特開2015-269(P2015-269A)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2015-269(P2015-269A)
(43)【公開日】2015年1月5日
(54)【発明の名称】椅子型マッサージ機
(51)【国際特許分類】
   A61H 7/00 20060101AFI20141202BHJP
   A61H 15/00 20060101ALI20141202BHJP
【FI】
   A61H7/00 320
   A61H7/00 323H
   A61H15/00 350D
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
【全頁数】12
(21)【出願番号】特願2013-127114(P2013-127114)
(22)【出願日】2013年6月18日
(71)【出願人】
【識別番号】592009214
【氏名又は名称】大東電機工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100120341
【弁理士】
【氏名又は名称】安田 幹雄
(72)【発明者】
【氏名】曽根 也寸志
(72)【発明者】
【氏名】石黒 文敬
(72)【発明者】
【氏名】清水 新策
【テーマコード(参考)】
4C100
【Fターム(参考)】
4C100AA40
4C100BA07
4C100CA03
4C100CA05
4C100DA08
4C100DA09
(57)【要約】
【課題】使用者が手及び/又は前腕のマッサージを終えた際に、使用者の手及び/又は前腕をスムーズ、且つ確実に腕マッサージ部から離脱させることが可能な椅子型マッサージ機を提供する。
【解決手段】本発明の椅子型マッサージ機1は、座部2と、座部2の両側に設けられる肘掛け部3と、肘掛け部3の後方に向かって開口する開口部7を有すると共に開口部7から挿し込まれた手W及び/又は前腕Vをマッサージする腕マッサージ部5と、座部2の後側に設けられた背もたれ部4とを有する椅子型マッサージ機1において、腕マッサージ部5は、肘掛け部3内に収容される格納位置と肘掛け部3の上方に突出して開口部7からの手W及び/又は前腕Vの挿し込みが可能とされるマッサージ位置との間で上下方向に移動自在とされ、格納位置における腕マッサージ部5の開口部7に対面する肘掛け部3に開口部7より後方が切り取られてなる切り欠き部20が形成されている。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
座部と、当該座部の左右方向の両側に前後方向に伸びるように設けられる肘掛け部と、前記肘掛け部の後方に向かって開口する開口部を有すると共に当該開口部から前方に向かって挿し込まれた手及び/又は前腕のマッサージを可能とする腕マッサージ部と、前記座部の後側に設けられた背もたれ部と、を有する椅子型マッサージ機において、
前記腕マッサージ部は、前記肘掛け部内に収容される格納位置と、前記肘掛け部の上方に突出して開口部からの手及び/又は前腕の挿し込みが可能とされるマッサージ位置との間で、上下方向に移動自在とされており、
前記格納位置における腕マッサージ部の開口部に対面する肘掛け部には、当該開口部より後方が切り取られてなる切り欠き部が形成されている
ことを特徴とする椅子型マッサージ機。
【請求項2】
前記開口部の左右方向の内側には、当該開口部に連通するように長細状に開口され、且つ前記座部側からの手及び/又は前腕の挿し込みを可能とする側方開口部が形成されており、
前記腕マッサージ部が格納位置にあるときに前記側方開口部が閉鎖され、且つ前記腕マッサージ部がマッサージ位置にあるときに前記側方開口部が開口する
ことを特徴とする請求項1に記載の椅子型マッサージ機。
【請求項3】
前記腕マッサージ部は、当該腕マッサージ部の先端部が前記肘掛け部に回動自在に枢支されていて、当該肘掛け部に枢支された軸心回りに腕マッサージ部が前方回動自在で上下方向に移動可能とされている
ことを特徴とする請求項1又は2に記載の椅子型マッサージ機。
【請求項4】
前記腕マッサージ部の先端部には、挿し込まれた手を押圧マッサージするための手マッサージ部が設けられており、
前記手マッサージ部には、前記開口部又は側方開口部の端部から前方に向かって連接するように形成されると共に、挿し込まれた手を座部方向へ離脱可能とする切り込み部が形成されている
ことを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の椅子型マッサージ機。
【請求項5】
前記切り込み部は、前記手マッサージ部の上下方向の上部又は中途部に形成されていることを特徴とする請求項4に記載の椅子型マッサージ機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、肘掛け部に腕マッサージ部を備えた椅子型マッサージ機に関する。
【背景技術】
【0002】
周知の如く、椅子型マッサージ機の技術分野においては、使用者の腕をマッサージ可能な腕マッサージ部を備えたものが既に開発されている。
例えば、特許文献1には、使用者の腕をマッサージ可能な腕マッサージ部を肘掛け部の上方に設けた椅子型マッサージ機が開示されている。この腕マッサージ部は、肘掛け部に沿った方向に軸心が向く半円筒状に形成されたケーシングの内側にエアバッグで構成されたマッサージ部を備えており、エアバッグ式のマッサージ部を膨らましたり縮めたりすることでケーシングの内側に挿し込まれた使用者の腕をマッサージ可能となっている。
【0003】
とはいえ、椅子型マッサージ機では、マッサージを受ける使用者がすべて腕のマッサージを希望するわけではない。例えば、使用者によっては、腕のマッサージを受けずに肩や腰のマッサージだけを希望する場合もあり、その場合は当然肘掛け部に腕をのせてマッサージを受けることになる。ところが、特許文献1の椅子型マッサージ機のように腕マッサージ部が肘掛け部の上側に固定されていると、肘掛け部に腕を載せたり載せた腕を伸ばしたりする際に腕マッサージ部が邪魔になるため、リラックスした姿勢を取ることができないという問題があり、リラックスした姿勢を取るためのスペースを肘掛け部に確保することができる新たな技術が必要であった。
【0004】
そのため、特許文献2に示す如く、椅子型マッサージ機の肘掛け部内に腕マッサージ部を格納する技術を本願出願人は既に開発している。
すなわち、特許文献2には、座部と、座部の左右方向の両側に前後方向に伸びるように設けられる肘掛け部と、座部の後側に設けられた背もたれ部とを備えた椅子型マッサージ機において、前記肘掛け部には、当該肘掛け部の後方に向かって開口する開口部を有すると共に、当該開口部から前方に向かって挿し込まれた腕のマッサージを可能とする腕マッサージ部が設けられており、前記腕マッサージ部は、肘掛け部内に収容されて開口部からの腕の挿し込みが規制される格納位置と、前記肘掛け部の上方に突出して開口部からの腕の挿し込みが可能とされるマッサージ位置との間で、上下方向に移動自在とされている椅子型マッサージ機が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2004−216120号公報(図1
【特許文献2】特開2011−234783号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
特許文献2の技術は、特許文献1の難点を克服する画期的なものであり、特許文献2に開示された椅子型マッサージ機によれば、使用者は、腕マッサージ部を用いて腕に対する効果的なマッサージを施術できるものとなる。さらには、腕マッサージ部の非使用時には、当該腕マッサージ部は、肘掛け部内に収納され、見栄えがよいものとなっている。
しかしながら、特許文献1の難点を克服すると考えられる特許文献2の技術にも、以下に述べるような若干の問題点が存在することが知見された。
【0007】
すなわち、特許文献2の椅子型マッサージ機においては、使用者が手及び/又は前腕のマッサージを終えて腕マッサージ部から手と前腕を離脱させるときに、使用者の肘や前腕が腕マッサージ部の開口部直後の肘掛け部に接触してしまうことがあり、腕マッサージ部から手と前腕をスムーズに離脱させることができないという点である。例えば、上肢(腕)が太かったり長かったりする使用者の場合、腕マッサージ部の開口部直後の肘掛け部に肘や前腕が引っかかってしまうこととなり、スムーズに離脱させることができない。
【0008】
その一方で、腕マッサージ部の先端部(手をマッサージする部分)は、使用者の手を覆うように形成されているため、使用者が手のマッサージを終えてその先端部から手を離脱
させる際に、手と前腕を後方に移動させて離脱させる必要があり、スムーズに手と前腕を離脱させることができないこともある。
そこで、本発明は、上述の問題に鑑みてなされたものであり、使用者が手及び/又は前腕のマッサージを終えた際に、使用者の手及び/又は前腕をスムーズ、且つ確実に腕マッサージ部から離脱させることが可能な椅子型マッサージ機を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上述した課題を解決するため、本発明では以下の技術的手段を講じている。
本発明に係る椅子型マッサージ機は、座部と、当該座部の左右方向の両側に前後方向に伸びるように設けられる肘掛け部と、前記肘掛け部の後方に向かって開口する開口部を有すると共に当該開口部から前方に向かって挿し込まれた手及び/又は前腕のマッサージを可能とする腕マッサージ部と、前記座部の後側に設けられた背もたれ部と、を有する椅子型マッサージ機において、前記腕マッサージ部は、前記肘掛け部内に収容される格納位置と、前記肘掛け部の上方に突出して開口部からの手及び/又は前腕の挿し込みが可能とされるマッサージ位置との間で、上下方向に移動自在とされており、前記格納位置における腕マッサージ部の開口部に対面する肘掛け部には、当該開口部より後方が切り取られてなる切り欠き部が形成されていることを特徴とする。
【0010】
好ましくは、前記開口部の左右方向の内側には、当該開口部に連通するように長細状に開口され、且つ前記座部側からの手及び/又は前腕の挿し込みを可能とする側方開口部が形成されており、前記腕マッサージ部が格納位置にあるときに前記側方開口部が閉鎖され、且つ前記腕マッサージ部がマッサージ位置にあるときに前記側方開口部が開口するとよい。
【0011】
好ましくは、前記腕マッサージ部は、当該腕マッサージ部の先端部が前記肘掛け部に回動自在に枢支されていて、当該肘掛け部に枢支された軸心回りに腕マッサージ部が前方回動自在で上下方向に移動可能とされているとよい。
好ましくは、前記腕マッサージ部の先端部には、挿し込まれた手を押圧マッサージするための手マッサージ部が設けられており、前記手マッサージ部には、前記開口部又は側方開口部の端部から前方に向かって連接するように形成されると共に、挿し込まれた手を座部方向へ離脱可能とする切り込み部が形成されているとよい。
【0012】
好ましくは、前記切り込み部は、前記手マッサージ部の上下方向の上部又は中途部に形成されているとよい。
【発明の効果】
【0013】
本発明に係る椅子型マッサージ機によれば、使用者が手及び/又は前腕のマッサージを終えた際に、使用者の手及び/又は前腕をスムーズ、且つ確実に腕マッサージ部から離脱させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】(a)は、本発明の椅子型マッサージ機の腕マッサージ部が格納位置にある場合を示す斜視図であり、(b)は、本発明の椅子型マッサージ機の腕マッサージ部がマッサージ位置にある場合を示す斜視図である。
図2】本発明の椅子型マッサージ機の腕マッサージ部に、手と前腕を挿し込んで腕のマッサージを行う態様を示す図である。
図3】(a)は、腕マッサージ部に手と前腕を挿し込んだ状態を示す図であり、(b)は、腕マッサージ部から手と前腕を離脱させた状態を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明にかかる椅子型マッサージ機1を図に基づいて説明する。
図1に示すように、椅子型マッサージ機1は、座部2と、座部2の左右方向の両側に前後方向に伸びるように設けられる肘掛け部3と、座部2の後側に設けられた背もたれ部4とを備えている。また、肘掛け部3には腕のマッサージを可能とする腕マッサージ部5が設けられており、この腕マッサージ部5は肘掛け部3に対して上下方向に移動自在とされている。
【0016】
以下、図1(a)に示す如く、椅子型マッサージ機1に座った使用者(被マッサージ者
)から見た前後方向を椅子型マッサージ機1を説明する際の前後方向と呼び、使用者から見た左右方向を椅子型マッサージ機1を説明する際の左右方向(幅方向)と呼ぶ。また、椅子型マッサージ機1に座った使用者から見た上下方向を椅子型マッサージ機1を説明する際の上下方向と呼ぶ。なお、使用者の施療部位に関しては、「腕」と呼ばれる部分のうち、手首から肘までを「前腕V」と呼び、手首から先の部分を「手W」と呼ぶ。
【0017】
座部2は、使用者が着座可能なように平面視で矩形状に形成された部材であり、床面から上方に距離をあけて水平に座面が向くように取り付けられている。座部2の内部には使用者の体重を支持できるように図示しないフレーム部材が設けられており、また座部2の上面側にはクッション部材が配備されていて使用者に良好な座り心地を提供できるようになっている。座部2の左側と右側には肘掛け部3がそれぞれ設けられており、また座部2の下側には図示しないフットマッサージ部などを収容可能な空間が形成されている。
【0018】
肘掛け部3は、床面に対して垂直に起立した板状の部材であって、座部2の左側と右側とに互いに距離をあけて且つ座部2に隣接するように配備されている。肘掛け部3は、座部2の左側に配備される左肘掛け部3Lと、座部2の右側に配備される右肘掛け部3Rとで構成されている。これらの左肘掛け部3L、及び右肘掛け部3Rはいずれも前後方向に伸びるように設けられており、またそれぞれの上面は前腕V及び手Wを載せて支障なく伸ばすことができるような幅を有すると共に前後方向になだらかに形成されている。
【0019】
肘掛け部3の内部には、上下方向に向かって起立した支持フレーム6が設けられている。この支持フレーム6は、座部2のフレーム部材と直交状に連結固定されており、座部2に加わる使用者の体重を座部2のフレーム部材を介して支持できるようになっている。
背もたれ部4は、使用者がもたれ掛かれるように座部2の後側に設けられている。背もたれ部4は、座部2の後側の支持フレーム6に対して左右方向を向く水平軸周りに揺動自在に枢支されており、上下方向に沿って起立した起立姿勢と後方に向かってほぼ水平に倒れ込んだリクライニング姿勢との間で自由に傾斜できるようになっている。
【0020】
図1図2に示すように、本発明の椅子型マッサージ機1には、使用者の手W及び/又は前腕Vを確実にマッサージできる腕マッサージ部5(上肢マッサージ部)を備えられている。この腕マッサージ部5は、肘掛け部3内に格納(内蔵)されるようになっており、肘掛け部3の上面に前腕V及び手Wを載置する際に、腕マッサージ部5が邪魔になることがないようになっている。
【0021】
腕マッサージ部5は、前後方向に沿って長尺状に形成された部材であって、左肘掛け部3Lの上部に配備される左腕マッサージ部5Lと、右肘掛け部3Rの上部に配備される右腕マッサージ部5Rとで構成されている。以下の説明では、右腕マッサージ部5Rに着目して構造を説明する。左腕マッサージ部5Lは、右腕マッサージ部5Rを左右反転した構成となっている。
【0022】
この右腕マッサージ部5Rの座部2側(幅方向内側)は、右肘掛け部3Rの幅方向内側に設けられた側板13(遮蔽板)により、閉塞された状態となっている。右腕マッサージ部5Rの後端面には、右肘掛け部3Rの後方に向かって開口され、且つ手W及び前腕Vを前方に向かって挿し込むことができる開口部7が形成されている。
また、開口部7の左右方向の内側には、この開口部7に連通するように長細状に開口され、且つ座部2側からの手W及び/又は前腕Vの挿し込みを可能とする側方開口部8が形成されている。この側方開口部8は、右腕マッサージ部5Rが格納位置(図1(a)参照)にあるときに閉鎖され、且つ右腕マッサージ部5Rがマッサージ位置(図1(b)参照)にあるときに側方開口部8が開口されるようになっている。なお、格納位置において、側方開口部8は、完全に閉鎖される必要はなく、その一部のみが閉鎖される構成であってもよい。右腕マッサージ部5Rに関する格納位置及びマッサージ位置の詳細は、後述する。
【0023】
右腕マッサージ部5Rの内部には、開口部7又は側方開口部8から挿し込まれた手W及び前腕Vを収容可能な収容部9が設けられている。収容部9は、開口部7が設けられた後面及び側方開口部8が設けられた幅方向内側以外(上面、下面、前面、幅方向の外側面)の面がすべて壁面で構成されていて、これらの壁面に囲まれている。収容部9の中途部〜
後側の上面及び下面には第2エアバッグ10(マッサージ用空気袋)が配備されており、収容部9に挿し込まれた使用者の前腕Vを押圧マッサージできるようになっている。
【0024】
また、収容部9の前部(右腕マッサージ部5Rの先端部)には、挿し込まれた手Wを押圧マッサージするための手マッサージ部21が設けられている。手マッサージ部21には、第1エアバッグ11(マッサージ用空気袋)が配備されており、収容部9に挿し込まれた手首から指先までの使用者の手Wをマッサージできるようになっている。
図1図3に示すように、手マッサージ部21は、右腕マッサージ部5Rの先端部であって、幅方向外側の内壁に配備された第1エアバッグ11と、この第1エアバッグ11の側方から覆う覆い体22とを有している。この手マッサージ部21は、当該手マッサージ部21の開口から前方に向かって挿し込まれた使用者の手Wを、その手の甲側に配備されている第1エアバッグ11によってマッサージするものである。
【0025】
第1エアバッグ11は、右腕マッサージ部5Rの幅方向外側の内壁面に沿うように、上下方向にほぼ垂直に配備されていて、手の甲又は手Wと略同じ大きさの正方形状の面を有した平らな空気袋である。この第1エアバッグ11から所定の間隔を空けると共に、対面する位置に可撓性を有する覆い体22が配備されている。
このような構成を有する右腕マッサージ部5Rは、右肘掛け部3R内に収容された「格納位置」と、右肘掛け部3Rから上方に突出して開口部7からの手W及び/又は前腕Vの挿し込みが可能とされると共に腕のマッサージが可能となる「マッサージ位置」との間で上下方向に移動自在とされている。そして、これらの開口部7及び側方開口部8は、右腕マッサージ部5Rがマッサージ位置に移動したときに開口してマッサージが可能となる構成となっている。
【0026】
具体的には、右腕マッサージ部5Rは、当該右腕マッサージ部5Rの先端部が右肘掛け部3Rに回動自在に枢支されていて、この右肘掛け部3Rに枢支された枢支軸12(幅方向を向く枢支軸12)の軸心回りに右腕マッサージ部5Rが前方回動自在で上下方向に移動可能とされている。言い換えると、右腕マッサージ部5Rは、右肘掛け部3Rに枢支された先端部に対して後部側が上下方向に揺動する機構となっている。そして、右腕マッサージ部5Rは、先端部に対する後部側の上下揺動を利用して、格納位置とマッサージ位置との間で右腕マッサージ部5Rの移動を可能とする構成とされている。
【0027】
なお、左腕マッサージ部5Lは、右腕マッサージ部5Rを左右反転した配置で配備されていて、内部構造は略同様であるので、説明は省略する。
次に、本発明の特徴である肘掛け部3に形成された切り欠き部20、及び腕マッサージ部5(詳しくは、手マッサージ部21)に形成された切り込み部23ついて、図面を基に説明する。なお、以下の説明においても、右肘掛け部3R、及び右腕マッサージ部5Rに着目して、説明する。左肘掛け部3L、及び左腕マッサージ部5Lにおいても、同様に切り欠き部20、及び切り込み部23が設けられている。
【0028】
格納位置に位置する右腕マッサージ部5Rの開口部7に対面する右肘掛け部3Rには、当該開口部7より後方が切り取られてなる切り欠き部20が形成されている。
図1図3に示すように、切り欠き部20は、右肘掛け部3Rの外壁面より内側に設けられており、座部2に向かって(幅方向内側に向かって)開放状に形成されている。この切り欠き部20は、右腕マッサージ部5Rの開口部7から後方に向かって形成された所定の広さの空間であって、右腕マッサージ部5Rから手W及び/又は前腕Vをスムーズに離脱させることができるようになっている。
【0029】
切り欠き部20(すなわち、所定の広さの開放空間)は、上下方向の高さが開口部7の高さとほぼ同じであり、左右方向の幅は右肘掛け部3Rとほぼ同じである。また、切り欠き部20の後方向の奥行きは、例えば開口部7から背もたれ部4の前面近傍までとされている。なお、本実施形態の切り欠き部20は、上述した広さ及び大きさとしているが、右腕マッサージ部5Rから手W及び/又は前腕Vをスムーズに離脱させることができるようになっていれば、切り欠き部20の広さ及び大きさは問わない。
【0030】
また、切り欠き部20を構成する後側壁24(前後方向での後側の内側壁)は、座部2の上面近傍から上方に向かって開くように傾斜している。肘及び前腕Vを傾斜した後側壁
24に沿うように移動させることで、右腕マッサージ部5Rから前腕Vをスムーズに離脱させることができる。
つまり、切り欠き部20は、側面視で扇状の空間となっており、この空間に肘及び前腕Vの後端部を移動させて肘を扇状の円弧に沿わせて上方に引き上げることができる。それゆえ、右腕マッサージ部5Rに挿し込まれた手W及び/又は前腕Vをスムーズに離脱させることができる。
【0031】
なお、本実施形態では、後側壁24は傾斜面として形成しているが、右腕マッサージ部5Rから手W及び/又は前腕Vをスムーズに離脱させることができるようになっていれば、側壁面の形状は問わない。例えば、側壁面24が上下方向にほぼ垂直な面として形成されていてもよい。また、切り欠き部20が大きく切り欠かれて、後側壁24を有さない形状とされていてもよい。その場合、背もたれ部4の側部が後側壁24の役割を奏するように構成することは好ましい。
【0032】
一方、右腕マッサージ部5Rの先端部には、挿し込まれた手Wを押圧マッサージするための手マッサージ部21が設けられている。
前述した如く、手マッサージ部21は、右腕マッサージ部5Rの先端部であって、幅方向外側の内壁に配備された第1エアバッグ11と、この第1エアバッグ11の側方から覆う覆い体22とを有している。
【0033】
図2図3に示すように、覆い体22は、可撓性を有する部材であって、右腕マッサージ部5Rの先端部であって幅方向内側に配備されている。すなわち、挿し込まれた手のひら(掌)に対面する部分に配置されている。覆い体22は、手Wと略同じ大きさ(手のひら側の手W全体を覆う)又は手Wより少し大きさの正方形状の面を有した平らな部材である。この平らな形状の覆い体22は、座部2に対して起立した状態で右腕マッサージ部5Rの側板13に沿うように起立した状態で配備され、収容部9の前部に配設されている。
【0034】
この側板13には、使用者の太腿部を押圧マッサージするエアバックが配備されていてもよく、エアバックを単体で配備した上で、側板13の役目を奏するように構成してもよい。
覆い体22は、第1エアバッグ11の膨張による手のひら(手W)の押し出しを受け止めるようになっている。この可撓性を有する覆い体22が第1エアバッグ11と対面するように配備されていることで、覆い体22は第1エアバッグ11の膨張によって押し出された手のひら(手W)を幅方向外側に向かって支持するようになり、第1エアバッグ11による押圧マッサージの効果を確実なものとしている。
【0035】
この覆い体22は、合成皮革や布や合成繊維などの可撓性を有する伸縮部材で形成されており、第1エアバッグ11の膨張によって幅方向内側に押し出される使用者の手Wの押圧によって伸縮するようになっている。
図3(a)は、腕マッサージ部5に手Wと前腕Vを挿し込んだ状態を示す図であり、図3(b)は、腕マッサージ部5から手Wと前腕Vを切り込み部23を介して離脱させた状態を示す図である。
【0036】
図3に示すように、上述した覆い体22には、開口部7又は側方開口部8の端部から前方に向かって連接するように形成されると共に、挿し込まれた手Wを座部方向(覆い体22より外側)へ離脱可能とする切り込み部23が形成されている。
切り込み部23は、格納状態における覆い体22の上下方向の上部に形成されており、挿し込まれたときの手先に相当する部分まで切り込まれている。切り込み部23は、ほぼ直線状に形成されており、挿し込まれた手Wを座部方向へ離脱するときにだけ開口するようになっている。つまり、手Wをマッサージしているときには、切り込み部23は開口しないようになっている。
【0037】
例えば、切り込み部23は、挿し込まれた手Wを座部方向へ離脱するときにかかる力にのみ開口するようにすればよい。また、挿し込まれた手Wを座部方向へ離脱した後、切り込み部23は、自然に閉口するようになっていてもよい。すなわち、切り込み部23は、挿し込まれた手Wを座部方向へ離脱する過程において、柔軟に開閉するようになっている。
【0038】
なお、本実施形態の切り込み部23は、格納状態における覆い体22の上下方向の上部に形成されているが、挿し込まれた手Wを座部方向へ離脱可能とする位置に形成されていれば、どのような位置であってもよい。例えば、切り込み部23は、格納状態における覆い体22の上下方向の中途部に形成されていてもよい。
なお、左腕マッサージ部5Lの覆い体22に形成された切り込み部23、及び左肘掛け部3Lに形成された切り欠き部20は、右腕マッサージ部5Rと及び右肘掛け部3R同様であるので、説明は省略する。
【0039】
以上述べたように、本発明の椅子型マッサージ機1は、切り欠き部20を設けていることにより、使用者が手W及び/又は前腕Vのマッサージを終えた際に、使用者の手W及び/又は前腕Vをスムーズ、且つ確実に腕マッサージ部5から離脱させることができる。また、手W及び/又は前腕Vが挿し込まれた状態の腕マッサージ部5が、万が一上方から下方に移動しても、本発明の特徴である切り欠き部20によって、前腕Vが腕マッサージ部5と肘掛け部3との間に挟まれることを防ぐことができる。
【0040】
さらに、覆い体22(手マッサージ部21)に切り込み部23を設けていることにより、使用者の手W及び/又は前腕Vを後方に移動させることなく、座部方向(覆い体22より外側)へ素早く離脱させることができる。
なお、今回開示された実施形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。例えば、本実施形態の手マッサージ部21に備えられた第1エアバッグ11は、手の甲と略同じ大きさの正方形状の面を有した平らなマッサージ用空気袋を用いているが、手の甲及び手のひら(掌)を同時に押圧マッサージをする有底袋体のマッサージ用空気袋を用いてもよい。
【0041】
特に、今回開示された実施形態において、明示的に開示されていない事項、例えば、運転条件や操業条件、各種パラメータ、構成物の寸法、重量、体積などは、当業者が通常実施する範囲を逸脱するものではなく、通常の当業者であれば、容易に想定することが可能な値を採用している。
【符号の説明】
【0042】
1 椅子型マッサージ機
2 座部
3 肘掛け部
3L 左肘掛け部
3R 右肘掛け部
4 背もたれ部
5 腕マッサージ部
5L 左腕マッサージ部
5R 右腕マッサージ部
6 支持フレーム
7 開口部
8 側方開口部
9 収容部
10 第2エアバッグ
11 第1エアバッグ
12 枢支軸
13 側板
20 切り欠き部
21 手マッサージ部
22 覆い体
23 切り込み部
24 後側壁
V 前腕
W 手
図1
図2
図3