2015-2620(P2015-2620A)
(43)【公開日】2015年1月5日
(54)【発明の名称】相間絶縁部材製造方法、相間絶縁部材および電動機
(51)【国際特許分類】
H02K 15/10 20060101AFI20141202BHJP
H02K 3/34 20060101ALI20141202BHJP
【FI】
H02K15/10
H02K3/34 D
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
【全頁数】18
(21)【出願番号】特願2013-126163(P2013-126163)
(22)【出願日】2013年6月14日
(71)【出願人】
【識別番号】000100872
【氏名又は名称】アイチエレック株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100106725
【弁理士】
【氏名又は名称】池田 敏行
(74)【代理人】
【識別番号】100105120
【弁理士】
【氏名又は名称】岩田 哲幸
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 光彦
(72)【発明者】
【氏名】渡部 尚樹
(72)【発明者】
【氏名】米津 裕史
(72)【発明者】
【氏名】市之宮 登
【テーマコード(参考)】
5H604
5H615
【Fターム(参考)】
5H604AA08
5H604BB01
5H604BB08
5H604BB14
5H604CC01
5H604CC05
5H604CC13
5H604DA17
5H604DA20
5H604DB26
5H604PB02
5H615AA01
5H615BB01
5H615BB05
5H615BB14
5H615PP01
5H615PP16
5H615QQ02
5H615QQ06
5H615SS03
(57)【要約】
【課題】外周縁および内周縁から突起が飛び出ていない相間絶縁部材を提供する。
【解決手段】絶縁シート200を、相間絶縁部材130の外周縁に沿った第1の切断線230a〜230dと、外周接続部240a〜240dを形成するための第2の切断線に沿って切断する。また、相間絶縁部材130の内周縁に沿った第3の切断線335a〜335g、435a〜435gと、内周接続部240e〜240rを形成するための第4の切断線に沿って切断する。第2の切断線は、仮想外周線に対して傾斜している第1の傾斜切断線を有している。第4の切断線は、仮想内周線に対して傾斜している第2の傾斜切断線を有している。次に、外周接続部に対して仮想外周線に沿った両側の第2の切断線の第1の傾斜切断線を結ぶ外周接続部切断線に沿って切断する。また、内周接続部に対して仮想内周線に沿った両側の第4の切断線の第2の傾斜切断線を結ぶ内周接続部切断線に沿って切断する。
【選択図】
図5
【特許請求の範囲】
【請求項1】
固定子コアの軸方向に沿った一方端面側および他方端面側に周方向に沿って配置される第1の帯状部および第2の帯状部と、前記第1の帯状部と前記第2の帯状部に接続され、前記固定子コアのスロットに挿入される複数の連結部と、隣接する連結部間に形成されている複数の空間部を有する相間絶縁部材を製造する相間絶縁部材製造方法であって、
絶縁フィルムを、前記相間接続部材の外周縁に沿った第1の切断線と、外周接続部を形成するための第2の切断線からなる外周切断線に沿って切断するとともに、前記相間絶縁部材の内周縁に沿った第3の切断線と、内周接続部を形成するための第4の切断線からなる内周切断線に沿って切断する第1のステップと、
前記外周接続部および前記内周接続部を切断する第2のステップを備え、
前記第2の切断線は、前記外周接続部を跨ぐように前記第1の切断線を延ばした仮想外周線に沿って前記外周接続部から離れるほど、前記仮想外周線との間の距離が長くなるように傾斜しているとともに、少なくとも一部が前記仮想外周線より前記相間絶縁部材を形成する部分側に配置されている第1の傾斜切断線を有しており、
前記第4の切断線は、前記内周接続部を跨ぐように前記第3の切断線を延ばした仮想内周線に沿って前記内周接続部から離れるほど、前記仮想内周線との間の距離が長くなるように傾斜しているとともに、少なくとも一部が前記仮想内周線より前記相間絶縁部材を形成する部分側に配置されている第2の傾斜切断線を有しており、
前記第2のステップでは、
前記仮想外周線より前記相間絶縁部材を形成する部分側の領域において、前記外周接続部に対し前記仮想外周線に沿った一方側の前記第2の切断線の第1の傾斜切断線と他方側の前記第2の切断線の第1の傾斜切断線を結ぶ外周接続部切断線に沿って切断するとともに、
前記仮想内周線より前記相間絶縁部材を形成する部分側の領域において、前記内周接続部に対し前記仮想内周線に沿った一方側の前記第4の切断線の第2の傾斜切断線と他方側の前記第4の切断線の第2の傾斜切断線を結ぶ内周接続部切断線に沿って切断することを特徴とする相間絶縁部材製造方法。
【請求項2】
請求項1に記載の相間絶縁部材製造方法であって、
前記外周接続部切断線は、前記仮想外周線と平行であり、
前記内周接続部切断線は、前記仮想内周線と平行であることを特徴とする相間絶縁部材製造方法。
【請求項3】
請求項1または2に記載の相間絶縁部材製造方法であって、
前記外周接続部切断線は、前記第1の傾斜切断線との間の角度が鈍角になるように設定され、
前記内周接続部切断線は、前記第2の傾斜切断線との間の角度が鈍角になるように設定されていることを特徴とする相間絶縁部材製造方法。
【請求項4】
請求項3に記載の相間絶縁部材製造方法であって、
前記第1の傾斜切断線は、前記仮想外周線側に突状である円弧形状に形成されており、
前記第2の傾斜切断線は、前記仮想内周線側に突状である円弧形状に形成されていることを特徴とする相間絶縁部材製造方法。
【請求項5】
請求項1〜4のうちのいずれか一項に記載の相間絶縁部材製造方法であって、
前記仮想外周線および前記仮想内周線は、直線であることを特徴とする相間絶縁部材製造方法。
【請求項6】
請求項1〜4のうちのいずれか一項に記載の相間絶縁部材製造方法であって、
前記外周切断線に沿った切断および前記内周切断線に沿った切断は、レーザーを用いて行われることを特徴とする相間絶縁部材製造方法。
【請求項7】
固定子巻線を絶縁する相間絶縁部材を製造する相間絶縁部材製造方法であって、
絶縁フィルムを、前記相間絶縁部材を形成する部分と切り離す部分との境界線に沿った第5の切断線と、前記相間絶縁部材を形成する部分と前記切り離す部分を接続する接続部を形成するための第6の切断線からなる切断線に沿って切断する第1のステップと、
前記接続部を切断する第2のステップを備え、
前記第6の切断線は、前記接続部を跨ぐように前記第5の切断線を延ばした仮想線に沿って前記接続部から離れるほど、前記仮想線との間の距離が長くなるように傾斜しているとともに、少なくとも一部が前記仮想線より前記相間絶縁部材を形成する部分側に配置されている傾斜切断線を有しており、
前記第2のステップでは。
前記仮想線より前記相間絶縁部材を形成する部分側の領域において、前記接続部に対し前記仮想線に沿った一方側の前記第6の切断線の傾斜切断線と他方側の前記第6の切断線の傾斜切断線を結ぶ接続部切断線に沿って切断することを特徴とする相間絶縁部材製造方法。
【請求項8】
固定子巻線を絶縁する相間絶縁部材であって、
固定子コアの軸方向に沿った一方端面側に周方向に沿って配置される第1の帯状部と、
前記固定子コアの軸方向に沿った他方端面側に周方向に沿って配置される第2の帯状部と、
前記第1の帯状部と前記第2の帯状部に接続され、前記固定子コアのスロットに挿入される複数の連結部と、
隣接する連結部間に形成されている複数の空間部を有し、
相間絶縁部材の外周縁に沿った少なくとも2箇所に、窪んでいる外周縁切断部を有し、
前記外周縁切断部は、前記外周縁を延ばした仮想外周線と平行な第1の平行切断線と、前記第1の平行切断線の両側に接続され、前記仮想外周線に沿って前記第1の平行切断線から離れるほど、前記仮想外周線との間の距離が長くなるように傾斜している第1および第2の傾斜切断線を有しており、
前記空間部を形成する内周縁に沿った少なくとも2箇所に、窪んでいる内周縁切断部を有し、
前記内周縁切断部は、前記内周縁を延ばした仮想内周線と平行な第2の平行切断線と、前記第2の平行切断線の両側に接続され、前記仮想内周線に沿って前記第2の平行切断線から離れるほど、前記仮想内周線との間の距離が長くなるように傾斜している第3および第4の傾斜切断線を有していることを特徴とする相間絶縁部材。
【請求項9】
請求項8に記載の相間絶縁部材であって、
前記仮想外周線および前記仮想内周線は、直線であることを特徴とする相間絶縁部材。
【請求項10】
固定子コア、前記固定子コアのスロットに挿入された固定子巻線、前記固定子巻線を絶縁する相間絶縁部材により構成される固定子と、前記固定子に対して相対的に回転可能な回転子を備える電動機であって、前記相間絶縁部材として、請求項1〜7のうちのいずれか一項に記載の相間絶縁部材製造方法によって製造された相間絶縁部材あるいは請求項8または9に記載の相間絶縁部材が用いられていることを特徴とする電動機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、レーザー切断装置等の切断装置を用いて絶縁フィルムを切断することによって製造される相間絶縁部材に関し、特に、突起による固定子巻線の損傷を防止することができる相間絶縁部材に関する。
【背景技術】
【0002】
電動機等の固定子には、各相の固定子巻線を絶縁するために相間絶縁部材が設けられている。このような相間絶縁部材としては、例えば、特許文献1に示されている相間絶縁部材が知られている。
このような相間絶縁部材は、絶縁フィルムを切断することによって製造される。近年、絶縁フィルムを切断する方法として、金属カッターやプレスによる切断方法に代えてレーザーによる切断方法が用いられている。レーザーによる切断方法を用いる場合、絶縁フィルムを切断線に沿って完全に切断すると、加工中に絶縁フィルムが移動して加工精度が低下する。このため、先ず、絶縁フィルムを、相間絶縁部材を形成する部分と相間絶縁部材を形成する部分から切り離される部分の境界線に沿って、一部を接続する接続部を残した状態で切断し、その後、接続部を切断する方法が用いられている。
【0003】
従来の相間絶縁部材製造方法を、
図9〜
図13を参照して説明する。なお、
図9は、従来の相間絶縁部材製造方法を用いて製造した相間絶縁部材530を示し、
図10〜
図13は、従来の相間絶縁部材製造方法を説明する図である。相間絶縁部材530は、
図9に示されているように、外周を形成する外周縁530a〜530d、空間部534a〜534gを形成する内周縁535a〜535gを有している。
先ず、
図10に示すように、絶縁フィルム600を、相間絶縁部材530の外周縁530a〜530dに対応する外周用切断線630a〜630dおよび外周接続部640a〜640dを形成するための外周接続部形成用切断線に沿って切断する。また、相間絶縁部材530の内周縁535a〜535gに対応する内周切断線735a〜735g、835a〜835gおよび内周接続部640e〜640rを形成するための内周接続部形成用切断線に沿って切断する。
図11に、内周接続部640iおよび640jを形成するための内周接続部形成用切断線が示されている。
図11に示されているように、内周接続部640iを形成するための内周接続部形成用切断線は、内周切断線735cに繋がっている直線形状の切断線736cと、内周切断線835cに接続されている直線形状の切断線836cにより構成されている。直線形状の切断線736cおよび836cは、内周切断線735cと835cを延ばした仮想内周線635c1より相間絶縁部材を形成する部分(
図11では、連結部533を形成する部分633c)と反対側(空間部534dを形成するために切り取られる部分634d側)の方向に延びている。他の内周接続部形成用切断線および外周接続部形成用切断線も同様の構成である。
【0004】
次に、仮想内周線に沿って内周接続部の両側の内周接続部形成用切断線を結ぶ内周接続部切断線に沿って切断する。例えば、
図11において、内周接続部640iに対して仮想内周線635c1に沿った一方側の内周接続部形成用切断線736cと他方側の内周接続部形成用切断線836cを結ぶ内周接続部切断線Tに沿って切断する。他の内周接続部および外周接続の切断も同様に行う。
これにより、
図10の破線で囲んだ領域Qの拡大図である
図12で示されている状態から
図13に示されている状態となる。すなわち、相間絶縁部材530を形成する部分(631、632、633a〜633h)と相間部材530を形成する部分より外側の部分(外周用切断線630a〜630dより外側の部分)および相間部材530の空間部534a〜534gに対応する部分(634a〜634g)が切り離される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2012−196000号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
従来の相間絶縁部材製造方法を用いて製造した相間絶縁部材630は、
図9および
図13に示されているように、外周接続部640a〜640dを外周接続部切断線に沿って切断した残りの部分650a〜650dが外周縁530c、530dから突出し、また、内周接続部640e〜640rを内周接続部切断線に沿って切断した残りの部分540a〜540rが内周縁535a〜535gから突出している。すなわち、相間接続部530の外周縁および内周縁から突起540a〜540rが飛び出ている。また、これらの突起540a〜540rは、角がとがっている。
このため、これらの突起540a〜540rと固定子巻線との接触(当接)によって固定子巻線が損傷するおそれがある。
本発明は、このような点に鑑みて創案されたものであり、相間絶縁部材による固定子巻線の損傷を防止することができる技術を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
第一の発明は、相間絶縁部材製造方法に関する。
本発明の相間絶縁部材は、固定子コアの軸方向に沿った一方端面側に周方向に沿って配置される第1の帯状部、固定子コアの軸方向に沿った他方端面側に周方向に沿って配置される第2の帯状部、第1の帯状部と第2の帯状部に接続され、固定子コアのスロットに挿入される複数の連結部、隣接する連結部間に形成されている複数の空間部を有している。
本発明では、第1のステップにおいて、絶縁フィルムを、外周切断線に沿って切断するとともに、内周切断線に沿って切断する。外周切断線に沿った切断と内周切断線に沿った切断は、同時に行ってもよいし、異なるタイミングで行ってもよい。また、同じ切断装置で行ってもよいし、異なる切断装置で行ってもよい。
外周切断線は、相間絶縁部材の外周縁に沿った第1の切断線(外周縁形成用切断線)と、外周接続部を形成するための第2の切断線(外周接続部形成用切断線)を有している。第2の切断線は、第1の切断線に繋がっている。外周接続部は、絶縁フィルムのうち、相間絶縁部材を形成する部分と相間絶縁部材を形成する部分より外側の部分(例えば、第1の切断線より外側の部分)を接続する部分である。外周接続部の両側に第2の切断線が配置される。すなわち、対向して配置される第2の切断線によって外周接続部が形成される。
第2の切断線は、外周接続部を跨ぐように第1の切断線を延ばした仮想外周線に沿って外周接続部から離れるほど、仮想外周線との間の距離が長くなるように傾斜している第1の傾斜切断線を有している。第1の傾斜切断線の傾斜方向は、外周接続部から離れるにしたがって、当該外周接続部の切断によって切り離される部分(例えば、第1の切断線より外側の部分)から離れるように設定される。すなわち、第1の傾斜切断線は、少なくとも一部が仮想外周線より相間絶縁部材を形成する部分側に配置されている。第2の切断線は、少なくとも第1の傾斜切断線を含んでいればよく、他の形状の切断線を含んでいてもよい。
また、内周切断線は、相間絶縁部材の内周縁に沿った第3の切断線(内周縁形成用切断線)と、内周接続部を形成するための第4の切断線(内周接続部形成用切断線)を有している。第4の切断線は、第3の切断線に繋がっている。「相間絶縁部材の内周縁」は、典型的には、相間絶縁部材に形成される空間部の内周縁が対応する。内周接続部は、絶縁フィルムのうち、相間絶縁部材を形成する部分と相間絶縁部材を形成する部分より内側の部分(例えば、第3の切断線より内側の部分)を接続する部分である。内周接続部の両側に第4の切断線が配置される。すなわち、対向して配置される第4の切断線によって内周接続部が形成される。
第4の切断線は、内周接続部を跨ぐように第3の切断線を延ばした仮想内周線に沿って内周接続部から離れるほど、仮想内周線との間の距離が長くなるように傾斜している第2の傾斜切断線を有している。第2の傾斜切断線の傾斜方向は、内周接続部から離れるにしたがって、当該内周接続部の切断によって切り離される部分(例えば、第3の切断線より内側の部分)から離れるように設定される。すなわち、第2の傾斜切断線は、少なくとも一部が仮想内周線より相間絶縁部材を形成する部分側に配置されている。第4の切断線は、少なくとも第2の傾斜切断線を含んでいればよく、他の形状の切断線を含んでいてもよい。
好適には、外周接続部および内周接続部は、外周縁および内周縁に沿って少なくとも2つ設けられる。より好適には、直線に沿って対向する位置に設けられる。
そして、第2のステップにおいて、外周接続部および内周接続部を切断する。この時、外周接続部は、仮想外周線より相間絶縁部材側(相間接続部材を形成する部分側)の領域において、外周接続部の両側の第2の切断線の第1の傾斜切断線を結ぶ外周接続部切断線に沿って切断する。また、内周接続部は、仮想内周線より相間絶縁部材側(相間接続部材を形成する部分側)の領域において、内周接続部の両側の第4の切断線の第2の傾斜切断線を結ぶ内周接続部切断線に沿って切断する。外周接続部の切断と内周接続部の切断は、同時に行ってもよいし、異なるタイミングで行ってもよい。また、同じ切断装置で行ってもよいし、異なる切断装置で行ってもよい。
本発明では、外周接続部を外周接続部切断線に沿って切断した切断箇所が、第1の切断線に沿って切断した切断箇所(相間絶縁部材の外周縁)から飛び出ることがなく、また、内周接続部を内周接続部接続線に沿って切断した切断箇所が、第3の切断線に沿って切断した切断箇所(相間接続部材の内周縁)より飛び出ることがない。これにより、相間絶縁部材(外周縁や内周縁から飛び出た突起)による固定子巻線の損傷を防止することができる。
【0008】
第一の発明の異なる形態では、外周接続部切断線が仮想外周線と平行(「略平行」を含む)に設定され、また、内周接続部切断線が仮想内周線と平行に設定される。
本形態では、外周接続部切断線に沿って切断した切断箇所が外周縁から飛び出ること、また、内周接続部切断線に沿って切断した切断箇所が内周縁から飛び出るのをより効果的に防止することができる。
【0009】
第一の発明の他の異なる形態では、外周接続部切断線と第1の傾斜切断線との間の角度および内周接続部切断線と第2の傾斜切断線との間の角度が鈍角に設定されている。外周接続部切断線と第1の傾斜切断線との間の角度および内周接続部切断線と第2の傾斜切断線との間の角度は、相間絶縁部材を形成する部分側(第1の傾斜切断線と外周接続部切断線によって規定される部分側および第2の傾斜切断線と内周接続部切断線によって規定される部分側)から見た角度である。外周接続部切断線と第1の傾斜切断線との間の角度および内周接続部切断線と第2の傾斜切断線との間の角度が大きいほど(180度に近いほど)、外周接続部切断線と第1の傾斜切断線とが接続される箇所および内周接続部切断線と第2の傾斜切断線が接続される箇所が滑らかになる。このため、この角度は大きいほうが好ましい。
本形態では、外周接続部切断線に沿った切断箇所と第1の傾斜切断線に沿った切断箇所との連結部あるいは内周接続部切断線に沿った切断箇所と第2の傾斜切断線に沿った切断箇所との連結部が固定子巻線に接触することがあっても、当該連結部による固定子巻線の損傷を防止することができる。
【0010】
第一の発明の他の異なる形態では、第1の傾斜切断線は、仮想外周線側に突状である円弧形状に形成されている。また、第2の傾斜切断線は、仮想内周線側に突状である円弧形状に形成されている。円弧形状の中心点や半径は、種々の条件に対応して適切に設定される。
本形態では、外周接続部切断線と第1の傾斜切断線との間の角度および内周接続部切断線と第2の傾斜切断線との間の角度を容易に、好適に設定することができる。
【0011】
第一の発明の他の異なる形態では、仮想外周線および仮想内周線が直線である。
本形態では、外周接続部切断線や内周接続部切断線を容易に設定することができる。
【0012】
第一の発明の他の異なる形態では、外周切断線に沿った切断および内周切断線に沿った切断は、レーザーを用いて行われる。外周接続部切断線に沿った切断および内周接続部切断線に沿った切断は、金属カッター等を用いて行われる。
本形態では、相間絶縁部材を、レーザーを用いて効率よく製造することができる。
【0013】
第二の発明は、相間絶縁部材製造方法に関する。
本発明では、第1のステップにおいて、絶縁フィルムを切断線に沿って切断する。切断線は、相間絶縁部材を形成する部分と切り離す部分との境界線に沿った第5の切断線と、相間絶縁部材を形成する部分と切り離す部分を接続する接続部を形成するための第6の切断線を含んでいる。接続部の両側に第6の切断線が配置される。すなわち、対向して配置される第6の切断線によって接続部が形成される。好適には、接続部は、境界線に沿って少なくとも2つ設けられる。より好適には、直線に沿って対向する位置に設けられる。
第6の切断線は、接続部を跨ぐように第5の切断線を延ばした仮想線に沿って接続部から離れるほど、仮想線との間の距離が長くなるように傾斜している傾斜切断線を有している。傾斜切断線の傾斜方向は、接続部から離れるにしたがって、当該接続部の切断によって切り離される部分から離れるように設定される。すなわち、傾斜切断線は、少なくとも一部が仮想線より相間絶縁部材を形成する部分側に配置されている。第6の切断線は、少なくとも傾斜切断線が含まれていればよく、他の形状の切断線を含んでいてもよい。
そして、第2のステップにおいて、接続部を切断する、この時、接続部は、仮想線より相間絶縁部材を形成する部分側の領域において、仮想線に沿って接続部の両側の第6の切断線の傾斜切断線を結ぶ接続部切断線に沿って切断する。
本発明では、接続部を接続部切断線に沿って切断した切断箇所が、第5の切断線に沿って切断した切断箇所から飛び出ることがない。これにより、相間絶縁部材による固定子巻線の損傷を防止することができる。
【0014】
第三の発明は、相間絶縁部材に関する。
本発明の相間絶縁部材は、固定子コアの軸方向に沿った一方端面側に周方向に沿って配置される第1の帯状部、固定子コアの軸方向に沿った他方端面側に周方向に沿って配置される第2の帯状部、第1の帯状部と第2の帯状部に接続され、固定子コアのスロットに挿入される複数の連結部、隣接する連結部間に形成されている複数の空間部を有している。
そして、相間絶縁部材の外周縁に沿った少なくとも2箇所に、窪んでいる(すなわち、飛び出ていない)外周縁切断部を有している。外周縁切断部は、外周縁を延ばした仮想外周線と平行な第1の平行切断線と、第1の平行切断線の両側に接続され、仮想外周線に沿って第1の平行切断線から離れるほど、仮想外周線との間の距離が長くなるように傾斜している第1および第2の傾斜切断線を有している。また、空間部を形成する内周縁に沿った少なくとも2箇所に、窪んでいる(すなわち、飛び出ていない)内周縁切断部を有している。内周縁切断部は、内周縁を延ばした仮想内周線と平行な第2の平行切断線と、第2の平行切断線の両側に接続され、仮想内周線に沿って第2の平行切断線から離れるほど、仮想内周線との間の距離が長くなるように傾斜している第3および第4の傾斜切断線を有している。
好適には、第1の平行切断部と第1および第2の傾斜切断部との間の角度、第2の平行切断線と第3および第4の傾斜切断線との間の角度は、鈍角に設定される。第1の平行切断線と第1および第2の傾斜切断線との間の角度、第2の平行切断線と第3および第4の傾斜切断線との間の角度は、相間絶縁部材を形成する部分側(第1の平行切断線と第1および第2の傾斜切断線によって規定される部分側、第2の平行切断線と第3および第4の傾斜切断線によって規定される部分側)から見た角度である。
本発明の相間絶縁部材では、外周縁および内周縁から突起が飛び出ていない。このため、突起による固定子巻線の損傷を防止しながら、相間絶縁部材を効率よく製造することができる。
【0015】
第三の発明の異なる形態では、仮想外周線および仮想内周線は、直線である。
本形態では、相間絶縁部材をより効率よく製造することができる。
【0016】
第四の発明は、電動機に関する。
本発明の電動機は、固定子コア、固定子コアのスロットに挿入された固定子巻線、固定子巻線を絶縁する相間絶縁部材により構成される固定子と、固定子に対して相対的に回転可能な回転子により構成されている。
そして、相間絶縁部材として、前述したいずれかの相間絶縁部材製造方法によって製造された相間絶縁部材あるいは前述した相間絶縁部材が用いられている。
本発明では、相間絶縁部材による固定子巻線の損傷を防止することができる。
【発明の効果】
【0017】
本発明の相間絶縁部材製造方法、相間絶縁部材および電動機を用いることにより、相間絶縁部材による固定子巻線の損傷を防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【
図1】本発明の電動機の一実施形態の固定子を示す図である。
【
図2】
図1に示されている固定子における相間絶縁部材の配置状態を示す図である。
【
図3】
図1に示されている固定子における固定子巻線の配置状態を示す図である。
【
図4】本発明の相関絶縁部材の一実施形態を示す図である。
【
図5】本発明の相間絶縁部材製造方法の一実施形態を説明する図である。
【
図6】本発明の相間絶縁部材製造方法の一実施形態を説明する図である。
【
図7】本発明の相間絶縁部材製造方法の一実施形態を説明する図である。
【
図8】本発明の相間絶縁部材製造方法の一実施形態を説明する図である。
【
図9】従来の相関絶縁部材製造方法を説明する示す図である。
【
図11】従来の相間絶縁部材製造方法を説明する図である。
【
図12】従来の相間絶縁部材製造方法を説明する図である。
【
図13】従来の相間絶縁部材製造方法を説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下に、本発明の実施形態を、図面を参照して説明する。
図1〜
図3に、本発明の電動機の一実施形態を示している。
図1は、一実施形態の電動機の固定子を示す図である。
図2は、一実施形態の電動機の固定子における相間絶縁部材の配置状態を示す図である。
図3は、一実施形態の電動機の固定子における固定子巻線の配置状態を示す図である。なお、本実施形態の電動機は、分布巻きされた三相の固定子巻線がスター結線された、4極、24スロットの三相誘導電動機である。
【0020】
本実施形態の電動機は、固定子100と、固定子100に対して相対回転可能な回転子(図示省略)を備えている。
固定子100は、固定子コア110を有している。固定子コア110は、周方向に沿って配置されている複数のティース111と、周方向に沿って隣接するティース111により形成される複数のスロット112を有している。スロット112には、三相の固定子巻線121、122、123が挿入されている。固定子巻線の一方の端部から引出し線U、V、Wが引き出されている。引出し線U、V、Wは、絶縁チューブ190a、190b、190cが被せられてクラスタ100に取り付けられている。固定子巻線の他方の端部から引き出された引出し線X、Y、Zは、絶縁チューブが被せられて1つに接続され、中性点180を形成している。
本実施形態では、固定子巻線121が最外周側に配置され、固定子巻線122が中間に配置され、固定子巻線123が最内周側に配置されている。
そして、各相の固定子巻線間に相間絶縁部材130が配置されている。本実施の形態では、相間絶縁部材130は、固定子巻線121と122の間、固定子巻線122と123の間にそれぞれ配置されている。
また、各相の固定子巻線121、122、123は、
図3に示されているように各スロット1〜24に挿入されている。
【0021】
本実施形態で用いている相間絶縁部材130は、
図4に示されているように、第1の帯状部131、第2の帯状部132、第1の帯状部131と第2の帯状部132に接続されている連結部133a〜133h、連結部間に形成されている空間部134a〜134gを有している。なお、切断箇所140a〜140rについては後述する。
第1の帯状部131は、固定子コア110の軸方向に沿った一方端側に、周方向に沿って配置される。第1の帯状部131は、固定子コア110の軸方向に沿った一方端から飛び出ている固定子巻線を絶縁する。
第2の帯状部132は、固定子コア110の軸方向に沿った他方端側に、周方向に沿って配置される。第2の帯状部132は、固定子コア110の軸方向に沿った他方端から飛び出ている固定子巻線を絶縁する。
連結部133a〜133hは、固定子コア110のスロット112に挿入され、スロット112に挿入されている固定子巻線を絶縁する。本実施形態では、固定子巻線121と122の間に配置されている相間絶縁部材130の連結部133a〜133hは、それぞれスロット番号8、9、14、15、20、21、2、3に挿入される。また、固定子巻線122と123の間に配置されている相間接続部材130の連結部133a〜133hは、それぞれスロット番号10.11、16、17、22、23、4、5に挿入される。
なお、本実施の形態では、同じ形状の相間絶縁部材を用いているが、異なる形状の相間絶縁部材を用いることもできる。
【0022】
本実施の形態の相間絶縁部材130の形状は、概略、外周縁130a〜130d、内周縁134a〜134g、外周接続部、内周接続部によって規定される。なお、後述するように、外周縁に外周接続部形成用切断部が形成され、内周縁に内周接続部形成用切断部が形成されるが、外周接続部形成用切断部および内周接続部形成用切断部は、外周縁130a〜130d、内周縁135a〜135gに比べて非常に小さいため、相間絶縁部材の形状に大きく影響することはない。
外周縁130a〜130dによって、相間絶縁部材130の外周形状が規定され、内周縁135a〜135gによって空間部134a〜134gおよび連結部133a〜133hの形状が規定される。
【0023】
次に、本発明の相間絶縁部材製造方法の一実施形態を、
図5〜
図7を参照して説明する。なお、本明細書中において、「切断線」という記載は、「切断した箇所」という意味で用いることもできる。
本実施形態の相間絶縁部材製造方法は、絶縁フィルムを、外周接続部および内周接続部を残して外周切断線および内周切断線に沿って切断する第1のステップと、外周接続部および内周接続部を外周接続部切断線および内周接続部切断線に沿って切断する第2のステップにより構成されている。
絶縁フィルムとしては、例えば、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレンナフタレート(PEN)、ポリエチレンサルファイド(PPS)、アラミドあるいはこれらを組み合わせて形成された絶縁フィルムが用いられる。勿論、これ以外の種々の絶縁フィルムを用いることができる。
また、第1のステップでの切断は、レーザーを用いて行い、第2のステップでの切断は、金属カッターを用いて行っている。
【0024】
(第1ステップ)
第1ステップでは、絶縁フィルム200を、外周切断線および内周切断線に沿って切断する。
外周切断線は、相間絶縁部材130の外周縁130a〜130dに沿った(対応する)外周縁形成用切断線230a〜230dと、外周接続部240a〜240dを形成するための外周接続部形成用切断線を有している。
内周切断線は、相間絶縁部材130の内周縁135a〜135gに沿った(対応した)内周縁形成用切断線335a〜335gおよび435a〜435gと、内周接続部240e〜240rを形成するための内周縁形成用切断線を有している。
外周縁形成用切断線が、本発明の「第1の切断線」に対応し、外周接続部形成用切断線が、本発明の「第2の切断線」に対応する。また、内周縁形成用切断線が、本発明の「第3の切断線」に対応し、内周接続部形成用切断線が、本発明の「第4の切断線」に対応する。また、外周縁形成用切断線および内周縁形成用切断線が、本発明の「相間絶縁部材を形成する部分と切り離す部分との境界線に沿った第5の切断線」に対応する。また、外周接続部形成用切断線および内周接続部形成用切断線が、本発明の「相間絶縁部材を形成する部分と切り離す部分を接続する接続部を形成するための第6の切断線」に対応する。
第1ステップでの切断を行うことによって、絶縁フィルム200は、相間絶縁部材130を形成する部分(第1および第2の帯状部に対応する部分231および232、連結部133a〜133hに対応する部分333a〜333h)と、相間絶縁部材130を形成成する部分から切り離される部分(外周縁形成用切断線230a〜230dより外方の部分、空間部134a〜134gに対応する部分234a〜234g)に区分けされる。
第1ステップでは、外周接続部240a〜240dと内周接続部240e〜240rによって、相間絶縁部材130を形成する部分(部分231、部分232、部分233a〜233h)と相間部材を形成する部分から切り離される部分(外周縁形成用切断線230a〜230dより外方の部分、部分234a〜234g)は接続状態を保持している。
外周接続部および内周接続部は、外周縁形成用切断線および内周縁形成用切断線に沿って少なく2つ設けるのが好ましい。また、接続状態を安定化させるために、直線に沿って対向する位置に設けるのがより好ましい。
【0025】
外周接続部形成用切断線と内周接続部形成用切断線は同じ構成である。そこで、内周接続部240iを形成するための内周接続部形成用切断線336cおおよび436cと、内周接続部240jを形成するための内周接続部形成用切断線
図337cおよび437c6について、
図6を参照して説明する。
【0026】
図6に示されているように、内周縁形成用切断線335cと435cによって、相間絶縁部材130の空間部134cを形成する部分234cの外周縁、すなわち、空間部134cの内周縁135cが規定される。
また、内周接続部形成用切断線336cと436cによって、相間絶縁部材130の連結部133cを形成する部分233cと空間部134cに対応する部分(切り離される部分)234cを接続する内周接続部240iが規定される。すなわち、内周接続部形成用切断線336cと436cによって、内周接続部240iを形成するための内周接続部形成用切断線が構成される。
また、内周接続部形成用切断線337cと437cによって、相間絶縁部材130の空間部134cに対応する部分234cと連結部133dを形成する部分233dを接続する内周接続部240jが規定される。すなわち、内周接続部形成用切断線337cと437cによって、内周接続部240jを形成するための内周接続部形成用切断線が構成される。
内周接続部形成用切断線336cは、内周縁形成用切断線335cに繋がっており、内周接続部形成用切断線436cは、内周縁形成用切断線435cに繋がっており、内周接続部形成用切断線337cは、内周縁形成用切断線335cに繋がっており、内周接続部形成用切断線437cは、内周縁形成用切断線435cに繋がっている。
【0027】
本実施の形態では、内周接続部形成用切断線336cは、円弧形状の第1の切断線336c1、円弧形状の第2の切断線336c2、直線形状の第3の切断線336c3、円弧形状の第4の切断線336c4、直線形状の第5の切断線336c5により構成されている。
また、内周接続部形成用切断線436cは、円弧形状の第1の切断線436c1、円弧形状の第2の切断線436c2、直線形状の第3の切断線436c3、円弧形状の第4の切断線436c4、直線形状の第5の切断線436c5により構成されている。
【0028】
ここで、内周接続部240iを挟んで両側の内周縁形成用切断線335cと435cを延ばした線235c1を仮想内周線と呼ぶ。本実施の形態では、内周縁形成用切断線335cと435cが直線であるため、仮想内周線235c1は直線である。
内周接続部形成用切断線336cの第4の切断線336c4の円弧形状は、相間絶縁部材130を形成する部分(内周接続部形成用切断線336cによって規定され、連結部133cを形成する部分233c)側に中心点を有し、仮想内周線235c1側に突状である。また、第4の切断線336c4の円弧形状の中心点は、第4の切断線336c4の円弧形状が、仮想内周線235c1に沿って内周接続部240i(第5の切断線336c5)から離れるほど、仮想内周線235c1との間の距離が長くなるように、すなわち、傾斜するように設定される。第4の切断線336c4の傾斜方向は、仮想内周線235c1に沿って内周接続部240iから離れるほど、相間絶縁部材130を形成する部分側(233c側)、あるいは、相間絶縁部材130を形成する部分(233c)と切り離される部分(234c)から離れる側に位置するように設定される。すなわち、第4の切断線336c4は、少なくとも一部が、仮想外周線235c1より相間絶縁部材を形成する部分)233c)側に配置される。第1〜第3の切断線336c1〜336c3は、傾斜している第4の切断線336c4と内周縁形成用切断線335c接続するためのものである。また、第5の切断線336c5は、部分233cと部分234cの接続強度を高めるためのものである。本実施形態では、内周縁形成用切断線335cと第1の切断線336c1との接続部による固定子巻線の損傷を防止するために、第1の切断線336c1は円弧系お嬢に形成されている。
内周接続部形成用切断線436cの第1〜第5の切断線436c1〜436c5は、内周接続部形成用切断線336cの第1〜第5の切断線336c1〜336c5を上下に反転させた形状と同じである。
【0029】
内周接続部240jを形成するための内周接続部形成用切断線337cおよび437cは、内周接続部240iを形成するための内周接続部形成用切断線336cおよび436cを左右に反転させた形状と同じである。
【0030】
(第2ステップ)
第2ステップでは、第1ステップで残しておいた外周接続部240a〜240dおよび内周接続部240e〜240rを切断し、絶縁フィルム200を、相間絶縁部材130を形成する部分(231、232、233a〜233h)とそれ以外の部分(相間接続部材130を形成しない部分)を完全に切り離す。
外周接続部240a〜240dを切断する方法および内周接続部240e〜240rを切断する方法は同じであるから、内周接続部240iを切断する方法を、
図6を参照して説明する。
仮想内周線235c1に沿って内周接続部240iの一方側の内周接続部形成用切断線336cの第4の切断線(傾斜切断線)336c4と、他方側の内周接続部形成用切断線436cの第4の切断線(傾斜切断線)436c4を結ぶ内周接続部切断線Tに沿って切断する。
内周接続部切断線Tは、仮想内周線235c1より相間絶縁部材130を形成する部分(233c)側の領域(内周接続部形成用切断線336cおよび436cにより規定される部分333c)に設定される。内周接続部切断線Tは、好適には、仮想内周線235c1に平行(「略平行」を含む)に設定される。
【0031】
内周接続部240h、240i、240j、240kを切断した状態を、
図5の破線Pで囲まれている部分の拡大図である
図7および
図8を参照して説明する。
図7は、第1ステップでの切断(外周切断線および内周切断線に沿った切断)を行った状態を示している。また、
図8は、ステップ2での切断(外周接続部切断線および内周接続部切断線に沿った切断)を行った後の状態を示している。
本実施の形態では、内周接続部切断線Tが仮想内周線235c1より相間絶縁部材130を形成する部分(233c)側に設定されているため、
図8に示されているように、内周接続部240iを内周接続部切断線Tに沿って切断した切断箇所140iが、仮想内周線235c1、すなわち、相間絶縁部材130の内周縁135cから空間部134c側(内周縁135cより内側)に飛び出ていない。
これにより、相間絶縁部材130の外周縁あるいは内周縁から飛び出ている突部による固定子巻線の損傷を防止することができる。
【0032】
ここで、内周接続部切断線Tと内周接続部形成用切断線336cの第4の切断線336c4との交差部あるいは内周接続部切断線Tと内周接続部形成用切断線436cの第4の切断線436c4との交差部が固定子巻線と当接するおそれある。この場合、内周接続部切断線Tと内周接続部形成用切断線336cの第4の切断線336c4との交差部あるいは内周接続部切断線Tと内周接続部形成用切断線436cの第4の切断線436c4との接続部がとがっていると、固定子巻線が損傷するおそれがある。
本実施形態では、内周接続部形成用切断線336cの第4の切断線336c4および内周接続部形成用切断線436cの第4の切断線436c4を円弧形状に形成している。これにより、内周接続部切断線Tと第4の切断線336c4および436c4との接続部が滑らかになり、この接続部による固定子巻線の損傷を防止することができる。
また、本実施形態では、内周接続部形成用切断線336cの第4の切断線336c4および内周接続部形成用切断線436cの第4の切断線436c4を、仮想内周線235c1に沿って内周接続部240iから離れるほど、仮想内周線235c1との間の距離が長くなるように傾斜させている。これにより、相間絶縁部材130による固定子巻線の損傷をより防止している。
また、相間絶縁部材130cによる固定子巻線の損傷を防止するためには、内部接続用切断線Tと内周接続部形成用切断線336の第4の切断線336c4および内周接続部形成用切断線436の第4の切断線436c4との間の角度θ(
図6参照)を鈍角に設定するのが好ましい。角度θは、相間絶縁部材130を形成する部分(233c)側から見た角度である。なお、角度θは、180度に近い方が好ましい。
【0033】
ここで、絶縁フィルムをレーザーによって切断する場合、金属カッター等によって切断する場合と同様にバリが発生する。このバリが固定子巻線と当接すると、固定子巻線が損傷するおそれがある。
絶縁フィルムをレーザーによって切断する際のバリの発生を防止する方法としては、いくつかの方法が考えられる。
例えば、段ボール等の支持部材上に絶縁フィルムを配置した状態でレーザーによって切断する方法を用いる。この方法は、絶縁フィルムを切断する毎に支持部材を交換する必要があり、面倒である。
あるいは、絶縁フィルムを複数枚(例えば、5枚)重ねた状態でレーザーによって切断する方法を用いる。そして、切断後、バリが発生している絶縁フィルム(通常は、レーザー光の下流側に配置されている絶縁フィルム)を除いた他の絶縁フィルムを使用する。この方法を用いると、複数枚の絶縁フィルムを同時に切断することができるため、作業効率がよい。
【0034】
本願発明は、実施の形態で説明した実施形態に限定されず、種々の変更、追加、削除が可能である。
外周接続部形成用切断線および内周接続部形成用切断線として、円弧形状を有しているとともに傾斜している切断線(傾斜切断線)を含む複数の切断線により構成したが、少なくとも傾斜切断線を含んでいればよく、他の形状の切断線を含んでもよい。
傾斜切断線として、円弧形状を有する切断線を用いたが、直線状の切断線を含む種々の形状の切断線を用いることができる。
本願発明の構成は、実施形態で説明した形状の相間絶縁部材に限定されず、種々の形状の相間絶縁部材に用いることができる。
【符号の説明】
【0035】
100 固定子
110 固定子コア
111 ティース
112 スロット
121、122、123 固定子巻線
180 接続点
180 190 クラスタ
190a、190b、190c 引出線
130、530 相間絶縁部材
130a、130b、130c、130d、530a、530b、530c、530d 外周縁
131、132、531、532 帯状部
133a、133b、133c、133d、133e、133f、133g、133h、533a、533b、533c、533d、533e、533f、533g、533h 連結部
134a、134b、134c、134d、134e、134f、134g、534a、534b、534c、534d、534e、534f、534g 空間部
135a、135b、135c、135d、135e、135f、135g、535a、535b、535c、535d、535e、535f、535g 内周縁
140a、140b、140c、140d、140e、140f、140g、140h、140i、140j、140k、140l、140m、140n、140o、140p、140q、140r、540a、540b、540c、540d、540e、540f、540g、540h、540i、540j、540k、540l、540m、540n、540o、540p、540q、540r 切断箇所
200、600 絶縁フィルム
230a、230b、230c、230d、630a、630b、630c、630d 外周縁形成用切断線
231、232、631、632 帯状部形成部
233a、233b、233c、233d、233e、233f、233g、233h、633a、633b、633c、633d、633e、633f、633g、633h 連結部形成部
234a、234b、234c、234d、234e、234f、234g、634a、634b、634c、634d、634e、634f、634g 空間部形成部
240a、240b、240c、240d、240e、240f、240g、240h、240i、240j、240k、240l、240m、240n、240o、240p、240q、240r、640a、640b、640c、640d、640e、640f、640g、640h、640i、640j、640k、640l、640m、640n、640o、640p、640q、640r 接続部
335a、335b、335c、335d、335e、335f、335g、435a、435b、435c、435d、435e、435f、435g、735a、735b、735c、735d、735e、735f、735g、835a、835b、835c、835d、835e、835f、835g 内周縁形成用切断線
336c、336c1、336c2、336c3、336c4、336c5、337c、337c1、337c2、337c3、337c4、337c5、436c、436c1、436c2、436c3、436c4、436c5、437c、437c1、437c2、437c3、437c4、437c5、736c、737c、836c、837c 内周接続部形成用切断線
650a、650b、650c、650d、650e、650f、650g、650h、650i、650j、650k、650l、650m、650n、650o、6540p、650q、650r 突部