【解決手段】本発明の一実施形態は、誘電体層を含むセラミック本体と、上記誘電体層を介して上記セラミック本体内に配置される複数の内部電極と、を含み、上記セラミック本体の幅−厚さ方向を含む断面において、上記内部電極の幅方向中心部において測定した最上部内部電極と最下部内部電極との距離をa、上記内部電極の幅方向端部において測定した上記最上部内部電極と上記最下部内部電極との距離をbとするとき、0.953≦a/b≦0.996を満たす積層セラミックキャパシタを提供することができる。
前記複数の内部電極のそれぞれは、ニッケル(Ni)、マンガン(Mn)、クロム(Cr)、銅(Cu)、パラジウム(Pd)、銀(Ag)、コバルト(Co)、アルミニウム(Al)からなる群より選択される一つ以上を含む、請求項1から3のいずれか一項に記載の積層セラミックキャパシタ。
前記内部電極用導電性ペーストは、前記導電性粉末100重量部に対して前記共材粉末を3〜14重量部含む、請求項8又は9に記載の積層セラミックキャパシタの製造方法。
前記導電性粉末の平均粒径をd1、前記共材粉末の平均粒径をd2とするとき、0.03≦d2/d1≦0.05を満たす、請求項10に記載の積層セラミックキャパシタの製造方法。
前記内部電極用導電性ペーストは、前記導電性粉末100重量部に対して前記共材粉末を6〜12重量部含む、請求項8又は9に記載の積層セラミックキャパシタの製造方法。
前記導電性粉末の平均粒径をd1、前記共材粉末の平均粒径をd2とするとき、0.05≦d2/d1≦0.1を満たす、請求項12に記載の積層セラミックキャパシタの製造方法。
前記導電性粉末は、ニッケル(Ni)、マンガン(Mn)、クロム(Cr)、銅(Cu)、パラジウム(Pd)、銀(Ag)、コバルト(Co)、アルミニウム(Al)からなる群より選択される一つ以上を含む、請求項8から13のいずれか一項に記載の積層セラミックキャパシタの製造方法。
前記共材粉末は、チタン酸バリウム及びチタン酸バリウム酸化物のうち少なくとも一つ以上を含む、請求項8から15のいずれか一項に記載の積層セラミックキャパシタの製造方法。
前記セラミック本体は、幅方向サイド部における厚さが幅方向中心部における厚さより厚い、請求項8から16のいずれか一項に記載の積層セラミックキャパシタの製造方法。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明の目的は、高容量、高信頼性の積層セラミックキャパシタ、その製造方法及び積層セラミックキャパシタが実装された基板を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の一実施形態は、誘電体層を含むセラミック本体と、上記誘電体層を介して上記セラミック本体内に配置される複数の内部電極と、を含み、上記セラミック本体の幅−厚さ方向を含む断面において、上記内部電極の幅方向中心部において測定した最上部内部電極と最下部内部電極との距離をa、上記内部電極の幅方向端部において測定した上記最上部内部電極と上記最下部内部電極との距離をbとするとき、0.953≦a/b≦0.996を満たす積層セラミックキャパシタを提供することができる。
【0009】
上記セラミック本体は、幅方向サイド部の厚さが幅方向中心部の厚さより厚い。
【0010】
上記内部電極は、非電極領域を含むことができる。
【0011】
上記内部電極は、ニッケル(Ni)、マンガン(Mn)、クロム(Cr)、銅(Cu)、パラジウム(Pd)、銀(Ag)、コバルト(Co)、アルミニウム(Al)からなる群より選択される一つ以上を含むことができる。
【0012】
上記非電極領域は、セラミック材料を含むことができる。
【0013】
上記非電極領域は、チタン酸バリウム及びチタン酸バリウム酸化物のうち少なくとも一つ以上を含むことができる。
【0014】
上記内部電極の厚さをTeとするとき、0.1μm≦Te≦0.5μmを満たすことができる。
【0015】
本発明の他の実施形態は、複数のセラミックグリーンシートを用意する段階と、導電性粉末及び共材粉末を含む内部電極用導電性ペーストを製造する段階と、上記セラミックグリーンシートに上記内部電極用導電性ペーストで内部電極パターンを形成する段階と、上記内部電極パターンが形成されたセラミックグリーンシートを積層してセラミック積層体を形成する段階と、上記内部電極パターンの一端が交互に露出するように上記セラミック積層体を切断して積層チップを用意する段階と、上記積層チップを焼成して内部電極を含むセラミック本体を形成する焼成段階と、上記内部電極と電気的に連結されるように外部電極を形成する段階と、を含み、上記セラミック本体の幅−厚さ方向を含む断面において、上記内部電極の幅方向中心部において測定した最上部内部電極と最下部内部電極との距離をa、上記内部電極の幅方向端部において測定した上記最上部内部電極と上記最下部内部電極との距離をbとするとき、0.953≦a/b≦0.996を満たす積層セラミックキャパシタの製造方法を提供することができる。
【0016】
上記焼成段階は、焼成中に上記積層チップを2つ以上の温度区間において一定時間維持する段階を含むことができる。
【0017】
上記共材粉末は、上記導電性粉末100重量部に対して3〜14重量部含むことができる。
【0018】
上記導電性粉末の平均粒径をd1、上記共材粉末の平均粒径をd2とするとき、0.03≦d2/d1≦0.05を満たすことができる。
【0019】
上記共材粉末は、上記導電性粉末100重量部に対して6〜12重量部含むことができる。
【0020】
上記導電性粉末の平均粒径をd1、上記共材粉末の平均粒径をd2とするとき、0.05≦d2/d1≦0.1を満たすことができる。
【0021】
上記導電性粉末は、ニッケル(Ni)、マンガン(Mn)、クロム(Cr)、銅(Cu)、パラジウム(Pd)、銀(Ag)、コバルト(Co)、アルミニウム(Al)からなる群より選択される一つ以上を含むことができる。
【0022】
上記共材粉末は、セラミック材料を含むことができる。
【0023】
上記共材粉末は、チタン酸バリウム及びチタン酸バリウム酸化物のうち少なくとも一つ以上を含むことができる。
【0024】
上記セラミック本体は、幅方向サイド部における厚さが幅方向中心部における厚さより厚い。
【0025】
本発明のさらに他の実施形態は、上部に第1及び第2電極パッドを有する印刷回路基板と、上記印刷回路基板上に設置された積層セラミックキャパシタと、を含み、上記積層セラミックキャパシタは、誘電体層を含むセラミック本体及び上記誘電体層を介して上記セラミック本体内に配置される複数の内部電極を含み、上記セラミック本体の幅−厚さ方向を含む断面において、上記内部電極の幅方向中心部において測定した最上部内部電極と最下部内部電極との距離をa、上記内部電極の幅方向端部において測定した上記最上部内部電極と上記最下部内部電極との距離をbとするとき、0.953≦a/b≦0.996を満たす積層セラミックキャパシタの実装基板を提供することができる。
【発明の効果】
【0026】
本発明によると、高容量、高信頼性の積層セラミックキャパシタ、その製造方法及び積層セラミックキャパシタが実装された基板を提供することができる。
【発明を実施するための形態】
【0028】
以下では、添付の図面を参照し、本発明の好ましい実施形態について説明する。しかし、本発明の実施形態は様々な他の形態に変形されることができ、本発明の範囲は以下で説明する実施形態に限定されない。また、本発明の実施形態は、当該技術分野で平均的な知識を有する者に本発明をより完全に説明するために提供されるものである。なお、図面における要素の形状及び大きさなどはより明確な説明のために誇張されることがある。
【0030】
図1は本発明の一実施形態による積層セラミックキャパシタを示した概略的な斜視図であり、
図2aは
図1のA−A'線に沿った積層セラミックキャパシタを示した概略的な断面図であり、
図2bは
図1のB−B'線に沿った積層セラミックキャパシタを示した概略的な断面図である。
【0031】
図1、
図2a及び
図2bを参照すると、本実施形態による積層セラミックキャパシタは、誘電体層111を含むセラミック本体110と、上記セラミック本体110の内部に形成され、上記誘電体層111を介して対向するように配置される第1及び第2内部電極121、122と、上記セラミック本体110の外部面に形成される第1及び第2外部電極131、132と、を含むことができる。
【0032】
本発明の一実施形態において、積層セラミックキャパシタの「長さ方向」は
図1の「L」方向、「幅方向」は「W」方向、「厚さ方向」は「T」方向と定義することができる。上記「厚さ方向」は誘電体層を積み上げる方向、即ち、「積層方向」と同一の概念で用いられることができる。
【0033】
上記セラミック本体110は、複数個の誘電体層111が積層されて形成されることができる。
【0034】
上記セラミック本体110を構成する複数の誘電体層111は、焼結された状態で、隣接する誘電体層間の境界が確認できないほど一体化されていることができる。
【0035】
上記誘電体層111は、セラミック粉末を含むセラミックグリーンシートの焼結によって形成されることができる。
【0036】
上記セラミック粉末は、当業界において一般的に用いられるものであれば、特に制限されない。
【0037】
例えば、BaTiO
3系セラミック粉末を含むことができるが、これに制限されない。
【0038】
上記BaTiO
3系セラミック粉末は、これに制限されないが、例えば、BaTiO
3にCa、Zrなどが一部固溶された(Ba
1−xCa
x)TiO
3、Ba(Ti
1−yCa
y)O
3、(Ba
1−xCa
x)(Ti
1−yZr
y)O
3またはBa(Ti
1−yZr
y)O
3などがある。
【0039】
また、上記セラミックグリーンシートは、上記セラミック粉末とともに遷移金属、希土類元素、マグネシウム(Mg)、アルミニウム(Al)などを含むことができる。
【0040】
上記一誘電体層111の厚さは、積層セラミックキャパシタの容量設計に応じて適宜変更することができる。
【0041】
上記セラミック本体110の内部には、内部電極121、122が形成されることができ、上記内部電極は第1及び第2内部電極を含むことができる。
【0042】
上記第1及び第2内部電極121、122は、セラミックグリーンシート上に形成されて積層され、焼結によって一誘電体層を介して上記セラミック本体110の内部に形成されることができる。
【0043】
上記第1及び第2内部電極は、異なる極性を有する第1内部電極121及び第2内部電極122を一対にすることができ、誘電体層の積層方向に沿って対向配置されることができる。
【0044】
図2aに示されているように、上記第1及び第2内部電極121、122の一端は、セラミック本体110の長さ方向の一面に交互に露出することができる。
【0045】
また、図面に示されてはいないが、本発明の一実施形態によると、第1及び第2内部電極は、リード部を有し、リード部を通じてセラミック本体の同一面に露出することができる。
【0046】
または、第1及び第2内部電極121、122は、リード部を有し、リード部を通じてセラミック本体の一つ以上の面に露出することができる。
【0047】
上記第1及び第2内部電極121、122の厚さは、積層セラミックキャパシタの容量設計に応じて適宜変更することができ、上記第1及び第2内部電極の厚さをTeとするとき、0.1μm≦Te≦0.5μmを満たすように設計されることができる。
【0048】
上記第1及び第2内部電極121、122の厚さは、上記誘電体層の間に配置される第1及び第2内部電極の平均厚さを意味することができる。
【0049】
本発明の一実施形態による積層セラミックキャパシタは、上記セラミック本体の幅−厚さ方向を含む断面において、上記内部電極の幅方向中心部において測定した最上部内部電極と最下部内部電極との距離をa、上記内部電極の幅方向端部において測定した上記最上部内部電極と上記最下部内部電極との距離をbとするとき、0.953≦a/b≦0.996を満たすことができ、a/bが0.953〜0.996である範囲において積層セラミックキャパシタの容量が向上することができる。なお、aは、最上部内部電極と最下部内部電極との積層方向の距離が最も短い長さであってよく、bは、最上部内部電極と最下部内部電極との積層方向の距離が最も長い長さであってよい。
【0050】
上記セラミック本体の幅−厚さ方向を含む断面において、上記第1及び第2内部電極のうち厚さ方向中心を基準に上部に配置された第1及び第2内部電極は下の方に膨らむ形状を有し、厚さ方向を中心に下部に配置された第1及び第2内部電極は上の方に膨らむ形状を有することができる。
【0051】
即ち、本発明は、内部電極の形状を制御することで、容量が向上した積層セラミックキャパシタを提供することができる。
【0052】
上記のような内部電極の形状により、本発明のセラミック本体は幅方向サイド部の厚さが幅方向中心部の厚さより厚い。
【0053】
上記セラミック本体110の外部面には外部電極が形成されることができ、上記外部電極は第1及び第2外部電極131、132を含むことができる。また、上記第1及び第2外部電極131、132は、第1及び第2内部電極121、122とそれぞれ電気的に連結されることができる。
【0054】
より具体的には、上記セラミック本体110の一面に露出した第1内部電極121と電気的に連結された第1外部電極131と、上記セラミック本体110の他面に露出した第2内部電極122と電気的に連結された第2外部電極と、を含むことができる。
【0055】
また、図面に示されてはいないが、セラミック本体に露出する第1及び第2内部電極と連結されるために、複数の外部電極が形成されてもよい。
【0056】
上記第1及び第2外部電極131、132は、金属粉末を含む導電性ペーストで形成されることができる。
【0057】
上記導電性ペーストに含まれる金属粉末は、特に制限されないが、例えば、ニッケル(Ni)、銅(Cu)、またはこれらの合金を用いることができる。
【0058】
上記第1及び第2外部電極131、132の厚さは、用途などによって適宜決定することができる。
【0059】
図3は本発明の一実施形態による積層セラミックキャパシタの誘電体層及び内部電極を概略的に示した拡大図である。
【0060】
図3を参照すると、本発明の一実施形態による積層セラミックキャパシタの第1及び第2内部電極121、122は、内部に非電極領域Nを含むことができる。本発明の一実施形態によると、第1及び第2内部電極121、122において非電極領域Nを除外した部分は電極領域Eと理解されることができる。
【0061】
上記第1及び第2内部電極121、122は、これに制限されないが、ニッケル(Ni)、マンガン(Mn)、クロム(Cr)、銅(Cu)、パラジウム(Pd)、銀(Ag)、コバルト(Co)、アルミニウム(Al)からなる群より選択される一つ以上を含むことができる。
【0062】
即ち、第1及び第2内部電極の電極領域Eは、ニッケル(Ni)、マンガン(Mn)、クロム(Cr)、銅(Cu)、パラジウム(Pd)、銀(Ag)、コバルト(Co)、アルミニウム(Al)からなる群より選択される一つ以上を含むことができる。
【0063】
本発明の一実施形態によると、上記非電極領域Nは第1及び第2内部電極の焼成過程において形成されることができ、上記非電極領域Nは内部電極を形成する導電性ペーストに含まれる組成物によって形成されることができる。
【0064】
上記非電極領域Nは、セラミック材料を含むことができ、上記非電極領域に含まれたセラミック材料は誘電体層111を形成するセラミック粉末と同一のものを用いることができる。また、これに制限されないが、チタン酸バリウム及びチタン酸バリウム酸化物のうち少なくとも一つ以上を含むことができる。
【0065】
即ち、上記第1及び第2内部電極121、122は、導電性金属及び共材を含み、導電性金属による電極領域Eと、上記共材によって容量形成には寄与しない非電極領域Nと、を含むことができる。
【0066】
また、本発明の積層セラミックキャパシタは、上記誘電体層の厚さをTd、上記第1及び第2内部電極の厚さをTeとするとき、0.5≦Te/Td≦1.2を満たすように製造されることができる。内部電極及び誘電体層の厚さを制御する理由も、収縮クラックの発生を防止するためで、Te/Tdが1.2を超過するように製作される場合は、焼成過程において収縮クラックが発生するという問題があり、Te/Tdが0.5未満に製作される場合は、目標容量を具現することが困難である。
【0067】
したがって、Te/Tdは、0.5〜1.2になるように形成されることが好ましい。
【0068】
上記第1及び第2内部電極121、122の平均厚さは、セラミック本体110の長さ−厚さ(L−T)方向の断面を、走査電子顕微鏡(SEM、Scanning Electron Microscope)でイメージスキャンして測定することができる。
【0069】
例えば、セラミック本体110の幅(W)方向中心部において切断した長さ及び厚さ方向(L−T)の断面を、走査電子顕微鏡(SEM、Scanning Electron Microscope)でスキャンしたイメージから抽出した任意の内部電極に対し、長さ方向に等間隔である30個の地点においてその厚さを測定して平均値を測定することができる。
【0070】
上記等間隔である30個の地点は、第1及び第2内部電極121、122が重畳する領域を意味する容量形成部から測定されることができる。
【0071】
また、このような平均値測定を10個以上の内部電極に拡大して平均値を測定すると、誘電体層の平均厚さをさらに一般化することができる。
【0072】
上記誘電体層の厚さも、上述した内部電極の厚さと同一方法で測定されることができる。
【0073】
一般に、セラミック本体の焼結時には内部電極が膨張し、内部電極の膨張は内部電極の中心部において大きく現れ、厚さ方向の上部に形成された内部電極は上の方に膨らむ形状を有し、厚さ方向の下部に形成された内部電極は下の方に膨らむ形状を有する。これにより、セラミック本体は、幅方向及び長さ方向の中心部が膨らむように膨張された形状を有するようになる。
【0074】
上記のように内部電極中心部が膨張する場合、内部電極の連結性が低下し、積層セラミックキャパシタの容量が低下するという問題が発生する。
【0075】
これに対し、本発明は、内部電極中心部の膨張を抑制し、内部電極の形状を制御することで、積層セラミックキャパシタの容量を向上させることができる。
【0076】
また、本発明の実施形態によると、内部電極及び誘電体層の厚さを制御することで、高信頼性の積層セラミックキャパシタを提供することができるようになる。
【0078】
図4は本発明の一実施形態による積層セラミックキャパシタの製造方法を示した流れ図である。
【0079】
図4を参照すると、本発明による他の実施形態の積層セラミックキャパシタの製造方法は、複数のセラミックグリーンシートを用意する段階と、導電性粉末及び共材粉末を含む内部電極用導電性ペーストを製造する段階と、上記セラミックグリーンシートに上記内部電極用導電性ペーストで内部電極パターンを形成する段階と、上記内部電極パターンが形成されたセラミックグリーンシートを積層してセラミック積層体を形成する段階と、上記内部電極パターンの一端が交互に露出するように上記セラミック積層体を切断して積層チップを用意する段階と、上記積層チップを焼成して内部電極を含むセラミック本体を形成する焼成段階と、上記内部電極と電気的に連結されるように外部電極を形成する段階と、を含み、上記セラミック本体の幅−厚さ方向を含む断面において、上記内部電極の幅方向中心部において測定した最上部内部電極と最下部内部電極との距離をa、上記内部電極の幅方向端部において測定した上記最上部内部電極と上記最下部内部電極との距離をbとするとき、0.953≦a/b≦0.996を満たすことができる。
【0080】
以下では、本発明の一実施形態による積層セラミックキャパシタの製造方法について説明するが、本発明はこれに制限されない。
【0081】
また、本実施形態の積層セラミックキャパシタの製造方法に関する説明のうち上述した積層セラミックキャパシタと重複される説明は省略する。
【0082】
本発明の一実施形態による積層セラミックキャパシタの製造方法について説明すると、まず、チタン酸バリウム(BaTiO
3)などのパウダーを含んで形成されたスラリーをキャリアフィルム(carrier film)上に塗布及び乾燥することで複数個のセラミックグリーンシートを用意した。これにより、誘電体層及び複数個のカバー層を形成することができる。
【0083】
上記セラミックグリーンシートは、セラミック粉末、バインダー及び溶剤を混合してスラリーを製造し、上記スラリーをドクターブレード法で設計した厚さを有するシート(sheet)状に製作することができる。
【0084】
次に、導電性粉末及び共材粉末を含む内部電極用伝導性ペーストを用意することができる。
【0085】
上記導電性粉末の平均粒径をd1、上記共材粉末の平均粒径をd2とするとき、導電性粉末及び共材粉末の平均粒径比が0.03≦d2/d1≦0.05を満たす場合、上記内部電極用伝導性ペーストは、上記共材粉末を上記導電性粉末100重量部に対して3〜14重量部含むことができる。
【0086】
0.03≦d2/d1≦0.05である範囲において、上記共材粉末の含量が上記導電性粉末100重量部に対して3重量部未満含まれる場合は、焼成後に測定したa/b(上記内部電極の幅方向中心部において測定した最上部内部電極と最下部内部電極との距離をa、上記内部電極の幅方向端部において測定した上記最上部内部電極と上記最下部内部電極との距離をbとする)が0.996を超過することから、内部電極の形状が制御されない。また、14重量部を超過して含まれる場合も、焼成後に測定したa/bが0.996を超過することから、内部電極の形状が制御されず、容量が低下するという問題が発生しかねない。
【0087】
また、導電性粉末及び共材粉末の平均粒径比が0.05≦d2/d1≦0.1を満たす場合、上記内部電極用伝導性ペーストは、上記共材粉末を上記導電性粉末100重量部に対して6〜12重量部含むことができる。
【0088】
0.05≦d2/d1≦0.1である範囲において、上記共材粉末の含量が上記導電性粉末100重量部に対して6重量部未満含まれる場合は、焼成後に測定したa/b(上記内部電極の幅方向中心部において測定した最上部内部電極と最下部内部電極との距離をa、上記内部電極の幅方向端部において測定した上記最上部内部電極と上記最下部内部電極との距離をbとする)が0.996を超過することから、内部電極の形状が制御されない。また、14重量部を超過して含まれる場合も、焼成後に測定したa/bが0.996を超過することから、内部電極の形状が制御されず、容量が低下するという問題が発生しかねない。
【0089】
上記導電性粉末は、ニッケル(Ni)、マンガン(Mn)、クロム(Cr)、銅(Cu)、パラジウム(Pd)、銀(Ag)、コバルト(Co)、アルミニウム(Al)からなる群より選択される一つ以上を含むことができるが、本発明はこれに制限されない。
【0090】
上記共材粉末は、セラミック材料を含むことができ、セラミックグリーンシートに含まれた誘電体材料と同一材料を用いることができる。上記共材粉末は、チタン酸バリウム及びチタン酸バリウム酸化物のうち少なくとも一つ以上を含むことができる。
【0091】
その後、上記グリーンシート上に上記内部電極用伝導性ペーストをスクリーン印刷工法で塗布して内部電極を形成した後、内部電極が印刷されたグリーンシートを複数層積層し、積層体の上下面に内部電極が印刷されていないグリーンシートを複数積層してから上記内部電極パターンの一端が交互に露出するように切断することで積層チップを用意することができる。
【0092】
続いて、上記積層チップを焼成してセラミック本体110を製作することができる。
【0093】
上記積層チップを焼成する段階は、焼成中に上記積層チップを2つ以上の温度区間において一定時間維持する段階を含むことができる。
【0094】
即ち、上記積層チップを第1温度区間において一定時間維持した後、第2温度区間において一定時間維持する段階を含むことができる。
【0095】
上記積層チップを第1温度区間において維持する時間は120〜180分、上記積層チップを第2温度区間において維持する時間は150〜300分であることができる。
【0096】
上記第1温度区間では、内部電極パターンの焼成温度をPとするとき、P−30℃〜P+20℃であることができる。また、上記第2温度区間では、グリーンシートの焼成温度をQとするとき、Q−50℃〜Q+5℃であることができる。
【0097】
即ち、本発明は、上記積層チップ及び内部電極をともに焼成するが、内部電極用導電性ペーストに含まれる共材の平均粒径及び含量を調節することで、内部電極の膨張を防止することができる。
【0098】
また、第1温度区間では、内部電極パターンが焼成されるが、グリーンシートは焼成されないようにすることで、焼成されていないグリーンシートが内部電極の収縮を防止させるようにする。これにより、内部電極の厚さ方向の膨張を制御するとともに、内部電極用導電性ペーストの組成によって内部電極の形状を最適化することができる。
【0099】
上記セラミック本体は、内部電極121、122、誘電体層111及びカバー層を含む。上記誘電体層は内部電極が印刷されたグリーンシートが焼成されて形成されたもので、上記カバー層は内部電極が印刷されていないグリーンシートが焼成されて形成されたものである。
【0100】
一方、上記の通り、本発明による内部電極の形状により、上記セラミック本体は、幅方向サイド部における厚さが幅方向中心部における厚さより厚く形成される。
【0101】
また、上記内部電極は、第1及び第2内部電極で形成されることができる。
【0102】
上記第1及び第2内部電極とそれぞれ電気的に連結されるようにセラミック本体の外部面に第1及び第2外部電極131、132が形成されることができる。上記第1及び第2外部電極は、伝導性金属及びガラスを含むペーストの焼成によって形成されることができる。
【0103】
上記伝導性金属は、特に制限されないが、例えば、銅(Cu)、銀(Ag)、ニッケル(Ni)及びこれらの合金からなる群より選択された一つ以上であることができる。
【0104】
上記ガラスは、特に制限されないが、一般的な積層セラミックキャパシタの外部電極の製作に用いられるガラスと同一組成の物質が使用されることができる。
【0105】
また、上記第1及び第2外部電極131、132は、外側に伝導性粉末を含む伝導性樹脂組成物を塗布してから硬化させて形成された伝導性樹脂層(図示せず)をさらに含むことができる。上記伝導性樹脂組成物は、伝導性粉末及びベース樹脂を含むことができ、上記ベース樹脂は熱硬化性樹脂であるエポキシ樹脂であることができる。
【0106】
上記伝導性樹脂層を形成した後、ニッケルめっき層及びすずめっき層を形成する段階をさらに含むことができる。
【0108】
図5は本発明の他の一実施形態による積層セラミックキャパシタが実装された基板に関する概略的な斜視図である。
【0109】
図5を参照すると、本実施形態による積層セラミックキャパシタが実装された実装基板200は、上部に第1及び第2電極パッド221、222を有する印刷回路基板210と、上記印刷回路基板上に設置された積層セラミックキャパシタ100と、を含み、上記積層セラミックキャパシタは、誘電体層を含むセラミック本体及び上記誘電体層を介して上記セラミック本体内に配置される複数の内部電極を含み、上記セラミック本体の幅−厚さ方向を含む断面において、上記内部電極の幅方向中心部において測定した最上部内部電極と最下部内部電極との距離をa、上記内部電極の幅方向端部において測定した上記最上部内部電極と上記最下部内部電極との距離をbとするとき、0.953≦a/b≦0.996を満たすことができる。なお、添付の図面から明らかなように、外部電極131は、はんだ230で第1電極パッド221に固定されてもよい。また、外部電極132は、はんだ230で第2電極パッド222に固定されてもよい。
【0110】
本実施形態において印刷回路基板210に実装される積層セラミックキャパシタ100は、上述した積層セラミックキャパシタに関する説明と重複されるため、その説明を省略する。
【0112】
下記表1は、内部電極用導電性ペーストに含まれる導電性粉末及び共材粉末の平均粒径比(導電性粉末の平均粒径をd1、共材粉末の平均粒径をd2とするとき、d2/d1)、導電性粉末100重量部に対する共材粉末の含量、上記内部電極用導電性ペーストを用いて形成された積層セラミックキャパシタの内部電極の形状(内部電極の幅方向中心部において測定した最上部内部電極と最下部内部電極との距離をa、内部電極の幅方向端部において測定した上記最上部内部電極と上記最下部内部電極との距離をbとするとき、a/b)及び目標容量の具現有無を評価した結果を示したものである。
【0113】
本実験例による積層セラミックキャパシタは、以下のような段階で製作された。
【0114】
まず、平均粒径が0.05〜0.2μmであるチタン酸バリウム(BaTiO
3)などのパウダーを含んで形成されたスラリーをキャリアフィルム(carrier film)上に塗布及び乾燥して製造された複数個のセラミックグリーンシートを用意した。これにより、誘電体層が形成される。
【0115】
次に、導電性粉末としてのニッケル粉末及び共材粉末としてのセラミック粉末を表1に示された平均粒径比になるように用意した後、表1に示された含量範囲を満たすように混合した内部電極用導電性ペーストを用意した。
【0116】
続いて、上記グリーンシート上に上記内部電極用導電性ペーストをスクリーン印刷工法で塗布して内部電極を形成した後、300層積層して積層体を製作した。
【0117】
その後、圧着及び切断して0603規格サイズ(Size)のチップを製作し、上記チップをH
2 0.1%以下の還元雰囲気において温度1050〜1200℃で焼成した。
【0118】
次いで、外部電極を形成し、メッキなどの工程を経て積層セラミックキャパシタを製作して電気的特性を評価した。設計されたチップ(chip)の静電容量を測定し、容量が15%以上低下する場合(例:4.7uFの静電容量をターゲット(target)とするとき、3.995uF以下の容量値を有する場合)は、目標容量を「具現せず」と判定した。
【0119】
表1の実験データにおいて、内部電極及び誘電体層の厚さは1:1になるように製作された。
【0120】
【表1】
* 比較例
○ 目標容量に対して85%以上、クラック発生
× 目標容量に対して85%未満、クラック発生せず
【0121】
上記表1を参照すると、サンプル1は、a/bが0.996を超過するため目標容量を具現できないが、サンプル2及び3は、a/bが0.953以上0.996以下で目標容量を具現でき、クラックも発生していない。これに対し、サンプル4及び8では、目標容量は具現できるが、a/bが0.953未満で焼成過程においてクラックが生成されるという問題が発生した。
【0122】
また、サンプル11〜40は、全てa/bが0.953以上でクラックは発生していないが、サンプル11、12、19、20〜24及び29〜40は、a/bが0.996を超過するため目標容量が具現できないことが分かる。
【0123】
したがって、目標容量を具現するとともに、クラックの生成を防止するためには、a/bは0.953〜0.996の範囲であることが好ましいことが確認できる。a/bが上記数値範囲を満たす場合、焼成後に目標とする静電容量を得ることができ、クラックが発生しないため、信頼性に優れた高容量の積層セラミックキャパシタを具現できることが分かる。
【0124】
下記表2は、上述した製造方法による積層セラミックキャパシタにおける内部電極の厚さTe及び誘電体層の厚さTdの比(Te/Td)による収縮クラック発生及び目標容量具現の有無を示したデータである。
【0125】
【表2】
* 比較例
○ 焼成後にクラック発生、目標に対して容量が90%以上
× 焼成後にクラック発生せず、目標に対して容量が90%未満
【0126】
上記表2を参照すると、比較例であるサンプル41及び42は、Te/Tdが0.5未満の場合で、目標とする静電容量を得ることができず、他の比較例であるサンプル46〜48は、Te/Tdが1.2を超過する場合で、焼成後にクラックが発生して信頼性に問題がある。
【0127】
本発明の実施例であるサンプル43〜45は、本発明の数値範囲を満たす場合で、焼成後にクラックも発生せず、目標とする静電容量を得ることができるため、信頼性に優れた高容量の積層セラミックキャパシタを具現できることが分かる。
【0128】
以上、本発明の実施形態について詳細に説明したが、本発明の権利範囲はこれに限定されず、特許請求の範囲に記載された本発明の技術的思想から外れない範囲内で多様な修正及び変形が可能であるということは、当技術分野の通常の知識を有するものには明らかである。